「ハイ」の検索結果

企画業務型裁量労働制に関する決議届

企画業務型裁量労働制に関する決議届 この書式は、企画業務型裁量労働制を導入する際に労働基準監督署に提出する決議届の書式サンプルです。
□重要度:★★
□官公庁への届出:必要(所轄労働基準監督署長)
□法定保存期間:特になし(協定期間)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 sairyou_k_ketsugi.doc(47KB)
PDFPDF形式 sairyou_k_ketsugi.pdf(56KB)

[ワンポイントアドバイス]
 企画業務型裁量労働制の対象となる業務は、以下の4つをすべて満たさなければなりません。
事業場の属する企業等に係る事業の運営に影響を及ぼす事項または当該事業場に係る事業の運営に影響を及ぼす独自の事業計画や営業計画についての業務
企画、立案、調査及び分析の業務
当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務
当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務

 また、対象とできる者は対象業務を適切に遂行するための知識や経験を有する社員で、対象業務に常態として従事している者に限られています。(このあたりの要件については現在行われている労働時間法制にかかる労働基準法改正の中で見直しが議論されています。)また、対象業務に従事している者であっても、上司の管理の下に業務を遂行している者は対象になりません。例えば、新入社員のように知識や経験がない者は、一般的に自ら裁量をもって仕事を行えるような実態がないと考えられ、原則として対象とすることはできません。指針では、「大学卒3~5年程度の職務経験があること」とされています。

 なお制度導入にあたってはこの決議に併せて、社員本人からの個々の同意を得ることが必要になり、同意しない場合は適用することができません。同意書を用意して対象者ごとに同意を取ることになり、裁量労働制の制度の制度概要、適用される人事評価制度、賃金制度、同意しなかった場合の配置処遇などを予め明示することが必要になります。

[関連通達]
平成12年1月1日 基発1号
 また、労働時間のみなしが適用される場合であっても、法第4章のうち休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用は排除されない。


関連blog記事
2007年3月6日「企画業務型裁量労働制に関する報告」
https://roumu.com/archives/52783384.html
2007年2月16日「企画業務型裁量労働制に関する決議書」
https://roumu.com/archives/52352703.html
2007年1月5日「[労働時間制度改革]企画業務型裁量労働制の見直し」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50848679.html

 

参考リンク
厚生労働省「企画業務型裁量労働制」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/kikaku/index.html
東京労働局「平成17年における「企画業務型裁量労働制」の導入状況について」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2006/20060320-sairyo/20060320-sairyo.html

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

採用活動応募者受付票

採用活動応募者受付票 転職希望者の情報について管理するための採用活動応募者受付票のサンプルです。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 saiyou_uketuke.doc(39KB)
PDFPDF形式 saiyou_uketuke.pdf(14KB)

[ワンポイントアドバイス]
 中途採用の場合には、新卒採用とは少し異なった情報管理が必要になってくるため、こうした書式で管理することも良いでしょう。この内容に希望年収や採用の可否等を含め、中途採用者に係る決裁書として利用しているケースも見られるようです。なお、この受付票に記載される内容は重要な個人情報ですので、採用の可否に関わらず、慎重に取り扱う必要があるでしょう。


関連blog記事
Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog:採用関連書式
https://roumu.com/archives/cat_50044768.html

 

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

健康診断を受診しない社員を放置するのは会社のリスクです!

 服部社長は、創業者の息子として服部印刷の2代目社長を務めている。2000年に父親である創業者が亡くなったことで、急遽2代目に就任したのだが、周囲からは若い頃から社長の息子という見方をされていたため、それを見返してやろうとバリバリ働き、下積みを重ねて成績を残してきた。いまや先代社長以上に服部印刷を大きく成長させているのでもはや、跡取りだからどうのこうのという社員は一人もいない。そのバイタリティーあふれる行動の裏には、体力に関しては自信があった。しかし、今日はどうも様子が違っている。それに気づいた大熊社労士は、声をかけた。



