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[年金制度改正法②]短時間労働者の社会保険加入要件 1年以上の雇用見込から2ヶ月超の雇用見込へ

 前回の記事「[年金制度改正法①]短時間労働者への社会保険適用拡大(2024年10月には51人以上規模へ)」でもとり上げたように、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所において、社会保険の被保険者となる人は、正社員の他、1週間の労働時間数および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であるパートタイマー・アルバイト等(以下、まとめて「パート」という)です。
 これに加え、現在、正社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、従業員数501人以上の企業で、以下の4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者になります。

 ①週の所定労働時間が20時間以上あること
 ②雇用期間が1年以上見込まれること
 ③賃金の月額が8.8万円以上であること
 ④学生でないこと

 今回の年金制度改正法では、短時間労働者の適用範囲が拡大となることに加え、②の要件が「雇用期間が2ヶ月を超えることが見込まれること」に変更されました。これは、そもそもの社会保険の被保険者として、2ヶ月以内の期間を定めて使用される人は被保険者とならないことと定められており、短時間労働者の雇用期間についてもこの規定に揃えられたものです。

 この要件の変更は2022年10月1日に施行となり、従業員数が501人以上の企業も含め、加入すべきパートの確認が必要になります。


関連記事
2020年6月12日 「[年金制度改正法①]短時間労働者への社会保険適用拡大(2024年10月には51人以上規模へ)」
https://roumu.com/archives/103313.html

参考リンク
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html
法令等データベース「「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の公布について(通知)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200611T0010.pdf
日本年金機構「従業員を採用したときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20150422.html
(宮武貴美)

高齢者の職場環境改善のためのおススメの補助金制度ができました

 全国的に梅雨入りし、スーツで出掛けるのが億劫になっている大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます。今日は湿気でベタベタですね。
服部社長服部社長
 おはようございます。梅雨入りしてから、本当に湿度がすごいですね。これで新型コロナウイルスの感染も止まればいいと思います。
大熊社労士
 本当にそうですね。さて、今日は先週公表された新しい情報をお伝えしたいと思います。御社でも60歳以上の従業員の方が数名いらっしゃいますよね。
宮田部長
 はい、いま3名の嘱託社員がいます。
大熊社労士
 そうした高齢者が安心・安全に働くことができるよう、職場環境を改善するための対策を行った際に、その費用を補助するエイジフレンドリー補助金が創設されました。中小企業限定ですが。
宮田部長宮田部長
 それはいいですね。当社の場合、工場の現場で働いている従業員はどうしても体力的にきつくなってきますし、最近も高齢従業員の労災が少し目立っていて、なんらかの対策が必要だと思っていたところでした。
大熊社労士
 そうでしたか。それであればピッタリかも知れません。対象となる事業主は、高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用している中小企業事業主です。具体的には、働く高齢者を対象として職場環境を改善するための次の対策に要した費用を対象として、その2分を1を上限100万円(消費税を含む)まで補助されます。
(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入
(2)働く高齢者の健康や体力の状況の把握等              
(3)安全衛生教育
(4)その他、働く高齢者のための職場環境の改善対策
服部社長
 それは大きいですね。具体的にはどのような取り組みに助成されるのですか?
大熊社労士大熊社労士
 はい。かなり幅広い取り組みに対して、助成されます。以下、この補助金のリーフレットから引用します。
【働く高齢者の新型コロナウイルス感染予防】
◇ 介護におけるリフト、スライディングシート等の導入
◇ 介護における移乗支援機器等の活用
◇ 客室への荷物配送、配膳等の自動搬送機器の導入
◇ 熱中症の初期症状等の体調の急変を把握できる小型携帯機器 (ウェアラブルデバイス) による健康管理システムの利用
※使い捨てマスク等の消耗品、ビニールカーテン等の仮設の設備については対象となりません
【身体機能の低下を補う設備・装置の導入】
◇ 通路の段差の解消(スロープの設置等)
◇ 階段に手すりの設置
◇ 床や通路の滑り帽子対策(防滑素材の採用、防滑靴の支給)
◇ 暗い作業場所の照度の改善
◇ 危険箇所への安全標識や警告灯等の設置
◇ 高齢者に聞きとりやすい中低音域の警報音に交換
◇ 作業時の有効視野を考慮して警告・注意機器の配置の改善
◇ 業務用の車両への自動ブレーキまたは踏み間違い防止装置の導入
◇ 熱中症リスクの高い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備
◇ 体温を下げるための機能のある服などの支給
◇ 不自然な作業姿勢を改善するための作業台等の設置
◇ 重量物搬送機器・リフトの導入
◇ 重筋作業を補助するパワーアシストスーツ等の導入
【健康や体力の状況の把握等】
◇ 安全で健康に働くための体力チェックの実施
◇ 健康診断や歯科健診、体力チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指導等の実施
◇ 保健師やトレーナー等の指導による身体機能の維持向上活動
【安全衛生教育】
◇ 加齢に伴う労働災害リスクの増大の理解促進のための教育
◇ 高齢者の理解度を測りつつ反復実施する安全衛生教育
※労働者個人ごとに費用が生じる対策(ウェアラブルデバイス、防滑靴、体力チェックなど)については、雇用する高年齢労働者の人数分に限り補助対象とします
福島照美福島さん
 これはすごい。本当にいろいろな取り組みに補助されるのですね。当社の場合は、どれがいいのかなぁ。「 熱中症リスクの高い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備」とか「重量物搬送機器・リフトの導入」なんて、現場ではよさそうですね。
宮田部長
 そうだね。健康経営の観点から「健康診断や歯科健診、体力チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指導等の実施」とか「保健師やトレーナー等の指導による身体機能の維持向上活動」なんかもいいかも知れない。
大熊社労士
 そうですね。まだ始まったばかりの制度ですが、是非活用を検討し、みなさんにとって働きやすい職場づくりを進めていってください。
服部社長
 そうですね。70歳まで安心して働くことができる職場を目指して、いろいろ対策を行っていこうと思います。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。今回はエイジフレンドリー補助金について取り上げました。この補助金は、(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会が補助事業の実施事業者となり、中小企業事業者からの申請を受けて、審査等を行い、補助金の交付決定と支払いが行われるものです。申請期間は2020年10月31日までとなっていますので、参考リンクにある情報を参照し、検討を進めるとよいでしょう。


