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飲食店店長労務管理超基礎【第7回】飲食店店長ならば解雇のリスクを認識し、指導・教育を徹底する

 飲食店においては、解雇に関するトラブルが非常に多く見られます。なかでも業務の中で思うように動かない従業員に対して、経営者や店長が「もう帰れ!」「お前なんて辞めてしまえ!」と言ってしまうことがありますが、この思わず口走ってしまった一言が大きなトラブルに発展することが少なくありません。飲食店の経営者や店長はこうした発言の危険性を認識し、あるべき対策を行う必要があります。


 そもそも一度雇用した従業員を簡単に辞めさせることはできません。まず正社員の場合は、一般的には期間の定めのない雇用契約を結んでいますから、基本的には定年まで勤務してもらうことになります。一方、パート・アルバイトの場合は数ヶ月から1年程度の有期雇用契約を結んでいることが多いと思いますので、原則は契約期間満了までは働くことになるでしょう。これら定年もしくは契約期間満了による雇止め以外で従業員が退職するのは、従業員自らが退職の申出をしたとき、あるいは経営者もしくは店長がその従業員を解雇するときとなります。


 従業員が横領などの問題行動を起こした場合は懲戒解雇の検討を行うこととなりますが、そこまでの問題行動がない場合であっても、仕事がなかなか覚えられない従業員や接客態度が悪く、なかなか改善しないという従業員も現実には一定数存在し、業務の忙しさも相俟って、「辞めてしまえ!」と怒鳴ってしまうようなこともあるのでしょう。しかし、そのような軽はずみな一言が、解雇の意思表示と解される恐れがあります。しかし、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効(労働契約法第16条)とされることから、これが不当解雇として問題になることがあるのです。ですから、もし現在、店にあまり仕事のできない従業員がいる場合でも、店長は不当解雇と訴えられるリスクを認識し、まずは指導・教育を徹底しなければなりません。何度も繰り返し従業員に対する指導・教育を行い、店長がその従業員の勤務態度や能力不足を改善しようとしたことを、客観的に証明できるようにしておくことで不当解雇と訴えられたときのリスクを低くすることができます。


 しかし、そもそも解雇の合理性を証明するために指導・教育を行うというのもおかしな話です。こうした問題が起こる店では、そもそも店の指導・教育体制に問題があることも少なくありません。問題のある従業員が存在するのは事実ではありますが、そもそも従業員は店で勝手に働いていたわけではありません。採用をしたのも、そのときまで雇用していたのも店長です。採用時には「当店では、こんな考え方で働いてもらいます」と説明することによって店の考え方に合わない従業員を雇うことを防止することができます。また業務中にも「当店で働くならこんな人材になって欲しい」と指導・教育を行っていたのであればば、解雇しなければならない人材になることは少ないでしょう。むしろ結果として優秀な人材に育っていたかもしれません。指導・教育を徹底することは、解雇をする場合には、客観的合理性や社会通念上相当性を証明する重要な証拠となります。しかし、本来店長が行うべきことは、しっかり指導・教育を行い従業員を優秀な人材に育て上げることです。それが結果として解雇問題が発生した際の合理性や相当性を証明する証拠となるのです。


 まずは不当解雇の問題が発生した場合のリスクの大きさを認識しましょう。そしてそうした状態を招くことがないよう、従業員の指導・教育を徹底しましょう。通常飲食店においては、店長もオペレーションを行うため、なかなか指導教育ができないという声もありますが、指導教育の徹底が優秀な人材を育てることになりますし、それが結果的には解雇問題が発生した際のリスクを下げることにもなるのです。



関連blog記事
2011年3月12日「飲食店店長労務管理超基礎【第6回】飲食店店長ならば書面での労働契約締結を徹底する」
https://roumu.com
/archives/51832375.html

2011年3月5日「飲食店店長労務管理超基礎【第5回】飲食店店長ならば学生アルバイトをうまく活用する」
https://roumu.com
/archives/51829136.html

2011年2月26日「飲食店店長労務管理超基礎【第4回】飲食店店長ならば外国人労働者活用のポイントを理解する」
https://roumu.com
/archives/51827022.html