大熊社労士:
 服部社長、今日はいつもと違って元気がないですね。何か仕事でトラブルでもありましたか?
服部社長服部社長:
 いやぁ、仕事はまあまあ順調だと思いますよ。ただ最近、どうも疲れやすく体調が優れないんですよ。そんなこともあって今朝出勤前に、かかりつけ医のクリニックに行ってきたのですが、「血圧が高いので注意してください」と言われてしまいまして…。若い頃から健康だけは自信があり、そのようなことを言われたことがなかったので、少し落ち込んでいたんですよ
大熊社労士:
 そうですか。いつも社長からのメールは深夜ですしね。たぶん働き過ぎで、疲れが溜まっているんですよ。今回の体調不良も「あまり無理しないように」というメッセージではないですか?
服部社長:
 そうだね、ありがとう。今週末は特に予定もないのでゆっくりさせてもらうことにします。
宮田部長:
 社長、是非そうしてください。いま社長に倒れられると当社は本当に困ってしまいますので、気をつけてください。
大熊社労士:
 ところで年度末を迎え、社員の皆さんもかなり忙しそうですが、健康状態には問題ありませんか?
宮田部長宮田部長:
 今年は暖冬のせいか、インフルエンザも流行らなかったので、今のところ問題はないと思います。しかし、残業が多くなってきているようなので、やや疲労感が見えるようですね。
服部社長:
 そうだな。社員には休みを十分取らせてやりたいのだが、今が山場だから、もう一踏ん張り頑張ってもらいたいところだな。宮田部長、繁忙期を越えたら、順番に連続休暇を取らせるなど調整をしておいてもらえないだろうか?体力もそうだが、気力の面も心配だからな。
宮田部長:
 承知しています、社長。
大熊社労士:
 とりあえず現状は健康面で問題が発生している社員はいないようですが、日常的に顔色や様子を見て、異常がないか確認しておいてくださいね。そういえば健康管理ついでにお聞きしますが、健康診断は実施されていましたかね?
宮田部長:
 毎年1回実施しなければならないものですよね。はい、実施しています。確かここ数年の受診率は85%ぐらいですかね。
大熊社労士:
 ということは残りの15%の社員は受診していないのですか?
宮田部長:
 会社で実施日を決めてやっているのですが、特に外回りの多い営業職の受診率が低いのです。それが問題だとは分かっているのですが、具体的な対策などは特に行っていないというのが現状です。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですか、それは問題ですね。例えば、次のような対策が打てないでしょうか?
健康診断の実施日には、全社員必ずスケジュールを空けさせる。そのために、管理職がその日を社内行事と同等レベルとしてスケジュールを完全にコントロールする。
実施日に受診できなかった場合は、指定または任意の医療機関で健康診断を受診させ、期限を定めて健康診断書を必ず提出させる。
健康診断担当者から未受診者に対し、繰り返し受診するよう伝える。
でも受診しないようであれば、直属の上司が強制的にスケジュール調整をし、健康診断を受診させる。
服部社長:
 当社はそこまではまったくできてないですね。そこまで徹底して受診を勧めるには、何か訳がありそうですね。
大熊社労士:
 はい、もちろん法律に規定されてあるからという理由もありますが、健康診断を行っていないというのは本人の健康管理だけでなく、会社のリスクにもなるのです。実は長時間労働を原因とする脳卒中などの脳疾患や心筋梗塞などの心臓疾患の発生率が高い水準で推移しています。そこで政府は長時間労働の抑制を狙って、法改正などでいろいろな対策を講じています。例えば、平成18年4月から残業月100時間を超える社員が、疲労感があって医師の面接指導を申し出た場合には、会社はそれを受けさせるよう義務付けとなりました。また最近、過労死や過労自殺に関する訴訟も増えてきていることは、以前にもお伝えしましたとおりです。会社が安全配慮義務を果たさず、その結果、社員の健康に障害が起こってしまった場合、会社は工学の損害賠償を負わなければならないことにもなります。それに加え、過労死事件として新聞やインターネット上に会社名が出てしまうといった風評被害も怖いですね。
服部社長:
 不名誉なことで会社の名が出るのは何としても避けたいね。
大熊社労士:
 そうですよね、そうならないためにも、まずは社員の健康状態を把握することが第一となります。したがって、法令で定められている健康診断は最低限実施しておかなければなりません。特に健康診断未実施者は、忙しく労働時間が長い社員が多いと思われますので、その未実施者に対し対策を講じないでおくということは、危険性の大きい状態を放置していると同じだとも言えるのではないでしょうか。
服部社長:
 確かにそうですね。宮田部長、さっそく次回からは大熊さんの指摘を生かして、社内への指導を徹底していこう。
宮田部長:
 分かりました。大熊先生、ありがとうございました。できるだけ対策をとって社員全員が受診するようにしてみたいと思います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は、健康診断について取り上げてみました。最低年1回実施が義務付けられている健康診断は、単に受診するためのものではありません。健康診断の結果、社員の健康状態を把握して、その健康状態に適した就業場所や時間に配慮することが必要です。中小企業においてはコストや時間的な制約から、健康診断を実施していない企業も少なくないようですが、社員の安定的な労働力の確保のための健康確保、そして経営上のリスク管理の観点から、確実に実施しておきたいものです。


