「ハイ」の検索結果

高年齢雇用継続給付の手続きはどうやって行いますか?

 今回、服部印刷で高年齢雇用継続給付の手続きを説明することになっていた大熊社労士。車に向かって服部印刷に向かった。


大熊社労士大熊社労士:
 こんにちは。もう今年も残りわずかとなりましたね。今日は高年齢雇用継続基本給付金(以下、「給付金」という)の申請手続きについてお話するのでしたよね。
宮田部長:
 はい、福島さんには手続き漏れのないように、と聞いただけでしたので、なんとなく手続きしてきちゃったんですよね。
大熊社労士:
 なるほど、それでは基本的な部分からお話しましょうね。まず給付金を受給するためには、60歳のときの賃金をハローワークに登録する必要があります。これが60歳以降の給付金の計算基礎となる賃金になります。多くのケースではこのときに併せて給付金が受給できるかの資格確認を行います。例えば、被保険者期間が5年未満の被保険者は給付金の対象とはなりませんが、このことが受給資格がないとこのタイミングで判明します。
宮田部長:
 なるほど。60歳になった従業員に対し、2種類の申請書を出していたのはその目的があったのですね。
大熊社労士:
 はい、その通りです。ちなみに、60歳になったときに被保険者期間が5年未満であっても、その後、例えば、61歳のときに被保険者期間が5年になったのであれば、そのときに受給資格が発生することになっています。
宮田部長:
 へぇ、うちの会社ではあまり対象者のイメージがつきませんが、忘れないようにしておきますね。
大熊社労士:
 さて、賃金を登録と受給資格の確認をすると、このような書類をハローワークから受け取ることになります。受給資格の有無と次の支給申請月等が書かれていますね。
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/kourei_kyufu.pdf

高年齢雇用継続給付の手続きはどうやって行いますか?

宮田部長:
 なるほど、見たことありますね。
大熊社労士:
 そうですね。そして、原則として2ヶ月に1度、事業所管轄のハローワークに申請手続きを行うことになっています。申請書には前2ヶ月に支払った賃金を記載し、賃金台帳等の写しを添付していますよね。
宮田部長宮田部長:
 はい、ここ数回は私が持っていっています。確か、申請した後にもらえる書類に、みなさんに2ヶ月に1回、署名してもらうんですよね。
大熊社労士:
 そうですね。ちなみにこの2ヶ月に1度の申請月は会社ごとにハローワークが指定しているんですよ。
服部社長:
 なるほど、2ヶ月に1回であれば、総務の手間は少なくなりそうですね。逆を返すと申請を忘れそうになる。だから、福島さんは宮田部長にしっかり申請するように伝えたのですね。さすが、ある意味ポイントを押さえた引継です(笑)。
宮田部長:
 確かにそうですね、って、社長、その言い草はないじゃないですか!(笑)
大熊社労士:
 おっしゃる通りだと思います(笑)。実はこの申請は前回もお話したように、期限厳守になっています。支給申請月中に行わないと原則として支給されないんですよね。ただし、初回の申請については、最初に支給を受けようとする支給月から起算して4ヶ月以内に行うことができることになっています。
服部社長:
 なるほど。ひとつここで確認してもいいですか?60歳以降、すぐに賃金が下がらない従業員もいずれ下がれば給付金の対象になるのですか?
大熊社労士:
 はい、受給資格がある被保険者でも60歳以降の賃金が75%以下にならない場合には、申請しても、当然ながら不支給になりますし、申請の必要もありません。75%未満になった場合に、申請をすることでそこから対象になりますよ。
服部社長:
 ということは、ひとまず60歳になったときには必ず登録しておいたほうがいいということですね。
大熊社労士:
 おっしゃる通りです。ちなみに、給付金には限度額が設けられており、各月の賃金が343,396円(平成24年)を超える場合には支給されないことになっています。そして、この限度額は毎年8月1日に変更されることになっていますよ。
宮田部長:
 大熊先生、給付金ですが、支給されるのは申請をしてからどれくらいかかるのですか?
大熊社労士:
 そうですね、概ね1週間程度と言われています。申請手続きをすると、支給額等の通知書がハローワークから渡されますから、これをご本人に渡して、手続きが終了したことをアナウンスするといいでしょうね。
宮田部長:
 そうですね。これからは給付金の意味もちゃんと伝えておきたいと思います。
服部社長服部社長:
 大熊さん、ふと思ったのですが、この給付金、良く考えたら、従業員本人に支給されるわけじゃないですか。それでも会社が手続きを行う必要
があるのですか?あ、当社はもちろん、従業員のためにやることに問題はないんですけどね、疑問に感じたものですから。
大熊社労士:
 はい、手続きですが、実は被保険者本人が行うことが原則になっています。ただし、事業主が証明する欄が有ったりしますし、やはり従業員のみなさん自身で手続きをすることは非常に負担になりますので、できるだけ、事業主が行うようハローワークは推進しています。ちなみに、御社ではすでに締結済みですが、事業主が行う場合には、支給申請書を提出することについて労使協定を締結することが求められています。
服部社長:
 そういう考え方が原則なのですね。よくわかりました。きちんと管理し、継続的に会社が手続きをするようにしましょう。宮田部長、よろしく。
宮田部長:
 はい、きちんと管理をしていきますね。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今日は給付金の手続き方法について説明しました。この給付金の手続きですが、電子申請で行うことも可能となっています。電子申請で行う場合には、被保険者から「記載内容に関する確認書/提出代行に関する同意書」を最初に取り付けて手続きを行うことになります。申請内容は通知する必要がありますが、申請書類そのものに署名することはありませんので、紙の書類のやりとりがなくなることで、利便性が上がるといえるのかもしれません。


