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服部英治の医業福祉人事コンサルタント養成講座

 

医業福祉部会主催セミナー 第57回
服部英治の医業福祉人事コンサルタント養成講座
~改めて振り返る医療福祉業界へのコンサルティングノウハウ~

 

 

 


 医療機関や福祉施設の人事労務管理は、看護師など一定の資格を保有していなければならない者を確保し、更には定着させなければならないといった特殊性があり、一般企業における人事労務管理とは押さえておくべきポイントが異なります。
今回のLCG医業福祉部会では「医業福祉人事コンサルタント養成講座」として、これまでのコンサルティング経験を通じて得たノウハウをお伝えしながら、実務に役立てて頂く内容を予定しています。特にこの1年間、服部自身が手掛けてきた支援内容やその支援を通じて得たトレンド等を踏まえながら、様々な角度からお話し致します。医療機関・福祉施設の顧問先の拡大、あるいは顧問先へのワンランク上のアドバイス提供にあたって必聴の内容となっておりますので、この機会に是非、 ご参加下さい。


<講師>
服部英治
株式会社名南経営コンサルティング 取締役

<セミナーのポイント>
(1)最近の医療機関・福祉施設の動向と労務管理2024年度版 ★
(2)医療機関及び福祉施設の人事制度の考え方 ★
(3)職員のモチベーション管理と人事評価制度構築のポイント ★
(4)職員の定着対策と人材確保 ★
(5)医療機関への人事労務提案のポイントと継続的関与先確保ノウハウ ★
(6)人事労務相談顧問の関わり方
(7)他の社労士との差別化提案法

※★は昨年の内容から入れ替えのある項目です。
※本セミナーはLCG医業福祉部会メンバー以外のみなさんもご参加いただけます。また、全体的には昨年の内容を80%程度入替える予定です。

<開催会場・日時>
(1)Zoomウェビナー(生配信)
2024年3月28日(木) 14:00~16:00
お申込期限:2024年3月26日(火)10:00

(2)オンデマンド(録画)
2024年4月上旬配信開始予定
お申込期限:2024年5月31日(金) 視聴期限:2024年6月30日(日)


受講料(税込):税込16,500円
※LCG会員の方は、会員価格が適用されます。必ずLCG会員専用サイト(MyKomon内)でお申込をお願いいたします。
※本セミナーの録画・録音・画面キャプチャーなどの複製及び転載・引用など、あらゆる二次利用を禁止します。

[詳細およびお申込み]
以下よりお願いします。
https://lcgjapan.com/seminar/sr-igyou57/

これから活用が期待される年収の壁対策の助成金

 昨年秋に厚生労働省から公表された「年収の壁・支援強化パッケージ」では、事業主が、従業員を一定の基準に従って新たに社会保険に加入させた場合、1人あたり最大50万円を助成される「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」が注目されました。そして、現在も年収の壁対応策の周知・広報に力が注がれています。

 先日、厚生労働省が公表したこの助成金のコースの計画届受理件数(2023年11月末時点)では、全体では734件、取組予定労働者は13,403人となっています。また、社会保険適用時処遇改善コースには、2つのメニューと、それを組み合わせたメニューの3種類から選択できますが、グラフや以下の件数からわかるように、労働時間延長メニューが最も多くなっています

 ・手当等支給メニュー 3,828人
 ・労働時間延長メニュー 6,535人
 ・併用(手当等支給+労働時間延長)メニュー 3,040人

 今後、例えば、4月で労働条件の見直しを行いパートタイマーやアルバイトが社会保険に加入するような労働時間数に伸ばすような企業は活用を考えたいものです。

 なお、2024年1月31日までは、計画期間開始日の前日までに届け出が必要な「キャリアアップ計画書」について、取組みを始めた後での計画または変更の届出が受け付けられることになっています。この例外が使える期間はわずかですので、検討されている会社は速やかに、そして確実に、管轄労働局に提出しましょう。


参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html
(宮武貴美)

