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2事業所で勤務することになった場合の社会保険はどのようになるのですか?

 服部印刷に到着をした大熊を待ち受けていたのは服部社長だった。


服部社長:
 大熊さん、こんにちは。今日は久々に私から質問したいことがありましてね。
大熊社労士:
 そうでしたか。どのようなことでしょうか?
服部社長服部社長:
 私の経営者仲間の一人が今度、新しい事業をすることになり、会社を設立することになったそうなんですよ。そこで新たに従業員を雇うことになっているのですが、社会保険の話題になりましてね。
大熊社労士:
 そうなんですね。
服部社長:
 まぁ、社員については通常通り社会保険に加入させるとして、社長はどうなるんだろうかということになったんですよ。彼は両方の代表取締役として働くことになりますからね。
大熊社労士:
 なるほど。2事業所で勤務するということになる訳ですね。同時に2ヶ所以上で勤務するときには、実は、その両方の事業所で社会保険に加入することになります。したがって、従業員の方と一緒に被保険者資格取得届を提出してください。
宮田部長:
 え。2ヶ所とも加入ですか!?
大熊社労士:
 そうなのです。とはいうものの、現在社会保険に加入すべき人は、正社員の概ね4分の3という基準がありますから、30時間勤務を2ヶ所で継続的に行うという人はかなり少ないはずです。よって、この2ヶ所勤務というのは数としてはかなり少ないと思いますよ。あ、でも役員については十分あり得ますよね。しかも代表取締役ということであれば、もちろんどちらも常勤ですしね。
服部社長:
 なるほど、そういうことになるのですね。
宮田部長宮田部長:
 となると、社長のご友人は2枚の健康保険証を持つことになるのですか?なんだか、2枚持ちとかで格好良いように聞こえますね・・・。
大熊社労士:
 いえいえ、2枚あったらどちらを使おうか迷ってしまいますよね。そのために2ヶ所以上で勤務することとなったときには、どちらをメインの事業所にするか、被保険者本人が選択することになります。選択した方の事業所で健康保険証が発行されることになります。
宮田部長:
 へぇ、そうなんですね。
大熊社労士:
 それが「健康保険 厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」というものです。メインの事業所を「選択事業所」、サブの事業所を「非選択事業所」と呼ぶことになっています。ちなみに提出先は、選択事業所を管轄する年金事務所となります。そして、その後の諸々の事務手続きは選択事業所で行うことになります。
服部社長:
 それで、そのときの保険料はどのように計算されることになるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 保険料・・・というか、標準報酬月額なのですが、それぞれの事業所の報酬額を合算して標準報酬月額を決定することになります。この標準報酬月額により算出された保険料額を、事業所ごとの報酬額で按分して納付することになっています。
宮田部長:
 ややこしいですね。
大熊社労士:
 そうなんですよ。ちなみに服部社長、そのご友人はどこの都道府県に会社を持つことになりますか?
服部社長:
 詳しくは聞いないのですけど、両社とも愛知県内だとは思いますよ。違う県だと何か影響があるのですか?
宮田部長:
 もしかして・・・保険料率!?
大熊社労士:
 宮田部長、鋭い!そうなんです。服部社長もご存じのように、現在は健康保険の料率が都道府県で異なるじゃないですか。按分された報酬月額についても、選択事業所・非選択事業所それぞれの所在地の保険料率で計算されることになるんです。
宮田部長:
 それは大変じゃないですか!?社長、まさか当社もグループ会社を作るなんておっしゃいませんよね!?
服部社長:
 それはどうかな、友人の事業の様子を見て考えるかな(笑)。
大熊社労士:
 そのときになったら、具体的にご相談くださいね!グループ会社もまとめて顧問をさせていただきますから!(笑)
服部社長:
 スムースに営業されたな。でも、そのようなときにはご相談しますよ。今日の話は友人にしておきますね。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は複数の事業所で勤務する際の社会保険の手続きについて取りあげました。この手続きは資格取得のみならず、算定基礎や月額変更の際にも別途届出が必要な複雑な処理になります。手続き後は保険料の取扱いも含め、間違いのないように気をつけましょう。