関連blog記事
2012年12月10日「雇用保険の高年齢雇用継続給付金は短時間の被保険者でも受給できますか?」
https://roumu.com/archives/65589561.html
2012年11月14日「改正高年齢者法に対応した就業規則規定例および最新リーフレットのダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51963262.html
2012年11月13日「改正高年齢者法において継続雇用から除外できる者を定めた指針が公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51962736.html
2012年10月22日「65歳以上まで働くことのできる企業割合と定年到達者の動向」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51959290.html
2012年10月9日「改正高年齢者法の継続雇用しない労働者の範囲等に関する指針案概要が発表に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51956345.html
2012年9月29日「改正高年齢者雇用安定法のリーフレット ダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51955291.html
2012年9月17日「65歳までの雇用が義務付けられたと聞きました」
https://roumu.com/archives/65577425.html
2012年9月6日「改正高年齢者雇用安定法が公布」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51951536.html
2012年8月30日「改正高年齢者雇用安定法成立 2013年4月1日に施行」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51950333.html
2008年12月10日「高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付の支給申請に関する協定書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55189356.html

参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

中国労働仲裁の仕組みと仲裁現場からみた企業が対応すべきポイント(3)

労働仲裁はどのようにして行われるのか
 仲裁の手順は、上海市でも各々の区によって、また、他の市でも若干の異なりがありますが、ごく一般的に実際の仲裁がどのように進んでいくのか、少し現場を覗いてみましょう。
 
 まず仲裁委員会に赴き、受付に送られてきた通知書を提出します。すると受付担当者から、部屋を指示され、その部屋で待つことになります。部屋は、広さで言えば15平米くらいでしょうか。仲裁委員のデスクとソファーが置いてあり、ソファーに会社から来た者と従業員が並んで座ります。最初から仲裁になるケースもありますが、大半は仲裁委員による和解発議となります。まず、それぞれの言い分を仲裁委員に説明することになります。仲裁委員は一通り双方の主張を聞いた後、会社側に「和解するつもりはないか?」と訊ねてきます。仲裁委員は、何はなくともとにかく和解を勧めるのです。これはどこの仲裁委員会でも同じことで、格式的、一様に和解を勧めてきます。

 ところがここで問題が起こります。和解しないか、ということは、即ち会社はこの従業員の要求を飲むつもりはないか、ということです。和解というとあたかも平和的解決に聞こえますが、従業員の要求とはすなわち金銭の支払いということが多く、さらに私が見てきた日系企業で起こった労働争議の多くは、会社が法律どおりに物事を処理していても起こっているのです。

