「ハイ」の検索結果

給与辞令

給与辞令 給与改定時に、その改定内容を社員に通知する給与辞令の書式。
[ダウンロード]
WORDWord形式 kyuyo_jirei.doc(26KB)
PDFPDF形式 kyuyo_jirei.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 給与辞令は、人事総務の機能があまり充実していない中小企業ではあまり交付されず、給与明細書でそれを代用することが多いように思いますが、いずれにしても給与改定というタイミングは、社員に対しその評価と今後期待する役割を伝える良い機会となります。給与改定の際には是非、給与辞令などを用意し、社員との少し改まったコミュニケーションを取っていただきたいと思います。

(大津章敬・渡邊てるゑ

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

これが正しい時間外手当の計算方法なんです!

 前回、時間外手当を月30時間でカットしているという取り扱いにより、服部印刷では過去2年間で約4,000万円の時間外手当の不払い(サービス残業)が発生していたことが発覚。そこで今回、大熊は時間外手当の基礎の基礎について説明することにした。



大熊社労士大熊社労士:
 過去の不払い分の時間外手当についてどう精算するかという対応についても考える必要がありますが、今後の適正な管理のために、まずは時間外手当の基礎の基礎を押さえておくことにしましょう。
服部社長:
 ありがとうございます。よろしくお願いします。
大熊社労士:
 はい、それではまずは時間外手当の計算方法について確認しましょう。





 大熊は立ち上がり、ホワイトボードに次の計算式を書いた。

これが正しい時間外手当の計算方法なんです!





大熊社労士:

