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「心の病」が13年振りに増加 20代・50代の問題が深刻化か

 公益財団法人日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所は、2002年から概ね隔年で実施している「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を公表しました。

 これによれば、最近3年間の「心の病」の増減傾向は以下のようになっており、13年振りに増加に転じています。
増加傾向 32.0%(前回比+7.6ポイント)
横ばい  54.7%(前回比▲5.0ポイント)
減少傾向 10.2%(前回比▲0.2ポイント)
わからない 3.1%(前回比▲1.7ポイント)

 また「心の病のもっとも多い年齢層」という調査を見ると、以下のようになっています。
10-20代 30.6%(前回比+2.7ポイント)
30代 33.3%(前回比+0.7ポイント)
40代 29.6%(前回比▲6.2ポイント)
50代 6.5%(前回比+2.8ポイント)

 40台が大幅に減る一方、10-20代と50代の増加が目立ち、40代以下は同程度の水準となっています。メンタルヘルス対策はかつては30代を中心にと言われた時期もありましたが、現在ではより幅広い年代への対応が重要となっているようです。

 なお、「心の病の増減傾向」と「組織の状態」「取り組み」の項目をクロス集計した結果、「職場の生産性向上」、「長時間労働対策」、「健康増進(健康経営)」、「場所に縛られない働き方改革」など、メンタルヘルスを直接の目的としない施策でも、メンタルヘルス問題の減少に繋がっているという結果も出ています。これがどこまで直接的な関連性があるかまでは分かりませんが、こうした取り組みを行うことの重要性は間違いないと思われます。


参考リンク
日本生産性本部「第9回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」
https://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity001577.html

(大津章敬)

安全衛生推進者・衛生推進者の職務および氏名の周知(掲示用)

これは、安全衛生推進者・衛生推進者の職務と氏名を周知するための掲示用の雛形です。

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:なし

Word形式 sohshiki836.docx
PDF形式 shoshiki836.pdf

[ワンポイントアドバイス]

常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者を選任し、労働者の安全や健康確保などに係わる業務を担当させなければなりません(安全管理者の選任対象外の業種では安全衛生推進者に代わり衛生推進者を選任し、衛生にかかる業務を担当)。また、選任後、作業場の見やすい箇所に氏名を掲示する等により労働者に周知することになっています。

(菊地利永子)

会社への届出と異なる通勤経路上で事故に遭った場合、通勤災害になりますか?

A.「合理的な経路及び方法」であると判断できる場合は通勤災害として認められる。

1.通勤災害の「通勤」の定義

 通勤災害とは、通勤途上において労働者が被った傷病等をいいます。この場合の「通勤」とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との往復を合理的な経路および方法で行うことをいいます。業務上の移動中、例えば出張で直接取引先に向かう場合などは、通勤とはいいません。また、途中で合理的な経路を逸脱したり、移動を中断したりした場合は、逸脱・中断の間およびその後の移動は通勤とはされません。ただし、「その後の移動」に関しては、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱・中断の間を除き、通常の経路へ戻った以降、通勤と認められる場合もあります。なお、厚生労働省令で定める逸脱、中断の例外となる行為は以下のとおりです。
(1)日用品の購入その他これに準ずる行為
(2)職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3)選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4)病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

 ちなみに、「住居と就業の場所との往復」以外でも、就業の場所から他の就業の場所への移動や単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動も通勤として認められます。

2.合理的な経路及び方法とは

 移動を行う場合に、一般的に用いると認められる経路及び方法をいいます。通勤するにあたり、通常利用する経路が複数ある場合があります。その場合、会社に届出した経路だけではなく、合理的理由もなく著しく遠回りになる経路ではない限りは、いずれも「合理的な経路」として認められます。また、マイカー通勤中に渋滞を迂回した経路や、駐車場を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ず通る経路も合理的な経路として認められます。

 「合理的な方法」とは、公共交通機関、自動車、自転車、徒歩等、通常利用する交通機関を指します。会社が認めていない方法で通勤をしている最中にケガをした場合であっても、合理的な方法であると認められれば、通勤災害となります。

(杉山さやか)

