[改正育児介護休業法]義務化された子を養育する労働者の残業免除制度(6)

 今回の育児介護休業法では、子育て期間中の働き方の見直しということで、制度の拡充が行われています。この連載の第3回「子の看護休暇の日数と看護の対象範囲の拡充」で取り上げた子の看護休暇の拡大もその中のひとつですが、今日はこの見直しの中でも「所定外労働の制限」の義務化について取り上げてみましょう。


 この所定外労働の制限は、改正前までは「勤務時間の短縮等の措置等」の5つの制度のうちの1つとされていたものです。短時間勤務制度やフレックスタイム制を導入している企業については、導入しなくてもよいとされていましたが、今回の改正で導入が義務付けられています。具体的には、3歳に満たない子を養育する労働者が、子を養育するため請求した場合は、所定労働時間を超えて労働させてはならないというものです。この制度にも、労使協定を締結することで、対象から除外できる労働者の範囲として以下の2つが定められています。
入社1年未満の労働者
除外することに合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの


 育児介護休業法施行規則案では、このの労働者について「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」を挙げています。この制度は、育児休業から復帰後の仕事と子育ての両立を支援するために義務化されたものであり、子を養育する労働者からは要望の多い内容かと思います。時間外労働が多い企業においては、いまから徐々に対応法を検討していく必要があるでしょう。



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参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html


(宮武貴美)

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