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新型コロナウイルスに罹患した社員が出た際の賃金はどのようにすればよいですか?

 新型コロナウイルスの問題の深刻化を心配している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!服部社長、マスクをされていらっしゃるのですね?
服部社長服部社長
 あまり意味がないというような話もありますが、いくらかは効果もあるかと思い、先日よりするようにしています。大熊さんはされていないのですか?
大熊社労士
 いえいえ、御社の敷地に入る直前までしていましたよ。私もいろいろな方にお会いすることが仕事ですから、結構中止しています。
福島さん
 そうですよね。大熊先生の場合は、セミナーの講師をされることも多いですし、新幹線などでの移動も多いですからね。本当に心配ですよね。
大熊社労士
 そうなのです。先日、ある著名な産業医の方に新型コロナウイルス対策で一番重要なことは何ですか?と質問したのですが、正しい手洗いを徹底することとの回答でした。
福島照美福島さん
 やはりそうなのですね。そう思って、先日お手洗いに厚生労働省の正しい手洗いに関するチラシを貼っておきました。だから宮田部長も手洗いの徹底をお願いしますね!
宮田部長宮田部長
 そうだね。なんといっても私はウイルスに弱いからね。毎年のようにインフルエンザにも罹患してしまっているし…。でも今回は万が一のことがあると会社にも本当に迷惑を掛けてしまうので、今回は本当に気をつけます。
服部社長
 よろしく頼みます。さて、現実的な問題として、実際に新型コロナウイルスに罹患した社員が発生した場合、その社員は隔離され、休業することになると思うのですが、その場合の賃金はどうすればよいのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士
 はい。この問題に関して押さえておく必要があるのが労働基準法26条です。この条文では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。よってこの問題を考えるにあたっては、その休業が「使用者の責に帰すべき事由」によるものかを検討することになります。
服部社長
 新型コロナウイルスに罹患した場合には、そもそも就業できない訳ですから「使用者の責に帰すべき事由」には当たりませんよね?
大熊社労士
 はい、通常はそのような判断になるでしょう。よって賃金の支払いは不要と考えられます。問題は、本人が罹患しているがどうか分からない状況で休業させる場合ですね。
服部社長
 例えば濃厚接触などの場合ということですね。
大熊社労士
 そうですね。例えば保健所からの指示で隔離されたような場合には罹患した場合と同様に考えればよいと思いますが、そこまでではない場合は問題になりますね。例えば、会社が予防的な措置で休業を命じた場合には「使用者の責に帰すべき事由」によると考えられますので、休業手当の支払いが必要になるでしょう。もっとも私見にはなりますが、今回の目安となっている37.5度の熱が出ているような場合には、そもそも労務提供ができない状態であるのではないかと考えています。ですから、この状態で休業させる場合にそれが「使用者の責に帰すべき事由」に当たるのかはいくらかの疑義が残るのではないかと思います。このようなケースが出た場合にはご本人と話し合って対応を決定してもよいかも知れません。
服部社長
 なるほど、そのように考えるのですね。よく分かりました。
大熊社労士
 今回の新型コロナウイルスは想定以上の社会的影響が出てきていますので、まずは手洗い、うがいなどの予防対策を徹底していきましょう。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は新型コロナウイルスでよく問題になる休業手当について取り上げました。日本ではまだまだ罹患者が増加しており、まだ終息が見えない状況にありますので、まずは予防を徹底すると共に、いざというときに混乱することがないように厚生労働省のホームページなどで基本情報を確認するようにしておきましょう。


参考リンク
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

(大津章敬)

様式第1号 一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法単独型)

これは、令和2年(2020年)4月1日より施行される改正女性活躍推進法に対応した、様式第1号 一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法単独型)です。令和2年(2020年)4月1日以降が始期となる行動計画から対象となります。

※様式第2号 一般事業主行動計画策定・変更届(女性新法・次世代法一体型)はこちら

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:あり

Word形式 shoshiki843.doc
PDF形式 shoshiki843.pdf

[ワンポイントアドバイス]

令和2年(2020年)4月1日に改正女性活躍推進法が施行されることに伴い、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、令和2年4月1日以降が始期となる一般事業主行動計画を作成する際、数値目標を「2つ以上」定める必要があること、また女性活躍に関する情報公表項目も「2つ以上」へと変更となります。この改正とともに、101人以上300人以下の企業についても、2022年4月1日から、一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象となりますので、併せて周知・対応等、ご実施ください。

