「ハイ」の検索結果

医療機関に支払う分娩費が少なくなるのですか?

 宮田部長は自身の若い頃、子どもができた当時のことを振り返り、生活にあまり余裕がなかったことを思い出しながら大熊社労士との出産に関する面談を進めていた。



宮田部長宮田部長:
 「無事出産したのはいいが、病院への支払が大変だ」と社員が話しているのを聞いたことがあります。おめでたいことなので不満をいってはいけないのでしょうが、かなりの負担を感じている方が多いのではないでしょうか!?ところで、最近は出産の際にはどのくらい費用がかかるものなのでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね、医療機関によりますが35万円~40万円ぐらいだと思います。ホテル並みの豪華な施設や食事サービスをしているところではプラス5万円~10万円だと聞いたことがあります。
宮田部長:
 へぇー、やはり結構するものですね。お金に余裕のある世帯は高級なサービスを求めてホテル並みの施設を希望するのでしょうが、そうではない働き始めて間もない若い夫婦にはかなり大きな負担になるでしょうね。こういうところからも少子化につながっているのではないでしょうか。
大熊社労士:
 確かにそうかも知れませんね。そこで政府が考えた出産費用にかかる負担を軽減する新しい制度をご紹介しましょう。医療機関が被保険者に代わって出産育児一時金等を受け取ることにより、被保険者等が医療機関の窓口において出産費用を支払う負担を軽減することを目的とした「出産育児一時金等の医療機関等による受取代理」制度で、平成18年10月から利用できるようになっています。
宮田部長:
 出産育児一時金については教えていただきました。一旦医療機関で出産の費用全額を支払った後、出産育児一時金請求書を社会保険事務所へ提出して、35万円の給付を受けるという手順でしたね。今度の新しい制度はどのような仕組みですか?
大熊社労士:
 出産の費用は、後で出産育児一時金の保険給付を受けられるとはいえ、一時的に大きな出費であることに変わりありません。ところが、この新しい制度を利用すると出産予定日まで1ヶ月以内の被保険者または被扶養者を有する者が、事前申請用の請求書と母子手帳など出産予定日を証明する書類の写しを添付して社会保険事務所へ届け出ることで、医療機関の窓口で支払う負担を軽減することができるようになるというものです。例えば、医療機関に支払う出産費用が40万円であったとき、医療機関の窓口で支払う額は5万円(40万円-5万円)でよい訳です。
宮田部長:
 ほぅ、それは負担が少なくてよいですね。被保険者の立場に立ったこういう制度をどんどん増やしてもらいたいものです。ところで、病院に払う費用が35万円未満だった場合はどうなるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 例えば、出産にかかる費用が30万円であったとき、医療機関の窓口への支払はなく、被保険者に5万円(35万円-30万円)が支給されることになります。しかし、出産に関しては分娩時だけではなくその前の妊婦健診等も基本的に自費扱いのため、その分の費用を含めて考えると出産育児一時金の35万円だけでは足りないケースが殆どだと思われますので、結局は被保険者の負担はそれなりにあると考えていた方がよいでしょう。
宮田部長:
 なるほど、妊婦健診費用も自費扱いですか。これも何とかなれば良いのですがねぇ。しかし、新しい制度があるだけでもかなり助かるでしょう。
大熊社労士:
 そうです、この制度を利用すれば窓口負担が軽減されますので、該当する社員さんが出てきたときには是非ご案内ください。なお、この制度を利用しなければ従前どおり、医療機関に一旦全額を支払った後、「出産育児一時金請求書」を提出するという手順になります。また、出産予定日の1ヶ月前よりも更に早い時期に出産があったときには、この制度の受付自体をしていないので利用できません。もう一つ、被扶養者等の場合は出産日に加入している保険者での取り扱いとなりますので、出産日の直前に転職等によって保険者が変った場合は利用できませんので注意してください。
宮田部長:
 これもまた結構複雑そうですね、覚えられるでしょうか。
大熊社労士:
 いまお伝えしたことは注意を要するケースですが、このようなケースは少ないと思われますので、基本的な取り扱いだけ覚えて、社員さんにご案内していただければよいでしょう。
宮田部長:
 そうですか、ほっとしました。わからなければ大熊先生にご相談すればよいということですね。そのときはよろしくお願いします。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。前回に引き続き産前産後休業について取り上げてみました。今回は先日より制度運用が開始された健康保険の給付に関する「出産育児一時金等の医療機関等による受取代理」を解説しました。この制度は原則として事前申請となっており、出産予定日まで1ヶ月以内であることが要件とされていますので忘れないようにしてください。なお、この申請には分娩する医療機関の同意を得て、「請求書の受取代理人の欄」に記名押印してもらう必要があります。医療機関によってはこの処理に時間がかかる場合もありますので予め余裕をもって準備してください。しかし、出産はいつ始まるか分からないため場合によっては、書類のやりとりの最中に出産に至るケースが出てくることもあると思います。その場合は管轄の社会保険事務所に相談してみてください。



