育児休業の取得促進に関する助成金制度

 育児休業制度に関するトピックを紹介する不定期連載。本日は第5回目となりますが、今回と次回は2回連続で育児休業の取得を積極的に促進する企業に支給される助成金を取り上げたいと思います。まず今回は「育児休業取得促進」に関する助成金をご紹介しましょう。



【質問】
 当社では、育児休業の取得を促進するために様々な措置を検討しています。今回、育児休業を取得したことがある社員にヒアリングをしたところ、多くの意見が寄せられました。その中のひとつに出産後、雇用保険の給付だけでは経済面にゆとりがなく、たいへんだったという声がありました。会社としても補助を考えてはいますが、なるべく経費をかけずに行ないたいと思っています。何かよいアドバイスをいただけませんか?


【回答】
 育児休業期間中に経済的支援した場合に受けることのできる育児休業取得促進等助成金を活用することで、支援した金額の一部の助成を受けることができます。


 この育児休業取得促進等助成金(育児休業取得促進)は、事業主が育児休業期間中(※1)の雇用保険の被保険者である社員に対し、連続して3ヶ月以上の期間にわたり経済的支援を行なっている場合に支給されるものです。この経済的支援とは、就業規則等に基づき支払われる基本給、住宅手当および家族手当などを指し、出産一時金や賞与は含まれません。助成額はこの経済的支援の額に助成率(※2)を乗じて得た額となっています。雇用保険に関連した上限額がありますので注意が必要となります。
※1 原則として子が生まれた日から満1歳の誕生日の前日までの育児介護休業法における育児休業期間
※2 中小企業事業主 3分の2 中小企業事業主以外 2分の1


【まとめ】
 この助成金には拡充措置があります。平成22年3月31日までに、雇用する労働者に対して育児休業制度を利用させ、一定期間以上の経済的支援を行なった場合には、助成となる期間が満3歳の誕生日の前日、助成率が中小企業事業主 4分の3、中小企業事業主以外 3分の2 となります。詳細は参考リンクにて確認してください。こうした助成金を活用しながら、社員が安心して働くことができる環境創りを進めていきたいものです。



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Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog「育児介護関連」
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参考リンク
厚生労働省「労働者に対し育児休業又は養育のための短時間勤務制度を利用させ、経済的支援を行う事業主の方への給付金」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/40.pdf


(宮武貴美)


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