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従業員に所持品検査をすることはできるのでしょうか?

 服部印刷では最近、社内の備品を持出す従業員がいるという噂が出ていることから、宮田部長は従業員に対して所持品検査を実施すべきかどうか悩んでいた。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。実は最近、残念なことに最近会社の備品を持ち出す従業員がいるようなんです。その従業員に対して所持品検査をすることは可能でしょうか?
大熊社労士:
 所持品検査ですか。所持品検査をすることは可能ですが、その従業員のみに対して行うことは問題がありそうですね。所持品検査を行うにあたっては4点ほど注意点がありますので、順番に見ていくこととしましょう。まず、企業は従業員に対して当然に所持品検査を行えるわけではありませんので、就業規則に所持品検査を実施する根拠が必要です。就業規則にそういった規定はありますか?
宮田部長宮田部長:
 ええっと、所持品検査、所持品検査。あ、ありました。「従業員は事業場に日常携帯品以外の私品を持ち込んではならない」「従業員が前項以外の私品を持ち込み、ないし使用人の物品を事業場外に持ち出すおそれがある場合、使用者は従業員に対し所持品の点検を求めることができる。従業員はこの点検を拒むことができない」とあります。
大熊社労士:
 そうですか。それでは就業規則に根拠があるという点では問題はないですね。2点目の注意点は所持品検査を実施する場合でも、それは従業員に対して画一的に実施される必要があるということです。
宮田部長:
 はあ、持出しをした者はなんとなく目星はついているのですが、すべての従業員に対して実施しなければならないということでしょうか?
大熊社労士:
 そのとおりです。ある裁判例によりますと、従業員の中に、年に1,2回しか所持品検査を受けない者もいれば、日に2度も検査を受ける者がいるというようなケースに対しては、会社には検査者に対するする配慮が足りなかったとして、その所持品検査を違法と判断したケースがあります。所持品検査は一律的・画一的に実施すべきでしょうね。
宮田部長:
 なるほど、確かに確証がないのに、憶測だけでその従業員だけを検査するのは、問題がありそうですね。そのほかの注意点はどういったところでしょうか?
大熊社労士:
 あとは、その検査方法についても配慮する必要があるでしょうね。
宮田部長:
 検査方法ですか?どのような検査方法が問題になるのでしょうか?例えばカバンの中身を空けて覗き込むことは問題になるのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 う~ん。できれば検査者がカバンを空けるのではなく、従業員自身にカバンの中身を空けてもらったほうがいいでしょうね。私がある大手メーカーで働いていたときに時々退社時にカバンの中身をチェックされたことがありますが、守衛の前に自らカバンをおいて自らカバンをあけました。守衛はカバンには手をふれずに中身を確認するだけでしたね。
宮田部長:
 ズボンやポケットの中を触って確認するようなことは、やはりまずいでしょうかね?
大熊社労士:
 それは避けていただいた方がよいですね。検査者が直接手で触って、チェックすると言った行為は、被検査者に屈辱感や侮辱感を与えますので、適切な検査方法とはいえないでしょうね。
宮田部長:
 確かに触られるのは、疑われているようで気分のよいものではありませんね。あとは、どういったところに気をつけなければならないのですか?
大熊社労士:
 4点目は、検査を行う合理的な理由があることです。たとえば、ある会社では、社内のいたるところに銅地金類が保管されていて、外部への持出しが可能な状態であった場合に、持出しを防ぐために所持品検査を行うことには合理性があるとされました。先ほどお話しました以前私が勤務していたメーカーにおいては、企業の機密漏洩を防ぐためといった合理的な理由がありました。
宮田部長:
 当社のように、備品持出し防止のために、所持品検査を行うことは合理的な理由とされるのでしょうか?
大熊社労士:
 合理性という点では、問題があるかもしれませんね。所持品検査が適法とされた例を見てみますと、高額品の持出しや新商品の開発などの機密漏洩の防止のための所持品検査が適法と判断されていますが、備品の持出しを防ぐというのでは、少し弱いような気がします。
宮田部長:
 なるほど。確かに所持品検査となると少しことが大きくなってしまいそうですね。まずは、備品の管理ノートをしっかり記入させるなど別の方法から考えてみます。
大熊社労士:
 そうですね、まずはそれがよいと思いますよ。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。今回は所持品検査についてとりあげました。所持品検査については、最高裁判例(西日本鉄道事件 最高裁二小 昭和43年8月2日判決)を理解しておく必要があります。この判決においては、所持品検査は労働基準法所定の手続きを経て作成・変更された条項に基づいて行われたことのみをもって当然に適法とされるものではないとされており、以下の4点を満たす所持品検査である場合には、適法となり、従業員は検査を受任すべき義務があるとしています。
就業規則などに実施の根拠を示すこと
検査を行う合理的理由があること
検査の方法、程度が妥当であること
制度として画一的に実施されること