■関連情報 2020年1月28日記事「女性活躍推進法が改正 2020年6月以降 行動計画・公表項目が追加に


参考リンク
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/AA10K-0000091025.html

(菊地利永子)

パワハラ研修ではリスクを強調するだけでは不十分です

 最近は暖かい日々が続いていたが、今週はまた冬の気候に戻るということで、再び冬用のコートで出掛けた大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。最近は暖かい日が続いていましたが、今週はまた寒くなるようですね。西日本で大雪だとか。
福島照美福島さん
 そうなのですね。今年は本当に暖冬でしたからね。年末に北陸に旅行に行ったとき、全然雪がなくってびっくりしましたから。雪が前提の観光地は大変ですね。それに加えて新型肺炎の問題が出てますからね。
大熊社労士
 本当にそうですね。さてさて、今日は宮田部長からご相談があると伺っていますが。
宮田部長
 はいはい、そうなのです。早速いいですか?
大熊社労士
 もちろんどうぞ。
宮田部長宮田部長
 実はパワハラ研修を行おうと考えているのです。ちょうど法改正もあるじゃないですか。その対応としても必要でしょうし、そもそもたまに社員から上司の当たりがきつくて、パワハラではないかといった話もたまにあるものですから。
大熊社労士
 なるほど。まあ、そうでしょうね。最近はそのような話はどこの会社でも多いですから。
宮田部長
 そこで研修の内容をどのようにしたらよいかと考えていまして。
大熊社労士大熊社労士
 なるほど。まずパワハラの研修資料については厚生労働省の「明るい職場応援団」でもダウンロードできますので、それを見ていただければと思いまますが、定番の内容としては、パワハラの定義と6つの行為類型を確認した上で、そうした問題が起きた場合の影響、そして各種裁判例で問題になっている点などを伝えるといったところになるのでしょう。あとは時間に余裕があればケーススタディに基づいて、適正な指導の仕方などをディスカッションするといったところでしょうか。
宮田部長
 そのような感じなのですね。当社の過去の事例では、本人が自分の行為をパワハラだと認識していないということが大きな問題だなと感じました。
大熊社労士
 それは他社でも同様ですね。基本的にはプレイヤーとしての実績も豊富で、自信のある方が加害者になることが多いですからね。良かれと思って部下に要求をしたり、指導をすることが行き過ぎてしまうということが多いのではないかと思います。ですから、私が研修を行う際には、その点を伝え、まずは自らの言動がパワハラに当たらないかを振り返る癖付けをして欲しいとお話しています。また管理者同士で注意しあうような関係も重要になりますね。
服部社長
 本当にそうですよね。宮田部長は覚えていると思いますが、私の部下への指導がパワハラだとして、当時の総務部長に相談が入ったことがあるのです。ただ私としてはそんな意識はまったくなく、純粋にその社員に成長して欲しいと思っていただけでした。
大熊社労士
 服部社長でもそのようなことがおありだったのですね。でもそれが本質だと思うのです。もちろん一部には人間性に問題があってハラスメントを行うような者もいるかも知れませんが、多くの場合はいまの社長のケースのような感じではないかと思っています。
服部社長服部社長
 そうかも知れないですね。ハラスメントは上司が部下に行うものだけではないので、いろいろなパターンがあると思いますが、いずれにしても安心して働けないような職場にはしたくないので、しっかりと対応したいと思っています。
大熊社労士
 そうですね。その方針を明確に社員に伝えていただくことは社長の大きな仕事の一つです。あと研修でもう一つ社員のみなさんに伝えていただきたいことがあります。パワハラが難しいのは、適正な指導との線引きが難しいことです。その基本的な考えは伝えるとしても、管理職からすれば下手なことを言って、パワハラであるとして問題になったらかなわないと思う可能性があります。もしパワハラの指摘をうけないようにしようとすれば管理職はどうすればよいと思いますか?
福島さん
 部下に問題行動があったとしても指摘しなければ、少なくともパワハラとは言われませんよね。
大熊社労士
 そうなのです。パワハラとの指摘を受けないようにしようとして、本来行うべき指導を放棄してしまったら、組織としての統制は失われてしまいます。それだけは絶対に避けなければなりません。
服部社長
 確かに。
大熊社労士
 ですから社長にお願いしたいのは、研修の中で説明する適正な指導を守っていながらも、ハラスメントの指摘を受けた場合には、事実確認を行い、問題がなければ、会社として管理職を守ると宣言していただきたいのです。だから、自信をもって部下と向き合って欲しいと伝えて頂きたいのです。
服部社長
 そうですね。分かりました。今年度中には一度研修を行おうと考えているので、内容等についてはまた相談に乗ってください。
大熊社労士
 承知しました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。労働施策総合推進法の改正により、事業主は、職場におけるパワーハラスメント防止のために、相談体制の整備などの雇用管理上必要な措置を講ずることが、2020年6月1日から義務になります(中小企業は2022年3月31日までは努力義務)。事業業の責務として、職場におけるパワハラを行ってはならないこと、その他職場におけるパワハラ問題に対する従業員の関心と理解を深め、当該従業員Bが他の従業員等に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他必要な配慮をするよう努めなければならないとされています。それもあって今後、管理者等を対象とした研修を実施する企業も多いのではないかと思います。その際、リスクを話すだけの研修では、副作用を生み出す恐れがあります。法的な問題については当然に伝えながらも、前向きに部下と向き合うことができるような内容を工夫していきましょう。