関連blog記事
2007年9月3日「出産に関する健康保険の給付について教えてください」
https://roumu.com/archives/64635674.html
2007年8月27日「産前産後休暇は社員からの請求が必要なのですか?」
https://roumu.com/archives/64625615.html
2007年8月9日「母性健康管理指導事項連絡カード」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54764218.html
 
参考リンク
社会保険庁「出産育児一時金等の医療機関等による受取代理について」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0925.html
社会保険庁「健康保険出産育児一時金請求書(事前申請用)」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0925_2.pdf
社会保険庁「現行・改善後の流れ図」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0925_4.pdf


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

健康診断個人票(海外派遣)[旧版]

健康診断個人票(海外派遣) 労働者を6ヵ月以上海外に派遣しようとするとき、また、6ヵ月以上海外勤務した労働者を帰国させ、国内の業務に就かせるときに行う海外派遣労働者の健康診断。この書式は、その健康診断個人票サンプル(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:★★
□官公庁への届出:特になし
□法定保存期間:5年間

[ダウンロード]
wordWord形式 kenshin_kaigai.doc(59KB)
pdfPDF形式 kenshin_kaigai.pdf(17KB)

[ワンポイントアドバイス]
 健康診断で行う項目は定期健康診断で行うものに加え、厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目としており、この厚生労働大臣が定める項目とは以下を指します。
■派遣前
1 腹部画像検査
2 血液中の尿酸の量の検査
3 B型肝炎ウイルス抗体検査
4 ABO式及びRh式の血液型検査
■派遣後
1 腹部画像検査
2 血液中の尿酸の量の検査
3 B型肝炎ウイルス抗体検査
4 糞便塗抹検査(帰国時に限る)

 大きく生活環境が変化する海外勤務。海外派遣前後には確実に健康診断を行い、管理する必要があるでしょう。

[根拠条文]
労働安全衛生規則 第45条の2(海外派遣労働者の健康診断)
 事業者は、労働者を本邦外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
2 事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
3 第1項の健康診断は、第43条、第44条、前条又は法第66条第2項 前段の健康診断を受けた者(第43条第1項ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から6月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
4 第44条第3項の規定は、第1項及び第2項の健康診断について準用する。この場合において、第44条第3項中「、第4号及び第6号から第11号まで」とあるのは、「及び第4号」と読み替えるものとする。

労働安全衛生規則 第51条(健康診断結果の記録の作成)
 事業者は、第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断若しくは法第66条第4項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第5項 ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第43条等の健康診断」という。)又は法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第5号)を作成して、これを5年間保存しなければならない。


関連blog記事
2007年9月7日「健康診断個人票(定期)」
https://roumu.com/archives/54802511.html
2007年9月6日「健康診断個人票(雇入時)」
https://roumu.com/archives/54799952.html

 

