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中国人事管理の先を読む!第3回「賞与相場と支給額の決定」

 毎年12月になりますと小社にも、賞与の相場に関する企業からの問い合わせが増えてまいります。「他社はどのくらいの賞与を支給するのか?」。他の企業がどのくらいの賞与を払うのか、管理者としてはとても気になるところです。年1回賞与を支給している企業と年2回支給している企業、或いは製造業と販売・サービス業とでは賞与支給月数の水準は異なりますが、多くの企業が業績を回復してきたこともあり、春節前のみ支給している製造業の賞与相場は2.2ヶ月~2.8ヶ月が平均支給額と思われます。

 昇給は物価上昇や政府の政策が大きく影響するため、昇給率を決定する際に世間相場は非常に重要な指針となりますが、賞与は企業個々の業績に左右されるものであり、必ずしも相場どおりにはいかないものでもあります。賞与の総額原資を決定する場合も、企業の業績指標を用いて決定していくのが一般的であり、指標としては「売上」「営業利益」の2つが使われ、それを「事業計画」と「前年対比」の2つの計画と比較して係数を使い、賞与月数を決めていきます。例えば掛け合わせた係数が1.1の場合は、全社員給与の2ヶ月分を原資にする等々。

 企業業績に合わせて総額原資を決めた後、それを社員にどのように配分していくかということも重要なポイントとなります。この配分に関しては社員の人事考課を用います。しかし、A評価だったから賞与を1.5ヶ月というように考課と支給月数とを紐付けしてしまうと賞与原資がコントロールできなくなり、考課が低い社員であっても給与水準が高ければ賞与が多くもらえる等の不具合が出、それを補い賞与原資の中に収めるためには、考課や支給月数を調整しなければならないという方法を使わざるを得なくなります。

 制度的合理性を考え、限られた賞与原資を考課結果に応じて配分していくためには、「考課ポイント制」を用いて社員個々の考課ポイントを決め、その考課ポイントに賞与原資から割り出したポイント単価を乗じ、賞与額を決定していく方法を使ってみて下さい。考課ポイントを使う場合には社員の役割責任(通常は等級を用います)と考課レベル(S、A、B・・・等)とのマトリクスを作り、表の中にポイントを埋め込んでいきます。社員の考課が決定したら、等級と考課に合わせて個々のポイントを決めていきます。原資を全ポイント数で割り、ポイント単価を出した後、社員の考課ポイントに掛け戻すという方法を行っていけば、考課を反映し、原資の中にも収まる賞与の決定が可能となります。

(2011年1月4日 Bizpresso掲載記事)

[執筆者プロフィール]
清原学
株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
海外人事労務チーム シニアコンサルタント(中国担当)
 1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー
・ジェトロ上海センター 人事労務委託業務契約
・財団法人 社会経済生産性本部コンサルティング部 経営コンサルタント
・兵庫県中国ビジネスアドバイザー
・神戸学院大学 東アジア産業経済センター アドバイザー


関連blog記事
2011年7月31日「中国人事管理の先を読む!第2回「インフレ経済下における賃金管理」」
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2011年7月30日「中国人事管理の先を読む!第1回「外国人の保険加入が義務付けに?」」
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2011年7月23日「東海日中貿易センター「中国社会保険法の施行と在華就労外国人への適用」」
https://roumu.com
/archives/51861405.html

2011年7月12日「中国進出企業が押さえておきたい「中国社会保険法」の影響と対策セミナー パソナ様主催で開催(東京・大阪)」
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2011年7月3日「当社中国人事労務コンサルタント清原学が東京投資育成様でセミナーを開催」
https://roumu.com
/archives/51856533.html

参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about

(清原学)

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高年齢者雇用安定法の全体像がよくまとめられた石川労働局のガイドブック

高年齢者雇用安定法ガイドブック 2010年12月17日のブログ記事「平成23年3月31日で終了する定年後の継続雇用制度の対象者基準に係る特例」で取り上げたとおり、60歳以降の継続雇用制度の整備が求められています。そんな中、石川労働局では「高年齢者雇用安定法ガイドブック」をまとめ、ホームページでの提供を開始しました。