[関連判例]
西日本鉄道事件 昭和43年8月2日 最高裁(2小) 
使用者がその企業の従業員に対して金品の不正隠匿の摘発・防止のために行う所持品検査は、「その性質上常に人権侵害のおそれをともなうものであるから、たとえ、それが企業の経営・維持にとって必要かつ効果的な措置であり、他の同種の企業において多く行われるところであるとろしても、また、それが労働基準法所定の手続きを経て作成・変更された就業規則の条項に基づいて行われ、これについて従業員組合または当該職場従業員の過半数の同意があるとしても、そのことの故をもって、当然に適法視されうるものではない。問題は、その検査の方法なし程度であって、所持品検査は、これを必要とする合理的理由に基づいて、一般的に妥当な方法と程度で、しかも制度として、職場従業員に対して画一的に実施されるものでなければならない。そして、このようなものとしての所持品検査が、就業規則その他、明示の根拠に基づいておこなわれるときは、他にそれに代わるべき措置をとりうる余地が絶無でないとしても、従業員は、個別的な場合に、その方法や程度が妥当を欠く等、特段の事情がないかぎり、検査を受任すべき義務があり、かく解しても所謂憲法の条項に反するものでない。」


(中島敏雄)


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時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号の2)

shoshiki421これは、事業場外労働制(みなし時間が通常労働時間を超える場合)を導入し36協定の届出を行う際に、一括して届出ができる書式サンプル(画像はクリックして拡大)です。
□重要度 ★★★
□官公庁への届出 必要(提出先:所轄労働基準監督署)
□法定保存期間 3年間

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki421.doc(51KB)
PDFPDF形式  shoshiki421.pdf(22KB)

[ワンポイントアドバイス]
 そもそも従業員に残業させるには、就業規則や労働契約に合理的な残業命令の根拠規定が必要になります。協定の内容は、厚生労働大臣が定める基準に適合しなければならず、延長できる時間の限度が決められています。

 また、事業場外労働制を適用して、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、その業務の遂行に通常必要とされる時間について、労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければならないとされています。そのため、両方をまとめて届出ができるこのような書式を利用して、確実に届出を行うことが求められます。

[参照条文]

労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない。
2 厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。
3 第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。
4 行政官庁は、第2項の基準に関し、第1項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

労働基準法第38条の2
 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
2 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
3 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

[参考リンク]

愛媛労働局「届出様式」
http://www.e-roudou.go.jp/annai/kantokuk/20402/2040205/index.htm


(福間みゆき)


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4月1日から対象が拡大される一般事業主行動計画策定義務の具体的な内容を教えてください

 2011年4月1日から一般事業主行動計画の策定等の義務が従業員数101人以上の企業に拡大されるにあたって、宮田部長は大熊社労士に具体的な取組についての相談をしていた。



