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年末の部下面談での上手な質問の仕方を教えてください

 年末の個人面談の季節が近づいてきた。いつものことながら各部署の管理職から、部下と一体どのような面談を行うことが効果的なのかといった質問が寄せられる宮田部長は、大熊社労士に部下との面談のポイントについて質問していた。






宮田部長宮田部長:
 もう11月も終わりですね。本当に1年というのは早いもので、先日元日に立てた個人的な目標を見返してみたのですが、まったく目標が達成できないうちに今年もおわってしまいそうですよ(苦笑)。
大熊社労士:
 そうですか。宮田部長、私も毎年元日に目標をたてるのですが、手帳の最初のページに目標を貼り付けたり、会社の机にあるカレンダーなどに貼っておいて常に目に入るようにすると、日常的にそれを意識することから案外目標を達成できますよ。
宮田部長:
 なるほど、そうですか。毎日見ることが大切なんですかね。そうそう、年間のまとめということで思い出しましたが、当社では年末に上司が部下の面談を行っています。毎年面談をする者から「どのように面談をしたらいいのか?」というような悩みの声を聞くのですが、ポイントのようなものをアドバイスいただけないでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、部下の面談のときの上司が気を付けるべきポイントということですね。それでは、コミュニケーション能力という観点からいくつかポイントを説明させていただきましょう。
宮田部長:
 お願いします。、コミュニケーションってなんだかわかったようなわからないような言葉ですよね。
大熊社労士大熊社労士:
 ええ、「よくあの人はコミュニケーション能力が高い、低い」などと言うことがありますが、「コミュニケーション能力」のままではよく分かりませんよね。コミュニケーションの基本は「会話」となりますが、これは「話す」ことと「聞く」ことの2つに分けられます。

宮田部長:
 ああ、そうですね。「うちの部署はコミュニケーションが悪い」なんていっていると、具体化しませんが「うちの部署は会話がない」と日本語に言い直すと、危機感がよく伝わると何かの本で読んだ覚えがあります。
大熊社労士:
 なるほど、すばらしい言い換えですね。早速私も使わせていただきますよ(笑)。さて、まずは「話す」方のことから確認しておきましょう。これは「能力」として言い換えると「質問力」というような言い方ができますね。
宮田部長:
 質問力ですか。クローズドクエスチョンとかオープンクエスチョンというものを聞いたことがありますす。意味はちょっと覚えてないですけど…。
大熊社労士:
 そうですね。クローズドクエスチョンというのは、答が一つしかないような質問で、例えば、えー、突然の質問になってしまいますが、「宮田部長、りんごがお好きですか?」
宮田部長:
 はい、好きです。
大熊社労士:
 ありがとうございます。クローズドクエスチョンというのは、このように答が決まってしまって、広がりがないような質問のことで、別名「特定質問」とも言われています。一方、オープンクエスチョンというのは、「宮田部長、将来の夢はなんですか?」という形式のものです。こう聞かれたらどのように返答しますか?
宮田部長:
 ん~、そうですね~、定年を迎えたら、世界一周旅行にいくのもいいし、東南アジアのビーチリゾートでのんびりなんてのも捨てがたいな~、いやいや日本中のおいしいものを食べ歩きなんてのもありかな。
大熊社労士:
 そうそう、このように答を広げさせるような質問のことをオープンクエスチョンといって、別名「拡大質問」といったりもします。
宮田部長:
 なるほど、面談のときなんかには、「○○君は、将来はどういった仕事を担当してみたいの?」なんて質問を投げかけ、部下に主体的に目標を考えさせることもできそうですね?
大熊社労士:
 そのとおりです。面談で部下の考え方を引き出したいようなときにはオープンクエスチョンというのは有効な手段ですね。ただ、あまりも質問が大きすぎると具体化できずに回答に窮することもあるので注意してくだいさいね。また、オープンクエスチョンばかりなく、クローズドクエスチョンも面談の場面においては重要なんですよ。例えば怖い上司がいて、いきなりオープンクエスチョンをしても、部下が緊張していてうまく質問に答えられない場合もあります。そんなときは、簡単に答えやすい質問から入っていって、部下の緊張をクローズドクエスチョンで解いてあげるという使い方もあるんです。
宮田部長:
 なるほど、上司としては、その場その場で臨機応変にどちらの質問もできるようにしておいてもらわないといけませんね。
大熊社労士:
 ええそのとおりです。次回は「聞く」側の能力についてお伝えしましょう。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは大熊です。部下の育成面談などの場においては、特定質問と拡大質問と同様に、未来質問と過去質問、肯定質問と否定質問を知っておくことも大切ですので、そちらについてもお伝えしておきましょう。