2011年2月19日「飲食店店長労務管理超基礎【第3回】飲食店店長ならば、年次有給休暇制度の内容を理解する」
https://roumu.com
/archives/51825252.html

2011年2月12日「飲食店店長労務管理超基礎【第2回】飲食店店長ならば、アルバイトの社会保険加入要件を理解する」
https://roumu.com
/archives/51823490.html

2011年2月5日「飲食店労務管理超基礎【第1回】飲食店店長ならば、必ず就業規則を整備する」
https://roumu.com
/archives/51821707.html


(中島敏雄)


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3月30日無料セミナー「変化の時代に耐える人事制度構築AtoZ」(名古屋)受付中!USTREAMでの生中継も実施

無料セミナー「変化の時代に耐える人事制度構築AtoZ」 リーマンショック後の混乱は一応の落ち着きを取り戻し、人事制度もここに来て、改定の機運が急速に高まってきています。オイルショック後、バブル崩壊後の景気回復期とはまた異なる環境に適応するための人事制度はどのような方向になるのか、そして流行に踊らせられない人事思想と制度はどのようなものなのかについて述べさせていただきます。時機を待っての久し振りの人事セミナーです。奮ってご参加ください。


[セミナーのポイント]
(1)景気の波と人事制度のスパイラルな関係
(2)人事制度構築には普遍的なルールがある
(3)経営における人事制度の位置づけ
(4)経営者が人事制度改定の前にやっておくべきこと
(5)人事評価制度の作り方には基本がある
(6)賃金制度の作り方には基本がある


[セミナー開催概要]
日 時 平成23年3月30日(水)午後3時~午後4時30分
講 師 株式会社名南経営 常務取締役 小山邦彦
会 場 名南経営本館研修室(神宮前)
受講料 無料(社会保険労務士のみなさんにもご参加いただけます)
定 員 30名
注 意 今回のセミナーはUSTREAMでの生中継によるネット配信を実施します。場合によっては参加者のみなさまの後姿などが中継画面に映ることがありますのでご了承ください。
 
USTREAM[本セミナーはUSTREAMでも生中継を行います]
 今回のセミナーはUSTREAMでの配信(生中継)を行います。会場にお越し頂けないみなさまは是非以下でセミナーの模様をご覧ください。
http://www.ustream.tv/channel/jinjiseido0330 


[お申し込み]
 本セミナーの詳細およびお申し込みは以下よりお願いします。
https://www.roumu.com/seminar/seminar20110330.html


(大津章敬)


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地震発生時に怪我をした場合の労災保険給付の取り扱い[引用・転載歓迎]

地震発生時に怪我をした場合の労災保険給付の取り扱い 東日本大地震では、震度が大きい地域が広範囲に亘り、また地震発生時刻が午後の時間帯であったことから業務中に被災し、怪我をしたいというケースも少なくないと思われます。このように業務中に地震が発生し、怪我をした場合等の労災の取り扱いについて、地震当日の3月11日に「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」という通達が発出されました。


 この通達では今回の地震に伴い、労働者が被災した場合の労災保険給付の請求にかかる業務上外の考え方については、平成7年1月30日付けの事務連絡「兵庫県南部地震における業務上外等の考え方について」(以下、「事務連絡」という)に基づいて判断を行って差し支えないとしています。この平成7年の事務連絡では、地震発生時の労災給付に関する基本的な考え方を「天災地変による災害に係る業務上外の考え方については、従来より、被災労働者が、作業方法、作業環境、事業場施設の状況等からみて危機環境下にあることにより被災したものと認められる場合には、業務上の災害として取り扱っているところ」であるとし、その別添において具体的事例も取り上げながら、以下のようにまとめています。