来年6月のパワハラ防止措置法制化に向けた指針の内容が明らかになりました

 最近、パワハラに関する報道が多くなっていると感じている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。
服部社長服部社長
 おはようございます。今朝は少し冷えますね。大熊さん、風邪とかひいてはいらっしゃいませんか?インフルエンザも今年は流行が早いようなので、注意してくださいね。
大熊社労士
 ありがとうございます。少し鼻が詰まっていますが、風邪というほどではありません。年内、まだまだ講師をする機会も多いので、注意しています。さてさて、最近新聞などを見ているとパワハラに関するニュースが多いとは思いませんか?
宮田部長宮田部長
 そうですよね。教師のいじめの問題もかなり話題になりましたが、先週あたりですと大手自動車メーカーのパワハラ事件で労災認定されたなんていう記事も目にしました。やはりこのような問題は増えているのですか?
大熊社労士
 はい、リーマンショックのときをピークにして労働トラブルは減少傾向にあるのですが、ハラスメントの問題は増加を続けています。もっともここ数年で、急に日本人が変わったなんていうことはあり得ませんので、ハラスメントに対する社会の認識が変化しているのではないかと考えています。
服部社長
 そうですよね。最近はなんでもハラスメントという傾向がありますからね。〇〇ハラといったように。
大熊社労士
 同感です。ただ、現実的に問題が増えているのは事実ですので、2020年6月(中小企業は2022年4月)に法改正が行われ、パワハラの予防措置が義務化されることとなりました。その詳細を定める指針案が先週、労働政策審議会で承認されましたので、そのポイントをお話したいと思います。
服部社長
 よろしくお願いします。
大熊社労士
 今回の指針における予防措置は基本的には従来から存在したセクハラやマタハラの防止措置に準じています。要は、会社としてハラスメントは許さないという方針を明確化し、就業規則に規定した上で周知を行い、相談窓口を設置するといったことが求められます。
福島照美福島さん
 当社ではセクハラ、マタハラに関してはそうした措置を既に採っていますが、今回はその対象にパワハラを追加すればよいということでしょうか?
大熊社労士
 基本的にはその通りです。ただ、今回の指針ではいくつかの注意点がありますので、それをお伝えします。まずは職場におけるパワーハラスメントの内容を「職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる(1)優越的な関係を背景とした言動であって、(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素を全て満たすものをいう。なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。」と明確にしています。
服部社長
 「なお」以降がポイントになりそうですね。
大熊社労士大熊社労士
 はい、パワハラは、適正な指導との線引きが難しいというのが大きな問題です。よって、定義の中でこのような記載がなされると共に、6つの行為類型毎に「該当すると考えられる例」と「該当しないと考えられる例」が定められました。これがなかなか論争の種になっている訳ですが、それだけ線引きが難しいということの裏返しなのだと思います。
服部社長
 そうでしょうね。個々の状況によって判断は当然変わるでしょうから、一律にパワハラかどうかを決めるというのは難しいのだと思います。
大熊社労士
 そのとおりですね。また今回は「事業主が自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組の内容」という項が設けられています。
宮田部長
 自らの雇用する労働者以外の者に対する言動ですか?
大熊社労士
 はい、これには、(1)他の事業主が雇用する労働者及び求職者、(2)個人事業主、(3)インターンシップを行っている者が含まれます。要はいわゆるカスタマーハラスメントや求職中の学生などに対するハラスメントも問題としているのです。
福島さん
 なるほど。いずれも最近はよく問題になっていますからね。
大熊社労士
 そうなのです。御社ではこれまでの対応をアレンジすればほぼ対応は完了すると思われますが、2020年1月上旬にもこの指針が告示される予定ですので、正式なものが示されましたらまたご案内しますね。
服部社長
 よろしくお願いします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は2020年6月よりスタートするパワハラ予防措置に関する指針の内容を取り上げました。パワハラについては年々問題が深刻化しており、いざ発生した際には組織風土の悪化や人材退職などに繋がる恐れがあります。せっかく採用し、育成した社員がこのような問題で会社を去ることがないように対策を進めていきましょう。基本的には従来からあるセクハラ対策と一体での対応を進めていくことになります。またパンフレットなどが出てきた際には労務ドットコムで取り上げますので、是非ご活用ください。


参考リンク
厚生労働省「第22回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07971.html

(大津章敬)

製造業の人手不足が大幅に改善 業種による差が拡大

 リーマンショック以降、人手不足が進行してきましたが、ここに来て、転換期を迎えつつあるように感じられます。そこで本日は、帝国データバンクが先日公表した「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」より、現在の人手不足の状況を見てみたいと思います。なお、この調査の実施期間は2019年10月17日~31日で、調査対象は全国23,731社で、有効回答企業数は10,113社(回答率42.6%)となっています。
(1)正社員の過不足状況
不足 50.1%(1年前比▲2.4ポイント)
適正 41.1%(1年前比+1.0ポイント)
過剰 8.8%(1年前比+1.4ポイント)
(2)非正社員の過不足状況
不足 29.3%(1年前比▲4.8ポイント)
適正 62.6%(1年前比+2.9ポイント)
過剰 8.1%(1年前比+1.9ポイント)