 未来質問というのは未来の目標達成に向けて「これからどうしたいのか?」「どうすれば達成できるか?」を聞くことを言います。部下の視点を未来に向かわせたいときに使います。一方過去質問というのは、「これまではどうだったのか?」など過去について聞くときに使います。もちろんこれも過去質問が悪いというわけではなく、部下と過去の共通認識を確認したいときは有効な質問となります。


 肯定質問というのは、否定的な言葉を含まない質問です。「どうすれば達成できるか?」と聞くことによって部下に前向きな意欲を与える効果があります。一方の否定質問は「どうして失敗したのか?」というような否定的な言葉になっているような質問のことをいいます。こちらの否定的な質問が悪いということではなく、反省点を考えさせてから、未来質問につなげるなど、部下の思考を導くときには有効な質問です。


 どちらにしても上司はいろいろな質問のメニューをそろえておき、臨機応変に使い分けることが、有効な面談とするために重要なポイントとなります。


(中島敏雄)


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脳・心臓疾患の労災認定基準に関する最新リーフレット ダウンロード開始

脳・心臓疾患の労災認定基準に関する最新リーフレット 過重労働対策は近年の労務管理の最重要事項の一つとなっていますが、労働基準行政においても過重労働は重点指導事項とされています。そんな中、厚生労働省はリーフレット「脳・心臓疾患の労災認定」の最新版を公開しました。


 このリーフレットでは、脳・心臓疾患の認定基準の概要、過労死がどのように労災認定されるのかについて、わかりやすくまとめてられおり、企業にとっては過重労働の負荷要因を探す上でも活用できる内容となっておりますので、是非以下よりダウンロードしてご利用ください。


リーフレット「脳・心臓疾患の労災認定基準」のダウンロードはこちら
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50953560.html



関連blog記事
2010年11月20日「相談件数は減少も家族からの相談が増加した今年の「労働時間相談ダイヤル」の結果」
https://roumu.com
/archives/51800175.html
2010年3月26日「4月1日に改正される労働時間等見直しガイドラインのポイント」
https://roumu.com
/archives/51712938.html


(大津章敬)


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脳・心臓疾患の労災認定-「過労死」と労災保険

lb04057タイトル:脳・心臓疾患の労災認定-「過労死」と労災保険
発行者:厚生労働省
発行時期:平成22月11月
ページ数:12ページ
概要:脳・心臓疾患の認定基準の概要を「過労死」がどのように労災認定されるのかについてわかりやすく解説したリーフレット
Downloadはこちらから(7.15MB)
http://www.lcgjapan.com/pdf/lb04057.pdf



関連blog記事
2010年6月15日「前年比2割超の増加となった精神障害等に係る労災請求件数」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51748768.html
2010年6月14日「12年連続で3万人を超えた自殺者数と高まるメンタルヘルスケアの重要性」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51748372.html

2009年7月21日「精神障害等の労災補償について」
https://roumu.com/archives/50512560.html
2009年7月20日「脳・心臓疾患の労災認定-「過労死」と労災保険-」
https://roumu.com/archives/50512559.html
2009年7月17日「長時間労働者への医師により面接指導制度について」
https://roumu.com/archives/50509024.html
2009年6月13日「高水準で推移する過重労働に基づく過労死・精神障害の労災認定件数」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51569629.html
2008年3月24日「衛生委員会ではどのようなことを行えば良いのでしょうか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/64852423.html
2008年3月17日「産業医にはどのような役割があるのですか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/64852408.html
2008年3月10日「衛生管理者が長期で休んでしまったら、どうすれば良いのでしょうか?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/64834167.html
2008年3月3日「従業員50名以上になったときに求められる安全衛生管理体制とは?」
http://blog.livedoor.jp/ookumablog/archives/64834156.html

参考リンク
厚生労働省「平成21年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006kgm.html


(福間みゆき)


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労務ドットコムの超最新情報はtwitterでフォロー! 労務ドットコムでは、ホームページ、メルマガ、ブログなどによって人事労務管理の実務に有用な情報を提供していますが、今年の年初よりツイッターでも情報提供を開始しております。労務ドットコムのツイッターでは、官公署等が発表した最新情報を速報で取り上げたり、ホームページやブログでは取り上げていない細かな情報も素早くツイート(つぶやき)しています。最新情報を押さえておきたいという方は是非、フォロー(定期購読)をお願いします。


