「ハイ」の検索結果

社会保険のパートタイマーへの適用拡大の検討状況を教えてください

 最近、社会保険のパートタイマーへの適用拡大のニュースが新聞紙上などを賑わしている。宮田部長はそうした記事を読み、自社への影響を懸念していた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。
大熊社労士:
 こんにちは、いつもお世話になります。もう3月後半だというのに寒い日が続きますね。
宮田部長宮田部長:
 本当にそうですね。この週末も風が強く、結構肌寒かったですからね。桜の花見ももう少し先という感じでしょうか。さて、最近新聞を見ていると社会保険のパートタイマーへの適用拡大の記事をよく目にするのですが、当社でも数名とはいえパートタイマーを雇用しているので、その影響を心配しています。
大熊社労士:
 このテーマはどの企業でも大きな関心があるようですね。特に流通やサービスなど多くのパートタイマーを雇用しているような企業では戦々恐々としているというのが実態ではないかと思います。
宮田部長:
 そうでしょうね。当社はそれほど人数が多くありませんが、それでも気になるくらいですから、スーパーや飲食店などの経営者は頭を悩ませているのではないかと思います。それでこの件について、現在はどのような検討が行われているのでしょうか?
大熊社労士:
 はい、まだ具体的な法律案などは出されておらず、現在は厚生労働省内に設置された「社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」において、議論が行われています。
宮田部長:
 新聞を見ている限り、ほぼ決定のような感じを受けたのですが、まだそのような段階なのですね。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、よって実際に社会保険の被保険者範囲の拡大が決まるのかどうかは未だ不透明ではあるのですが、最新の資料によれば以下のような基準で議論が行われています。
(1)所定労働時間 週20時間以上
(2)月額賃金 78,000円以上(年収94万円以上)
(3)勤務期間 1年以上
(4)学生は適用除外
(5)従業員 501人以上
宮田部長:
 なるほど、当社の場合は仮に改正が行われたとしても、従業員数が少ないので当面は適用にならないということですね。
大熊社労士:
 そうですね。現在の案では2016年4月にこの基準での適用拡大を行い、そこから3年以内に対象を拡大すると法律に明記されるとされています。よって早ければ2019年には適用という話が出てくるのかも知れませんね。
服部社長服部社長:
 なるほど、そのような状況なのですね。まあ、わが国の労働の構成も昔とは大きく変わって、いわゆる非正規と呼ばれる方々が多くなっていますから、社会保障制度も見直しせざるを得ない部分もあるのでしょうね。とはいえ、業績低迷に喘いでいる企業としては、コスト増に繋がる内容だけに苦しいところです。
大熊社労士:
 まったくその通りですね。先日からこちらも新聞紙上を賑わせているAIJの厚生年金基金の問題もあり、年金不安が再び高まっています。今後、更に少子高齢化が進む環境や非正規の増加などの環境を考えると抜本的な年金制度の改革が求められているのは間違いありません。今回の改正の議論がそれに繋がっていけば良いのですが。
服部社長:
 確かにそうですね。
大熊社労士:
 いずれにしても今回の被保険者範囲の拡大については、正式に決まりましたらまたその内容と影響についてお話ししたいと思います。
宮田部長:
 了解しました。ありがとうございます。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は最近、多くの企業の担当者から質問を受ける社会保険被保険者範囲の拡大についての検討状況について取り上げました。文中にも記載した通り、現在は厚生労働省の部会で議論がなされている状況で、予定通りに進めば、この通常国会に法案が提出されることとなっています。さて、文中で挙げた(5)の従業員数の要件ですが、この従業員数をどのように計算するかは大きな注目を浴びるポイントではないかと思われます。この点については先日の部会の資料に記載があり、「現行の基準で適用となる被保険者の数で算定」とされています。このように考えると、当面影響があるのは大企業のみということになるのかも知れません。


参考リンク
厚生労働省「第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000025mv0.html

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

離職票の電子申請にかかる動画マニュアルが公開されました

離職票の電子申請にかかる動画マニュアルが公開されました 昨年11月、離職票の交付を伴った雇用保険被保険者資格喪失手続きが電子申請で行うことができるようになりました。これにより、得喪業務が電子申請でできるようになり、社会保険手続きにおいては今後電子申請化が進むと想像されます。ただ、実際に電子申請を行おうとする際には、申請手順に誤りがあったり、公文書の保管漏れがあったりとトラブルが発生することが多くあります。