[関連条文]
労働安全衛生法第66条(健康診断)
 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。


労働安全衛生法施行規則第44条(定期健康診断)
 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査



関連blog記事
2006年12月10日【労務管理は管理職の役割】安全配慮をすべき範囲は広がっている
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50820658.html
2006年5月22日「改正労働安全衛生法による長時間労働者の面接指導制度」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50569394.html
2006年5月14日「過労死の判断基準~時間外労働100時間以上は要注意」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50552147.html


参考リンク
厚生労働省「労働安全衛生法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/index.html


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

嘱託労働契約書

嘱託労働契約書 嘱託社員とは、定年後の社員など60歳以降の者で、1年契約などの個別の契約に基づき雇用される労働者のことを呼ぶことが一般的です。この書式は、嘱託社員との間で締結する労働契約書のサンプルです。
□重要度:★★★★★
□官公庁への届出:不要
□法定保存期間:3年間(後々のトラブル発生を想定すれば、できるだけ長く保存することが望ましい)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 roudoukeiyaku_shokutaku.doc(38KB)
PDFPDF形式 roudoukeiyaku_shokutaku.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 パートタイマーの労働契約と同じく、正社員の労働契約書と特段分ける必要性はありませんが、正社員と嘱託社員の労働条件には少なからず何らかの差異が見られますので、各々のひな型を利用し、労働契約を締結していることが多いのではないでしょうか。特に給与・賞与・退職金と言った賃金全般に関することはもちろん、労働時間や休日など、正社員から変更になる部分には注意が必要です。嘱託社員への切り替えの際に、対象となる社員と十分に協議し、決めておく必要があります。平成18年4月より改正高年齢者雇用安定法が施行になり、嘱託社員は今後増加していくことが予想されるため、重要度は更に増していくでしょう。

[根拠条文]
労働基準法第15条(労働条件の明示)
 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
※労働者に対して明示しなければならない労働条件の詳細については、労働基準法施行規則第5条を参照。


関連blog記事
2006年11月20日「労働契約書」
https://roumu.com/archives/50744198.html
2007年02月05日「パートタイマー労働契約書」
https://roumu.com/archives/52080828.html
2007年2月26日「平成19年度から新たに設けられる「定年引上げ等奨励金」~時代は70歳雇用に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50899577.html

 

参考リンク
厚生労働省「高年齢者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koureisha.html
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正のお知らせ」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

平成19年度から新たに設けられる「定年引上げ等奨励金」~時代は70歳雇用に

 昨年、改正高年齢者雇用安定法が施行され、多くの企業で65歳に向けた再雇用制度等の導入が行われましたが、国は更にその先を見ており、「70歳まで働ける企業」の普及・促進を進め、最終的にはいくつになっても働ける社会の実現を目指しているようです。この政策を推進するため、平成19年度より「定年引上げ等奨励金」の制度が創設されること(注:最終的には、平成19年度の国の予算が国会で成立したのち、省令の改正を根拠として施行)となりました。この奨励金は、次の2種類で構成されています。
中小企業定年引上げ等奨励金
 常用被保険者数300人以下の事業主が就業規則等により、定年引上げ、または定年の定めの廃止等を実施した場合に、その経費として40万円から80万円(企業規模と実施内容による)が支給されます。