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関連blog記事
2010年9月20日「ツイッター利用での情報提供を厚生労働省が開始」
https://roumu.com
/archives/51781962.html
2008年4月15日「労務ドットコムメルマガ 登録者7,000名突破!」
https://roumu.com
/archives/51307018.html
2007年3月7日「ご登録頂いていますか?労務ドットコムのメールマガジン」
https://roumu.com
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2006年1月16日「労務ドットコム・メルマガ 創刊9年目に突入!」
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参考リンク
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http://www.mag2.com/m/0000000798.html


(宮武貴美


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日本経団連調査による大企業冬季一時金の第2回集計結果は1.47%プラスの765,341円

日本経団連調査による大企業冬季一時金の第2回集計結果 2010年11月1日のブログ記事「日本経団連調査による大企業冬季一時金の第1回集計結果は3.76%プラスの776,949円」では、日本経団連の賞与集計についてお伝えしましたが、先日、この第2回集計(2010年11月24日現在)が発表されましたので、本日はその内容を見ていくこととしましょう。


 この調査の対象は主要21業種・大手250社で、東証一部上場、従業員500人以上が原則。今回の集計では妥結し、平均額が判明している105社の集計結果となっています。これによれば今冬の大手企業のボーナスの平均妥結額は765,341円という結果となりました。昨年同季の実績は754,994円でしたので、1.47%のプラスとなっています。もっとも、昨年は一昨年と比較して△16.36%の大幅減という結果でしたので、かなり落ち込んだところからいくらか改善しているという状況にあるというのが正しい理解でしょう。


 これを業種別に見ると、製造業の平均は756,307円(前年同季比1.31%プラス)、非製造業の平均は812,198円(同2.14%プラス)となっています。



関連blog記事
2010年11月21日「連合調査による冬季賞与の平均回答額は前年同季比3%プラスの668,589円」
https://roumu.com
/archives/51800710.html
2010年11月16日「都内労働組合の冬季賞与平均妥結額は727,407円と前年比2.05%のマイナス」
https://roumu.com
/archives/51799262.html
2010年11月1日「日本経団連調査による大企業冬季一時金の第1回集計結果は3.76%プラスの776,949円」
https://roumu.com
/archives/51795159.html
2010年7月21日「日本経団連調査による大企業夏季一時金の最終集計結果は0.55%プラスの757,638円」
https://roumu.com
/archives/51762491.html
2010年7月10日「日本経団連調査による大企業夏季一時金の第二回集計結果は0.46%プラスの759,728円」
https://roumu.com
/archives/51757864.html
2010年6月25日「都内労働組合の夏季賞与平均妥結額は711,732円と前年比2.72%の増加」
https://roumu.com
/archives/51751674.html


参考リンク
日本経団連「2010年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(第2回集計:2010年11月24日)」
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/111.pdf


(大津章敬)


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支給額42万円の恒久化が厚労省部会で議論される出産育児一時金

支給額42万円の恒久化が議論される出産育児一時金 2010年11月12日のブログ記事「上限額の設定などが検討される傷病手当金と出産手当金の改正」では、健康保険の手当金の改正動向を取り上げました。本日はこれに関連し、第42回社会保障審議会医療保険部会(以下、「部会」という)の配布資料より出産育児一時金の動向について取り上げておきましょう。


 出産育児一時金は、平成21年10月1日から4万円の引上げが行われ、産科医療補償制度に加入する医療機関等において出産した場合には42万円が支給されることとなりました。これは、平成21年10月1日から平成23年3月31日までの間の出産に関する暫定的な措置として導入されており、現在、来春以降の取り扱いについて検討が行われています。


 この件について部会の資料を確認すると、「支給額42万円とする。医療保険者への支援については、医療保険制度全体の中での医療保険者への影響も含めて、引き続き、予算編成過程において検討。支給額の水準については、今後も、必要に応じて議論。」の3点が素案として挙げられています。これに対する部会の意見としては、「現状でお産をする際に経済的負担が必要な状況にある。増額を検討すべき。減額は到底考えられない」「いまの現実を追認する形で、当面は推移するのがよいのではないか」「4万円引上げの暫定措置は、恒久措置とすべき」と言った意見が出ています。保険財政を踏まえれば、本来の38万円に戻すと言う意見もありますが、資料を確認する限りでは、恒久化の意見が多数を占めているようです。