 これに関し、先日、全国社会保険労務士会連合会から「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり) 電子申請手順」の動画マニュアルが公開されました。マニュアルでは、手続情報検索から離職証明書の作成、電子公文書まで約17分にまとめられています。これから電子申請を始めようとする方にはたいへん参考になる動画ですので、是非、確認してみてください。

動画マニュアル「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり) 電子申請手順」はこちらから
http://www.shakaihokenroumushi.jp/social/application/contents_www/index.html


関連blog記事
2012年1月5日「電子申請で離職票を発行する際の手順書が公開」
https://roumu.com
/archives/51901657.html

2011年12月20日「電子申請手続き完了時の電子公文書取得とその保管方法」
https://roumu.com
/archives/51898060.html

2011年12月19日「社労士に電子申請を依頼すると会社の手続きも楽になるのですね」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65533350.html
2011年12月13日「東京労働局からダウンロードできる離職票交付時の小冊子」
https://roumu.com
/archives/51896176.html

2011年12月12日「電子申請をする際の電子証明書はどのように取得すればいいのでしょうか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65532078.html
2011年12月5日「離職票の電子申請がスタートしたと聞きました」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/65530652.html
2011年11月29日「離職票の電子申請スタートに伴い、電子化された雇用保険の各種返戻書類」
https://roumu.com
/archives/51892783.html

参考リンク
全国社会保険労務士会連合会「「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票あり)電子申請手順」の動画マニュアルを追加しました」
http://www.shakaihokenroumushi.jp/social/topics/2012/0321-3.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

厚労省特別部会で示されたパートタイマーへの社会保険適用拡大の基準と影響緩和措置

パートタイマーへの社会保険適用拡大 今週月曜日、厚生労働省において第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会が開催され、社会保険の被保険者範囲の拡大に関する具体的な資料が提示されました。今回は適用拡大の考え方を整理した上で、対象者の具体案と影響緩和措置について明記されていますので、以下でその概要を取り上げます。

適用拡大の考え方
・被用者でありながら被用者保険の恩恵を受けられない非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険における「格差」を是正。
・社会保険制度における、働かない方が有利になるような「壁」を除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。

短時間労働者への適用拡大の具体案
・以下の5つの要件が明記されています。
(1)週20時間以上
(2)月額賃金78,000円以上(年収94万円以上)
(3)勤務期間1年以上
(4)学生は適用除外
(5)従業員 501人以上

 従業員数については実務レベルでどのように把握するのかが注目されていましたが、今回の資料では「現行の基準で適用となる被保険者の数で算定」と明記されています。なお、この対象については3年以内に対象を拡大すると法律に明記されるとされています。

影響緩和措置
・短時間労働者への社会保険の適用拡大に伴い、流通・小売業や飲食サービスなど短時間労働者の割合が多い一部の業種では、加入者の平均賃金が下がる一方、新しく加入する者の医療費負担に加えて、後期高齢者支援金や介護納付金の負担が増えるため、保険料率も著しく上昇することが見込まれる。
・短時間労働者など賃金が低い加入者が多く、その保険料負担が重い医療保険者に対し、その負担を軽減する観点から、賃金が低い加入者の後期支援金・介護納付金の負担について、被用者保険者間で広く分かち合う特例措置を導入し、適用拡大によって生じる医療保険者の負担を緩和する。
[具体的な調整措置]
・短時間労働者には低所得者が多いことにかんがみ、各保険者に加入者数で按分されている後期支援金(加入者割分)・介護納付金の算定において、被用者の月額の報酬(標準報酬月額と標準賞与額の年平均額)が標準報酬月額に換算して98,000円(報酬額ベースで101,000円)未満の者とその被扶養者の人数を補正する。これによる負担減少分については、被用者保険内で分かち合う。
・この措置は、当分の間の措置であり、適用拡大による保険者への影響等を勘案しつつ、段階的に解消する。

 以上の通り、かなり具体的な内容が明記されており、実務を想定した検討が進められていることが窺われます。実際にこの改正が実現するか否かはいまだ不透明ではありますが、企業にとっても、従業員にとっても大きな影響がある内容だけに継続的にチェックしていきたいと思います。