参考リンク
厚生労働省「エイジフレンドリー補助金の申請受付開始について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11819.html
厚生労働省「令和2年度エイジフレンドリー補助金について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html

(大津章敬)

新型コロナウイルス感染症 特定受給資格者申立書

新型コロナウイルス感染症の感染予防を理由として、やむを得ず離職した場合、「特定受給資格者」とし、基本手当の所定給付日数が手厚くなる場合があります。この書式は、当該手続き行う際、ハローワークに離職票(受給資格決定手続きが済んでいる場合は受給資格者証)・確認書類とともに提出する申立書の様式(東京労働局公開)をWord化したものです。

[ダウンロード]
重要度 ★★★
官公庁への提出:あり

Word形式 shoshiki848.docx
PDF形式 shoshiki848.pdf

[ワンポイントアドバイス]
現在、給付制限期間中の方も、この特例措置を受けることができます。また、離職以前1年間に6か月以上被保険者期間があれば、受給資格決定ができる可能性があります。

参考リンク
東京労働局「雇用保険受給資格者の皆様及びこれから手続きされる皆様へ~新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例について~」

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00577.html

(菊地利永子

[年金制度改正法①]短時間労働者への社会保険適用拡大(2024年10月には51人以上規模へ)

 2020年1月から第201回通常国会も来週に会期末を迎える予定です。この国会では「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金制度改正法)が2020年5月29日に成立し、2020年6月5日に公布されました。そこでこの法律のうち、企業に影響の出る点をピックアップして連載で解説します。

 社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所において、社会保険の被保険者となる人は、正社員の他、1週間の労働時間数および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であるパートタイマー・アルバイト等(以下、まとめて「パート」という)です。
 これに加え、正社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、従業員数501人以上の企業で、以下の4つの要件をすべて満たす従業員(短時間労働者)は、被保険者になります。
 ①週の所定労働時間が20時間以上あること
 ②雇用期間が1年以上見込まれること(※)
 ③賃金の月額が8.8万円以上であること
 ④学生でないこと