宮田部長:
 4月から一般事業主行動計画の策定等などの義務が従業員数101人以上の企業に拡大されるそうですね。
大熊社労士:
 ええ、そのとおりです。確か御社では既に取り組みを始めていらっしゃいましたよね?
宮田部長:
 ええ、取り組みを始めてはいるのですが、具体的にどんな取り組みを行っていけば良いのか悩んでいます。
大熊社労士:
 なるほど、わかりました。それではまずは一般事業主行動計画の基本的な部分をおさらいしておきましょう。福島さんに質問です。そもそも一般事業主行動計画とはどういったものでしょうか?
福島照美福島さん:
 はい、少子化が深刻な社会問題となっていることから、次世代育成支援対策推進法は企業に対し、仕事と子育ての両立を図るために必要な雇用環境の整備を義務付けています。この義務を達成するために企業には、この計画を策定し・届出、公表・周知することが義務付けられています。従来は従業員数301人以上の企業へ義務付けられていましたが、2011年4月より101人以上の企業にも義務付けが拡大されることになっています。
宮田部長:
 さすが福島さん。よく勉強しているね!上司として鼻が高いよ(笑)。
大熊社労士:
 そのとおりです。行動計画を策定の段階では、具体的には3つのステップを踏みます。1.自社の方針を明確にする。2.自社の現状・従業員のニーズを把握する。3.行動計画を策定するとありますが、まず最初にそもそも他社がどういった取組を行っているかは気になるところですし、できれば参考にしたいですよね?
宮田部長:
 気になります。同業者の集まりで聞くことくらいしか他社の取り組みを知ることはできませんからね。何か他に他社の取り組みを知る方法があるのですか?
大熊社労士:
 はい、それができるサイトが「両立支援のひろば」です。
宮田部長:
 そんなサイトがあるんですね。詳しく聞かせてください。
大熊社労士:
 両立支援のひろばは、仕事と家庭の両立支援に関する企業の取組事例を紹介しているサイトですが、2010年2月6日現在では、10,272社の取り組み事例が登録されており、これを見ることができます。
宮田部長:
 それはすごい数ですね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。またこのサイトには検索機能がついています。例えば企業規模、業種、都道府県などの条件を選んで検索することができるので、自社と同じような規模の同業種の企業がどのような取り組みを行っているかを知ることができます。自社に合った現実的な取り組みを考える上では非常に参考となると思いますよ。
宮田部長:
 おっ、当社のライバル企業の計画もありましたよ。この内容だったら当社の方が魅力的ですな(笑)。
大熊社労士:
 そうですね。御社は既に取り組みを始めていらっしゃるので「くるみんマーク認定」や「ファミリーフレンドリー企業表彰」を受けている企業を参考にしてみるのも良いと思いますよ。
宮田部長:
 「認定」や「表彰」ですか。しかし、当社のような規模の企業では認定を受けるのは難しいのではないでしょうか?
大熊社労士:
 いいえ、そうでもありません。両立支援のひろばからリンクされている、全国中小企業団体中央会の「認定企業事例集」を見てみるとと、秋田県の従業員数30名の製造業や大阪府の従業員数14名のサービス業、島根県の22名の塗装業など、御社よりも従業員数の少ない企業も認定を受けているようですよ。
宮田部長:
 それはすごいですね。認定なんて、大企業のものだと思い込んでいました。でも認定を受けるためには、やはりすごい取組をしているんじゃないですか?
大熊社労士:
 いえいえ、そんなお金や手間をかけてというものでもないですよ。秋田県の従業員数30名の企業の取り組みは、育児休業取得率の目標を男性20%、女性100%としたり、年次有給休暇の取得率を60%とするといった内容になっています。
宮田部長:
 そうですか、我々が取組めないほどのすごい目標と言うわけでもなさそうですね。
大熊社労士:
 はい。その取組の結果、出産や育児を理由に退職する社員がいなくなったために、人材募集のコストや新人をイチから教育するコストが不要になったり、パートタイマーの募集では、応募数が増えて優秀な人材を確保できるようになったという効果があったそうです。
宮田部長:
 でも、男性の育児休業取得はなかなか難しいんじゃないですか?
大熊社労士:
 男性の育児休業取得者については、紹介されているケースによると1年間というわけではなく、5日間から20日間という期間で実施しているそうです。休業取得者本人は会社や同僚への感謝から復帰後は非常に頑張ってくれるし、周りの同僚も同僚が休んだときのためにレベルアップしておかなければならないと、いろいろな仕事ができる多能職への努力をするようになったそうです。
宮田部長宮田部長:
 なるほど、5日程度でしたら既存社員のカバーでなんとか業務は回せそうですね。また、当社の勤勉な従業員であれば、確かに彼等のニーズにあった法律を上回る制度を整備することで、会社や同僚に感謝して、いま以上に頑張ってくれる気がします。
大熊社労士:
 そうですね。現在の「イクメン」と言う言葉に代表されるように、男性の育児に参加したいと言うニーズは徐々に高まりつつありますので、若い労働力を確保するためにも今後ますます両立支援は重要な施策になっていくと思いますよ。
宮田部長:
 なるほど、コストをかけなくても工夫次第で効果をあげることはできるし、新たな人材採用の面でも今後もっと真剣に取組んでいかなければならない分野ということですね。従業員の声も聞いて次回の行動計画策定の際には参考にしてみます。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。以下では次世代認定マークについて説明しておきましょう。このマークは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定を受けていることを証明する次世代認定マーク(愛称:くるみん)と呼ばれるもので、広告、商品、求人広告などに表示することによって、子育てサポート企業であることを内外にアピールすることができるというものです。この認定を受けるためには、行動計画の計画期間が終了し、以下の9項目をすべて満たすことが必要です。
(1)雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと。
(2)一般事業主行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること。
(3)策定した一般事業主行動計画を実施し、それに定めた目標を達成したこと。
(4)平成21年4月1日以降に新たに策定・変更した一般事業主行動計画について、公表及び労働者への通知を適切におこなっていること。
(5)計画期間内に、男性の育児休業者等取得者が1人以上いること。
(6)計画期間内に、女性の育児休業等取得率が70%以上であること。
(7)3歳から小学校に入学するまでの子を持つ労働者を対象とする「育児休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準ずる措置」を講じていること。
(8)次の①から③までのいずれかを実施していること。
①所定外労働の削減のための措置
②年次有給休暇の所得の促進のための措置
③その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
(9)法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと。
 認定を受けるためには行動計画の策定段階からこれらの基準を踏まえることが求められます。



関連blog記事
2009年3月23日「「くるみん」の認定マークを受けるのは難しいのですか?」
https://roumu.com/archives/65068628.html
2009年3月16日「一般事業主行動計画の目標と対策はどのように設定すればよいのですか?」
https://roumu.com/archives/65066862.html
2009年3月9日「一般事業主行動計画はどのように作成するのですか?」
https://roumu.com/archives/65064532.html
2009年2月16日「従業員に育児休業をさせると会社が助成金をもらえるのですか」
https://roumu.com/archives/65055178.html
2008年3月5日「育児休業の取得促進に関する助成金制度」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51269983.html
2008年9月8日「一般事業主行動計画(2回目以降、取組推進版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55130879.html
2008年9月5日「一般事業主行動計画(育成支援地域密着版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55130872.html
2008年9月3日「一般事業主行動計画(多様な雇用環境整備版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55127939.html
2008年9月1日「一般事業主行動計画(初回作成・認定版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55127928.html


参考リンク
両立支援のひろば
http://www.ryouritsushien.jp/
全国中小企業団体中央会「子育て支援認定中小企業事例」
http://www2.chuokai.or.jp/hotinfo/200803kosodate_03.pdf


(中島敏雄)


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今週末に東京で開催!【長沢有紀×井寄奈美】東西女性社労士が語る顧客獲得のための成功法則

長沢有紀×井寄奈美 名南経営および日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)では全国で特色ある取り組みや新たなビジネスモデルを構築している社会保険労務士のみなさんを講師に招き、セミナーを開催していますが、今回は長沢有紀氏、井寄奈美氏という東西人気女性社労士のお二人をお招きし、初のコラボセミナーを開催することとしました。いよいよ今週末に開催ですので、是非お申し込みをお待ちしております。



