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厚労省が取りまとめた「シフト制」での雇用管理の留意事項

 労働基準法の前提は、労働契約の締結時に労働日や労働時間を決めて働くことですが、現状、人手不足や労働者のニーズの多様化、季節的な需要の繁閑への対処等を背景として、パートタイマーやアルバイトを中心に、労働日や労働時間を一定期間ごとに調整し、特定するような働き方が多くみられます。このようないわゆる「シフト制」ではメリットもあるものの、会社の都合により労働者の希望を汲まない労働日や労働時間が設定されることで、トラブルになることもみられます。

 厚生労働省はこのような現状を踏まえ、「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(以下、「シフト制における留意事項」という)を取りまとめ公表しました。

 このシフト制における留意事項では、会社が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項が、一覧性をもってとりまとめられており、以下のような内容が示されています。

1 趣旨
2 シフト制労働契約に関する留意事項
 (1)労働契約とは
 (2)労働契約の締結
 (3)労働者の安全と健康の確保
  ア 労働契約の締結時に明示すべき労働条件
  イ 就業規則に規定すべき事項
  ウ 労働契約に定めることが考えられる事項
  エ 労働契約の確認
 (4)労働者を実際に労働させるに当たっての労働時間等の扱い
  ア 労働時間
  イ 休憩
  ウ 年次有給休暇
  エ 休業
 (5)その他
 ア 労働契約の終了
 イ 期間の定めのない労働契約への転換
 ウ 不合理な待遇差の禁止
3 労働者の募集等
4 その他
 (1)シフト制に関するご相談
 (2)社会保険、労働保険の加入等
  ア 労災保険
  イ 雇用保険
  ウ 健康保険・厚生年金保険

 留意点が網羅的に記載されている上、使用者向けのリーフレットには「シフト制労働契約簡易チェックリスト」も掲載されているので、シフト制を用いてる会社では、ぜひ、チェックしてみてください。

↓リーフレット「「シフト制」労働者の雇用管理を適切に行うための留意事項」
https://roumu.com/archives/110154.html


参考リンク
厚生労働省「いわゆる「シフト制」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html
(宮武貴美)

蒲郡市 同性婚等に対応する「パートナーシップ宣誓制度」を開始

 蒲郡市は、2022年1月4日より、誰もがお互いの違いを認め合い、希望に沿った生き方を選択できる社会を築いていくため、「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。

この制度は、性的マイノリティの方をはじめ、様々な事情により婚姻制度を利用できず、生きづらさを抱えている二人のパートナーシップを認証し、互いを人生のパートナーとして、いきいきと輝き活躍することを応援するものです。
■パートナーシップとは
 蒲郡市におけるパートナーシップの定義は、「互いを人生のパートナーとし、相互に協力し合うことにより共同生活を行うことを約束した二者の関係」としています。蒲郡市でパートナーシップの宣誓をすることができる方は、同性パートナーに限らず、トランスジェンダー(身体の性と心の性が一致しない人)、バイセクシャル(男性、女性の両方に魅力を感じる人)など、一方又は双方が性的マイノリティの方々や、様々な事情によって、婚姻制度を利用できず、生きづらさを抱えている事実婚の方々も対象としています。

■効力について
 法的効力はありませんが、宣誓書受領証等を市や事業者の窓口で提示することで、婚姻関係と同様とみなし、家族と同等のサービスを受けられる場合があります。市では、家族として市営住宅の入居が可能となります。その他、民間事業者で受けられるサービスに関しては、事業者によって異なります。

■詳細
 本制度の詳細は、「蒲郡市パートナーシップ宣誓制度 手続きガイドブック」をご覧ください。
https://www.city.gamagori.lg.jp/uploaded/attachment/81767.pdf


参考リンク
蒲郡市「蒲郡市パートナーシップ宣誓制度を開始します」
https://www.city.gamagori.lg.jp/unit/kyodo/partnership.html

(大津章敬)

