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廃止を検討する企業が急増する通勤手当と配偶者手当

 人事制度は環境の変化に対応し、見直しが行われますが、本日は最近、見直しが進められる通勤手当と配偶者手当の状況について、産労総合研究所の「第8回 人事制度等に関する総合調査」の中から見てみることにしましょう。本調査では、過去5年以内に「廃止した制度」について調査が行われています。
(1)通勤手当
制度なし 1.2%
廃止した 1.8%
検討中 20.1%
見直し予定なし 76.8%
(2)配偶者手当
制度なし 13.4%
廃止した 8.5%
検討中 15.9%
見直し予定なし 62.2%

 制度なし+廃止した+検討中の合計で見ると、通勤手当は23.1%、配偶者手当は37.8%となっています。特に配偶者手当は、共働き世帯の増加でその意義が問われており、更には同一労働同一賃金の観点でも見直しを検討している企業が多いことからこのような結果になっているのではないかと思われます。

 手当の廃止はいわゆる不利益変更に該当しますので、労使で十分に議論した上で、移行措置や代償措置の実施なども検討するようにしましょう。


参考リンク
産労総合研究所「第8回 人事制度等に関する総合調査」
https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2102.pdf

(大津章敬)

新型コロナの影響で自転車通勤を希望する社員が増えています

 徐々に暖かい日が増え、春の訪れを感じている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。早いものでもう3月ですね。首都圏を除いて、新型コロナの緊急事態宣言も解除されましたし、このままいい春になってくれるといいですね。
大熊社労士
 本当にそうですね。感染者数の減少とこの陽気でまた国民の緊張感がなくなって、再拡大とならないように願いたいものです。宮田部長も、今年こそは花見で宴会!とか企画したらダメですよ。
宮田部長
 …。どうして分かるんですか?(笑) さてさて、今日はコロナも少し関係したご相談がありまして。
大熊社労士
 はい、どのようなことでしょうか?
宮田部長宮田部長
 以前から通勤電車での感染などを懸念して、自転車通勤を希望する社員が増えていたのですが、これまであまりルールを明確にしてこなかったので、いろいろと問題が出ていまして。今後、陽気がよくなると、更に希望者が増えるような予感もしているので、そろそろ最低限のルールを決めたいと思っています。
大熊社労士
 なるほど。このご相談は最近増えていますよ。それでどのような問題が起きているのですか?
福島照美福島さん
 例えばなんですが、ほぼ毎日、自転車通勤をしている社員が、公共交通機関の定期代相当の通勤手当を受給しているのはおかしいといった意見が出たり、毎日、30kmくらい自転車通勤をする社員がいて、事故のリスクが心配といったことが起こっています。
大熊社労士
 そうですか。いずれもありそうな話ですね。まず通勤手当の件は、結構悩ましいです。というのも、完全に自転車通勤であればよいのですが、多くの場合、雨の日や雪の日は公共交通機関を利用し、天気の良いときだけ自転車という方が多いので、事前に読めないんですよね。
福島さん
 そ~なんですっ!!かといって通常の交通費実費×公共交通機関利用日数で計算すると、定期代よりも高くなってしまう場合があり、不合理なんですよね。本当に困っています。
大熊社労士大熊社労士
 例えば、いまのお話しのように計算することを原則とする一方で、定期券代を上限とするといったルールは考えられますよね。ただ、管理が結構煩雑になります。あと最近は駅の駐輪スペースも有料のことが増えているので、その利用料をどうするかなど、論点はいろいろあります。もっとも、通勤にかかる実費を全額会社が負担しなければならないということでもありませんので、ここは労使でしっかり議論をして、ルールを決めていくのがよいでしょう。
福島さん
 そうですね。ありがとうございます。あと、長距離の自転車通勤についてはどうすればよいですか?
大熊社労士
 こちらですが、結論としては規制をした方がよいと思います。理由は2点あって、まずはいうまでもありませんが事故のリスクが高いことです。それも自転車通勤は重大な事故に繋がることが多いので、必要最小限にしておきたいところです。そしてもう一つの理由が、事故発生時の労災保険の問題です。福島さん、ここで質問です。通勤途上の事故が通勤災害として認められるためのポイントはどのようなことだったでしょうか?
福島さん
 はい、え~っと、「合理的な経路及び方法」による通勤であることではなかったでしょうか?
大熊社労士
 さすがですね。そのとおりです。通達(平成18年3月31日 基発0331042号)によれば、この「合理的な経路及び方法」とは「住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般に労働者が用いると認められる経路及び手段等」のことを指しています。
福島さん
 あ~、分かりましたっ!長距離の自転車通勤は、この合理的な経路及び方法という点で疑義が出やすいということですね?
大熊社労士
 そのとおりです。別の企業で先日あった事例ですが、その方は自宅から会社まで電車の線路に沿って、毎日15kmを1時間近くかけて自転車通勤していたのです。これが合理的な通勤の方法と言えるかは怪しいですよね。普通に考えれば電車に乗るべきであって、自転車通勤は運動不足解消による健康増進が主目的であると言われても仕方ないでしょう。となると、いざ事故が起こった際に、通勤災害と認められない可能性が残るということになります。
宮田部長
 なるほど、確かにそうですね。それにそもそも朝からそんなに運動したら、仕事する前に疲れちゃいますよね。
大熊社労士
 確かに(笑)。もっとも自転車通勤が悪いということではありませんので、様々な課題を踏まえてルール化していっていただくのがよいということになります。
福島さん
 わかりました!また社内で案を作りますので、チェックをお願いします!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は最近増加している自転車通勤の問題について取り上げてみました。自転車通勤の労災適用における「合理的な経路」についても問題が起きがちです。というのも、自転車通勤は経路選択の自由度が高いため、通勤途上で寄り道をし、合理的な経路を外れる頻度が高いためです。帰りにスポーツジムに寄って帰ろうといったものが典型ですが、そうした場合には経路の逸脱・中断の問題が発生します。よって自転車通勤者には、通勤災害に関する基本的なルールを説明し、合理的な経路を外れた場合のリスクについて理解させておくことが重要です。