 時間外手当の基本的な計算式はこのようになります。この計算式を分解すると、対象賃金、平均所定労働時間、割増率の3つの部分に分かれます。これを順番に見ていくことにしましょう。まず対象賃金ですが、宮田部長。社員のみなさんの固定給はどのような支給項目になっていますか?
宮田部長宮田部長:
 はい、えぇっと、まずは基本給と、諸手当は役職手当、印刷手当、営業手当、家族手当、調整手当、それに通勤手当がありますね。
大熊社労士:
 ありがとうございます。ちなみにこれらの他に歩合のような変動給はございますか?
宮田部長:
 いえ、ありません。
大熊社労士:
 ありがとうございます。ということは御社の適正な時間外手当対象賃金は基本給、役職手当、印刷手当、営業手当、調整手当を合算したものになりますね。時間外手当の対象賃金は原則としては基本給のみならず固定給をすべて合算した金額となります。ただし、ここから除外できるものが労働基準法および同施行規則で定められており、具体的には家族手当、住宅手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、1ヶ月を超える期間毎に計算される変動給等の7つの手当については対象外となります。また御社では支給がありませんが、歩合の変動給も計算方法は若干特殊になりますが、対象賃金に加える必要があるのです。
服部社長:
 そうですか、私は基本給だけで良いと思い込んでいました。宮田部長、この点については大丈夫なのか?
宮田部長:
 えぇ、この点については問題ありません。
大熊社労士:
 そうですか、安心しました。それでは次は平均所定労働時間です。ここは1年間を平均した月の所定労働時間を適用することが通常です。宮田部長、1日の所定労働時間は8時間だったと思いますが、年間休日数は何日になりますか?
宮田部長:
 ちょっと待ってください。カレンダーを見て、数えますね。えーっと、1月が9日、2月が8日…..、合計すると年間で110日ですね。
大熊社労士:
 ありがとうございます。年間休日が110日ということは、年間の所定労働日数は365日-110日で255日になります。これに1日の所定労働時間である8時間をかけると年間の総所定労働時間は2,040時間。これを12ヶ月で割ると、月当たりの平均所定労働時間が算出されますが…….、(電卓を叩きながら)170時間ですね。
服部社長:
 なるほど、そのように計算するのですね。宮田部長、当社でもこのように計算しているのか?
宮田部長:
 いえ、当社では現在184時間で計算しています。
服部社長:
 184時間?
宮田部長:
 ええ、以前は通常月の出勤日が23日でしたから、23日×8時間で184時間としてきたのです。
服部社長服部社長:
 ということは、正しい計算にすると時間外手当を計算する際の分母が小さくなる訳だから、結果として時間外単価が高くなるということだな。これは参ったな。また支出が増えるよ
大熊社労士:
 そのとおりです。御社のように時間外手当計算時の所定労働時間が週40時間制以前の時間数のままになっている例は少なくありません。中には200時間で割っているような例が、今でもたまに見られますね。さて、御社では平均所定労働時間を184時間で時間外手当を計算されていたということですので、これを適正化した場合にはどの程度の差異が出るのかを検証してみましょう。
服部社長:
 お願いします。
大熊社労士:
 はい、それではここでも時間外手当の対象賃金を仮に280,000円として計算してみましょう。現在の184時間の設定で行くと、2800,000円÷184時間×1.25ですから、小数点以下を切り上げると、時間外手当の単価は1,903円になります。これに対し、本来の時間数である170時間でいくと、280,000円÷170時間×1.25は、2,059円ですね。差額は1時間当たり156円になります。これが対象者40人で月間30時間とすると、156円×40人×30時間=187,200円。この対象賃金の是正だけで、月に187,200円の不払いが発生しているようです。
服部社長:
 約19万円かぁ。宮田部長、これは仕方ないな。来月からすぐに是正しよう。
宮田部長:
 そうですね。申し訳ありません。
大熊社労士:
 それでは時間外手当計算の最後、割増率です。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス みなさん、こんにちは、大熊です。今回は時間外手当の正しい計算方法について取り上げました。計算式は対象賃金÷平均所定労働時間×割増率という簡単なものですが、それぞれいろいろなルールがあることをご理解頂けたのではないかと思います。の割増率については、今後の法改正の動向などもありますので、次回、詳しくお伝えします。今回お伝えしたかったのは、対象賃金および平均所定労働時間には、その適正な計算方法があり、多くの会社が無意識のうちに間違った処理をしているということです。服部印刷では、対象賃金については正しい処理がなされていましたが、実際にはここが基本給だけで計算されているような企業も少なくありません。また住宅手当を時間外対象賃金から外す場合には、「割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいうものであり、手当の名称の如何を問わず実質によって取り扱う」といった詳細なルールがありますので、十分な確認が求められます。それでは今日はこんなところで。


[関連条文]
労働基準法第115条(時効)
 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
労働基準法第37条第1項(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
労働基準法施行規則第21条
 法第37条第4項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第1項及び第3項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金



参考リンク
東京労働局「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成17年度)」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2006/20061005-shiharai/20061005-shiharai.html
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果―平成17年度は約233億円」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1002-1.html
厚生労働省「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1002-1c.html
広島労働局「時間外・休日及び深夜の割増賃金」
http://www.hiroroudoukyoku.go.jp/contens/kijyun/contens/checkpoint/checkpoint18.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

休職期間満了のお知らせ

休職期間満了のお知らせ 私傷病により休職している社員に対し、その休職満了が近付いており、それまでに復職できなければ就業規則の定めにより自然退職となることを通知する書類。

[ダウンロード]
WORDWord形式 kyushoku_manryou.doc(22KB)
PDFPDF形式 kyushoku_manryou.pdf(9KB)

[ワンポイントアドバイス]
 休職とは、私傷病などの事由に該当して長期休業する場合、一定の期間その雇用を保証する制度のことを言います。この取り扱いは法律で定められたものではありませんので、各社で就業規則においてその対象事由や期間、賃金の取り扱いなどを定めることになります。さて、この休職ですが、その期間満了までに私傷病などが完治し、復職できれば良いのですが、そうでない場合には、休職期間満了をもって自然退職(自動退職)とされていることが通常です。この点は雇用に関わる問題だけに非常に重要ですから、実際に休職対象者が発生した場合には、この定めおよび復職の際の手続を伝えたうえで、期間満了の際には今回ご紹介したような書類を交付することが良いでしょう。

 なお、休職制度はメンタルヘルス問題の拡大によって、その重要性が年々増しています。よって就業規則の条文をご確認頂き、不十分な記載がないかといった点についてチェックすることが望まれます。

[関連リンク]
厚生労働省「労働契約に伴う権利義務関係、休職に関する実態について」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/s1014-9b.html

(大津章敬・渡邊てるゑ

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

サービス残業で4,000万円?!