 今回の改正では、この短時間労働者への社会保険の適用拡大が行われることになり、2022年10月からは従業員数101人以上の企業、2024年10月には51人以上の企業について、①~④のすべての要件を満たした人が短時間労働者も被保険者となります。

 適用拡大を判断する際の従業員数とは、適用拡大する前の被保険者数を指しており、例えば社会保険に加入している正社員数80人、社会保険に加入していないパート数30人の場合には、合計をすると従業員数110人となりますが、社会保険に加入している人数は80人であるため、2024年10月からの適用拡大に該当します。

 社会保険料の負担は企業にとっても、従業員にとっても大きいものですので、適用拡大後の社会保険料負担の意識した労働時間および労働日数の設定を今後検討していく必要があります。

※「雇用期間が1年以上見込まれること」も変更となるため、次回の連載でとり上げます。


参考リンク
厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html
法令等データベース「「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の公布について(通知)」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T200611T0010.pdf
日本年金機構「従業員を採用したときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20150422.html
(宮武貴美)

都内労組の2020年夏季賞与 中間集計の平均妥結額は760,243円(前年比▲0.39%)

 新型コロナの影響で、今夏の賞与はかなり厳しい結果となる企業が続出しそうな状況ですが、先日、東京都が実施した調査の中間集計が公表されましたので、取り上げることとします。この調査は、都内の1,000労働組合を対象に実施されたもので、今回の中間集計結果(令和2年6月4日現在)は妥結し、集計可能な152組合のデータとなっています。

 これによれば、都内民間労組の夏の賞与の平均妥結額は760,243円となりました。同一労組の前年妥結額(763,247円)との比較では、金額で3,004円減少(0.39%減)しています。一方、産業別・業種別妥結金額の分析対象(5組合以上)となった13業種のうち、対前年比の増加率がもっとも大きかったのは、「サービス業(その他)」(7.45%)、以下「食料品、たばこ」(1.77%)、「情報制作(出版等)」(1.47%)となっています。逆に、対前年比の減少率がもっとも大きかったのは、「鉄鋼業」(▲19.89%)、続いて「電子部品・デバイス・電子回路製造業」(▲4.85%)、「道路貨物運送」(▲4.30%)となっています。

 予想以上に減額幅が小さいという印象を受けますが、この時期に妥結している企業は業績が比較的堅調であったり、春闘の際に賃上げと一括で交渉しているものも含まれていると思われます。よって、今後、新型コロナの影響を受けた企業の交渉が進むと、平均額は大きく下がってくるのではないかと予想されます。労使にとって厳しい交渉になりそうです。


関連記事
2020年1月10日「経団連調査 大手企業2019年年末一時金最終集計結果は前年比1.77%増の951,411円」
https://roumu.com/archives/100272.html
2019年12月18日「東京都労組の2019年年末一時金調査 最終集計では前年比▲0.15%の769,903円」
https://roumu.com/archives/100084.html
2019年11月15日「大手企業の2019年冬季賞与の妥結額平均は前年比1.49%増の964,543円」
https://roumu.com/archives/99576.html
2019年11月13日「東京都労組の2019年年末一時金調査 中間発表では前年比+0.13%増の798,141円」
https://roumu.com/archives/99526.html
2019年10月3日「東証一部上場企業の今年の年末一時金の水準は747,808円(前年比▲0.1%)」
https://roumu.com/archives/98292.html
2019年9月18日「民間主要企業の令和元年夏季賞与の平均妥結額は前年比▲2.90%の845,453円」
https://roumu.com/archives/97537.html
2019年7月29日「新入社員の夏季賞与平均支給額 大学卒87,636円、高校卒69,064円」
https://roumu.com/archives/97073.html

参考リンク
東京都産業労働局「2020年 夏季一時金要求・妥結状況について(中間集計)(令和2年6月4日現在)」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/06/08/07.html

(大津章敬)

退職の意思表示は口頭でも問題ないのでしょうか?