参考リンク
三重労働局「必ず健康診断を実施しましょう」
http://www.mie.plb.go.jp/seido/shindan/index.html
大阪府総合労働事務所「従業員の健康診断について(雇入時、定期など)」
http://www.pref.osaka.jp/osaka-pref/sogorodo/soudan/shin-Q&A/Q&A165.pdf
独立行政法人労働者健康福祉機構 海外勤務健康管理センター
http://www.johac.rofuku.go.jp/

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

健康診断個人票(定期)【旧版】

健康診断個人票(定期) 特定業務従事者以外の常時使用する労働者については、1年以内ごとに1回の健康診断を実施することが労働安全衛生法に定められています。この書式は、その健康診断個人票サンプル(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:★★★★
□官公庁への届出:特になし
□法定保存期間:5年間

[ダウンロード]
word
Word形式 kenshin_teiki.doc(178KB)
pdfPDF形式 kenshin_teiki.pdf(34KB)

[ワンポイントアドバイス]
 原則として有害業務や深夜業に従事する特定業務従事者についてはは6ヶ月に1回、健康診断を実施しなければならないとされています。健康診断結果は、必ずしもこの様式で管理する必要はなく、健康診断項目を網羅した書式でも可能です。終了後は、就業に関する措置が必要な場合は、医師の意見に従って対応する必要があります。なお、企業の安全配慮義務が重視される環境となり、健康診断の重要性は年々増しています。労働基準監督署の調査も増加していますので、改めて健康診断の実施の徹底が求められています。


平成20年4月1日より様式が変更となっております。新様式は以下のリンク先よりご利用ください。
https://roumu.com/archives/55484783.html

[根拠条文]

労働安全衛生法 第66条(健康診断)
 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
4 都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

労働安全衛生規則 第44条(定期健康診断)
 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
 1  既往歴及び業務歴の調査
 2  自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 3  身長、体重、視力及び聴力の検査
 4  胸部エックス線検査及び喀痰検査
 5  血圧の測定
 6  貧血検査
 7  肝機能検査
 8  血中脂質検査
 9  血糖検査
 10 尿検査
 11 心電図検査
1 前項の健康診断であつて次の各号に掲げるものの項目は、同項各号(第4号を除く。)に掲げる項目とする。
 1  満16歳に達する日の属する年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。以下この項、第44条の2及び第46条において同じ。)に前条又は前項の規定により行われた健康診断の際要観察者(胸部エックス線検査によつて結核によるものと考えられる治癒所見の発見された者及び担当の医師が結核の発病のおそれがあると認めた者をいう。次号において同じ。)とされなかつた者に対してその者が満17歳に達する日の属する年度及び満18歳に達する日の属する年度に当該健康診断を行つた事業者が行う健康診断
 2 満17歳に達する日の属する年度に前条の規定により行われた健康診断の際要観察者とされなかつた者に対してその者が満18歳に達する日の属する年度に当該健康診断を行つた事業者が行う健康診断
3 第1項第3号、第4号及び第6号から第11号までに掲げる項目については、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。
4 第1項の健康診断は、前条、第45条の2又は法第66条第2項 前段の健康診断を受けた者(前条ただし書に規定する書面を提出した者を含む。)については、当該健康診断の実施の日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略して行うことができる。
5 第1項第3号に掲げる項目(聴力の検査に限る。)は、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く。)については、同項の規定にかかわらず、医師が適当と認める聴力(1,000ヘルツ又は4,000ヘルツの音に係る聴力を除く。)の検査をもつて代えることができる。

労働安全衛生規則 第51条(健康診断結果の記録の作成)
 事業者は、第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断若しくは法第66条第4項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第5項 ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第43条等の健康診断」という。)又は法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第5号)を作成して、これを5年間保存しなければならない。


関連blog記事
2007年9月6日「健康診断個人票(雇入時)」
https://roumu.com/archives/54799952.html

 

参考リンク
三重労働局「必ず健康診断を実施しましょう」
http://www.mie.plb.go.jp/seido/shindan/index.html
大阪府総合労働事務所「従業員の健康診断について(雇入時、定期など)」
http://www.pref.osaka.jp/osaka-pref/sogorodo/soudan/shin-Q&A/Q&A165.pdf

