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半日年休の取得回数に制限を設けることはできますか?

 宮田部長は最近、一部の社員の年次有給休暇(以下、「年休」という)の取得に関して頭を悩ましていた。


宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。
大熊社労士:
 おはようございます。おやっ?宮田部長、なんだか今日は表情が冴えないですね。なにかありましたか?
宮田部長宮田部長:
 そうなんですよ。当社では年休の取得に際し、半日単位での取得を認めています。午前休の場合は始業時刻の午前8時30分から正午までの3時間30分、午後休の場合は休憩明けの午後1時から終業時刻の午後5時30分までの4時間半となるのですが、一部の若手社員が「午後休を取った方が得だ」と言って、午後休ばかりを申請してくるのですよ。
大熊社労士:
 あらら、そんなことが起きてしまったのですか。
宮田部長:
 そうなんです。当社の仕事はチームで動くことが多いので本来は半日単位の年休を認めるのは業務の効率から言ってあまり望ましいものではありません。しかし、免許の更新や通院などのために半日単位で取得したいという要望が強かったものですから、恩恵的に認めたというものなのです。それをこんな風に申請されてしまうと仕事の段取りの点で困ってしまいますし、更には社内の雰囲気も悪くなってしまいます。
大熊社労士:
 そうですね。年間20日の年休を持った社員だと、理屈上では40回も半日年休を取得できることになりますからね。
宮田部長:
 そうなんです。もう一層のこと半日年休制度を廃止してしまおうかとも思ったりもするのですが、当初の目的通りに利用している社員も多いので、それもどうかと思いまして…。せめて半日年休の取得回数に制限を設けられれば良いのですが…。
大熊社労士:
 なるほど、それでは半日年休の取得回数に制限を設けるようなルールを設けましょうか。
宮田部長:
 えっ?できるんですか?年休は従業員が申請したら、その日に与えなければならないのではないのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、確かに年休については、最高裁の判例でそのように解されています。しかし、今回は半日年休という特殊な事例です。そもそも年休は原則として1労働日、つまり暦日を単位とするもので従来は半日年休は認められていなかったのですが、昭和63年3月14日 基発150号という通達で「法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない」という取り扱いが示されました。つまり原則は暦日単位での取得であるが、会社が認めた場合には例外的には半日で取得させてもよいということですね。このように会社の承認が前提で導入される制度ですから、半日年休を認める際に、例えば5日を上限にといった制限を設けることは可能なのです。そもそも暦日での年休の取得を制限するようなものではありませんからね。
宮田部長:
 そうでしたか!それはよいことを教えて頂きました。具体的にはどのように対応すればよいでしょうか。
大熊社労士:
 そうですね。やはりこれはルールとして明確に就業規則に記載しておくと良いですね。就業規則の年休の条文にその取扱いを追加しておきましょう。また今回、問題となっている社員から不満が出る可能性がありますので、ここはきちんと説明を行って、趣旨を理解させておいた方がよさそうですね。
宮田部長:
 分かりました。それでは早速、社長に報告し、その方向で対応したいと思います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は年次有給休暇の半日単位での取得について取り上げました。この制度は社員にとって非常に使い勝手が良いものであり、多くの会社で採用されていますが、稀に今回のような問題が発生することがあります。年休については基本的に社員が希望する日時に付与しなければならないという前提があるため、その取得に制限を設けることは難しいと考えがちですが、この半日単位については原則は認める必要がないものであることから、一定の上限日数を設定し、その範囲で認めるという対応が可能です。現在では、改正労働基準法により時間単位での取得も認められていますので、それぞれのメリット・デメリットを検証し、自社にとって最適な制度設計を行うことが求められます。

[関連通達]
昭和63年3月14日 基発150号
 法第39条に規定する年次有給休暇は、1労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。

(大津章敬)

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療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届(様式第16号の4)

shoshiki487 通勤災害により、すでに療養補償給付を受けている場合で、指定病院等を変更する際に提出する様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要
pdfPDF形式 shoshiki487.pdf(217KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この手続きは窓口への提出だけでなく郵送でも可能です。なお、業務災害の場合は、様式第6号になりますので注意しましょう。


関連blog記事
2012年3月30日「4月から変更となる労災保険給付の様式と厚労省サイトからのダウンロード」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51920964.html
2012年3月22日「ネット上で必要事項を事前に入力し印刷できる雇用保険の様式」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51919350.html
2011年6月21日「ダウンロードで対応できるようになった労災保険給付関係OCR帳票」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51854825.html

(福間みゆき)

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残業が8時間に達した際、代休を与えて相殺することはできますか?