関連blog記事
2012年2月15日「厚労省資料に見るパートタイマーへの社会保険適用拡大の検討状況」
https://roumu.com
/archives/51911250.html

参考リンク
厚生労働省「第13回社会保障審議会短時間労働者への社会保険適用等に関する特別部会」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000025mv0.html

(大津章敬

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

誓約書(被扶養者状況リストの送付)

shoshiki483 被扶養者資格の再確認に必要な被扶養者状況リストを事業所ではなく、社会保険労務士に送付を希望する場合に、事業主から同意書を得る代わりに社会保険労務士が協会けんぽに提出する誓約書の様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要

WORDWord形式 shoshiki483.doc(35KB)
pdfPDF形式 shoshiki483.pdf(4KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この誓約書の作成にあたっては、下記の内容について誓約することになります。

①受託事業所から事前に承諾を得ていること

②社会保険労務士あてに直接送付することについて、受託事業所と何らかの理由によりトラブルとなった場合、協会けんぽは一切責任がないこと

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

小濱道博氏による「介護施設における経営計画の策定ポイント」セミナー 東京・大阪・福岡受付開始

小濱道博氏 株式会社名南経営および日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)医業福祉部会第3期のスタートとして、介護施設専門の経営コンサルタントで有名な小濱介護経営事務所の代表である小濱道博氏を講師にお招きし、将来に向けてクライアントの介護施設が飛躍するために社会保険労務士やコンサルタントがどのようにアドバイスや支援をすべきか、業界の今後の動向を踏まえながら介護施設における経営計画の策定のポイントを多角的な視野によりお話いただきます。ぜひ、みなさまのご参加をお待ちしております。


社会保険労務士・コンサルタントが知っておきたい
介護施設における経営計画の策定ポイント(基礎編)
講師:小濱介護経営事務所 代表 小濱道博氏


1.介護施設における経営数字の基礎的考え方
2.介護施設の今後の行方
3.介護施設の経営計画策定の基礎
4.介護施設が抱える経営課題

[日時および会場]
(1)東京会場
2012年6月1日(金)午後1時30分~午後4時30分
 KFC Hall&Rooms Room101~102(両国)
(2)大阪会場
2012年6月18日(月)午後1時30分~午後4時30分
 エル・おおさか 7階709会議室(天満橋)
(3)福岡会場
2012年6月19日(火)午後1時30分~午後4時30分
 名南経営福岡事務所 セミナールーム(博多)

[受講費用]
(1)一般
 21,000円/人
(2)LCG医業福祉部会会員の方
 特別会員2名様まで・正会員1名様 無料  準会員 8,400円/人
(3)LCG部会員以外の方および医業福祉部会会員上記人数以降
 特別会員 4,200円  正会員 8,400円  準会員 15,750円/人
※すべて税込み

[申し込み]
 本セミナーのお申し込みは以下よりお願いします。なお、LCG会員のみなさんは会員専用サイトMyKomonよりお申し込みをお願いします。
http://www.lcgjapan.com/sr/seminar/1206kohama.html

(大津章敬

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

早朝の自主出勤や朝礼など労働時間の範囲についてどう考えればよいですか?

