過去3年間に56.1%の企業で精神疾患の発症例あり

過去3年間に56.1%の企業で精神疾患の発症例あり 昨日、「過労死危険水準の過重労働が見られる事業所が激増」というブログ記事を掲載しましたが、本日も引き続き、東京労働局から発表された「従業員の健康管理等に関するアンケート調査結果」の内容について取り上げたいと思います。この調査は都内に本社を置く規模300人以上の企業に対し、健康管理等の取組状況に関する調査を実施したものですが、本日は精神疾患に関する状況について見て行きましょう。


 従業員のメンタルヘルス不全は現在の人事労務管理における最大の課題の一つとなっていますが、今回の資料では過去3年程度の間の過重労働も関連したと思われる精神疾患の発症例の有無を調査しています。その結果(無回答は除外して集計)は以下のとおりですが、実際に発症例があった企業が56.1%、また疑われる例があったまでを加えると、なんと77.8%もの企業で精神疾患の問題が発生していることが分かりました(グラフはクリックして拡大)。
発症例があった                     56.1%
精神疾患が疑われる発症例があった        15.3%
報告はなかったが発症が疑われる例があった    1.5%
確認はできなかったが発症が疑われる例があった  4.9%
発症例はなかった                    22.2%


 こうした状況を受け、心身の健康確保のためにメンタルヘルス対策の充実(平成14年度 24.5%→平成19年度 48.4%)や労働時間等の心身の過重負荷要因の改善(平成14年度 15.6%→平成19年度 36.9%)を進めている企業が急増していますが、 メンタルヘルス不全の問題の深刻化は不全者本人のキャリアや生活、そして企業の生産活動にも大きな影響を与えており、すべての企業にとって最優先に対応すべき課題になっているのは間違いありません。



関連blog記事
2008年5月20日「過労死危険水準の過重労働が見られる事業所が激増」
https://roumu.com
/archives/51332259.html

2008年5月2日「長時間労働者への医師による面接指導の費用負担」
https://roumu.com
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2008年4月4日「健康管理対策の観点から指導強化が予想される36協定」
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2008年3月25日「平成20年4月から長時間労働者への医師による面接指導の実施が50人未満の事業所でも義務化」
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2007年12月7日「対応が遅れる労働時間の適正な把握と懸念される調査の増加」
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2007年10月7日「平成18年度のサービス残業是正支払額は1,679社で227億円」
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2007年5月18日「過労死等の労災支給決定件数は過去最高を更新」
https://roumu.com
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2006年6月6日「過労死の労災認定件数は前年度に比べ12.2%の増加」
https://roumu.com
/archives/50589218.html


参考リンク
東京労働局「従業員の健康管理等に関するアンケート調査結果」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2008/20080512-kenkokanri/20080512-kenkokanri.html


(大津章敬)


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