 このガイドブックでは、高年齢者雇用安定法の概要から「高年齢者雇用確保措置」導入までの流れ、継続雇用対象者を限定する場合の基準の設定方法、更には就業規則の記載例や求職活動支援書の作成、各種助成金の内容まで、この問題に関する情報を多くの図表と共にまとめられています。高齢者雇用に関し、求められていることを確認するには非常によい内容となっておりますので、ダウンロードの上、ご活用されてはいかがでしょうか。

石川労働局「高年齢者雇用安定法ガイドブック」のダウンロードはこちら
http://ishikawa-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/ishikawa-roudoukyoku/antei/taisaku/koureisya/kounennreikoyou.pdf

 なお、高年齢者雇用安定法に関しては2011年6月9日のブログ記事「希望者全員の65歳までの継続雇用の方針が示された厚労省の報告書」で取り上げたとおり、秋以降、労働政策審議会でその改正に向けた検討が行われることとなっています。企業の人事管理や従業員の働き方に大きな影響を与える法改正ですので、継続的に注目しておきたいところです。


関連blog記事
2011年6月9日「希望者全員の65歳までの継続雇用の方針が示された厚労省の報告書」
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2011年3月30日「継続雇用制度の労使協定がない事業所における定年退職者の雇用保険離職理由は事業主都合扱いに」
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2010年12月17日「平成23年3月31日で終了する定年後の継続雇用制度の対象者基準に係る特例」
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2009年10月29日「増加する高年齢者の常用労働者数 今後は70歳までの雇用が焦点に」
https://roumu.com
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(大津章敬)

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社労士向け自動更新ホームページ 8月中 初期費用・会費割引のサマーキャンペーンを実施中

社労士向け自動更新ホームページ2 サマーキャンペーンを開始 弊社で運営している社労士向け自動更新ホームページ2サービスですが、今月いっぱい(8月31日まで)サマーキャンペーンを行っております。

 この自動更新ホームページは、ホームページ作成業者に依頼することなく、いつでもワープロ感覚でオリジナル情報をタイムリーに更新できる機能を提供するホームページサービスです。100種類のデザイン・カラーの組み合わせから選択できる豊富なテンプレートを用意しておりますので、非常に簡単な操作でオリジナルのホームページを作成することが出来、更には労務ドットコムを14年間運営してきた名南経営が最新ニュースなどのコンテンツを提供し、定期的にコンテンツが自動的に更新されますので、手間なくホームページの情報を更新することができます。

 今回のキャンペーンでは、初期費用・月額会費とも割り引き価格を設定しておりますので、是非この機会に利用のご検討をよろしくお願いします。詳細は以下をご覧ください。
http://www.mykomon.com/service/srhp/


関連blog記事
2011年6月9日「自動更新ホームページ2に「一斉メール配信サービス」機能を追加」
http://blog.livedoor.jp/lcgjapan/archives/4885376.html
2010年2月12日「社労士向け自動更新ホームページ サンプルページを公開」
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(大津章敬)

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中国人事管理の先を読む!第2回「インフレ経済下における賃金管理」

 中国では2009年の下期よりCPI(消費者物価指数)が上昇を続け、4%を超えた現在もさらに上昇の兆しを見せています。2010年12月3日、インフレ、物価上昇を抑制するため、中国政治局会議にて金融政策の引き締めが決定され、中国人民銀行は今年10月に引き続き、追加の利上げを行うと見られています。このようなマクロ経済状況下において賃金管理を疎かにしますと、昇給を実行しても物価水準の上昇と比較して実質減給となり、社歴の長い従業員よりも直近で入社した従業員の給与の方が高いという現象も発生し、従業員の満足を得るのが難しくなります。つまり、現在の中国経済下では「ベースアップ」が必然の対応となります。

