[改正パート労働法]定年後の嘱託社員はパートタイム労働法が適用される?

 施行まであと2ヶ月となり改正パートタイム労働法を取り巻く状況もにわかに活気付いてきたのでしょうか、実務に関する質問も多く寄せられるようになりました。そこで本日は、ある顧問先様から頂いた定年後に継続雇用した社員への法の適用に関する質問を取り上げたいと思います。



【質問】
 当社では、定年を60歳の誕生日としており、それ以降は原則として、1日の労働時間が1時間短い嘱託社員として希望者全員を再雇用しています。雇用契約は65歳まで1年更新にしています。今回の改正法は、これらの嘱託社員も該当しますか?


【回答】
 このパートタイム労働法が適用される労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者」を言います。嘱託社員となると労働時間が短くなるとのことですので、改正法が適用されることになります。


 改正法では、パートタイマーを4つの分類に分けていますので、他のパートタイマー同様、嘱託社員についても「職務の内容」、「人材活用の仕組み」、「契約期間」を比較してどの分類に該当するかを考えることとなります。なお、契約期間については、65歳までの1年更新とのことですので、契約期間があると判断しても差し支えないでしょう。


【まとめ】
 定年後に再雇用をする場合には、それまでと同様の業務をしながらも、年金との兼ね合いや雇用保険の継続給付との兼ね合いから、定年到達時の賃金の一定率などのルールで給与額を減らす企業も少なくありません。これまでは業務と給与額の関連に大きな縛りはありませんでしたが、改正法施行後は、注意が必要であり、既に雇用契約をしている労働者に対しても考慮する必要があるといえるでしょう。



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参考リンク
厚生労働省「改正パートタイム労働法関連資料」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html
名南経営セミナー「労働契約法・パートタイム労働法への具体的対応と雇用環境変化に適応する人事制度」(東京)
https://www.roumu.com/seminar/seminar20080310.html


(宮武貴美)


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