4月より要件が緩和される中小企業の次世代法認定基準

4月より要件が緩和される中小企業の次世代法認定基準 2008年12月8日のブログ記事「平成21年4月より301人以上企業で次世代育成行動計画の公表・周知が義務化へ」でもお伝えしたとおり、次世代育成支援対策推進法改正により、平成21年4月1日から仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について事業主が策定する一般事業主行動計画の公表・従業員への周知が、301人以上の企業は義務、300人以下の企業は努力義務となります。


 またこの法改正にあわせ、平成21年3月16日付け厚生労働省令第37号により、次世代育成支援対策推進法施行規則が改正され、一般事業主行動計画の公表および従業員への周知の方法、認定基準の追加および緩和等が盛り込まれるとともに、平成21年3月23日付けで行動計画策定指針が改正されました。そこで今回はこの改正の中から、従業員数300人以下の企業について実施される認定に関する男性の育児休業取得者の要件緩和について取り上げましょう。


 この認定においては、従来より「育児休業等をした男性労働者がいること」という要件が大きな制約となっていましたが、今回、従業員数300人以下の中小企業については、計画期間内に男性の育児休業等取得者がいなかった場合であっても、次の基準を満たせば要件を満たすことになります。
 計画期間において、子の看護休暇を取得した男性従業員がいること。(ただし、1歳に満たない子のために利用した場合を除く。)
計画期間において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に対する短時間勤務の制度の措置を利用した男性従業員がいること。
 当該計画の開始3年以内の期間において、その雇用する男性従業員のうち育児休業等をしたものが1人以上いること。


 これにより、平成21年4月1日以降の認定申請については以下の9つが新たな基準となります。
(1)雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと。
(2)一般事業主行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
(3)策定した一般事業主行動計画を実施し、それに定めた目標を達成したこと。
(4)平成21年4月1日以降に新たに策定・変更した一般事業主行動計画について、公表および従業員への周知を適切に行っていること。
(5)計画期間内に、男性の育児休業等取得者が1人以上いること。
【従業員数が300人以下である企業】
 計画期間内に男性の育児休業取得者がいない場合でも、次のいずれかの基準を満たせば要件を満たすこと
1.計画期間において、子の看護休暇を取得した男性従業員がいること(ただし、1歳に満たない子のために利用した場合を除く。)。
2.計画期間において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に対する短時間勤務の制度の措置を利用した男性従業員がいること。
3.当該計画の開始前3年以内の期間において、その雇用する男性従業員のうち育児休業等をしたものが1人以上いること。
(6)計画期間内の女性従業員の育児休業等取得率が70%以上であること。
【従業員数が300人以下である企業】
 計画期間内に、育児休業取得率が70%未満である中小企業でも、計画開始前3年間遡り、計画期間とその開始前の一定期間(最長3年間)を合わせて計算したときに、女性の育児休業等取得率が70%以上となれば要件を満たすことになります。
(7)3歳から小学校に入学するまでの子を持つ従業員を対象とする「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準ずる措置」を講じていること。
(8)次の1.から3.までのいずれかを実施していること。
1.所定外労働の削減のための措置
2.年次有給休暇の取得の促進のための措置
3.その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
(9)法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。


 これにより中小企業でも次世代法の認定が取得しやすくなります。認定取得企業は「くるみん」マークを使用することができるため、この機会に積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。



関連blog記事
2009年3月23日「「くるみん」の認定マークを受けるのは難しいのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65068628.html
2009年3月16日「一般事業主行動計画の目標と対策はどのように設定すればよいのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65066862.html
2009年3月9日「一般事業主行動計画はどのように作成するのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65064532.html
2009年2月16日「従業員に育児休業をさせると会社が助成金をもらえるのですか」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65055178.html
2009年2月26日「助成率が大幅引上げとなった育児介護関連の助成金」
https://roumu.com
/archives/51508226.html

2009年2月8日「年度内にも支給開始となる「子育て応援特別手当」のポイント」
https://roumu.com
/archives/51498203.html

2009年1月8日「短時間勤務の義務化など拡充が検討される育児休業制度」
https://roumu.com
/archives/51480821.html

2008年12月8日「平成21年4月より301人以上企業で次世代育成行動計画の公表・周知が義務化へ」
https://roumu.com
/archives/51462125.html

2008年9月13日「ワークライフバランス実現には企業トップのリーダーシップ発揮が必要不可欠」
https://roumu.com
/archives/51405885.html

2008年8月15日「女性労働者の育児休業取得率は約9割に上昇」
https://roumu.com
/archives/51391167.html

2008年8月14日「改訂された「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」」
https://roumu.com
/archives/51391042.html

2008年7月29日「育児休業等終了後の社会保険の特例的取扱い」
https://roumu.com
/archives/51377897.html

2008年7月7日「厚労省研究会が今後の育児休業制度の拡充を提言」
https://roumu.com
/archives/51365167.html


参考リンク
東京労働局「次世代育成支援対策推進法の改正内容について」
http://www.roudoukyoku.go.jp/topics/2008/20090319-ikusei/index.html
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画について」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。