 日本では2000年に入ってからはデフレ基調の経済環境のため、ベアを実施している企業は極めて少なくなりました。私は5 年前から各地の講演で「中国の賃金管理はベアを避けて通れない」とお話して参りましたが、日系企業はベアに慣れておらず(本社の同意が得られず)、人件費もまだ低い水準で推移していたため、理解いただくのが難しい状況でした。しかし今はベアの必然性を疑う方はいらっしゃらないと思います。

 実際にベアを実施する場合には、留意すべきことがふたつあります。ひとつは賃金テーブルの書き換えです。北京、上海、江蘇省など、各行政区が毎年発表しているCPIが指標となります。このCPIを参考に「定率」で行うか「定額」で行うかを決めなければなりません。「定率」で行う場合、ベアの効果は賃金水準の低い従業員に厚く、賃金水準の高い従業員に薄くなります。「定額」で行う場合はその逆の効果が得られます。「定率」と「定額」の両方を使って書き換えを行う場合もあります。賃金テーブルは規則性を持ち、全体で均衡がとれている状態ですので、迂闊に書き換えてこの規則性を崩さないよう注意することが必要です。

 また、ベアを実施しただけでは従業員間のそれぞれのプロット位置には何の変化もありません。ベアを実施した状態で、個々の評価による「昇給」を実施します。つまり「ベアが先、昇給が後」ということです。賃金テーブルの書き換えを行った後、社員個々の評価による昇給を実施しますが、全体の平均昇給率に対し、ベアと昇給の各々比率をどの程度予算として見ておくか、賃金管理上重要なポイントとなってきます。

 多くの日系企業では賃金決定プロセスの整備が遅れている傾向にありますが、合理的で納得性の高い賃金管理を行うことで、企業が直面する労務リスクの軽減にもつながりますので、早急にこのような賃金決定の制度を作られることをお勧めします。

(2010年12月20日 Bizpresso掲載記事)

[執筆者プロフィール]
清原学
株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
海外人事労務チーム シニアコンサルタント(中国担当)
 1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー
・ジェトロ上海センター 人事労務委託業務契約
・財団法人 社会経済生産性本部コンサルティング部 経営コンサルタント
・兵庫県中国ビジネスアドバイザー
・神戸学院大学 東アジア産業経済センター アドバイザー


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2011年7月30日「中国人事管理の先を読む!第1回「外国人の保険加入が義務付けに?」」
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2011年7月23日「東海日中貿易センター「中国社会保険法の施行と在華就労外国人への適用」」
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2011年7月12日「中国進出企業が押さえておきたい「中国社会保険法」の影響と対策セミナー パソナ様主催で開催(東京・大阪)」
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2011年7月3日「当社中国人事労務コンサルタント清原学が東京投資育成様でセミナーを開催」
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参考リンク
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中国人事管理の先を読む!第1回「外国人の保険加入が義務付けに?」

中国人事労務セミナー@大阪 日本企業の海外進出がこれまでにない勢いで続いています。そこで本日より、弊社海外人事労務チーム シニアコンサルタント(中国担当)の清原学による連載「中国人事管理の先を読む!」を開始します。この連載は上海で毎月2回発行されているビジネスフリーペーパー「Bizpresso」で連載されているものです。現在は第16回まで進んでおりますが、まずは昨年12月7日から連載されているバックナンバーを順次公開していきます。お楽しみに。


中国人事管理の先を読む!
第1回「外国人の保険加入が義務付けに?」
2010年12月7日掲載記事


 2010年10月28日、「中華人民共和国社会保険法(以下、中国社会保険法)」が公布され、2011年7月1日から施行されることが決定しました。中国では経済成長に伴い国民の生活は豊かになる一方で、所得の格差、急激に進む少子高齢化等、多くの深刻な社会問題が噴出してきております。社会保険制度もそのひとつであり、保障制度自体の確立や、保険移転のインフラ整備は中国にとって早急に解決していかなければならない課題と言えます。