関連記事
2020年1月27日「パワハラ防止措置義務化 改正法対応のパンフレット・規定例」
https://roumu.com/archives/100648.html
2020年1月24日「事業主の皆様へ「職場におけるハラスメント防止対策について」」
https://roumu.com/archives/100639.html
2020年1月24日「妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、セクシュアルハラスメント及びパワーハラスメントの防止に関する規定」
https://roumu.com/archives/100643.html

参考リンク
厚生労働省「明るい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

(大津章敬)

採用担当者が今後10年間に重要性が高まると考える採用・人事施策

 中長期的に労働力人口が減少する時代に突入し、採用・人事施策の重要性が増しています。実際の採用担当者は今後、どのようなことが重要性を増すと考えているのでしょうか。本日はマイナビの「人材ニーズ調査(2019年12月調査実施)」より、2030年までの間で、重要性が高まると考えられる採用・人事施策について見てみることにしましょう。なお、この調査は、人材採用に関して、一定の決裁権を持つ採用担当者を対象に実施されたもので、回答数は2,077名(企業規模:300人未満 1,172名・300~999人 380名・1,000人以上 525名)となっています。

 これによれば、2030年までの間で、重要性が高まると考えられる採用・人事施策の回答は以下のようになっています。
50.2% 新卒採用を中心とした若手人材の確保(第2新卒含む)
49.3% 中途採用を中心とした中堅人材の確保(主任~マネージャークラスを想定)
44.4% ワークライフバランスへの取り組み
39.4% 業績成果を重視した人事評価
38.1% 従業員のキャリア開発支援
33.1% ミドルシニア層の活用
32.6% 非正社員からの正社員登用
29.3% 従業員の副業・複業・兼業を容認
28.5% 専門的な知識をもつプロフェッショナル人材とのアドバイザリー契約や顧問契約
27.3% 限定正社員(転勤なし勤務地限定職種労働時間の条件あり等)の活用
25.7% 外国人人材の活用
24.9% ジョブ型正社員(職務の範囲などを明示した労働契約)の導入
22.6% 一律でない新卒初任給制度
21.4% ギグワーカー(空き時間を利用して自由に働くひと)の活用
15.2% 採用代行(RPO)の利用
13.9% HR Techの利用

 採用担当者の調査ですので、人材確保が上位に来ていますが、それ以外にも重要性が高まると考えられている事項が多くみられます。今後の人事施策検討の材料にされてはいかがでしょうか。


参考リンク
マイナビ「マイナビ人材ニーズ調査(2019年12月調査実施)」
https://saponet.mynavi.jp/release/enterprise/needs/recruitment_needs_2019/

(大津章敬)

試用期間の管理はどのように行えばよいのですか?