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

中国における労働契約法の改正

 中国の労働契約法が今年6月に全人代で採択され、2008年1月から施行される。労働者に不利な現行の法律体系が「常識的」に整備されたに過ぎないような内容だが、現行での労働契約を前提に事業運営をしてきた外資企業には、計画の見直しを含めた検討を要する内容も少なくない。



契約期間
 現行では期限付き労働契約で期間満了の度に更新契約可能であったが、今回の改正では同一企業に勤続10年以上勤務する従業員が、無期限の労働契約を求めた際には拒絶できない、また期限付き契約の更新は2回までで、3回目の更新から、従業員の求めがあれば無期限の労働契約で更新しなければいけなくなる。 要は終身雇用を前提とした労働契約に変えていこうという姿勢であり、企業とすれば就業規則で「具体的解除項目」を検討した上で明示しておく必要が生じる。企業が意図的に雇用はしたが、その後1年間、労働契約を締結していない場合には無期限の労働契約を締結したものと見なされる罰則規定も明示された。


経済保障
 労働契約が終了(退職時)した際には、勤続1年で1ケ月の賃金の支払義務が生じ、2年で2ケ月、3年で3ケ月・・というように実質的な退職金支給制度ができた。但し、最高限度は12年を超えないという規定や、高賃金の従業員の退職時には会社が所在する地域の平均賃金の3倍を超えない金額とするといった制限規定もある。


集団契約と労働組合
 外資企業に勤務する労働者からの求めがあれば労働組合(工会)の結成を会社は容認し、工会活動費(労働者の実際賃金総額の2%)の支給が義務付けられる。


 労働者搾取の現実から常識的な労使関係に移行させようとする背景が見られるが、中国企業が積極的に労働法遵守の姿勢を貫くかは、今後の動きを見なければならない。しかし外資企業は当然遵守せざるを得ず、契約社員、臨時工等が事業運営の要としてきた企業には、打撃となるところも増えていくだろう。
 
(影山勝行)

当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

健康診断個人票(雇入時)【旧版】

健康診断個人票(雇入時) 常時使用する労働者を雇用した際に行わなければならない健康診断の個人票サンプル(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:★★★★
□官公庁への届出:特になし
□法定保存期間:5年間

[ダウンロード]
word
Word形式 kenshin_yatoiire.doc(61KB)
pdfPDF形式 kenshin_yatoiire.pdf(18KB)

[ワンポイントアドバイス]
 雇入前の3ヶ月以内に健康診断を受診し、その結果を提出した場合には、この雇入時の健康診断の代用とすることができます。また、健康診断結果は、必ずしもこの様式で管理する必要はなく、健康診断項目を網羅した書式でも可能です。終了後は、就業に関する措置が必要な場合は、医師の意見に従って対応する必要があります。
平成20年4月1日より、様式が変更となっております。新しい様式は、以下のリンク先よりご利用ください。

https://roumu.com/archives/55484784.html

[根拠条文]
労働安全衛生法 第66条(健康診断)
 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
4 都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

労働安全衛生規則 第43条(雇入時の健康診断)
  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
1  既往歴及び業務歴の調査
2  自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3  身長、体重、視力及び聴力(1,000ヘルツ及び4,000ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第1項第3号において同じ。)の検査
4  胸部エックス線検査
5  血圧の測定
6  血色素量及び赤血球数の検査(次条第1項第6号において「貧血検査」という。)
7  血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミック
ピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第1項第7号において「肝機能検査」という。)
8  血清総コレステロール、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第1項第8号において「血中脂質検査」という。)
9  血糖検査
10  尿中の糖及び蛋白の有無の検査(次条第1項第10号において「尿検査」という。)
11  心電図検査

労働安全衛生規則 第51条(健康診断結果の記録の作成)
  事業者は、第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断若しくは法第66条第4項 の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第5項 ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第43条等の健康診断」という。)又は法第66条の2の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第5号)を作成して、これを5年間保存しなければならない。


