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労働政策審議会中間報告に見る年次有給休暇に関する法改正の検討ポイント

 本日は昨日に引き続き、労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」の中から、年次有給休暇に関する部分について、そのポイントをご紹介します。
(基本的な考え方)
 年次有給休暇制度について、労働者の疲労回復を図る観点から年次有給休暇を確実に取得できるようにするための方策を講ずるとともに、仕事と生活の調和や少子化対策にも資する観点からも利用しやすいものとするための見直しを行う。
[使用者による時季の聴取]
計画付与制度を導入していない事業場の使用者は、年次有給休暇のうち一定日数(例えば、5日程度)について、あらかじめ労働者から時季について意見を聴いた上で付与しなければならないこととする。また、この付与に当たっては、連続休暇となるように努めなければならないこととする。
[時間単位の年次有給休暇]
子供の看護等突発的な事由でも、年次有給休暇制度本来の目的に沿った利用を阻害することなく年次有給休暇を活用できるようにする観点から、労使協定により、日数を限定し(例えば、5日程度)、具体的な運用を取り決めた事業場においては、時間単位で年次有給休暇を取得することができるようにすることとする。
[退職時年休手当清算]
退職時に未消化の年次有給休暇がある場合に、使用者が労働者に何らかの手当を支払わなければならないとすることについては、慎重に検討する。


 このうち、の時間単位の年休取得については、労使協定の締結を前提に時間単位の取得も認めるという、ある意味「規制緩和」と取ることができる改正になります。この点は従来より社員の要望が強かった内容でもあり、積極的に取り入れていく企業が多くなると予想されますが、同時に管理が非常に煩雑になるため、導入においては年休の申請から付与、残日数(時間)の管理方法の見直しを検討すべきでしょう。一方、の年休の時季指定制度は、直ちに稼働率の低下/労務費コストの上昇に繋がる、実務への影響が極めて大きな改正となっています。負担の大きさに加え、労働者の申請を基礎としてきた労働基準法の根本を見直す大きな改正でもあるため、法制化に向けては、様々な議論がなされることでしょう。



参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf
関連blog記事
2006年06月16日:労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」公表
https://roumu.com
/archives/50604513.html
2006年06月19日:労働契約法の議論における有期労働契約に関するポイント
https://roumu.com
/archives/50605763.html
2005年07月29日:週60時間以上の男性社員の労働が少子化の原因?
https://roumu.com
/archives/29194243.html



(大津章敬)


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労働政策審議会中間報告に見るホワイトカラーエグゼンプション制度の検討ポイントその2(効果と影響)

 本日は昨日に引き続き、労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」の中から、注目のホワイトカラーエグゼンプション制度(自律的労働にふさわしい制度の創設)に関する部分について、そのポイントをご紹介します。本日はホワイトカラーエグゼンプション制度導入時の効果とその労務管理への影響について取り上げてみましょう。
[効果]
労働基準法第35条(法定休日)及び第39条(年次有給休暇)は適用し、その他の労働時間、休憩及び休日の労働及び割増賃金に関する規定並びに深夜業の割増賃金に関する規定を適用しない
[適正な運用を確保するための措置等]
就業規則において、対象労働者に適用される賃金制度が他の労働者と明確に区分されており、賃金台帳にも個別に明示することとする。
適正な運用を確保するため、地祇のような措置等を講ずることを検討する。
1)苦情処理制度を設けることを義務付けること。
2)重大な違背があった場合は、労働者の年収に一定の割合を乗じた補償金を対象労働者に支払うものとすること。
3)要件違背の場合、行政官庁は、改善命令を発することができること。改善命令に違背した場合は、当該対象労働者を通常の労働時間管理に戻す命令や制度(全体)の廃止命令を発出することができるものとすること。
要件違背の場合に、労働基準法第32条違反等と整理するとともに、別途この制度の手続き違反著して厳正な履行の確保を図る。


 このように当該制度を導入した効果としては、現行の管理監督者同様に労働時間・休憩・休日の規定を適用しないということになります。また従来の管理監督者の場合は、深夜業の関係規定は適用が排除されておりませんでしたが、今回の法改正で管理監督者・ホワイトカラーエグゼンプションの双方について、深夜業の適用除外がなされる方向とされています。