関連記事
2019年7月10日「自転車通勤許可申請書 兼 誓約書」
https://roumu.com/archives/55679283.html
2017年9月25日「自転車通勤者の保険加入を検討した方がよさそうです」
https://roumu.com/archives/65785129.html
2015年6月22日「宮田部長!酒酔いでの自転車運転等は取り締まりの対象ですよ!」
https://roumu.com/archives/65710305.html
2010年9月27日「自転車通勤における通勤災害の取扱いについて教えてください」
https://roumu.com/archives/65410464.html
2010年9月20日「自転車通勤を許可する際の注意点について教えてください」
https://roumu.com/archives/65408452.html

(大津章敬)

2021年度から変更されるキャリアアップ助成金の各種要件等

 非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して支給する「キャリアアップ助成金」があります。この助成金について、以下のとおり、2021年度以降、制度見直しに伴う内容変更を行う予定であることが厚生労働省から公表されました。

1.正社員化コース
【支給要件の変更】
■現状要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること
ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)

■新要件
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めない

【加算措置の変更】
加算措置のうち、「若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合」を廃止。
「勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合」の対象として新たに短時間正社員制度を追加。

2.障害者正社員化コース
【新設(障害者雇用安定助成金からの移管)】
障害者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、障害者雇用安定助成金
(障害者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置を、キャリアアップ助成金の「障害者正社員化コース」に移管。

3.健康診断制度コース
諸手当制度等共通化コースに統合。

4.諸手当制度等共通化コース
【支給要件の変更】
対象となる手当等の変更。
■現行の手当等
①賞与
②役職手当
③特殊作業手当・特殊勤務手当
④精皆勤手当
⑤食事手当
⑥単身赴任手当
⑦地域手当
⑧家族手当
⑨住宅手当
⑩時間外労働手当
⑪深夜・休日労働手当

■新手当等
①賞与
②家族手当
③住宅手当
④退職金
⑤健康診断制度
※①~④について、以下の支給または積み立てなどを行った事業主が対象。
①6ヶ月分相当として50,000円以上支給
②③1ヶ月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給
④月3,000円以上積み立て

5.選択的適用拡大導入時処遇改善コース
【時限措置の延長】
2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長。
(従業員が100人を超える事業主は、一部の加算措置を除き2021年9月末まで)