 服部印刷には毎朝、非常に早い時間に出勤する者がおり、宮田部長はその労働時間の扱いについて頭を悩ましていた。


宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。今日の一つ相談に乗って頂きたいことがあるのですが。
大熊社労士:
 はい、どのようなことでしたでしょうか?
宮田部長宮田部長:
 実は製造部の社員のことなのですが、満員電車が嫌いということで毎朝、始業時間よりも1時間以上も早く出社しているのです。本人は特に悪気もなく、単純に空いた電車で出社し、ゆっくり仕事の準備をしたいということのようなのですが、会社としてはこれが法的に労働時間として認識されたら大変なことになると心配しているのです。大熊先生、これは労働時間に該当することもあるのでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、どこの職場にもそのような方はいたりしますね。基本的には本人都合で出勤していますし、特に仕事をしている訳ではないようですから、基本的には労働時間ではないということでよろしいかと思います。それではここで労働時間の定義についてお話ししておきましょう。そもそも労働基準法においては労働時準法の定義は明確にされていません。
宮田部長:
 そうなんですか?それは意外です。
大熊社労士:
 はい、労働基準法では、その第32条で「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない」と規定されているのですが、労働時間の定義づけはしていないのです。それでは実際の労働時間の定義はどこでされているのかと言えば、実務上は2000年3月9日の三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決によっているのです。そこでは、そもそも労働時間というのは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるもの」とされています。
宮田部長:
 なるほど、使用者の指揮命令下に置かれている時間ということですね。
大熊社労士:
 はい、この定義に基づき、今回の事例を考えると、本人は会社の指示を受けて早朝出勤している訳ではなく、あくまでも個人の都合により出勤しています。よって基本的には労働時間には該当しません。
宮田部長:
 なるほど。ただ、先ほどから「基本的には」という言葉が気になるのですか…。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですよね。基本的にはとお話ししているのは、労働時間として認定されてしまう場合もあり得るからなのです。例えば、その時間に本人が実質的に仕事をしており、会社もその状況を黙認しているような場合には、実質的に指揮命令下にあるとして、労働時間認定される恐れは残ります。よって、リスク管理の観点からは、今回のように個人の都合で早朝に出勤したり、業務終了後に無暗に職場に残っているような状況は避けた方が良いのは間違いないでしょう。つまり早朝出勤や業務外での居残りは禁止するということですね。
宮田部長:
 なるほど、もっとも今回のケースは特に揉めるような状況ではないと思いますので、社長と対応を検討してみます。
大熊社労士:
 そうですね。御社であれば、実質的にはそのような対応でよろしいかと思います。ちなみに労働時間の範囲については、研修や朝礼の時間なども問題になることが多いのですが、この判断も先ほどの使用者の指揮命令下に置かれているか否かを押さえておくと、困りませんね。
宮田部長:
 つまり、使用者の指揮命令下だから業務命令で参加させる研修や朝礼は労働時間であって、自由参加であれば労働時間ではないということですね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。しかし、形式的には自由参加であっても実質的にはそうではないというものはやはり労働時間となってしまう可能性が高いでしょう。例えば、その参加率が人事評価の対象になっているであるとか、参加しなかった場合には叱責を受けるといった場合がその典型です。
宮田部長:
 なるほど、よく分かりました。ありがとうございました。

>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は労働時間の範囲についての考え方について取り上げてみました。労働基準法に労働時間の定義がないことは意外に感じられたのではないかと思います。実務上は本文中でも引用した三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決で示された「使用者の指揮命令下に置かれている時間」という基準が労働時間の基本定義とされています。労働時間に該当するか否かは様々な場合がありますが、この定義を押さえておけば、基本的にはその判断ができるのではないかと思います


関連blog記事
2012年3月5日「遅刻をした日の残業時間に割増賃金の支払いは必要ですか?」
https://roumu.com/archives/65547541.html
2012年2月27日「36協定の特別条項の回数管理は従業員個人単位でよいのですか?」
https://roumu.com/archives/65546389.html

(大津章敬)

当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

中国人事管理の先を読む!第31回「上海市最低賃金の調整」

中国人事管理の先を読む! 上海市人民政府が2012年2月28日、本年の最低賃金の引き上げを発表しました。調整は4月1日からで、現行の1280元から1450元まで引き上げられることになります。以下、通知の一部を抜粋します。

2012年4月1日から、上海市最低賃金基準は1280元/月から1450元/月に調整。最低時給基準は、11元から12.5元に調整。
今回の調整は、1993年に最低賃金制度を設けてから19回目であり、労働者の合法的利益の保護を目的としている。
最低賃金には、「社会保険料(個人負担分)」「住宅積立金(同)」「残業手当」「中・夜班手当」「高・低温手当」「有毒有害手当等特殊作業環境下の手当」を含んではならない。

 小生は当コラムの今年年初の回で「2012年中国労務トピックス3つの予測」と題し、本年の上海市の最低賃金が1460元まで引き上げられると予測しましたが、概ね近い線に調整されることになりました。170元、13%強の上昇です。

 従業員の最低賃金は4月給与からの調整になりますが、4月にはさらに社会保険料の改定があります。3月に昨年度の上海市の平均賃金の発表がありますので、その数値を待って、社会保険料の基数の決定、従業員の昨年度1カ月間の平均賃金の計算、社会保険料の確定という手続きを行い、新しい社会保険料を納付しなくてはなりません。