 この「中国社会保険法」で注目されているのは、中国国内に居住する外国人の保険加入に対する適用です。先の日本経済新聞でも大きく報じられ、駐在員も中国の社会保険に加入する義務があるのかと懸念している企業も多いようです。そうとなれば駐在員コストの増加、日本で加入している社会保険との整合性が自ずと問題になるからです。実は2009年に、上海市条例で外国人の社会保険への任意加入が規定されています(沪人社養発(2009)38号)。誤解を招いている部分もあるようですが、「中国社会保険法」は外国人の社会保険の取り扱いを規定した法律ではなく、あくまでも中国の社会保険制度の整備を目論んだものです。全98条から成るこの法律の、第97条に外国人に関する適用について書かれています。原文を読み解いていくと、強制加入というニュアンスにはほど遠いものとなっております。中国の社会保険、いわゆる4金と呼ばれる制度は、「養老保険(日本で言うところの年金)」が中心となり、その他の社会保険制度が確立されていきます。確かに現在の養老保険制度の台所事情から見た場合、養老保険基金への収入に対し、極度の少子高齢化によって養老保険の支出が上回り、基金管理が非常に困難になっている現状がうかがえます。

 その原因のひとつとして社会保険の徴収インフラの整備が遅れていることが上げられ、それであればきちんと就労管理がされている外国人からも社会保険料を徴収しようという思惑がある可能性は分からないでもありません。ただ、日本と中国との間に社会保険の移転に関する条約が結ばれていない現状や、本法の末尾の一条でしか触れられていない状況を考えますと、「中国社会保険法」が外国人の強制加入まで踏み込んで制定されている可能性は極めて低いものと言えます。もちろんこれは、任意加入を否定するものではありません。しかし先にも書きましたように、中国は急ピッチで社会保険制度の整備に取り組んでいます。日本人管理者が想定し、準備しておかなければならないのは、従業員の社会保険加入、保険料の納付は法定どおりに実施されているのかを確認しておかなければならないことや、社会保険基数が将来改正され、さらに人件費負担が増えることを予想しておかなければならないのです。

[執筆者プロフィール]
清原学
株式会社名南経営 人事労務コンサルティング事業部
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 1961年兵庫県生。学習院大学経営学科卒。共同通信社、アメリカAT&Tにて勤務後、財団法人社会経済生産性本部にて組織人事コンサルティングに従事。大手エンジニアリング企業の取締役最高人事責任者(CHO)を歴任し、上海・大連・無錫・ホーチミン・香港の駐在を経て、2004年プレシード上海設立。中国進出日系企業約400社の組織構築、人事制度設計、労務アドバイザリー、人材育成に携わる。日本、中国にて講演多数。2011年からは株式会社名南経営にて日本国内での活動を行っている。
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厚労省研究会 労働組合法上の労働者性の判断基準を提示した報告書を公開

労働組合法上の労働者性の判断基準 今年4月12日のINAXメンテナンス事件最高裁判決を初めとして、近年、業務委託契約により業務に従事する者の労働者性の有無が問題とされることが増えてきています。厚生労働省はこの問題に対応するため、荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授を座長とする労使関係法研究会でその判断基準の検討を行ってきましたが、昨日、報告書が公開されました。本日はその概要について取り上げることとしましょう。

 この報告書では業務委託契約により業務に従事する者の労働者性の有無について、具体的には以下の判断要素を用いて総合的に判断すべきものとしています。

基本的判断要素
(1)事業組織への組み入れ
 労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか。
(2)契約内容の一方的・定型的決定
 契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか。
(3)報酬の労務対価性
 労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか。

補充的判断要素
(4)業務の依頼に応ずべき関係
 労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか。
(5)広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
 労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか。

消極的判断要素
(6)顕著な事業者性
 労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか。

 また、基本的判断要素の一部が充たされない場合でも直ちに労働者性が否定されないこと、各要素を単独に見た場合にそれ自体で直ちに労働者性を肯定されるとまではいえなくとも他の要素と合わせて総合判断することにより労働者性を肯定される場合もあること、に留意する必要があるとしています。さらに、各判断要素の具体的検討にあたっては、契約の形式のみにとらわれるのではなく、当事者の認識や契約の実際の運用を重視して判断すべきであるとしています。