6.短時間労働者労働時間延長コース
2020年度限りとしていた措置を、2022年9月末まで延長。

 これらの内容は、2021年度予算の成立及び雇用保険法施行規則の改正が前提のため、今後、変更される可能性があることにご注意ください。

↓リーフレットのダウンロードはこちらから!
https://roumu.com/archives/106369.html


参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html
(宮武貴美)

2022年10月から始まる社会保険適用拡大 日本年金機構からの案内開始

 2020年6月5日の記事「社会保険の適用拡大等が盛り込まれた年金制度改正法が成立しました」等で案内した社会保険の適用拡大ですが、2022年10月から常時100人超の被保険者、2024年10月から常時50人超の被保険者の事業所が適用拡大の対象になります。

 これに先立ち日本年金機構より適用拡大に関する案内が始まり、事業主向けのみならず、パート・アルバイト向けのリーフレット等も公開されました。 また、専用サイトもオープンしています。

 対象になる企業は早めにご確認ください。

↓「パート・アルバイトのみなさまへ」(第1号被保険者用)
https://roumu.com/archives/106326.html
↓「配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ」(第3号被保険者用)
https://roumu.com/archives/106330.html
↓「従業員数500人以下の事業主のみなさまへ」(事業主用)
https://roumu.com/archives/106307.html
↓「パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ」(従業員用)
https://roumu.com/archives/106335.html
↓「従業員数500人以下の事業主のみなさまへ」(事業主用)
https://roumu.com/archives/106312.html


関連記事
2020年6月5日「社会保険の適用拡大等が盛り込まれた年金制度改正法が成立しました」
https://roumu.com/archives/103224.html
参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html
(宮武貴美)

社会保険適用拡大ガイドブック(従業員用)

社会保険適用拡大ガイドブック(従業員用)

タイトル:パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ 社会保険適用拡大ガイドブック
発行者:厚生労働省・日本年金機構
発行時期:2021年2月19日
ページ数:8ページ
概要:パート・アルバイト従業員に向けて、令和4年10月および令和6年10月からの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用拡大を説明するためのガイドブック。

Downloadはこちらから(1,888KB)
https://roumu.com/pdf/2021021916.pdf


参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

(菊地利永子)

配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ(第3号被保険者用)~あなたの年金が変わる大切なお知らせ~

配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ あなたの年金が変わる大切なお知らせ

タイトル:パート・アルバイトのみなさまへ(第3号被保険者用)~あなたの年金が変わる大切なお知らせ~
発行者:厚生労働省・日本年金機構
発行時期:2021年2月19日
ページ数:2ページ
概要:パート・アルバイト従業員(第3号被保険者)に向けて、令和4年10月および令和6年10月からの短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の適用拡大を案内するチラシ。

Downloadはこちらから(716KB)
https://roumu.com/pdf/2021021915.pdf


参考リンク
日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

(菊地利永子)

副業兼業を解禁した先行企業はどのようなルールにしているのですか?

 この週末は非常に暖かく、春の訪れを感じている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。今朝も暖かいですな。また週の半ばには寒くなるようですが、これを何度か繰り返すと、本当の春がやってきますね。
大熊社労士
 そうですね。新型コロナの感染も少し落ち着いてきましたし、徐々に元の生活に戻っていって欲しいものですね。
福島さん
 本当にそうあって欲しいと思います。大熊先生、最近新聞を見てると大手企業で副業兼業を解禁するという記事を頻繁に目にするのですが、実際にそういった動きは強いのでしょうか?
大熊社労士
 そうですね。感覚としては上場企業の一定数は今年の4月を中心に、副業兼業の解禁を進めるような動きが強いようです。私の顧問先でも準備中のところがいくつもありますから。
福島照美福島さん
 やはり、そうなのですね。当社でもそういったニュースを見た社員から、副業をしてもよいのかという問い合わせが増えていて、どのように対応すればよいのか悩んでいます。
大熊社労士
 確かにそうでしょうね。新型コロナの自粛生活やテレワークの影響で、副業に関する関心が非常に高まっていますからね。
宮田部長宮田部長
 先行的な取り組みを行っている企業ではどのような基準で副業を認めているのでしょうか?私のイメージだと、会社に来る前に新聞配達をしたり、夕方からコンビニでバイトしたりといった感じかなと思うのですが。
大熊社労士
 確かにそんなイメージがありますよね。でも、以下の内容だと副業先と労働契約を締結することになるのでしょう。となると、労働基準法38条の労働時間の通算ルールの問題が出てきます。
福島さん
 「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」というものでしたね。
大熊社労士大熊社労士
 さすがですね。その通りです。企業の労務管理を考えるとこの通算ルールは大きなネックとなっています、よって、先行企業の多くが取っている対策としては、労働契約での副業は認めず、個人事業主としての副業に限り、許可するというものです。
服部社長
 なるほど、コンビニのバイトのようなものは認めないということですね。となると、企業のコンサルタント的な仕事だとか、高度な専門性を必要とするようなものか、逆にUber Eatsのようなものになるのでしょうか?
大熊社労士
 そうですね。企業としては、まだ試行錯誤段階ですが、単なる賃金の獲得ではなく、自身の成長や人脈の開拓など、本業への好影響が見込まれるようなものに限定して解禁しているようなケースも見られます。その他、以下のような条件を設け、許可制にすることが通常です。

