まず押さえておきたい労働時間法制改革建議における7つの重要ポイント
ホワイトカラーエグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)の導入で話題となっている2016年4月の労働時間法制改革ですが、先週の金曜日、建議が行われました。この中には様々な提言が盛り込まれていますが、マスコミが取り上げる内容は高度プロフェッショナル制度に偏重している傾向が見られます。そこで今回の建議の重要ポイントを7つに厳選し、簡単に全体像を把握していただけるようにしました。まずは以下の方向で動いていることを理解しておきましょう。
中小企業に猶予されている60時間超の割増率50%は平成31年4月より適用を拡大する。
36協定特別条項の様式が整備され、限度時間を超えて労働した労働者に講ずる健康確保措置を定めなければならない。また措置の実施状況等に係る書類を作成し、3年間確実に保存しなければならない。
長時間労働者の医師による面接指導制度に関し、管理監督者を含むすべての労働者を対象として、労働時間を客観的な方法その他適切な方法により把握しなければならない。併せて、面接指導制度の運用に当たり、管理監督者について、在社時間等に基づいて要件の該当の有無を判断し、面接指導を行うものとする。
年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者については、使用者が時季指定するなどにより年5日については取得させなければならない。
フレックスタイム制について、清算期間の上限を、現行の1か月から3か月に延長する。
企画業務型裁量労働制に以下の新たな類型を追加する。
(1)法人顧客の事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析と一体的に行う商品やサービス内容に係る課題解決型提案営業の業務
(2)事業の運営に関する事項の実施の管理と、その実施状況の検証結果に基づく事業の運営に関する事項の企画立案調査分析を一体的に行う業務
対象業務および年収の要件を設定した上で高度プロフェッショナル制度(ホワイトカラーエグゼンプション)を導入する。その対象者については、健康確保の観点から、健康管理時間(事業場内に所在していた時間と事業場外で業務に従事した場合における労働時間との合計)を把握した上で、これに基づく健康・福祉確保措置を講じなければならない。
このように今回の制度改革において、高度プロフェッショナル制度はその一部でしかありません。むしろ過重労働対策に重点が置かれていることは明らかであり、それを理解することは重要です。詳細については実際の建議「今後の労働時間法制等の在り方について」(全12ページ)をご覧ください。労務ドットコムでは、四半世紀振りの大改革となる今回の労働時間法制改革について今後も最新情報を提供していきます。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/houkoku.pdf
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http://www.lcgjapan.com/seminar/201502sr-iwasaki/
関連blog記事
2015年2月9日「中小企業における月60時間超の50%割増は平成31年度より適用へ」
https://roumu.com
/archives/52064536.html
2015年1月28日「労政審報告書骨子案に見る中小企業の60時間超の割増50%の適用などの方向性」
https://roumu.com
/archives/52062512.html
2015年1月22日「労政審報告書骨子案に見る企画業務型裁量労働制規制緩和の方向性」
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/archives/52062508.html
2015年1月21日「労政審報告書骨子案に見るフレックスタイム制規制緩和の方向性」
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/archives/52062506.html
2015年1月20日「労政審報告書骨子案に見る年次有給休暇取得義務化の方向性」
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/archives/52062500.html
2015年1月19日「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」
https://roumu.com
/archives/52062485.html
2015年1月18日「注目の労働時間法制改革の報告書骨子案が公開されました」
https://roumu.com
/archives/52062331.html
2014年11月14日「年次有給休暇 取得義務化の場合の「一定日数」の水準はどうなるか?」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/41275450.html
2014年10月3日「内閣府が目論む来年9月の9連休と年次有給休暇の取得促進」
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/archives/40478549.html
参考リンク
厚生労働省「労働政策審議会建議「今後の労働時間法制等の在り方について」を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981.html
(大津章敬)
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