参考リンク
日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=2268

(宮武貴美)
http://blog.livedoor.jp/miyataketakami/

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2013年11月の「人事労務のお仕事カレンダー」

6b826cec11月に入り、急に朝晩と寒くなりました。人事労務担当者としてはこれから年末調整という年内最後の大イベントがありますので、健康管理には注意したいところですね。さて、年末調整ですが、今月中には書類の回収が整うように、段取りを決めておきましょう。


年末調整に関するブログ記事特集
2013年10月29日「「年末調整で間違えやすいポイントの説明用資料」平成25年度版ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/52014261.html

2013年10月22日「平成25年版にリニューアル「すぐに使える年末調整提出書類の社員説明用資料」ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/52013165.html

2013年10月18日「従業員に配布できる年末調整の控除に関するリーフレット」
https://roumu.com
/archives/52013025.html

2013年9月25日「[年末調整]平成26年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書ダウンロード開始!」
https://roumu.com
/archives/52006463.html

2013年9月20日「今年の源泉徴収票の様式は昨年から変更なし」
https://roumu.com
/archives/52009623.html

[11月の主たる業務]
11月1日(金)過重労働解消キャンペーン(仮称)
11月1日(金)労働保険適用促進強化期間 
参考リンク:愛知労働局「11月は「労働保険適用促進強化期間」です!」
http://aichi-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudou_hoken/hourei_seido/tekiyousokusin25.html
11月1日(金)職業能力開発促進月間
参考リンク:厚生労働省「キャリア支援企業表彰2013 ~人を育て・人が育つ企業表彰~」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000026011.html

11月11日(月) 一括有期事業開始届(建設業)届出
参考リンク:厚生労働省「労働保険関係各種様式」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/yousiki.html

11月11日(月) 10月分の源泉所得税・住民税特別徴収税額の支払
参考リンク:国税庁「源泉所得税の納付期限と納期の特例 」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2505.htm

11月14日(木)継続・有期事業概算保険料延納額の支払(第2期分※口座振替を利用する場合)
参考リンク:厚生労働省「労働保険料等の口座振替納付」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/hokenryou/index.html

12月2日(月)10月分健康保険・厚生年金保険料の支払
参考リンク:日本年金機構「保険料と総報酬制について」
http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3789
 

[トピックス]
パート等の年間収入チェック
 パートやアルバイト等においては、所得税法上の扶養範囲(収入103万円以内)等で働いていることが多くあります。そのため、年末になってこのまま勤務するとその範囲を超えるため、急な欠勤が発生することが心配されます。いまのうちから年間収入をチェックしておき、年末の忙しい時期になって人手が足りないと困ることがないよう、調整しておきましょう。
関連blog記事:「パートタイマーが扶養家族にこだわる理由」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/54401877.html
参考リンク:国税庁「所得税 配偶者控除」
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm


裁判員候補者への通知

 来年1月からの裁判員候補者に対して、今月中旬より通知が届くようになっています。会社の方で従業員からの相談があれば応じる旨アナウンスしておきましょう。
関連blog記事:2010年6月16日「裁判員休暇終了(取消)届出書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55393989.html
2010年6月9日「裁判員休暇取得(変更)届出書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55393988.html
2008年11月19日「裁判員休暇規程」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55178248.html
参考リンク:最高裁判所「裁判員制度」
http://www.saibanin.courts.go.jp/


[今月のアクション]
賞与決定までの準備
 今月は、賞与の支給額を決めるための準備があります。業績や勤務成績などの情報を整理し、人事評価資料の配布などを行う必要があります。

年末調整の申告書の手配
 年末調整の時期となりました。記入漏れや添付資料の不備がないように早めにチェックを行い、資料を整えておくことが準備の上で重要になってきます。

