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なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由6「労働条件についての問題」

 本日は「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?」の連載の第7回をお届けしましょう。前回は職員の早期退職問題の7つの原因のうち、5つ目の患者(利用者)との関係についての問題を取り上げましたが、本日は6つ目の労働条件についての問題を解説したいと思います。



[職員の早期退職問題の7つの原因]
経営理念の浸透についての問題
職場の風土についての問題
組織のあり方についての問題
自分自身のキャリアアップについての問題
患者(利用者)との関係についての問題
労働条件についての問題
給与水準についての問題




 本日はこれらのうち、退職理由6「労働条件についての問題」について解説しましょう。
[退職の理由]
 隣の芝は青く見えるようで、働き始めて3年もすると自分の働いている施設の労働条件よりも近隣施設の労働条件や福利厚生などが良く見え、退職をしてしまう職員がいます。もちろん、実際に給与水準が極端に低かったり、その他のプラスαの処遇に差が生じていれば別ですが、通常は施設間の労働条件には大差があるものではありません。


 仮に自施設の給与水準よりも近隣のA法人の給与水準がやや高かったりしても、その後の昇給率や賞与支給額を考えると必ずしも差があるとはいえないこともあります。とはいえ、労働条件については職員にとって大きな関心事であることには変わりありませんので、少なくとも近隣の施設と遜色のない程度の労働条件の設定については、常に意識を払う必要があります。


[退職に繋がる主な原因例]
時間外労働や休日労働が非常に多い
年間の休日日数が少なく疲れが完全に取れない
年次有給休暇が十分に取得できない
時間外労働をした場合に割増賃金が支給されない
組織の統一的なルールとして明文化された就業規則が整備されていない 等


[定着に向けての回避策]
 職員を退職へと導かないために、労働条件は以下の3つのポイントで再検討する必要があります。
コンプライアンスを遵守する
 時間外労働に関する割増賃金の不支給等は、職員のモチベーションを低下させるのみでなく労働基準監督署による指導対象にもなります。労働基準監督署による指導を受ければ、過去に遡って最大2年分の割増賃金の支給が求められることがあり、不用意な支出により法人経営が不安定になることも懸念されます。そういった施設では、一部の業務がそもそも労働時間か否か判断が難しいことを理由に割増賃金を不支給としていることがありますが、これは労働時間の定義を明確にすることで問題の解決を行いたいものです。
パート職員を増やすなどして正職員の負担を軽減させる
 正職員の肉体的・精神的負担軽減のためにパート職員の採用を強化するなどの策を講じる必要があります。
労働条件は世間相場に合わせる
 極端に低い労働条件にならぬよう、賃金や年間休日数などについて、近隣施設とのバランスを取る必要があります。他の施設の情報は、ハローワーク(職業安定所)や各種求人誌から手に入れることができます。


 それでは次回は、退職理由7「給与水準についての問題」について取り上げます。



関連blog記事
2008年3月2日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由5「患者との関係」」
https://roumu.com
/archives/51263024.html

2008年2月24日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由4「職員自身のキャリアアップ」」
https://roumu.com
/archives/51263015.html

2008年1月19日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由3「組織のあり方」」
https://roumu.com
/archives/51226599.html

2008年1月4日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由2「職場の風土」」
https://roumu.com
/archives/51207562.html

2007年12月30日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?退職理由1「経営理念の浸透」」
https://roumu.com
/archives/51206101.html

2007年12月10日「なぜ看護師・介護士は3年で辞めるのか?その1」
https://roumu.com
/archives/51190709.html


(服部英治


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特定化学物質障害予防規則一部適用除外認定申請書

特定化学物質障害予防規則一部適用除外認定申請書 第二類物質の製造等に係る設備等について、特化則第四条及び第五条の適用除外認定を受けようとする場合に提出する様式のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署

[ダウンロード]
WORD
Word形式 namari03.doc(32KB)
PDFPDF形式 namari03.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 特定化学物質については、作業の記録(特化則38条の3)や特殊健康診断(特化則40条の2)、環境測定(特化則36条の3)の記録を
それぞれ30年間保存することになっています。