 いずれにしても、平均的な出産費用が473,626円である現状と少子化を考えると、被保険者の負担が少なくなるような制度構築が求められているのは間違いありません。



関連blog記事
2010年11月12日「上限額の設定などが検討される傷病手当金と出産手当金の改正」
https://roumu.com
/archives/51798278.html
2009年9月10日「出産育児一時金 制度の見直しの概要」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50531831.html
2009年8月28日「10月より変更される出産育児一時金の支給額と支給方法」
https://roumu.com
/archives/51610637.html
2009年5月26日「出産育児一時金の引き上げが官報公告により正式発表」
https://roumu.com
/archives/51558424.html
2009年4月2日「出産育児一時金 2009年10月より原則42万円に引上げ」
https://roumu.com
/archives/51528865.html
2008年12月9日「平成21年1月1日より出産育児一時金が38万円に引き上げ」
https://roumu.com
/archives/51463116.html


参考リンク
厚生労働省「第42回社会保障審議会医療保険部会配布資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000wci7.html


(宮武貴美


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11月30日開催セミナー「海外勤務者の税務・労務管理の盲点と対応策」満席


無料セミナー「海外勤務者の税務・労務管理の盲点と対応策」 ご案内をしておりました11月30日開催のセミナー「海外勤務者の税務・労務管理の盲点と対応策」は満席となりました。多くのお申し込みをいただきましてありがとうございました。名南経営では海外進出企業を支援するセミナーを今後も定期的に開催していきますので、是非ご参加ください。



 製造業を中心に既に多くの企業が生産拠点を海外に移し、また今後もその傾向は強まるものと考えられますが、十分な管理体制の下で赴任をさせなかったことで、労務面や税務面でトラブルになるケースが少なくありません。中には、給料の手取り額が大幅に減少し、モチベーションの低下によってエース級の従業員が退職をしてしまった、というケースもありますが、こうしたことは氷山の一角で、決して珍しいことではありません。


 今回のセミナーは、現在海外に支店や営業所を設置している企業やこれから海外に進出をしようと考えている企業に対して、これまで様々な企業に対して海外進出の労務面・税務面の支援を行ってきたノウハウを元に、様々な角度から管理上の盲点等をお話し、今後のトラブル対策に役立てて頂こうと企画をしたものです。



海外勤務者の税務・労務管理の盲点と対応策


【第1部】海外勤務者の労務管理の盲点と企業の対策

講師:株式会社 名南経営 社会保険労務士 服部 英治
□労働基準法の適用と労務管理
□過重労働とメンタルヘルス対策
□本人及び家族の年金対策
□給与設定のケーススタディなど

【第2部】海外勤務者の給与等の税務対策と現地法人の税務管理
講師:名南税理士法人 税理士 郭 曙光
□海外勤務者の日本での課税関係
□海外勤務者の赴任国での課税関係と租税条約
□二重課税の対応
□日本法人と現地法人の費用負担割合、送金対策 等


[開催要領]
日 時:平成22年11月30日(火)13:30~16:30[満席]
会 場:ウィンクあいち(愛知県産業労働センター)1006研修室(名古屋駅)


(大津章敬)


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内閣答弁書で示されたタイムカード打刻時間と現実の労働時間の関係

質問 本日は、11月9日に内閣から衆議院に送付された「衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対する答弁書」の内容の短期連載の最終回。今回は、タイムカードの記録に基づく賃金支払いの必要性について述べられている部分について取り上げます。



【質問四】
 タイムカードで、正確な労働時間が算定できるか否かの疑義がある。判例には、「就業開始前の出勤時刻については余裕をもって出勤することで始業後直ちに就業できるように考えた任意のものであったと推認するのが相当であるし、退勤時刻についても既に認定した営業係の社員に対する就労時間の管理が比較的緩やかであったという事実を考えると、打刻時刻と就労とが一致していたと見做すことは無理があり、結局、原告についてもタイムカードに記載された時刻から直ちに就労時間を算定することは出来ないと見るのが相当である」とされた三好屋商店事件(東京地判、昭和六十三年五月二十七日)、や「被告におけるタイムカードも従業員の遅刻・欠勤を知る趣旨で設置されているものであり、従業員の労働時間を算定するために設置されたものでないと認められる。したがって、同カードに打刻・記載された時刻をもって直ちに原告らの就労の始期・終期と認めることはできない」とされた北洋電機事件(大阪地判、平成元年四月二十日)など、タイムカードで直ちに労働時間を算定することができないと否定的な立場のものも少なくない。