年賀状の手配
 そろそろ年賀状の手配が必要になります。早めに送付先の確認をしておきましょう。

(福間みゆき)

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正社員登用を希望する有期契約労働者は40.7% このままでよいは37.5%

正社員登用を希望する有期契約労働者は40.7% 2013年10月25日のブログ記事「改正労働契約法の無期転換ルールの対応で11.9%が契約期間の上限を設定」では、連合の「有期契約労働者に関する調査」から有期契約労働者の11.9%が契約期間の上限が設定されたというニュースをお伝えしました。この調査は他にも興味深い内容が見られますので、本日もこの調査の中から有期契約労働者の正社員への転換希望について取り上げたいと思います。なお、この調査は2013年9月14日からの10日間において実施し、週20時間以上労働する民間企業の有期契約労働者1,000名の回答を集計したものとなっています。

 まずは有期契約で働くことになった状況と、正社員への転換希望についての回答結果を見てみましょう。
有期契約で働くことになった状況
 自ら進んで 51.0% 正社員になれなくて 35.1%
(うち契約社員)
 自ら進んで 32.4% 正社員になれなくて 47.6%
(うちパート・アルバイトのみ)
 自ら進んで 60.9% 正社員になれなくて 28.4%
今後の働き方の希望
 正社員になりたい 40.7% ここままでよい 37.5%
(うち自ら進んで有期契約労働者になった者)
 正社員になりたい 18.3% ここままでよい 61.4%
(うち正社員になれなくて有期契約労働者になった者)
 正社員になりたい 73.5% ここままでよい 10.2%

 非正規労働者の議論の中では雇用の安定のために正社員への転換希望が多いという考えが前提になっていることが多いですが、実際には「正社員になりたい」が40.7%、「ここままでよい」が37.5%と、双方の意見がほぼ同数という結果になっています。もっとも正社員になれなくて有期契約労働者になった者については7割以上が正社員転換を希望しているのも事実ですので、非正規従業員の人事管理においては様々な考えの従業員が混在していることを理解し、その動機にあった人材活用を進めることが重要となります。


関連blog記事
2013年10月25日「改正労働契約法の無期転換ルールの対応で11.9%が契約期間の上限を設定」
https://roumu.com
/archives/52013725.html

参考リンク
連合「有期契約労働者に関する調査」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/chousa/data/20131024.pdf

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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短時間正社員規程

kitei100 会社が短時間正社員制度を設けた際に、その条件等を定めた規程サンプル(画像はクリックして拡大)です。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kitei100.doc(29KB)
PDFPDF形式 
kitei100.pdf(6KB)


[ワンポイントアドバイス]

 利用事由として、①育児および家族の介護を行う場合、②自己啓発を希望する場合、③疾病または傷病によりフルタイム勤務が困難な場合のほか、地域活動やボランティア活動をする場合などについても認めているケースがあります。


参考リンク
厚生労働省「短時間正社員ナビ」
http://tanjikan.mhlw.go.jp/

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(福間みゆき)

愛知わかものハローワーク 2013年11月26日開催の就職面接会の参加企業募集

就職面接会 愛知わかものハローワーク(正規雇用を目指す若年者を専門的に支援するハローワーク)では、正規雇用を目指す若年者(おおむね45歳未満)を対象に「就職面接会」を無料で開催しています。現在、以下の2013年11月の就職面接会の参加企業(愛知県内に事業所があること)を募集しています。費用は無料ですので、採用を検討されている人事担当者のみなさんは活用を検討されてみてはいかがでしょうか?
開催日時:2013年11月26日(火)午後2時~4時
募集企業数:13社(予定)
募集期限:2013年11月8日(金)正午必着
開催場所:愛知わかものハローワーク 10階セミナールーム
      名古屋市中区栄四丁目1番1号 中日ビル10階
参加費:無料
対象者:正規雇用を目指す若年者(おおむね45歳未満)
実施方法:
・各企業の面接コーナーを訪れた求職者に会社説明を実施
・面接会終了後の個別面接は、後日、各企業で改めて実施
・パソコン等使用のためのLAN環境はなし

