「ハイ」の検索結果

人材確保策としてテレワークの重要性が増してくるでしょう

 新型コロナの変異株の感染拡大を心配している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 おはようございます。それにしても大都市圏での新型コロナの感染拡大がすごいですね。特に大阪での死亡者数の増加が気になっています。私も若くないですから、感染してはいけないと、結構気にしていますよ。
大熊社労士
 そうですね。感染力も重症化率も高まっているとなると、職場での感染対策も更に重要性が増しますね。御社ではなにか対策を検討されていますか?
服部社長
 はい、事務系と営業系はテレワークを強化しようと考えています。もっとも大企業のように出勤を7割削減といったようなことは難しいですけれども。あと工場は時差出勤で少しでも通勤時の感染リスクを下げられればと思っています。
大熊社労士
 なるほど。こうした感染対策は社員の会社に対する信頼感にも関係しますので、社員のみなさんと議論しながら進めていきたいものですね。さて、いま服部社長からテレワークのお話が出ましたので、最新のアンケート調査からテレワークの状況について見ていきたいと思います。今回ご紹介するのは、2021年4月22日に日本生産性本部が公表した「第5回 働く人の意識調査」の結果です。そのテレワークに関するポイントをまとめると以下のようになります。

  1. テレワーク実施率は19.2%(2020年5月:31.5%)
  2. 大阪兵庫の実施率は18.4%、1都3県は30.7%
  3. 自宅での勤務で効率が上がったという回答は59.1%(2020年5月:33.8%)
  4. 自宅での勤務に満足しているという回答は75.7%(2020年5月:57.0%)
  5. コロナ禍収束後もテレワークを行いたいという回答は76.8%(2020年5月:62.7%)

宮田部長宮田部長
 これは面白い結果ですね。テレワーク実施率は大きく下がっている一方で、効率が上がったという回答が増えて、約6割になっています。
大熊社労士
 そうですね。多くの企業でペーパーレスの推進やWEB会議などのツールの整備、そして自宅の勤務環境の改善などを進めた結果と言えます。ただ、注意が必要なのは、テレワーク実施率の低下で回答数が319件から181件に減少していることです。福島さん、分かりますか?
福島照美福島さん
 う~ん、あっ!そうか。最初の緊急事態宣言の際、多くの企業では仕事の見直しを行うことができないまま、テレワークを導入することになりました。その結果、業務の生産性低下が問題になって、緊急事態宣言終了後に、テレワークを中止した企業が多く出て、このような実施率の低下に繋がっています。つまり、この効率が上がったという回答は、様々な改善によって上がったということもあると思いますが、生産性が低い企業がテレワークを中止したことで、結果的に率が引きあがったという可能性もあるということですね!
大熊社労士
 さすがですね。私はそのような要因も大きいのではないかなと思っています。もっとも改善を続け、テレワークという新しい働き方の選択肢が確立された会社も少なくないと思います。そうした企業は様々な面でアドバンテージを得たのではないでしょうか?
福島さん
 テレワークを実施している企業の従業員の満足度は大きく高まって、75.7%にもなっています。そして、コロナ禍収束後も76.8%がテレワークを行いたいという回答をしています。こうした人材は、転職する場合、テレワークが認められていない企業を回避することになりそうですね。これを人材採用側から見ると、テレワークを実施していない場合には人材採用という点で不利になる可能性が高まるということになりますね。
大熊社労士大熊社労士
 そうなのです。今日お伝えしたかったのはその点なのです。新型コロナの感染拡大によって、テレワークなどの柔軟な働き方が増加しました。それがこうしたアンケート結果にも反映している訳ですが、実はこれだけでもないと感じています。テレワークで仕事ができると感じたことにより、単身赴任など転勤の必要性について疑問を持つ方が増えています。また兼業・副業への関心が高まっています。
服部社長
 なるほど。従来の「会社に来るのが当たり前」、「会社の辞令1枚で全国どこへでも転勤、「兼業・副業は禁止」といった従来の常識が崩れてきているということですね。
大熊社労士
 はい、そう思います。よってテレワークの導入というのは、単なる感染予防策ということではなく、企業の人事労務管理を変え、人材採用力にも大きな影響を与える重要テーマになってきていると感じています。
服部社長
 確かにそうですね。初夏以降、ワクチンの接種が増加することで、諸外国のように世間の雰囲気も変わっていくと予想しています。すると再び、人材採用難の問題が大きくなるのではないかと考えています。
大熊社労士
 労働力人口自体が減少していますから、それは間違いないでしょうね。その時代に備え、人材採用力を高めるという意味からも、柔軟な働き方の確保を真剣に検討していかなければならないのではないでしょうか?
服部社長
 そう思います。引き続き、検討をしていきたいので、大熊さん、協力をよろしくお願いしますね。
大熊社労士
 承知しました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。ここ数年、働き方改革が進められ、様々な法改正等が行われてきましたが、新型コロナによる社会の変化は働き方改革を急速に進める結果となっています。改めて働き方改革実行計画を見てみると、労働時間の上限規制や同一労働同一賃金だけでなく、テレワークや兼業・副業の推進などの項目も盛り込まれています。数年前の時点ではそれらが実現されるかは不透明な状況でしたが、気づけば雰囲気は大きく変わっています。この変化はまだ始まったばかりであり、労働者の意識の変化と共に、更なる変化に繋がることでしょう。企業としては安定的な人材の確保のためにも、こうした新しい環境に適応した仕組み作りが求められます。


参考リンク
日本生産性本部「第5回 働く人の意識調査(2021年4月22日)」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/005218.html

(大津章敬)

新型コロナワクチン接種後に高確率で発生する発熱・頭痛などの副反応への職場としての対応

 新型コロナウイルスのワクチン接種のスケジュールが徐々に見えつつある状態となっています。ワクチン接種に関しては副反応を心配する声が少なくありませんが、厚生労働省の資料を見ると、接種部位の疼痛の頻度が高く、また2回目接種後の37.5℃以上の発熱、頭痛、全身倦怠感がかなり高い確率で発生しているようです。以下では、2021年4月23日に行われた厚生労働省検討部会の資料から、副反応の発生状況を確認すると共に、その労務管理面での対応について見ていきたいと思います。

 厚生労働省の検討部会の中で示された「新型コロナワクチンの投与開始初期の重点的調査(コホート調査)「健康観察日誌集計の中間報告(4)」によると、接種部位の疼痛は1回目接種後・2回目接種後共に90%以上の高い値となっています。そして、実際の就業に大きな影響が出ると予想される37.5度以上の発熱については、1回目接種後は3.3%とインフルエンザワクチンと大きな差はありませんが、2回目接種後については38.0%(38度以上も21.2%)と高い値を示しています。なお、発熱に関して年代別に見ると、20代がもっとも高い値となっており、年代が上がるにつれ減少する傾向が見られます。

 頭痛についても1回目接種後は21.2%であるのに対し、2回目接種後は53.6%。倦怠感も1回目接種後が23.2%であるのに対し、2回目接種後は69.4%となるなど、いずれも2回目接種後に就業が難しい副反応が高確率で発生しています。

 今後、初夏にも一般の接種が始まるとの報道が見られるようになっていますが、ワクチンの接種日とその翌日には勤務が難しい従業員が一定数発生することを想定し、接種日の調整を行うと共に、有給休暇の取得などの方針を早めに検討し、社内に周知しておくことが求められます。

 なお、一部の会社では、特別休暇制度の整備も進められています。こうした状況はネットで検索することで複数出てきますので、参考にされてはいかがでしょうか?


参考リンク
厚生労働省「第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年4月23日)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18196.html

(大津章敬)

配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(第3号被保険者用)~あなたの年金が変わる大切なお知らせ~R3.3.25差し替え版

配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(第3号被保険者用)~あなたの年金が変わる大切なお知らせ~

タイトル:パート・アルバイトのみなさまへ(第3号被保険者用)~あなたの年金が変わる大切なお知らせ~
発行者:厚生労働省・日本年金機構
発行時期:2021年3月25日
ページ数:2ページ
概要:パート・アルバイト従業員(第3号被保険者)に向けて、令和4年10月および令和6年10月からの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用拡大を案内するチラシ。

R3.3.25【差し替え箇所】2022年10月から、社会保険の加入要件が「1年以上の雇用見込み」が廃止され、「2ヶ月【超】の雇用見込み」になります。
旧版「2ヶ月以上」→現行版「2ヶ月を【超える】」に差し替え

Downloadはこちらから(686KB)
https://roumu.com/pdf/2021042216.pdf


参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

(菊地利永子)

社会保険適用拡大ガイドブック(従業員用)R3.3.25差し替え版

パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ 社会保険適用拡大ガイドブック

タイトル:パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ 社会保険適用拡大ガイドブック
発行者:厚生労働省・日本年金機構
発行時期:2021年3月25日
ページ数:8ページ
概要:パート・アルバイト従業員に向けて、令和4年10月および令和6年10月からの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用拡大を説明するためのガイドブック。

R3.3.25【差し替え箇所】2022年10月から、社会保険の加入要件が「1年以上の雇用見込み」が廃止され、「2ヶ月【超】の雇用見込み」になります。
旧版「2ヶ月以上」→現行版「2ヶ月を【超える】」に差し替え

Downloadはこちらから(1,899KB)
https://roumu.com/pdf/2021042215.pdf


参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

(菊地利永子)

国家公務員の定年が2023年度から順次引き上げられる予定です

 新型コロナの変異株による感染拡大が心配な大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長
 おはようございます。大熊さん、また新型コロナの感染が拡大していますね。
大熊社労士
 大阪を中心に急速に拡大していて、今後、経済に与える影響も大きくなるかも知れませんね。テレワークをやめてしまった企業も少なくありませんが、再度の対応が求められそうです。
服部社長服部社長
 そうですね。当社でも年度末の繁忙が明けましたので、対策を取りたいと思っていたところです。従業員も不安に思っているでしょうからね。
大熊社労士
 そうでしたか。可能であればそれが良いと思います。さて、今日は法改正のお話をしたいと思います。国家公務員の定年引上げを定める法案が国会に提出されました。
宮田部長宮田部長
 4月に法改正があって、70歳までの就業機会を確保する努力義務が始まったばかりですよね?今度は定年引上げなのですか?
大熊社労士
 きちんとチェックされていますね。今回の定年引上げの話は公務員であって、民間企業は関係ありません。よって60歳定年のままでも当面は大丈夫ですよ。さてその内容ですが、まずは2023年度に61歳に引上げられます。その後、2年ごとに1歳ずつ年齢が引き上げられ、最終的には2031年度以降に65歳定年となります。
福島照美福島さん
 段階的に引き上げが行われるのですね。最終的に65歳定年となるのはいまから10年後ということですね。長い話になりますね。でもこの間に民間企業の定年引上げも議論されるのでしょうね。
大熊社労士
 そうですね。民間企業の定年引上げについてはまだ具体的な話はありませんが、どこかのタイミングで議論されるのだと思います。さて、今回の国家公務員の定年引上げですが、同時にいくつかの措置も導入されます。その一つが、役職定年制(管理監督職勤務上限年齢制)の導入です。原則として60歳到達の年度末のタイミングで役職定年となります。そして、給与についても見直しが行われます。具体的には、当分の間、職員の俸給月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日以後、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とするとしています。
服部社長
 7割ですか。これは民間企業にも一定の影響があるかも知れませんね。
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。定年後の処遇については〇割を支給しなければならないということはありませんが、均等処遇均衡処遇の観点から一定の配慮が求められます。現実的には意識すべき数字になってくるのかも知れませんね。また、これに伴い、政府は、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、国家公務員の給与制度について、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げ完成の前(2033年3月31日まで)に所要の措置を順次講ずることなど、人事制度の見直しも予定されています。
福島さん
 これも影響がありそうですね。普通に考えれば、年功的な賃金カーブを抑制して、その半面、60歳以降の賃金減額を小さくするということになりますよね?
大熊社労士
 そうだと思います。公布後速やかに評語の区分など人事評価について検討を行い、施行日までに所要の措置を講ずるとしていますので、より人事評価結果を処遇に反映させる仕組みになっていくのでしょう。ちなみに、60歳に達した日以後定年前に退職した職員については本人の希望により、短時間勤務の官職に採用(任期は65歳まで)することができる制度も設けられるようです。
服部社長
 大きな改革が行われるのですね。まずは公務員が先行することになりますが、これにより65歳定年に向けた社会的な雰囲気も醸成され、民間企業でもその動きが強まるかも知れませんね。
大熊社労士
 そうですね。今後、高齢者雇用は人事管理の大テーマになっていきます。継続的に対応を議論していきましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は公務員の定年引上げについて取り上げました。この法案は1年前の通常国会に提出されながらも、検察庁の定年引上げ問題で廃案になり、再度、今国会に提出されたものです。そのため、施行も当初より1年遅れとなっています。直接的には公務員が対象となりますが、その内容は民間企業にも大きな影響を与えることになると予想されます。


参考リンク
内閣官房「第204回 通常国会」
https://www.cas.go.jp/jp/houan/204.html
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
https://www.mhlw.go.jp/…/topics/tp120903-1_00001.html

(大津章敬)

令和3年度地方労働行政運営方針が公表されています

 厚生労働省は毎年、地方労働行政運営方針を策定していますが、先日、その令和3年度版が公表されました。各都道府県労働局においては、この運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に即した重点課題・対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。よって、今後の労働行政の方向性を知る意味でも、目を通しておきたい資料となります。

 令和3年度地方労働行政運営方針の概要は以下のとおりとなっています。
1 ウィズ・ポストコロナ時代の雇用機会の確保
(1)雇用の維持・継続に向けた支援
 新型コロナウイルス感染症の影響等により休業を余儀なくされた労働者の雇用の維持・継続のため、雇用調整助成金により雇用維持に取り組む事業主を支援するとともに、産業雇用安定助成金により、出向元と出向先の企業を支援し、在籍型出向を活用した雇用維持を促進する。
(2)業種・地域・職種を越えた再就職等の促進
 新型コロナウイルス感染症の影響等による求職者のニーズの多様化に対応するため、ハローワークに新たに専門の相談員を配置する等により、業種、地域、職種を越えた再就職等の支援を行う。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により離職を余儀なくされた就労経験のない職業に就くことを希望する者を、一定期間試行雇用する事業主の賃金の一部を助成(トライアル雇用助成金)する。
(3)非正規雇用労働者の再就職支援
 非正規雇用労働者等の早期再就職を支援するため、ハローワークに専門の相談員を配置し、担当者制による求職者の個々の状況に応じた体系的かつ計画的な就職支援の強化を図る。また、求職者等に向けた企業の職場情報の提供を行う職場情報総合サイト(しょくばらぼ)や職業の様々な情報が手軽に入手できる職業情報提供サイト(日本版 O-NET)を活用し、求人・求職の効果的なマッチングを図る。
(4)女性活躍・男性の育児休業取得等の推進
 不妊治療のための休暇制度・両立支援制度の利用促進に取り組む中小企業事業主に対する助成金の利用を促進し、不妊治療を受けやすい職場環境の整備を推進する。また、女性活躍推進法の行動計画策定義務対象企業が 101 人以上に拡大されることを踏まえ、中小企業事業主に対する女性活躍推進アドバイザーによる個別支援等を行う。さらに、子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設等を内容とする、育児・介護休業法の改正法案を今通常国会へ提出しており、改正法案が成立した際には労使団体等と連携して改正内容の周知に取り組む。

2 ウィズコロナ時代に対応した労働環境の整備、生産性向上の推進
(1)「新たな日常」の下で柔軟な働き方がしやすい環境整備
 適正な労務環境下における良質なテレワークの普及促進を図るため、テレワーク相談センターによる働き方改革推進支援センターと連携した個別相談対応やセミナーの開催等により、テレワークを実施する中小企業への支援を行う。また、良質なテレワークを導入・実施し、人材確保や雇用管理改善の観点から効果をあげた事業主への支援(人材確保等支援助成金の支給)を行う。
(2)ウィズコロナ時代に安全で健康に働くことができる職場づくり
 職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、「取組の5つのポイント」やチェックリスト等を活用した職場における感染防止対策の取組を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症に係る労災補償については、迅速かつ的確な調査及び決定を行う。
(3)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保
 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保に向けて、働き方改革推進支援センターによるワンストップ窓口において、労務管理等の専門家による個別訪問支援等に加え、新たに業種別団体等に対し専門家チームによる支援を実施する。また、賃金引上げや非正規雇用労働者のキャリアアップを図るため、各種助成金の活用も含めた支援を行う。


l参考リンク
厚生労働省「「令和3年度地方労働行政運営方針」の策定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17792.html

(大津章敬)

当社も中途採用比率を公表しなければならないのですか?①

 もう半月で新卒入社の従業員が入ってくるのだなぁと思いながら、服部印刷に向かう大熊であった。


服部社長服部社長
 大熊さん、今日は私から聞きたいことがあるのですがいいでしょうか。というのも、何やら今年の4月から中途採用も必ずしなければならなくなるのですか?
大熊社労士
 え!?中途採用の義務化ですか!?初めて耳にしました。
服部社長
 うちは中小企業なので中途採用も多く行っていますが、新卒採用を中心にしている会社の社長が「これからは中途採用もしなくちゃなんない」と言っているのを先日聞いて。
大熊社労士
 あぁ、なるほど、おそらく中途採用比率の公表のことを指していると思います。
宮田部長
 中途採用比率・・・ですか?
大熊社労士
 はい。どのような人を従業員として採用するかは、基本的に会社にゆだねられています。事業に必要な人を採用することになりますよね。新卒の一括採用を中心とする会社のほかに、不足した人員の補充や業務の急拡大に対応するために中途を積極的に採用する会社もあります。
宮田部長
 当社も即戦力を求めて、「経験者優遇!」とする求人票を出すことがあります。
大熊社労士大熊社労士
 そうですよね。先ほども説明したのですが、採用の自由は会社にあるのですが、人生100年時代と言われて、職業生活が今後、長期化してくるでしょう。そうなると、自分のキャリアに目を向けたときに様々な思いが浮かんでくる人もいるでしょう。
服部社長
 そうか、このまま働き続けたいと思う人もいれば、新しい仕事にチャレンジしたいと思う人もいる、ということですね。
大熊社労士
 はい。労働者の主体的なキャリア形成による職業生活の更なる充実や再チャレンジが可能となるように、ということで、中途採用に関する環境整備をさらに推進するため、中途採用に関する情報の公表が求められることにになったのです。
福島照美福島さん
 中途採用比率が高いということは、中途採用に積極的であることの一つの証明ということですね。
大熊社労士
 そうですね。企業が長期的な安定雇用の機会を中途採用者にも提供している状況を明らかにして、中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進することになるのではないかという前提があります。
宮田部長
 それで、当社もあと半月後には中途採用比率を公表しなければならないということですね。どうしよう、データを早めに分析しなければ。
大熊社労士
 落ち着いてください、大丈夫ですから(笑)。まず、中途採用比率の公表が義務化となる企業は、常時雇用する労働者数が301人以上の企業です。ですので、御社は義務化とはなっていません。
宮田部長宮田部長
 そうでしたか、びっくりしました。
大熊社労士
 そして公表は、直近の3事業年度の各年度について、採用した正規雇用労働者の中途採用比率が対象ですが、事業年度に合わせることになっており、おおむね年に1回、公表した日を明らかにして、インターネットの利用やその他の方法で行うことになっています。
福島さん
 「いつまでに」という期日は決まっていないのですか?
大熊社労士
 はい、初回の公表については、2021年4月1日後の最初の事業年度内に、2度目以降は、前回の公表からおおむね1年以内に、可能な限り速やかに公表を行うことになっています。
服部社長
 なるほど。うちも公表の義務化にはなっていないものの、あまり意識していなかった部分なので、一度、比率を出してみてもいいかもしれないな。宮田部長、手の空いたときによろしく頼むよ。
宮田部長
 そうですね。了解しました。大熊先生、もう少し詳しく教えていただいてもよいですか。
大熊社労士
 承知しました。計算方法等は改めて確認することにしましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。中途採用比率の公表は労働施策総合推進法を改正して盛り込まれたものです。2020年3月31日に成立した法律で改定され、厚生労働省からはQ&Aも出てきましたので、義務化の対象となる企業を中心に内容を確認しておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「正規雇用労働者の中途採用比率の公表」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/tp120903-1_00001.html
(宮武貴美)

直近4年間でリモートワークの導入率は13.8倍、副業・兼業は2.8倍に増加

 産労総合研究所は先日、「第8回 人事制度等に関する総合調査」の結果を公表しました。これは企業の人事部門に対して、人事制度諸施策の導入状況等を3~4年ごとに調査しれているもので、前回調査は2016年。今回の調査は、コロナ禍の2020年9月1日現在の実態について、同当所の会員企業から一定の方法で抽出した企業のうち、締切日までに回答のあった184社(従業員数1,000人以上39社、300~999人62社、299人以下83社)の結果をまとめたもの。

 これによれば、前回調査(2016年調査)における導入率と2020年調査の導入率を比較して、増加率が高いものをピックアップすると以下のようになります。
13.8倍 リモートワーク(在宅勤務・モバイルワーク・サテライト勤務など) 5.1%→70.1%
3.9倍 サテライトオフィスの活用 5.1%→20.1%
3.7倍 フリーアドレス制度 4.5%→16.8%
3.7倍 社内イントラ・SNS 20.7%→77.2%
2.8倍 副業・兼業(認可および届出) 7.5%→20.8%
2.6倍 勤務間インターバル 6.1%→15.8%
1.9倍 クラウドサービス利用ルール 27.1%→52.5%
1.9倍 感染症対策マニュアルの整備 33.7%→64.8%

 リモートワークを筆頭に、コロナ関連のものが多く上位に来ていますが、副業・兼業や勤務間インターバルも大幅に増加していることが興味深いところです。柔軟な働き方や過重労働対策は、今後の人材採用にも大きな影響を与えると思われますので、着実な検討が望まれます。


参考リンク
産労総合研究所「第8回 人事制度等に関する総合調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/jinjiseido/jinjiseidonado/pr2102.html

(大津章敬)

深石圭介氏「社労士事務所のための雇用関連助成金 令和3年度改正の最新情報と「使える助成金」の実務解説」受付開始

 日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)では毎年恒例となっている深石圭介氏(労務管理事務所 新労社代表 特定社会保険労務士)による助成金セミナーを今年も開催します。近年は厚生労働省からの情報公開が早まる傾向が見られますので、今年はそれを速報としてお伝えする【速報編】と、より具体的情報を踏まえて実務のポイントを開設する【実務編】の2日間開催とします。

 今年も法改正の内容とその提案および実務のポイントについてたっぷりお話しいただきます。非常に実践的な内容となっておりますので、今年も是非ご受講ください。
※今回は新型コロナの感染防止の観点からオンデマンドのみの開催となります。
※社会保険労務士以外のみなさまもお申込みいただけます。


社労士事務所のための雇用関連助成金
令和3年度改正の最新情報と「使える助成金」の実務解説
~今年は初の【速報編】【実務編】の2日間開催
講師:深石圭介氏 労務管理事務所新労社代表・特定社会保険労務士


【速報編】今年度の助成金改正と傾向
配信予定日:2021年4月下旬(本編3時間)
1.今年度の助成金の改正では、なにが行われたのか?
・どこが変わったのか?個別の検証、予算と昨年度の“事件”
  新設・廃止・制度変更の状況を押さえる。
・コロナと助成金・・・これだけで終わらない「非常時」
・営業方法、助成金の倫理と提携のやり方。新しい提案ツール。
2.分野別の助成金の改正傾向
・雇用調整系:行方はコロナ次第。新しく雇用安定施策を変えようという動き。
・教育訓練系:労働移動に付随する訓練として、簡易化の方向へ。
・採用系:コロナ関連で在来の施策を活用して優遇。
・キャリアアップ系:これもコロナ優遇あり。正社員化は引き続き続く。
・高年齢者系:定年・雇用継続年齢アップとその他施策、どのくらい出るか?
・育児介護系:特に男性育休に力。介護離職、女性育児も続ける。
・障害者系:障害者新規雇用に加え、在社の労働者を引き留める動き。
・時短・環境系:時短も一段落。時短の後の処遇に注目。
・産業労働・健康系:変更はそれほどないが、計画の省略など、実務の簡易化あり。
・制度系:廃止以外のコースは厳格化はそれほどなし。
・就職困難者系:職を失う人向け、けっこう拡充する。離職率などは復活しない。
・地域系:新規事業の衰退でやや減る。特例などの廃止。
3.それぞれに関連する法改正、政策の内容など
4.まとめ
・新しくできた助成金
・廃止になった助成金
・伸びた助成金
・縮んだ助成金
・横ばいの助成金
・総まとめ
※最新の情報に基づいて開催するため、内容変更の可能性があります。

【実務編】今年度の注目助成金と実務、その周辺
配信予定日:2021年6月上旬(本編3時間)
1.今年度の注目助成金の実務と提案のポイント
(1)雇用調整助成金:“コロナショック”で今年度もまだ注目。
・コロナ後、どこにどれくらいの期間で「着地」する?
・「兄弟助成金」としての産業雇用安定助成金の活用法。
(2)キャリアアップ助成金:正社員化はコロナ禍でなお続く。
・まだまだ主役の正社員化コースの注意点。
・賃金規程と健康診断オプション、諸手当の最高裁判決の影響。
(3)両立支援等助成金:引き続き“出す”助成金、コロナにかかるものも継続。
・男性労働者の両立支援傾向と助成金。
・新設、不妊治療両立支援コースのポイント。
(4)人材開発支援助成金:まとまった“教育”助成金。
・訓練コースで必要な社労士が提案する“教育体系”。そのココロ。
・コロナ時代の教育訓練に対応する動き。
(5)働き方改革推進支援助成金:本年度引き続き力が入る、働き方改革の一番手!
・助成金として成熟?「勤務間インターバル制度導入コース」政策との絡み。
・「労働時間短縮・年休促進支援コース」その他の要件の違い
(6)65歳超雇用推進助成金、その他
・「65歳超継続雇用促進コース」の大ナタは来年度?今やるかどうか?
・新しい「高年齢労働者処遇改善促進助成金」のメリットは?導入施策の内容は?
2.横断的な注意点、各助成金の効果の検証、周辺知識
・分野別、助成金の効果と重点、営業方法。
・周辺知識ジョブ・カード、キャリアコンサルティングの位置づけ
・厚労省認定くるみん、ユースエール、えるぼし、トモニン
・地域の雇用関係助成金(北日本・東京・中部・大阪・九州沖縄)
・経産省系助成金との兼ね合い
※最新の情報に基づいて開催するため、内容変更の可能性があります。

[配信方向および配信時期]
 新型コロナウイルスの感染対策により、今年はオンラインでの開催(オンデマンド配信)とします。
【速報編】2021年4月下旬配信開始予定
【実務編】2021年6月上旬配信開始予定

[講師プロフィール]
深石圭介氏
労務管理事務所新労社代表 特定社会保険労務士
 平成4年新潟大学法学部卒業。同年出版社に入社。営業部に勤める。以後、会計事務所に入所。助成金のほか、社会保険手続き等全般・人材派遣業務などを担当。さまざまな業種の企業で主として労務分野のコンサルティングを経験。平成16年に開業。得意分野は雇用関係助成金。助成金申請をきっかけに、経営者も労働者もやりがいを持って働ける、労務のしくみづくりを行うコンサルタント。特定社会保険労務士として顧問先を持つほか、各種団体において、雇用関係助成金を中心にセミナー実績多数。産労総研「労務事情」、日本実業出版社「企業実務」、日本法令「ビジネスガイド」、その他に関連記事を執筆。

 主な著書に以下がある。
令和 2年 6月18日「すぐにもらえる!雇用関係助成金 申請・手続マニュアル」8訂版(日本法令)
平成27年 1月26日「駆け出し社会保険労務士さんのための実務の学校」(翔泳社)
平成26年12月28日「中高齢者雇用ハンドブック201」(経営書院)平成24年8月1日「スゴイ社労士が教える戦略的仕事術」(アニモ出版)

[受講料(税別)]
(1)一般のみなさま
【速報編・実務編のいずれか視聴の場合】15,000円
【速報編・実務編の両方視聴(セット割引)】20,000円
※録画配信での受講の場合1事務所あたりとなります。
(2)LCG会員のみなさま
【速報編・実務編のいずれか視聴の場合】
特別会員 3,000円 正会員 6,000円 準会員 9,000円
【速報編・実務編の両方視聴(セット割引)】
特別会員 4,000円 正会員 8,000円 準会員 12,000円

[お申込み]
 以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさまは会員専用サイト「MyKomon」よりお願いします。
https://lcgjapan.com/seminar/sr-fukaishi20210409/

 

2021年度の社会保険料率はどうなりますか?