 また、平成十六年三月二日受領の「衆議院議員長妻昭君提出国のタイムカード導入及び賃金不払い残業に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質一五八第一五号)において、国は「厚生労働省における職員の勤務時間管理については、国の機関として国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、人事院規則等に基づき勤務時間報告書等を適切に管理することにより特段の支障なく行っているところであり、また、タイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できないことから、勤務時間管理の手法としてタイムカードの導入は必要でないと考える。(中略)タイムカード導入のメリット及びデメリットについては、その導入により職員の登庁及び退庁の時刻を把握することが可能になると考えられるが、一方、機械的に登庁及び退庁の時刻を記録するタイムカードのみでは職員の正確な勤務時間が把握できないと考えられ、また、導入のための費用も必要になると考えられる。」と答弁している。


 このように国が、国家公務員の勤務時間の把握につき、「職員の正確な勤務時間が把握できない」と認識しているタイムカードにつき、民間に対しては、その打刻時刻にもとづいて労働時間を算定すること、ならびに、これにより算出された労働時間から、賃金の支払いを強要することは、おかしいのではないか。この点につき、見解を明らかにされたい。


【内閣答弁書】
四について
 労働基準監督機関においては、御指摘のようにタイムカードの記録により算定された労働時間に基づく賃金の支払を強要しているわけではなく、タイムカードの使用を含め、個々の事業場の実情に応じた適切な方法により確認された労働時間に基づき、賃金を支払うよう行政指導を行っているものである。



 厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」においては、使用者にタイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として、始業・終業時刻を確認し、記録することを求めていますが、今回の答弁ではタイムカードの打刻時間が必ずしも労働時間と一致するものではないという点が確認されています。もっともタイムカードの打刻時刻を無視してもよいというものではありませんので、実態としての労働時間を合理的に算定する仕組みの構築が求められます。


名南経営 好評の【未払い残業代問題対策セミナー】音声CDを発売
 全国で未払い残業代請求問題が大きな話題となっていますが、名南経営ではその企業への啓蒙を目的として、愛知・岐阜・三重を中心にこのテーマに関するセミナーを数多く開催してきました。今回、他地域のみなさまからの多くのご要望に対応し、平成22年11月19日に名古屋で開催した未払い残業代請求問題対策セミナーの音声+レジュメを7,800円で販売させて頂くこととなりました。基本的には一般企業の経営者・担当者のみなさまを対象としていますが、税理士・社会保険労務士など専門家のみなさまもお買い求めいただけますので、是非ご利用ください。なお発送は11月29日以降となりますのでご了承をお願いします。
https://roumu.com
/archives/51801279.html




関連blog記事
2010年11月24日「内閣答弁書で示された労基署の指導監督の役割および法違反に係る勧告・指導の位置付け」
https://roumu.com
/archives/51800462.html
2010年11月22日「内閣答弁書示された「監督官には不払い残業代の支払い命令権限なし」という見解」
https://roumu.com
/archives/51800460.html
2010年11月13日「景気低迷で減少も依然として高水準にある賃金不払残業の労基署是正指導の状況」
https://roumu.com
/archives/51798199.html
2010年10月25日「監督署是正指導による未払い残業代の支払いが大幅減」
https://roumu.com
/archives/51792776.html
2010年3月26日「4月1日に改正される労働時間等見直しガイドラインのポイント」
https://roumu.com
/archives/51712938.html
2009年10月26日「平成20年度のサービス残業是正支払額は1,553社で196億円」
https://roumu.com
/archives/51642201.html


参考リンク
労働基準監督機関の役割に関する質問主意書
平成22年10月29日提出 質問第103号
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a176103.htm
衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対する答弁書
内閣衆質176第103号 平成22年11月9日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b176103.htm
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0104/h0406-6.html
衆議院議員 村田吉隆
http://murata-yoshitaka.jp/


(大津章敬)


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イクメンプロジェクト

lb01352タイトルイクメンプロジェクト
発行者:厚生労働省
発行時期:平成22年9月
ページ数:2ページ
概要:イクメンプロジェクトとは何かを紹介したパンフレット
Downloadはこちらから(1.03MB)
http://www.lcgjapan.com/pdf/lb01352.pdf 



関連blog記事
2010年3月5日「厚生労働省から「改正育児・介護休業法に関するQ&A」が公開」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51703762.html
2010年2月19日「改正法対応の育児・介護休業規程 ダウンロードを開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51698802.html
2010年2月5日「厚生労働省より公開された改正育児・介護休業等に関する規則の規定例」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51692789.html
2010年1月31日「厚労省担当課長の談話に見る改正育児・介護休業法の背景・目的」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51690787.html
2010年1月22日「「[新改正育児介護休業法]所定外労働の免除の義務化が除外できるケースと注意点(2)」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51686226.html
2010年1月18日「[新改正育児介護休業法]1歳までの再度の育児休業申し出(1)
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51683890.html

参考リンク
厚生労働省「イクメンプロジェクト」
http://www.ikumen-project.jp/index.html


(福間みゆき)


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内閣答弁書で示された労基署の指導監督の役割および法違反に係る勧告・指導の位置付け

答弁書表紙 本日は2010年11月22日のブログ記事「内閣答弁書示された「監督官には不払い残業代の支払い命令権限なし」という見解」に引き続き、11月9日に内閣から衆議院に送付された「衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対する答弁書」の内容について取り上げましょう。


 月曜日は、労働基準監督官が、労働基準法上、同法に違反して支払われていない賃金の支払を命ずる権限を有していないという見解について取り上げましたが、今回は労働基準監督署の指導監督の役割および法違反に係る勧告・指導の位置付けについての答弁内容を取り上げます。



【質問二】
 監督機関の基本的役割は、罰則の適用を背景として現に確認し得た法違反についてこれを将来に向かって是正させ、かつ、再び法違反を生じせしめないよう監督指導することにあるのではないか。この点に関する見解を問う。


【内閣答弁書】
二について
 お尋ねの労働基準監督機関の基本的役割は、法定労働条件の確保による労働者保護にあり、これを果たすために行う監督指導の目的は、使用者に対して法違反を指摘するとともに、法の趣旨を十分に理解させ、法遵守のための方法等について助言指導することにより、その的確な是正と遵法意識の定着化を図ることにあると認識している。



【質問三】
 遡及是正の勧告の対象とする事案は、賃金不払事件として立件するに足りる客観的な確証が得られたものに限るべきであり、不払いに係る労働日数、労働時間数、金額等を特定し得ないものについては、これを行うべきではないのではないか。この点に対して見解を示されたい。


【質問六】
 タイムカードの打刻時刻から算出された労働時間の中身につき、労使に争いがある場合、これは当事者間で解決すべき問題であり、紛争解決の最終手段として、民事訴訟が用意されている。しかし、是正行政の現場では、監督官の裁量により、「賃金請求権の時効にかからない、二年間の遡及是正」や「六ヶ月間の是正遡及」といった勧告がされている。しかしこれは民事の問題であり、たとえば、交通事故の現場に駆けつけた警察官が、加害者に対し「被害者の損害賠償金として〇〇万円、いつまでに支払いなさい」と命令することと同じである。こうした、民事に関する事案に支払命令を出す権限があるのは、三権分立の精神からして、裁判所に限定されるものであると解される。はたして、監督官には、民事に介入する、すなわち労働時間数、金額が確定していない残業代請求に関し、こうした遡及是正を勧告する権限があるのか、法的根拠を明らかにしお示しいただきたい。


【内閣答弁書】
三及び六について
 労働基準監督官は、臨検等の結果、労働基準法に違反して賃金が支払われていないことが確認された場合や、労働時間数等の全部又は一部について賃金が支払われていない事実がある旨の労働者からの申告があることなど、同法に違反して賃金が支払われていない疑いがあるため、使用者に対し当該労働時間数等を自主的に確認するよう指導を行った結果、同法に違反することが確認された場合には、当該違反を的確に是正させるため、使用者に対しその不払賃金の支払をするよう勧告を行うものである。これらの勧告や指導は、厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第四条第一項第四十一号に掲げる厚生労働省の所掌事務に関する行政指導として行うものである。



 未払い残業代請求問題の拡大が懸念される中、今回の答弁書が実務に与える影響については今後も注視していきたいところです。


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参考リンク
労働基準監督機関の役割に関する質問主意書
平成22年10月29日提出 質問第103号
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a176103.htm
衆議院議員村田吉隆君提出労働基準監督機関の役割に関する質問に対する答弁書
内閣衆質176第103号 平成22年11月9日
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b176103.htm
衆議院議員 村田吉隆
http://murata-yoshitaka.jp/


(大津章敬)


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