 詳細については以下をご覧ください。
http://aichi-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0108/8502/2013102311104.pdf


参考リンク
愛知わかものハローワーク
http://aichi-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/kanren/home.html

(大津章敬)
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本記事および人事労務管理に関するご相談は社会保険労務士法人名南経営(丸の内)までお問い合わせください。
  
TEL 052(229)0730
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「年末調整で間違えやすいポイントの説明用資料」平成25年度版ダウンロード開始

年末調整 2013年10月22日のブログ記事「平成25年版にリニューアル「すぐに使える年末調整提出書類の社員説明用資料」ダウンロード開始」で取り上げた年末調整資料は多くの方にご活用いただいているようです。ありがとうございます。今回はその第二弾のダウンロード企画をお届けします。

 第二弾は、年末調整の提出書類の中で、特に間違いやすい保険料控除申告書部分に関する注意点をまとめた説明用資料になっています。カラーで印刷の上、掲示板等に貼っていただくことで、記入の仕方や添付すべき証明書について注意を促すことができるでしょう。特に、国民年金保険料控除証明書の提出では誤りが多いようですので、注意を促しています。ダウンロードの上、ご利用ください!
[ダウンロード]
Word形式 nenchou25-2.doc
PDF形式 nenchou25-2.pdf

 年末調整の準備に関しては、以下で分かりやすく解説しています。昨年の記事になりますが、あわせてご参照ください。
2012年11月5日「年末調整の準備はどのように進めればいいですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65584740.html


関連blog記事
2013年10月22日「平成25年版にリニューアル「すぐに使える年末調整提出書類の社員説明用資料」ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/52013165.html

2013年10月18日「従業員に配布できる年末調整の控除に関するリーフレット」
https://roumu.com
/archives/52013025.html

2013年9月25日「[年末調整]平成26年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書ダウンロード開始!」
https://roumu.com
/archives/52006463.html

2013年9月20日「今年の源泉徴収票の様式は昨年から変更なし」
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(宮武貴美)
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通勤手当はかかった費用の実費を支給しなければなりませんか?