社会保険適用拡大の「50人超」は1年間で判断

 2024年10月に社会保険の適用拡大が行われます。具体的には、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)50人超100人以下の事業所でも、以下の基準をすべて満たしたパートタイマーやアルバイトが社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになります。

 ・週の所定労働時間が20時間以上
 ・所定内賃金が月額8.8万円以上
 ・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
 ・学生ではない

 それぞれの基準にも細かな定めがありますが、そもそも社会保険の適用拡大の対象となる「従業員数50人超」については、2024年10月時点のみや、その後の1ヶ月毎の従業員数で判断するのではなく、以下の通りとなっています。

<法人事業所>
同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が 12ヶ月のうち、6ヶ月以上50人を超えることが見込まれる場合
<個人事業所>
適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12ヶ月のうち、6ヶ月以上50人を超えることが見込まれる場合

 したがって、2023年10月から2024年9月までの各月で、厚生年金保険の被保険者の総数が6ヶ月以上50人を超えているときには、原則として適用拡大の対象事業所となります。

 なお、2024年10月までに被保険者数が該当する程度となり、特定適用事業所に関連するお知らせや通知書が届いていたものの、2024年9月30日までに、50人を超えなくなったときには、「特定適用事業所該当取消申出書」を、年金事務所や事務センターへ届け出ることにより、特定適用事業所に該当することを取り消すことができます。


参考リンク
法令等データベース「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集の送付について」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240124T0010.pdf
(宮武貴美)

公益通報者対応業務従事者の指定書・誓約書

消費者庁が提供している内部規程例(サンプル)の中でとり上げられている様式「従事者の指定書・誓約書」です。

重要度:★★
官公庁への届出:不要

WORDWord形式 2024012466.docx
pdfPDF形式   2024012466.pdf

[ワンポイントアドバイス]
内部通報窓口の担当者に対して、このような様式を渡す際には、内容の説明も行いましょう。


参考リンク
消費者庁「はじめての公益通報者保護法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/hajimete/

(海田祐美子)

内部通報に関する内部規程

消費者庁のサイトで公開されている内部規程例(サンプル)を、実際の規程として使いやすいように体裁を整えたものです。

重要度:★★
官公庁への届出:不要

WORDWord形式 2024011766.docx
pdfPDF形式   2024011766.pdf

[ワンポイントアドバイス]
常時使用する労働者の数が300人を超える事業者は、内部公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制(内部公益通報対応体制)の整備その他の必要な措置をとることが義務付けられました(常時使用する労働者の数が300人以下の事業者に対しては努力義務)。消費者庁のサイトでは、内部通報制度導入支援キットを提供し、今回の内部規程例(サンプル)もそこで公開されています。自社に合わせて作成してください。


参考リンク
消費者庁「はじめての公益通報者保護法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/hajimete/

(海田祐美子)

年収の壁対応策の「社会保険適用促進手当」ってなんですか?