雇用環境整備助成金
  常用被保険者数300人以下の事業主が、定年引上げ等を実施後1年以内に、55歳以上の常用被保険者に対する研修等を行う場合、研修等に要した経費の2分の1(1社当たり上限250万円)が当該事業主に対して支給されます。


 あまり利用されない助成金になりそうな予感がしますが、関心を持たれた方は以下のリンクで、詳細な条件等をご確認下さい。



参考リンク
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構「定年引上げ等奨励金(70歳まで働ける企業奨励金)」
http://www.jeed.or.jp/elderly/employer/subsidy/subsidy30.html
厚生労働省「高年齢者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koureisha.html
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正のお知らせ」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

家族手当改革の新しい選択肢~イベント時の一時金支給

 友人である加藤社長の話を聞き、自社の家族手当はどうあるべきかを考えてきた服部社長であったが、前回、大熊より話を聞き、配偶者手当は廃止するとしても、子女の教育費負担の重さに対して、支援を行っていこうと考えるようになった。その議論の最後に、毎月の手当ではなく一時金の支給を行うという選択肢があるという提案が大熊からなされた。今回はその続きである。



大熊社労士:
 ちなみにこの家族手当の見直しについては、いまのような傾向だけではなく、毎月の支給ではなく、イベント時に一時金を支給するという方法も最近増えているんですよ。
宮田部長:
 イベント時の一時金?それはどんな内容なんですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、先ほど家族手当については、教育費の増大に対応するため子女への給付という側面を明確にし、配偶者手当は縮小もしくは廃止、子女への手当を拡充という傾向が強くなってきているとお話しました。具体的には、例えば、従来配偶者手当が15,000円、子女手当が5,000円とされていた場合、トータル原資は大きく変えず、原資を再配分し、配偶者手当を7,500円に減額、子女手当を10,000円に倍増させるというような対応を行う企業が増えています。
服部社長:
 そうですね。
大熊社労士:
 一方、このように支給額を変更するという取り組みに止まらず、支給方法自体を見直し、毎月の支給からイベント毎の一時金支給という方法に変更する企業も出てきています。例えば、子供の出生時に30万円、幼稚園(保育園)・小学校・中学校・高校・大学への進学時にそれぞれ20万円、成人式の際に10万円の育児支援金を支給するといった具合です。この金額だけを見ると高いようですが、例えば、先ほどの例であげた一時金の支給額を合計すると、その総額は1,400,000円になります。これに対し、毎月5,000円のの子女手当を出生から大学卒業までの23年間支給する場合の総額は1,380,000円ですから、決して原資が増えている訳ではありません。こうした一時金化の流れは、公的資格手当などでも見られるところですが、家族手当においては、実際に大きな支出が必要となるイベント時に集中的に原資を振り分け、社員の負担増に応えるという発想で組み立てることになります。
服部社長服部社長:
 なるほど、確かにこうしたイベント時にはまとまったお金がかかるから、社員にとっては非常にありがたい支援になるでしょうね。私も子供が大学に進学するときには、受験費用にその交通費やホテル代、下宿の敷金礼金など、もろもろで100万近いお金がかかりましたからね。ささやかながら、飲みにいく機会を減らしたりして、少しでも家計に協力しましたよ
宮田部長:
 そうですね、このように一時金で支給するメリットは他にもありそうですね。
大熊社労士:
 はい、私もそう思います。賃金制度の設計を支援させていただいている私が言うのもなんですが、社員のみなさんは実はあまり賃金体系には興味がないことが多いですよね。極論すれば給与明細の一番、右下の手取額には興味があっても、どのような手当があるのかということには、日頃なかなか目が向かないようです。よって毎月支給される例えば5,000円の手当というのは、あまりありがたみがないような印象を受けます。それよりも本当にお金がかかるときに、10万とか20万といったある程度まとまった金額が支給されるほうが、インパクトがあり、会社に対する印象も良くなるようです。
宮田部長宮田部長:
 それは間違いないですね。5,000円程度の金額だと、時間外手当にしてせいぜい3時間分くらいしかならないですからね。それに毎月支給されていると、それが当たり前になってしまって、ありがたみが少なくなります。この一時金であれば、社員はもらったという実感をするでしょうね。たぶん社員間ですごい話題になるはずです。
大熊社労士:
 そうですね。また社会保険料の節減にもなるでしょうから、手取りという点でもお得ですね。
服部社長:
 さて、宮田部長、当社はどうしようか?基本的には家族手当の目的は子女に対する支援に絞ることにしよう。支給方法についてはせっかくだから、社懇で社員の意見を求めることにしよう!