 この制度が導入されることによる影響ですが、この中間報告にも項目名が記載されているとおり、「管理監督者の範囲等の見直し」、「現行裁量労働制の見直し」など、労働時間制度に関し、これまで曖昧さが残っていた項目の適用が厳格化されることが予想されます。特に管理監督者の範囲については、「課長以上は全員管理職」とまでは言わないにしても、これまで本来の法の趣旨から見れば、かなりの拡大解釈がされており、この解釈の厳格化は労働時間管理実務に対して、相当大きなインパクトを与えることになるでしょう。管理監督者の範囲の見直しと適正な労働時間制度の採用、管理監督者の役割や職責の明確化、時間ではなく(プロセスも含めた)成果を中心とした人事処遇制度の確立など、法改正に伴って見直さなければならない点は非常に多く出てくることでしょう。



参照条文
労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1.別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2.事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf
関連blog記事
2006年06月16日:労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」公表
https://roumu.com
/archives/50604513.html
2006年04月24日「労働政策審議会労働条件分科会におけるホワイトカラーエグゼンプション制度検討の視点」
https://roumu.com
/archives/50521098.html


(大津章敬)


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労働政策審議会中間報告に見るホワイトカラーエグゼンプション制度の検討ポイントその1(対象労働者)

 本日は昨日に引き続き、労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」の中から、注目のホワイトカラーエグゼンプション制度(自律的労働にふさわしい制度の創設)に関する部分について、今日と明日の2日に亘って、そのポイントをご紹介します。まず本日は対象労働者の範囲について取り上げてみましょう。
(基本的な考え方)
 産業構造が変化し就業形態・就業意識の多様化が進む中、高付加価値の仕事を通じたより一層の自己実現や能力発揮を望み、緩やかな管理の下で自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者について、一層の能力発揮をできるようにする観点から、現行の労働時間制度の見直しを行う。
[対象労働者の要件等]
自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く者は、次のような者とする。
1)使用者から具体的な労働時間の配分の指示を受けることがない者であること、及び業務量の適正化の観点から、使用者から業務の追加の指示があった場合は既存の業務との調整ができる者であること(例えば、使用者からの追加の業務指示について一定範囲で拒絶できる者であること、労使で業務量を計画的に調整する仕組みの対象となる者であること)。
2)健康確保の観点から、1年間を通じ週休2日相当の休日があること、一定日数以上の連続する特別休暇があることなど、通常の労働者に比し相当程度の休日が確保されている者であること。また、健康をチェックし、問題があった場合には対処することができる仕組み(例えば、労働者の申出があればいつでも、又は定期的に医師による面接指導を行うこと)が適用される者であること。
3)業務量の適正化及び健康確保を確実なものとするため、出勤日又は休日が1年間を通じあらかじめ確定し、出勤日における出退勤の確認が確実に実施されている者であること。
4)1年間に支払われる賃金の額が、自立的に働き方を決定できると評価されるに足る一定水準以上の額である者であること。
上記の事項について、対象労働者と使用者が個別の労働契約で書面により合意していることとする。
この制度が自律的な働き方にふさわしい制度であることを担保する観点から、物の製造の業務に従事する者等をこの制度の対象とはならないものに指定することとする。
[導入要件等]
この制度を事業場に導入するかどうかについては、当該事業場の実情に応じ、当該事業場の労使の実質的な協議に基づく合意により決定することとする。
事業場における対象労働者の範囲については、法に定める対象労働者の要件を満たす範囲内において、当該事業場の労使の実質的な協議に基づく合意により定めることとする。この場合、事業場における対象労働者の範囲については、当該事業場の全労働者の一定割合以内とすることについては慎重に検討する。
この制度のより弾力的な運用を可能とする観点から、年収が特に高い労働者については、労使の実質的な協議を経ずに対象労働者の範囲に含めることができるようにすることについて検討する。
対象労働者は、いつでも通常労働時間管理に戻ることができることとする。