 今日はマスク姿で服部印刷に向かう大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。今朝も寒いですね。
服部社長服部社長
 そうですね。この週末は関西の方で雪が降ったとか。やっと寒くなってきた感じですね。半面、新型肺炎の不安は大きくなっていますが。
大熊社労士
 新型肺炎は対策が取られてからまもなく2週間ですから、そろそろ収束の兆しが見えればいいですけどね。あまり意味がないという話もあるようですが、私も一応、マスクをするようにしています。
福島さん
 昨夜も横浜のクルーズ船のニュースをテレビで見ましたが、船室に2週間隔離というのは大変ですね。まだ1週間以上あるようですからね。不安でしょうね。
宮田部長宮田部長
 そうだねぇ。2週間以上のクルーズをした上で、いよいよ帰国と思ったらそこからウイルスに汚染されたような環境で更に2週間だからね。高齢者の方も多いようだし、大変だと思う。早く解決すればいいね。
大熊社労士
 本当にそう思いますね。さてさて、今日は福島さんからご相談があると聞いていますが。
福島さん
 そうそう、そうなんです。当社では試用期間を定めているのですが、他社の運用状況をお聞きしたいと思いまして。
大熊社労士
 運用状況ですか?具体的にはどのようなことでしょうか?
福島さん
 はい、当社では就業規則において試用期間は入社から3か月間を試用期間としています。
大熊社労士
 そうですね。3か月というのは世間でも一番多い設定だと思いますよ。
福島照美福島さん
 そうなのですね。安心しました。ありがとうございました。特に心配しているのが、その試用期間の管理を特に行っていないことなのです。配属した現場から問題があれば相談がありますので、それが試用期間内であれば、その時点で試用期間を延長してもう少し状況を確認したり、場合によっては試用期間満了をもって契約解除ということもあり得ます。でも、総務側では特に管理を行っていないのです。それで大丈夫なのかなと心配になりまして。
大熊社労士
 というと、配属したら特に試用期間の管理は行っていないということですか?
福島さん
 そのとおりです。
大熊社労士
 そうでしたか。気が付いたら試用期間は終了していたということがあり得るということですよね。それは問題ですね。
福島さん
 やっぱり、そうですよね。他社ではどのような管理を行っているのですか?
大熊社労士
 現実的な話をすれば、他社でも御社と同様の状況になっていることが多いとは思います。しかし、試用期間を設定している以上はそれをしっかり活用しなければ意味がありません。「問題社員」という言葉はあまり好きではありませんが、ここでは便宜的にその言葉を使います。問題社員の存在は、単にその社員の問題ではなく、組織力を大きく低下させることがより大きな問題です。よって、そうした問題社員を採用面接で見抜くというのがベストですが、現実的にはなかなか難しいものです。
服部社長
 そうですね。面接では見抜けない。それが私の考えです。だとすれば、入社後にどのようなリスク管理をするのか。
大熊社労士大熊社労士
 そうなのです。その一つが試用期間です。試用期間というのは法的には解約権留保付きの労働契約が締結されているとされる期間です。つまり、職務遂行上の問題があった場合には解約権を行使するというオプションが付いた労働契約なのです。だからといって理由もなく解約権を行使できるということではありませんが、通常の解雇に比べれば問題は少ないということになります。
福島さん
 そういうことなのですね。だとすれば、気づいたら3か月が経過していたということではいけませんね。
大熊社労士
 そうですね。よって配属したらまず1週間くらいのタイミングで現場から業務状況の報告をさせ、その後も1か月経過後、2カ月経過後などで報告をさせ、問題があるようであれば面談を行い、指導するなどの対応を行っておくことが重要です。
福島さん
 そうですね。承知しました。早速、改善してみます。ありがとうございました。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は試用期間の運用について取り上げてみました。非常に基本的な事項ですが、試用期間は就業規則や労働契約書に定められているだけで、その管理は行っていないという企業が多いのが実態です。これでは無用なトラブルを防ぐことはできません。4月に新たな社員を迎える会社も多いでしょう。今後は現場と連携しての試用期間の管理を行っていきましょう。

(大津章敬)

労災保険の受任者払に係る委任状

これは、従業員が労災保険から受け取る給付金を、先に会社が従業員に立替払いを行い、後日支給される休業補償給付金などを自社の口座に振り込んでもらう制度(受任者払い制度)を利用する際に、管轄の労働基準監督署へ提出が必要となる労災被災者本人から事業主への委任状の書式です。