参考リンク
三重労働局「必ず健康診断を実施しましょう」
http://www.mie.plb.go.jp/seido/shindan/index.html
大阪府総合労働事務所「従業員の健康診断について(雇入時、定期など)」
http://www.pref.osaka.jp/osaka-pref/sogorodo/soudan/shin-Q&A/Q&A165.pdf

 

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

未払賃金額等の確認申請書(未払賃金立替払制度)

未払賃金額等の確認申請書(未払賃金立替払制度) 企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度(未払賃金立替払制度)において、未払賃金の額等について労働基準監督署長の認定を受けるための書式(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:
□官公庁への届出:必要(提出先:所轄労働基準監督署)
□法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 tousan_kakuninsinsei.doc(186KB)
pdfPDF形式 tousan_kakuninsinsei.pdf(55KB)

[ワンポイントアドバイス]
 倒産については、a.法律上の倒産、b.事実上の倒産の2つがあり、b.事実上の倒産では労働基準監督署長の認定を受けた後、未払賃金の額等について労働基準監督署長へ申請を行い、労働基準監督署長の確認を受ける必要があります。一方、a.法律上の倒産の場合は、破産管財人等に未払賃金の額等を証明してもらうことになります。この証明を受けられなかった場合は、労働基準監督署長の確認をうけなければなりません。

 なお、立替払の対象となる未払賃金は、退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているものであり、いわゆるボーナスは立替払の対象とはなりません。(未払賃金の総額が2万円未満は対象外です。)立替払する額は、未払賃金の額の8割です。(ただし、退職時の年齢に応じて上限額があります。)

[根拠条文]
賃金の支払の確保等に関する法律 第7条(未払賃金の立替払)
 政府は、労働者災害補償保険の適用事業に該当する事業(労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)第8条の規定の適用を受ける事業にあつては、同条の規定の適用がないものとした場合における事業をいう。以下この条において同じ。)の事業主(厚生労働省令で定める期間以上の期間にわたつて当該事業を行つていたものに限る。)が破産手続開始の決定を受け、その他政令で定める事由に該当することとなつた場合において、当該事業に従事する労働者(船員保険法(昭和14年法律第73号)第17条の規定による被保険者である労働者を除く。)で政令で定める期間内に当該事業を退職したものに係る未払賃金(支払期日の経過後まだ支払われていない賃金をいう。以下この条及び次条において同じ。)があるときは、民法(明治29年法律第89号)第474条第1項ただし書及び第2項の規定にかかわらず、当該労働者(厚生労働省令で定める者にあつては、厚生労働省令で定めるところにより、未払賃金の額その他の事項について労働基準監督署長の確認を受けた者に限る。)の請求に基づき、当該未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のものを当該事業主に代わつて弁済するものとする。


関連blog記事
2007年9月3日「認定申請書(未払賃金立替払制度)」
https://roumu.com/archives/54798613.html

 

参考リンク
厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/tatekae/index.htm

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

労働者死傷病報告(休業4日未満)

労働者死傷病報告(休業4日未満) 労働者が、労働災害その他就業中または事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息または急性中毒により4日未満の休業をしたときに行う報告書の書式(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:★★★★
□官公庁への届出:必要(提出先:所轄労働基準監督署)
□法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 shisyoubyou_houkoku.doc(43KB)
pdfPDF形式 shisyoubyou_houkoku.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 故意に労働者死傷病報告を提出しないこと、または虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出することは「労災かくし」といわれ、労働安全衛生法第100条に違反しまたは同法第120条第5号に該当することとなります。これにより、50万円の罰金を受ける可能性があります。厚生労働省は、罰則を適用して厳しく処罰を求めるなど、厳正に対処することとしています。なお、休業が4日以上の場合は、別途OCR形式の労働者死傷病報告があります。

[根拠条文]
労働安全衛生法 第100条
 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、登録製造時等検査機関等に対し、必要な事項を報告させることができる。
3 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