 従業員が仲裁の申請を行えば、仲裁委員会は大半受理してしまいます。それでいて、更に上積みして金銭を支払えとはいささか乱暴なものです。もちろんここで要求通りの金銭を支払うことで解決をするということもできます。しかし、これに対して会社は法律の規定をきちんと遵守して従業員の処理をしたことを懇々と説明すると、今度は仲裁委員がタジタジになっていきます。最後は回答に窮するのか、「日系企業なのだからお金はあるでしょう?」と言って来ます。そこでこちらは、「お金の問題ではない。それであれば和解はしない。」と伝えれば、「それでは仲裁ですね」という結論になります。

 このように、和解の段階で要求に応じるのか、あるいは仲裁まで持ち込んで徹底的に抗弁するのか、それは会社の方針次第です。すべてがこのような仲裁委員ではないでしょうが、どこの仲裁委員会で審判するのか、誰が仲裁委員になるのか、そこは運次第と言えます。

 ちなみに私は和解交渉が終了した後、担当した仲裁委員にこっそり「あなたは本当に相手(従業員)の言い分が正しいと思ってるのか?」と聞くことがありますが、「いや、彼(彼女)は少し変わってる。普通はあのような申請はしません。」という答えが返って来ることがあります。「それなら何故あの時そう言わないのか?」と更に問い詰めると、「仲裁申請は従業員の権利だから」といったおかしな話になることがあります。このようなやりとりをしていても不毛なだけですので、ここは一旦流してしまいますが、法律も仲裁機関も従業員保護、従業員寄りに考えている、ということには間違いないようです。(清原学)

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

記載内容に関する確認書/提出代行に関する同意書

shoshiki521 60歳到達時等賃金証明書の提出や高年齢雇用継続給付、育児休業給付等の申請において、被保険者本人がその記載内容について確認したことを証明する様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要

WORDWord形式 shoshiki521.doc(44KB)
pdfPDF形式 shoshiki521.pdf(80KB)

[ワンポイントアドバイス]
 これを提出することにより被保険者本人の電子署名に代替でき、また社労士の電子署名のみで電子申請を行うことが可能となります。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

JITCO作成小冊子「外国人技能実習生と労働・社会保険Q&A」が第7版に改訂 ダウンロード開始

無題3 公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)では、外国人技能実習生に関する公的保険制度(労働保険・社会保険)の周知を図るために、小冊子「外国人技能実習生と労働・社会保険Q&A」を作成し、配布しています。先週末、この小冊子が、新しい在留管理制度および住民基本台帳法の改正に伴う国民健康保険、国民年金の変更等を踏まえ、第7版に改訂されました。

 小冊子は、JITCOが開催しているセミナーや講習会において配布されていますが、ホームページからでもダウンロードができるようになっていますので、外国人技能実習生への説明等に、活用してみてはいかがでしょうか。(佐藤和之)

■ダウンロード
↓第7版に改訂されたJITCO小冊子「外国人技能実習生と労働・社会保険Q&A」はこちらから!
http://www.jitco.or.jp/introduction/hogo_koteki.html

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

無料セミナー「経営者・総務担当者のための人事労務基本講座」1月&2月コース受付開始

無料セミナー「経営者・総務担当者のための人事労務基本講座」 名南コンサルティングネットワーク 名南社会保険労務士法人では、毎月、名古屋と豊橋において、中堅中小企業の経営者および人事総務担当者のみなさんを対象とした実務セミナーを開催していますが、その1月コース「事例で理解する労務トラブル対策(4)問題社員・予期せぬ事態編」および2月コース「新年度までに押さえておきたい!毎年恒例の定例業務と対応が求められる法改正の実務」の受付を開始しました。受講料無料ですので、是非お誘いあわせの上、ご参加下さい。


【第40講】1月開催[労働トラブル]
事例で理解する労務トラブル対策(4)問題社員・予期せぬ事態編


 実際の労務トラブル事例から得られた事前対策、実際に起きてしまった問題への対処方法等について解説する「事例で理解する労務トラブル対策セミナー」をシリーズで開催しています。第4回は、問題社員・予期せぬ事態として、日頃起こり得る問題社員や突然の事故等企業が行うべき対応についてお話します。
(1)髪型、ひげ等身なりに問題がある従業員への対応
(2)パソコンの私用禁止は可能か?
(3)急に出勤しなくなった連絡不能の社員の退職方法
(4)業務中の従業員の交通事故における会社のリスク
(5)役員・従業員が死亡してしまったときの会社の対応など