[関連法規]
特定化学物質障害予防規則 第6条
 前二条の規定は、作業場の空気中における第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの濃度が常態として有害な程度になるおそれがないと当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)が認定したときは、適用しない。
2 前項の規定による認定を受けようとする事業者は、特定化学物質障害予防規則一部適用除外認定申請書様式第一号に作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
3 所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、第一項の規定による認定をし、又は認定をしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該申請者に通知しなければならない。
4 第一項の規定による認定を受けた事業者は、第二項の申請書又は作業場の見取図に記載された事項を変更したときは、遅滞なく、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
5 所轄労働基準監督署長は、第一項の規定による認定をした作業場の空気中における第二類物質のガス、蒸気又は粉じんの濃度が同項の規定に適合すると認められなくなったときは、遅滞なく、当該認定を取り消すものとする。

労働安全衛生法 第22条
 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
1.原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
2.放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
3.計器監視、精密工作等の作業による健康障害
4.排気、排液又は残さい物による健康障害


関連blog記事
2008年4月17日「鉛業務一部適用除外認定事由変更報告」
https://roumu.com/archives/55037415.html
2008年4月16日「鉛業務一部適用除外認定申請」
https://roumu.com/archives/55037406.html

 

(福間みゆき)

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昇給を考える その2:ビジネスモデルに対応する賃金制度の構築

 前回、「労働(職種、能力、成果)」をどの階層へどの程度反映するか、雇用を引き留める(リテンション)色をどこまで出すか、の二つの要素のバランスが課題であるとした。


 は、よくいわれる「能力に応じた処遇の反映」として人事制度構築の中心となるところであるが、ここは基本的には経営方針及び各部門のミッション(存在意義)に沿った期待人材像(能力や行動、成果)を職種別階層別に落とし込んだ能力等級制度を敷くことになる。定義としては、等級の変更(昇格)は要求する仕事の次元の変化、昇給はその等級内部での習熟向上度合いの反映である。このと次のとのバランスでその企業の人事賃金制度のフレームを考える。なお、賞与は生活給的意味合いは残されているものの、基本的には短期の成果配分としての位置づけである。その等級に要求される期待人材像の要件を、各人に対して1年の具体的な目標やタスク(目標を含んだ期待と要求の事項)として落とし込んだ指標に対し、どの程度の結果であったか、を問うものが成果評価となり、賞与に反映される。


 は、年齢給に代表される年齢対応賃金や、勤続年数に対応する昇給全体のバランスをどのようにするかということになる。生活扶助手当面の是非も検討もする。ここはその職種のビジネスモデルに影響される。つまり、社内習熟の長期競争原理が有効な職種では雇用をできるだけ引き留める政策となる。この会社で一応は安心して人生設計ができると感じてもらえる制度を構築することになろう。大幅ではないが徐々に上がる基本賃金、比較的厚い生活扶助的手当、勤続年数に比例した比較的多めの退職金、そして長期の競争を反映する能力等級制度、役職制度などを検討していく。多くの企業の生産部門などはここに入るだろう。但し、中期短期的なビジネスモデルの職種でも、長期に亘ってハイパフォーマンスを発揮するコア人材群には、引き留め(リテンション)の対策も重要になってくる。


 一方で、中期短期的な競争原理が必要なビジネスモデルの職種においてはの色合いが強まる傾向があり、さらにインセンティブ効果を狙って昇給や賞与、報奨金に多くの原資を割くことになる。



関連blog記事
2008年4月9日「昇給を考える その1:定期昇給制度の意義」
https://roumu.com
/archives/51295326.html

2008年4月12日「中小企業の2008年賃上げ 連合三次集計では4,797円(1.90%)」
https://roumu.com
/archives/51303820.html

2008年3月30日「2008年賃上げ一次集計 日本経団連は6,322円(1.91%)」
https://roumu.com
/archives/51293225.html

2008年2月6日「都内中小企業のモデル賃金 大卒40歳は379,454円」
https://roumu.com
/archives/51243659.html

2008年3月21日「最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド(その2)」
https://roumu.com
/archives/51283383.html

2008年3月12日「最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド」
https://roumu.com
/archives/51275190.html

2008年2月21日「人事評価、公平性の陥穽と本筋論」
https://roumu.com
/archives/51259557.html


(小山邦彦)


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鉛業務一部適用除外認定事由変更報告

鉛業務一部適用除外認定事由変更報告 鉛業務一部適用除外認定を受けた事由に変更を生じた場合に提出する様式のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署

