国会に提出された所定外労働免除義務化を含む育児介護休業法改正案

国会に提出された所定外労働免除義務化を含む育児介護休業法改正案 2009年4月17日のブログ記事「時間外労働の制限等の義務化が盛り込まれた育児介護休業法の法律案要綱」でも取り上げた通り、現在、育児介護休業法の改正が検討されています。平成21年4月21日には厚生労働省から国会へ法案も提出され、いよいよ成立に向けた議論が本格化しようとしています。そこで、本日はこの改正育児介護休業法案の概要について確認しておきましょう(画像はクリックして拡大)。


 今回の改正の目的は、仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、男女ともに子育てをしながら働き続けることができる雇用環境の整備がとされており、根本には継続的な課題である少子化があります。この目的を実現するために以下の4つの柱の内容が法律案に盛り込まれています。



子育て期間の働き方の見直し
(1)短時間勤務制度の義務化
 短時間勤務制度について、3歳までの子を養育する労働者に対する事業主による措置義務とする。
(2)所定外労働の免除の義務化
 所定外労働の免除について、3歳までの子を養育する労働者の請求により対象となる制度とする。
(3)子の看護休暇の拡充
 小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日とする。


父親も子育てができる働き方の実現
(1)父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長
・父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間を、子が1歳から1歳2ヶ月に達するまでに延長する。
・父母1人ずつが取得できる休業期間(母親の産後休業期間を含む。)の上限は、現行と同様1年間とする。
(2)出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進
 妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として、育児休業の再度の取得を認める。
(3)労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止
 労働協定により専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるという法律の規定を廃止し、すべての父親が必要に応じ育児休業を取得できるようにする。


仕事と介護の両立支援
○介護のための短期の休暇制度の創設
 要介護状態にある家族の通院の付き添い等に対応するため、介護のための短期の休暇制度を設ける(年5日、対象者が2人以上であれば年10日)。


実効性の確保
(1)紛争解決の援助及び調停の仕組み等の創設
 育児休業の取得等に伴う苦情・紛争について、都道府県労働局長による紛争解決の援助及び調停委員による調停制度を設ける。
(2)公表制度及び過料の創設
 勧告に従わない場合の公表制度や、報告を求めた際に虚偽の報告をした者等に対する過料を設ける。


 昨今の不況の影響もあり、世間では「育休切り」という言葉がメディアで流されるようになりました。このような法律の整備にあわせて、育児休業を取得・職場復帰した場合に如何にこの制度を利用できるような体制を整備していくかを考えなければ、男女ともに子育てをしながら働き続けることができる雇用環境の実現は難しくなってしまうでしょう。



関連blog記事
2009年4月17日「時間外労働の制限等の義務化が盛り込まれた育児介護休業法の法律案要綱」
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2009年4月14日「[改正雇用保険法](8)休業中に全額支給となる育児休業給付」
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2009年4月13日「産前産後休暇・育児休業等の取得に対する不利益取扱い禁止を確認した通達の発出」
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2009年3月19日「中小企業子育て支援助成金の支給額・対象人数が拡充」
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2009年2月26日「助成率が大幅引上げとなった育児介護関連の助成金」
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2009年2月16日「育児休業期間中に次の子の産前産後休業が重なる場合の社会保険届出」
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2009年2月9日「育児休業期間中に次の子の産前産後休業が重なる場合の社会保険料の取扱い」
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2009年1月20日「第二子以降に月額36,000円の支給が検討されている子育て応援特別手当」
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2009年1月8日「短時間勤務の義務化など拡充が検討される育児休業制度」
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2008年12月8日「平成21年4月より301人以上企業で次世代育成行動計画の公表・周知が義務化へ」
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2008年8月15日「女性労働者の育児休業取得率は約9割に上昇」
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2008年7月29日「育児休業等終了後の社会保険の特例的取扱い」
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2008年7月7日「厚労省研究会が今後の育児休業制度の拡充を提言」
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2008年6月29日「女性従業員の取得率が9割に近づく育児休業」
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参考リンク
厚生労働省「厚生労働省が今国会に提出した法律案について(第171回国会(常会)提出法律案) 」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/171.html


(宮武貴美)


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