講師:
名南社会保険労務士法人 田代倫大
会場および日程:
名古屋会場 平成25年1月24日(木)名南経営本社セミナールーム 午後2時~午後3時30分
岡崎会場  平成25年1月18日(金)岡崎市シビックセンター 午後2時~午後3時30分


【第41講】2月開催[総務定例業務・法改正]
新年度までに押さえておきたい!
毎年恒例の定例業務と対応が求められる法改正の実務


 年度末を控え、そろそろ新年度に向け様々な準備を行う時期となりました。人事労務関係の届出業務には、毎年定例的に行う業務があります。そこで今回は、新年度に向けて対応が必要な業務の内容と届出のポイントについてお話しします。また4月にはいくつかの重要な法改正がありますので、その対応についても併せて取り上げます。
(1)締結が必要な労使協定の種類と届出義務の有無
(2)労務管理の最重要手続き「36協定」の締結と届出
(3)3月までに締結が必要?「継続雇用制度に関する協定書」
(4)障害者雇用納付金制度と改正される障害者雇用率
(5)押さえておきたい総務業務の年間カレンダー

講師:
名南社会保険労務士法人 安藤慎祐
会場および日程:
名古屋会場 平成25年2月19日(火)名南経営本社セミナールーム 午後2時~午後3時30分
岡崎会場  平成25年2月15日(金)岡崎市シビックセンター 午後2時~午後3時30分

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。


facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu/

雇用保険の高年齢雇用継続給付金は短時間の被保険者でも受給できますか?