 今回の通知にもありますように、最低賃金には、以下のものを含んではいけません。
□ 社会保険料(個人負担分)
□ 住宅積立金(同)
□ 残業手当
□ 中・夜班手当
□ 高・低温手当
□ 有毒有害手当等特殊作業環境下の手当

 この規定は、毎年発表される通知に同じ文言で書かれているわけですが、このように最低賃金に何を含んではならないかを明確に書いているのは、実は上海市、北京市と一部の地域だけで、多くの地域では最低賃金の定義がなされていません。

 上海市では社会保険料や住宅積立金の個人負担分を最低賃金に含めてはならないと規定されているため、これらを上乗せした場合、少なくとも最低賃金の1.2倍程度が支給すべき賃金の下限となってくるわけです。

 日系企業の中にはこの規定を知らず、労務工(ワーカー)の賃金を常に最低賃金に合わせているところも多いのですが、実際は違法な状態です。賃金調整には十分な知識と注意が必要と言えるでしょう。


 参考リンク
ビジネスフリーペーパー「Bizpresso」概要
http://bizpresso.net/about


(清原学)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

2月6日に改正された両立支援制度の評価尺度「両立指標」

両立指標 育児休業制度の充実など、現在の急速な少子高齢化の下において、仕事と家庭の両立は非常に重要な取り組みとなっています。こうした背景から厚生労働省では、平成15年に仕事と家庭を両立しやすい雇用環境の自主的な整備を進めるための「両立指標に関する指針」を策定し、周知を進めてきました。

 この指針では、企業が両立支援対策の進展度合いや不足している取組を自ら点検、評価できるものとなっています。今回、この指針が2月6日に改正されました。改正後の指針では63問の設問に答えることにより、自社の「仕事と家庭の両立のしやすさ」が客観的に評価できるようなっています。設問の例としては「過去1年間の法定時間外労働は、企業全体で従業員一人当たり平均して年何時間ですか」という労働時間に関するものや、「育児休業取得後に管理職となった従業員はいますか」という人事に関するものまで様々であり、設問ごとに配点が決まっています。これで定期的に採点することにより、経時的な変化が把握でき、目標値を設定し達成状況を評価することもできるようになっています。

 また、厚生労働省が運営する「両立診断サイト」では、自社の両立支援制度を診断し、分野間の得点率のバランスを視覚的に把握できるほか、同地域、同業種、同規模等の企業と比較ができ、自社の両立支援制度の整備状況や利用状況等を把握できるものとなっています。両立支援に対しては、労働者の希望と企業で支援できることを調整しながら整備を進めることが実現可能な制度を作ることとなるでしょう。指針も参考にしながら、多くの労働者がキャリアを築いていけるような支援をしていくことが企業には求められているのでしょう。

「両立診断サイト」はこちら
https://www.ryouritsu.jp/ryouritsushihyou/pages/about_ryouritsu_index


関連blog記事
2012年2月28日「企業における女性コア人材の増加と今後求められる意識変革」
https://roumu.com
/archives/51914138.html

参考リンク
厚生労働省「両立指標に関する指針(平成24年2月6日改正)」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pdf/shishin.pdf

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

facebook最新情報の速報は「労務ドットコムfacebookページ」にて提供しています。いますぐ「いいね!」」をクリック。
http://www.facebook.com/roumu

当ブログの記事の無断転載を固く禁じます。

同意書(被扶養者状況リストの送付)

shoshiki481 被扶養者資格の再確認に必要な被扶養者状況リストを事業所ではなく、社会保険労務士に送付を希望する場合に、事業主が社会保険労務士に渡し、社会保険労務士が協会けんぽに提出する同意書の様式(画像はクリックして拡大)です。

重要度:
官公庁への届出:要

WORDWord形式 shoshiki481.doc(33KB)
pdfPDF形式 shoshiki481.pdf(5KB)

[ワンポイントアドバイス]
 平成24年度においても平成22年度と同様に、健康保険被扶養者資格の再確認業務が実施されることになっており、この同意書を平成24年4月20日(金)までに協会けんぽ支部へ提出する必要があります。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