A 口頭でも意思表示は成立するが、後々のトラブルを防止するためにも退職願を提出させるべきでしょう。

1.退職の意思表示
 労働者から使用者へ退職の意思表示をする方法について、法律上の制約はありません。よって、口頭でも退職の効力は発生します。しかし、口頭の場合は、後に「言った」「言わない」のトラブルが発生しやすいことから、労働者に書面で退職願の提出を求めることがよいでしょう。退職願の提出を求めた上で、使用者が承諾するという形式を採ることをお勧めします。

2.退職願への記載事項
 退職願の様式は定められていませんが、少なくとも(1)退職の意思表示、(2)本人の署名、(3)提出日、(4)退職日の4点を記載してもらう必要があります。特に、退職日がいつであるかが曖昧となってしまうことも多いため、退職願の書面上ではっきりと記載してもらうようにしましょう。

3.就業規則への自己都合退職時の申出期限の記載
 期間の定めのない労働契約の場合、民法627条第1項において、労働者は退職の意思表示をしてから2週間後にはその労働契約が終了する、つまり退職することが可能とされています。よって、例え使用者が退職の申し出を拒否したとしても退職は有効に成立することとなります。とはいえ、使用者からすれば退職の意思表示から2週間後に退職では、引継ぎ期間が十分に取れず、困ってしまうというのが実情です。よって、退職のルールについては、就業規則に「自己都合で退職を希望する場合は、退職予定日の1ヶ月前までに退職願を届け出た上で会社の承認を得なければならない」といった趣旨の規定を設け、使用者にとって十分な期間を定めておくとよいでしょう。

 この効果はあくまでもお願いレベルではあるかも知れませんが、2週間前の申し出という規定の場合、本当に2週間前に退職願を提出するというケースが少なくありません。よって実務上は少し余裕を持って退職願を提出してもらうように就業規則で定めをすることがポイントとなります。

[参考法令]
民法 第627条第1項(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

(渡たかせ)

暑くなってきましたが、熱中症予防におけるマスクの取り扱いはどうしたらよいでしょうか?

 先週くらいから最高気温が30度を超えるような日が増えている。暑いのが苦手な大熊にとってはつらい時季がやってきた。


大熊社労士
 おはようございます。
宮田部長宮田部長
 大熊先生、おはようございます。しかし、本当に暑くなってきましたね。今日の最高気温も30度ですよ。つらい時季になってきますね。
大熊社労士
 本当にそうですね。でも、いまはクールビズなのでまだましなのかも知れませんね。昔はこんな気温でもネクタイまでしていたのですから。
宮田部長
 確かにそうですね。でも、今年は新型コロナウイルスの影響で、夏であってもマスクが必要になりそうですね。既に息苦しいのに、どうなっちゃうんだろうって思います。
大熊社労士大熊社労士
 そうですね。そんな状況もあってか、厚生労働省では「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました。そのポイントは以下の4つとなっており、その中にマスクの着用についても盛り込まれています。
(1)マスクの着用について
(2)エアコンの使用について
(3)涼しい場所への移動について
(4)日頃の健康管理について
福島照美福島さん
 そうなんですね。マスクをするようになって、口元にニキビができやすくなって困っていたんです。これでもっと暑くなったらどうなるんだろうって。
大熊社労士
 そんな話も最近、よく耳にしますね。このポイントの中で、マスクの着用については、飛沫の拡散予防に有効で、「新しい生活様式」でも基本的な感染対策として着用が要請されています。ただ、高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるので、屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、マスクを外すようにとしています。
宮田部長
 マスクを外すのは屋外ということなのですね。ということは、事務所や工場の中ではマスクをしたままということですか。とほほ…。
大熊社労士
 ですよね。ただ、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、マスクを一時的にはずして休憩することも必要としていますので、休憩をうまく活用していきましょう。あと、喉の渇きを感じにくくなりますので、喉が渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけることも求めています。
服部社長服部社長
 確かにそれは重要かも知れませんね。当社でも特に工場では水分を積極的に取るように指示していますが、今年は特に注意が必要ですね。
大熊社労士
 そう思います。あと換気をする関係で室内温度が高くなりがちなので、エアコンの温度設定を下げるなどの調整も必要となりますね。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。また東京では新規感染者数が増加しており、まだまだこの問題は続いていきますが、この暑さの中、マスク着用を嫌がる社員も増加しています。今回の厚生労働省の資料も参考にしながら、自社としての感染予防対策の方針を示してきましょう。