 改正高年齢者雇用安定法の説明も終了した大熊社労士。今日は高年齢雇用継続給付の話をしようと服部印刷に向かった。


大熊社労士:
 服部社長、こんにちは。今日は以前ご依頼いただきました高年齢雇用継続給付のお話をしようと思っています。
服部社長:
 そうでしたね。お願いしていましたね。よろしくお願いします。今後の60歳以降の雇用のことを考えるとしっかり学んでおかなければと思いましてね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。さて、この高年齢雇用継続給付ですが、原則として60歳到達時点に比べて賃金が75%未満に減り、その状態で働き続ける60歳以上65歳未満の被保険者に支給されるものになります。時々、会社が受給できる助成金と勘違いされる方がいらっしゃいますが、これは本人に支給される(本人の銀行口座等に振り込まれる)ものというのが特徴ですね。
宮田部長:
 うちの会社でも何名かを申請しています。案外もらえるので結構、助かるという話を耳にしていますよ。
大熊社労士:
 そうですね、世間一般的な評価も同様のものかと思います。この給付金は既に15年以上前にできたものであり、当時は60歳以降の継続雇用について、法律で義務付けられはいませんでした。その時分から徐々に制度として広がりを見せ、次第に60歳以降の賃金設計はこの高年齢雇用継続給付が支給されることを前提に作られてきた部分もあります。来春の改正高年齢者雇用安定法の施行で、役目を終えてもよい給付とも考えられていましたが、制度が浸透しているが故に簡単に変更するわけにはいかないようですね。
服部社長:
 確かにそうかもしれませんね。特に従業員本人の口座に支払われるとなるとインパクトが大きいですからね。
大熊社労士:
 そうですね。あ、なんだか最初から大きな問題提起をしてしまったようですね。それでは内容を確認していきましょうか。
服部社長:
 よろしくお願します。
大熊社労士:
 高年齢雇用継続給付は、実は2つのものから成り立っています。1つが高年齢雇用継続基本給付金、もう1つが高年齢再就職給付金です。
宮田部長:
 高年齢再就職給付金?あまり聞いたことがないんですが、どんなときにもらえるものなのですか?
大熊社労士:
 はい、これは失業し、基本手当を受給し再就職した人が対象となるものです。概要をお伝えすると、基本手当の支給残日数が100日以上で、再就職した場合で、賃金が75%未満に低下している場合、支給対象月に支払われた賃金の最大15%が支払われるというものです。
宮田部長:
 なるほど。当社は60歳以降も「服部印刷で働くんだ!」という人ばかりですし、60歳以降の従業員を雇用することはまずもってないので、対象者はなさそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。通常は、基本手当を受給せずに働き続けることが一般的かと思いますので、ここからは高年齢雇用継続基本給付金(以下、「給付金」という)についてスポットを当てることにしましょう。
服部社長:
 そうですね。当社でも60歳以降、継続して雇用している人をイメージしていますので、そちらでお願いします。
大熊社労士:
 さて、この給付金ですが大前提として、60歳以上65歳未満の一般被保険者であり、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上なければなりません。つまり、1週の所定労働時間が20時間未満の場合には、一般被保険者ではないため、支給対象とはなりません。
宮田部長:
 なるほど。当社は週5日勤務ですので、1日4時間以上というイメージですね。
大熊社労士:
 毎日出勤することを前提にするとそうですね。そして、この被保険者が、先ほどもお話したように、原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以降の賃金が75%未満に下がった場合に支給されることになります。
宮田部長:
 確か15%支給されるんでしたよね?
大熊社労士:
 ええ、賃金が60歳時点の賃金の61%以下になった場合には、15%が支給されます。逆に、例えば70%に下がっている場合は、4.67%が支給されることになります。つまり、61%を限度に低下率が大きければ大きいほど、支給率も大きくなります。
服部社長服部社長:
 なるほど。それだけ賃金が低くなったので、雇用保険から支給してあげようということですね。ちなみにその支給率というのはどの金額に対して乗じるのですか?60歳時点の賃金なんですかね?
大熊社労士:
 おぉ、大事なことを申し上げていませんでしたね。これは60歳以降に支払われた賃金に対して支給されます。ですので、60歳時点の賃金が40万円の人が60歳以降の賃金として20万円支給されると、低下率が50%、支給率が最高の15%。20万円の15%である3万円が支給されることになります。
服部社長:
 なるほど。うまくできていますね。てっきり40万円の15%、6万円が支給されるのかな?と思ってしまいましたよ(笑)。
大熊社労士:
 確かに勘違いしやすいですよね。
宮田部長宮田部長:
 いまお話を聞いていて、ふと思ったのですが、当社の一部の従業員は労働時間を1日8時間のところ、60歳以降は5時間程度にし、給料も8分の5・・・つまり62.5%にするという方法を採っています。よく考えたら、労働時間が短くなったことの賃金減額でも、この給付金はもらえるのですか?
大熊社労士:
 すごく良い質問ですね!この給付金ですが、実は宮田部長のご指摘のような時間単価の考え方は用いていません。ですので、60歳以降に時間単価という意味で賃金が下がっても、単純に労働時間が減ったことで賃金が下がっても、両方変わらずに支給されるんですよ。
服部社長:
 ほぉ、なるほど。実際に担ってもらう業務がほとんど変わらないのに、時間単価を大幅に下げることは本人たちのモチベーションにも影響するので、あまりやりたくないと思っていましたが、その状態でもうまく利用できそうですね。
大熊社労士:
 はい、おっしゃる通りです。60歳以降は労働時間を少し減らして後進の指導を行いながら働いてもらうというようなことは十分に考えられますよね。おっと、少し話がずれそうになりましたので、戻しましょう。この給付金ですが、2ヶ月に1度の申請となり、被保険者が60歳になった月から65歳になる月まで支給されることになっています。
宮田部長:
 当社でも2ヶ月に1回、申請に行っていますよ。そうそう、福島さんがお休みしたときに、真っ先に「嘱託さんの申請はぜ~ったいに遅れないようにしてくださいね!」と電話がかかってきましたよ。私はそれまでこの申請が2ヶ月に1回だったことも知りませんでした、お恥ずかしながら(苦笑)。
大熊社労士:
 そうですね、この申請は特に期限厳守とされていますので、申請を忘れるとご本人に支給されないことになります。そういう意味ではとても重要なものになりますね。
服部社長:
 なるほど、確かに申請を忘れると会社が保障してあげるなんて話に繋がりかねませんね。宮田部長、どうです。次回は大熊さんにその申請のあたりの話を整理してもらったらいいんじゃないですか?もちろん、福島さんから聞いているかとは思うのですが、重要なことですからね。
宮田部長:
 そうですね、良ければ教えていただければ嬉しく思います。
大熊社労士:
 了解しました。それでは次回は申請のあたりを整理することにしましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いします。