【長沢有紀×井寄奈美】東西女性社労士が語る顧客獲得のための成功法則


第一部
【講演】実績ゼロから2年間で4冊の単行本を出版したリアルストーリー
井寄事務所 代表 特定社会保険労務士 井寄奈美
午後1時30分~午後2時30分



 社労士として独立をして4年。これまで関与してきた会社100社超はすべて紹介によるものです。紹介をより加速し、事業を大きくしていくためには、「選ばれる社労士」になることが必要です。人材も資金力もない個人事務所でできることは、自分自身の付加価値を高めることしかありません。お客様やビジネスパートナーに一目置いてもらい、「あの人と仕事がしたい」と思ってもらうためには「著書を持っていること」が、大きな看板となります。今回のセミナーでは、地方在住で編集者とのコネクションもない中、2年間で4冊の本を出版し(うち1冊は現在執筆中)、増刷を重ねている秘訣についてお話しします。
(1)出版は「選ばれる社労士」になるための近道
(2)なぜ無名の私が出版を重ねることができたのか
(3)出版のビフォーアフター~仕事はこのように変化した
(4)出版を目指す人がやるべきこと
(5)出版のホンマのところの損得勘定


第二部【講演】開業17年 顧客獲得のために続けていること、やめたこと
長沢社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士 長沢有紀
午後2時40分~午後3時40分



 25歳で開業をして、今年で17年目となりました。性格的に営業が苦手である私は、この仕事で食べていけるまでに7年もかかりました。でも、その間も現在でも私が一貫して変わらなかったのが「目先の利益ばかりを追うような仕事や営業のやり方は絶対しない」ということでした。私は「昔ながらではのやり方、考え方」と「現在のマーケティング」を長期スパンにおいて経験し、長所も短所も理解している数少ない社労士かも知れません。試行錯誤でここまできて、いまでも迷い、失敗を繰り返しながら進んでいます。いまどきの軽いやり方・考え方ではなく、顧客獲得のために長期的に見て、そして考えた深い意味での「続けてきたこと」「やめたこと」をお話しできればと思います。
(1)営業もネットも大の苦手な私が「続けていること」と「やめたこと」
(2)いまどきの仕事は追わず、顧問先獲得による事務所の安定を第一に考えた営業方針
(3)いまだから分かる「開業時」「5年目」「10年目」にこうしておけばよかった、こうしたことがよかった
(4)人脈形成、職員との関係、役所や地元との付き合い方 私はこう考える
(5)不景気であるいま、士業サバイバルの時代であるいまだからこそ求められる仕事のあり方



第三部【パネルディスカッション】開業から事務所経営の安定・発展のためのポイント
午後3時50分~午後4時40分



■パネラー
 長沢社会保険労務士事務所 代表 社会保険労務士 長沢有紀
 井寄事務所 代表 特定社会保険労務士 井寄奈美
■コーディネーター
 株式会社名南経営 特定社会保険労務士 宮武貴美



[日時および会場]
平成23年2月11日(祝)午後1時30分より午後4時40分
総評会館 大会議室(東京・御茶ノ水)
定員:200名


[受講費用]
一般 6,300円
LCG特別会員:3,150円 正会員:4,200円 準会員:5,250円(税込)


[お申込み]
 本セミナーのお申し込みは以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさんは会員専用ホームページ「MyKomon」の専用フォームよりお申込みをお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1102nagaiyo.html


(大津章敬)


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飲食店労務管理超基礎【第1回】飲食店店長ならば、必ず就業規則を整備する

 飲食店においては、有期雇用契約従業員が多い、比較的勤続年数が短い、営業時間の関係から長時間労働になりやすいといった状況から数多くの労働トラブルが発生しています。そこで今回より10回に亘り、「飲食店店長なら知っておきたい労務管理の超基礎10」と題する連載を開始します。この連載が、飲食店店長・飲食店経営者の労務管理意識の向上に繋がり、労働トラブルの減少に繋がることを願っています。



飲食店店長なら知っておきたい労務管理の超基礎10
【第1回】飲食店店長ならば、必ず就業規則を整備する



就業規則を作成・周知をしていない飲食店が多い
 飲食店においては、就業規則の作成や届出を行っていない、もしくは就業規則は作成してあるものの、金庫の奥底にしまっていて普段従業員の目に触れないというところも少なくないようです。このように就業規則が周知されていないことの大きな原因のひとつは、就業規則に対する誤った認識にあります。多くの経営者は、就業規則とは、従業員の権利を記載したものであるという認識を持っているようです。就業規則には、年次有給休暇や時間外割増賃金などの従業員の権利が記載されています。しかしそれらの多くは、法律上当然従業員に与えなければならないもので、たとえ就業規則を作成していなかったり、周知していないとしても法律に基づき、従業員に与えなければならないものです。いまやインターネットで検索すれば、パートやアルバイトでも年次有給休暇の権利があるといった情報を簡単に得ることができる時代です。このように考えると、就業規則を従業員の目に触れないようにしておくことは、それほど意味のある行為ではなく、後述するとおり、むしろ経営上のリスクを高めることになると考える必要があります。