業務災害
 地震により、業務遂行中に建物の倒壊等により被災した場合にあっては、作業方法や作業環境、事業場施設の状況などの危険環境下の業務に伴う危険が現実化したものと認められれば業務災害となる。
<事例1>作業現場でブロック塀が倒れたための災害
 ブロック塀に補強のための鉄筋が入っておらず、構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例2>作業場が倒壊したための災害
 作業場において、建物が倒壊したことにより被災した場合は、当該建物の構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例3>事務所が土砂崩壊により埋没したための災害
 事務所に隣接する山は、急傾斜の山でその表土は風化によってもろくなっていた等不安定な状況にあり、常に崩壊の危険を有していたことから、このような状況下にあった事務所には土砂崩壊による埋没という危険性が認められたので、業務災害と認められる。
<事例4>バスの運転手の落石による災害
 崖下を通過する交通機関は、常に落石等による災害を被る危険を有していることから、業務災害と認められる。
<事例5>工場又は倉庫から屋外へ避難する際の災害や避難の途中車庫内のバイクに衝突した災害
 業務中に事業場施設に危険な事態が生じたため避難したものであり、当該避難行為は業務に付随する行為として、業務災害と認められる。
<事例6>トラック運転手が走行中、高速道路の崩壊により被災した災害
 高速道路の構造上の脆弱性が現実化したものと認めら、危険環境下において被災したものとして、業務災害と認められる。


通勤災害
 業務災害と同様、通勤に通常伴う危険が現実化したものと認められれば、通勤災害となる。
<事例1>通勤途上において列車利用中、列車が脱線したことによる災害
 通勤途上において、利用中の列車が脱線したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。
<事例2>通勤途上、歩道橋を渡っている際に足をとられて転倒したことによる災害
 通勤途上において、歩道橋を渡っている際に転倒したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。


 これらの事例は、労災と認められる場合の事例となっていますが、あくまでも単に地震で被災したような場合は業務起因性が否定され、労災の給付がなされないという原則を押さえた上で、そもそも一定の危険な状態が存在した場合に業務起因性が認められるという判断を行うことが求められます。現実には事案ごとに判断されるため、地震発生時に怪我をしたことを一律に判断するのではなく、地震発生前の状況もヒアリングし、適切に処理することが求められます。


通達の本文(pdf)はこちらからダウンロードできます
http://www.lcgjapan.com/pdf/jishin_rousai.pdf



関連blog記事
2011年3月16日「計画停電による休業における賃金取扱いに関する通達が発出[引用・転載歓迎]」
https://roumu.com
/archives/51832216.html

2011年3月15日「東北地方太平洋沖地震に伴う厚生労働省の関連対策[引用・転送歓迎]」
https://roumu.com
/archives/51831821.html

2011年3月14日「東日本大震災の被災に伴い、被保険者証を紛失した等の場合は保険扱いで受診可能に」
https://roumu.com
/archives/51831661.html


参考リンク
法令等データベース「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について(平成23年3月11日基労補発0311第9号)(PDF,64KB)【労働基準局労災補償部補償課 労働者災害補償保険法関係】」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110316K0010.pdf


(宮武貴美)


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派遣先企業が知っておきたい派遣労働者の雇用管理改善テキストが公開

lb01403 先日、厚生労働省より「派遣スタッフ活用のポイント」というテキストが公開され、ダウンロードができるようになっています。このテキストは事務系職種の派遣スタッフを受け入れている事業所向けに、派遣を活用するために最低限必要な知識と雇用管理のポイントを詳しく解説したものです。


 2011年3月4日のブログ記事「深刻な水準にある労働者派遣活用企業の派遣法関連知識の低さ」でも取り上げたように、派遣先企業の管理者の労働者派遣制度の法的知識は明らかに不足しているのが現状です。例えば、一般事務など「自由化業務」の場合、最長3年の派遣受入期間制限を超えると、派遣スタッフを直接雇い入れなくてはいけないといった派遣法の基本中の基本である内容でさえ、理解している割合は50%にも満たない状況です。このような状況のまま、労働者派遣を活用してしまえば、知らず知らずのうちに法に違反してしまうことにもなりかねません。このテキストには、そのようなことを防ぐためのポイントが非常に分かりやすくまとめられていますので、労働者派遣を活用されるみなさまは是非ご活用ください。


ダウンロードはこちら
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51049303.html



関連blog記事
2011年3月4日「深刻な水準にある労働者派遣活用企業の派遣法関連知識の低さ」
https://roumu.com
/archives/51828086.html

2011年1月24日「労働局調査の影響が想定される政令26業務に従事する派遣労働者の大幅減少」
https://roumu.com
/archives/51818193.html