大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
こんにちは、大熊です。今回は前回に引き続き、家族手当の改定についての話題を取り上げてみました。次世代育成支援という国の流れに対応し、中堅以上の企業を中心に育児を行う社員への支援を拡充する動きが強まっています。この育児一時金もその一環となりますが、賃金制度の効果性という視点で見ても、対象となる社員へのインパクトが大きく、制度導入に向けた検討を行う価値は十分にあるのではないでしょうか。ちなみに、この家族手当の一時金化を実際に導入している企業で話をお聞きすると、社員にも概ね好評であるとのことです。今後、自社の育児関連の施策を検討される際には、1つの考え方として参考として頂ければと思います。



関連blog記事
2007年2月22日「家族手当の見直しはどのように考えれば良いのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/52506365.html
2006年3月6日「家族手当改革に見られる一時金化の動き」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50426386.html


参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策(全般)」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/jisedai.html
東京労働局「中小企業子育て支援助成金の創設について」
http://www.roudoukyoku.go.jp/topics/2006/20060419-joseikin/index.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

健康診断自己診断カード

健康診断自己診断カード これは社員に自分の健康状態をチェックさせるための書式になります。社員の個人情報にあたるため、プライバシーや健康情報の取扱いに配慮が必要となります。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 health_selfcheck.doc(38KB)
PDFPDF形式 health_selfcheck.pdf(15KB)

[ワンポイントアドバイス]
 過労死やメンタルヘルスの問題が大きくなる中、企業には社員を健康で安全に働かせるという安全配慮義務の履行が強く求められています。健康管理はまずは社員自身の大きな責任ではありますが、企業としても定期的にその健康状態や業務の状況を把握し、必要な対策を取ることが重要になります。健康診断は年に1度の受診が義務付けられていますが、この診断カードは、毎月あるいは数ヶ月に1回程度のペースで自らの健康状態について自己チェックを行うためのものです。自覚症状がある場合には、産業医に相談したり検診を受けさせ、業務量が慢性的に多い場合にはその改善を図ったり、業務担当を変更させるなどの対応も必要になるでしょう。社員ごとに経過が分かるようにファイリングし、自覚症状の変動がないか、症状が長期に渡っていないかなどチェックして活用すると良いでしょう。


関連blog記事
2007年2月20日「【労務管理は管理職の役割】社員の健康管理と健康診断等の受診命令」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50893915.html

 

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

保存有給制度を導入して欲しいと社員から要望がありました

 服部印刷にはいくつか良い点がある。その中でも服部社長の社員に対する考え方が素晴らしい。服部は父親が創業した服部印刷の2代目社長であるが、大学を卒業後の数年間、ある大手の印刷会社に就職をした。その会社は、強力なオーナー社長がまるで独裁政治を敷いているような状態で、また社内の派閥争いが激しく、社員は常に上司の顔色を伺いながら仕事をしているような状態であった。また過剰な顧客第一主義により、社員は常にお客様の無理難題に苦しめられ、労働時間もいまで言えば、過労死認定基準を超えるような状態が続いていた。そんな苦い思い出があるだけに、社長に就任してからの服部は、社員が安心して、快適に働くことこそが、良い仕事に繋がるという信念を持って、会社運営を行ってきた。そんな取り組みの一つとして、四半期ごとに開催されている社員懇談会がある。この社員懇談会では、社長と宮田部長が、社員有志と「どうすればもっと良い仕事ができるだろうか」という視点で、ざっくばらんに意見交換を行っている。労働組合のない服部印刷では、ここで様々な社員の意見を吸い上げ、会社の施策に反映させてきた。


 さて、そんな中、先日開催された社員懇談会で、社員より保存有給制度を導入して欲しいという要望が出された。しかし、服部も宮田も、それをどのように検討すれば良いのか、良く分からない。そこで大熊に相談することとした。