宮武貴美新刊「「新版 総務担当者のための産休・育休の実務がわかる本」予約受付開始

 2022年4月、10月と改正育児介護休業法の施行が控えておりますが、この法改正に対応し、「総務担当者のための産休・育休の実務がわかる本」の改訂を行うことになりました。2022年2月28日発売ですが、既に予約は開始されておりますので、是非ご予約をお願いします。
書籍名:新版 総務担当者のための産休・育休の実務がわかる本
著書:宮武貴美(特定社会保険労務士)社会保険労務士法人名南経営
価格:2,420円
出版社:日本実業出版社
発売日:2022年2月28日
ISBN-10:4534059051

 予約は以下よりお願いします。
https://amzn.to/3pBAN29

[著者プロフィール]
宮武 貴美
社会保険労務士法人名南経営 特定社会保険労務士
 中小企業から東証一部上場企業まで幅広い顧客を担当し、実務に即した人事労務管理の様々なアドバイスを行う。インターネット上の情報サイト「労務ドットコム」の管理者であり、人事労務分野での最新情報の収集・発信は日本屈指のレベル。企業担当者・社労士には多くのファンがいる。また、各地でセミナーの講師も担当。著書に「社会保険・給与計算 “困った”に備える見直し・確認の具体例20」、「社会保険・給与計算 ミスしたときの対処法と防止策30」(以上、労務行政)、「総務担当者のための産休・育休の実務がわかる本」(日本実業出版社)「社会保険の手続きがサクサクできる本」(日本実業出版社)等がある。

記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書(高年齢雇用継続給付用)記載例 令和3年更新版

これは記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書(高年齢雇用継続給付用)で、押印欄が廃止されたものです。

重要度:
官公庁への届出:不要
WORDWord形式 2021052815.docx(16KB)
pdfPDF形式    2021052815.pdf(54KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この同意書は完結の日から4年間保存しておく必要があります。また、必要に応じて事業所管轄安定所が同意書の提出を求めることがあります。

(菊地利永子)

厚労省が50問を超える改正育児・介護休業法に関するQ&Aを公開

 改正育児・介護休業法の施行(第1段階)が来年4月に迫ってくるなか、厚生労働省は「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和3年11月30時点)」を公開しました。以下のように50問以上からなるQ&Aで実務に即したものが数多くあります。整備をしていく中で不明点があるときには、確認をするとよいでしょう。


1.全体
(改正内容について)
Q1-1:今回の改正の主な内容と施行日を教えてください。

(派遣労働者・出向者への法令の適用ついて)
Q1-2:今回の改正で、派遣元・派遣先がそれぞれ行わなければならないことは何ですか。

Q1-3:出向者については、個別周知・雇用環境整備の措置は、出向元・出向先どちらの事業主が行うべきですか。

2.妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(改正内容について)
Q2-1:個別の周知と意向確認の措置として、事業主は、どのような内容をどう実施すればよいですか。

(個別周知・意向確認を行わなければならない対象労働者について)
Q2-2:子どもが産まれるすべての労働者に個別の周知・意向の確認の措置を実施する必要がありますか。

Q2-3:妊娠・出産報告の時に、「育休を取得するつもりはない」「制度周知は不要」と言っていた労働者にも個別周知及び意向確認を行わなければならないのですか。

Q2-4:個別周知について、次のような場合は、申出時に周知・意向確認措置義務が課されるのですか。それとも取得可能になった時に周知・意向確認措置義務が課されるのですか。
①労働者から妊娠の申出があったが、労使協定で除外している入社1年未満の労働者である場合。
②有期契約労働者から妊娠の申出があったが、雇用契約の更新予定がない場合。
③育休取得できないことが明らかな労働者である場合(入社1年以上経つ時は子が1歳を超える等)

Q2-5:出生時育児休業は令和4年10月から施行されますが、それ以前に妊娠・出産等の申出があり、出産予定日が令和4年10月以降の場合は、個別周知の際に、出生時育児休業についても周知する必要がありますか。

Q2-6:個別周知・意向確認の措置は、令和4年4月1日以降に妊娠・出産等の申出があった労働者に対して行えばよいですか。

(妊娠・出産等の申出について)
Q2-7:妊娠・出産等の申出は口頭でよいですか。

Q2-8:妊娠・出産等の申出があった際に、母子健康手帳等の証明書を提出させてよいですか。

(個別周知・意向確認の実施について)
Q2-9:個別周知と意向確認は、人事部から行わなければならないのですか。所属長や直属の上司から行わせることとしてもよいですか。