2010年6月5日「春先に実施された専門26業務の違法派遣調査の指導監督件数は891件」
https://roumu.com
/archives/51743975.html

2010年6月4日「厚生労働省から出された労働者派遣 専門26業務に関する疑義応答集」
https://roumu.com
/archives/51744726.html

2010年2月25日「改正労働者派遣法「おおむね妥当と認める」との答申を受け、法案国会提出へ」
https://roumu.com
/archives/51701310.html

2010年2月18日「3月より専門26業務の違法派遣に関する労働局の集中調査が実施されます」
https://roumu.com
/archives/51697231.html

2009年12月31日「労政審 注目の改正労働者派遣法の答申を公表」
https://roumu.com
/archives/51673876.html

2009年12月21日「非常に労働者保護色の強い労働者派遣法改正法案の部会報告骨子」
https://roumu.com
/archives/51669388.html


参考リンク
厚生労働省「平成21年度「派遣先における派遣労働者の雇用管理の具体的応用事例集の作成事業」報告書」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai19/index.html


(中島敏雄)


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様式第95号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(鳥インフルエンザ被害用)

shoshiki424雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の申請において、鳥インフルエンザ被害により申出を行う際に提出する必要がある助成額算定書の様式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shoshiki424.doc(63KB)
pdfPDF形式 shoshiki424.pdf(154KB)


[ワンポイントアドバイス]
 平成22年11月より不正受給防止の強化が行われています。改めて、適正な申請を行うことが求められます。


(福間みゆき)


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セクハラの対価型と環境型というのはどういうものですか?

 大熊からセクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」)についてレクチャーを受けた宮田部長は、続いて対価型セクハラと環境型セクハラの違いについて確認していた。



宮田部長宮田部長:
 いやぁ、先日のセクハラの定義では飲み会の場でも職場に当たる可能性があると教わり、びっくりしましたよ。セクハラについてはしっかり勉強しておく必要がありますね。今日はセクハラでよく聞く、対価型セクハラと環境型セクハラについて教えてください。
大熊社労士:
 了解しました。セクハラはその内容によって、対価型セクハラと環境型セクハラの2つに分類されます。まず対価型セクハラというのは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることをいいます。
宮田部長:
 上司が部下の女性に交際を申し込んだが断られたために配置転換をさせたといった例が対価型セクハラにあたると聞いたことがあります。
大熊社労士:
 そうですね。それが対価型セクハラの典型的な例ですね。いまの例とは逆に、例えば性的な関係を要求して、それを条件に上司が部下にプラスの査定をするようなことも対価型のセクハラにあたるでしょうね。
宮田部長:
 なるほど、それでは環境型セクハラというのはどのようなものなのでしょうか?
大熊社労士:
 はい。環境型セクハラというのは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、労働者が就業する上で大きな支障が生じることをいいます。具体的には、例えば社内で顔を合わせるたびに身体的なことについて発言することで労働者が苦痛に感じているような場合ですね。
宮田部長:
 そうですか。環境型セクハラはその判断が難しいですよね。対価型セクハラにおける労働者の不利益というのはイメージしやすいのですが、環境型セクハラは同じ発言でも言われた相手によってセクハラと感じたり感じなかったりしますよね。私が「なんだ彼氏もいないのか」と言ったら「セクハラですよ!」と言っていた女性社員が、イケメンの渡辺君が「彼氏いないの?」と聞いたら目を輝かせて「はい、そうなんです」となんて言ってましたよ…(苦笑)。
大熊社労士:
 あはは(笑)、まあそれは仕方ないでしょう。もっともセクハラ防止の観点からは、「労働者の意に反する性的な言動」や「就業環境が不快」の判断に当たっては、まずは労働者の主観を重視すべきですね。
宮田部長:
 まあそうですね。「意に反する」も「不快」も本人の主観次第ですからね。
大熊社労士大熊社労士:
 とはいってもある程度の客観性は必要ですから、被害者が女性であれば「平均的な女性労働者の感じ方」、被害者が男性であれば「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当とされています。
宮田部長:
 なるほど、しかしそれもまた難しいですよね。
大熊社労士:
 そうですね。その言動が対価型セクシュアルハラスメントに当たるのか、環境型セクシュアルハラスメントに当たるのかを教育することも大切です。しかしセクハラを防止すると言う観点からは、それ以上に大切なのは、どのような言動がセクシュアルハラスメントに該当する危険があるのかを職場のみなさんでディスカッションして共通理解を作っていくことですね。
宮田部長:
 そうですね。男性と女性で認識が違っているでしょうし、従業員それぞれがこの言動は平均的にはセクハラではないだろうと思っている基準が、実はとんでもなく平均から外れているということも考えられますからね。
大熊社労士:
 そのとおりですね。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。ここではセクハラ事件が起きた場合の企業の責任についてもお伝えしておきましょう。セクハラ行為を行った従業員本人には、不法行為責任(民法709条)が追及されますが、そのセクハラ行為が、業務の執行について行われたものであれば、企業に使用者責任(民法715条)が追求されることがあります。この使用者責任については行為者本人がそもそも業務の執行についてセクハラ行為を行わなければ、企業がその責を負うことはありませんので、従業員に対する教育を徹底しておくことが重要です。