 服部印刷の服部社長と1年振りに面談し、人事労務顧問を受託することとなった大熊社労士。今日はさっそく服部の相談を受けることとなった。


服部社長服部社長:
 早速ですが、ここ数年、サービス残業の問題をよく耳にするのですが、お恥ずかしいことに、実は当社でも残業カットを行っているのです。
大熊社労士:
 そうでしたか。具体的にはどのような取り扱いをされていらっしゃるのでしょうか?
服部社長:
 宮田部長、説明してもらえないか?
宮田部長宮田部長:
 はい、分かりました。当社の正社員は50名いますが、うち5名が管理監督者、もう5名が営業職ですので時間外手当を支給しておりません。残りの40名が時間外手当の対象となりますが、実は月30時間でカットしているのです。
大熊社労士:
 う~ん、まあ世間ではよく聞く話ではありますが、これは問題ですね。それで実際には月に何時間くらいの残業があるのですか?
宮田部長:
 そうですね、1日2時間強は残っていますから、まあざっと月50時間くらいでしょうか。
大熊社労士大熊社労士:
 ということは、ざっくり月に20時間のサービス残業ということですね。
宮田部長:
 はい、そうなります。
服部社長:
 大熊さん、これはどうなんでしょう。問題だとは分かっていますが、もし労働基準監督署等に指摘を受けるとどうなるのでしょうか。
大熊社労士:
 服部社長も新聞でいろいろな大企業が労働基準監督署の是正勧告を受け、それこそ数十億の未払い賃金を精算したという記事をご覧になられていると思いますが、賃金債権の時効は労働基準法第115条で2年間と定められています。よって、最悪の場合、2年前まで遡って精算する必要があります。
宮田部長:
 2年間ですか。とするとだいたいどれくらいの金額になるのでしょうか?
大熊社労士:
 管理監督者や営業の社員の問題もありそうですが、それはとりあえず置いておいて、40名の社員について簡単に計算してみましょう。平均の給与が280,000円、月の平均所定労働時間が168時間で、毎月20時間のサービス残業があったとします。この場合、一人あたりの1ヶ月の未払額は、280,000円÷168時間×1.25×20時間=41,667円になります。対象は40名ですから、1ヶ月あたりの未払額は41,667円×40人=1,666,680円。この2年分ですので、1,666,680円×24ヶ月=40,000,320円。約4,000万円になりますね。



社長室に沈黙が流れた….。




服部社長:
 4,000万円ですか
大熊社労士:
 ええ、ざっくりではありますが、4,000万円です。驚かれましたか?
宮田部長:
 驚いたなんてもんじゃないですよ、ねぇ、社長。
服部社長:
 あぁ、空いた口が塞がらないとはこのことだよ。4,000万円といったら、昨年の当社の利益とほとんど変わらないじゃないか。みんなで頑張って作り上げた利益が一発で吹っ飛んでしまう。
大熊社労士:
 これが現実なのです。こう考えると従業員数万人の大企業で、数十億円のサービス残業があったというのも納得がいくのではないでしょうか。
服部社長:
 そうですね。当社としても対策を急がなければ….。