[ダウンロード]
WORD
Word形式 namari02.doc(31KB)
PDFPDF形式 namari02.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 鉛は毒性が強いため、原則として局所排気装置以上の設置が義務づけられています。また、作業場等の清掃保持、環境測定、特殊健康診断、作業主任者等についても規定があり、確認が必要になります。

[関連法規]
鉛中毒予防規則 第4条(認定の申請手続等)
  第二条の規定による認定(以下この条において「認定」という。)を受けようとする事業者は、鉛業務一部適用除外認定申請書(様式第一号)に申請に係る鉛業務を行なう作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2  所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、前条第四号の認定をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知するものとする。
3  認定を受けた事業者は、第一項の申請書又は見取図に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
4  所轄労働基準監督署長は、認定に係る業務に従事する労働者が鉛等によって汚染されるおそれが少ないと認められなくなった場合は、遅滞なく、当該認定を取り消すものとする。

労働安全衛生法 第100条(報告等)
 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。


関連blog記事
2008年4月16日「鉛業務一部適用除外認定申請」
https://roumu.com/archives/55037406.html

 

(福間みゆき)

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鉛業務一部適用除外認定申請

鉛業務一部適用除外認定申請 鉛則第二条に規定する業務で同規則の一部適用除外認定を受けようとする場合に提出する様式のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署

[ダウンロード]
WORD
Word形式 namari01.doc(31KB)
PDFPDF形式 namari01.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 申請する際は、鉛業務を行う作業場の見取図を添付して提出する必要があります。

[関連法規]
鉛中毒予防規則 第2条(除外業務)
  令別表第四第十五号の厚生労働省令で定める業務は、筆若しくはスタンプによる絵付けの業務で、当該業務に従事する労働者が鉛等によつて汚染されることにより健康障害を生ずるおそれが少ないと当該事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)が認定したもの又は第二十四条、第二十五条、第二十八条第一項、第二十九条及び第三十条に規定する構造及び性能を有する局所排気装置若しくは排気筒が設けられている焼成窯による焼成の業務とする。

鉛中毒予防規則 第4条(認定の申請手続等)
 第二条の規定による認定(以下この条において「認定」という。)を受けようとする事業者は、鉛業務一部適用除外認定申請書(様式第一号)に申請に係る鉛業務を行なう作業場の見取図を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2  所轄労働基準監督署長は、前項の申請書の提出を受けた場合において、前条第四号の認定をし、又はしないことを決定したときは、遅滞なく、文書で、その旨を当該事業者に通知するものとする。
3  認定を受けた事業者は、第一項の申請書又は見取図に記載された事項に変更を生じたときは、遅滞なく、文書で、その旨を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
4  所轄労働基準監督署長は、認定に係る業務に従事する労働者が鉛等によって汚染されるおそれが少ないと認められなくなった場合は、遅滞なく、当該認定を取り消すものとする。

労働安全衛生法 第22条
 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
1.原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等による健康障害
2.放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等による健康障害
3.計器監視、精密工作等の作業による健康障害
4.排気、排液又は残さい物による健康障害

(福間みゆき)

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年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(個人別付与・期間限定型)

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(個人別付与・期間限定型) 年次有給休暇の計画的付与を個人別に行うための労使協定のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:特になし(協定期間)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kyoutei_keikakunenkyu_kobetsu2.doc(24KB)
PDFPDF形式 kyoutei_keikakunenkyu_kobetsu2.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 個人別付与の中でも夏季・冬季の期間を限定し、付与する方法が考えられます。年次有給休暇取得率を向上しつつも自由度を与える制度であり、仕事と生活の調和推進に繋がるでしょう。また、一定の期間における取得とすることで、年次有給休暇を取得しづらいといった思いをある程度排除できると思われます。


関連blog記事
2008年4月14日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(個人別付与・前後期型)」
https://roumu.com/archives/55035768.html
2008年4月11日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(グループ別付与)」
https://roumu.com/archives/55034571.html
2008年4月10日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(一斉付与)」
https://roumu.com/archives/55034548.html
2007年11月5日「年次有給休暇管理表」
https://roumu.com/archives/54875731.html
2007年1月25日「年次有給休暇手当の支払に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836557.html
2007年1月24日「半日年次有給休暇制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836415.html
2007年1月23日「年次有給休暇ストック制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836098.html
2007年1月20日「休暇(欠勤)届」
https://roumu.com/archives/51723593.html
2006年12月16日「年次有給休暇の計画的付与に関する協定」
https://roumu.com/archives/51076305.html

 