労働安全衛生法 第120条
 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
(第1号~第4号 略)
 5  第100条第1項又は第3項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
(第6号 略)

労働安全衛生規則 第97条(労働者死傷病報告)
 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第23号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2  前項の場合において、休業の日数が4日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、1月から3月まで、4月から6月まで、7月から9月まで及び10月から12月までの期間における当該事実について、様式第24号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。


参考リンク
厚生労働省「労災制度・手続の概要、労災かくし事例紹介」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/rousai/index.html

 

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

出産に関する健康保険の給付について教えてください

 産前産後の基本的な知識を改めて勉強している宮田部長。経理出身のため人事労務については知らないところが多くて当然といえば当然だが、何事にも基本を身に付けようとする心掛けには頭が下がる思いで面談している大熊であった。



宮田部長宮田部長:
 産前産後の休業のことは理解できました。休業以外に気をつけなければならないことといえば、健康保険の給付があると思いますが、出産……、なんという名称でしたかねぇ?
大熊社労士:
 「出産育児一時金」と「出産手当金」です。まず「出産育児一時金」は出産に対しての給付で、胎児が生きて産まれてきたときはもちろん、死産、流産、人工流産、早産を問わず、一児に対して35万円が支給されます。ちなみに双子の場合は70万円、五つ子の場合は、なんと175万円(35万円×5児)にもなります。この「出産育児一時金」については、被保険者だけではなく被扶養者が出産したときにも支給されます。
宮田部長:
 社員が扶養する奥さんが対象ということですね。
大熊社労士:
 はい。それ以外でも被扶養者が出産したときにも支給されます。
宮田部長:
 理解ができないのですが、どういうことでしょう?
大熊社労士:
 親の被扶養者である子(娘)が出産した場合などです。例えば、若くして妊娠したが結婚せず、親に扶養されている状態のままで出産するケースをイメージしてもらえればわかりやすいでしょう。または、結婚していたが出産前に夫を亡くしてしまい、親の扶養家族に入った場合なども該当します。
宮田部長:
 最近よく耳にするシングルマザーで、まだ経済的に独立していない娘さんのことですね。こういうことも考えないといけない時代になったわけですね。
大熊社労士:
 この「出産育児一時金」は退職後、資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人が、資格喪失の日後6か月以内に出産をしたときに受給できます。ただし、これは被保険者のみが対象となります。
宮田部長:
 なるほど、出産前に退職する場合での要件を満たせば受給できるというわけですね。
大熊社労士:
 もう一つ「出産手当金」についてご説明しましょう。この手当金は被保険者が出産のため、産前および産後の期間で休んだ日に対し、標準報酬日額の3分の2の額が支給されるというものです。
宮田部長:
 これは標準報酬の6割だと記憶しているのですが、違うのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 平成19年4月から3分の2に替わり、60%から約66.7%へと若干ではありますが引き上げられました。支給日数は予定日にちょうど出産があれば、産前42日+産後56日の計98日間支給を受けることができます。予定日より出産が遅れれば実際の出産日との間の分についても支給され、反対に予定日よりも早まれば支給日数が少なくなります。
宮田部長:
 そうですか、これも少子化対策の一つでしょうね。出産に関してはいろいろな対策が講じられており、手厚くなっているのですね。
大熊社労士:
 出産・育児に関する対策は手厚くなってきていますが、この「出産手当金」では一部給付が廃止されましたので注意してください。それは退職後の給付に関することです。先ほど説明した「出産育児一時金」では資格喪失後6か月以内に出産をすれば支給を受けられました。「出産手当金」も以前は同様の扱いでしたが、この扱いが平成19年4月から廃止になっています。また、退職して任意継続被保険者になった方への出産手当金の支給も廃止されました。
宮田部長:
 「出産手当金」に関しては、退職後の給付はまったく受けられないということですね。
大熊社労士:
 いえ、次の場合には退職後であっても受給できることができます。その条件とは、継続して1年以上被保険者があり、産前休業に入った日後に退職日を迎え、退職日までに既に休業している場合は、産前産後の期間の「出産手当金」は通常どおり支給を受けることができます。具体例をあげて説明しましょう。
 8月20日…産前休業開始
 8月31日…退職日
 9月30日…出産予定日
宮田部長:
 この点はなかなか理解するのはたいへんですね。実務担当者の福島さんにも私から説明しておきます。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。前回に引き続き産前産後休業に関することについて取り上げてみました。今回は、出産および産前産後における健康保険からの給付についてお話しました。申請手続が漏れると、もらえるべきものがもらえないということになり社員さんにとっては損をすることになります。現場にいる社員さんには保険給付の細かい点は覚えきれないところがありますから、会社側でできるだけフォローをしてあげましょう。そのためには、保険手続や給付内容の基本を知っておくことが大切です。全部を知る必要はありません。細かな点が分からなければ顧問の社会保険労務士や社会保険事務所に問い合わせれば、教えてもらえますのでそれらを上手く活用すればよいでしょう。もちろん私、大熊も対応しますよ!