 厚生労働省は、報告書について、業務の参考として中央労働委員会(都道府県労働委員会)や都道府県に通知し、関係者に広く周知を図ることとしていますが、報告書本文は以下で読むことができますので、あわせてご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001juuf-att/2r9852000001jx2l.pdf


参考リンク
 厚生労働省「労使関係法研究会報告書について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001juuf.html
INAXメンテナンス事件(最判平成23年4月12日)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110413094337.pdf

(大津章敬)

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石嵜信憲弁護士セミナー「個別労働紛争の増加と労働法制の整備の方向~使用者側の対応策」(東京・大阪)受付中

石嵜信憲弁護士セミナー(東京・大阪)一般受付開始 日本人事労務コンサルタントグループは2009年夏に旗揚げし、9月に設立2周年を迎えます。お陰様で北海道から沖縄まですべての都道府県から500事務所を超えるみなさまにご参加いただくまでになりました。ありがとうございます。

 昨年の1周年では慶應義塾大学 SFC研究所キャリアリソースラボラトリー上席所員の高橋俊介教授に記念講演を行っていただきましたが、今年はみなさまからもっとも強いご要望を頂いていた石嵜・山中総合法律事務所の石嵜信憲弁護士を講師にお迎えし、東京と大阪で記念講演を開催することとなりました。石嵜信憲弁護士は企業の人事労務に携わるものであればまず知らない人はいない、労務管理分野において頂点に君臨する弁護士(日経ビジネス2010年9月16日号「ビジネス弁護士ランキング2010」の労務管理部門第1位)であります。

 今回のセミナーでは、労働者派遣法や高年齢者雇用安定法の改正、そして有期労働契約法制など、現在検討が進められている様々な労働法制の最新の動向と、その中で今後求められる使用者側の対策という「いま当にこれが聴きたかった!」というテーマでご講演いただきます。実務家として必聴のスペシャルな講演となりますので、是非ご参加をお待ちしております。
※本セミナーは一般のみなさまも受講可能なオープンセミナーです。また7月20日までメルマガ読者向けの早割りクーポンを提供中(以下参照)です。


個別労働紛争の増加と労働法制の整備の方向~使用者側の対応策
講師:石嵜・山中総合法律事務所 石嵜信憲弁護士


 今回のセミナーでは、以下のような法整備を追って、将来の見通しも含めてお話する予定です。
平成13年10月1日 個別労働関係紛争解決促進法 施行
平成18年4月1日  労働審判法 施行
平成20年3月1日  労働契約法 施行
平成20年4月1日  改正パート労働法 施行

 

 細かく見れば以下の法施行もありますが、大まかな流れは上記の法施行を追う予定です。
平成18年4月1日  改正高年齢者雇用安定法 施行
平成19年4月1日  改正雇用機会均等法 施行
平成22年6月30日 改正育児介護休業法 施行

 上記法施行に加え、以下の法改正審議の動向も追う予定です。
労働者派遣法改正 国会(厚生労働委員会) 審議中
有期労働契約(法) 労働政策審議会労働条件分科会 審議中
高年齢者雇用安定法 今後の高年齢者雇用に関する研究会 審議中

[日時および会場]
(1)東京会場
平成23年9月10日(土) 午後1時30分~午後4時30分
シダックスホール(渋谷) 定員:200名

(2)大阪会場
平成23年10月6日(木) 午後1時30分~午後4時30分
天満研修センター(天満) 定員:150名

[受講料]
15,750円(税込)
※メルマガ読者向け早割りキャンペーンコード利用で12,600円(7月20日まで。以下参照。)

[メルマガ(購読料無料)登録で3,150円割引の早割りクーポンを提供!]
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https://www.roumu.com/mailmag.html

[お申込み]
 本セミナーのお申し込みは以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさんは会員専用ホームページ「MyKomon」の専用フォームよりお申込みをお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1109anniversary.html

(大津章敬)