参考リンク
岡山労働局「年次有給休暇の計画的付与制度の導入に向けて」
http://www.okayama.plb.go.jp/seido/kanri/kanri06.html

(宮武貴美)

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年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(個人別付与・前後期型)

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(個人別付与・前後期型) 年次有給休暇の計画的付与を個人別に行うための労使協定のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:特になし(協定期間)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kyoutei_keikakunenkyu_kobetsu1.doc(25KB)
PDFPDF形式 kyoutei_keikakunenkyu_kobetsu1.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この個人別付与は、全社一斉付与やグループ別付与より、労働者の自由を尊重しながら計画的に付与できる方法だといえるでしょう。年次有給休暇の取得促進には繋がりますが、業務の調整が必要になるため導入の際には実務上の課題を事前に検討しておく必要があるでしょう。


関連blog記事
2008年4月11日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(グループ別付与)」
https://roumu.com/archives/55034571.html
2008年4月10日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(一斉付与)」
https://roumu.com/archives/55034548.html
2007年11月5日「年次有給休暇管理表」
https://roumu.com/archives/54875731.html
2007年1月25日「年次有給休暇手当の支払に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836557.html
2007年1月24日「半日年次有給休暇制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836415.html
2007年1月23日「年次有給休暇ストック制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836098.html
2007年1月20日「休暇(欠勤)届」
https://roumu.com/archives/51723593.html
2006年12月16日「年次有給休暇の計画的付与に関する協定」
https://roumu.com/archives/51076305.html

 

参考リンク
岡山労働局「年次有給休暇の計画的付与制度の導入に向けて」
http://www.okayama.plb.go.jp/seido/kanri/kanri06.html

(宮武貴美)

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労働契約の5原則について説明しましょう

 2008年3月に施行された労働契約法について学び始めた服部社長と宮田部長。今回は、労働契約を考えるときのベースとなる5原則について大熊社労士から説明を受けることになった。



大熊社労士大熊社労士:
 それでは労働契約法の条文を実際に確認していきましょう。第3条から第5条にわたっては、労働契約の原則、いわゆる基本的な考え方が示されています。まずは労働契約の原則について規定された第3条です。



第3条(労働契約の原則)
1 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。



服部社長:
 第1条(目的)で教えていただいた労使の「合意」について、再度規定されていますね。ところで、この条項には「変更すべきもの」という表現も入っていますが、どういう意味でしょう。
大熊社労士:
 はい、労働契約の締結時だけではなく、契約内容を変更する際にも労使の合意が必要です。労働契約というと、どちらかといえば締結時を意識しがちですが、契約内容を変更する際にも合意に基づくものでなければなりません。したがって、一方的な契約内容の変更は無効とされますので、注意が必要です。それでは続いて第2項です。



2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。



 この項は、当初政府案では入っていませんでしたが、国会で修正追加されました。
宮田部長:
 具体的にはどのようなことでしょうか?
大熊社労士:
 例えば、契約社員やフルタイムパートなどの非正規社員の労働条件を定める際に、個別の条件や事情で判断するのではなく、その就業の実態を総合的に勘案し、正社員と比較したときにバランスのとれた処遇を考慮するよう示しています。
宮田部長:
 改正パートタイム労働法のところで教えていただいたことですね。
大熊社労士:
 はい、そのとおりです。なお、正社員間でも均衡のとれた処遇が必要であることはいうまでもありません。そして第3項。



3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。



服部社長服部社長:
 これは最近よくいわれるようになった「ワークライフバランス」を意識して、そのような配慮をしないさいよ、ということですね。
大熊社労士:
 そのとおりです。これも当初政府案では入っていませんでしたが、国会で修正追加されました。第2項の均衡考慮規定と第3項の仕事と生活の調和への配慮は、ともに訓示的な規定とされていますが、裁判所がこの条項を判決に利用することは考えられますので、無視することはできないでしょう。
服部社長:
 具体的には、どのようなことが考えられるでしょうか?
大熊社労士:
 子育て中の労働者を転勤させる場合が代表的な例として挙げられます。育児介護休業法にも第 26条(労働者の配置に関する配慮)「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」と規定されていることからも明らかなように、仕事上の観点からだけではなく、生活上の観点にも配慮した対応が求められることになるでしょう。その他、時間外労働の業務命令についても、同様の配慮が必要とされるでしょう。
宮田部長宮田部長:
 当初政府案では入っていなかったが、国会で修正追加されたということは、何か特別な意味を持つのでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね、審議の過程で紆余曲折があり、深く検討されたわけではないようですので何ともいえませんが、この第2項、第3項は労働関係において社会の流れを変えようとする意図が伺えるものと考える学者や弁護士もいます。確かに、そのような意味合いをもっていることは否めないでしょう。