 服部印刷ではより働きやすい環境を作るため、労働時間短縮のプロジェクトを進めている。その中であるアイデアが出たため、宮田部長はその取扱いに問題がないか、大熊に確認することとした。


宮田部長:
 大熊先生、おはようございます。
大熊社労士:
 おはようございます。このあたりでは桜もすっかり散ってしまいましたが、御社の繁忙期もそろそろ終盤戦ですね。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。年度末はかなり業務が集中して残業も多くなりましたが、ここに来て、かなり落ち着いてきました。そんなこともあって、先日から労働時間短縮のプロジェクトをスタートさせました。
大熊社労士:
 そうなんですか、それはいいことですね。今後はやはり業務生産性の向上を通じた労働時間短縮が魅力ある企業の条件になってくるでしょうし、また社員のみなさんに時間的余裕ができることは次へのステップに進む際の大きなポイントになるのではないかと思います。
宮田部長:
 そうですね。さて、前回の打ち合わせでもいくつかのアイデアが出たのですが、その中で代休をうまく活用できないだろうかという提案がありました。
大熊社労士:
 なるほど、それも仕事にメリハリをつけ、全体としての時間短縮を進める良いアイデアだと思います。
宮田部長:
 ありがとうございます。そこで一つ確認をしたいのですが、例えば土曜日に1日休日出勤をした際、例えば翌週の平日に代休を取得させるというのはまったく問題がないと思うのですが、残業時間が累積し、当社の所定労働時間である8時間になった場合に1日の代休を与えることは可能なのでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど。例えば1日1時間の残業が8日続き、8時間になったところで1日の代休を与えるということですね。
宮田部長:
 その通りです。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、まったく問題ありませんよ。ただし、その場合、8時間の時間外労働を完全に相殺することはできず、割増賃金だけは支給する必要があります。具体的にお話しすると、例えば分かりやすいところで時給1,000円の者が8時間の残業をした場合、1,000円×1.25×8時間=10,000円の割増賃金が必要となります。一方で、8時間の代休を与えた場合には1,000円×8時間=8,000円の賃金が控除されますので、結果としてはこの差額である2,000円の2割5分の割増賃金部分の支払が必要となるのです。
宮田部長:
 なるほど。1,000円×0.25×8時間=2,000円ということで、割増分だけは支払う必要があるということですね。
大熊社労士:
 そのとおりです。
宮田部長:
 割増賃金の支払いは必要ではありますが、実労働時間の短縮には有効と考えてもよいですか?
大熊社労士:
 はい、それは間違いありません。忙しいときにはやはり残業が必要なこともあります。しかし、一方で余裕があるときには代休を取って、実労働時間を短縮していくことはメリハリのある勤務を実現する上でも重要ではないでしょうか。
宮田部長:
 ありがとうございます。それではこの代休制度はさっそく実現に向けて、詳細の検討を進めたいと思います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です今回は代休制度の運用について取り上げてみました。代休とは事前に振替手続きを行わずに休日労働等を行わせた場合に、事後にその代償として与える休日のことを言います。事前に休日を振替えていない以上、時間外割増賃金の支払いが必要になる訳ですが、この代休は今回取り上げたように終日の休日労働だけではなく、時間外労働の累積に対しても付与することができます。振替でない以上、割増賃金の削減にはなりませんが、本体部分の賃金は相殺されるため、支払人件費自体は抑制することができます。またそれ以前に絶対的な労働時間数を減少させることができますので、過重労働対策には有効な手段であります。今後、長時間労働や割増賃金の問題はますます深刻化し、より生産性の高い職務遂行が求められます。そのためには様々な労働時間制度を駆使し、形式面の時間短縮を進めると共に、実際の労働時間を減少させる仕組みを構築していかなければなりません。