 今回の労働政策審議会の議論の中でも、もっとも注目を浴びているホワイトカラーエグゼンプション制度ですが、この中間報告では、年収要件についてその具体的な金額例を示すには至りませんでした。一方で、物の製造の業務に従事するものの適用除外や、対象労働者数を全従業員の一定割合に制限するといった、より具体的な要件の示されており、今後の審議会での検討が待たれるところです。明日はこの制度を導入した際の効果やそれによる労務管理への影響についてお話したいと思います。



参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf
関連blog記事
2006年06月16日:労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」公表
https://roumu.com
/archives/50604513.html
2006年04月24日「労働政策審議会労働条件分科会におけるホワイトカラーエグゼンプション制度検討の視点」
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労働政策審議会中間報告に見る時間外労働に関する法改正の検討ポイント

 以前、当blogでご紹介した労働政策審議会の「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」は、今後の労働法制に非常に大きな影響を与える内容を多く含んでいます。その中から本日は時間外労働に関する部分について、そのポイントをご紹介します。
(基本的な考え方)
 次世代を育成する世代(30歳代)の男性を中心に、長時間労働者の割合が高止まりしており、過労死の防止や少子化対策の観点から、労働者の疲労回復のための措置を講ずるとともに、長時間にわたる恒常的な時間外労働の削減を図る必要があるとの認識の下に、必要な見直しを行なう。
[労働者の健康確保のための休日]
一定時間数(例えば、1ヶ月について40時間程度)を超えて時間外労働させた場合、労働者の疲労回復を図る観点から、時間外労働をした時間数に応じて算出される日数(例えば、1ヶ月の時間外労働が40時間超75時間以下の場合に1日、75時間超の場合に2日)の労働者の健康確保のための休日(法定休日)を、1ヶ月以内に付与することを義務付けることとする。この場合、中小企業については、労働者の人数が少ない中で事業場の業務の繁閑に対応できるようにするため、労使協定により弾力的に運用することができることとすることを検討する。
[時間外労働の抑制策としての割増賃金の引上げ]
長時間にわたる恒常的な時間外労働の削減を図るため、時間外労働の実態を考慮して設定した一定時間数(例えば、1ヶ月について30時間程度)を超えて時間外労働をさせた場合の割増賃金の割増率を引き上げる(例えば、5割)こととする。その場合、事業場ごとのニーズに対応できるようにするため、労使協定により、当該割増率の引上げ分については、金銭での支払いに代えて、労働者の健康確保のための一定数の休日(有給)を付与することを選択できるようにすることを引き続き検討する。
[その他の実効性確保策]
時間外労働の厳正な運用を図るため、法定の手続きを経ずに法定労働時間を超えて時間外労働を行なわせた場合の罰則を引き上げることを引き続き検討する。


 いずれも実務に対し、非常に大きな影響を与える内容ばかりです。の休日の付与については、それだけの時間数の時間外労働をしなければならない忙しい環境の中で、現実問題として休日を取得することができるのかという素朴な疑問が残りますが、の割増率の引上げについては、従来より欧米諸国に比べ、その割増率の低さが指摘されており、また今回は30時間を超える場合にという前提がつけられていることから、まず間違いなくこのまま法制化されるのではないかと考えています。


 今回の法改正の検討に関しては、長時間労働による労働者の健康阻害の防止と少子化対策という現在の環境ではその反論がしにくい大義名分があるため、このあたりの規制の強化については、かなりの高確率で法制化がされる可能性が高いでしょう。労務費のアップに直結する内容でもあるため、法改正に備えて時間外労働の適正化が求められますが、この問題は形式的に就業規則を見直せば良いというようなものではなく、社内の業務フローの見直しなど、構造的な課題を解決する必要があることがほとんどです。よって、今の時点から社内で時短プロジェクトを立ち上げるなど、早めのアプローチをすることが求められるのではないでしょうか。



参考リンク
労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0613-5a2.pdf
関連blog記事
2006年06月16日:労働政策審議会「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」公表
https://roumu.com
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2006年06月19日:労働契約法の議論における有期労働契約に関するポイント
https://roumu.com
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外国人雇用状況報告の提出期限は6月30日