  1. 本業の労務提供における支障がないこと
  2. 競業による企業の利益を毀損する可能性がないこと
  3. 秘密漏洩の恐れがないこと
  4. 企業の信用を毀損するような内容でないこと

福島さん
 なるほど。当社の社員だと誰がそういった仕事ができるのかな?
大熊社労士
 宮田部長が週休3日になって、週1日をどこかの中小企業の人事アドバイザーとして働くとか、どうですか?
服部社長
 私はそれでもいいと思うけどな。ねぇ、福島さん(笑)
福島さん
 はい、宮田部長ならばっちりですよね、社長(笑)
大熊社労士
 それでは、最低限のルールを就業規則に定めて、合意書のひな型も作りましょうか。
宮田部長
 ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は副業兼業の流れと、先行企業の取り扱いについて簡単にまとめてみました。新聞紙上では、みずほ銀行のようなメガバンクからIHIのような重厚長大企業まで、副業を解禁というニュースがあふれています。労働基準法における労働時間通算ルールについては撤廃という方針も聞かれていましたが、結果的には従来通り存続し、管理モデルなどの部分修正にとどまることになりました。これにより、労働契約による副業の普及は少しスローダウンすることになると思われますが、従業員からの問い合わせは当面増える一方かと思いますので、会社としてのスタンスを検討しておくとよいでしょう。


関連記事
2021年1月14日「満足65.5%・不満6.7% 非常に高い副業経験者の満足度」
https://roumu.com/archives/105770.html
2020年12月22日「WLB、副業、地方移住など、新型コロナで大きく変わる20代の価値観」
https://roumu.com/archives/105517.html
2020年12月3日「兼業・副業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」
https://roumu.com/archives/105333.html
2020年10月6日「副業・兼業における労働時間の考え方や把握方法等に関する通達が発出」
https://roumu.com/archives/104645.html

(大津章敬)

試用期間で人材の見極めができなかった場合に延長はできますか?