 このように全体としては不足が改善している状況となっていますが、業種別では大きな差があります。まず「製造」では、正社員の不足割合は1年前から▲9.1ポイントの39.3%、非正社員では同▲11.5ポイントの22.8%となり、人手不足割合は大きく減少しています。これに対し、「非製造」では、正社員が同0.2ポイントプラスの54.3%、非正社員では同▲1.9ポイントの32.2%と横ばいの状況となっています。

 全体としては、「サービス」「小売」「運輸・倉庫」などを中心に非製造業では依然、人手不足が続いているものの、製造業ではその状況は改善傾向が見られます。有効求人倍率も低下を始めており、今後は採用環境が好転することに対する期待と景気後退に関する懸念が同時に発生する時期に突入していくのでしょう。


参考リンク
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p191105.html

(大津章敬)

母性健康管理規程

これは、厚生労働省リーフレット「働く女性の母性健康管理のために」に掲載されている母性健康管理規程の例を一部変更し、Word化したものです。

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:あり

Word形式 kitei112.docx
PDF形式 kitei112.pdf

[ワンポイントアドバイス]

職場における母性健康管理を推進するに当たって、あらかじめ就業規則等を整備し、実際に医師等の指導事項に基づく措置等を講ずる場合の具体的な取扱いや手続きを明らかにしておくことが重要です。既存の休暇制度の運用等も含め、事業所の実態を踏まえつつ検討ください。


参考リンク
厚生労働省「働く女性の母性健康管理のために」

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000563050.pdf

(菊地利永子)

厚生労働省 障害者の雇用安定を図る「就労パスポート」を作成

 障害者雇用の重要性が高まる中、厚生労働省は「精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会」での検討を踏まえ、障害のある方に向けた「就労パスポート」を作成しました。この「就労パスポート」は、以下の項目より構成されており、障害のある人が、働く上での自分の特徴や希望する配慮などを整理することで、就職や職場定着の促進を図るための情報共有ツールです。
(1)職務経験
 これまで職場や、福祉サービス事業所などで経験した職務または作業とその期間を記入(受障前のものも含む)
(2)仕事上のアピールポイント
 職場などでできていた(できている)ことや自分の強みが発揮できそうな職種・作業内容、培ってきたスキルを記入
(3)体調管理と希望する働き方
・ストレス・疲労
・通院のための休暇
・服薬管理のための配慮
(4)希望する働き方
・1日の勤務時間
・1週間の勤務日数
・作業環境
・休憩の取り方
・業務量や作業内容・方法などの調整
・業務を安定して遂行するために必要な機器、設備の調整
(5)作業遂行面
・指示内容などの理解
・優先順位づけ、予定変更への対応
・正確さ、作業ペース
・安定した作業、質問・報告、共同作業など
・結果のふり返り、目標設定

 このツールを活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
就職活動段階
・他機関(就労パスポートの作成支援を受けた支援機関とは異なる支援機関)の利用登録時に、自分にとって必要な支援の内容を支援者と一緒に検討する
・職場実習前や採用面接時に、職場の担当者へ説明し、職務の設定などの参考にしてもらうなど
就職後
・就職時に、現場責任者や上司・同僚などへ説明し、体調把握、作業指示、コミュニケーションなどにおいて参考にしてもらう
・就職して一定期間経過後、就職初期に講じられた配慮の実施状況、就職後の状況変化に応じた見直しの必要性などについて、上司・同僚、支援機関と一緒に確認するなど

 以下の参考リンクのページでは、障害のある方向けの活用の手引きや、支援機関、事業主向けの活用ガイドラインも用意されています。障害者雇用をより効果的に進めるためのツールとして活用されてはいかがでしょうか?