 2007年問題および少子化による労働力不足が現実のものになりつつある現状において、今後どのように労働力を確保するかは、企業での人材採用というレベルに留まらず、国家としても非常に重要な課題になっていますが、そんな中、厚生労働省は先日、「外国人労働者の受入れを巡る考え方のとりまとめについて」というレポートをまとめ、発表しました。それによれば専門的・技術的分野に関しては、高度人材(「専門的・技術的分野」のうち特に優秀な者)の受け入れ促進のための制度見直しの検討を行い、また留学生の国内就職の促進を進める一方で、専門的・技術的分野以外の分野に関しては、単純労働者の受入れを認めないという基本方針は堅持した上で、高度技能者等に関しては、更なる検討を行うという方向性を打ち出しています。経済のグローバル化が進む中で、世界的に優秀な人材の囲い込み競争が熾烈化していますが、国としての競争力を維持・向上させるためには、こうした優秀な外国人の受入れ体制を整備する必要性が非常に高まっています。一方で単純労働者の受入れについては今回も従来の方針を踏襲していますが、、研修・技能実習制度を活用した実質的な雇用が拡大する中で、そろそろ実態を踏まえた本質的な議論をする時期が近付いているように思えてなりません。


 ということで本日は外国人雇用というテーマを取り上げていますが、ここで外国人雇用状況報告の提出についてご案内しておきましょう。毎年6月1日現在で外国人労働者を雇用している事業主は、管轄のハローワークに対し、「外国人雇用状況報告」を提出することが必要です。これには外国人労働者を直接雇用している場合だけではなく、派遣や請負にて事業所内で就労させている事業所も含まれますのでご注意ください。提出期限は今週の金曜日、6月30日ですので、お忘れなく。



参考リンク
厚生労働省「外国人労働者の受入れを巡る考え方のとりまとめについて」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/06/h0622-2.html
東京労働局「外国人雇用状況報告にご協力ください」
http://www.roudoukyoku.go.jp/event/2006/20060601-foreigner/index.html
厚生労働省「外国人雇用状況報告(平成16年6月1日現在)の結果について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1228-1.html
参照条文
職業安定法施行規則第34条(法第五十三条の二 に関する事項)
 厚生労働大臣は、労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整等を図るため、事業主に対してその雇用する外国人労働者の雇用に関する状況に係る資料の提供を求めること等により、外国人労働者の雇用の動向の把握に努めるものとする。


(大津章敬)


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日経ヘルスケア21 6月号「労働時間の運用6 職員の有給取得で困らないために」

日経ヘルスケア21 6月号 弊社コンサルタントの服部英治が「実践!院長のための人事・労務入門」という連載を行っております日経ヘルスケア21の6月号が発売になりました。今月は「労働時間の運用6 職員の有給取得で困らないために」というタイトルで、年次有給休暇の時季変更権や計画的付与についての解説を行っています。


 なお今回の記事でご紹介している有給で困らないための3つのポイントは以下のとおりです。詳細は是非、誌面でご覧下さい。
1)「時季変更権」を上手に使う
2)集中取得を避けるには「計画的付与」の活用を
3)「計画的付与」には労使協定が必要


(大津章敬


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基準日を利用した年次有給休暇の管理方法

 年次有給休暇(以下「年休」という)は、入社後半年経過時点で10日が付与され、その後1年経過毎に一定日数が付与されていきます。よって入社日にバラツキがあると、年休の付与日にもバラツキが出るため、管理はかなり煩雑になります。そこで年休付与の基準日を設定し、その管理を画一化することで、管理上の負担を軽減するという対応(斉一的取扱い)を取ることがあります。本日はこの年休付与に関する基準日を設定する際のポイントについてお話しましょう。


 年休付与の基準日を設定する場合ですが、もっとも多いのは毎年1回、10月1日を基準日とする方法でしょう。その際のポイントは、いずれの入社日においても、労働基準法で定める半年で10日という基準を下回らないことになります。よって年に1回、10月1日に基準日を設定する際には、基準日までの期間が6ヶ月に満たない4月1日から9月30日までに入社の社員については、基準日である10月1日に初年度の10日の年休を付与すれば、それ以前の前年10月1日から当年3月31日までに入社の社員については、基準日である10月1日よりも前に6ヶ月が経過してしまうため、少なくとも6ヶ月を経過した時点で10日の年休を付与し、10月1日に2年度目の年休である11日を付与する必要があります。
例)前年10月1日入社の場合には6ヶ月経過の4月1日に10日付与。その後、基準日である10月1日に11日を付与することになります。


