仕事や職場へのコミットメントの低下傾向が見られる新入社員の就労意識

 日本生産性本部は先日、平成31年度新入社員1,792人を対象にした「働くことの意識」調査結果を公表しました。

 毎年非常に興味深い結果が見られるこの調査ですが、今回は就労意識について見てみましょう。以下は「そう思う」と「ややそう思う」を合わせた割合の順となっています。ない、( )内は前年度比です。
1位 社会や人から感謝される仕事がしたい 93.9%(+1.0)
2位 仕事を通じて人間関係を広げていきたい 92.5%(-1.6)
3位 ワークライフバランスに積極的に取り組む職場で働きたい 91.8%(-0.8)
4位 どこでも通用する専門技術を身につけたい 90.4%(-0.8)
5位 高い役職につくために、少々の苦労はしても頑張る 81.5%(+1.8)
6位 これからの時代は終身雇用ではないので、会社に甘える生活はできない 78.2%(+1.3)
7位 仕事を生きがいとしたい 70.3%(+1.8)
8位 仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる 65.8%(-4.9)
9位 できれば地元(自宅から通える所)で働きたい 60.4%(-1.5)
10位 職場の上司、同僚が残業していても、自分の仕事が終わったら帰る 49.4%(+2.5)
11位 海外の勤務があれば行ってみたい 44.1%(-3.1)
12位 仕事はお金を稼ぐための手段であって、面白いものではない 42.3%(+1.3)
13位 面白い仕事であれば、収入が少なくても構わない 42.0%(-2.3)
14位 いずれリストラされるのではないかと不安だ 41.0%(+2.6)
15位 職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない 30.1%(-0.6)
16位 いずれ会社が倒産したり破綻したりするのではないかと不安だ 25.3%(+1.4)

 このように「社会や人から感謝される仕事がしたい」が1位となっていますが、気になるのは、この5年間の推移の中で、仕事や職場へのコミットメントの低下傾向が見受けられることです。5年前と比較し、プラス・マイナスでそれぞれ変動の大きかった上位3項目は以下の通りとなっています。( )内は今年度の数値。
プラス
+14.3ポイント 職場の上司、同僚が残業していても、自分の仕事が終わったら帰る(49.4%)
+9.6ポイント 仕事はお金を稼ぐための手段であって面白いものではない(42.3%)
+8.9ポイント 職場の同僚、上司、部下などとは勤務時間以外はつきあいたくない(30.1%)
マイナス
▲14.9ポイント あまり収入がよくなくても、やり甲斐のある仕事がしたい(48.0%)
▲12.9ポイント 面白い仕事であれば、収入が少なくても構わない(42.0%)
▲8.1ポイント 人間関係では、先輩と後輩など上下のけじめをつけることは大切なことだ(83.2%)

 従来の価値観からすると非常にドライな印象を受けます。このような価値観の変化が進んでいることを認識し、接するのがよいのでしょう。


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参考リンク
公益財団法人日本生産性本部「平成31年度 新入社員「働くことの意識」調査結果」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/002741.html

(大津章敬)