(大津章敬)

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療養補償給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届(様式第6号)

shoshiki485 業務災害により、すでに療養補償給付を受けている場合で、指定病院等を変更する際に提出する様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要
pdfPDF形式 shoshiki485.pdf(220KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この手続きは窓口への提出だけでなく郵送でも可能です。なお、通勤災害の場合は、様式第16号の4になりますので注意しましょう。


関連blog記事
2012年3月30日「4月から変更となる労災保険給付の様式と厚労省サイトからのダウンロード」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51920964.html
2012年3月22日「ネット上で必要事項を事前に入力し印刷できる雇用保険の様式」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51919350.html
2011年6月21日「ダウンロードで対応できるようになった労災保険給付関係OCR帳票」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51854825.html

(福間みゆき)

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マンガでワークライフバランスを理解する愛知県発行の小冊子「しあわせ通りの人々」

しあわせ通りの人々 2012年4月5日のブログ記事「4コママンガで事例紹介!埼玉労働局発行の「パートタイマーのお悩みQ&A」」で取り上げたように、近年、官公署から発行されるリーフレットの中にはマンガを使い、労使双方が法律に基づく各種制度をわかりやすく理解できるようにするような工夫が行われています。愛知労働局でも、全面的にマンガを取り入れた「しあわせ通りの人々。」という小冊子を約1年前に発行し、企業のワーク・ライフ・バランスへの取り組みを支援しています。

 この小冊子では、5人の主人公が、子育てや介護など人生の様々な場面で、ワーク・ライフ・バランスに取り組む様子をストーリーマンガで紹介しており、さらにコラムやQ&Aなどを盛り込むことでマンガのみでは理解しきれない内容を補完し、解説しています。特に平成22年6月30日に施行された改正育児・介護休業法に関する内容も含まれていますので、平成24年7月1日の完全施行を前に、どのような制度があるのかを確認することのできる内容になっています。

 この小冊子は以下のURLからダウンロードできますので、ワーク・ライフ・バランスの取り組みの参考にしてみてはいかがでしょうか。
http://www.pref.aichi.jp/0000039866.html


関連blog記事
2012年4月5日「4コママンガで事例紹介!埼玉労働局発行の「パートタイマーのお悩みQ&A」」
https://roumu.com
/archives/51922298.html

2012年3月26日「61社の具体的取り組みが分かるワークライフバランスの事例集」
https://roumu.com
/archives/51920230.html

2012年3月15日「2月6日に改正された両立支援制度の評価尺度「両立指標」」
https://roumu.com
/archives/51917665.html

2012年1月18日「前年比19.8%増と大幅な伸びを見せた企業の育児支援費用」
https://roumu.com
/archives/51904730.html

2012年1月13日「今春改正が予定される育児関連助成金の概要」
https://roumu.com
/archives/51903675.html

2011年10月19日「9月に再編された育児関連助成金のパンフレットがダウンロードできます」
https://roumu.com
/archives/51880998.html

2011年9月8日「8月5日に変更された育児休業給付延長に関する取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51872055.html

2011年8月10日「9月1日からの育児・介護関連助成金の制度再編フローチャートが公開」
https://roumu.com
/archives/51865543.html

2011年8月4日「浸透する育児休業制度と若干の低下が見られる育児休業取得率」
https://roumu.com
/archives/51864713.html

参考リンク
愛知県「マンガでわかるワーク・ライフ・バランス~「しあわせ通りの人々。」を作成しました」
http://www.pref.aichi.jp/0000039866.html

(宮武貴美)

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パワハラ対策として求められる具体的取り組みについて教えてください

 前回はパワーハラスメント(以下「パワハラ」という)の定義等について説明を受けた宮田部長。今回はそれに引き続き、パワハラ対策として求められる具体的取り組みについて話を聞くこととした。
※前回の内容「パワハラの定義が取りまとめられたそうですね。どのような影響が予想されますか?」は以下をご覧ください。
https://roumu.com/archives/65553318.html


