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エンプロイメンタビリティ改善による企業魅力度の向上

 エンプロイヤビリティ(Employability)という言葉は今や、一般の経営用語といっても良い位、世間に浸透してきています。この言葉は一般的に「社員が他の会社で通用する能力」という意味合いで使われていますが、その理解で十分なのでしょうか?日本経済団体連合会は、エンプロイヤビリティを「転職を可能にする能力」と定義するのと同時に、「当該企業において継続的に雇用され得る能力」と定義しています。一部で「社員のエンプロイヤビリティの向上は社員の転職を促進する」といった論調も見られますが、それは非常に一面的な見方であり、社員の能力向上により業務の質の向上や、組織への求心力を高めるという意味からも、社員のエンプロイヤビリティの開発は、企業にとっても重要な課題となっていると理解する必要があるでしょう。


 一方、エンプロイヤビリティの対語として、「エンプロイメンタビリティ(Employment Ability)」という言葉があります。前者が「社員が雇用されうる能力」とすると、後者は「会社が雇用しうる能力」、現在・未来の社員を雇用できる能力のことを指し、「人材を引きつける力」と言い換えることもできるでしょう。会社は自社の商品・サービスの価値を高めていますが、それだけでなく会社の内側の価値を高めなければならなくなってきました。人材が流出したとしても市場から人材が流入してくれば会社は事業を継続することができ、入社した人材が優秀であれば、より望ましい結果になります。一方、人材が流出したままで人材が流入しなければ、最悪の場合、残った社員さえも流出してしまうこともあるでしょう。


 特に今後は若年労働者の現状により、人材の獲得合戦が繰り広げられることが予想されるため、企業としてはエンプロイメンタビリティの向上が重要な人事戦略となってきます。これを向上させるためには、既存社員のエンプロイヤビリティを高め、彼らに「この会社であれば自分が成長していける」という、成長実感を持たせる環境を構築することが重要となります。社員は自分で育つものと考えることもできますが、社員の力だけに成長を任せず、会社が積極的にその成長を促すことが求められています。成長実感を持ち、生き生きと仕事に取り組んでいる社員がいる会社に、ヒトは魅力を感じるのではないでしょうか。それでは次回は「燃え尽き症候群」を紹介していきたいと思います。お楽しみに。


(福間みゆき)


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平成19年4月に行われる労働関連法改正のポイント~健康保険法・雇均法の改正(2/2)

 昨日は平成19年4月に改正される労働関連法の中から、雇用保険法の改正のポイントについてお話しました。2日目の今日は、健康保険法および男女雇用機会均等法改正のポイントをみていくこととしましょう。


[健康保険法改正]
 健康保険法は、昨年10月より徐々に改正が行われていますが、4月から実施される主な改正点は5つあります。
標準報酬月額の上下限の変更
標準賞与額の上限の変更
傷病手当金・出産手当金の支給額変更
任意継続被保険者の給付の一部廃止
被保険者資格喪失後の出産手当金の廃止
  いずれも実務上大きな影響がありますが、ここでは社会保険料に関連する2つのポイントを取り上げましょう。
標準報酬月額の上下限の変更
 保険料の計算や各種給付の計算基礎となる標準報酬月額には上限および下限が設けられていますが、現在は下限が9万8千円、上限が98万円となっています。今回はこれが改正され、下限5万8千円、上限121万円となります。この変更により、月額報酬が120万円の被保険者は、年間10万円以上の保険料負担増加となります。


標準賞与額の上限の変更
  現在、賞与が支給された場合の社会保険料は、標準賞与額に毎月の保険料と同率の保険料率を乗じて算出されます。この標準賞与額にも、支給1回につき健康保険は200万円、厚生年金では150万円という上限が設けられていますが、今回の法改正により上限が年間(4月1日~3月31日の年度で判断)の賞与累計額で540万円に引き上げられることとなりました。平成15年4月の総報酬制導入に伴い、賞与支給回数を減らし、この上限を活用することで社会保険料の節減を行っていた企業にとっては、保険料負担の増加が予想されます。なお、この取扱は健康保険のみであり、厚生年金保険については従来どおりとなっているため、注意が必要です。