関連blog記事
2007年8月27日「産前産後休暇は社員からの請求が必要なのですか?」
https://roumu.com/archives/64625615.html
2007年6月25日「賞与査定で産前産後休業はどのように取り扱えばいいの?」
https://roumu.com/archives/64530902.html
2007年1月20日「休暇(欠勤)届」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/51723593.html
2007年8月9日「母性健康管理指導事項連絡カード」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54764218.html


参考リンク
社会保険庁「出産育児一時金等の医療機関等による受取代理について」
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n0925_1.pdf


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

認定申請書(未払賃金立替払制度)

認定申請書(未払賃金立替払制度) 企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度(未払賃金立替払制度)において、事実上の倒産の場合に労働基準監督署長の認定をうけるための書式(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:
□官公庁への届出:必要(提出先:所轄労働基準監督署)
□法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 tousan_mninteisinsei.doc(37KB)
pdfPDF形式 tousan_mninteisinsei.doc(55KB)

[ワンポイントアドバイス]
 立替払を受けるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
事業主が1年以上の事業活動を行っていたこと及び倒産したこと
労働者が一定の期間内に退職し、未払賃金があること

 なお、ここでいう倒産とは、大きく分けて2つの場合があります。
a.法律上の倒産
 破産、特別精算、会社整理、民事再生、会社更生の場合
 ※破産管財人等に倒産の事実等を証明してもらう必要がある
b.事実上の倒産
 中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払能力がない場合
 ※認定申請書により労働基準監督署長の認定をうける必要がある

[根拠条文]
賃金の支払の確保等に関する法律 第7条(未払賃金の立替払)
 政府は、労働者災害補償保険の適用事業に該当する事業(労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)第8条の規定の適用を受ける事業にあつては、同条の規定の適用がないものとした場合における事業をいう。以下この条において同じ。)の事業主(厚生労働省令で定める期間以上の期間にわたつて当該事業を行つていたものに限る。)が破産手続開始の決定を受け、その他政令で定める事由に該当することとなつた場合において、当該事業に従事する労働者(船員保険法(昭和14年法律第73号)第17条の規定による被保険者である労働者を除く。)で政令で定める期間内に当該事業を退職したものに係る未払賃金(支払期日の経過後まだ支払われていない賃金をいう。以下この条及び次条において同じ。)があるときは、民法(明治29年法律第89号)第474条第1項ただし書及び第2項の規定にかかわらず、当該労働者(厚生労働省令で定める者にあつては、厚生労働省令で定めるところにより、未払賃金の額その他の事項について労働基準監督署長の確認を受けた者に限る。)の請求に基づき、当該未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のものを当該事業主に代わつて弁済するものとする。


関連blog記事
2007年9月5日「未払賃金額等の確認申請書(未払賃金立替払制度) 」
https://roumu.com/archives/54799988.html

 

参考リンク
厚生労働省「未払賃金立替払制度の概要」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/kijunkyoku/tatekae/index.htm

 