参考リンク
厚生労働省「「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイントをまとめました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_coronanettyuu.html

(大津章敬)

小学校休校等対応助成金の事後申請を検討してみるとよいでしょう

 緊急事態宣言解除は喜ばしくも、再び新規感染者数が増加していることを心配している大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!最近はすっかり暑くなってきましたね。
宮田部長宮田部長
 本当にそうですね。都市によっては、早くも夏日なんていう話も出ています。大熊先生も私も暑さには弱いんで、これからの季節は困りますね。ほんとに。来月は冷房で部屋をガンガン冷やしておきます(笑)
大熊社労士
 ありがとうございます(笑)。さて、今日は福島さんからご相談があると聞いていますが。
福島さん
 はい、実は小学校休業等対応助成金のことなんです。当社でも小学校休業や保育園の登園自粛などで、仕事に来られない従業員が数名出ています。本当であれば、助成金も活用し、給与を支給してあげたいと考えていたのですが、この助成金は100%の賃金保証が前提となっており、躊躇していました。でも、年次有給休暇を使い切って、実際に欠勤が発生している者も出ていて、なんとかできないものかと考えていたのです。
服部社長服部社長
 この問題には本当に頭を抱えています。個人的には、本人の責任ではなく、仕事に来られないのだから、給与を保証してあげたいと思っています。確かに上限が8,330円ですので、いくらかの持ち出しは発生しますが、そんなことは別にいいのです。しかし、祖父母やママ友などの協力を得て、無理をしながら出勤してくれる従業員が多いことを考えると、100%の給与保障にはなかなか踏み切れません。また当社の従業員ではないと信じていますが、「給与が保証されるのであれば休めばいい」というようなモラルハザードが起こることも懸念しています。
大熊社労士
 本当にそうですよね。そのお気持ちはよく分かります。実は最近、SNSを見ていても、従業員側からの「特別有給休暇を取得した対象労働者に支払った賃金相当額全額が助成金として支給されるのに、どうして会社はそれを申請して賃金を支給してくれないのか」という書き込みが多く見られます。そこで私もなんとか労使共に無理のない対応がないものかと考えていたところなのです。
福島さん
 そうだったのですね。それでいい案はありましたか?!
大熊社労士
 そうですね。私が考えた案は、これまで欠勤した日や取得した年休を、6月中旬以降に事後的に特別休暇に振り替えて、助成金を申請するというものです。
福島さん
 え、そんなことができるのですか?
大熊社労士
 はい、まずは以下のQ&Aをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000633495.pdf
Q6-3 年次有給休暇や欠勤を、事後的に特別休暇に振り替えた場合は対象になりますか。
A 本助成金においては対象になります。なお、年次有給休暇を事後的に特別休暇に振り替える場合には、労働者本人に説明し、同意を得ていただくことが必要です。
Q6-4 欠勤や無給の休暇を、事後的に有給の特別休暇に振り替えましたが、賃金締切日を過ぎていたため、特別休暇日の賃金を、翌月の賃金で支払いました。この場合でも助成金の対象となりますか。
A 翌月の賃金で支払った場合でも対象となりますが、その旨がわかる確認書類(翌月分の給与明細等)を添付して申請を行ってください。
福島照美福島さん
 本当ですね。一旦、欠勤や年休で処理された日を、事後的に特別休暇に振り替えた場合でも、この助成金は申請が可能なのですね。
大熊社労士
 そうなのです。緊急事態宣言が解除され、いま学校も段階的に正常化してきています。たぶん6月中旬には通常通りの状態に戻っていることでしょう。となれば、それ以降に特別休暇の扱いを事後的に決定すれば、新たな対象者が出て来ることはなく、先ほどのモラルハザードの問題は発生しません。
服部社長
 確かにそうだ。
大熊社労士大熊社労士
 さらには、助成金の上限額8,330円ですが、こちらは15,000円まで引き上げられることが厚生労働省より発表されており、まもなく詳細が示される予定です。この上限引き上げにより、会社の持ち出しが発生するケースは非常に限定的なものになるでしょう。また、従業員間の不公平感の問題については、賞与の評価などに反映するといった工夫を行うことが想定されます。ただ、本質的には「困ったときにはお互い様」という風土を醸成すること、またお休みを取得する側も、少なからず同僚に負担を負ってもらっているということを理解し、それへの感謝の気持ちを示すなどの配慮が求められます。
福島さん
 そうですよね。「権利だから当然」といった態度だと、周囲の協力を得ることも難しくなってしまいますからね。
大熊社労士
 実はそういったところが、実務では一番大事であり、ケアが必要かなと思っています。
服部社長
 大熊さん、これはいい案ですね。当社でも検討を行ってみます。福島さん、まずは対象者のピックアップと学校等の状況についてまとめてください。
福島さん
 了解しました!ありがとうございます!