 また企業はこの使用者責任ではなく、職場環境配慮義務の不履行(民法415条)によって責任を追及されることがあります。これは労働契約に付随する職場環境配慮義務には、セクハラを防止するための対策を講じておくことも含まれるというもので、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」に基づいた以下の4点をを実施しておくことがポイントとなります。
(1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
(2)相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
(4)(1)から(3)までの措置と併せて講ずべき措置」


[関連法規]
民法 第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。


民法 第709条(不法行為による損害賠償)
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


民法 第715条(使用者等の責任)
 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。


[関連告示]
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号:抜粋)
2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
(1)職場におけるセクシュアルハラスメントには、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(以下「対価型セクシュアルハラスメント」という。)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」という。)がある。
(5)「対価型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがある。
 イ  事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、当該労働者を解雇すること。
 ロ  出張中の車中において上司が労働者の腰、胸等に触ったが、抵抗されたため、当該労働者について不利益な配置転換をすること。
 ハ  営業所内において事業主が日頃から労働者に係る性的な事柄について公然と発言していたが、抗議されたため、当該労働者を降格すること。
(6)「環境型セクシュアルハラスメント」とは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は多様であるが、典型的な例として、次のようなものがある。
 イ  事務所内において上司が労働者の腰、胸等に度々触ったため、当該労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること。
 ロ  同僚が取引先において労働者に係る性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと。
 ハ  労働者が抗議をしているにもかかわらず、事務所内にヌードポスターを掲示しているため、当該労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと。


(中島敏雄)


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名南経営 海外経営研究会をスタート

名南経営 海外経営研究会をスタート 企業の海外進出が急増している状況に対応すべく、名南経営では「海外経営研究会」を立ち上げ、先日、その第一回セミナーを開催しました。当日はいいだ特許事務所所長 飯田昭夫弁理士による「海外展開における知財管理の落とし穴」と名南経営の服部英治による「バングラデシュ進出の是非と現地の駐在員管理」という二本のセミナーを開催しました。今後も定期的にこうした勉強の場を提供していきますので、次回は是非ご参加ください。


 なお、海外経営研究会については、以下で詳細および登録方法を記載したpdfをご覧いただけます。
http://www.meinan.net/pdf/kaigaishinsyutsu.pdf


※画像は中部経済新聞の掲載記事(転載許諾済)


(大津章敬)


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飲食店店長労務管理超基礎【第6回】飲食店店長ならば書面での労働契約締結を徹底する

 飲食店においては、人材の入れ替わりが激しいこと、慢性的に人手が不足していることから採用面接時についつい「じゃあ早速今日から働いて」と働かせてしまうことが少なくありません。そのため労働契約書の締結はおろか、労働条件の明示さえなされないまま従業員を働かせてしまうことがあります。しかしこのような状態のまま、従業員を働かせることは法律上、そして人事管理上大きなリスクを抱えることになります。以下ではこのような状態がどのようなリスクを抱えるのか、店長はどのように対応すべきかについて解説します。