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:あり

Word形式 shoshiki842.docx
PDF形式 shoshiki842.pdf

[ワンポイントアドバイス]

 通常、休業補償給付の申請を行ってから労災被災者本人の口座への入金までにおよそ1か月を要します。しかし、本制度を活用すれば、会社からすぐに本人口座に金銭を振り込むことができるので、従業員本人や家族の不安軽減につながります。

本様式は愛知県内の統一様式となります。委任状の様式に記載する必要事項については、提出前に一度管轄の労働基準監督署に確認するとよいでしょう。

(菊地利永子)

3月末までに5日の年次有給休暇を取得させなければならないのですか?

 早くも2月となった。コロナウイルスの拡大が景気に与える影響が本当に心配になってきた大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!服部社長、マスク姿とは珍しいですね。コロナウイルス対策ですか?
服部社長服部社長
 えぇ。まあそれも兼ねているのかも知れませんが、少し風邪気味でたまにくしゃみが出るのですよ。インフルエンザでも新型インフルエンザでもないと思うのですが、さすがに周囲が気にするかなと思いまして。
大熊社労士大熊社労士
 なるほど、そういうことですね。それにしてもこの問題はなかなか収束が見えないので、当分続きそうですね。手洗いなどの基本の徹底が最重要とのことですので、社内に通知を出すなど対応をされるとよいと思います。
福島さん
 ありがとうございます。先週末に社内の掲示板でうがい、手洗いの徹底と、マスクの会社支給の案内を出したところです。通常のインフルエンザの対策として、いずれにしても準備を進めていました。
大熊社労士
 なるほど、さすがですね。そういえば宮田部長、今日はなにかご相談があるとか。
宮田部長
 はい、そうなのです。なにかと言えば、例の年次有給休暇の5日取得義務の件なのです。
大熊社労士
 どのようなことでしょうか?
宮田部長宮田部長
 先日、ネットを見ていたところ、「年次有給休暇は3月末までに少なくとも5日を取得させなければならない」と書かれていまして。だとすれば、もう時間がないなと思ったのです。
大熊社労士
 あらら、そんな記事が出ていましたか。それは間違っています。今回の年次有給休暇の取得義務は、10日以上の年次有給休暇が付与される従業員を対象として、付与日から1年以内に少なくも5日を取得させなければならないというものです。あくまでも取得日から1年以内ですから、たまたま改正法施行日の2019年4月1日に年休が付与される人だとすれば、2020年3月31日までに5日の取得をさせる必要がありますが、それ以外の方については違います。
福島照美福島さん
 当社の場合、法律通り入社して6カ月の時点で年休を付与しています。ですから、4月1日入社の従業員の年休取得日は10月1日としています。この場合、2019年10月1日に付与された年休については、その1年後である2020年9月30日までに取得させればよいということですよね?
大熊社労士
 おっしゃるとおりです。
宮田部長
 やはり、そうですよね。ネットでそのように書いてあったので、焦ってしまって、今日確認しようと思っていたのです。
大熊社労士
 はい、大丈夫ですよ。ちなみに1月に取得状況を確認することにされていたと思いますが、状況はいかがでしょうか?
福島さん
 大半の社員は問題なく取得が進んでいるのですが、管理職と営業の社員の取得が遅れています。対策としては、付与日から半年経過したところから、取得が進んでいない社員について連絡し、取得を促すようにしています。みなさん認識はしてくれているので、たぶん問題ないとは思います。
大熊社労士
 なるほど、しっかり管理されているようで安心しました。そうそう、この件に関するトピックですが、労働基準監督署の調査が行われる際に連絡の書面が来ますが、その中に当日の必要資料が書かれているのはご存じではないかと思います。その中に年次有給休暇管理簿が追加されてきていますので、今後は管理簿に基づいて、取得状況の確認が行われることになりそうです。改めて、管理簿の作成と取得状況の確認を進めるようにしておいてくださいね。
宮田部長
 承知しました。ありがとうございます。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は年次有給休暇取得義務化に関する事項を取り上げました。非常に基本的な内容ですが、2月となり、このテーマに関する記事などをネット等で見かけることが増えてきています。ネットの情報は玉石混交ですので、結構間違った内容も多く見られますので、改めて取り上げました。人手不足が深刻な職場も多いことから、なかなか5日の取得ができていない企業も多いと耳にすることがありますが、半日年休なども上手に活用して、取得を進めるようにしましょう。