[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス
 こんにちは、大熊です。今日から高年齢雇用継続給付のお話を開始しました。ここで少しお話をしておきたいのが、60歳以降に退職したときのことです。給付金をもらったからといって、60歳以降の基本手当が減額することはありません(65歳以上での退職は基本手当ではなく、一時金である高年齢求職者給付金が支給されます)。ただし、基本手当の日額は、原則として退職日の直前の6ヶ月に支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額で決まるため、60歳以降に賃金が下がるとこの日額も連動して下がり、基本手当の額が少なくなる可能性が高くなります。できれば、高年齢雇用継続給付の説明をする際に、この部分も説明しておくとよいでしょう。


関連blog記事
2012年11月14日「改正高年齢者法に対応した就業規則規定例および最新リーフレットのダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51963262.html
2012年11月13日「改正高年齢者法において継続雇用から除外できる者を定めた指針が公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51962736.html
2012年10月22日「65歳以上まで働くことのできる企業割合と定年到達者の動向」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51959290.html
2012年10月9日「改正高年齢者法の継続雇用しない労働者の範囲等に関する指針案概要が発表に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51956345.html
2012年9月29日「改正高年齢者雇用安定法のリーフレット ダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51955291.html
2012年9月17日「65歳までの雇用が義務付けられたと聞きました」
https://roumu.com/archives/65577425.html
2012年9月6日「改正高年齢者雇用安定法が公布」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51951536.html
2012年8月30日「改正高年齢者雇用安定法成立 2013年4月1日に施行」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51950333.html

参考リンク
ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

退職合意書

shoshiki519 会社と従業員が話し合いのもとで退職に至った際に、後になってトラブルになることを防止するために、労使双方がその確認のために交わしておく書式(画像はクリックして拡大)のサンプルです。
□重要度:★★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:なし(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)


[ダウンロード]

WORDWord形式 shoshiki519.doc(43KB)
pdfPDF形式 shoshiki519.pdf(13KB)


[ワンポイントアドバイス]

 後になって、従業員から自分は解雇されたのだと訴えられたり、揉めごとになったりしないためにも、労使で退職することを話し合い納得した場合は、書面を必ず残しておくようにしましょう。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

受講料無料の中国就業規則徹底解説セミナー(講師:清原学)開催決定/2013年1月17日(大阪)

無題
2013年1月17日に大阪にて弊社・清原学講師による中国就業規則徹底解説セミナーを開催します。受講料無料ですので、みなさま是非ご参加ください。
—————————————————————-
現地法人を人事労務トラブルから守る!
中国就業規則徹底解説セミナー
~現地在住日本人コンサルタントが具体的事例を交えてわかりやすく解説!~
—————————————————————-
 中国の現地法人においては、教育や政治その他の背景による考え方の違いによって労使トラブルが絶えないという話を耳にすることが度々あります。しかし、こうした問題には、就業規則を始めとした諸ルールが十分に整備されていないことで労使間のパワーバランスが崩れてしまっているケースも少なからずあります。そのため、今回のセミナーでは、中国現地法人における就業規則に焦点を当て、様々な人事労務トラブルから会社を守るリスク対応型就業規則の作成ポイントについて、具体的な事例を交えながらわかりやすくお話させて頂きます。

■お申込み
 以下よりお申込みください。
http://www.sbic-wj.co.jp/data/detail/seminar/00001399.html

■日時:2013年1月17日(木)午後1時30分~4時30分
■講師:株式会社名南経営 海外人事労務チーム 中国担当シニアコンサルタント 清原学
■会場:大阪中小企業投資育成セミナールーム(中之島)
          大阪市北区中之島3-3-23 中之島ダイビル28階  
■受講料:無料
■セミナーのポイント
○就業規則に記載しなければならない事項
○経済補償金の規定と正しい計算方法
○就業規則の周知義務と周知の方法
○服務規律の作成のポイント
○日本語の就業規則しか作成されていない企業のリスク
○中国語の就業規則しか作成されていない企業のリスク
○残業手当の算定対象賃金の規定方法
○管理職や外勤営業担当者を残業手当支給の対象外とする方法
○募集・採用時に提出させるべき書類
○残業手当の支給開始時刻と単位の設定方法
○労働契約法における試用期間の規定と労働契約期間
○教育研修に関する規定と、個別協議書、費用返還義務
○進出企業が実施している試用期間に関する工夫
○中国で通用する懲戒の種類と懲戒の方法
○有給休暇の取り扱いと、中国有給休暇条例
○進出企業が作成している罰金規程と罰金方法
○慶弔休暇、傷病休暇等、休暇に関する規定と法的根拠
○その他、中国就業規則作成の着眼点を徹底解説!