Q2-10:妊娠・出産等の申出をした労働者に対する個別周知・意向確認の措置の方法の一つとして、面談によることが定められていますが、ビデオ通話を用いたオンラインによる面談は可能ですか。

Q2-11:個別周知・意向確認の措置について、面談による方法の場合、実施した内容を記録する必要はありますか。

(意向確認と育児休業申出について)
Q2-13:意向確認の措置に対して労働者から「育児休業の取得の意向はない」と回答があった場合、その後に労働者から育児休業申出が行われても、拒むことができるのですか。3.育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置

3.育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置
(改正の概要・出向者への適用について)
Q3-1:育児休業を取得しやすい雇用環境の整備として、事業主は、具体的にどのようなことをすればよいですか。

Q3-2:出向者については、個別周知・雇用環境整備の措置は、出向元・出向先どちらの事業主が行うべきですか。(Q1-3再掲)

(対象者について)
Q3-3:育児休業を取得しやすい雇用環境の整備は、男性だけ対象に実施すればよいですか。

(雇用環境整備の措置の実施について)
Q3-4:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、第2号の「育児休業に関する相談体制の整備」について、既に育児休業に関する相談窓口がある場合は、新たに整備をすることなく、同号の措置を講じたものとすることはできますか。

Q3-5:育児期の社員がおらず、また、採用する予定もない場合でも、雇用環境整備をする必要はありますか。

4.有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
(改正内容について)
Q4-1:有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件はどう緩和されるのですか。

Q4-2:有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件について、今回の改正後も残る要件の(育児休業であれば「子が1歳6か月に達する日までに」)「労働契約が満了することが明らかではない」とは、具体的にどのようなことですか。

(改正法施行前後の労使協定の取扱いについて)
Q4-3:今回の改正で、引き続き雇用された期間が1年未満の有期雇用労働者について、法律上対象外から労使協定除外の対象に変更になりますが、既に締結している労使協定において、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者について有期雇用・無期雇用を問わない形で除外していた場合、労使協定を締結し直さなくとも、改正法の施行後は有期雇用・無期雇用問わず当該労使協定により除外されると解して良いですか。

5.出生時育児休業について
(改正の概要)
Q5-1:出生時育児休業の基本的な内容を教えてください。

Q5-2:法改正後は、子の出生後8週以内は4週間までしか休業を取得できなくなるのです
か。

(対象者について)
Q5-3:出生時育児休業は、男性だけが取得可能ですか。

(出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて)
Q5-4:現行のいわゆる「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育休取得した場合には再度取得可)はどうなりますか。

Q5-5:令和4年10月1日から出生時育児休業を取得したい場合、2週間前に申し出ればよいのですか。

Q5-6:令和4年10月1日より前に育児休業を取得していた場合、施行日後に出生時育児休業を取得することはできるのでしょうか、また、その後育児休業は何回取得可能ですか。例えば、令和4年9月1日に生まれた子について、同年9月5日から9月14日まで10日間育児休業(子の出生後8週以内の休業なのでパパ休暇に該当)を取得していた場合はどうですか。
また、例えば令和4年9月1日に、出産予定日である同年10月1日から11月25日まで育児休業の取得を申し出ていた場合は、施行日である同年10月1日以降の育児休業はどうなるのですか。

(出生時育児休業申出・期間について)
Q5-7:産後7週~10週の休業申出があった。産後7~8週は自動的に出生時育児休業になるのか。または、8週のうち4週までの育児休業は全て出生時育児休業として取り扱うよう労使で取り決めてよいですか。

Q5-8:
①既に社内に、配偶者の出産時や育児のために、年5日、子が生まれてから小学校を卒業する年度末まで利用できる育児目的休暇がある場合、出生時育児休業については、28日から5日間を引いたうえで、23日間取得できる制度としてよいですか。
②既に社内に、子が生まれる前に5日間休暇を取得できる育児目的休暇制度がある場合、出生時育児休業については、28日から5日間を引いたうえで、23日間取得できる制度としてよいですか。
③①の場合、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たって、出勤したものとみなすのは、出生時育休として申出された23日以内となるのですか。

Q5-10:出生時育児休業を2回に分割して取得する場合は、その都度申し出ればよいですか。

(出生時育児休業中の給付金について)
Q5-11:出生時育児休業は、育児休業給付の対象になりますか。

6.出生時育児休業期間における休業中の就業
(改正の概要・派遣労働者への適用について)
Q6-1:休業中の就業は、労働者が希望すればいつでもできるのですか。

Q6-2:派遣労働者が出生時育児休業中に就業する場合、就業可能日の申出・変更・撤回、就業日の提示は派遣先と派遣労働者で直接行ってよいのですか。
(出生時育児休業中の就業申出について)

Q6-3:出生時育児休業中に就業する場合、契約上の勤務時間以外の時間を労働者が申し出てもよいのですか。(勤務時間外の夜間の2時間でテレワークであれば勤務可能など。)

Q6-4:出生時育児休業中の就業について、労働者から就業可能日等の申出があり、事業主がその範囲内で日時を提示した後に労働者から就業可能日の変更の申出があった場合はどのように対応すればよいですか。

Q6-5:休業中の就業について、就業可能日等の申出の際に労働者は従事する業務内容についても申し出ることはできますか。その場合、事業主が労働者を就業させることができるのは、労働者が申し出た業務内容の範囲に限られますか。


Q6-6:派遣元とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において出生時育児休業中の就業が可能とされた派遣労働者から申出があった就業可能日について、当該派遣労働者を(派遣元の事業所ではなく)派遣先において就業させる場合、当該派遣労働者が、派遣先とその事業所の過半数労働組合等との労使協定において定められた「出生時育児休業期間中に就業させることができるもの」にも該当している必要があるのですか。

Q6-7:出生時育児休業開始後、出生時育児休業中の就業日に撤回事由に該当しない事由で休む場合に、年次有給休暇を取得することは可能ですか。また、出生時育児休業開始後に予定していた業務がなくなったため事業主側から就業日を撤回することは可能ですか。

Q6-8:出生時育児休業中に就業させることができる者について労使協定で定める際、「休業開始日の○週間前までに就業可能日を申し出た労働者に限る」といった形で対象労働者の範囲を規定することは可能ですか。

7.育児休業の分割取得等
Q7-1:育児休業について2回まで分割取得が可能になるとのことですが、出生時育児休業とあわせた場合、1歳までの間に4回まで取得可能になるということですか。

Q7-2:育児休業が分割取得できるようになると、これまでのいわゆる「パパ休暇」はどうなりますか。
Q7-3:出生時育児休業については、2回に分割して取得する場合には初めにまとめて申し出なければならないとのことですが、通常の育児休業についても、2回に分割して取得する場合にはまとめて申し出ないといけないのですか。

Q7-4:育休及び出生時育休を2回分割する場合、繰上げ・繰下げ変更の回数は何回ですか。

8.職場における育児休業等に関するハラスメント
Q8-1:出生時育児休業期間中の就業について、事業主が提示した日時で就業することを労働者に強要することはハラスメントに該当しますか。

Q8-2:妊娠・出産の申し出をした労働者に対する個別周知・意向確認のための措置の実施に際して、上司等が育児休業制度等の利用を控えさせるような対応をすることはハラスメントに該当しますか。


Q8-3:育児休業制度等を利用していない労働者に対して、育児休業等の取得率の向上等を目的として、当該制度の利用を強要することはハラスメントに当たりますか。

9.育児休業の取得の状況の公表の義務付け(従業員1000人超の企業が対象)
Q9-1:育児休業の取得の状況の公表は、どのように行うのですか。

Q9-2:育児休業の取得の状況の公表は、どのような内容を公表することが必要ですか。

↓「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和3年11月30時点)」はこちらから!
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000860549.pdf


参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)

【緊急開催決定】改正育児・介護休業法に対応した規程整備のポイント 講師:宮武貴美

 2021年6月に改正育児・介護休業法が成立し、いよいよ2022年4月から三段階にて施行されることになります。2022年4月施行分と2022年10月施行分は、必ず育児・介護休業規程等の就業規則の変更が必要になる項目が含まれており、企業の総務・人事の担当者はかなり高い関心を寄せています。厚生労働省は改正法に沿ったモデル就業規則を2022年11月に公開し、今後、2022年2月~3月にかけて社労士に育児・介護休業規程等の整備に関する相談が数多く寄せられることが想像されます。本セミナーでは、厚生労働省から公開されたモデル就業規則について、改正法による変更点を中心に解説いたします。多くのご参加をお待ちしております。
※社会保険労務士以外のみなさまもお申込みいただけます。


全企業で育児・介護休業規程改定必須!
改正育児・介護休業法に対応した規程整備のポイント
講師:宮武貴美(特定社会保険労務士)社会保険労務士法人名南経営
日程:Zoomライブ配信 2021年12月2日(木)午前10時~午前11時30分
※オンデマンド配信もあり(2021年12月上旬配信開始予定)


1 改正育児・介護休業法のポイントの整理
2 2022年4月施行の規程変更点の確認(有期雇用労働者の要件緩和)
3 2022年10月施行の規程変更点の確認(育休の分割取得・出生時育休等)

[担当講師]
宮武貴美
社会保険労務士法人名南経営 特定社会保険労務士
 中小企業から東証一部上場企業まで幅広い顧客を担当し、実務に即した人事労務管理の様々なアドバイスを行う。インターネット上の情報サイト「労務ドットコム」の管理者であり、人事労務分野での最新情報の収集・発信は日本屈指のレベル。企業担当者・社労士には多くのファンがいる。また、各地でセミナーの講師も担当。著書に「社会保険・給与計算 “困った”に備える見直し・確認の具体例20」、「社会保険・給与計算 ミスしたときの対処法と防止策30」(以上、労務行政)、「総務担当者のための産休・育休の実務がわかる本」(日本実業出版社)「社会保険の手続きがサクサクできる本」(日本法令)等がある。

[受講料(税込)]
一般 16,500円
LCG特別会員 3,300円 正会員 6,600円 準会員 9,900円
※Zoomウェビナーでの受講の場合1端末あたり、録画配信での受講の場合1事務所あたりとなります。

[お申込み]
 本セミナーの詳細およびお申込みは以下よりお願いします。
https://lcgjapan.com/seminar/miyatake20211202/

最低賃金の大幅引き上げで最賃割れが急増 その対応は?

 今月より最低賃金の引き上げが行われておりますが、新型コロナの感染拡大で極めて少額の引き上げに止まった昨年とは異なり、今年は前年度比28円増加という過去最大の引き
上げ額となり、多くの企業でその対応が求められているところです。

 実務を行っている肌感覚でも今年は最低賃金割れの従業員の対応に関する相談が多いと感じていましたが、本日はリクルートジョブズリサーチセンターが公表した「2021年度 最低賃金改定影響に関する調査レポート」の結果から、それをより定量的に把握してみたいと思います。なお、この調査は、同社が毎月調査発表している「アルバイト・パート募集時平均時給調査」等の調査データを利用して、まとめられたものです。

 これによれば、10月の最低賃金額改定前の8月時点で、改定後の最低賃金額を下回る求人原稿の割合を確認してみると、以下のようになっています。
全国   24.7%
北海道  29.3%
東北   26.3%
北関東  18.2%
首都圏  22.7%
甲信越・北陸 18.8%
東海   34.8%
関西   22.6%
中国・四国 20.3%
九州   22.1%

 このように全国平均では24.7%の求人で最低賃金割れとなる水準の求人を出しており、今回、その引き上げが求められるということになります。ちなみに2016年の数値は17.1%、昨年は5.3%でしたので、今回の引き上げはかなり多くの企業に影響を与えていることが分かります。

 ちなみに業種で見てみると、もっとも数値が高いのは「販売・サービス系」で35.5%。次いで「フード系」26.6%、「「製造・物流・清掃系」25.1%となっています。

 最低賃金が上昇した分を一律にベースアップをするとかなりの人件費増になり、一方で最低賃金割れする従業員だけ引き上げると、最低賃金に多くの従業員が並ぶことになる。こんな相談を多く受けています。一般的には、最低賃金に近い時給の者について傾斜的に引き上げを行うことが多いのではないかと思いますが、今月より発効しておりますので、確実な対応を進めていきましょう。


関連記事
2021年9月30日「みんなチェック!最低賃金。」
https://roumu.com/archives/109285.html
2021年9月9日「2021年度の地域別最低賃金が出そろいました」
https://roumu.com/archives/109118.html

参考リンク
リクルートジョブズリサーチセンター「2021年度 最低賃金改定影響に関する調査レポート」
https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20210929_1839.html

(大津章敬)

厚生労働省 小学校休業等対応助成金・支援金制度の再開予定を公表

 新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえない保護者が増加しており、職場によってはいくらかの混乱も発生しているようです。厚生労働省では、こうした労働者を支援するため、今後、以下のとおり、「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開するとともに、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が直接申請することを可能とする予定であることを発表しました。その概要は以下のとおりです。
1.「小学校休業等対応助成金・支援金」制度の再開
 令和2年度に実施していた「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開する予定。
※令和3年9月1日以降12月31日までに取得した休暇を対象とする予定
※現在実施している「両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例」は、令和3年7月31日までに取得した休暇が対象となるものとする予定
[参考:令和2年度に実施していた小学校休業等対応助成金・支援金の概要]
●支給対象者
・ 子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇 (労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた事業主
・ 子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、委託を受けて個人で仕事をする者
●対象となる子ども
① 新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等 (※)に通う子ども
※ 小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② ⅰ)~ⅲ)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども

2.「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」の再開
 「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」を今後全国の都道府県労働局に設置し、労働者からの「(企業に)この助成金を利用してもらいたい」等のご相談内容に応じて、事業主への小学校休業等対応助成金の活用の働きかけを行う予定

3.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みによる申請
 昨年度と同様に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が直接申請できることとする対応も行う予定
※当該労働者を休業させたとする扱いに事業主が同意することが必要
※休業支援金・給付金は現在のところ11月末までの休業が対象ですが、今後の取扱いについては、雇用情勢等を踏まえて10月中に示される予定

 まずは方針が示された段階ですので、実務としては詳細の情報を待つこととしましょう。


関連記事
2021年7月28日「8月1日から「業務改善助成金」の特例的な要件が緩和・拡充に」
https://roumu.com/archives/108298.html

参考リンク
厚生労働省「小学校休業等に伴う保護者の休暇取得支援について ~小学校休業等対応助成金・支援金を再開します~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20912.html

(大津章敬)

同一労働同一賃金の対策としては人事評価制度の明確化が重要です

 まもなくお盆。1年が経つのは早いものだと実感する大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。今日も暑いですなぁ。最近は暑すぎて、ウォーキングもできず、少し運動不足ですよ。
大熊社労士
 本当にそうですね。もっとも来週にはお盆ですから、そろそろ秋の虫の声も聞こえてきますね。さて、今日は同一労働同一賃金に関するご相談があるとか。
福島さん
 はい、そうなのです。当社でも正社員と非正規社員の処遇に問題はないかと検証しているのですが、通勤手当がどうだとか、家族手当がどうということも大事なのですが、それだけではダメですね。本質的には正社員と非正規社員の仕事の内容や責任の範囲を明確にすることが必要だなと改めて感じています。
大熊社労士大熊社労士
 福島さん、そうなんですよ。まったくもってその通りだと思います。最高裁の判断もありますので、短期的には通勤手当などの不合理な差異の是正が必要になると思いますが、それだけでは不十分です。そもそもは同じような仕事や責任を求めているのに正規・非正規という雇用区分の違いにより、不合理な処遇差があることが問題とされている訳です。仕事の内容や責任の程度に差があるのであれば、一定の処遇差があることは当然のことなのですが、多くの企業ではその仕事の内容や責任の差が明確になっていないから問題になる訳です。
福島照美福島さん
 そうだと思います。ですから、当社ではそのあたりのことを明確していかなければならないと考えていますが、具体的にどのようにすればよいのか迷っていて、今日、相談できればと思っていたのです。
大熊社労士
 なるほど、そういうことですね。その解決は人事制度の明確化にあります。より具体的に言えば、人事評価制度ですね。
福島さん
 人事評価制度ですか?
大熊社労士
 はい。人事評価制度って一言で言えば、社員に対する期待を示すものだと思うのですよ。こんな仕事をして欲しいであるとか、こんな役割を、こんなレベルで担って欲しい。あなたの責任はここまであるから、その責任を果たして欲しいというようなことを明確にすること。これが人事評価制度の根幹であって、SABCDなんていう評語はおまけのようなものだと思うのです。だって、全員が同じように期待レベルを達成するのであれば、評語なんて必要ないじゃないですか。全員A評価なり、B評価でいいのだから。でも現実には、役割を全うする人と、そうでない人というように差があるので、その差を評価し、差をつける必要が出て来るということですよね。
服部社長
 そうですよね。一番望ましいのは、全員が期待される役割を果たすなどして、全員が同じく活躍してくれることです。現実的には難しいのでしょうけど、評価の差なんて出ないのが理想ですね。そのためには各社員への期待を明確に示さないと始まりませんね。
大熊社労士
 そう思います。今回の同一労働同一賃金の対応で言えば、正社員と非正規社員に求めていることって現実的に異なるはずなんですよ。4要素で言えば、「業務の内容」も違うと思いますが、「当該業務に伴う責任の程度」はより違うはずなのです。飲食店を例にあげれば、正社員には店舗の業績達成を求めるのに対して、非正規従業員にはそこまで求めず、それよりもお客様に快適に過ごして頂くためのホスピタリティの徹底を求めたりする訳です。それ以外にも様々な役割期待の差があると思いますが、それを表現する場が人事評価制度だと思うのです。例えば、正社員については店舗業績の達成状況を賞与評価の基準に入れるのに対し、非正規従業員にはそれは求めず、顧客対応チェックリストやそれに基づく多面評価などを行うことが考えられますね。
宮田部長宮田部長
 言われてみればそうですね。当社の工場でも期待事項の差がありますね。例えば、非正規従業員のみなさんには生産性向上のための提案までは求めておらず、どちらかといえば決められた手順を遵守し、確実に遂行することを求めています。もちろん提案をするなという意味ではありませんが、正社員には常に「よりよい方法を考えろ」と伝えていることを考えれば、責任の程度は異なります。
福島さん
 確かにそうですね。同一労働同一賃金の対策のために、それぞれの従業員の役割や責任を明確にすることも必要ですが、その取り組みというのは、人事評価制度の納得性の向上や業務の質の改善にも繋げられそうですね。
大熊社労士
 そういうことなんだと思います。人事評価制度というとなにか非常に専門的なことのように思われますが、その基本は、会社としての期待を明確にするという当たり前のことであると考えています。是非取り組んでみてくださいね。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。同一労働同一賃金への対応は、短期的に対応が必要な事項と、中長期的に対応が求められる本質的な事項に分けて考えることが重要です。今回はそのうち、後者について取り上げました。同一労働同一賃金にかかる法改正の前提となっている労働条件分科会同一労働同一賃金部会の「同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)平成29年6月9日」を見ると以下の記載がされています。
「賃金等の待遇は、労使によって決定されることが基本である。しかしながら同時に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を進めなければならない。このためには、正規雇用労働者-非正規雇用労働者両方の賃金決定基準・ルールを明確化、職務内容・能力等と賃金等の待遇の水準の関係性の明確化を図るとともに、教育訓練機会の均等・均衡を促進することにより、一人ひとりの生産性向上を図るという観点が重要である。」

 つまり、同一労働同一賃金の対策の本質は人事制度の明確化であるとされているのです。いまはコロナの影響で制約を受ける部分もあろうかと思いますが、社員の意識の多様化、コロナによるビジネスモデルの変化なども発生していることから、今後、人事制度の整備が重要な課題となっていきます。

(大津章敬)

リモートワークでの情報漏洩は大丈夫でしょうか?