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パワーハラスメントの防止に関する規程

kitei087 企業の労務管理では、セクハラと併せてパワハラへの具体的な対応が求められています。就業規則本則の服務規律において規定されるケースが多いと思いますが、ここでは単独の規程として詳細を定める場合のサンプル(画像はクリックして拡大)をご紹介します。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kitei087.doc(32KB)
pdfPDF形式 kitei087.pdf(9KB)


[ワンポイントアドバイス]
 「心理的負担による精神障害等に係る業務上の判断指針」が改正され、職場での強いストレスにつながる出来事としてパワハラにあたる「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」や「違法行為を強要された」などが追加・修正されました。そのため、企業としては、苦情窓口の設置や就業規則の服務規律へのパワハラ禁止条項の追加、懲戒処分の明確化など、従来よりも具体的な措置をが求められています。ご参考の上、自社の体制整備にお役立てください。



関連blog記事
2011年6月22日「精神障害にかかる労災支給決定件数と高い相関関係を持つ「職場での対人関係トラブル」」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51854929.html
2011年6月16日「精神障害にかかる労災支給決定件数 前年比1.3倍の308件と急増 意外と低い長時間労働との相関関係」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51853899.html
2011年4月5日「愛知県が作成した「職場のメンタルヘルス対策ガイドブック」」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51836058.html
2011年3月11日「新入社員教育でも重視されるコミュニケーション能力」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51829956.html
2010年12月6日「こころの耳が提供するメンタルヘルスに関する学習コンテンツ」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51804836.html
2010年10月21日「「こころの耳」で公開されているメンタルヘルス専門用語の用語解説」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51791887.html
2010年10月11日「厚生労働省や各都道府県が力を入れる自殺対策と関連サイト」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51785168.html
2010年9月16日「導入検討が進められる健康診断時のストレス症状の確認」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51780623.html
2010年9月10日「メンタルヘルス不調者の増減傾向と進められる企業の対策」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51779118.html


参考リンク
厚生労働省「精神障害等の労災補償について」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/090316.html

(福間みゆき)

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雇用調整助成金 様式第97号-2 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(電力制限地域の事業主用)

shoshiki453 電力制限地域の事業主が雇用調整助成金を申請する際、様式第97号の4において「はい」と回答した場合に提出する必要がある申出書の様式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki453.doc(50KB)
pdfPDF形式 shoshiki453.pdf(88KB)


[ワンポイントアドバイス]
 申請時には、これらの様式以外に経済上の理由により事業活動が縮小していることを証明する資料を提出する必要があります。事前に最寄りの労働局またはハローワークに確認しておきましょう。



関連blog記事
2011年4月7日「雇用調整助成金申請において書類添付が困難な場合の弾力措置[引用・転載歓迎]」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51837809.html
2011年3月24日「厚労省から出された東日本大震災に伴う雇用調整助成金活用Q&A[引用・転載歓迎]」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51833828.html
2011年3月18日「東日本大震災の被災に伴う事業活動の縮小が雇用調整助成金の支給要件に追加されました[引用・転載歓迎]」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51832727.html


(福間みゆき)


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雇用調整助成金 様式第97号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(電力制限地域の事業主用)

shoshiki452 雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の申請において、電力制限地域の事業主が申出を行う際に提出する必要がある申出書の様式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki452.doc(56KB)
pdfPDF形式 shoshiki452.pdf(159KB)


[ワンポイントアドバイス]
 電力使用制限や使用電力の抑制のために事業活動が縮小した場合は、雇用調整助成金の申請を行う際、経済上の理由にあたらないとされていますが、それ以外の経済上の理由による事業活動の縮小が更にある場合等が申請ができるようになっています。最新の情報を確認しておきましょう。




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2011年3月24日「厚労省から出された東日本大震災に伴う雇用調整助成金活用Q&A[引用・転載歓迎]」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51833828.html
2011年3月18日「東日本大震災の被災に伴う事業活動の縮小が雇用調整助成金の支給要件に追加されました[引用・転載歓迎]」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51832727.html


(福間みゆき)

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