 病床利用率の問題はあるものの、新型コロナの新規感染者数が減少していることで、少し安心している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。
服部社長
 大熊さん、おはようございます。まだまだ寒い日が続きますね。
大熊社労士
 そうですね。早く桜が咲くような気候になって欲しいものですね。今年もお花見はまだまだ難しいかも知れませんが。
宮田部長宮田部長
 お花見、行きたいですね。昨年も新型コロナの影響でお花見には行けませんでしたが、やはり桜の下で昼間からお酒を飲むっていうのは日本人の最高の贅沢ですからね。
福島さん
 でも、お花見の後半はいつもイビキをかいて寝ていらっしゃるじゃないですか。桜なんて絶対見てないですよね。
宮田部長
 あらら、痛いところを突くね。まあそれも平和な日本ってことでいいじゃないの。
大熊社労士
 そうですね。今年は無理でも、来年はお花見に行きたいものですね。さて、今日はご相談があるということで事前にお伺いしていますが。
服部社長服部社長
 そうなのです。実は昨年12月1日に採用した中途入社の社員なのですが、2月末で試用期間が満了となります。しかし、今年は新型コロナの影響で、休業があったことに加え、濃厚接触者の認定をされたために、お休みも多く、十分に適性を見ることができていないのです。いま現場にはいろいろな仕事を経験させ、社員としてやっていけるかの適性を判断するように指示しているのですが、このような場合、試用期間を延長することはできるのでしょうか?
大熊社労士
 なるほど。現在の御社の就業規則には試用期間を延長する旨の記載はありましたでしょうか?
福島照美福島さん
 確認しますね。え~っと、ありました、ありました。試用期間中にその適性を判断することができず、必要と認めたときは、3か月を限度として延長することがあると規定されてきます。
大熊社労士
 そうですか。となると、規定としての根拠はありますね。今回は新型コロナの影響で出勤日数が想定外に少なくなってしまったという事情もありますので、試用期間を延長するのであれば、早めに本人に伝え、同意を取るようにしてください。そこまで行っておけば大丈夫でしょう。
福島さん
 ありがとうございます。他になにか注意点はありますか?
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。延長によって、試用期間が長期間になると問題になることがあるでしょう。過去の裁判例でも、試用期間中の労働者は不安定な地位に置かれることから、合理的範囲を越えた長期の試用期間の定めは公序良俗に反し、無効であるとの判断も見られます。ただ、御社では当初の試用期間3か月+延長しても3か月以内ということですので問題はないでしょう。
服部社長
 ありがとうございます。試用期間を延長するとなると本人も不安になると思いますので、できれば延長なしで判断できるようにしたいとは思っています。それにしても試用期間の延長は簡単ではないのですね。勉強になりました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は試用期間の延長について取り上げました。試用期間は、企業の人事労務担当者からすれば、よほどのことがない限り、試用期間での本採用拒否はないと考えていると思いますが、本人は不安に感じていることが少なくありません。延長となると、更に不安が増すことになると思いますので、できるだけ延長はしない方がよいでしょう。もっとも、いざというときに延長ができるよう、就業規則の整備は行っておく必要があると考えます。

(大津章敬)

テレワークにおけるストレス軽減のためには雑談が重要になります

 緊急事態宣言の影響なのか、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあり、少しだけホッとしている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。緊急事態宣言は続いていますが、新規感染者数が減少傾向にあるのはいい便りですね。この傾向が続き、ワクチンの接種が始まれば、社会の雰囲気も変わるかも知れませんね。
大熊社労士
 そうですね。本当にそうあって欲しいです。さて、緊急事態宣言でテレワークが推奨されていますが、御社でもテレワークは継続中でしょうか?
宮田部長宮田部長
 はい、絶賛継続中です。といっても、弊社の場合、工場勤務の社員はあまりテレワークには向かないので、営業系・管理系のメンバーが中心になるのですけどね。私も先週は2日、在宅で仕事をしましたよ。
大熊社労士
 そうでしたか。以前と比較して、仕事の効率はいかがですか?
宮田部長
 昨年春の緊急事態宣言の頃は、従来の仕事をそのまま自宅に持ち帰る感じだったので、なかなかうまく行きませんでしたが、最近はペーパーレス化もいくらか進みましたし、WEB会議システムなどの整備もできたので、以前と比較するとかなり効率は上がった気がします。ただ、会社で仕事するよりもなんだか疲れるような気がしますね。
福島さん
 部長、いつも在宅だとストレスが溜まるっておっしゃっているじゃないですか。
宮田部長
 そうなんだよ。WEB会議での打ち合わせや社外の方との調整などは、変に疲れて、いままでになかったようなストレスを感じることが多くなっているように思います。
大熊社労士大熊社労士
 やはり、そうですか。私も在宅勤務をしているとあっという間に時間が経つのと同時に、夕方になるとぐったり疲れを感じることがよくあります。この状況は多くの方に共通のようなのです。ということで、今日はリクルートキャリアが実施した「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」の中から、テレワーク時のストレスについて情報提供したいと思います。
宮田部長
 それは面白そうですね。どのような結果だったのですか?
大熊社労士
 はい。まず、新型コロナの影響によってテレワークを経験した人のなんと59.6%が、テレワーク前の出勤をしていたときにはない仕事上のストレスを感じているという結果になっています。
宮田部長
 なんと6割。やはりそうでしたか。みんな一緒なのですね。
大熊社労士
 そうなのです。ここで面白いのが、テレワークによってストレスを感じた人を、仕事中に「雑談」がある回答群と「雑談」がない回答群に分けた結果です。先ほどのストレスを感じた人のうち、いまだにストレスが解消できていない割合は67.7%となっているのですが、そのうち、「雑談」がある人の場合はこの値が63.2%であるのに対して、「雑談」がない人は77.3%となっているのです。
福島さん
 ということは、その差は14.1ポイントにもなるのですね。
大熊社労士
 はい。なかなか面白い結果ですよね。テレワークにおけるストレスの解消のためには、雑談が重要であるようなのです。ちなみに年代別で見ると、「チャットなどでの業務外の会話」や「会議開始前の世間話のような会話」において、50~60代の回答が極端に低くなっています。宮田部長、心当たりはありませんか?
宮田部長
 そうですね。どうなんだろう?
福島照美福島さん
 宮田部長、そうなんだと思いますよ。会社にいるときはおしゃべりな部長も、WEB会議だと用件だけを淡々と進める感じじゃないですか。お陰で会議が早く終わるとみんな話していましたよ(笑)。
宮田部長
 なに、そんな風に言われてるの?そっかぁ、意識していなかったけれどもそうなのかも知れないなぁ。
大熊社労士
 ということですので、テレワーク時のストレス軽減のためにも、少し意識して雑談を取り入れることを心がけるとよいと思います。例えば、WEB会議の前に仕事とは関係のない内容でテーマを決めて、フリートークをするなどよいのではないでしょうか?あと、報告連絡相談も、かちっとした形ではなく、チャットで随時相談するといった形で進めるとよいと思いますよ。お互いに仕事をしている姿が見えないので、ズレがあると、どんどんそのズレが大きくなってしまいますから。
服部社長
 確かにそうですね。当社でもいろいろと工夫して、より効果的にテレワークができるようにしていきましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。本日はリクルートキャリアの調査から、テレワーク時のストレスに関する内容を見てみました。私もテレワークの際には、いつもとは違う変な疲れ方をすることが多くありますが、今後も柔軟な働き方の一つとしてテレワークを定着させていくためにはこの問題にも積極的に取り組んでいく必要があります。なお、この調査の中に「テレワークのストレス解消に関するフリーコメント」という箇所があるのですが、そこに以下のような意見が書かれています。非常に参考になる意見だと思いますので、是非、みなさんの会社でもチャットや電話の有効活用をご検討ください。
「チャットの導入などで大きく改善されたと思われる。ちょっとだけ聞くという行為がしやすくなった。また、電話を活発に使用しても良い雰囲気も出来上がったことも一因として考えられる。いろいろな点で皆が慣れてきている(千葉県/28 歳)」