[関連条文]
労働基準法39条7項
 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が十労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち五日については、基準日(継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から一年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第一項から第三項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

(大津章敬)

服部英治「医業福祉人事コンサルタント養成講座」東京・大阪・福岡で開催

 医療機関や福祉施設の人事労務管理は、看護師など一定の資格を保有していなければならない者を確保し、更には定着させなければならないといった特殊性があり、一般企業における人事労務管理とは押さえておくべきポイントが異なります。

 そこで今回、「医業福祉人事コンサルタント養成講座」として、これまでのコンサルティング経験を通じて得たノウハウを体系的にアウトプットし、医療機関や福祉施設における人事労務管理のポイントをお話します。特に最近の医療福祉業界では、医師の働き方改革によるタスクシフティングや高齢者雇用等の経営課題が山積で、我々社会保険労務士がコンサルティング関与するケースが急増しています。そうした背景を受けて今回の講座では、様々な角度によるコンサルティング提案ノウハウを習得できる内容で実施します。

 医療機関・福祉施設の顧問先の拡大、あるいは顧問先へのワンランク上のアドバイス提供にあたって必聴の内容となっておりますので、この機会に是非、ご参加下さい。


LCG医業福祉部会主催セミナー 第42回
2020年最新版!医業福祉人事コンサルタント養成講座
~増加する医療福祉業界へのコンサルティング提案ノウハウ~
講師:株式会社名南経営コンサルティング 人事コンサルタント 服部英治


(1)最近の医療機関・福祉施設の動向と労務管理2020年度版
(2)一般企業とはポイントが大きく異なる人事制度の考え方
(3)職員のモチベーション管理と人事評価制度構築のポイント
(4)医療機関への人事労務提案のポイントと継続的関与先確保ノウハウ
(5)医師の働き方改革に伴うタスクシフティングと人事労務管理 
(6)増加する高齢者雇用の人事制度 
(7)人事労務相談顧問の関わり方
(8)他の社労士との差別化提案法
(9)医療機関・福祉施設の採用改善提案と支援
※全体的には昨年の内容を80%程度入替える予定です。
※本セミナーはLCG医業福祉部会メンバー以外のみなさんもご参加いただけます。

[開催会場および日時]
(1)東京会場
2020年3月6日(金)午後1時30分~午後4時30分
 名南経営コンサルティング東京事務所 セミナールーム(神保町)
(2)大阪会場
2020年3月16日(月)午後1時30分~午後4時30分
 エルおおさか 709号室 (天満橋)
(3)福岡会場
2020年2月28日(金)午後1時30分~午後4時30分
 名南経営コンサルティング福岡事務所 セミナールーム(博多)

[受講料(税別)]
一般 20,000円
LCG医業福祉部会会員の方
 特別会員 2名様まで無料 正会員 1名様無料 準会員 8,000円
LCG部会員以外の方および医業福祉部会会員 上記人数以降
 特別会員 4,000円 正会員 8,000円 準会員 12,000円

[詳細およびお申し込み]
 以下よりお願いします。なお、LCGメンバーのみなさんは会員専用サイト「MyKomon」よりお申し込みをお願いします。
https://www.lcgjapan.com/seminar/sr-igyou41/

ハラスメント相談・苦情への対応の流れ(例)

ハラスメント相談・苦情への対応の流れ(例)

これは、令和2年6月1日から、職場におけるパワーハラスメント対策が義務(中小企業は令和4年3月31日まで努力義務)となることに伴い、厚生労働省秋田労働局が発行した「ハラスメント相談・苦情への対応の流れ(例)」です。

重要度:★★★
官公庁への届出:なし

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki841.doc(49KB)
pdfPDF形式 
sohshiki841.pdf(116KB)

[ワンポイントアドバイス]

厚生労働省は、事業主が講ずるべきパワーハラスメントの予防・解決対策として7つのポイントを示しており、その一つである「社内での周知・啓発」として、組織の方針(ルール)や取組(相談窓口など)について書面等で周知に取り組むよう求めています。顧問先の実態に合わせて加工する等により本書式をご活用ください。

参考リンク
厚生労働省 秋田労働局 「令和2年6月1日から、職場におけるパワーハラスメント対策が義務になります!(中小企業は令和4年3月31日まで努力義務)」https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/newpage_00171.html

(菊地 利永子)

高年齢雇用継続給付が削減されるのですか?