 しかしこれでは初年度の年休付与について、個人別管理を行う必要があることから、先ほどの例で前年10月1日から当年3月31日までに入社の社員については入社と同時、もしくは試用期間満了時点で初年度の10日を付与することが少なくありません。


 基準日を設定すれば基本的に年に1回、年休付与の管理を行えば良いので事務負担の軽減を図ることができますが、いまの例で見たように前倒しで年休付与する必要があるため、法定の付与日数に比べ、トータルの負担は確実に増加します。また入社日による社員間の不公平(10月1日基準日の場合、3月31日入社の者は10月1日の時点で21日、4月1日入社の場合は10日の有給付与となり、たった1日の入社日の違いによって、11日も年休日数が変わることになる)が発生するなど、問題も少なくありません。


 よって実務的には基準日を年に1回とするのではなく、初年度の年休が6ヶ月で付与されるため、年に2回の基準日設定をするなどの工夫が必要となります。基本的には基準日の回数が少なければ少ない方が社員間の不公平が大きくなるため、管理の手間とのバランスを考慮し、年に数回の基準日を設定することがベターではないかと思います。繰り返しになりますが、年休の基準日管理を行う際には、各時期経過時点での年次有給休暇日数が労働基準法で定められた日数を満たしていることが必要であるということが求められます。



参考リンク
山口労働局「年次有給休暇の与え方」
http://www.yamaguchi.plb.go.jp/relate/roudou/jyouken/jyouken05.html
参照通達
平成6年1月4日基発1号「年次有給休暇の斉一的取扱い」
 (1)の年次有給休暇について法律どおり付与すると年次有給休暇の基準日が複数となる等から、その斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう)や分割付与(初年度において法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのてはなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう)が問題となるが、以下の要件に該当する場合には、そのような取扱いをすることも差し支えないものであること。
イ 斉一的取扱いや分割付与により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものであること。
ロ 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。(例えば、斉一的取扱いとして、4月1日入社した者に入社時に10日、1年後である翌年の4月1日に11日付与とする場合、また、分割付与として、4月1日入社した者に入社時に5日、法定の基準日である6ヶ月後の10月1日に5日付与し、次年度の基準日は本来翌年10月1日であるが、初年度に10日のうち5日分について6ヶ月繰り上げたことから同様に6ヶ月繰り上げ、4月1日に11日付与する場合などが考えられること)


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人事実務「退職金・年金制度の再設計ガイド」

人事実務「退職金・年金制度の再設計ガイド」 弊社コンサルタントの大津章敬が執筆しました「中堅・中小企業担当者のための退職金・年金制度の再設計ガイド」という記事が、現在発売になっております人事実務2006年6月15日号(No.994)に掲載されております。今回は退職金制度の状況から適格退職年金制度改革の方向性について解説をしております。是非ご覧下さい。


 なお今回の記事と同テーマのセミナー「中小企業のための退職金・適年制度改革のポイント」を7月19日に名古屋で開催します。現在受付中ですので、こちらも是非ご参加ください。



参考リンク
産労総合研究所「人事実務」
http://www.e-sanro.net/sri/books/chinginjitumu/index.html
7月19日セミナー「中小企業のための退職金・適年制度改革のポイント」受付ページ
http://www.meinan.net/mbc/sem/20060719taishokukin.htm


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7月12日セミナー「中堅・中小企業経営における内部統制と人材活用」受付開始

7月12日セミナー「中堅・中小企業経営における内部統制と人材活用」 名南経営センターグループは今年で40周年を迎えます。その関連イベントをいくつか計画していますが、その1つとして、元横山やすし・西川きよしのマネージャー→吉本興業常務取締役で、現在はフリープロデューサーとして活躍されている木村政雄氏と、鳥飼法律事務所の村瀬孝子弁護士を講師にお迎えし、「中堅・中小企業経営における内部統制と人材活用」と題したセミナーを開催することとなりました。是非ご参加ください。