4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。




 この第4項、第5項は、民法第1条(基本原則)第2項の信義則の規定「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」、第3項の権利濫用の禁止の規定「権利の濫用は、これを許さない」が、労働契約の場面においても重要な役割を果たすことを改めて、具体的に確認したものです。両条項において「労働者及び使用者は」となっていますので、使用者だけではなく労働者もこの原則を遵守する必要があります。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は労働契約法の第3条(労働契約の原則)について取り上げてみました。第3条は、労使対等合意の原則、均衡考慮義務の原則、ワークライフバランス配慮義務の原則、信義則・誠実義務の原則、権利濫用の禁止の原則の5つの原則をさだめたもので、訓示的規定とされていますが、労働契約を締結または変更したり、トラブルへの対応を検討したりする際においては指針的な意味をもっています。この原則は労働契約を考えるときに、非常に重要なものとなりますので、よく理解しておく必要があるでしょう。



関連blog記事
2008年4月7日「労働契約法というのはどのような法律ですか?」
https://roumu.com/archives/64868369.html
2008年03月12日「最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51275190.html
2008年02月19日「厚労省よりダウンロードできる労働契約法のポイント資料」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51258163.html


参考リンク
厚生労働省「労働契約法がスタート!~平成20年3月1日施行」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/index.html
厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成17年4月1日施行)及び法改正に伴う施行規則、指針について」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/houritu/index.html
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/houritu/2.html


(鷹取敏昭)


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年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(グループ別付与)

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(グループ別付与) 年次有給休暇の計画的付与をグループ別に行うための労使協定のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:特になし(協定期間)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kyoutei_keikakunenkyu_group.doc(26KB)
PDFPDF形式 kyoutei_keikakunenkyu_group.pdf(6KB)

[ワンポイントアドバイス]
 全社一斉に計画的付与を行うことで、業務に支障が発生する場合には、班・グループ別の交替制付与が考えられます。業務の繁閑が部署により異なる場合にも活用できる有効な手段といえるでしょう。


関連blog記事
2008年4月10日「年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(一斉付与)」
https://roumu.com/archives/55034548.html
2007年11月5日「年次有給休暇管理表」
https://roumu.com/archives/54875731.html
2007年1月25日「年次有給休暇手当の支払に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836557.html
2007年1月24日「半日年次有給休暇制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836415.html
2007年1月23日「年次有給休暇ストック制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836098.html
2007年1月20日「休暇(欠勤)届」
https://roumu.com/archives/51723593.html
2006年12月16日「年次有給休暇の計画的付与に関する協定」
https://roumu.com/archives/51076305.html

 

参考リンク
岡山労働局「年次有給休暇の計画的付与制度の導入に向けて」
http://www.okayama.plb.go.jp/seido/kanri/kanri06.html

(宮武貴美)

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年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(一斉付与)

年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定(一斉付与) 年次有給休暇の計画的付与を行うための労使協定のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:特になし(協定期間)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kyoutei_keikakunenkyu_issei.doc(25KB)
PDFPDF形式 kyoutei_keikakunenkyu_issei.pdf(6KB)

[ワンポイントアドバイス]
 年次有給休暇の計画的付与の方法はいくつか考えられますが、この労使協定では、全社一斉に付与することを想定して作られています。


関連blog記事
2007年11月5日「年次有給休暇管理表」
https://roumu.com/archives/54875731.html
2007年1月25日「年次有給休暇手当の支払に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836557.html
2007年1月24日「半日年次有給休暇制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836415.html
2007年1月23日「年次有給休暇ストック制度に関する協定」
https://roumu.com/archives/51836098.html
2007年1月20日「休暇(欠勤)届」
https://roumu.com/archives/51723593.html
2006年12月16日「年次有給休暇の計画的付与に関する協定」
https://roumu.com/archives/51076305.html

 

参考リンク
岡山労働局「年次有給休暇の計画的付与制度の導入に向けて」
http://www.okayama.plb.go.jp/seido/kanri/kanri06.html

(宮武貴美)

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