 労働契約は書面の労働契約書がなくとも、店長が「今日から働いて」と労働契約の申込みを行い、それに対して応募者が「わかりました」と承諾をすれば成立します。契約の形式は自由ですから、口頭のみで契約は成立するのです。しかし、面接では仕事ができそうだと感じたものの、実際働かせてみたら、まったく仕事ができないということもあり得ます。その従業員を辞めさせたいとき、もしも短期の有期労働契約であることを書面で明示していれば、その期間満了時に契約を更新しなければよいだけです。しかし契約時に期間の定めをしていなければ、解雇せざるを得ない状況となり、契約期間満了で辞めてもらうよりも、解雇の方がトラブルになる可能性が高まります。


 労働基準法は雇用に関するトラブルを防止するため、契約期間や就業の場所、従事すべき業務、就業時間、残業の有無や賃金などについては書面で明示することを義務付けており、違反すれば30万円以下の罰金が科せられることがあります。またパートタイム労働法においては、昇給、退職手当、賞与の有無についても書面明示が義務付けられており、こちらも違反すれば10万円以下の科料が科せられることがあります。店長は原則として面接の当日から働かせることは避けるべきですが、どうしても働かせたい場合は、短期の労働契約を結べばよいのです。たとえば体験入店申込書のような形で1日だけ働かせてみるという方法もあるでしょう。いずれにしても労働条件を明確にしないままにすぐに勤務に就かせることは避けるべきですし、書面による労働契約を締結することが求められるのです。



 また従業員の勤務初日には配慮することも求められます。新人が忙しい日や忙しい時間帯に初めて勤務すれば、おそらく店長も他の先輩アルバイトも新人の面倒を見る余裕はありません。新人は2つの思いを抱きます。「忙しいんだな。やっていけるだろうか?」「周りの仲間はあまりフォローしてくれないのだな」。このような状態では安くない広告費を投資して採用した新人が一日で辞めることにもなりかねません。それだけに店長は、新人の勤務初日には最大限の注意を払うことが必要です。忙しくない曜日、忙しくない時間帯から徐々に慣れさせて育てていくべきでしょう。忙しく人手が足りないと焦る気持ちを抑えて、どのような状況であっても新人の成長をじっくり見守りながら慣れさせていくことを忘れてはなりません。新人がその後続くかどうかは最初の数回の勤務で決まります。「やっていけそうだ」「是非ここで働きたい」。新人にそう思ってもらうことは店長の重要な仕事です。そのため初回から数回の勤務については、その時間に何を教えるのか、何を覚えてもらうのかなどの詳細なスケジュールを立てておくことが必要です。


 飲食店店長にとって、労働契約の重要性を理解することは重要です。どのような事情があっても必ず書面でその労働条件を明示しなければなりません。また法律上求められているのは明示ですが、その労働条件を労働者も了承した証拠を残すために双方の署名がはいった契約書の形が望ましいことはいうまでもありません。



関連blog記事
2011年3月5日「飲食店店長労務管理超基礎【第5回】飲食店店長ならば学生アルバイトをうまく活用する」
https://roumu.com
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/archives/51825252.html

2011年2月12日「飲食店店長労務管理超基礎【第2回】飲食店店長ならば、アルバイトの社会保険加入要件を理解する」
https://roumu.com
/archives/51823490.html

2011年2月5日「飲食店労務管理超基礎【第1回】飲食店店長ならば、必ず就業規則を整備する」
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様式第94号 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(霧島山(新燃岳)噴火被害用)

shoshiki423雇用調整助成金および中小企業緊急雇用安定助成金の申請において、霧島山噴火被害により申出を行う際に提出する必要がある様式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
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Word形式 shoshiki423.doc(57KB)
pdfPDF形式 shoshiki423.pdf(137KB)