参考リンク
リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」
https://www.recruitcareer.co.jp/news/pressrelease/2021/210122-02/

(大津章敬)

新型コロナ感染に対する不安やストレスの状況に関する調査結果が公表

 厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症による国民の心理面への影響を把握するため、インターネット調査を実施し、先日、主な調査結果を取りまとめが公表されました。この中から、困ったこと・ストレスに感じたことについて見てみると、産業別の特徴として、以下の内容が比較的多くありました。
宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業
[医療・福祉、仕事]「仕事の先行きが不安定なこと(失業を含む)」
[医療・福祉、仕事]「世帯の経済的な苦しさが増したこと」

教育、学習支援業
[感染]「自分や家族が感染したら、人から批判や差別、いやがらせを受けるかもしれないこと」
[生活]「医療用品・衛生用品(マスクなど)が入手困難なこと」
[生活]「旅行やレジャーができないこと」
[家族]「家族・親戚・友人などに会えないこと」

医療、福祉
[感染]「自分や家族が感染するかもしれないこと」
[感染]「自分や家族が感染したら、人から批判や差別、いやがらせを受けるかもしれないこと」
[生活]「医療用品・衛生用品(マスクなど)が入手困難なこと」
[生活]「旅行やレジャーができないこと」
[家族]「家族・親戚・友人などに会えないこと」

 他の業種については、調査データ集の方で状況を確認することができます。また、厚生労働省の特設サイト「こころの耳」では、仕事や生活の不安やストレスと上手に付き合う方法について、さまざまな専門家からのアドバイスが掲載されています。このような情報も従業員に案内して役立ててもらうとよいでしょう。


参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査の結果概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15766.html
こころの耳「 新型コロナウイルス感染症対策(こころのケア)」
https://kokoro.mhlw.go.jp/etc/coronavirus_info/

(福間みゆき)