年収の壁の対応策について服部印刷で説明中の大熊。福島さんから質問があった。


福島さん
 大熊先生、助成金の説明いただいたところで「社会保険適用促進手当」って出てきたのですが、助成金を使うときには、社会保険適用促進手当をパートさんに払う必要があるということでしょうか?
大熊社労士大熊社労士
 説明が不足していましたね。社会保険適用促進手当は「払わなければならない」ではなく、「払うことで社会保険上の優遇が受けられる」という特例です。
服部社長
 優遇・・・ですか?
大熊社労士
 毎月払う給与は、原則、そのすべてが社会保険料の対象になりますよね。ですので、パートさんの社会保険の加入促進のために、社会保険料負担分を会社が補助してあげようと、新たに手当を作って支給したとしても、それは社会保険料の対象になる。助成金の申請を念頭において、給与の15%の手当を払うとなると、その手当が支給されることで標準報酬月額が上がり、社会保険料の負担が増えるかもしれないということです。
福島さん
 社会保険料が負担が増えるということは、社会保険料の分を手当として払うと言っているのに、実は手取りが減ることになるということでしょうか。
大熊社労士
 はい、その通りです。そのようなことにならないように優遇する制度が作られたのです。それが社会保険適用促進手当であり、この手当については、標準報酬月額のもととなる報酬月額に含めなくてもよいとされました。
福島さん
 たとえば、給与が10万円のパートさんが社会保険に加入することで、1万5千円の社会保険料の負担が増えるので、この分を手当として支給するとなると、本来は11万5千円で標準報酬月額を考えるところ、社会保険適用促進手当として支給すれば10万円で考えるいうことでしょうか。
大熊社労士
 はい、その通りです。ただし、新たに発生する従業員本人負担分の社会保険料
相当額が上限になっています。
服部社長
 そうなると、給与20万円の正社員にも社会保険適用促進手当を3万円払ってあげることで社会保険料の負担軽減ということもできますね。
大熊社労士
 確かにそのような制度であれば、かなりの人が負担軽減になるのですが、今回の年収の壁対応策は、あくまでも壁を超えようとする人の支援ですので、実は優遇を受けられる人は、標準報酬月額が10万4千円以下の人に限られています。
服部社長
 そうですよね、そんなに甘くはないですね(苦笑)。
大熊社労士
 御社はまだ特定適用事業所ではないので、おそらく標準報酬月額が10万4千円以下の方はいないのではないかと想像していますし、社会保険に加入するパートさんの標準報酬月額は10万4千円を超えると思うので、活用方法はなかなかないのかなと思っています。
福島照美福島さん
 大きな会社さんは、活用されているのでしょうか?
大熊社労士
 どれくらい活用がされているかはわからないのですが、活用をしようとすると、社会保険適用促進手当をどの程度の期間について支給するのか、すでに社会保険に加入しているパートさんとのバランスはどうするのか、といった課題が出てきます。
福島さん
 支給する期間ですか?
大熊社労士
 はい。この社会保険適用促進手当の優遇は2年間に限定されています。いつまでも優遇がされるわけではないのです。
服部社長
 支給を始めるのはよいとしても、2年後も支給を継続しようとすると社会保険料の負担が増えるというわけですね。とはいえ、2年後に支給をやめますというのも言いづらい。
大熊社労士
 そうですね。もちろん、あらかじめ2年間のみの支給ですよとしておくことはできるのですが、2年後のことを想像すると、いろいろ考えますね。
福島さん
 パートさんとのバランスとはどういうことですか?
大熊社労士
 はい。社会保険適用促進手当が社会保険に加入することでの負担軽減の優遇ということであれば、以前から社会保険に加入していたパートさんに社会保険適用促進手当の優遇を当てはめるのはおかしいですよね。
福島さん
 確かに。
大熊社労士
 ただ、以前から社会保険に加入しているパートさんで、標準報酬月額10万4千円以下の人もいるかもしれない。ですので、社内での手当支給のバランスを取るために、以前から社会保険に加入しているパートさんにも社会保険適用促進手当を支給したときは、報酬月額に含めない優遇をしてもよいですということにしたのです。
服部社長服部社長
 なるほど。ただ手当の負担もあるので、特にパートさんが多い会社は悩みどころですね。 
大熊社労士
 そうですね。今回の優遇は社会保険(健康保険・厚生年金保険)に対するもので、所得税や労働保険料の計算には給与や賃金として含めるといった対応になります。このようなことも確認の上、支給するかを決断する必要がありますね。検討の際には厚生労働省が公開しているQ&Aをご確認ください。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 社会保険料の負担を軽減する目的の手当であれば、本来は賃金台帳や給与明細に載せる手当の名称は任意ですが、今回の特例を適用するときには、報酬月額から算定除外となることについて事後的な確認が可能となるよう、「社会保険適用促進手当」の名称を使用するように政府は案内をしています。


関連記事
2023年12月25日「年収の壁の対応策の助成金ってどういうものですか?」
https://roumu.com/archives/120310.html
2023年12月18日「年収の壁の対応策(130万円の壁)ってなんですか?」
https://roumu.com/archives/120186.html

参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
(宮武貴美)

年収の壁の対応策の助成金ってどういうものですか?