[ワンポイントアドバイス]
 平成22年11月より不正受給防止の強化が行われています。改めて、適正な申請を行うことが求められます。  



関連blog記事
2010年12月2日「本日より実施される雇用調整助成金の更なる要件緩和」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51803968.html
2010年10月12日「雇用調整助成金 円高対策で12月より更なる要件緩和が実施されます」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51788829.html
2010年9月16日「11月1日申請分より雇用調整助成金の不正受給防止対策が強化されます」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51781048.html
2010年9月4日「ピーク時より半減した雇用調整助成金の届出対象者数」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51775990.html
2010年5月5日「中小では高止まりするも大企業では減少が著しい雇用調整助成金の対象者数」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51731584.html
2010年04月09日「4月より変更されている雇用調整助成金における教育訓練の申請方法」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51719472.html
2010年4月8日「平成22年4月より教育訓練の実施に係る取扱いを変更(雇用調整助成金)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50843410.html
2010年3月31日「雇用調整助成金の不正受給調査が4月から強化されます」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51715834.html
2010年1月25日「雇用調整助成金を1年を超え、引続き申請する場合の注意点」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51687759.html

(福間みゆき)


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会社の送別会で女性労働者にお酌をしてもらうことはセクハラになるのですか?

 3月は別れの季節。送別会でお酌をしてくれた女性社員に冗談混じりながら「セクハラですよ」といわれた宮田部長は、セクハラについて大熊に確認してみた。



宮田部長:
 先日、退職者の送別会で女性の契約社員にビールをついでもらったところ、「これもセクハラになるんですよ」といわれてしまいました。宴会でお酌をしてもらうこともセクハラになるのですか?
大熊社労士:
 えっ!宮田部長!セクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」)で訴えられたんですか?!
宮田部長:
 いやいや、そんなわけないじゃないですか(笑)。お酒も入っていたので冗談で言われただけですよ。
大熊社労士:
 本当ですか?契約社員だと立場上なかなか部長に対して「いやだ」とはいえないものですよ(笑)。
宮田部長:
 う~ん。そうかなあ。そういわれてみれば…。
福島照美福島さん:
 大丈夫ですよ、大熊先生。彼女は宮田部長にはいつもよくしてもらっているから、宮田部長の好きなビールを切らさないようにしてたって言っていましたよ(笑)。
大熊社労士:
 そうですか、それであれば安心です。でも気をつけてくださいね。セクハラというのは、「職場」で「労働者」に対する「性的な言動」が就業環境を害したりするもののことをいいますから、宴会の場でもセクハラと訴えられることはありますからね。
宮田部長:
 なるほど、でもちょっと待ってください。送別会のお店は職場ではないですよね。就業時間後に行っていますし、お酒も入っていますから。
大熊社労士:
 基本的にはそうですね。ただ状況によっては送別会が職場とされることもありえます。お酒が入っていても、就業時間後であっても、事務所の外であっても、職務の延長で行われるものであれば、そこは職場とされます。このセクハラの問題における職場というのは、我々が通常イメージする「職場」という言葉のイメージよりも広い範囲、例えば出張先や移動中の車内、接待の席などもセクハラの判断における職場とされますのでご注意ください。
宮田部長:
 接待や出張は確かに職務の延長ですが、送別会は少し性質が違うと思うのですが…。
大熊社労士:
 そうですね。たしかに送別会が職場かどうかは非常に判断が難しいところです。従業員同士のまったくプライベートな飲み会や旅行は職場ではないでしょうし、接待や研修旅行は職場とされることが多いでしょうね。送別会や忘年会については、職務との関連性、参加者、参加が強制か任意かといった要素を総合的に判断して、職場かどうかを判断するとされています。しかし、会社のセクハラ対策という観点からは、送別会なども職場という意識でいてもらった方が安心ですよ。
宮田部長宮田部長:
 確かに送別会や歓迎会は新人が出欠を確認して職場全員で行うのが伝統になっていますから、そういう意味では職場といわれること可能性もあるかも知れません。でも、そこが職場かどうかということよりも、どのような場面においてもセクハラにならないように注意することが重要ですね。
大熊社労士:
 そのとおりです。例え職場ではない飲み会の場でセクハラが行われたとしても、その行為者と被害者の関係の悪化や業務への影響など、その影響は甚大ですからね。最悪の場合は双方の退職によって2人の従業員を一度に失ってしまうというケースもありえますので。
宮田部長:
 なるほど、その後の影響は大きいですね。ところで、彼女は契約社員なのですが、労働者とは誰を指すのですか?
大熊社労士:
 はい。ここでいう労働者には、正社員は当然のことながら、契約社員やパートタイマー、アルバイト、嘱託社員など事業主が雇用するすべての労働者が含まれます。派遣労働者を受け入れている場合は、派遣先企業と派遣労働者との間に雇用契約はありませんが、派遣労働者もここでいう労働者に含まれることには注意が必要です。
宮田部長:
 そうなのですか。それでは今回のように女性社員にお酌をしてもらうことはセクハラになるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 一般的な女性(もしくは一般的な男性)が性的な不快感を抱くような発言や行動がセクハラに該当するといった認識をもっていただくとよいと思います。例えば、そのような飲み会の席で女性労働者に上司の隣に座ることやお酌を要求するようなことは、女性労働者を同じ職場の同僚としてではなく、女性として見ていることになりますよね。そういった行動はセクハラに該当すると理解しておいてください。
宮田部長:
 なるほど、そういうことですか。あ、いっておきますけど、私は彼女にお酌を要求したわけじゃありませんよ。本当に冗談で言われただけですからね。
大熊社労士:
 そうですか、であれば大丈夫ですね(笑)。しかしセクハラに関してはやはり定期的に研修や注意喚起を行う必要がありますね。ときどきセクハラに関する相談が寄せられますが、やはり男女雇用機会均等法改正のときに一度研修を行っただけでその後なにも行っていない企業では、問題が深刻化する例が多いように思います。しっかり従業員のみなさんに研修を行っておくことがセクハラ予防のためには大切ですよ。
宮田部長:
 そうですね。当社でも継続的に研修を行いたいですね。そのときは先生お願いしますね。
大熊社労士:
 わかりました。お任せください。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス 
こんにちは、大熊です。企業には相談窓口を設置することが義務付けられていますが、この相談窓口をセクハラ防止のために有効に活用したいところです。職場におけるセクシュアルハラスメントはその性質上、なかなか実態を把握しにくいものです。都道府県労働局雇用均等室に寄せられるセクハラに関する相談は毎年10,000件以上とされています。しかし、相談されているものだけでこの件数ですので、相談していない、実際のセクハラ件数は更に多いことが想像できます。