 大熊は久々に電車に乗って服部印刷を訪問した。さっそく宮田部長が応接に招き入れてくれ、話しかけてきた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。今日は通勤手当のことでご相談があります。
大熊社労士:
 通勤手当?残業代の基礎になるとか、ならないとか、そういうことですか?
宮田部長宮田部長:
 いやいや、違うんですよ。当社は土地柄、自家用車通勤の従業員が多くいますが、公共交通機関を利用する従業員もいます。その従業員から、「健康のために1駅前の駅から歩いてくるけどいいですか?」と聞かれましてね。そうなると、通勤手当はどういう風に考えればよいのか、その他に何か問題になるようなことはないか、頭の中がぐるぐるしてきましたよ。
大熊社労士:
 まぁまぁ、落ち着いてください。御社の賃金規程の中で、公共交通機関を利用している人に対する通勤手当額を確認すると、「会社が経済的に合理的と認めた経路の1ヶ月分の定期券代相当額を支給する」となっていますね。
宮田部長:
 はい、おっしゃる通りです。
大熊社労士:
 であれば、まずは御社として、どの経路が「経済的に合理的と認められるか」ということを決めなくてはなりません。たぶん、その方は最初に自宅から御社までの経済的に見て合理的だという通勤経路を申請し、会社はそれを認めたのでしょうね。
宮田部長:
 そうそう、確か入社するときに、通勤手当支給経路申請書とかなんとかいう書類を提出してもらっています。総務でそれが正しいかどうかを確認し、通勤手当の額を決定するという手続きになっています。
大熊社労士:
 そうですよね。それであれば、基本的には1駅前で降りて歩いてきたとしても問題ないと認めてもよいと思いますよ。仮に規程に「実際に通勤に係った費用を支給する」というような記載であれば、1駅分の通勤手当をどうするか?という問題が発生しますよね。
宮田部長:
 なるほど、弊社の規程が「1ヶ月分の定期券代相当額」となっていて、必ずしも実費とは書いていないですもんね。
大熊社労士:
 ただし、1駅前の駅から歩いてくるのが、社会通念上、おかしくない距離であれば、1駅前までも最寄駅と認めて、それらの駅を利用している従業員一人ひとりについて、どちらが経済的合理的かを判断することになります。
宮田部長:
 社会通念上、おかしくない距離・・・徒歩5分と10分なら両方最寄な感じがしますけど、15分まで行くとなぁ・・・ってな感じですよね?
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。どこまでがOKなどというものはないので、これはある程度、会社が決めることになるのでしょうね。例えば、うちの最寄駅はJRであればA駅、私鉄であれば、B駅もしくはC駅、バス停であれば、Dバス停のように。
宮田部長:
 会社が決めちゃってよいのですか?
大熊社労士:
 そもそも通勤手当は、法律上では払わなくてもよい賃金です。最低賃金にも入らないようなものですし。つまり、会社が自由に決めてもよいものなのです。
宮田部長:
 あぁ!確かにそうですね。私は勤め始めたときから通勤手当をもらっているので必ず払わらなければならないと思っていました。
大熊社労士:
 ですよね。でも、払わないという選択肢もあるし、上限を決めることもできるのです。だから、通勤手当という自由な手当について、最寄駅を定めることももちろん可能です。
宮田部長:
 今回、従業員は徒歩15分程度らしいので、迷うところですが、こちらの駅も最寄駅とすることにし、通勤手当をそちらの駅までのものに変更することにします。
大熊社労士:
 了解しました。ちなみに、冒頭で残業代のことをちらっと話題に出しましたが、通勤手当については、割増賃金の計算から除外できる手当となっています。これについては、「通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当」とされています。健康志向の高まりにより通常では考えられない距離を徒歩や自転車で通勤するケースが増えてきており、公共交通機関を使わない分、実際費用がかかっていないケースも見られます。これが割増賃金の計算に含むべきかどうかはまだはっきりしていないようですね。
宮田部長:
 そういうところにも影響が出る可能性があるのですね。気にしたいと思います。ありがとうございました。

>>>to be continued

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日は通勤手当のことを取り上げてみました。通勤手当をしっかりと計算しようとすると、なかなかルール化が難しいものです。自社としてどこまでを通勤手当の対象とみるかをきちんと決定しておきましょう。次回は通勤手当支給と通勤災害の関係について取りあげることにしましょう。


関連blog記事
2013年7月2日「割増賃金の基礎となる賃金とは?」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51271736.html

(宮武貴美)
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前年比9.6%増の695,699人となった精神障害者保健福祉手帳保持者

695,699人となった精神障害者保健福祉手帳保持者 うつ病などのメンタルヘルス不調者の問題はいまや企業の人事労務管理において最大の課題の一つに挙げられます。現場感覚としても精神障害者の増加を実感することが増加していますが、先日公表された厚生労働省の「平成24年度衛生行政報告例の概況」ではそのデータが公表され、問題の深刻さを伝えています。

 この調査では精神障害者保健福祉手帳保持者の人数を集計していますが、この精神障害者保健福祉手帳とは、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するもので、1級から3級まであります。
1級
 精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(概ね障害年金1級に相当)
2級
 精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金2級に相当)
3級
 精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの(概ね障害年金3級に相当)

 今回発表されたのは平成24年度の手帳保持人数ですが、その合計は695,699人に上っており、静岡市の人口719,329人(2013年9月末現在)に匹敵する驚異的な人数となっています。
1級 101,758人
2級 430,516人
3級 163,425人
合計 695,699人