就業規則を作成・周知していない飲食店のリスク
 就業規則を作成・周知しない飲食店にとってなによりも怖いのは、不祥事を起こした従業員に対する懲戒処分を課すことが難しくなってしまうことでしょう。飲食店においては、正社員よりもパートやアルバイト、更には外国人従業員が多いという特徴があり、他の業種と比べて、相対的に従業員への教育が難しいため、結果的に従業員に関するトラブルが発生しやすい状態にあります。また現金を直接取扱う機会が少なくなく、またお客様と直接接する仕事であることも、トラブルが起こりやすい要因といえるでしょう。例えば「従業員がレジからお金を持出していた」「従業員が仕入業者からバックマージンをもらっていた」「従業員がお客様に怪我をさせてしまった」などといったトラブルが実際お店で発生したことがあるという飲食店も多いのではないでしょうか?こういった場合には、経営者としてはその従業員に対して懲戒処分を行いたいところです。しかし、懲戒処分を行うためにはあらかじめ就業規則を作成・周知しておくことが求められます。懲戒処分ができなければ、トラブルを起こした本人に反省させることもできませんし、周りの従業員にも「あれくらいなら懲戒処分されないんだ」となめられてしまうことにもなり兼ねません。結果、店舗の規律が保てなくなり、従業員のモラル、やる気も下がり…、と負のスパイラルに陥ってしまうのです。それでは以下では就業規則の作成と周知のポイントについて述べて行きましょう。


(1)就業規則の作成
 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」とした最高裁の判例があります。「懲戒の種類及び事由を定めておく」とは、どんなことを行ったら、どんな懲戒になるかを定めておくことを指します。つまり、例えば会社の金銭を盗んだ場合は懲戒解雇、シフトに穴を開けたときは譴責などといったように、就業規則において、懲戒の程度を定めておく必要があるのです。このときあまりにも限定してしまうと想定外の問題がおこったときに懲戒処分ができませんので、「その他前各号に準ずる行為があったとき」と言う包括的な一文を付け加えることは忘れないようにしてください。また就業規則の雛型によっては「懲罰委員会の審議を経て処分を決する」という一文が入っていることがありますが、法律は必ず懲罰委員会を置くことを要求しているわけではありません。懲罰委員会は公正な懲戒処分のためには非常に有効な仕組みですが、もしも現実的に懲罰委員会を設けることが困難な規模であるのに、就業規則に「懲罰委員会の審議を経て」と記載してしまえば、必ず懲罰委員会を開催する必要がありますのでご注意ください。もっとも懲戒解雇に該当するような厳しい処分をする際には、懲罰委員会で審議していただきたいところです。


(2)就業規則の周知
 更に最高裁の判例は「就業規則が法規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものと言うべきである」と述べています。つまり、懲戒処分を行うためには、就業規則を作成するだけでなく、従業員への周知が必要なのです。周知はトラブル発生後の懲戒ができるようになる効果だけでなく、きちんと周知すればトラブルを事前に防ぐことに繋がります。入社時のオリエンテーションで説明することは当然として、例えばミーティングの際にも定期的に「知り合いの店でこんな不祥事があったが、当店でこんなことがあった場合は…」といったように話をし、自社の考え方や価値観を共有することで、不祥事の予防に活用することも大切でしょう。


 就業規則を作成・周知していなければ、企業は、従業員がトラブルを起こした際に懲戒を行うことが難しくなり、無用なトラブルを呼ぶことにもなり兼ねません。確かに10人未満の従業員を使用する飲食店においては、就業規則の作成や届出の義務がないとされています。しかし、飲食店においては残念ながら、トラブルの発生頻度が高いのが現状です。飲食店経営においては、たとえ就業規則の作成義務がなくても、就業規則に懲戒規程を定め、確実に従業員に浸透させてトラブルを未然に予防することが重要です。


(中島敏雄)


