育児休業期間中に次の子の産前産後休業が重なる場合の社会保険料の取扱い
育児休業は平成17年4月の改正により、一定の要件に該当した場合、子が1歳6か月に達するまでの間、取得することができるようになりました。これに伴い、育児休業期間中に次の子を妊娠、産前産後休業を取得するケースも増加しているようです。そこで、今回は、育児休業等およびそれに伴う社会保険料免除と産前産後休業との関係について取り上げてみましょう(画像はクリックして拡大)。
育児休業期間中に次の子を妊娠した際に疑義が生じる点として、既に取得している育児休業と次の子に係る産前産後休業のどちらが優先されるのかという問題があります。ここでは、先に出産した子を子A、次に妊娠・出産する子を子Bとしてその取り扱いを見ていくことにしましょう。
子Bの出産日以前の取扱いについて
(1)子Aに係る育児休業期間中の者から子Bに係る産前休業の請求がなされた場合
子Bに係る産前休業が開始され、子Aに係る育児休業期間及びそれに伴う保険料免除は終了する
(2)子Aに係る育児休業期間中の者から子Bに係る産前休業の請求がない場合
出産予定日前6週間以内であっても、産前休業は開始せず、子Aに係る育児休業期間及びそれに伴う保険料免除は終了しない
子Bの出産後の取扱いについて
(1)請求により子Bに係る産前休業を取得している場合
子Bの出産日の翌日より子Bに係る産後休業となる
(2)子Bに係る産前休業を取得せず、子Aに係る育児休業等を継続中である場合
子Bの出産日をもって子Aの育児休業およびそれに伴う保険料免除は終了し、子Bの出産日の翌日より子Bに係る産後休業が開始される
における産前休業は女性の請求により取得されるものであるための措置、一方、における産後休業は女性の請求の有無に関係なく取得するものであるための措置だと言えます。
[参考条文]
労働基準法 第65条(産前産後)
使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあつては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2.使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
3.使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
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参考リンク
社会保険庁「育児休業等期間中に次の子を出産する場合の保険料免除等の取扱いについて」
http://www.sia.go.jp/topics/2009/pdf/n0204.pdf
(宮武貴美)
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