 なお、過去5年間の推移は以下のようになっており、平成20年度からの4年間で実に44.1%も増加しています。
平成20年度 482,905人
平成21年度 544,332人(前年度比 12.7%増)
平成22年度 594,504人(前年度比 9.2%増)
平成23年度 635,048人(前年度比 6.8%増)
平成24年度 695,699人(前年度比 9.6%増)

 平成30年4月1日には障害者法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられますが、この増加傾向を見ると、法定雇用率も大幅の引き上げになることが予想されます。企業としてはいまのうちから積極的な障害者雇用を進めると共に、社員の健康管理を更に徹底することが求められています。


関連blog記事
2013年6月28日「重要性を増す障害者雇用の全体像が一冊で分かるリーフレット ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/51998419.html

2013年6月20日「成立した精神障害者の雇用義務化と障害者に対する差別禁止」
https://roumu.com
/archives/51997336.html

参考リンク
厚生労働省「平成24年度衛生行政報告例の概況」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/12/index.html
厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳」
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

(大津章敬)
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社労士業務で必要な税務基礎知識を3時間で理解する集中講座 東京・大阪で開催

社労士業務で必要な税務基礎知識を3時間で理解する集中講座 社労士実務の隣にはいつも税務の問題が存在します。役員報酬、従業員の給与・賞与から福利厚生、出張、退職、異動など、企業の「人」に関連する税務は多岐に亘っていますが、その相談の場面で、税務上の取扱いがどのようになるのか知識が曖昧であったり分からないまま対応していることがあるのが実情ではないでしょうか。そこで今回は、人事労務に関する実務を行う際に求められる税務の基本知識を3時間で理解する集中講座を企画しました。実際に、顧問先から相談を受ける具体的事例を挙げながら、その取扱いや注意点を解説致しますので、是非ご参加ください。


社労士業務で必要な税務の基礎知識を3時間で理解する集中講座
講師:税理士法人名南経営 理事・統括マネージャー 加藤尚孝(税理士)


1.役員に関する税務
[1]役員に対する報酬
・年間を通し一定額にしなければならない役員報酬
・役員報酬を期中に変更できる例外
[2]役員に対する退職給与
・損金算入できる役員退職金額
・通常の従業員とは異なる役員への退職金控除(特定役員に対する考え方等)
2.給与・賞与に関する税務
・甲乙丙欄を利用する具体例
・給与と賞与で異なる所得税の計算方法および決算賞与支給時の留意点
・源泉徴収時期と納付タイミング(納期特例・年末調整時含め)
・所得税と異なる住民税の計算方法とその納付
・未払い退職金を一括で支払った場合の源泉徴収方法
・間違いやすい年末調整の具体的事例
3.退職に関する税務
・給与と異なる退職金の所得税計算方法
・退職金を支給したときに提出すべき各種様式
・退職金にかかる住民税の取り扱いと役員・従業員への説明
4.福利厚生に関する税務
・所得税を徴収判断に迷う慶弔見舞金等
・社員に社宅を準備した際に必要になる所得税
・社員に食事や食事補助費を提供した際に必要となる所得税
5.その他の税務
・旅費・日当等の出張に係る税務取扱い
・赴任旅費や引っ越し費用といった転勤に係る税務取扱い
・密接に絡む社会保険と税務の関係
・年末調整と確定申告の関連性とは

[担当講師]
税理士法人名南経営 理事・統括マネージャー 加藤尚孝(税理士)
 名古屋市立大学経済学部卒。名南コンサルティングネットワーク税務会計部門の一員として、入社以来、百社を超える中堅中小企業の税務顧問先の税務相談・経営指導を実施。現在は税理士法人所得税担当役員および統括部長として税務申告業務および管理運営業務をおこなっている。

[開催会場および日時]
東京会場
2014年1月29日(水)午後1時30分~午後4時30分
 名南経営コンサルティング 東京支店 セミナールーム(日比谷)
大阪会場
2014年2月14日(金)午後1時30分~午後4時30分
 名南経営コンサルティング 大阪支店 セミナールーム(中之島)

