改正労働基準法案閣議決定 早くも法律案を見ることができます
高度プロフェッショナル制度の導入などで話題となっている改正労働基準法案ですが、金曜日(2015年4月3日)に閣議決定され、国会に提出されました。今後、通常国会で審議され、大半の内容は来年(2016年)4月1日に施行される予定となっています。
当ブログでは労働政策審議会での議論の段階から何度も取り上げていますが、以下では厚生労働省が法案提出にあわせて作成した概要資料の内容をご紹介しましょう。
労働基準法等の一部を改正する法律案の概要
長時間労働を抑制するとともに、労働者が、その健康を確保しつつ、創造的な能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境を整備するため、労働時間制度の見直しを行う等所要の改正を行う。
長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等
(1)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。(3年後実施)
(2)著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
・時間外労働に係る助言指導に当たり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨を明確にする。
(3)一定日数の年次有給休暇の確実な取得
・使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする(労働者の時季指定や計画的付与により取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はない)。
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進(※労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の改正)
・企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組を促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係る労使協定に代えることができることとする。
多様で柔軟な働き方の実現
(1)フレックスタイム制の見直し
・フレックスタイム制の「清算期間」の上限を1か月から3か月に延長する。
(2)企画業務型裁量労働制の見直し
・企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。
(3)特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
・職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
・また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)
施行期日は2016年4月1日(ただし、の(1)については2019年4月1日)となっています。なお、実際の法律案等は以下でご覧頂けます。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/189.html
[名古屋で労働時間法制と労働時間トラブルに関するセミナーを開催]
今回の改正法案を受け、以下のセミナーを開催します。是非ご参加ください。
来春施行予定の労働時間制度改革の内容と近年の労働時間トラブルの傾向と対策を2時間で理解する講座
日時:2015年4月17日(金)午後3時~5時
講師:社会保険労務士法人名南経営 代表社員 社会保険労務士 大津章敬
会場:名南経営本社セミナールーム(名古屋・丸の内)
詳細および申し込みは以下よりお願いします。
http://www.meinan.net/seminar/15009/
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2015年2月16日「まず押さえておきたい労働時間法制改革建議における7つの重要ポイント」
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2015年1月28日「労政審報告書骨子案に見る中小企業の60時間超の割増50%の適用などの方向性」
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2015年1月21日「労政審報告書骨子案に見るフレックスタイム制規制緩和の方向性」
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2015年1月20日「労政審報告書骨子案に見る年次有給休暇取得義務化の方向性」
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2015年1月19日「労政審報告書骨子案に見るホワイトカラーエグゼンプションの骨子」
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2015年1月18日「注目の労働時間法制改革の報告書骨子案が公開されました」
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/archives/52062331.html
参考リンク
厚生労働省「第189回国会(常会)提出法律案」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/189.html
(大津章敬)
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