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成長分野等人材育成支援奨励金について教えてください

 知り合いの社長から成長分野等人材育成支援奨励金のことを聞いた宮田部長は、大熊社労士にその概要について確認してみることにした。



宮田部長:
 大熊先生!新しく雇用した人に教育を行うと20万円が支給される助成金ができたと聞いたのですが、この助成金は当社でも受給できるのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 情報が早いですね。成長分野等人材育成支援奨励金のことだと思います。この助成金は政府の新成長戦略の中で重点強化の対象となっている健康、環境の分野の成長を支えていくために創設された制度で、一定の条件の下に、事業主が負担した職業訓練の経費を一人あたり20万円を上限として支給するものです。本日はこの新しい助成金についてご説明しましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 まず、この成長分野等人材育成支援奨励金の主な支給要件は2点あります。
健康、環境分野及び関連するものづくり分野の事業を行っていること。
雇用期間の定めなく雇用した労働者、または他分野から配置転換した労働者を対象に、1年間の職業訓練計画を作成し、Off-JTを実施すること。
この2点が必要とされています。
宮田部長:
 健康、環境分野および関連するものづくり分野の事業というのはどのような事業が該当するのでしょうか?
大熊社労士:
 厚生労働省がパンフレットを発行しているのですが、それによると日本標準産業分類のうち林業、電気業、情報通信業、運輸業・郵便業、スポーツ施設提供業、スポーツ・健康教授業、医療、福祉、廃棄物処理業がこの助成金を受給できる産業分野とされており、建設業や製造業、学術・開発研究機関、その他の産業であったとしても環境や健康分野に関する建築物や製品を製造するなどする場合は対象となるとされています。
宮田部長:
 当社の開発した環境負荷の低い新しいパッケージ印刷の事業は該当するのでしょうか?
大熊社労士:
 該当する可能性はあるかも知れませんね。労働局に確認してみたところ、産業分類で該当するところは比較的審査が早いのですが、産業分類上該当しないところについては、時間をかけて審査をするとのことでしたので、可能性があるなら一度トライしてみると良いかも知れませんね。
宮田部長:
 なるほど。それでは他の要件についても教えてください。
大熊社労士:
 はい。それでは訓練の対象となる労働者について説明しましょう。訓練の対象となる労働者については2種類が例示されています。
申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等へ雇入れられた、期間の定めなく雇用される労働者であること。
申請日の前日から起算して5年前の日以降に成長分野等以外の分野から成長分野等へ配置転換した、期間の定めのない労働者であること。
以上のいずれかに該当する労働者が支給対象となります。
宮田部長:
 なぜ5年前で区切られているのでしょうか?
大熊社労士:
 この助成金の目的は、成長分野の成長を支え、生産性を高めることです。5年以上であれば、ある程度実務には「慣れて」いますので教育に対する成長は経験の少ない方に比べれば緩やかだと思われます。比較的経験の少ない経験5年以内への教育を促して大きく成長してもらいたいという狙いかもしれませんね。職業訓練計画の実施期間中に、訓練を受けている労働者を雇入れた場合も対象となるようですしね。
宮田部長:
 なるほど。教育訓練の内容については、どのようになっているのですか?
大熊社労士:
 教育訓練の内容については、「職業訓練計画」と「職業訓練コース」という用語で説明されています。全体のことを「職業訓練計画」と呼び、それを構成する要素のことを「職業訓練コース」といいます。「職業訓練計画」の要件としては、
成長分野等の業務に関する内容のものに限り、趣味・教養と区別のつかないものなどは含まないこと
実施期間が原則1年であり、遅くとも平成23年度末までに開始するものであること
とされています。
宮田部長:
 えっ?それでは1年間のみの期限付きの助成金ということですか?
大熊社労士:
 はい、そうなりますね。それだけに申請を検討するのであれば、早めに行う必要がありますね。「職業訓練コース」についても二つの条件が示されており、
1訓練コースの訓練時間数が10時間以上であり、かつ、Off-JTを含むもの
労働者の所定労働時間内に実施される訓練が、原則として総訓練時間数の3分の2以上であること
とされています。
宮田部長:
 1訓練コースの訓練時間が10時間以上となると結構なボリュームになりますね。Off-JTを含むものとあるだけなので、OJTとの割合は自由ということでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。あまりに極端なものはどうかと思いますが、基本的にはそのような理解でよいかと思います。
宮田部長宮田部長:
 所定労働時間内に実施される訓練が、原則として総訓練時間数の3分の2以上であることとされていますが、3分の1については労働時間でなくてもよいということですか?
大熊社労士:
 そういうことになりますが、効果的な教育とするためには、参加を強制する必要がありますから、現実的には労働時間としないことは難しいでしょうね。
宮田部長:
 そうですよね。受給できる金額について教えてください。
大熊社労士:
 支給額は事業主が負担した訓練費用が、1訓練コースについて対象者1人当たり20万円を上限として支給されます。具体的には事業所内訓練の場合は
外部講師(社外の者に限る)の謝金・手当
施設・設備の借上料
学科または実技の訓練を行う場合に必要な教科書などの購入または作成費
そして事業所外訓練の場合は受講に際して必要となる入学料、受講料、教科書代などとされています。
宮田部長:
 なるほど、よくわかりました。当社でも受給できるかどうか検討してみます。
大熊社労士:
 そうですね。是非検討してみてください。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。以下では成長分野等人材育成支援奨励金の受給手続きについて補足しておきましょう。この助成金を受給するためには、1.職業訓練計画を作成し、認定を受けるときと、職業訓練計画に基づいて訓練を実施した後、2.支給申請するときの計2回、ハローワークで以下の要件確認が必要となります。
職業訓練計画の認定を受けるとき
(1)一覧表に掲げる成長分野等の事業をおこなっていること。
(2)一定の要件を満たした職業訓練計画を作成していること。
(3)雇用保険の適用事業主であること
(4)職業能力開発推進者を選任し、都道府県職業能力開発協会に選任調べを提出していること。
支給申請するとき
(1)受給資格認定を受けた職業訓練計画に基づき、訓練を実施したこと。
(2)受給資格認定申請書の提出日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日までの間に、事業所で雇用する雇用保険被保険者を事業主都合により解雇していないこと。
(3)支給申請の前々年度より前のいずれかの保険年度に、労働保険料を滞納していないこと。
(4)受給資格認定申請書の提出日から起算して3年前から支給申請書の提出までの間に、他の奨励金などを不正受給していないこと。支給申請書の提出日から起算して3年前から支給申請書の提出までの間に、労働関係法令の違反を行っていないこと
(5)対象労働者の雇入れまたは成長分野等以外の分野からの配置転換を行った事業所で、支給決定などに必要な書類を整備・保管していること。


 なお1回目の職業訓練計画の認定を受けるためには、審査に時間がかかるので訓練開始1か月前までに、支給申請をするときには訓練終了後2ヶ月以内に必要書類をそろえ、支給申請をする必要があります。



関連blog記事
2010年12月28日「健康・環境分野の人材育成に活用できる成長分野等人材育成支援奨励金」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51810550.html


参考リンク
厚生労働省「成長分野等人材育成支援事業」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f-top.html


(中島敏雄)


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平成23年度の年金額は物価指数マイナスにより0.4%の引下げ

平成23年度の年金額は0.4%の引下げ 年金については財政の悪化により、支給開始年齢の引き上げなどの話題がマスコミを賑わせていますが、平成23年度の年金額は0.4%の引下げが実施されることとなりました。