 セクハラ防止のためにはこの相談窓口を、広くセクハラに関する情報を収集する窓口と位置づけることが有効です。窓口が相談しにくかったり、そもそも窓口の存在を従業員が知らないことも考えられますので、まずは従業員に相談窓口に相談してもらえるように社内掲示や定期的な社内報などでの紹介で窓口の存在を従業員にしってもらうことが重要です。また、実際に起こったセクハラの相談だけでなく、噂の段階やこれはセクハラに該当するのかといった質問も窓口に相談してもよいなど、広く相談に応じていることを周知することも効果的でしょう。


[関連法規]
男女雇用機会均等法11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2  厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。


[関連告示]
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)
2 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容
(1) 職場におけるセクシュアルハラスメントには、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの(以下「対価型セクシュアルハラスメント」という。)と、当該性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(以下「環境型セクシュアルハラスメント」という。)がある。
(2) 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、「職場」に含まれる。例えば、取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅等であっても、当該労働者が業務を遂行する場所であればこれに該当する。
(3) 「労働者」とは、いわゆる正規労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規労働者を含む事業主が雇用する労働者のすべてをいう。また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者についても、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)第47条の2の規定により、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、法第11条第1項の規定が適用されることから、労働者派遣の役務の提供を受ける者は、派遣労働者についてもその雇用する労働者と同様に、3以下の措置を講ずることが必要である。
(4) 「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること等が、「性的な行動」には、性的な関係を強要すること、必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布すること等が、それぞれ含まれる。



関連blog記事
2011年2月9日「茨城労働局からダウンロードできるセクハラの相談・苦情への対応フローの例」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51822239.html
2011年1月27日「すぐに利用できる社内周知用のセクハラ防止対策掲示ちらし」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51818959.html
2011年1月14日「悩んでいませんか?職場でのセクシュアルハラスメント」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50975740.html
2011年1月7日「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!(平成22年11月版)」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/50972438.html


参考リンク
厚生労働省「現行の男女雇用機会均等法に係るQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/q-a.html


(中島敏雄)


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