>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス みなさん、こんにちは、大熊です。未払い時間外手当の金額を聞いて、服部社長は本当にびっくりしていましたね。もっとも月30時間での残業カットを行ってきたのであれば仕方ありません。今回は本当に概算を出しただけですが、読者のみなさんにもサービス残業の金銭的影響の大きさは感じて頂けたのではないかと思います。このようにサービス残業の未払い賃金を精算する際には、最大2年間遡りますので、予想以上にその額が膨れ上がることになります。この対策としては、まず何と言っても時間外労働に関する意識を高め、生産性の向上などを通じて、時間外労働を圧縮することが重要です。もっとも残業というのは、単に社員の頑張りが足らないというような単純な問題ではなく、その会社の業務フロー全体、場合によっては営業構造(顧客との関係から営業が無理な納期の仕事を受注してしまい、現場が飛び込みの仕事に振り回されるなど)にまでその原因を求めることができる構造的なものです。社員の意識付けも重要ですが、構造的な問題の対応を行わなければ、更なるサービス残業の温床をとなる危険性があります。また企業によっては、そもそもの労働時間制度が実態にあっておらず、無用な時間外労働を発生させていることもあるかも知れません。実質的な時短活動を行うと同時に、就業規則の見直しも必要となるかも知れません。このあたりのことについては、また日を改めてお話したいと思います。それでは今日はこんなところで。


[関連条文]
労働基準法第115条(時効)
 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
労働基準法第37条第1項(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。



参考リンク
東京労働局「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成17年度)」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2006/20061005-shiharai/20061005-shiharai.html
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果―平成17年度は約233億円」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1002-1.html
厚生労働省「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1002-1c.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

1年単位の変形労働時間制に関する協定届

1年単位の変形労働時間制に関する協定届 1年単位の変形労働時間制を採用するためには、労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出る必要がありますが、この書式はその際に用いる協定届です。1年以内の一定の期間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えないように定め、会社が所轄労働基準監督署長に協定を届け出ることにより、協定の定めにより特定された週、日において法定労働時間を超えて労働させることができるようになります。
重要度:★★★
官公庁への届出:必要(所轄労働基準監督署)
法定保存期間:協定期間

[ダウンロード]
WORDWord形式 year_henkei_todoke.doc(35KB)
PDFPDF形式 year_henkei_todoke.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]
 1年変形労働時間制は、暦や年度の単位あるいは決算月の区切りで採用されることが多く、2007年を迎えるにあたって、年間カレンダーを設定し新たに届出るという会社もあるでしょう。作成上の注意事項としては、労働日および労働日ごとの労働時間が、次の3つの要件を満たすように定めることが求められます。
労働日数の限度
   対象期間が1年間の場合には280日。対象期間が3ヶ月を超え1年未満である場合(小数点以下は切捨)には、1年あたりの労働日数の限度×対象期間の暦日数/365日。
1日および1週間の所定労働時間の限度
   1日10時間、1週間52時間
   ※対象期間が3ヶ月を超える場合は、週48時間を超える週の回数等に制限があります。
連続して労働させる日数の限度
   6日
   ※特定期間については12日

 実務上は、割増賃金の計算に注意が必要です。勤務した期間が対象期間より短い従業員については、その勤務した期間を平均して1週間当たり40時間を超えた部分についての割増賃金の支払が義務づけられています。また、1年変形労働時間制を採用する場合には、通常、就業規則等を変更し、届出ることが必要になります。

[根拠条文]
労働基準法第32条の4
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
(以下省略)

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

1年単位の変形労働時間制に関する協定書(区分期間なし)

1年単位の変形労働時間制に関する協定書(区分期間なし) 1年単位の変形労働時間制を採用するにあたって、変形期間の対象期間の中を区分しない場合に用いる書類。区分期間を設ける場合には、先日紹介した区分期間ありの書式をご利用下さい。
重要度:★★★
官公庁への届出:必要(所轄労働基準監督署)
法定保存期間:協定期間

[ダウンロード]
WORDWord形式 year_henkei_nashi.doc(35KB)
PDFPDF形式 year_henkei_nashi.pdf(9KB)