 先週金曜日、総務省より平成22年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率がマイナス0.7%となった旨の発表がなされました。現在支給されている年金については、法律上、直近の年金額引下げの年(現在は平成17年の物価が基準)よりも物価が下がった場合は、これに応じて年金額を改定されることとなっていますが、平成22年の物価は基準となる平成17年の物価と比較してマイナス0.4%となったことから、平成23年度の年金額は0.4%引下げられることになったのです。具体的には以下の月額となります。


[平成23年度の年金月額]
国民年金[老齢基礎年金(満額):1人分]
平成22年度 66,008円 → 平成23年度 65,742円(▲266円)
厚生年金 [夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額]
平成22年度 232,592円 → 平成23年度 231,650円(▲942円)
※厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯の新規裁定の給付水準


 年金制度については今後も政治の世界において様々な綱引き、議論が行われることになるでしょうが、負担と給付の公平性を担保しながら、安定的に継続できる制度を目指して欲しいものです。



関連blog記事
2010年8月31日「日本年金機構の『よくある「誤解による相談事例」』パンフレット」
https://roumu.com
/archives/51775354.html

2010年8月25日「過去最低水準となった平成21年度の国民年金納付率」
https://roumu.com
/archives/51772315.html

2010年8月24日「東京都産業労働局からダウンロードできる「働く人のための労働保険・社会保険」」
https://roumu.com
/archives/51771868.html

2010年8月23日「日本年金機構が発表した「わかりやすい言葉置き換え例集」」
https://roumu.com
/archives/51772489.html

2010年08月19日「平成21年度の国民年金・厚生年金の収支決算はいずれも赤字に」
https://roumu.com
/archives/51772018.html

2010年6月18日「年金制度の把握に最適!日本年金機構の年金制度教材がダウンロードできます」
https://roumu.com
/archives/51749888.html


参考リンク
厚生労働省「平成23年度の年金額は0.4%の引下げ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000010z4n.html


(大津章敬)



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内閣府から公表された仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査

WLB事例 昨年6月に改正育児・介護休業法が施行され、また、今年の4月に改正次世代育成支援対策推進法が施行されることもあり、仕事と育児の両立に関する関心は高まるばかりです。2010年12月24日のブログ記事「中小企業にも参考になる愛知県作成の「ワーク・ライフ・バランス取組好事例集」」では、愛知県内の企業で取組みが行われている好事例を小冊子としてまとめたものをご紹介しましたが、このような取組み事例の紹介は様々な形でまとめられているようです。


 これに関連し、先日、内閣府からは「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査」として、行政機関、関係公益法人及び労使団体等が作成した各種事例を分類、整理したものが発表されました。この調査では、「仕事と生活の調和に関する取組事例」や「仕事と生活の調和実現に向けた取組に対する表彰事例」を、インターネット等を通じて情報収集した上で、個別に設置されたアドバイザリーやグループ委員等により内容を精査した上で、対象事例の確定を行い公表しています。


 掲載件数は「仕事と生活の調和に関する取組事例」で232件、「仕事と生活の調和実現に向けた取組に対する表彰事例」で107件とかなりの量があり、中小企業から大企業の事例を見ることができます。これから4月にかけ、次世代育成支援対策推進法にかかる一般事業主行動計画の策定・変更を予定されている企業は参考にできるかと思います。
内閣府の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査」はこちら
http://www8.cao.go.jp/wlb/research/h21torikumi/index.html



関連blog記事
2010年12月24日「中小企業にも参考になる愛知県作成の「ワーク・ライフ・バランス取組好事例集」」
https://roumu.com
/archives/51809488.html

2010年11月4日「東京労働局が公開した次世代育成支援対策推進法の一般事業主モデル行動計画」
https://roumu.com
/archives/51795178.html

2010年10月20日「質問に回答すると次世代法の一般事業主行動計画策定例が表示される岐阜労働局のサイト」
https://roumu.com
/archives/51791608.html

2010年10月18日「内閣府がまとめたワークライフバランス実現に向けた「仕事の進め方の効率化」ノウハウ」
https://roumu.com
/archives/51790902.html

2010年9月2日「メンタルヘルスとワークライフバランスの関連がテーマとなった「産業人メンタルヘルス白書」2010年版」
https://roumu.com
/archives/51775373.html

2010年10月18日「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた仕事の進め方「10の実践」チェックリスト」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50937232.html
2010年10月19日「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「3つの心構え」と「10の実践」」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50937229.html


参考リンク
内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査」
http://www8.cao.go.jp/wlb/research/h21torikumi/index.html


(宮武貴美


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36協定締結後に採用した従業員にも時間外労働をさせることはできますか?