(宮武貴美)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

[給与計算業務の改善]労働時間の効果的な集計方法

 不定期連載中の給与計算もしだいに回を重ねてきました。今日はソフトの紹介も含め、労働時間の効果的な集計方法を考えてみることにしましょう。



[質問]
 当社では、いくつもの営業所があり各営業所でアルバイトを雇用しています。給与は時給計算であり、給与計算時期には社員とアルバイトが記入している手書きのタイムシートがFAXで送信されてきます。総務ではこのすべての日にちをチェックし、給与計算ソフトに入力しており、この労働時間の集計のために相当の工数を費やしています。何とかこの部分の工数を削減したいと思っていますが、良い方法はないでしょうか?過去には、営業所と本社を結ぶ大規模な勤怠管理システムの導入も検討しましたが、相当なコストが必要となるため導入をあきらめたこともあります。


[回答]
 今回の問題の解決のためには、課題を以下の3つに分けて考えることが重要です。
集計ルールの課題
タイムカード集計システム導入の課題
集計方法の課題


集計ルールの課題
 現状はすべてのチェックを総務で行っているとのことですが、現場から離れてしまっている総務でこの作業を行うのは必ずしも望ましいものではないことが少なくありません。場合によっては各営業所で集計を行うよう、仕組みを変える必要があるでしょう。この目的にはもちろん総務に集中している負担を分散化し、減らす目的もありますが、それ以上に営業所の管理職が労働時間=人件費という意識を高める効果や社員の時間外労働時間を把握することで、過重労働の危険性を認識する効果などが期待できます。当初は総務が行っていた業務が現場に移る訳ですから、ある意味サービスの低下となり、不平不満も出るとは思います。それだけに現場が管理する目的を伝え、コンセンサスを取っていくことが重要です。


タイムカード集計システム導入の課題
 過去に勤怠管理システムの導入を検討されたとのことでしたが、現在では集計機能が装備されたタイムカード機も多くあり、これを各営業所に設置することも検討できるでしょう。価格も性能を勘案すれば相対的に下がっています。単純な労働時間の集計から時間帯集計機能がついているものなど様々なタイプがありますので費用と機能を見比べて考えると良いでしょう。


集計方法の課題
 時間の集計は、60進法のあるためミスが起こりやすい業務であると言うことができます。タイムカードの設置が困難な場合には、Excelでの集計も考えられます。現場に配布して集計の補助機能としたり、総務での確認作業のひとつとして利用することが考えられます。なお、労務ドットコムのタイムカード集計システムはこちらよりダウンロードできますので、是非ご利用ください。
2007年4月2日「タイムカード集計システムを改定!最新バージョンv1.03の無料ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/50933295.html


[まとめ]
 給与計算業務の中でも勤怠時間集計は手間のかかる作業の代表選手です。特に人数が多い事業所で総務部門に作業が集中することで、1回の給与計算に数時間の工数を費やすことも少なくありません。自分自身のや部下の労働時間を把握する大切さを意識付け、従業員ひとり一人に業務を分担することが必要だといえるでしょう。



関連blog記事
2007年4月2日「タイムカード集計システムを改定!最新バージョンv1.03の無料ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/50933295.html

2007年8月2日「[給与計算業務の改善]情報と書類の統一による効率化」
https://roumu.com
/archives/51032021.html

2007年7月12日「[給与計算業務の改善]各種書式の改善で大きな生産性向上を実現 」
https://roumu.com
/archives/51016743.html

2007年7月2日「雇用保険の取得・喪失漏れを防止する方法」
https://roumu.com
/archives/51010200.html

2007年7月1日「[給与計算業務の改善]社会保険料の控除ミスを防ぐ工夫」
https://roumu.com
/archives/51006995.html

2007年6月25日「[給与計算業務の改善]給与計算ソフトへのデータインポート」
https://roumu.com
/archives/51002379.html

2007年6月20日「[給与計算業務の改善]給与計算ソフトからのデータエクスポート」
https://roumu.com
/archives/51001264.html


(日比彩恵子・宮武貴美)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。