 またしても新型コロナの感染が増加し、緊急事態宣言のエリアが拡大することになった。一方ではオリンピックの金メダルラッシュ。スポーツ観戦が大好きな大熊としては嬉しくもあり、なんとも妙な感覚に陥る日々となっていた。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。新型コロナの話をするのも飽きましたが、またまた感染拡大ですね。
大熊社労士
 本当にそうですね。夏になったらウイルスが弱まるので終息に向かうなんていう希望的観測が出ていた頃が懐かしいですね。最高気温35度で、感染者数が過去最高を更新なんですから。
宮田部長
 そんな話もありましたね。それを信じていましたから、いま頃はビアガーデンで大盛り上がりのはずだったのですが、完全にあてが外れてしまいました。うーん、残念!
大熊社労士
 そうですね。最近、生ビール飲んでないですからね。早く行きたいですね。
宮田部長宮田部長
 そうそう、外での飲食といえば先日、出先で少し時間ができたので、あるカフェに入って時間調整をしていたのです。すると、少し離れた席のビジネスマンが、リモートで会議を始めました。その声が店内に響き渡っていて、せっかくのリラックスタイムが台無しでしたよ。周囲の客もチラチラとそのビジネスマンを見て、眉をひそめていたので、私と同じ感覚だったのだと思います。
大熊社労士
 最近、そういう場面が増えましたよね。私も数年前、梅田のカフェで時間調整をしていたら2人組のビジネスマンが、顧客リストのようなものを机に広げて、そこでテレアポを始めたときにはびっくりしました。
服部社長
 それはすごいですね。私も宮田部長と同じ経験を先日しましたよ。経営者として感じることがいろいろありましたね。まずはお店の対応ですが、あんな客だらけになったらお店はやっていけなくなりますよ。私も気分が悪くて、早々にお店を出たのですが、もうあのお店に行こうとは思いませんからね。サイレントマジョリティなんていう言葉もありますが、こうやってお店は客を失っていくのでしょうね。そうなりたくなければ、お店としての方針を決めて、徹底しないと。喫煙席のように場所を区切った上でリモート会議や通話ができる席を設けて、そこはタイムチャージ制にすればWIN-WINだと思います。
大熊社労士
 そうですよね。それは名案ですね。
服部社長
 もう一つは情報漏洩の問題です。私がその場面に遭遇したときは、それこそ情報漏洩をしまくっていました。どうも不動産会社の社員で、部下に指示しているようでしたので、たぶん部長クラスなのだと思います。〇〇町の土地取引の状況が手に取るように分かりました。
大熊社労士大熊社労士
 それはひどいですね。このように考えると、リモートワークのルールはより具体的に定めないといけませんね。そもそも在宅以外でのリモートワークを認めるのか。認める場合、お店などのWIFIの使用を許可するのか。情報漏洩がないように仕事の内容を制限したり、今回のように会話を聞き取られたり、PC画面を覗き見されないようにするなどの注意点も具体的に明示した方がよいように思います。
服部社長
 本当にそう思います。
福島照美福島さん
 それでは私の方でそのルールの素案を検討したいと思いますが、今回は「リモートワーク運用規程」といった法律の条文のような規程よりも具体的に注意しなければならないこと、禁止することをまとめたガイドラインのようなものの方が効果的ではないかと思うのですがいかがでしょうか?
服部社長
 そうだね。賛成。その方向でまとめてみてください。
福島さん
 分かりました!進めます。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。モバイル化の進展により、仕事をする場が社内に限定されない時代となり、情報漏洩のリスクが高まっています。新型コロナの影響によるリモートワークの拡大がその問題を更に大きくしており、企業としては情報漏洩リスクを下げるための具体的な対策の強化が求められます。これを進めるためにはネットワークのセキュリティ強化などのシステム面の対応も重要ですが、現実的に情報漏洩の原因の多くは従業員の不注意などとなっています。よって、リモートワークを行う際の遵守事項などについて具体的なルールとして定め、徹底することが求められます。

 また今回のケースをまったく別の視点で見れば、飲食店などではタバコの分煙のようにスマホの通話やリモート会議などを行うことができる席や個室などをタイムチャージ制で提供するなど新たなビジネスチャンスを作ることもできるのではないかと思います。実際にモバイルワークを行っていると、都心でWEB会議を行う場所がなかなかなく困ることが多いと感じます。

(大津章敬)