服部印刷で年収の壁について解説中の大熊は、服部社長から追加で質問された。



服部社長
 大熊さん、130万円の壁についてはわかったのですが、もうひとつ、106万円の壁の解消もいわれていますよね?これはどういうことなのですか?
大熊社労士大熊社労士
 ご質問ありがとうございます。今回の「年収の壁・支援強化パッケージ」では、すでにご説明した社会保険の扶養から外れないようにする壁と、新たに社会保険に加入することを避けようとする壁の解消を目指す構成になっています。
福島さん
 「新たに社会保険に加入することを避けようとする壁」ですか?
大熊社労士
 はい。細かなことを除いてご説明しますが、御社のパートさんは週30時間以上働くことになると、社会保険に加入しますよね。
福島さん
 そうです。130万円の壁を意識しているパートさんは、だいたい週25時間くらいの契約が多く、雇用保険だけ加入しています。
大熊社労士
 ただ、従業員数(正確には厚生年金保険の被保険者数)が101人以上の企業では、週20時間以上、月額賃金が8.8万円以上等の要件を満たした場合に、週30時間未満であっても社会保険に加入することになっています。この「月額賃金が8.8万円」を年額換算すると、おおよそ106万円になるため「106万円の壁」と呼ばれているのです。
福島さん
 従業員数が多い会社では年収が106万円以上になると、会社で社会保険に加入することになるということですね。確か社会保険の適用拡大でお話聞いた覚えがあります。
大熊社労士
 あくまでも年収106万円は、8.8万円を年額換算したものですので、106万円という明確な壁があるわけではありません。ただ、130万円の壁と対比してそのように呼ばれますね。
服部社長服部社長
 パートさんが社会保険に入ると、給与から社会保険料は天引きされ、手取り収入はかなり減る。これに加え、企業としては同額の社会保険料負担が発生する。結果、社会保険に加入しない範囲で働くという選択が生まれるということですね。
大熊社労士
 そうです。その就業調整の問題です。ただ、時代は変わりつつあると感じています。おそらく、採用に苦労せずにパートタイマ―やアルバイトが募集できた頃は、就業調整を希望するパートタイマーやアルバイトを集めれば一定の労働力は確保できたと思うのです。会社としても社会保険料の負担がない分、総額の人件費を圧縮できる。ただ、労働力人口は減少傾向、採用コストもあがり、コストをかけたわりには思うような採用ができないことが多い。そんな状況があるように感じます。
福島さん
 それなら、今いるパートさんに頑張ってもらう方がいい、ということでしょうか。
大熊社労士
 そのような考え方も選択肢になりますよね。ただ単純に「もっと働いて、保障もあるので社会保険に加入して!」というメッセージを出しても「手取りが減るのは嫌だ」という人も多いと思うので、企業も手取りの減少を一部補助する方策を検討する。そのため、「年収の壁・支援強化パッケージ」では、手取りを減らさないように対応した会社に助成金を支給するとともに、社会保険適用促進手当という手当を設けたのです。
福島さん
 助成金・・・ですか?
大熊社労士
 はい、助成金のメニューは2つあり、まずは社会保険に加入するパートさんの手取りが減らないように、給与を支給したときに助成金が支給されるものです(手当等支給メニュー)。つまり、社会保険に加入することで、手取りが減ってしまう分について、会社が給与を払ってくださいよ、というものです。すごく大雑把にいうと、社会保険料はおおよそ給与の15%なので、15%分の給与を払ったときに助成金を払うという仕組みになっています。
服部社長
 なるほど。給与は減らない、社会保障は手厚くなる。会社の負担の一部は助成金でカバーですね。そうは言っても15%の負担は大きいな・・・。
大熊社労士
 そうですよね。もう1つの助成金のメニュー(労働時間延長メニュー)を説明すると、労働時間を伸ばすと給与の引上げ幅は小さくまたはなくてもよいというものがあります。例えば週の所定労働時間を2時間延ばすとともに給与を10%引き上げるということも可能です。週の所定労働時間を4時間延ばすときは、給与の引上げは不要です。
福島照美福島さん
 弊社のパートさんで週25時間(1日5時間×5日)の方は1日6時間の勤務にしてもらい、週30時間で社会保険加入のイメージですね。
大熊社労士
 はい、そうです。106万円の壁対応策として助成金がまとめられているように見えますが、新たに社会保険に加入するパートさんには、どの企業であっても利用できる助成金になっています。
服部社長
 なるほど。当社も人手不足感があるので、検討してみてもよいかもしれないな。
大熊社労士
 助成金は最大従業員1人あたり50万円になっています。福島さんがお話された労働時間延長メニューでは1人あたり30万円が支給されます。この機会にパートさんに社会保険の加入も検討いただいてもよいかもしれませんね。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