[受講料]
一般 15,000円
LCG特別会員 3,000円、正会員 5,000円、準会員 8,000円(税別)

[詳細および申し込み]
 以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさんは専用ホームページMyKomonよりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1401zeimu.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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【来週開催】向井蘭弁護士×東京管理職ユニオン 設楽執行委員長による本音対談セミナー (東京・大阪)

shitaran200いよいよ来週開催!最終受付中


 近年、過重労働やメンタルヘルス不調、退職勧奨など深刻な労働トラブルが増加しており、企業経営・従業員の双方のためにもトラブルの円滑な解決が望まれているところであります。そこで今回、労働トラブルについて使用者側専門の労働弁護士として活躍されている向井蘭氏と、東京管理職ユニオンの執行委員長として長年、労働組合活動を通じて数多くの労使紛争の解決を支援している設楽清嗣氏というまったく立場が正反対のお二人をお迎えし、対談形式のセミナーを開催することとなりました。今回は労働トラブルに関し、以下にあるような具体的なテーマを設定し、使用者側弁護士・ユニオンのそれぞれ立場から紛争解決のポイントや企業として外してはならない人事労務管理の重要論点などについてお聞きしていきます。

 使用者側と労働者側でどのような点で考え方の差が出るのか、そしてどうすれば労使が双方の立場を理解し、労働トラブルの円滑な解決を進めることができるのかについて激論を交わしていきます。普段なかなか聞くことができない本音が満載の3時間になりますので、多くのみなさんのご参加をお待ちしています。


使用者側弁護士とユニオンの双方から見た労働トラブルの本質と解決の道筋
 向井蘭弁護士×設楽執行委員長(東京管理職ユニオン)が労働トラブルの解決について、それぞれを立場から本音で激論を交わす3時間

講師:狩野・岡・向井法律事務所 弁護士 向井蘭
   東京管理職ユニオン 執行委員長 
設楽清嗣


・ユニオンとして現在もっとも関心を持っている分野とその活動方針
・多様化する退職勧奨の現状 使用者側の理屈とユニオンの対応
・団体交渉に臨む際のスタンス~無用なトラブルを避けるために互いに理解しておきたいポイント
・ユニオンとして和解を進める事案と和解金設定の考え方
・こういった企業の対応には労働組合として断固として対抗する
・解決が困難に陥るトラブルの傾向~解決に向けた適切なプロセスを理解する
・相談にやってくる労働者、そして経営者に見られる気質の変化
・ユニオンと使用者側弁護士は対決する存在なのか?同じ理想を共有しているのか?
※以上のようなポイントを中心に議論を展開しますが、現実には当日の流れにより柔軟にテーマを選定しながら進めます。

[タイムテーブル]
第一部【講演】13:30-13:45
労働トラブルに関する使用者側弁護士のスタンス
 講師:狩野・岡・向井法律事務所 弁護士 向井蘭氏
第二部【講演】13:45-14:00
労働トラブルに関するユニオンのスタンス
 講師:東京管理職ユニオン 執行委員長 設楽清嗣氏
第三部【対談】14:00-16:30 途中休憩10分
使用者側弁護士とユニオンの双方から見た労働トラブルの本質と解決の道筋
パネリスト:東京管理職ユニオン 執行委員長 設楽清嗣氏
      狩野・岡・向井法律事務所 弁護士 向井蘭氏
コーディネーター:株式会社名南経営コンサルティング 社会保険労務士 大津章敬

[開催会場および日時]
東京会場/2013年10月30日(水) 
 連合会館 2階大会議室(御茶ノ水)
大阪会場/2013年
11月1日(金)
 エル・おおさか 大会議室(天満橋)
 ※時間はいずれも 午後1時30分~午後4時30分

[受講料]
一般 16,800円
LCG特別会員5,250円 正会員7,350円 準会員9,450円(税込)

[詳細および申込み]
 以下よりお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1311union.html

(大津章敬)
http://blog.livedoor.jp/otsuakinori/

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