■講師プロフィール
清原学
 株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
 海外人事労務チーム 中国担当シニアコンサルタント

1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004 年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011 年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

厚生労働省の助成金小冊子が平成24年10月版に更新 ダウンロード開始

lb05302 厚生労働省では、管轄する助成金について、周知のための小冊子「雇用の安定のために」を作成、配布しています。これは毎年4月1日時点の内容で作成されますが、内容の変更に伴い、先日、震災特例措置の内容を取り入れた小冊子が公開されました。内容は詳細版で180ページとかなりのボリュームになっています。一覧も掲載されていますので、助成金受給の機会損失を防止するためにも早めに確認しておきたいものです。

↓平成24年10月版に更新されたリーフレットはこちらから!
詳細版
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51236024.html
概要版
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51236018.html


関連blog記事
2012年10月11日「今年度いっぱいで廃止予定となった中小企業定年引上げ等奨励金」
https://roumu.com
/archives/51957392.html

2012年4月13日「4月1日に改正され、利用しやすくなった中小企業定年引上げ等奨励金の概要」
https://roumu.com
/archives/51923918.html

参考リンク
厚生労働省「事業主の方への給付金のご案内」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

1月17日に大阪で受講料無料の中国就業規則徹底解説セミナー(講師:清原学)を開催

中国就業規則徹底解説セミナー(講師:清原学) 中国の現地法人においては、教育や政治その他の背景による考え方の違いによって労使トラブルが絶えないという話を耳にすることが度々あります。しかし、こうした問題には、就業規則を始めとした諸ルールが十分に整備されていないことで労使間のパワーバランスが崩れてしまっているケースも少なからずあります。そのため、今回のセミナーでは、中国現地法人における就業規則に焦点を当て、様々な人事労務トラブルから会社を守るリスク対応型就業規則の作成ポイントについて、具体的な事例を交えながらわかりやすくお話させて頂きます。


現地法人を人事労務トラブルから守る!
中国就業規則徹底解説セミナー
~現地在住日本人コンサルタントが具体的事例を交えてわかりやすく解説!


日時:2013年1月17日(木)午後1時30分~4時30分
講師:株式会社名南経営 海外人事労務チーム シニアコンサルタント 清原学
会場:大阪中小企業投資育成セミナールーム(中之島)
受講料:無料

[ポイント]
○就業規則に記載しなければならない事項
○経済補償金の規定と正しい計算方法
○就業規則の周知義務と周知の方法
○服務規律の作成のポイント
○日本語の就業規則しか作成されていない企業のリスク
○中国語の就業規則しか作成されていない企業のリスク
○残業手当の算定対象賃金の規定方法
○管理職や外勤営業担当者を残業手当支給の対象外とする方法
○募集・採用時に提出させるべき書類
○残業手当の支給開始時刻と単位の設定方法
○労働契約法における試用期間の規定と労働契約期間
○教育研修に関する規定と、個別協議書、費用返還義務
○進出企業が実施している試用期間に関する工夫
○中国で通用する懲戒の種類と懲戒の方法
○有給休暇の取り扱いと、中国有給休暇条例
○進出企業が作成している罰金規程と罰金方法
○慶弔休暇、傷病休暇等、休暇に関する規定と法的根拠
○その他、中国就業規則作成の着眼点を徹底解説!

[講師プロフィール]
清原学
(中国在住)
 株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
 海外人事労務チーム シニアコンサルタント(中国担当)

1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004 年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011 年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。
現地法人を人事労務トラブルから守る!

[お申込み]
 以下よりお願いします。
http://www.sbic-wj.co.jp/data/detail/seminar/00001399.html

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu