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熱中症の予防策と救急措置

 梅雨明けはまだのようですが、連日、35度を超えるような日が続いています。この暑さにより、新聞でも熱中症による死亡事故の記事を多く見かけるようになりました。東京労働局によれば昨年、同局管内において勤務中に熱中症にかかり医療機関で治療を受けた人は235人で、うち2人が死亡しているそうです。そこで本日は熱中症の予防策と、発生時の救急措置のポイントについて解説します。


[予防策]
 そもそも熱中症とは、高温の環境で発生する障害の総称で、射病、熱けいれん、熱虚脱、熱ひはいに分けられますが、その基本的な対策としては以下のようなことに注意が必要です。
□日除けや風通しを良くするための設備を設置し、作業中は適宜散水する。
□水分・塩分補給を行い、また身体を適度に冷やすことのできる冷たいおしぼりなどの物品を用意する。
□日陰などの涼しい場所に休憩場所を確保する。
□十分な休憩時間や作業休止時間を確保する。
□作業服は吸湿性・通気性の良いものを着用する。
□健康診断や巡視などにより、作業者の健康状態を把握しておく。


[救急措置]
 以上のような予防策がまずは求められますが、それでも実際に熱中症が発生してしまった際には、以下の手当を早急に行った上で、直ちに病院に連れて行き、医師の手当を受けることが必要です。
□涼しい場所で安静にする。(安静中は1人にさせない。)
□水やスポーツドリンクなどを取らせる。
□体温が高いときは、裸体に近い状態にし、冷水をかけながら扇風機の風を当てるなどして、体温の低下を図る。


 熱中症というと建設現場での発生を想定することが多いですが、実際には建設業以外の職種でも発生することが少なくありません。私のお客様でも先日、トラックドライバーが荷下ろしの最中に熱中症で倒れるということがありましたが、これからますますその危険が高まる時季となりますので、社員への安全衛生教育の一環として、熱中症対策を進めることが必要となるでしょう。



参考リンク
環境省「熱中症保健指導マニュアル(2006年6月改訂版)」
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
財団法人日本気象協会「WBGT熱中症予防情報」
http://www.tenki.jp/heat


(大津章敬)


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急増するテレワーク人口

 先日、国土交通省から「2005年時点のテレワーク人口推計(実態調査)結果について」という調査結果が発表されました。これはテレワーク人口を推計し、テレワーカー(※)の実態を明らかにする目的で調査されたものですが、この中で2002年と2005年のテレワーク人口の比較がされており、それによれば以下のように大幅にテレワーク人口が増加していることが明らかになっています。
[テレワーク人口の増加]
週8時間以上
 2005年 674万人
 2002年 408万人
週8時間未満
 2005年 1847万人
 2002年  634万人


 このようにテレワーク人口はこの3年間で、約2.5倍に増加していることが分かります。これはブロードバンドの家庭への普及など、ITの発達が大きな影響を与えていると思われますが、国の施策としても、昨年、国土交通省、総務省、厚生労働省および経済産業省より「THE Telework GUIDEBOOK 企業のためのテレワーク導入・運用ガイドブック」が作成されるなど、積極的な推進が行われています。労働時間管理や労災保険適用など、テレワークの実施に対する問題はまだ山積していますが、こうした課題については今後、徐々に整備が進められていくことでしょう。育児や介護で家庭に入らざるを得ない女性労働力の活用など、企業としても人材不足を埋めるひとつの手段としてテレワーカーの活用を考えていくことが求められているのではないでしょうか。
※テレワーカーとは
 テレワークを行っている人、つまり、「情報通信手段(IT)を活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方をする人」をさします。例えば、自宅、サテライトオフィス、テレワークセンターなどで、又はモバイルワークにより、通常勤務する場所以外の場所でITを活用して1週間あたり8時間以上働く人のことをいいます。



参考リンク
国土交通省「2005年時点のテレワーク人口推計(実態調査)結果について」
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/04/040614_.html
厚生労働省「『THE Telework GUIDEBOOK 企業のためのテレワーク導入・運用ガイドブック』の作成」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/08/tp0818-1.html


(宮武貴美


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今春新設の助成金:パートタイム助成金

 近年、パートタイム労働者が増加し、かつての正社員の補助的な労働という状態から、今では基幹的な労働力としての役割を担うまでになってきています。こうした中で国の政策としても、パートタイム労働者の労働条件の確保や正社員転換などの方向性が示されつつありますが、この政策を促進するため、今春より「短時間雇用管理改善等助成金(パートタイム助成金)」という制度が創設されました。これは、パートタイム労働者と正社員の共通の評価・資格制度や短時間正社員制度の導入、パートタイマーの能力開発などといった均衡処遇に向けた取組を行う事業主に対し助成金を支給するというものですが、本日はその概要を取り上げてみたいと思います。
□支給申請ができる事業主
 労働保険適用事業主(規模は問わない)
□支給メニューと支給額
 正社員と共通の処遇制度の導入 50万円
 パートタイマーの能力・職務に応じた処遇制度の導入 30万円
 正社員への転換制度の導入 30万円
 短時間正社員制度の導入 30万円
 教育訓練の実施 30万円
 健康診断・通勤に関する便宜供与の実施 30万円
  ※いずれのメニューも支給は1事業主1回限り
  ※のメニューはいずれか一方を選択。のメニューは、からのメニューのいずれかの助成金を受給した場合のみ受給可能。
□支給条件および申請手続
・平成18年4月1日以降に制度を新たに設けてから(就業規則または労働協約に規定することが必要)2年以内に対象者が出た場合に支給されます。
・支給申請期間は、対象者が出てから3ヶ月以内。
・申請は、財団法人21世紀職業財団地方事務所で受付。
・支給対象となる「パートタイマー」とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用される正社員に比べ短い労働者で、「パート」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「準社員」といった呼び方によって取扱は変わりません。



参考リンク
財団法人21世紀職業財団「パートタイム助成金の支給」
http://www.jiwe.or.jp/gyomu/partt/zyosei/jyoseikin_2.html
労務ドットコム「助成金診断ソフトv2006_01(平成18年4月版) 」
https://www.roumu.com/soft/soft_jp.html


(大津章敬)


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労働政策審議会中間報告に見るホワイトカラーエグゼンプション制度の検討ポイントその1(対象労働者)

 本日は昨日に引き続き、労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」の中から、注目のホワイトカラーエグゼンプション制度(自律的労働にふさわしい制度の創設)に関する部分について、今日と明日の2日に亘って、そのポイントをご紹介します。まず本日は対象労働者の範囲について取り上げてみましょう。
(基本的な考え方)
 産業構造が変化し就業形態・就業意識の多様化が進む中、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、緩やかな管理の下で自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者について、一層の能力発揮をできるようにする観点から、現行の労働時間制度の見直しを行う。
[対象労働者の要件等]
自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者は、次のような者とする。
1)使用者から具体的な労働時間の配分の指示を受けることがない者であること、及び業務量の適正化の観点から、使用者から業務の追加の指示があった場合は既存の業務との調整ができる者であること(例えば、使用者からの追加の業務指示について一定範囲で拒絶できる者であること、労使で業務量を計画的に調整する仕組みの対象となる者であること)。
2)健康確保の観点から、1年間を通じ週休2日相当の休日があること、一定日数以上の連続する特別休暇があることなど、通常の労働者に比し相当程度の休日が確保されている者であること。また、健康をチェックし、問題があった場合には対処することができる仕組み(例えば、労働者の申出があればいつでも、又は定期的に医師による面接指導を行うこと)が適用される者であること。
3)業務量の適正化及び健康確保を確実なものとするため、出勤日又は休日が1年間を通じあらかじめ確定し、出勤日における出退勤の確認が確実に実施されている者であること。
4)1年間に支払われる賃金の額が、自立的に働き方を決定できると評価されるに足る一定水準以上の額である者であること。
上記の事項について、対象労働者と使用者が個別の労働契約で書面により合意していることとする。
この制度が自律的な働き方にふさわしい制度であることを担保する観点から、物の製造の業務に従事する者等をこの制度の対象とはならないものに指定することとする。
[導入要件等]
この制度を事業場に導入するかどうかについては、当該事業場の実情に応じ、当該事業場の労使の実質的な協議に基づく合意により決定することとする。
事業場における対象労働者の範囲については、法に定める対象労働者の要件を満たす範囲内において、当該事業場の労使の実質的な協議に基づく合意により定めることとする。この場合、事業場における対象労働者の範囲については、当該事業場の全労働者の一定割合以内とすることについては慎重に検討する。
この制度のより弾力的な運用を可能とする観点から、年収が特に高い労働者については、労使の実質的な協議を経ずに対象労働者の範囲に含めることができるようにすることについて検討する。
対象労働者は、いつでも通常労働時間管理に戻ることができることとする。


 今回の労働政策審議会の議論の中でも、もっとも注目を浴びているホワイトカラーエグゼンプション制度ですが、この中間報告では、年収要件についてその具体的な金額例を示すには至りませんでした。一方で、物の製造の業務に従事するものの適用除外や、対象労働者数を全従業員の一定割合に制限するといった、より具体的な要件の示されており、今後の審議会での検討が待たれるところです。明日はこの制度を導入した際の効果やそれによる労務管理への影響についてお話したいと思います。



参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf
関連blog記事
2006年06月16日:労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」公表
https://roumu.com
/archives/50604513.html

2006年04月24日「労働政策審議会労働条件分科会におけるホワイトカラーエグゼンプション制度検討の視点」
https://roumu.com
/archives/50521098.html


(大津章敬)


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労働契約法の議論における有期労働契約に関するポイント

 先週金曜日の当blogでご紹介した労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」を読み込んでみましたが、読めば読むほど、実務に非常に大きな影響を与える事項が検討されていることが分かります。今回は労働時間法制に関する部分が大きく取り上げられていますが、労働契約法に関しても非常に具体的な議論がなされています。そこで本日はその中から、「有期労働契約をめぐるルールの明確化」に関し、私が重要と判断したポイントをご紹介します。(該当箇所は資料の7ページ以降となります。)
労働契約の締結に関し、使用者は有期契約とする理由を示すとともに、その契約期間を適切なものとするよう努めなければならないものとする。
有期労働契約においては、使用者は、契約期間中はやむを得ない理由がない限り解約できないものとする。
有期労働契約が更新されながら一定期間(例えば、1年)または一定回数(例えば、3回程度)を超えて継続している場合において、労働者の請求があったときには、使用者は期間の定めのない契約の優先的な応募機会の付与を行なわなければならないこととすることについて、検討する。
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」において、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に限り求められている雇止めの予告について、一定回数(例えば、3回程度)以上更新されている者についても対象とすることについて、引き続き検討する。
は省略)


 実務的にこの内容を見ると、今後、有期労働契約を締結するのは(現在の夏休みの学生アルバイトのように)初めから短期での雇用が明確な場合に限定され、世間で一般的に行なわれている1年契約に基づく契約社員制度は維持できないのではないかと思われます。雇止めのトラブルの増加や同一価値労働同一賃金の流れからすれば、当然このような結論になるでしょうが、企業経営の観点から見れば、現在の有期労働契約者の多くが移行するであろう定型的職務を主として担当する正社員層の賃金水準を抑制に繋がり、結果的には正社員間の処遇格差が拡大することになるのではないでしょうか。以前より、将来的には正社員は成果を中心として評価されるコア社員が年俸制(ホワイトカラーエグゼンプション制度)へ、その他の多くの労働時間に基づいて働く一般社員は時給へと二極化が進むだろうとお話していますが、その時期が徐々に近付いて来ているように感じてなりません。



参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf


(大津章敬)


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7月18日「福祉施設におけるコーチング活用術~指示待ち職員をゼロにする方法~」セミナー受付開始!

7月18日「福祉施設におけるコーチング活用術」セミナー受付開始! 株式会社名南経営では、7月18日に名古屋で社会福祉法人様向けの労使コミュニケーションに関するセミナーを開催します。


 


■セミナー概要
 「部下がなかなか思うように動いてくれない」等の声を福祉施設関係者(施設長等)から耳にすることが多々あります。しかし、こういった問題の主たる原因は、上司と部下とのコミュニケーションの不足であることが多く、どちらか一方の改善によりある程度解消できるものであると考えられます。こうした解決手段のひとつとして『コーチング』という技法がありますが、相手の自発的な行動を促すコミュニケーションの技術として近年一般企業を中心に導入が進んでいます。このセミナーでは、福祉施設における『コーチング』の具体的な活用法を、実際に積極的に活用したことで指示待ち職員を劇的に減少させたA施設様の事例を交えながらお話させていただきます。是非、ご参加下さい。


■チェックしてみましょう
あなたはいくつ当てはまりますか?
 □職員がマニュアルのような対応しかできず悩んでいる
 □自分でやったほうが早いと、つい自分でやってしまう
 □職員はよくやっているが今ひとつ大きく伸びず悩んでいる
 □職員にあまり問題意識がなく悩んでいる
 □自分と合わない部下とどう接したらよいかわからない
 上の項目に3つ以上チェックされた方は、当セミナーを受講することを強くお勧めします!
 
■開催要領
対 象:社会福祉法人の施設長・事務長
    ※社会福祉法人関係者以外のお申込みはお断りさせて頂きます。
日 時:平成18年7月18日(火) 午後2時より午後3時30分まで 
場 所:名南経営本館4階研修室(名古屋市・熱田)
講 師:株式会社名南経営 人事コンサルタント 志治 英樹
定 員:30名
受講料:5,000円(消費税込)


■お申込みは以下よりお願いします■
http://www.meinan.net/seminar/seminar_shafuku.html


(志治英樹)


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スタート直後の反応が重要

 最近聞いた話の中で、当たり前のことながら、改めて「そうだ」と思わされる話がありました。モバイル・インターネットキャピタル株式会社のCEO兼CIOである西岡郁夫氏の話です。新規事業などに挑戦するときの姿勢について、氏はおおむね以下のように指摘しています。



「スタートするまでは、市場調査などを行い、全精力を挙げてスタートダッシュに備える。しかし問題はそこで全ての精力を使い果たしてしまうこと。スタートしてから、手を抜くわけではないが関心が薄れてしまい、そして数ヶ月経った後、結果が悪い点について、いろいろと反省点を拾い出したりすることが多い。」



 氏は「そこで最も問題となるのが、スタート直後の顧客の反応、すなわち、立ち上げ直後の成果や影響度について、更に全神経を使ってチェックすることが重要だ」と指摘します。確かに、もしその時点で仮説と食い違う点があったら軌道修正をすることができます。微調整も多く発生するかもしれませんが、細かく細かく調整を施すことで、事業への成功確率も上昇します。


 しかし現実には、スタート時点までの段階で情熱を使い果たし、スタートしてみると既に精力・情熱の傾注度が格段に落ちてしまっていることが多いのではないでしょうか。実際にさまざまな企業の現場を見ていても、経営計画はしっかりしているのに、いざ行動となると計画段階の情熱が伴わず、結果、計画倒れに終わっているケースは、数知れず目にしてきました。


 スタート直後の反応が重要という氏の指摘は、私の経験からも全くうなずける指摘です。


(佐藤澄男)


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利用が進む労働審判制の概要

 今年の4月より労働審判制がスタートし、全国の地方裁判所において審理が開始されています。申し立て件数はまだ数えるほどですが、着実に件数は増えてきています。そんな中、今月8日に名古屋地裁においても制度開始後初となる調停が成立しました。その概要は以下のとおりとなっています。
□概要
 名古屋市中川区在住の女性が、勤務していた梱包会社を相手取り、平成18年4月3日、労働審判委員会へ解雇無効確認等の申し立てを行った。その結果、翌月5月8日に調停が成立し解雇の撤回、女性の職場復帰が確定した。


 労働審判制度とは、これまでうまく機能していなかった「個別労働紛争」分野の労働者保護を趣旨とする制度です。この制度が成立する以前においては、労働局へのあっせん申請、または民事訴訟へ争いの場を移すという方法しかありませんでした。労働局におけるあっせんについてみれば、相手方企業が応じなければそもそも成り立たないといった強制力の弱さがあり、一方、民事訴訟においても費用、時間がかかりすぎるといった難点があるといったように、いずれも使い勝手の良いものではありませんでした。


 これらそれぞれの難点を排除し、利点を集結させたものが、今回成立した労働審判制度です。具体的には短期の期日で強制力のある結論を出す制度となっています。上記の例においては申し立てから1ヶ月足らずで決定がなされており、当事者が感ずる負担感も、これまでの制度に比べて格段に少なくなっています。


 これまでと比べ労働者が利用しやすい制度になったとはいうものの、問題も残されています。それは、あくまでも対象が「個別」労働紛争であるという点です。これがゆえに「集団的」と位置づけされる労働組合は、組合の案件を個人で申し立てる場合を除き、その名目では介入をすることができません。よって、労働者個人が単独で企業と対峙せざるを得ず、ともすれば主張力の弱い労働者が、強制力のある決定をもって望まない結論を甘受せざるを得ない状況に陥りかねないというリスクが混在します。また、これは決して労働者が企業を訴えるのみの制度ではありません。理論的には企業側から労働者を訴えることも可能な制度ですので、今後はより一層、双方が良好な労使関係の構築に気を配る必要が出てくるものと思われます。



参考リンク
裁判所「新しい労働紛争解決制度(労働審判制度)について」
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/1803_02_roudousinpan.html
愛知県労働委員会「個別労働関係紛争のあっせん」
http://www.pref.aichi.jp/rodoi/kobetu/kobetu.html


(武内万由美)


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無駄な会議を開いていませんか

 中部経済新聞に、宇井経営コンサルティング事務所代表の宇井克己氏が、「誰でもできるカンタン会議活性化術」という連載をされています。実践に即した示唆に富んでいて、私も興味を持って毎回愛読しています。例えば、会議で意見が出なくなったときの活性化術として、二人一組で意見を出させる等のワザが紹介されていましたが、大変面白い方法だと思います。


 たくさんの人が集まる会議の場ですと、自ずと「意見する人」「聞き役に徹する人」という役割分担は決まってきます。しかし二人一組となり一対一の対話となるとそうはいきません。もちろん組み合わせ等には配慮も必要ですが、普段意見が出ない人の考えも聞くことができ、会議のマンネリ化も防ぐことができます。また、「会して議せず、議して決せず、決して行わず」などと言われ、会議不要論さえ唱えられています。これも非常に納得のいく意見です。


 確かに、意思疎通を行い一体感を保つために、会議は重要な役割を果たします。そのために会議はなくてはならない場です。しかし、だらだら会議を行い、何も決まらず、何も行動が始まらないのは、ただの時間の無駄遣いと言えます。会議は多くの社員が会して行いますので、たとえ1時間であったとしても、10人寄れば10時間の工数となります。普段の業務以上に中身のある時間にしていかなければ、会議を行うこと自体がムダとなってしまいます。


 現実問題として、だらだら会議、マンネリ会議は多く存在しています。特に定例会議等は、毎回同じ顔ぶれで同じ議題で同じ結論となり、時間の浪費に終わっていることも多いのではないでしょうか。そういった会議はむしろ不要で、誰かが資料をまとめ回覧するだけでも事足りるのではないでしょうか。会議は意思疎通、一体化の場。短時間で内容の濃い会議を行うために、このシリーズはぜひお勧めしたい内容です。


(佐藤澄男)


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複数の会社で勤務した場合の労働時間




 ある労働者が1日に、A会社で7時間勤務し、その後にB会社で3時間勤務しました(休憩時間を除く)。このような場合の労働時間と割増賃金は、どのように計算すれば良いでしょうか。



 労働時間は、事業場を異にする場合においても通算するとされています。このケースの労働時間は10時間であり、1日の法定労働時間は8時間ですので、上記の場合は、法定労働時間を超えた時間にその労働者を使用していたB会社に2時間分の割増賃金の支払いが生じることになります。


 また、「事業場を異にする」とは、労働者が1日のうち、甲事業場で労働した後に乙事業場で労働することを言います。この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれるとされています。


 ここで問題になるのは、従業員本人が会社に複数就業を申し出ているかという点です。もし、複数の会社で勤務していることを知らなければ、たとえ割増賃金が発生していても、支払われないことになります。


 就業規則では二重就業を禁止していることが多く、たとえアルバイトをする場合でも会社の承認が必要とされることが通常です。また、従業員本人も不利になるという思いから、会社には申し出ていないケースが多いのではないでしょうか。しかし、近年の就業形態の多様化や会社の業績の悪化等で賃金が低下し、現実には複数就業を容認している会社が増えてきているのも事実です。昨年、「今後の労働契約法制の在り方」が報告され、労働時間法制の見直し等が挙げられています。今後は労働基準法の見直しも含め、複数の事業場で働く場合の労働時間の通算規定も議論されるところであり、どのようになるのか注目したいところです。



参考リンク
厚生労働省「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会 報告書」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/09/s0915-4.html
福島労働局「労災保険の通勤災害保護制度が拡大されます」
http://www.fukushimaroudoukyoku.go.jp/rousai/hosyo_tuukinsaigai.html


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