関連blog記事
2019年6月21日「ハローワークを通じた障害者の就職が過去最高を更新 精神障害者は前年比6.6%増」
https://roumu.com/archives/52172677.html
2019年4月22日「平成30年の障害者雇用状況 法定雇用率達成企業の割合は45.9%」
https://roumu.com/archives/52169605.html

参考リンク
厚生労働省「障害のある方向けの「就労パスポート」を作成しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07832.html

(大津章敬)

社用の携帯電話を持って帰っただけでは労働時間にはなりません

 昨夜の世界野球プレミア12の日本優勝を見て、盛り上がった大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
宮田部長宮田部長
 おはようございます。大熊先生、スポーツ好きだから昨日の野球、ご覧になられましたよね?やっぱり優勝っていうのは気持ちいいですね。
大熊社労士
 はい、テレビで見ましたよ。いきなり2ランを打たれて最初はどうなるかと思いましたが、結果的にはいい試合になりましたね。継投に次ぐ継投でしたが、どのピッチャーもいい投球でした。
服部社長服部社長
 若い投手のピッチングは本当に見事でしたね。完勝でした。さてさて、今日は労働時間の続きでしたね?
大熊社労士
 はい、前回は研修・教育訓練における労働時間の取扱いについてお話しましたが、今日はそれ以外の論点についてお伝えします。ますは仮眠・待機の時間についてですが、仮眠室などにおける仮眠の時間について、電話等に対応する必要はなく、実際に業務を行うこともないような場合には、労働時間に該当しないとされています。
服部社長
 労働時間の定義から考えればそうなのでしょうね。
大熊社労士
 はい、その通りです。このテーマに関連し、今回の厚生労働省のリーフレットでは、よく質問があるケースとして「週1回交代で、夜間の緊急対応当番を決めているが、当番の労働者は社用の携帯電話を持って帰宅した後は自由に過ごすことが認められている場合の当番日の待機時間」は労働時間には当たらないとしています。
宮田部長
 この事例はありそうですね。携帯電話を持って、なにかあったら対応しなければならない時間は待機時間なので、労働時間であるという意見も聞かれるのではないかと思います。それだけ質問が多い事例なんだと思います。
大熊社労士大熊社労士
 次は御社でもありそうな労働時間の前後の時間の取り扱いというケースです。まず、更衣時間について、制服や作業着の着用が任意であったり、自宅からの着用を認めているような場合には、労働時間に該当しないとされています。また、交通混雑の回避や会社の専用駐車場の駐車スペースの確保等の理由で労働者が自発的に始業時刻より前に会社に到着し、始業時刻までの間、業務に従事しておらず、業務の指示も受けていないような場合にも、労働時間に該当しないとされています。
福島照美福島さん
 これらは当社にもあてはまりますね。特に2つ目については現実的に結構困っています。満員電車で来るのは嫌だということで、朝早めに出社して、社内で少しゆっくり過ごしている社員がいるのですが、現実的にはパソコンの電源を入れているので、アクセスログはかなり早い時間で記録されているということがあるのです。実際には仕事はせずに、ネットニュースを見ながらコーヒーを飲んでいたりするんですけどね。
大熊社労士
 そういったケースは多いですね。基本的には先ほどのような解釈になりますので、現実的な対応としてはアクセスログと記録した労働時間との差異について説明できるようにはしておくことが求められます。
宮田部長
 承知しました。
大熊社労士
 最後に移動時間の取扱です。取引先の会社の敷地内に設置された浄化槽の点検業務のため、自宅から取引先に直行する場合の移動時間や、遠方に出張するため、仕事日の前日に当たる休日に、自宅から直接出張先に移動して前泊する場合の休日の移動時間は労働時間にならないとされています。
宮田部長
 この出張の移動については当社でもたまにありますが、社員の不満は少なくありません。
大熊社労士
 そうでしょうね。実務上は日当を支給するなどして、バランスをとるということになるのでしょうが、まずは労働時間には該当しないという原則を確認した上で、実態的な対応を考えるべきかと思います。労働時間にならなくても、身体的な負担は小さくありません。できるだけそのような移動はないようにするなどの配慮が必要です。
服部社長
 分かりました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回は厚生労働省が制作したリーフレット「労働時間の考え方「研修・教育訓練」等の取扱い」から教育研修以外の具体例について取り上げました。全体としてはよくあるケースについて具体的に言及しているという印象を受けますが、ここで改めて重要になるのは労働時間の定義の理解です。使用者の指揮命令下にある時間という定義を理解していれば、基本的に判断をすることができるはずです。管理者には改めてこの定義をきちんと理解するように教育を行っておきましょう。


関連blog記事
2019年11月12日「終業時刻後の自主練習は原則的に労働時間には該当しません」
https://roumu.com/archives/99523.html
2019年10月17日「厚労省から示された研修・教育訓練等を始めとした労働時間の考え方」
https://roumu.com/archives/99034.html
2019年10月17日「リーフレット:労働時間の考え方「研修・教育訓練」等の取扱い」
https://roumu.com/archives/99022.html

参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

(大津章敬)

終業時刻後の自主練習は原則的に労働時間には該当しません

 すっかりクリスマスイルミネーションに変わった街を見て、冬の訪れを感じる大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 おはようございます。今朝は冷えますね。先日まで冷房を入れ、クールビズをしていたような気がしますが、すっかり朝晩は冷え込むようになってきました。
大熊社労士
 本当にそうですね。当社が入居しているビルの前の道は先日からクリスマスのイルミネーションが始まりましたし、1階では毎年恒例の大きなクリスマスツリーの設営が行われていますよ。
福島さん
 いまはハロウィーンが終わると、すぐにクリスマスですからね。
大熊社労士
 さてさて、今日は先日、厚生労働省から公開された労働時間に関するリーフレットの内容について取り上げたいと思います。どのようなものかと言うと、研修や仮眠、移動など労働時間についてよく問題になる論点についての考え方を具体例をもって示したものなのですが、これがなかなか突っ込んだ内容になっているのです。
福島さん
 そうなんですね。そもそも労働時間の定義は「使用者の指揮命令下にある時間」でしたよね?
大熊社労士大熊社労士
 はい、その通りです。なにが労働時間となり、なにがならないのかは、この定義に基づき判断すればよいのですが、そうは言っても微妙なものがある訳です。今回はそのあたりに突っ込んでいるのです。具体的に見ていきましょう。まずは「研修・教育訓練の取扱い」ですが、労働時間に該当しない事例として以下が示されています。
(1)終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。
(2)労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。
(3)会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の英会話講習。なお、英会話は業務とは関連性がない。
宮田部長宮田部長
 (1)は以前から結構問題になっていたんですよ。お弁当を出すということは、業務、つまり労働時間なのではないかという意見をもらったことが何度もあります。
服部社長
 確かに自主参加の研修とは言え、できれば出席して欲しいと思って、その負担を減らすためにお弁当を用意しているのは事実だからなぁ。でも今回の論点はお弁当が出ている=指揮命令下ということではないという解釈なのでしょう。
大熊社労士
 そうですね。ポイントは実はお弁当ではなく、「参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない」というところにあるのでしょう。ちなみに(2)も結構ありますよね。例えば当社でも、新人が研修講師の練習で、セミナールームを予約して、自主練習を行っているようなことがよくあります。
福島照美福島さん
 美容室なんかでもよくありますよね。営業終了後に若手が自主練習をして、先輩がサポートするような場面を見かけることがよくあります。あと私の友人にマッサージ師がいるのですが、彼なんかもよく営業終了後に社員が自主的に残って練習をしていると話していました。
大熊社労士
 そうですね。そうした技術職は文字通り「手に職」の世界ですから、そのようなことが多いと思います。料理人の世界もそうですしね。さてさて、次は、労働時間に該当する事例です。
(1)使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。
(2)自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。
服部社長
 これらは間違いなく、労働時間でしょうね。
大熊社労士
 そう思います。このように今回、厚生労働省が日頃よく寄せられる質問をもとに、リーフレットの形でその見解を示しました。ほかにも仮眠や移動などの取扱いについても示されていますので、また次回以降も解説しますね。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 こんにちは、大熊です。今回、厚生労働省よりこうした事例が示されましたが、やはり重要なのはその前提となる労働時間の定義の理解です。福島さんも述べていましたが、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。まずは管理者を中心にこの定義をしっかり理解することが重要です。


関連blog記事
2019年10月17日「厚労省から示された研修・教育訓練等を始めとした労働時間の考え方」
https://roumu.com/archives/99034.html
2019年10月17日「リーフレット:労働時間の考え方「研修・教育訓練」等の取扱い」
https://roumu.com/archives/99022.html

参考リンク
厚生労働省「「働き方改革」の実現に向けて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html

(大津章敬)

雇用保険適用事業所情報提供請求書

これは、ハローワークが保有している適用事業所や被保険者の情報について、事業主が提供を請求する書式です。

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:あり

Word形式 shoshiki837.docx
PDF形式 shoshiki837.pdf

[ワンポイントアドバイス]

この請求書は愛知労働局が公開しているものを元にしているため、利用の際には請求先となるハローワーク等に、決まった独自様式により請求が必要になるかをご確認ください。


参考リンク
愛知労働局「雇用保険関係パンフレット・リーフレット」

https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/pamphlet_form/_121786.html

(菊地利永子)