[男女雇用機会均等法改正]
 男女雇用機会均等法は、これまでは「女性保護」という福祉的な意味合いが強くありましたが、今回、「職場に働く人が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分発揮することができる雇用環境の整備」という考えをのもとに以下の7点の改正が実施されます。
性別による差別の禁止
禁止される差別の追加
間接差別の禁止
妊娠・出産等の不利益取扱いの禁止
セクシャルハラスメント対策義務化
ポジティブ・アクションの推進
企業名公表・過料の創設


 この中でも特に注目すべき事項は、セクシャルハラスメント対策の義務化でしょう。これまでは、職場における女性に対するセクシャルハラスメント対策としては、「雇用管理上必要な配慮をすること」が事業主に義務付けられていましたが、改正により、「雇用管理上の必要な措置を講ずること」が義務付けられました。その必要な措置とは、以下の4点です。
事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
職場におけるセクシャルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
からまでの措置と併せて講ずべき措置
 今後は、苦情窓口の設置や就業規則の服務規律へのセクハラ条項の追加、懲戒処分の明確化など、従来よりも具体的な措置を企業として実施していくことが求められています。


 このように今春もいくつかの法改正が予定されています。就業規則の改定を含め、実務的に対応しなければならない事項が複数ありますので、早めの準備をオススメします。



参考リンク
社会保険庁「医療保険制度が改正されました」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1004.html
厚生労働省「平成19年4月1日から、改正男女雇用機会均等法等が施行されます」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/kaiseidanjo/index.html


(宮武貴美)


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健康診断自己診断カード

健康診断自己診断カード これは社員に自分の健康状態をチェックさせるための書式になります。社員の個人情報にあたるため、プライバシーや健康情報の取扱いに配慮が必要となります。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 health_selfcheck.doc(38KB)
PDFPDF形式 health_selfcheck.pdf(15KB)

[ワンポイントアドバイス]
 過労死やメンタルヘルスの問題が大きくなる中、企業には社員を健康で安全に働かせるという安全配慮義務の履行が強く求められています。健康管理はまずは社員自身の大きな責任ではありますが、企業としても定期的にその健康状態や業務の状況を把握し、必要な対策を取ることが重要になります。健康診断は年に1度の受診が義務付けられていますが、この診断カードは、毎月あるいは数ヶ月に1回程度のペースで自らの健康状態について自己チェックを行うためのものです。自覚症状がある場合には、産業医に相談したり検診を受けさせ、業務量が慢性的に多い場合にはその改善を図ったり、業務担当を変更させるなどの対応も必要になるでしょう。社員ごとに経過が分かるようにファイリングし、自覚症状の変動がないか、症状が長期に渡っていないかなどチェックして活用すると良いでしょう。


関連blog記事
2007年2月20日「【労務管理は管理職の役割】社員の健康管理と健康診断等の受診命令」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50893915.html

 

(福間みゆき)

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平成19年4月に行われる労働関連法改正のポイント~雇用保険法の改正(1/2)

 平成19年は労働関連法の大改革の年になるといわれています。昨年末から日本版ホワイトカラー・エグゼンプションや時間外割増率の引上げなど、労働に関する法改正の記事が毎日のように新聞紙上を賑わせていたのは記憶に新しいのではないでしょうか。こうした労働基準法等の改正は平成20年以降の施行が予定されていますが、それに先立ち、今年の4月にも様々な法律改正が予定されています。そこで今回は今日・明日の2回に分け、平成19年4月に改正される労働関連法の中から、実務への影響が大きいものを取り上げ、そのポイントをみていくこととしましょう。初日の今日は雇用保険法の改正について取り上げることとしましょう。


[雇用保険法改正]
※雇用保険法については、本記事掲載時点では法律が成立しておりませんので、時期・内容等変更の可能性があります。ご了承下さい。
 4月(については10月)施行の改正雇用保険法における主な改正点は以下の6つとなります。
保険料率の見直し
被保険者資格および受給資格要件の一本化
育児休業給付制度の拡充等
失業等給付に係る国庫負担の在り方の見直し
雇用保険三事業および労働福祉事業の見直し
教育訓練給付および雇用安定事業等の対象範囲の見直し
 以下ではこの中でも、特に事業主と被保険者に直接的影響のある3つの事項について解説します。


保険料率の見直し
  雇用保険財政は一時期非常に深刻な状況に陥りましたが、雇用情勢の好転により、その財政も改善が進んでおり、今回、雇用保険料率の引き下げが行われることとなりました。具体的には保険料率が一般の事業で1.6%から1.2%に変更になります。
※具体的な保険料率の改定実務については、法律が成立し、取扱いが決定しましたら、改めて当blogでお伝え致します。


被保険者資格および受給資格要件の一本化
  雇用保険の被保険者区分は現在、[一般被保険者]と[短時間労働被保険者]の2つに分けられています。以前はこの区分により失業した際の基本手当の所定給付日数が異なっていましたが、これも既に一本化されており、区分を設けている意味合いが薄れていました。今回の改正ではこの区分が廃止され、被保険者資格と受給資格要件が一本化されます。この一本化に合わせ、退職理由が自己都合等の場合には基本手当の受給資格要件を満たすための被保険者期間が12ヶ月(従来は6ヶ月)以上必要とされることになりました。基本手当の受給可否は退職者のその後の生活に密接に関わる部分であり、問題になりやすいポイントであるため、実務担当者はしっかりと理解しておく必要があるでしょう。


育児休業給付制度の拡充等
 雇用保険が行っている育児休業中の支援制度として、育児休業給付制度があります。この制度は、休業前賃金の40%を支給するものですが、今回、この給付水準が暫定的に50%に引き上げられます。この引上げとなる10%は育児休業者の復帰を促進するため、職場復帰6ヵ月後に受けられる給付率(10%から20%)に当てられることとなっています。


 それでは明日は健康保険法および男女雇用機会均等法の改正について取り上げたいと思います。



参考リンク
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案」について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/02/h0209-1.html


(宮武貴美)


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保存有給制度を導入して欲しいと社員から要望がありました

 服部印刷にはいくつか良い点がある。その中でも服部社長の社員に対する考え方が素晴らしい。服部は父親が創業した服部印刷の2代目社長であるが、大学を卒業後の数年間、ある大手の印刷会社に就職をした。その会社は、強力なオーナー社長がまるで独裁政治を敷いているような状態で、また社内の派閥争いが激しく、社員は常に上司の顔色を伺いながら仕事をしているような状態であった。また過剰な顧客第一主義により、社員は常にお客様の無理難題に苦しめられ、労働時間もいまで言えば、過労死認定基準を超えるような状態が続いていた。そんな苦い思い出があるだけに、社長に就任してからの服部は、社員が安心して、快適に働くことこそが、良い仕事に繋がるという信念を持って、会社運営を行ってきた。そんな取り組みの一つとして、四半期ごとに開催されている社員懇談会がある。この社員懇談会では、社長と宮田部長が、社員有志と「どうすればもっと良い仕事ができるだろうか」という視点で、ざっくばらんに意見交換を行っている。労働組合のない服部印刷では、ここで様々な社員の意見を吸い上げ、会社の施策に反映させてきた。


 さて、そんな中、先日開催された社員懇談会で、社員より保存有給制度を導入して欲しいという要望が出された。しかし、服部も宮田も、それをどのように検討すれば良いのか、良く分からない。そこで大熊に相談することとした。



服部社長:
 大熊さん、当社で定期的に社員懇談会を開催しているのはご存知ですね?
大熊社労士:
 えぇ、例の「社懇」というものですよね。
服部社長服部社長:
 そうです、そうです。その社懇で、ある女性社員から「保存有給制度を導入して欲しい」という要望が出されたんですよ。当社では年次有給休暇は法律どおりに付与しているのですが、それを超える有給を認めるということになるようなので、対応に困っていしまいました。大熊さん、保存有給制度というのはどんなものなのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、保存有給制度とは、本来であれば消滅してしまう年次有給休暇を一定の日数まで保存し、私傷病などによる長期欠勤の際に取得できるようにする制度のことを言います。ご存知のとおり、労働基準法では入社し6ヶ月経過すると10日の年休が付与され、その後、勤続年数が1年増すごとにそれに対応した日数が毎年、付与されることになっています。また当年度中に取得できなかった場合には翌年度に限り、持ち越すことができることになっています。つまり入社して1年半を経過した時点で、前年度に1日も年休を取得していない場合には前年度分10日プラス、今年度分11日の合計21日の休暇が与えられることになります。
宮田部長:
 そうですね、当社でもそのように有給休暇の管理を行っています。
大熊社労士:
 一方で、この年次有給休暇は、付与から2年を経過するとその取得ができなくなり、権利が消滅してしまいます。保存有給休暇制度は、この消滅してしまう年休を積み立てておき、私傷病などによる長期欠勤の際など、特定の事由による休業の場合に限り、取得することを認めるという制度です。言ってみれば、福利厚生制度の一環といったところですね。
服部社長:
 なるほど、単純に有給休暇が増えるというのではなく、時効分を積み立てておいて、特定の事由の場合だけ取得を認めるのですね。これは社員にしてみれば、病気や怪我で長期欠勤しなければならない状況になっても一定の範囲で有給休暇が認められ、非常に大きな安心感に繋がりそうですね。ちなみに、この制度は多くの企業で取り入れられているものなのですか?
大熊社労士:
 えぇ、統計調査などがあるかは分かりませんが、私の感覚では中堅以上の企業では比較的よく見られる制度ですね。特に労働組合がある場合には、組合からこの制度の創設要求が出されることが多いようです。
服部社長:
 そうですか。宮田部長、どうだろう。せっかくの社懇での提案だし、ここは4月から当社でも導入してみてはどうだろうか?
宮田部長宮田部長:
 はい、社長。私も賛成です。現実問題として、取得事由を私傷病による長期欠勤に限れば、それほど頻繁に適用者が出るような制度でもないと思いますので、コスト的にも影響は少ないと思います。是非、導入してあげましょう。それでは大熊さん、具体的に導入を考える場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
大熊社労士:
 具体的な運用においては、まずは以下の5点のルールを定めることが必要となります。
保存有給休暇としてストックできる年休の上限日数
保存有給休暇を取得できる事由
年次有給休暇との兼ね合い(保存有給休暇は、法定の年休をすべて取得した後に初めて使用できるなど)
出勤率計算などにおける保存有給休暇取得期間の取扱い
保存有給休暇取得期間と休職の期間との関係
宮田部長:
 ありがとうございます。それでは早速案を作成してみます。完成したらメールでお送りしますので、チェックをお願いします。
大熊社労士:
 承知しました。これでまた社員のみなさんにとって安心して働ける会社に一歩近付きますね。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 今日は最近の春闘での要求事項として出されることが多い保存有給制度について取り上げてみました。この制度は服部社長とのやり取りにもあるように、労働基準法に基づき付与された年次有給休暇のうち、時効で消滅する分を上限日数を設定した上で累積させ、取得事由を限定した上で恩恵的に取得させるというものになります。一般的には私傷病や介護、ボランティアなどをその取得事由として定めますが、企業としてはそれほど多くの負担なしに、利厚生の充実を図ることができるため、良い制度ではないかと考えています。実務上は就業規則に保存有給制度に関する簡単な規定を置いた上で、別途定める保存有給休暇制度運用規程にその詳細を定めることが通常です。社員が安心して働くことができる環境の構築のためにも、制度導入の検討をされてはいかがでしょうか?

[関連条文]
労働基準法第39条(年次有給休暇)
 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
※第2項以下省略
労働基準法第115条(時効)
 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。



関連blog記事
2006年3月8日[福利厚生]保存有給休暇制度の活用
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50440977.html


(大津章敬)


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【労務管理は管理職の役割】社員の健康管理と健康診断等の受診命令

 大熊ブログの立ち上げで久し振りとなりますが、本日は【労務管理は管理職の役割】の第10回をお送りしましょう。近年、企業においては社員の健康管理およびそのリスク対策が重要な労務管理上の論点となっています。特にこれから新入社員を迎える時期に突入していきますが、入社間もない社員に精神面での不安が感じられた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。


 社員を雇い入れた際には、労働安全衛生法および同法施行規則に基づき、指定の項目について医師による健康診断を行わなければならないと義務付けられています。しかし、既往歴・自覚症状等を記入する欄はあるものの、本人の申告はなかなか為されず、またそもそも本人が自覚等をしていなければ、特に精神的な部分については分かりにくいのが実際のところでしょう。しかし、使用者は社員の健康管理に関する配慮義務を負っていますので、この義務を果たすために、労働者の健康情報を把握し、必要な対応を取ることが求められています。最近は特に安全配慮義務が過労死や過労自殺に関する裁判で取り上げられており、社会的に強く求められる傾向になっていますので、労働者の健康状態に不安を感じたときは放置しておくことができません。ここで健康管理のための受診命令に関してリーディングケースとなった最高裁判決をみてみましょう。


電電公社帯広事件(最高裁1小 昭和61年3月31日判決)
「要管理者(労働者)がその健康回復のために従うべきものとされている健康管理従事者(会社の健康管理担当者)による指示の具体的内容については、特に就業規則ないし健康管理規程上の定めは存しないが、要管理者(労働者)の健康の早期回復という目的に照らし合理性ないし相当性を肯定しうる内容の指示であることを要することはいうまでもない。しかしながら、右の合理性ないし相当性が肯定できる以上、健康管理従事者(会社の健康管理担当者)の指示できる事項を特に限定的に考える必要はなく、例えば、精密検診を行なう病院ないし担当医師の指定、その検診実施の時期等についても指示することができるものというべきである。」


 この判決からわかるように、健康状態に問題があると危惧される場合は、業務上必要な範囲において使用者は労働者の健康状態についての情報を得るための受診を指示することが許されます。電電公社帯広事件では、就業規則等への定めは存しなくても受診を指示できると読めますが、受診を「業務命令」の一環として命じるためには、健康診断受診命令権を就業規則に明確に規定しておくことが望ましいでしょう。更に、日頃から部下の行動を観察し、おかしな症状や行動がみられたときには、きちんと文書で記録を残しておき、また、受診命令を所属の管理職一人で判断するのではなく、会社の人事担当責任者や健康管理担当責任者と相談することが望まれます。それでもなお判断に迷う場合は、産業医へ具体的な状況を正確に報告し、相談することも一つの工夫です。



参照条文
労働安全衛生法第66条(健康診断)
 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
労働安全衛生法施行規則第43条(雇入時の健康診断)
 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行なわなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(健康診断の項目は省略)


(鷹取敏昭)


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業務依頼書

業務依頼書 これは社員が他の社員に対して業務依頼をする際に渡す依頼書の書式サンプルです。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 gyoumu_irai.doc(33KB)
PDFPDF形式 gyoumu_irai.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]
 他者に業務を依頼する際、その生産性と質の高さに大きく影響を与えるのが、納期と目的です。業務を依頼された者は、納期を知ることで、他の業務との優先順位を決めることができます。そして、業務の目的を伝えることで、何のためにこの業務を行うのかを理解でき、また間違いに気づいたり、違うやり方の方がより良いのではないかと考えることができます。口頭での業務依頼ではどうしてもこうした点が甘くなりがちで、大きな生産性の阻害要因となっていることが少なくありません。業務を依頼する際にはこうしたフォーマットを活用し、確実な指示伝達を行いたいものです。

(福間みゆき)

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被服毀損・亡失届

被服毀損・亡失届 これは社員が貸与されている制服を毀損・亡失したときに、その再貸与のために提出させる書式のサンプルです。

[ダウンロード]
WORDWord形式 hifuku_kison.doc(31KB)
PDFPDF形式 hifuku_kison.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]
 制服は業務で使用する以上、どうしても毀損などが発生し、その交換・再貸与が必要となります。よって、あらかじめその交換ルールについて明確化しておくことが重要です。その際、定められた耐用期間よりも早く、毀損や亡失が発生した場合で、その本人の過失が大きい場合には、適切な指導を行った上で、場合によっては実費徴収などの措置が必要となることがあるかも知れません。いずれにしても管理ルールを徹底し、社員の意識を高めることがポイントとなります。


関連blog記事
2007年2月18日「制服貸与依頼書」
https://roumu.com/archives/52421464.html

 

(福間みゆき)

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社員のプロフェッショナル化とその組織への影響

 「プロフェッショナル」と聞くと、専門性が高く、特別な人だけが当てはまるようなイメージがありますが、社員の専門性志向が高まりにより、人材のプロフェッショナル化が進行しつつあります。その背景には、多くの大企業の破綻とそこでの再就職の難しさをマスコミなどを通じて目の当たりにした経験から、会社だけで通用する能力ではなく他の会社でも通用する能力(エンプロイアビリティ=雇用される能力)を身につけようとする動きが強まっていることが指摘されるでしょう。


 このような動きがある中で、企業においては社員が希望しない仕事には就きたくないと異動を拒んだり、部下をもつことよりも専門性を高めたいと昇進を辞退するといった「人事異動」に関するトラブルが頻発しています。本来人事異動は組織の活性化や社員の適正配置・能力向上を目的として行われるものですが、それが結果として社員のモチベーションが下げてしまうことも少なくありません。この問題を考えるにあたっては、会社は社員に対して何を期待しているのかについてメッセージを伝え、会社の方向性と社員本人のキャリアプランをすり合わせてみることが重要です。人事異動に際してこの手続きを踏んでいるかどうかが、社員本人の動機づけにも大きな影響を与えることとなります。


 社員のプロフェッショナル化に関するもうひとつの問題が、そのキャリア支援です。プロフェッショナルは前回お話したように準拠集団を「所属している会社」ではなく、外部に持つ傾向が強く見られます。そのため、そのキャリア形成においては、外部に対して積極的に係わることを会社として応援していくことが欠かせないでしょう。また、プロフェッショナル志向の高い社員は「会社」で働くことよりも、仕事に専念できる「環境」や「仕事そのもの」に重きを置いています。そのため会社として、どのような仕事環境をつくっていくかという視点を加えて考えていく必要があるでしょう。次回は「エンプロイメンタビリティ」についてお話したいと思います。お楽しみに。



関連blog記事
2007年2月11日「社員の成長と準拠集団」
https://roumu.com
/archives/50881741.html


(福間みゆき)


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制服貸与依頼書

制服貸与依頼書 これは社員に制服を貸与する際に、申請させるための書式サンプルです。

[ダウンロード]
WORDWord形式 seifuku_taiyo_irai.doc(31KB)
PDFPDF形式 seifuku_taiyo_irai.pdf(10KB)

[ワンポイントアドバイス]
 男女雇用機会均等法の施行により、女性のみ制服着用を義務付けるのは望ましくないという考え方が広まり、近年は制服を廃止する傾向が強まっていますが、やはり医療や製造などの業種では現在でも幅広く制服の貸与が行われています。制服の管理については、その耐用年月数、洗濯・補修その他保管に必要な費用の負担、破損時の再貸与の基準、退職時の返納などの事項について取り決めを行い、制服貸与規程などを整備することが望ましいでしょう。

(福間みゆき)

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