兼業・副業を認める際の制度設計について教えてください
この週末は梅雨にも関わらず、非常に気持ちの良い快晴となったので、密を避けながら、公園でゆっくり読書をした大熊であった。
大熊社労士
おはようございます!
服部社長
おはようございます。あれ、大熊さん。結構日焼けしていませんか?
大熊社労士
やはり、そうですよね。実はこの週末、天気が良かったので公園にお弁当と本を持って行って、1日中読書をしていたんですよ。日焼け止めを塗ったはずなのですが思いの外、日焼けしてしまったようで。
福島さん
この週末は本当に気持ちの良い青空でしたからね。緊急事態宣言ということもあって街中には出かけませんでしたが、私も子どもを連れて、講演にお散歩に行ってきました。さて、今日は兼業・副業の制度設計でしたね。
大熊社労士
そうですね。これまで兼業・副業の裁判例などもお話してきましたが、ここで宮田部長に質問です。裁判例では兼業・副業はどのように扱われていたでしょうか?
宮田部長
大熊先生、そう来ましたか。労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるというのが裁判所の基本原則になっているという話ですね。
大熊社労士
そうです!そうです!いいですね。そして?
宮田部長
労務提供上の支障がある場合や、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合、そして競業により企業の利益を害する場合には例外的に制限できるということです。
福島さん
宮田部長!すごいじゃないですか!
宮田部長
まあ、実力を出せばこんなもんですよ。とか言って、実際にはさっき前回の資料をたまたま見直していたというだけなんだけどね。
大熊社労士
いやいや、それでも素晴らしいですよ。その通りです。ということで、今後、兼業・副業を認める際には、従業員からの申告を受け、その内容を確認した上で、許可を出すという仕組みにすることが求められます。具体的にはまず就業規則を改定し、許可基準の整備を行う必要がありますね。ここで必要になるのが、いま宮田部長にお聞きした内容になる訳です。その内容を規定に落としていくことになります。
福島さん
ここでは前々回にご案内いただいた厚生労働省のモデル就業規則も参考にできそうですね。
大熊社労士
そうですね。その上で、実際に社員から兼業・副業の申告があった場合には、その内容を確認し、許可するにあたっての条件を定め、兼業・副業に関する合意書・誓約書を作成することになります。具体的には、許可する業務の内容・期間、競業避止、秘密保持義務、労働時間管理などのルールの明示が必要になります。
福島さん
ここが肝になりそうですね。
大熊社労士
そうですね。前回説明した雇用契約なのか、業務委託なのかも大きな判断ポイントになってくると思います。その上で、労働時間の把握管理・健康管理の仕組みの構築が求められます。兼業・副業における労働時間については、従業員からの自己申告が基本となります。なお、必ずしも日々把握する必要はなく、一定日数分をまとめて把握することや、所定外労働があった場合のみ把握するということなども認められています。副業先の契約が雇用契約の場合には、特に注意が必要ですね。
服部社長
全体としては以上の感じでしょうか?
大熊社労士
そうですね。あとは実際に対象者が出た際に一緒に条件を検討できればと思います。ということでまずは就業規則の見直しを先行して議論していきましょう。
服部社長
ありがとうございます。よろしくお願いします。
>>>to be continued
[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は兼業・副業の3回目をお送りしました。最近の調査では、兼業・副業が認められているか否かが転職の際の会社選びの基準になってきていることが明らかになっています。新型コロナの感染拡大が収まれば、再び深刻な人材確保難になることが予想されますので、兼業・副業も含めた柔軟な働き方の導入を行い、求職者にとって魅力のある環境を作っておくことも、円滑な事業遂行のためには重要な課題となるでしょう。
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参考リンク
厚生労働省「副業・兼業」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html
(大津章敬)