育児休業給付金の延長給付を申請する際の注意点

 第4回目となる育児休業制度に関するトピックは、雇用保険の育児休業給付金の延長給付を申請する際の注意点を取り上げてみましょう。



【質問】
 当社には、間もなくお子さんが1歳になり育児休業が終了する予定の従業員がいます。先日、その従業員から「保育園に空きがなく、子供を預けられないため、あと半年休業させて欲しい」という連絡がありました。これにより育児休業の期間を延長することとなるのですが、従業員より「雇用保険の育児休業給付金はどうなるのか?」という質問がありました。申請時の注意点も含め、どうなるかを教えてください。


【回答】
 育児休業給付金は一般被保険者が1歳(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月)未満の子を養育するために育児休業を取得した期間について支給されます。今回のケースは雇用保険の給付においても延長に該当するため、最長1歳6か月未満の子を養育する期間について支給されると思われます。


 この延長給付を受けられる事由はいくつかありますが、その中でももっとも多く申請が行われていると思われる「育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、その子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」の条件は以下のとおりです。



■延長事由
市町村に対する保育の申し込みがされており、申し込みに係る子が対象育児休業に係る子と同一であることが必要(無認可保育施設は含まれない)
市町村から子が1歳に達する翌日(誕生日)時点で保育が行われない旨の通知がされており、事業主に対して子が1歳に達する日後の期間について休業の申し出を行っている



 については、以下の2つの要件があるため、延長給付を受ける際には注意が必要です。
(1)当初または育児休業終了日の変更により被保険者が1歳以上の育児休業の申し出がされている場合は、延長事由の申請にならないこと
(2)市町村より希望(第1希望)した保育所以外に他の保育所に入所可能なため入所案内が被保険者へされている場合、入所可能とされた保育所について通勤経路から外れるなど、入所しない合理的理由がある場合のみ延長事由の該当になること


【まとめ】
 近年、ワークライフバランスの支援の一環として法律で定める期間を上回って育児休業期間を認める企業が増えてきています。育児休業申し出の期間により受けられる給付の期間が異なること事前に説明しておくことが求められるといえるでしょう。



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(宮武貴美)


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