大熊社労士大熊社労士:
 今回、パワハラの定義や行為類型が取りまとめられたことによって、従来以上にパワハラとして申告される案件が増加するのではないかと懸念しています。それだけに今後は無用なトラブルを防止する意味から、具体的なハラスメント対策を進めていく必要があります。そこで本日は企業に求められる対策についてお話ししたいと思います。
宮田部長:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 今回、2012年3月15日に厚生労働省の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議において「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」が取りまとめられた訳ですが、その中で述べられている対策は訓示的な内容が多いので、この提言の前提となっている報告で取り上げられている取り組み例についてお話ししたいと思います。まず、職場のパワハラを予防するための取り組みとしては以下のような事項が挙げられています。
トップのメッセージ
・組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
ルールを決める
・就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
・予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
実態を把握する
・従業員アンケートを実施する
教育する
・研修を実施する
周知する
・組織の方針や取組について周知・啓発を実施する
服部社長:
 なるほど。やはりトップとしてパワハラをしてはならないという方針を明確に示すことが重要ですね。
大熊社労士:
 そうですね。なんでもそうだとは思いますが、やはりまずはトップの考えが社内に明確に発信されることが重要ですね。そしてそれを受けて、就業規則やハラスメント防止規程といった諸ルールを制定することが求められます。
宮田部長:
 その上で研修の実施ですかね?
大熊社労士:
 そうですね。ハラスメントは許さないという方針を徹底すると共に、パワハラの定義や行為類型などを具体的な例を持って理解させることが重要ですね。また就業規則の内容も説明し、場合によっては懲戒処分の対象となることや社内の相談窓口の利用方法などについても伝える必要があろうかと思います。
服部社長:
 分かりました。宮田部長、次回の全社会議の際にも私からのメッセージを社員に発信しようと思います。それを受けて、就業規則の整備や研修の開催などを検討してください。大熊さん、是非支援してやってください。
大熊社労士:
 了解しました。それでは次に、実際にパワハラが発生した場合の対応についてですが、以下のような対応が求められます。
相談や解決の場を設置する
・企業内・外に相談窓口を設置する、職場の対応責任者を決める
・外部専門家と連携する
再発を防止する
・行為者に対する再発防止研修を行う
宮田部長:
 相談窓口としてはセクハラの相談窓口を私と福島さんで運営していますが、その対象にパワハラを追加すればよろしいでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。それでよろしいかと思います。報告書で取り上げられているパワハラ対策の取り組み例としては以上ですが、以前から私が感じていることがあります。というのは、パワハラは部下指導に熱心な上司が知らず知らずのうちに行き過ぎてしまうという例が多いように思うのです。それだけに本人には悪気はまったくなく、むしろ良かれと思って、適正な範囲を超えた指導を行っていることが少なくありません。
服部社長服部社長:
 確かにそれはあるかも知れませんね。実は恥ずかしながら、私も以前、社員にパワハラだと陰で言われたことがありました。その際も私はその社員のことを何とかしてやりたいと思いから、少しきつい言い方をしていました。あとから考えればやりすぎた部分もあったかも知れないと思いますが、当時は彼を成長させたいという想いだけでしたから。
大熊社労士:
 そうですね。それだけに本人は気付くことができないという前提で、周囲がフォローしてやることが重要だと思うのです。具体的には管理職同士で注意し合うような関係を作ることが重要ですね。
宮田部長:
 確かにそうですね。社員向けの研修会ではそうしたことも伝えることが必要ですね。
大熊社労士:
 そうですね。また今回はいわゆる職場のいじめについても対策を取る必要がありますので、周囲でハラスメント行為が見られた場合には相談窓口に連絡してもらい、問題が小さなうちに解決するという会社の姿勢も示
しておきたいところでしょう。
宮田部長宮田部長:
 なるほど、分かりました。それでは当社でも今回教えて頂いたような対策を取っていきたいと思いますので、就業規則整備や研修会の開催の際にはまた相談に乗ってください。
大熊社労士:
 承知しました。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回はパワハラ対策の具体的内容について取り上げました。近年、職場のいじめも含めたハラスメントの問題が急増していますが、今後はメンタルヘルス不全の問題とも連動し、更に大きな人事労務管理上の問題として認識されることとなるでしょう。今回、厚生労働省よりこのような提言および報告がなされたことは実務に一定の影響が出てくると考えられますので、実際の内容をご確認いただき、必要な対策を取っておくことが求められます。