[ワンポイントアドバイス]
 1年単位の変形労働時間制を採用するにあたって、変形期間の対象期間の中を1ヶ月以上ごとの期間ごとに区分する場合と区分しない場合とがあり、この書類は区分しない場合の協定書になります。この場合、対象期間における労働日と労働日ごとの所定労働時間が前もって分かるように明示し、定めなければなりません。

[根拠条文]
労働基準法第32条の4
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
(以下省略)

[関連通達]
平成6年1月1日基発1号
 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定により、変形期間における労働日および当該労働日ごとの労働時間を具体的に定めることを要し、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度は、これに該当しないものであること。
平成11年1月29日基発45号
 法第32条の4第1項第3号の特定期間は対象期間中の特に業務が繁忙な期間であることから、対象期間の相当部分を特定期間として定める労使協定は、法の趣旨に反するものであること。また、対象期間中に特定期間を変更することはできないものであること。

[参考リンク]
厚生労働省「週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/week/970415-3.htm
神奈川労働局「1年単位の変形労働時間制について」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/1nenhenk.htm

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

大熊社労士登場!

 12月のある午後、社会保険労務士である大熊純雄の事務所の電話が鳴った。



大熊社労士大熊社労士:
 はい、大熊社労士事務所です
宮田部長:
 大熊さん、ご無沙汰しております。服部印刷の宮田でございます。
大熊社労士:
 おおっ、大熊です。こちらこそご無沙汰しております。退職金制度改定(大津章敬著「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル(日本法令)」参照)の際にはお世話になりました。退職金制度の施行は昨年の9月でしたから、ほぼ1年振りですね。制度運営でなにか問題でもありましたか?
宮田部長宮田部長:
 いえいえ、お陰様で退職金制度の方は問題もなく、運営できています。今日お電話させて頂いたのは、最近、人事労務全般でいろいろと問題が起きているものですから、一度お会いしてご相談させて頂きたいと思いまして。近日中に、一度ご来社頂けませんか?
大熊社労士:
 そういうことでしたか。分かりました。それでは来週の月曜日の午後からでいかがでしょうか?
宮田部長:
 ありがとうございます。月曜日の午後であれば、社長の服部も都合が良いと思います。それでは13時半にお待ちしております。





 そして、月曜日。大熊は1年ぶりに服部印刷を訪問した。服部印刷は中部地方にある社員数50名、資本金3,000万円の印刷業。1965年に服部社長の父が創業したが、2000年に創業者の死亡により、服部が2代目社長に就任している。



服部社長服部社長:

 大熊さん、お久し振りです。今日はお忙しい中、ご来社頂いて申し訳ない。
大熊社労士:
 いえいえ、こちらこそありがとうございます。このようにお声をお掛け頂くのは光栄です。なんでも今回は、人事労務全般についてという風に宮田部長からお聞きしていますが、なにか問題でも発生したのですか?
服部社長:
 いやいや、別になにか具体的な問題が発生したということではないんですよ。ただ、最近は求人難で人材が集まりにくくなってきました。そこで少しでも現有社員に力を発揮してもらえるように、人事労務環境の整備を行いたいということが一つ。そしてもう一つは、新聞を見ていると法改正の話題が連日のように出ているじゃないですか。
大熊社労士:
 そうですね。最近はホワイトカラーエグゼンプションという制度が検討されているだとか、パートタイマーへの社会保険の適用拡大なんていう話題がよく掲載されていますね。
宮田部長:
 そうそう、ホワイトカラーなんとかというのは良く分かりませんが、パートの社会保険の件は困りますね。当社でも15人ほどのパートさんに働いてもらっていますが、社会保険適用なんてことになったら、大変です
服部社長:
 そうだなぁ…。まぁ、そんな状態ですので、大熊さんには定期的にご来社いただき、当社で日々起こる諸問題の相談に乗って頂くと同時に、人事労務管理の基礎をレクチャーして欲しいと思うのです。お願いできますか?
大熊社労士:
 もちろんです。私の事務所では、働く人が『この会社に入って本当に良かった』と思い、安心して自らの仕事に邁進できる環境を構築することによって、前向きな活き活きとした組織風土を醸成し、企業の発展を実現する。結果的にそれが労使双方のハピネスを作り出し、社会のハピネスを創造するというミッションを掲げています。今回のご依頼はこのミッションにピッタリのご依頼ではないですか。喜んでお受けします。
服部社長:
 そうですか。ありがとうございます。それではよろしくお願いします。
大熊社労士:
 それでは、早速今日から始めましょうか。人事労務に関し、いろいろお悩みのことがあると思いますが、その中でも最初に思い浮かぶ問題は何でしょうか?
服部社長:
 そうですね、早速ですが…。


