労政審で議論される来年度の雇用保険制度改正の動向

来年度の雇用保険制度改正の動向 雇用保険制度はここ数年、毎年春に改正されていますが、平成23年度についても改正の検討が進められています。今日は昨日、厚生労働省のホームページで公開された「第68回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料」の中の「雇用保険制度について(たたき台)」(以下、「資料」という)を取り上げ、現在労政審において検討されている事項についてを確認しておきましょう。


 まずは新年度に向けて大きな関心を集める雇用保険料率ですが、資料の中では、平成23年度の失業等給付に係る雇用保険料率について、「現下の雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあるものの、失業等給付の収支の見通しや積立金の状況を勘案し、弾力条項の発動によって、平成22年度に引き続き、下限の12/10000に引き下げるべきではないか」という方向性が示されています。ここで挙げられている弾力条項については、いくつかの条件で発動されるのですが、この発動が行われない場合には、失業等給付に係る雇用保険料率は、16/1000となり、労使双方にとっての影響は大きなものになることが予想されます。


 資料に挙げられているその他の検討事項としては、基本手当の水準について、下限・上限ともに引上げの方向性、マルチジョブホルダーや高年齢雇用継続給付のあり方等の検討の必要性が言及されています。いずれも最低賃金の引上げや高年齢者雇用安定法の改正という近年の労働関連の動きに連動したものが検討事項として挙げられており、今後も雇用保険制度の改正については注視したいところでしょう。



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参考リンク
厚生労働省「第68回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000yb7d.html


(宮武貴美


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