 106万円の壁対応策としてのキャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースについて取り上げました。助成金には様々な要件がありますので申請を検討されるときは、その要件について十分にご確認ください。


関連記事
2023年12月18日「年収の壁の対応策(130万円の壁)ってなんですか?」
https://roumu.com/archives/120186.html

参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
(宮武貴美)

年収200万未満・配偶者ありパート労働者の50.2%が年収の壁による就業調整を実施

 年収の壁が話題となっていますが、明治安田総合研究所は「2023年 働き方に関するアンケート調査」の中で、パート・アルバイトで働く人(配偶者あり・年収200万円未満)を対象に年収の壁を意識して就業調整を行っているかという調査を行っています。

 その結果は全体で50.2%が就業調整を行っているという回答になりました。これを年齢別で見ると、特に50代でその傾向が高くなっています。
 20代 43.8%
 30代 50.0%
 40代 56.4%
 50代 66.2%
 60代 37.4%

 これだけの人数が年収の壁により就業調整を行っているというのは、社会的には大きな損失です。誰もがその希望により働き方を選択できる仕組みの構築が望まれます。


参考リンク
明治安田総合研究所「2023年 働き方に関するアンケート調査」
https://www.myri.co.jp/research/report/2023_03.php
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html

(大津章敬)

令和5年版 労働経済の分析(労働経済白書)要点動画が配信中

「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書) 全体版動画

 今年も厚生労働省から動画版「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)が公開されました。

 令和5年の労働経済白書では、第Ⅰ部で、現在の我が国の雇用・失業情勢や労働時間・賃金等の動向など分析の上で、第Ⅱ部では「持続的な賃上げに向けて」と題し、日本国内における賃金の動向やその背景を分析するとともに、賃上げによる企業・労働者・経済への効果や、持続的な賃上げに向けた今後の方向性等について述べられています。

 今回の動画は、このトータル254ページにわたる同白書の要点を、「日本の賃金が伸び悩んだ理由」「賃上げの効果」「最低賃金のパート労働者の賃金への影響」といった題材を中心に、平易な言葉でまとめた25分程の内容になっています。また同時に、以下7つのパートに分割された動画も公開されており、短時間で効率よくポイントを押さえたい場合などにはこちらもおすすめです。

動画版「令和5年版 労働経済の分析」の概要

  1. 労働経済白書ってなに?(約2分)
  2. 2022年ってどんな1年だった?(約4分)
  3. 日本の賃金って他の国と比べてどうなの?(約5分)
  4. なんで日本の賃金は上がらないの?(約4分)
  5. 賃金が上がるとどんないいことがあるの?(約3分)
  6. 賃金を上げるためにどうすればいいの?(約3分)
  7. 最低賃金を上げるとどんな効果があるの?(約4分)

 厚生労働省のサイトおよびYouTubeチャンネルで配信されていますので、是非ご覧ください。


参考リンク
厚生労働省「動画版 令和5年版 労働経済の分析-持続的な賃上げに向けて-」
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/23/23-3.html
YouTube「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)要点動画
https://youtu.be/mIfTEYWBZ0o?si=zvz8YKC4a6CbS1QC
厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析-持続的な賃上げに向けて-」
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/23/23-1.html

(菊地利永子)

年収の壁の対応策(130万円の壁)ってなんですか?