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。歴史に残るような大混乱の時代になってしまい、企業も従業員も大きな不安に包まれています。今回、小学校が休校することによって従業員が働けないという問題が発生した訳ですが、これは会社も従業員も被害者であり、どちらかが悪いという問題ではありません。今後、ポストコロナの時代に安定的な業務の回復を進めるためには従業員の安心感を高め、そのモチベーションを引き出すことは不可欠です。今回の上限額の引き上げにより、企業のコスト面の負担は限りなく小さくなっており、デメリットが少ない事後申請であれば十分に検討できる状況にあるのではないでしょうか。

 なお、本助成金の申請はそれほど難しいものではありませんが、厚生労働省では本助成金の申請方法に関する解説動画(全国社会保険労務士会連合会協力)も公開しておりますので、是非ご覧ください。
https://roumu.com/archives/102301.html


関連記事
2020年5月26日「小学校休業助成金 上限額引上げ4月1日に遡り適用 雇調金も同様か?」
https://roumu.com/archives/103049.html
2020年5月13日「短時間授業や分散登校の際の小学校休業等対応助成金の取扱い」
https://roumu.com/archives/102775.html
2020年5月12日「小学校休業等対応助成金の送付先住所が変更になりました」
https://roumu.com/archives/102735.html
2020年5月11日「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金をご活用ください」
https://roumu.com/archives/102739.html
2020年4月21日「保育所自粛要請等により小学校休業等対応助成金の申請が今後増えそうです」
https://roumu.com/archives/102306.html
2020年4月18日「厚生労働省 小学校等休業対応助成金の解説ビデオ(概要から手続まで)を公開」
https://roumu.com/archives/102301.html

参考リンク
厚生労働省「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の上限額等の引上げ及び対象期間の延長について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11498.html

(大津章敬)

雇用調整助成金FAQ 5月28日現在版に更新(5月19日付特例措置への対応)

 雇用調整助成金は5月中旬以降、支給申請および支給決定件数が急速に伸びており、2020年5月27日時点では、累計支給申請件数が57,750件(対前日比+6,796件)、累計支給決定件数が29,414件(対前日比+2,907件)となっています。もっとも今後は更なる急増が予想されます。

 そんな中、支給申請等を行うにあたって重要な資料の一つとなるFAQが5月28日現在版に更新されました。今回新たに設けられた設問は以下のとおりとなっています。
問1 5月19日付けの特例措置の主旨を教えてください。また、主な特例措置の内容を教えてください
問2 5月19日以降、これまでの特例措置(助成率の引上げ、生産量要件の緩和など)利用できなくなるのでしょうか。
問3 これまでにどのような特例措置があるのでしょうか。また、今回の特例措置はいつから適用されますか。
問4 小規模事業主であり、既に1度目の申請を行っていますが、2回目の申請から、簡易版様式に変更することは可能でしょうか。
問5 すでに支給決定され、雇用調整助成金が振り込まれましたが、これを取り消して、5月19日からの特例措置により、課税支給額の合計額を用いて平均賃金額を改めて算定し、申請し直すことは可能でしょうか。
問6 これまで生産指標要件の確認のため、「計画届を提出する月の前月の生産量」があれば良いとなっておりましたが、5月19日から「休業した初日が属する月の生産量」等が必要になりました。以降は「提出する月の前月の生産量」では受け付けてもらえないのか。
問7 5月19日付けの特例措置の内容はすべて小規模事業主向けでしょうか。
問8 5月19日付け支給申請マニュアル等には、「従業員が概ね 20人以下の会社や個人事業主の方を対象としています。」とありますが、従業員が 20人を超える場合も5月19日付け施行の特例措置を使えるでしょうか。