 服部印刷では、1月1日を始期として期間1年間の36協定を締結しているが、協定締結後に新入社員を採用することになった。この採用によって36協定の適用をうける労働者数が変更になるが、その対応について宮田部長は気になっていた。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。今度新人を採用するのですが、少し気になっていることがあるんです。
大熊社労士:
 そうですか、どういったことを心配されているのですか?
宮田部長宮田部長:
 当社では毎年1月1日に36協定を締結しているのですが、新入社員を採用した場合には、労働者数が増えてしまいます。こうした場合には36協定を再度締結したり届出たりする必要があるのでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、それでは今日は36協定の届出後に協定内容に変更があった場合の対応についてお話しましょう。
宮田部長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 ところで新入社員の方は、既存の社員の方達と仕事の内容は同じですか?
宮田部長:
 はい、工場のほうに入ってもらうので、しばらくは先輩社員のもとで機械の操作などを行ってもらう予定になっています。
大熊社労士:
 なるほど分かりました。それであれば労使協定の再締結や再届出はなくてもよいでしょう。
宮田部長:
 そうですか、よかったです。
大熊社労士:
 念のため36協定ではどのような内容について、労使協定を締結するのかを確認しておきましょう。36協定で締結すべき事項は以下の6項目とされています。
時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
業務の種類
労働者の数
1日に延長することができる時間
1日を超え3ヶ月以内の期間に延長することができる時間
1年間に延長することができる時間
労働させることができる休日
宮田部長:
 そうですね。当社で届出をしている協定書もそのような内容が記載されています。
大熊社労士:
 これらの内容については変動があった場合には、原則として新たに労使協定を結びなおす必要がありますが、労働者の数については他の内容とは少し性格が違うと考えることができます。多くの企業において36協定の有効期間を1年と定めていますが、通常1年の間には入退社が発生するでしょう。
宮田部長:
 そうですね。当社でも年間にそれぞれ5名程度は入退社が発生します。
大熊社労士大熊社労士:
 そのように労働者数が変動した際、36協定の再締結や再届出が必要かについて直接規定されたものはありませんが、労使協定の有効性についての通達の中で、「過半数代表者については、労働者の過半数は、協定成立時の効力要件であるからその後過半数を満たさなくなってもその効力に影響を及ぼさない」とした通達があります。また協定の当事者、つまり会社側と労働者代表にとっても、労働者の数が労使協定の有効期間中に変動することは想定内のことでしょう。以上のことから考えると、労働者数の変動については労使協定の再締結や再届出は不要と解することができます。
宮田部長:
 なるほど、労使協定の際に、労働者数の増減については、再締結を要しないことを会社と労働者代表の間で合意しておくのがよさそうですね。
大熊社労士:
 そうですね。そうしておくとより安心ですね。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。36協定の有効期間を決める際に参考となる通達と告示を2つ紹介しておきましょう。まずひとつは、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」第2条において「一定期間は1日を超え3箇月以内の期間及び1年間としなければならない」とされているもの。そしてもうひとつが、「時間外労働協定の有効期間は1年以上で問題はないか?」と言う質問に対して「時間外労働協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい。」(平成11年3月31日 基発169号)という通達があります。以上の告示と通達によって、36協定の有効期間については、「必ず1年間については協定する必要があること」と「有効期間は1年間とすることが望ましい」とされていることは36協定の有効期間を決める際に参考にしたいものです。


[関連法規]
労働基準法施行規則 第16条
 使用者は法第三十六条第一項の協定をする場合には、時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数並びに一日及び一日を超える一定の期間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日について、協定しなければならない。


[関連告示]
労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準 平成10年12月28日 労働省告示154号 最終改正平成21年5月29日厚生労働省告示316号) 第2条(一定期間の区分)
労使当事者は、時間外労働協定において1日を超える一定の期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という)を定めるに当たっては、当該一定期間は1日を超え3箇月以内の期間及び1年間としなければならない。


[関連通達]
平成11年3月31日 基発169号
問 時間外労働協定の有効期間は、一年以上であれば限度はないか。
答 時間外労働協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は一年間とすることが望ましい。


(中島敏雄)


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定年退職後の意向確認書

shoshiki415 定年退職を迎える社員に事前に交付する定年退職後の意向確認書のサンプル(画像はクリックして拡大)です。継続雇用の有無について意向確認を行えるようにしてあります。

[ダウンロード]
WORD
Word形式 
shoshiki415.doc(29KB)
pdfPDF形式 shoshiki415.pdf(9KB)


[ワンポイントアドバイス]
 近年、定年退職が増えています。そのため、定年退職後に継続雇用の対象となるか否かにおいて、説明が不十分な場合トラブルになることが少なくありません。そのため、会社としては、定年退職日の2,3ヵ月前には定年退職日の確認と合わせて、継続雇用の意向確認を行っておくことが求められます。



関連blog記事
2010年12月17日「平成23年3月31日で終了する定年後の継続雇用制度の対象者基準に係る特例」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51807957.html
2010年8月18日「日本年金機構から公開された定年退職時以外の社会保険同日得喪の取扱い」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51771757.html
2010年7月13日「社会保険同日得喪の適用対象範囲拡大による在職老齢年金への好影響]
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51759403.html
2010年7月12日「適用対象範囲が定年以外にも広がった社会保険の同日得喪」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51758834.html
2010年4月2日「4月より改廃・新設された高齢者雇用に関する助成金制度」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51716404.html
2009年11月07日「[ワンポイント講座]雇用保険と老齢年金の支給調整で勘違いしやすいポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51646540.html
2009年10月29日「増加する高年齢者の常用労働者数 今後は70歳までの雇用が焦点に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51642204.html
2009年8月26日「勤務延長と再雇用で大きな差が見られる継続雇用時の賃金設定」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51610116.html
2009年8月24日「常用労働者のうちの60歳以上の労働者割合は1割に上昇」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51608864.html
2009年5月6日「6月提出の高年齢者雇用状況報告書の様式が変更に」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51543604.html


参考リンク
厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正のお知らせ」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/index.html 


(福間みゆき)




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