服部社長:
 大熊さん、当社で定期的に社員懇談会を開催しているのはご存知ですね?
大熊社労士:
 えぇ、例の「社懇」というものですよね。
服部社長服部社長:
 そうです、そうです。その社懇で、ある女性社員から「保存有給制度を導入して欲しい」という要望が出されたんですよ。当社では年次有給休暇は法律どおりに付与しているのですが、それを超える有給を認めるということになるようなので、対応に困っていしまいました。大熊さん、保存有給制度というのはどんなものなのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、保存有給制度とは、本来であれば消滅してしまう年次有給休暇を一定の日数まで保存し、私傷病などによる長期欠勤の際に取得できるようにする制度のことを言います。ご存知のとおり、労働基準法では入社し6ヶ月経過すると10日の年休が付与され、その後、勤続年数が1年増すごとにそれに対応した日数が毎年、付与されることになっています。また当年度中に取得できなかった場合には翌年度に限り、持ち越すことができることになっています。つまり入社して1年半を経過した時点で、前年度に1日も年休を取得していない場合には前年度分10日プラス、今年度分11日の合計21日の休暇が与えられることになります。
宮田部長:
 そうですね、当社でもそのように有給休暇の管理を行っています。
大熊社労士:
 一方で、この年次有給休暇は、付与から2年を経過するとその取得ができなくなり、権利が消滅してしまいます。保存有給休暇制度は、この消滅してしまう年休を積み立てておき、私傷病などによる長期欠勤の際など、特定の事由による休業の場合に限り、取得することを認めるという制度です。言ってみれば、福利厚生制度の一環といったところですね。
服部社長:
 なるほど、単純に有給休暇が増えるというのではなく、時効分を積み立てておいて、特定の事由の場合だけ取得を認めるのですね。これは社員にしてみれば、病気や怪我で長期欠勤しなければならない状況になっても一定の範囲で有給休暇が認められ、非常に大きな安心感に繋がりそうですね。ちなみに、この制度は多くの企業で取り入れられているものなのですか?
大熊社労士:
 えぇ、統計調査などがあるかは分かりませんが、私の感覚では中堅以上の企業では比較的よく見られる制度ですね。特に労働組合がある場合には、組合からこの制度の創設要求が出されることが多いようです。
服部社長:
 そうですか。宮田部長、どうだろう。せっかくの社懇での提案だし、ここは4月から当社でも導入してみてはどうだろうか?
宮田部長宮田部長:
 はい、社長。私も賛成です。現実問題として、取得事由を私傷病による長期欠勤に限れば、それほど頻繁に適用者が出るような制度でもないと思いますので、コスト的にも影響は少ないと思います。是非、導入してあげましょう。それでは大熊さん、具体的に導入を考える場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
大熊社労士:
 具体的な運用においては、まずは以下の5点のルールを定めることが必要となります。
保存有給休暇としてストックできる年休の上限日数
保存有給休暇を取得できる事由
年次有給休暇との兼ね合い(保存有給休暇は、法定の年休をすべて取得した後に初めて使用できるなど)
出勤率計算などにおける保存有給休暇取得期間の取扱い
保存有給休暇取得期間と休職の期間との関係
宮田部長:
 ありがとうございます。それでは早速案を作成してみます。完成したらメールでお送りしますので、チェックをお願いします。
大熊社労士:
 承知しました。これでまた社員のみなさんにとって安心して働ける会社に一歩近付きますね。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 今日は最近の春闘での要求事項として出されることが多い保存有給制度について取り上げてみました。この制度は服部社長とのやり取りにもあるように、労働基準法に基づき付与された年次有給休暇のうち、時効で消滅する分を上限日数を設定した上で累積させ、取得事由を限定した上で恩恵的に取得させるというものになります。一般的には私傷病や介護、ボランティアなどをその取得事由として定めますが、企業としてはそれほど多くの負担なしに、利厚生の充実を図ることができるため、良い制度ではないかと考えています。実務上は就業規則に保存有給制度に関する簡単な規定を置いた上で、別途定める保存有給休暇制度運用規程にその詳細を定めることが通常です。社員が安心して働くことができる環境の構築のためにも、制度導入の検討をされてはいかがでしょうか?