 気づけば1月も最終週。時の経過の早さを実感する大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 大熊さん、おはようございます。今朝は寒いですな。それにしても新型コロナウイルスは大変なことになっているようですね。日本での発症はまだ少ないですが、こんな時代ですから、あっという間に問題は拡大していくのでしょうね。
大熊社労士
 そうですね。中国国内は大変なことになっているようですね。海外渡航禁止だけでなく、国内でも大幅な移動制限が行われているようですが、どこまで抑え込むことができるのか。心配ですね。
宮田部長宮田部長
 これから日本でもマスクが売り切れるのではないかと思って、この週末にたくさんマスクを買ってきましたけど、これが無駄になればよいなと思っています。社内では手洗いなどの徹底を改めて指示しようと思います。
大熊社労士
 そうですね。それがよいと思います。さて、今日は先週に引き続き、雇用保険関係の改正についてお話したいと思います。先日より通常国会が開幕していますが、この国会で改正雇用保険法案が審議されます。その中で、高年齢雇用継続給付の改正が盛り込まれています。
福島さん
 高年齢雇用継続給付というと、60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者の賃金が、60歳時点と比較して75%未満となった場合に支給される給付金ですよね。当社でも60歳以降は賃金がいくらか下がるので、受給している社員が数名います。
大熊社労士大熊社労士
 そうでしたね。実はこの高年齢雇用継続給付については過去にも何度も廃止の議論がありましたが、65歳までの雇用を定着させるという時期であったこともあって、ここまで存続してきました。ここに来て、60歳代前半の就業率がかなり高まったこと、また高年齢労働者も含め、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保が求められていくこと等を踏まえ、段階的に縮小するという方針となりました。
福島さん
 確かに70歳までの就業確保が求められる時代も近いですから、役割は終わったと言えるのかも知れませんね。具体的にはどのように変わるのですか?
大熊社労士
 予定通り法改正になればということではありますが、2025年4月1日より、以下の2点の改正が行われる見込みです。
(1)高年齢雇用継続基本給付金の支給率が15%から10%に引き下げられる。
(2)支給率が逓減する賃金低下率が61%から64%に引き上げられる。
福島照美福島さん
 なるほど。概ね5年後に、15%から10%に引き下げられるのですね。思ったよりもゆったりとしたペースだなという印象を受けました。
大熊社労士
 そうですね。私も同様の印象です。とはいえ、高齢者の賃金決定については、そもそも年金の支給開始年齢の引き上げが進められているところに、今回の雇用継続給付の削減が加わります。更には長澤運輸事件以降の均等待遇・均衡待遇(いわゆる同一労働同一賃金)の問題もあり、もっと言えば、70歳までの就業確保も進めていなかければなりません。あらゆる前提がすべて変わることになりますので、高齢者の雇用および賃金のあり方を見直す時期が来ていると思います。
服部社長
 そうですね。ここから数年でかなり環境が変わるようなので、それに対応していななければなりませんね。その頃には宮田部長も定年になりますしね。
宮田部長
 社長、そんな寂しいこと言わないで下さいよ。
大熊社労士
 宮田部長、ご自身のためにも今後の制度整備を進めていってくださいね。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回は改正雇用保険法による高年齢雇用継続給付の支給率引き下げについて取り上げました。この引き下げが行われる2025年は男性の年金支給開始年齢が65歳に引き上げられるタイミングとなります。この時期にあわせて様々な法改正が行われるものと予想されます。あと5年後ですが、継続して情報収集していきましょう。


関連記事
2020年1月20日「副業・兼業に関する雇用保険のルールが変わるのですか?」
https://roumu.com/archives/100585.html
2020年1月13日「雇用保険法改正案(2)高年齢雇用継続給付の引下げと離職票の支払基礎日数の考え方の変更」
https://roumu.com/archives/100456.html

参考リンク
厚生労働省「「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00004.html
厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158464.html

(大津章敬)