関連blog記事
2012年4月9日「パワハラの定義が取りまとめられたそうですね。どのような影響が予想されますか?」
https://roumu.com/archives/65553318.html
2012年3月16日「厚労省円卓会議による「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」のポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51917920.html
2008年8月25「パワハラが発生した際にはどのように対処すればよいですか?」
https://roumu.com/archives/64961516.html
2008年8月18日「パワハラがもたらす損失にはどのようなものがありますか?」
https://roumu.com/archives/64961481.html
2008年8月11日「パワハラと注意指導との境目はどこですか?」
https://roumu.com/archives/64948560.html
2008年8月4日「同僚の前でひどく怒鳴ってしまった、これはパワハラになるのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/64948552.html

参考リンク
厚生労働省「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000025370.html
厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000021i2v.html

(大津章敬)

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(OCR様式)療養補償給付たる療養の給付請求書 業務災害用(様式第5号)

shoshiki484 業務災害により医療機関にかかった際に提出する療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)の様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要
pdfPDF形式 shoshiki484.pdf(56KB)

[ワンポイントアドバイス]
 OCR様式を印刷して使用する際には、以下の5つの注意事項があります。
①印刷したOCR様式をコピー使用しないこと。
②2ページ目以降があるOCR様式については、必ず「両面印刷」を行うこと。
③プリンタ等で印刷する際は、「ページの拡大・縮小」、「ページの回転・中央配置」等の処理を行わないこと。
④OCR様式印刷に使用する用紙については、以下の条件を満たすものを使用すること。
※一般的に「コピー用紙」、「普通紙」、「PPC用紙」等の表示で販売されているもので、以下の条件を満たすこと。
 大きさ : A4サイズ
 厚さ : 坪量67g\m2程度
 白色度 : 80%以上
 汚れ、曲がり、濡れ、破損、変色等がないこと
⑤印刷後、OCR様式の印刷状況に欠け、滲み、途切れ等の問題がないことを確認すること。特に、OCR様式の3箇所に「基準マーク(3mm四方の正方形)」(以下の<印刷後のOCR様式のイメージ図>参照)が正しく印刷されていることを確認すること。




関連blog記事
2012年3月30日「4月から変更となる労災保険給付の様式と厚労省サイトからのダウンロード」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51920964.html
2012年3月22日「ネット上で必要事項を事前に入力し印刷できる雇用保険の様式」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51919350.html
2011年6月21日「ダウンロードで対応できるようになった労災保険給付関係OCR帳票」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51854825.html

(福間みゆき)


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ソーシャルメディア利用管理規程

kitei088 ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを企業活動の中で利用する際の注意事項を定めた規程サンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kitei088.doc(33KB)
pdfPDF形式 kitei088.pdf(9KB)

[ワンポイントアドバイス]
 近年、企業の営業や採用活動の中で、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを利用することが増えており、重要な情報手段となっています。その一方で、ソーシャルメディアには匿名性や一方的な記述が可能であり、不正確な情報や不用意な記述が問題を引き起こしかねないことから、企業にはリスク対策を行うことが求められています。

 本規程サンプルをご参考の上、自社のルール策定にお役立てください。

(福間みゆき)

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社有車で事故を起こした社員に修理代を弁償させることはできますか?