[関連条文]
労働基準法第39条(年次有給休暇)
 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
※第2項以下省略
労働基準法第115条(時効)
 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。



関連blog記事
2006年3月8日[福利厚生]保存有給休暇制度の活用
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50440977.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

【労務管理は管理職の役割】社員の健康管理と健康診断等の受診命令

 大熊ブログの立ち上げで久し振りとなりますが、本日は【労務管理は管理職の役割】の第10回をお送りしましょう。近年、企業においては社員の健康管理およびそのリスク対策が重要な労務管理上の論点となっています。特にこれから新入社員を迎える時期に突入していきますが、入社間もない社員に精神面での不安が感じられた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。


 社員を雇い入れた際には、労働安全衛生法および同法施行規則に基づき、指定の項目について医師による健康診断を行わなければならないと義務付けられています。しかし、既往歴・自覚症状等を記入する欄はあるものの、本人の申告はなかなか為されず、またそもそも本人が自覚等をしていなければ、特に精神的な部分については分かりにくいのが実際のところでしょう。しかし、使用者は社員の健康管理に関する配慮義務を負っていますので、この義務を果たすために、労働者の健康情報を把握し、必要な対応を取ることが求められています。最近は特に安全配慮義務が過労死や過労自殺に関する裁判で取り上げられており、社会的に強く求められる傾向になっていますので、労働者の健康状態に不安を感じたときは放置しておくことができません。ここで健康管理のための受診命令に関してリーディングケースとなった最高裁判決をみてみましょう。


電電公社帯広事件(最高裁1小 昭和61年3月31日判決)
「要管理者(労働者)がその健康回復のために従うべきものとされている健康管理従事者(会社の健康管理担当者)による指示の具体的内容については、特に就業規則ないし健康管理規程上の定めは存しないが、要管理者(労働者)の健康の早期回復という目的に照らし合理性ないし相当性を肯定しうる内容の指示であることを要することはいうまでもない。しかしながら、右の合理性ないし相当性が肯定できる以上、健康管理従事者(会社の健康管理担当者)の指示できる事項を特に限定的に考える必要はなく、例えば、精密検診を行なう病院ないし担当医師の指定、その検診実施の時期等についても指示することができるものというべきである。」


 この判決からわかるように、健康状態に問題があると危惧される場合は、業務上必要な範囲において使用者は労働者の健康状態についての情報を得るための受診を指示することが許されます。電電公社帯広事件では、就業規則等への定めは存しなくても受診を指示できると読めますが、受診を「業務命令」の一環として命じるためには、健康診断受診命令権を就業規則に明確に規定しておくことが望ましいでしょう。更に、日頃から部下の行動を観察し、おかしな症状や行動がみられたときには、きちんと文書で記録を残しておき、また、受診命令を所属の管理職一人で判断するのではなく、会社の人事担当責任者や健康管理担当責任者と相談することが望まれます。それでもなお判断に迷う場合は、産業医へ具体的な状況を正確に報告し、相談することも一つの工夫です。



参照条文
労働安全衛生法第66条(健康診断)
 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
労働安全衛生法施行規則第43条(雇入時の健康診断)
 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行なわなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。(健康診断の項目は省略)


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

業務依頼書

業務依頼書 これは社員が他の社員に対して業務依頼をする際に渡す依頼書の書式サンプルです。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 gyoumu_irai.doc(33KB)
PDFPDF形式 gyoumu_irai.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]
 他者に業務を依頼する際、その生産性と質の高さに大きく影響を与えるのが、納期と目的です。業務を依頼された者は、納期を知ることで、他の業務との優先順位を決めることができます。そして、業務の目的を伝えることで、何のためにこの業務を行うのかを理解でき、また間違いに気づいたり、違うやり方の方がより良いのではないかと考えることができます。口頭での業務依頼ではどうしてもこうした点が甘くなりがちで、大きな生産性の阻害要因となっていることが少なくありません。業務を依頼する際にはこうしたフォーマットを活用し、確実な指示伝達を行いたいものです。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。