 このように5月19日付の特例措置に関する設問が追加されております。FAQは以下よりダウンロードできますので、申請の際には確認をお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/content/000634943.pdf


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参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

(大津章敬)

新型コロナの影響で、今後も仕事の仕方などが大きく変わりそうですね

 この週末は天候に恵まれ、よい気分転換ができた大熊であった。


大熊社労士
 おはようございます!
服部社長服部社長
 おはようございます。新型コロナの問題も自粛の成果なのか、状況が大きく変わってきましたね。東京など首都圏の1都3県と北海道で続く緊急事態宣言も今日にも解除される方針ということで、少し安心しています。
大熊社労士
 そうですね。いわゆる第二波は心配されますが、東京もニューヨークのようになるなどという話があった中で、その予測が外れて本当に良かったと思います。
福島照美福島さん
 そうですね。一時期はどうなるかと思いましたが、まずは最初のヤマを越えることができたようで、嬉しいですね。私もこの週末はお弁当を持って家族で公園に出かけてきました。なんか、普通のことがすごく幸せに感じられました。こんな気持ちになれたのは、コロナのお陰かも知れませんね。
大熊社労士
 そのような話はよく耳にしますね。新型コロナは世界中で多くの人の命を奪い、また経済も破壊しました。でも、もしかしたら今後の影響として一番大きいのは、世界中の人々が、これまでの生活や仕事、社会の在り方について価値観を改めるきっかけになったということかも知れないなと思っています。
服部社長
 そうかも知れませんね。働き方に関して言えば、今回、多くの企業でテレワークが実施されました。またWEB会議の導入で出張も激減しました。飲み会も自粛になり、夜、家族と過ごす時間が長くなったというような話も多く聞きます。
大熊社労士
 本当にそうですね。今回のコロナの影響で働き方が強制的に変えられたことにより、いろいろなことが見えたのだと思います。そして、よくよく考えたら、従来のやり方はおかしかったのではないかという気づきが生まれているのではないでしょうか。
宮田部長宮田部長
 毎晩のようにお客様や同業者、社内の仲間で飲みに行っていたのが急になくなってしまった訳ですが、なければないなりに仕事は回っていくものだと実感しているところです。それに財布の中のお金の減り方もかなり遅くなったので、驚いています。
大熊社労士
 そうですよね。実は私もその点は同じです(^^;)。また、働き方がリセットされたことで、いろいろな課題も見えたのではないかと思います。例えば、テレワークを行おうと思っても、社内のペーパーレス化が進んでいないので、うまくいかなかったとか、ベテラン社員のITリテラシーが低く、WEB会議が使いこなせず、働き方を見直すにあたっての抵抗勢力になってしまっているだとか。
福島さん
 そうですね。当社でもいろいろ課題が見えてきたように思います。
大熊社労士大熊社労士
 コロナの問題は今後、ポストコロナになるのか、ウィズコロナになるのか分かりませんが、いずれにしてもまだまだ従来の働き方に戻すことはできませんし、また戻すのが良いとも言えません。特にテレワークについては、そのメリットを実感した労働者も多いと思います。今後、テレワークの可否が会社選択のポイントの一つになっていくでしょう。
服部社長
 確かにそうですね。当社は現場もあるので、テレワークができない部門もありますが、これをきっかけにゼロベースで仕事の進め方を見直さなければならないと思っているところです。
大熊社労士
 それは素晴らしいと思います。私も御社が働く人と会社の双方にとってよりよい環境になるように最大限の支援をしていきたいと思います。
服部社長
 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 おはようございます。大熊です。新型コロナウイルスは、将来、歴史の教科書に載るような大混乱を世界にもたらしていますが、日本の労働史にも別の形で記録されることになると思われます。戦後、長く続いてきた日本人の働き方は今回の騒動をきっかけに大きく変わっていくのでしょう。その流れをしっかり理解し、人事労務管理のバージョンアップを行うことが急務となってきます。面白い時代になってきました。


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(大津章敬)