 宮田部長は最近、業務中の自動車事故が多いことに頭を悩ませていた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。
大熊社労士:
 こんにちは。あれ、その保険の請求書は何ですか?自動車事故でもあったのですか?
宮田部長宮田部長:
 そうなんですよ。最近、営業車での事故が多くて頭を悩ませているところです。幸いにも重大な事故ではなく、コツンとぶつけたというようなものではあるのですが、事故は事故ですからね。
大熊社労士:
 そうですね。それでなにか対策を取っていらっしゃいますか?
宮田部長:
 はい、先日も警察の方に来て頂いて、安全運転教育を行ったのですがそれだけでは不十分な気がしています。そこで事故を起こした社員から修理代の一部を徴収しようかと思っているのですがいかがでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、法的にはいろいろ制約はありますが、事故を起こしたときに少しペナルティがあり、より反省をさせるという意味のものであればよいと思いますよ。
宮田部長:
 そうですか。それでその制約というのはどのようなものなのでしょうか?
大熊社労士:
 労働基準法においては、従業員との間に「事故を起こしたら10万円を請求する」といったように、損害賠償の金額を予定して契約することは禁止されています。
宮田部長:
 そうなんですか。私としてはそのようなイメージだったのですが…。
大熊社労士:
 そうでしたか。このように損害賠償の金額をあらかじめ決めておくことはできないのですが、実際に生じた損害額を請求することは禁止されていないため、事故を繰り返すなど、従業員側にも過失があった場合は、実際の損害額について請求することは可能です。
宮田部長:
 全額を請求してもよいものなのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 いいえ、過去の裁判例を見ると、労働過程上の軽過失に基づく事故については、労働関係における公平の原則に照らして、損害賠償請求権を行使できないものと解するのが相当であるとしたものがあります(大隈鉄工所事件 名古屋地裁昭和62年7月27日判決)。また、相当な過失がある場合であっても、損害の公平な分担という見地から、信義則上相当と認められる限度において請求することができるとしています(茨城石炭商事事件 最高裁判例昭和51年7月8日)。実際にこの事案では、従業員に対して、全体の損害額の4分の1を限度として請求することが認められました。
宮田部長:
 なるほど。
大熊社労士:
 企業は従業員の業務の執行を通じて事業を行い、利益を上げているということもあり、原則として従業員に対して実際の損害額を請求することは難しく、仮に従業員に過失が認められた場合であっても、損害賠償の請求額は、一定の限度に制限されると考えることが相当です。
宮田部長:
 よく分かりました。業務上の事故ですからその責任をすべて社員に押し付けるようなことはしたくありませんが、まったく痛みがないのも安全運転の徹底という点から良くないような気もします。これは社長にもお考えがあると思いますので、一度社内で検討してみますね。
大熊社労士:
 了解しました。実際の制度化の際にはまたご相談いただければと思います。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は社有車における事故発生時の社員への損害賠償というテーマについて取り上げてみました。以下では文中で紹介した2つの裁判例についてその概要を追記します。
大隈鉄工所事件(名古屋地裁昭和62年7月27日判決)
 Xにおいて,これまで従業員が事故を発生させた場合,過失に基づく事故について損害賠償を請求し,あるいは求償権を行使した事例もないこと,さらにはYのX会社内における地位,収入,損害賠償の負担能力等の諸事情を総合考慮すると,XはYの労働過程上の(軽)過失に基づく事故については労働関係における公平の原則に照らして,損害賠償請求権を行使できないものと解するのが相当である。

茨城石炭商事事件(最高裁判例昭和51年7月8日判決)
 使用者が、その事業の執行につきなされた被用者の加害行為により、直接損害を被り又は使用者としての損害賠償責任を負担したことに基づき損害を被った場合には、使用者は、その事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において、被用者に対し右損害の賠償又は求償の請求をすることができるものと解すべきである。」として、4分の1を限度として求償を認めるもの。

[関連法規]
労働基準法 第16条(賠償予定の禁止)
 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

(大津章敬)

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同意事務所一覧(被扶養者状況リストの送付)

shoshiki482 社会保険労務士が被扶養者状況リストを事業所に代わって受領する同意を得た場合に、それをとりまとめて協会けんぽに提出する様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要

WORDExcel形式 shoshiki482.xls(31KB)
pdfPDF形式 shoshiki482.pdf(4KB)

[ワンポイントアドバイス]
 平成22年度の健康保険被扶養者資格の再確認業務において、同意事業所一覧(写)を保管している場合、その一覧(写)から受託事業所を削除するなどして、対応することができるようになっています。

(福間みゆき)

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