 そろそろ企業で給与計算を担当している人は、来年度の社会保険料がどうなるか関心が高まっているころだと思い、大熊は服部印刷で説明することとした。

大熊社労士:
 気付いたら3月も2週目になりましたね。
宮田部長宮田部長:
 ちょうど福島さんとも、先ほどそんな話をしていましたよ。もう3月、早い!
福島さん:
 今月は暦日数が少ない上に、月末が土日だったこともあり。給与計算がたいへんでした。
大熊社労士:
 確かにタイトな日程になりますね。お疲れさまでした。
福島さん:
 ところで、大熊先生、来年度の社会保険料率はそろそろ決まったのでしょうか。
大熊社労士:
 そうですね。大方決まりましたので、そろそろご紹介しようと思っていたところでした。まず、変わるものですが、協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率になります。
福島さん:
 毎年3月分から変更になりますよね。
大熊社労士:
 そうですね。今回も2021年3月分から変更になり、すでに新料率料額表が公表されています。引上げも・引下げ・据え置きとありますが、据え置きは富山県のみとなりました。
宮田部長:
 へぇ、1県だけだったんですね。それにしても、都道府県ごとに変更になるってややこしいですね。
福島さん:
 本当に。愛知県は引下げだから、従業員にとってはうれしいですね。えっと、実際には4月分の給与から変更する必要がありますので、注意します。
大熊社労士大熊社労士:
 さて、厚生年金保険料率は以前から固定になっているので、当然、2021年度も変更なしです。こちらのご認識はもう、大丈夫ですよね!そして、雇用保険率ですが、これも据え置きになりました。
宮田部長:
 えー!雇用調整助成金とか、たくさん利用されているので、てっきり引上げになると思っていました。
大熊社労士:
 確かに雇用保険率は財政状況に応じて変更されますので、そう感じるかと思いますが、令和元年度で考えると新型コロナウイルス感染症の影響は小さく、実際に基本手当の受給者数もそこまで増えていないのです。助成金の財源もそこまで悪くはなっていないのです。
宮田部長:
 確かに雇用調整助成金の特例措置等の話が頻繁に出てきたのは、昨年の3月頃だったように思います。
大熊社労士:
 そうですね。実際に、助成金の財源となる雇用保険二事業に係る資産残高は急激に減っていて、雇用調整助成金については一般会計から繰り入れされているものの、いずれは見直しが必要になるだろうと私は想像しています。
服部社長:
 解雇された人の人数が増えているというものの、一方で雇用調整助成金を始めとした助成金で雇用維持を図っているので、まだ失業した人への給付はそこまで増えていないということなのでしょうね。
大熊社労士:
 そうですね。経済が回復しなければ、そのうち雇用維持にも限界がくるでしょうから、さらなる失業者の増加が心配になります。話が少し広がりましたので、社会保険料率の話に戻しましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いいたします。
大熊社労士:
 もう一つ労働保険である労災保険料率は、3年に1度見直しが行われています。前回は2018年度に見直しが行われているので、2021年度から見直されることになりますが、結果としては据え置きになりました。
服部社長:
 こちらもいろいろ議論があったのですよね?
大熊社労士:
 そうですね。2つのパターンで試算をしたりして検討が進められ、余剰を取り崩して対応する必要が出てくるかもしれないものの、コロナ禍で引上げによる企業の負担増にも配慮したようです。
服部社長服部社長:
 確かにわずかな率の引上げでも企業にとって大きな負担となりかねないですからね。
福島さん:
 これまでのご説明から判断すると、給与計算で注意が必要なものは、健康保険料率と介護保険料率ということですね。
大熊社労士:
 そうですね。最後に子ども・子育て拠出金について説明しておきましょう。
宮田部長:
 そういえば、拠出金率も毎年度見直しでしたね。
大熊社労士:
 はい。ただ、この拠出金率はまだ明確になっていません。内閣府で議論が行われるのですが、その資料を確認する限りでは、現状と変わらず、0.36%になりそうです。
福島さん:
 そうでしたか。確か、法令では0.45%まで引上げられるようになっていたので、もしかしたら引上げかなと思っていました。
大熊社労士:
 まだ、正式には公表されていないのですが、やはり事業主の負担増になることを避けるような対応になると想像しています。
福島照美福島さん:
 給与計算には関わらない部分ですが、今後の情報に注視しておきますね。
大熊社労士:
 そうですね、よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。年度替わりには社会保険料率の変更に特に注意が必要ですが、来年度は変更が少なくなりました。健康保険組合に加入の企業では、個別に保険料率の変更についてご確認ください。


参考リンク
協会けんぽ「令和3年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3130/r3/20205/
協会けんぽ「令和3年度保険料額表(令和3年3月分から)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r03/r3ryougakuhyou3gatukara/
厚生労働省「令和3年度の雇用保険料率について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000739455.pdf
厚生労働省「第143回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126980.html
厚生労働省「第91回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15760.html
(宮武貴美)