>>>to be continued



参考リンク
厚生労働省 労働政策審議会 労働条件分科会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/rousei.html#jyouken
大津章敬「中小企業の退職金・適年制度改革実践マニュアル(日本法令)」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4539719599/roumucom-22


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

パートタイマーに関する再チャレンジ支援策の動向とパートタイム助成金

 景気の回復や2007年問題への対応により、求人環境が急速に悪化しています。地方ではまだその実感は薄いかもしれませんが、都市部の多くの企業では人材の確保に頭を抱えている状況となっています。この問題を解決するためには、従来の男性正社員中心の考え方から脱却し、高齢者や女性、そしてパートタイマーなどの活用を積極的に進めていく必要があります。また一方で、政府も再チャレンジ支援をキーワードに掲げ、パートタイマーの正規職員との待遇や能力開発機会の格差解消を目指し、次期通常国会にて、パートタイム労働法の改正を目指しています。


 こうした動きに先行し、財団法人21世紀職業財団では、平成18年4月1日よりパートタイム助成金制度をリニューアルし、パートタイマーを活用する企業に対し、以下のような支援を行っています。
[助成金のメニュー]
正社員と共通の処遇制度の導入 50万円
 パートタイマーの仕事や能力に応じた処遇について、正社員と共通の評価・資格制度を設けた上で、実際に格付けされたパートタイマーが1名以上出た場合
パートタイマーの能力・職務に応じた処遇制度の導入 30万円
 パートタイマーの仕事や能力に応じた評価・資格制度を設けた上で、実際に格付けされたパートタイマーが1名以上出た場合
正社員への転換制度の導入 30万円
 パートタイマーから正社員への転換制度を設けた上で、実際に転換者が1名以上出た場合
短時間正社員制度の導入 30万円
 短時間性社員制度を設けた上で、実際に短時間正社員が1名以上出た場合
 ※「短時間正社員」とは
 □正社員と比較して一週間の所定労働時間が1割以上短いこと
 □労働契約期間の定めがないこと
 □時間当たりの基本給が、同様の業務に従事する正社員と同等以上であること
教育訓練の実施 30万円
 正社員との均衡を考慮した教育訓練を、パートタイマーに延べ30人以上実施した場合
健康診断・通勤に関する便宜供与の実施 30万円
 のいずれかを受給した事業主が、パートタイマーの健康診断または通勤に関する便宜を供与する制度を設けた上で、その利用者が1名以上出た場合


[支給申請ができる事業主]
 労働保険適用事業主(規模は問わない)
 制度を新たに設けてから(就業規則や労働協約に規定することが必要)、2年以内に対象者が出ること


[申請期間/窓口]
 対象者が出てから3ヶ月以内/財団法人21世紀職業財団地方事務所
※対象となる「パートタイマー」とは
 1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用される正社員に比べ短い労働者です。「パート」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「準社員」といった呼び方によって取扱いは変わりません。



参考リンク
財団法人21世紀職業財団
http://www.jiwe.or.jp
京都府「パートタイム労働者の雇用管理改善に取り組む事業主の方に」
http://www.pref.kyoto.jp/rosei2/part/p23.html
首相官邸「再チャレンジ支援総合プラン」
http://www.kantei.go.jp/jp/saityarenzi/siryou.html


(福間みゆき)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

1年単位の変形労働時間制に関する協定書(区分期間あり)

1年単位の変形労働時間制に関する協定書(区分期間有り) 1年単位の変形労働時間制を採用するにあたって、変形期間の対象期間の中を1ヶ月以上ごとの期間ごとに区分する場合に用いる協定書の書式。1年単位の変形労働時間制を採用する際にはこの協定書に、協定届[様式第4号]およびカレンダーを添付し、労働基準監督署に届出ることが必要になっています。
重要度:★★★
官公庁への届出:必要(所轄労働基準監督署)
法定保存期間:協定期間

[ダウンロード]
wordWord形式 shoshiki071.doc(29KB)
pdf
PDF形式 shoshiki071.pdf(4KB)

[ワンポイントアドバイス]
 労働時間管理は、労務管理の中でももっとも重要なものの一つに数えられますが、不用意な時間短縮は、稼動時間の減少や時間外手当単価の上昇など多くの課題に直結するため、特に中小企業においては如何に最適なカレンダーを作成するかが大きなポイントとなっています。通常の会社のカレンダーは年末年始やお盆、ゴールデンウィークなどに偏って休日が設定されているため、結論から言えば、この1年単位の変形労働時間制を採用することが、もっとも会社にとっては小さな負担で週40時間をクリアすることに繋がります。参考リンクなどもご参照頂き、そのメリット・デメリットを把握し、自社にとって最適な労働時間制度を導入されることをオススメします。

 なお、1年単位の変形労働時間制を採用する際には、労使協定において、変形期間における労働日と労働日ごとの所定労働時間を特定することが必要となっていますが、変形期間の対象期間の中を1ヶ月以上ごとの期間ごとに区分する場合と区分しない場合とがあります。この書類は区分する場合の協定書になりますが、この場合は最初の区分期間の労働日ごとの労働時間を定め、残りの各期間については労働日数と総労働時間を定めておくことになります。そして、対象となる期間の初日の少なくとも30日前までに、労働組合あるいは従業員代表の同意を得て、労働時間を書面で特定することになります。また、労使協定には有効期間の定めが必要ですが、この長さについては1年程度が望ましいとされています。

[根拠条文]
労働基準法第32条の4
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第2号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
(以下省略)

[関連通達]
平成6年1月1日基発1号
 1年単位の変形労働時間制を採用する場合には、労使協定により、変形期間における労働日および当該労働日ごとの労働時間を具体的に定めることを要し、使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更するような制度は、これに該当しないものであること。
平成11年1月29日基発45号
 法第32条の4第1項第3号の特定期間は対象期間中の特に業務が繁忙な期間であることから、対象期間の相当部分を特定期間として定める労使協定は、法の趣旨に反するものであること。また、対象期間中に特定期間を変更することはできないものであること。

[参考リンク]
厚生労働省「週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/week/970415-3.htm
神奈川労働局「1年単位の変形労働時間制について」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/1nenhenk.htm

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

遅刻・早退・外出届

遅刻・早退・外出届 従業員が遅刻や早退、あるいは勤務の途中に外出する場合に提出させる勤怠管理上の基本書類。
重要度:★★
官公庁への届出:不要
法定保存期間:3年間

[ダウンロード]
wordWord形式 chisou.doc(30KB)
pdfPDF形式 chisou.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 勤怠管理は労務管理の中でも、もっとも日常的かつ基本的なものです。この書式では従業員の遅刻や早退、外出について、届出をさせるものになっていますが、この管理は確実な賃金計算のためだけではなく、社内の規律保持においても重要です。遅刻などが、予めわかっている場合には事前に届出させ、またどうしても事後になってしまうものについては、速やかに提出させるというルールを就業規則などで定めておくことが望まれます。なお、この届出は勤務時間に関する記録であるため、出勤簿やタイムカードと同じように保存しておかなければなりません。

[根拠条文]
労働基準法第109条(記録の保存)
 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。