 本年5月1日より「新会社法」が施行され、企業経営のあり方が改めて問われる時代となりました。大企業にその構築を義務づけられた「内部統制」(業務の効率化・財務諸表の透明化・法令遵守)は、経営戦略を実行するツールとして注目を浴びておりますが、中小企業・子会社にとりましても、重要なリスクマネジメントの一つとして意識しなければなりません。そのような状況のなか、創業40周年を迎えた名南経営センターグループと第一法規株式会社が、日頃のご愛顧に感謝し、お二人の著名な講師をお招きし、講演会を開催することになりました。経営ツールとしての「内部統制」と現場における’人’の活用方法を分かりやすく解説します。皆様のご参加をお待ちしております。


■セミナー概要

○第1部 12:40~14:10
「中堅・中小企業経営に内部統制がもたらすインパクト」
講師:弁護士 村瀬孝子氏(鳥飼法律事務所)

 第二東京弁護士会所属。鳥飼総合法律事務所パートナー。契約書作成、債権回収、株主総会指導、企業再編業務などの企業法務が専門。多くの新会社法に関するセミナー講師も担当。著書『非公開会社のための新会社法』共著(書籍紹介HP) 商事法務刊 『会社法務質疑応答集』『株主総会対策ハンドブック』共著 第一法規刊 ほか多数。



○第2部 14:30~16:00
「木村流 ”人間判断力”」
講師:フリープロデューサー 木村 政雄 氏

 昭和21年京都市生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒業。昭和44年吉本興業株式会社入社。横山やすし・西川きよしのマネージャーを8年半務めた後、東京事務所をはじめ、吉本興業の全国展開を推進。常務取締役に就任したのち、平成14年10月に同社を退職。現在、フリープロデューサーとして、講演・執筆活動のほか、テレビ・ラジオ出演の傍ら教育事業・エンターテイメント事業を精力的に展開中。


■開催要領

日 時:平成18年7月12日(水)12:30~16:00(開場:12:00)
場 所:名古屋市芸術創造センター(名古屋市東区葵)
受講料:1名様あたり 3,000円(税込)
定 員:500名


■詳細およびお申し込み
 お申し込みは以下よりお願いします。
http://www.meinan.net/seminar/seminar20060712ani.html


(大津章敬)


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月給者の欠勤控除時の取り扱いの統一化~平成18年度算定基礎届における注意点その2

 本日は昨日に引き続き、今年の算定基礎の変更ポイントについて取り上げたいと思います。2日目の今日は月給者の欠勤控除の取り扱い方法の統一という点について確認しておきましょう。


 平成17年度までの月給者の欠勤控除の取り扱いは、都道府県により取り扱いの違いがありましたが、平成18年度よりこの取り扱いが以下のように統一されました。
月給者については、各月の暦日数が支払基礎日数となります。
月給制で欠勤日数分に応じ給与が差し引かれる場合にあっては、就業規則、給与規定等に基づき事業所が定めた日数から当該欠勤日数を控除した日数が支払基礎日数となります。
日給者については、各月の出勤日数が支払基礎日数となります。
 なお、就業規則、給与規定等での取り決めがない場合は、暦日数からの欠勤日数を控除します。


 よって日給月給者が所定労働日数21日の月に1日の欠勤をした場合、欠勤の控除が各種規程等に基づいて計算されているのであれば、その月の支払基礎日数は20日、報酬には欠勤控除後の額を記載することになります。


 この取り扱いについては、社会保険庁から各社会保険事務局へ通知が行われています。愛知の場合は、昨年まで事業所の取り決めによらず、すべて暦日数から控除することになっていました。このことにより、算定基礎の対象となる4月・5月・6月に数日間の欠勤があると標準報酬月額が実態とそぐわないほど低くなるというケースがみられました。今回の統一的取り扱いによりこの課題が解消されるでしょう。
※「平成18年度算定基礎届のしおり」は修正が間に合わず、昨年度まで取り扱いが記載されているようですのでご注意ください。



参考リンク
社会保険庁「健康保険・厚生年金保険の報酬の支払基礎日数の変更等について」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0606.pdf


(宮武貴美)


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