平成24年度より大きく変更される社会保険料率

 服部印刷への訪問準備をしていた大熊。そろそろ社会保険料率変更の情報を福島さんに伝えておかなければと思い、関連するパンフレットを持ち、出掛けることとした。


大熊社労士:
 こんにちは、福島さん。年度末から年度初めにかけて、何かとバタバタとする時季ですよね。
福島さん:
 はい、最近は入社式の準備やその後の懇親会の準備やらで忙しくしています。
大熊社労士大熊社労士:
 そういった手配業務は福島さんに集中してしまうので大変ですよね。さて、今日は給与計算実務に関連し、福島さんに気を付けて欲しい情報を持ってきました。
福島さん:
 ありがとうございます。どんなことですか?
大熊社労士:
 はい、1月にも予定ということでご案内した(2012年1月16日のブログ記事「平成24年度の社会保険料に変更はありますか?」を参照))のですが、社会保険料の変更がすべて決定しましたので、今日はそのご案内に伺いました。
宮田部長:
 1月には「予定」と仰っていたものですね。
大熊社労士:
 はい、そうです、その情報です。あのときに予定されていたものはすべて決定しました。健康保険料率、介護保険料率、雇用保険料率、労災保険率の順番で見ていくことにしましょう。
福島さん:
 よろしくお願いします。
大熊社労士:
 まず協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率です。この2つは料率が引き上げられています。健康保険料率については、都道府県ごとで保険料率が定められていますが、3月分より遂に9.50%から10.00%へと引き上げになりました。
服部社長服部社長:
 予定通りの引き上げなのですね。遂に二桁突入とは、企業の負担として大きいですね。
大熊社労士:
 その通りです。更に介護保険料率についても僅かですが、1.51%から1.55%へ上がりました。
福島さん:
 介護保険は2号被保険者である40歳から64歳までの社員が対象ですし、引き上げの率も僅かなので、まだよいのですが、健康保険料は社員から問い合わせがあるかも知れませんね。
大熊社労士:
 はい、そうですね。給与明細を配布する前に、お知らせをしておいた方が良さそうですね。ちなみに料額表はこちらです。御社は3月分の保険料を4月から控除しているので、変更するタイミングを間違えないようにしてくださいね。
福島さん:
 ありがとうございます。
大熊社労士:
 次に雇用保険料率ですが、こちらは引き下げとなりました。従業員である被保険者負担分は1,000分の1引き下げとなります。
宮田部長宮田部長:
 そうでしたね、こちらは引き下げになるということでしたね。ちなみにいつから適用されることになりますか?
大熊社労士:
 はい、雇用保険については4月分から変更になります。具体的にはこちらの料額表のようになりますよ。この雇用保険料率は法改正ではなく、あくまで雇用保険の財政状況等を勘案して決定される率であり、この料額表にある通り、平成24年度の料率とされています。
福島さん:
 雇用状況が更に悪化したりすると、また来年引き上げということもあり得るのですね。
大熊社労士:
 そうですね。さて、最後に労災保険率ですが、これも予定通りとなりました。労災保険率は、業種によって引き上げ・そのまま・引き下げと様々ですので、こちらの表で確認してくださいね。ちなみに全体としては下がる業種が多くあります。
福島照美福島さん:
 はい、確認してみますね。この労災保険率については、全額事業主負担ですから、給与計算には関係ありませんね。
大熊社労士:
 その通りです。来年度の年度更新の際の概算保険料を計算で確認することになりますね。
福島さん:
 申告書には率が印刷されてくるので心配ないとは思いますが、気にしておきますね。ありがとうございました。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]

大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今日は平成24年度の社会保険料率の決定についてお知らせしました。これほど多くの社会保険料について料率が変更になることも珍しいかと思います。その変更タイミングを間違えずに的確に処理を進めていきましょう。


関連blog記事
2012年1月16日「平成24年度の社会保険料に変更はありますか?」
https://roumu.com/archives/65538856.html
2012年2月15日「厚労省資料に見るパートタイマーへの社会保険適用拡大の検討状況」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51911250.html
2012年2月14日「平成24年3月分からの健康保険・厚生年金保険保険料額表 ダウンロード開始!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51910976.html

(宮武貴美)

当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。