服部印刷の福島さんから連絡があり、大熊は服部印刷に向かった。


大熊社労士
 いつもお世話になっています、大熊です。
服部社長服部社長
 大熊さん、いつもありがとうございます。今日は福島さんから相談があるということでしたよね。私も同席させてもらいますね。
福島さん
 社長ありがとうございます。早速ですが、パートさんのおひとりに「今年年収が130万円を超えてしまったと思うので、証明書を発行して欲しい」と言われました。これまで130万円を超えたという理由で証明書を発行したことがなくて、何の証明をすればよいのか全くわからないのですが・・・。
大熊社労士
 なるほど、私の想像ですが、年収の壁への対応に関することかもしれません。ご承知の通り、社会保険の扶養であるためには、一般的には年収が130万円未満であることが求められますよね。
福島さん
 はい、当社の従業員の奥様やお子さんを扶養に入れたいというときは確認しています。あ、高齢のご両親を扶養に入れるときは180万円未満ですね。
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。扶養になる人が60歳以上であったり、一定の障害者であったりするときには180万円になりますね。これらの130万円/180万円のことを一般的には「130万円の年収の壁」などと呼んだりします。
服部社長
 年収が130万円以上になると、自分で社会保険料を払わないといけないってやつですね。
大熊社労士
 そうですそうです。ですので、年収130万円未満になるように、労働時間を調整する・・・就業調整をするパートさんが出てくることになります。
福島さん
 大熊先生、そうなると、今回、証明書を発行してほしいというパートさんは扶養から外れないといけないのではないですか?
大熊社労士
 そこが今回のポイントになります。本当は年収が130万円以上になると見込まれると、その時点から社会保険の扶養を外れることになりますが、今は人手不足もあるので、130万円の壁を意識して多くの人が就業調整をしてしまうと、会社が回らなくなってしまう可能性もあります。
服部社長
 特にこの10月は最低賃金が大幅に引き上げになったから、130万円未満に抑えようと、労働時間を抑制する人が多くいそうですね。
大熊社労士
 そうなのです。そこで、年収の壁対応策として、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となる仕組みを政府が作ったのです。
福島さん
 ということは、パートさんはその証明をしてほしいと申し出てきているということですね。
大熊社労士
 おそらくそうではないかと推測しています。
服部社長
 なるほど。確かに今年の秋口から冬にかけては、受注も好調だったので、パートさんにも残業してもらったなぁ。それに同一労働同一賃金の関係でパートさんにも賞与を払うことになったから、それも年収を押し上げる結果となっている。
福島さん
 そうですね。大熊先生、その証明とはどのようなものなのですか。
大熊社労士
 はい。すでにこちらのように書式が公開されています。こちらの「【被扶養者を雇う事業主の記載欄】」に記載いただいて、パートさんに渡していただくことになります。
服部社長
 なるほど、早速、こちらの証明を出してあげることにしよう。
福島照美福島さん
 そうですね。一度、このような証明でよいかを、パートさんにも確認してみますね。大熊先生ありがとうございました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 これは、「事業主の証明による被扶養者認定」と呼ばれているものであり、被扶養者となっている保険者に対し、家族および家族を雇用している会社を通じ提出することになります。提出するタイミングは主に、被扶養者の要件を満たしているかを確認する被扶養者の資格確認時になります。保険者によって確認するタイミングが異なりますので、随時発行することになるかもしれません。


関連記事
2023年10月23日「被扶養者の収入確認に当たっての「一時的な収入変動」に係る事業主の証明書」
https://roumu.com/archives/119428.html

参考リンク
厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html
(宮武貴美)