「ハイ」の検索結果

営業所長任期制度規程

営業所長任期制度規程 営業所長のポストについて2年間などの任期を設け、その活性化を図る任期制度の具体的な取扱いを定めた規程サンプルです。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 shochou_ninki.doc(29KB)
PDFPDF形式 shochou_ninki.pdf(9KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この制度には、事業所の経営計画と営業所長の任期を結びつけることで、営業所長の責任を明確にするという効果があります。また営業所長というポストは、自社の営業所の数と同数という限られたポストであるため、任期を設けるなどして、社員が営業所長になることができるチャンスをつくり、社員のモチベーションを高めたり、将来の経営を担う人材を育成していくことが重要になってきます。


関連blog記事
2007年5月24日「選択定年制度規程」
https://roumu.com/archives/54265750.html
2007年5月23日「管理職任期制度規程」
https://roumu.com/archives/54252712.html
2007年5月22日「管理職定年制度規程」
https://roumu.com/archives/54240115.html

 

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

選択定年制度規程

選択定年制度規程 いわゆる「早期退職優遇制度」の取り扱いについて定めた規程のサンプルです。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 sentaku_teinen.doc(27KB)
PDFPDF形式 sentaku_teinen.pdf(6KB)

[ワンポイントアドバイス]
 選択定年制度は、「早期退職優遇制度」「転進支援制度」など様々な名称が用いられますが、一般的には50歳から57歳くらいまでの間に自主退職する際、退職金を割増支給するという制度を指すことが通常です。この制度の目的としては、人件費の増大に対する抑制策あるいはポスト不足解消による人事活性化対策としての意味合いが強く見られます。しかし、それだけでなく中高年齢者の独立自営の希望を援助したり、キャリア選択のひとつとして導入されている場合もあり、会社の目的に合わせて規程を作成していくことが重要になります。なお、今回の規程サンプルは常設の制度として規定されていますが、これとは別に募集期間を限定して実施するパターンもあります。こうした運用の選択は、目的に合わせて使い分けたいところです。


関連blog記事
2007年5月23日「管理職任期制度規程」
https://roumu.com/archives/54252712.html
2007年5月22日「管理職定年制度規程」
https://roumu.com/archives/54240115.html

 

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

管理職任期制度規程

管理職任期制度規程 これは部長・課長といった管理職に一定の任期を設け、任期がきたら管理職としての適・不適を審査し再任・昇進・降職などを行う管理職任期制度の取り扱いを定める規程サンプルです。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kanri_ninki.doc(29KB)
PDFPDF形式 kanri_ninki.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 管理職任期制度は、管理職のポストについて2年間などの任期を設け、その活性化を図る制度。ポスト不足解消のためには合理的に社員をポストから外す制度が求められますが、最近は一律で解職年齢を設定する役職定年制度に止まらず、任期制を採用する企業が見られます。採用にあたっては、規程の中において管理職の任用の基準、再任の基準、解職にあたる場合の事項等を取り決めておきますが、最大のポイントは再チャレンジが可能な組織風土を醸成することでしょう。常にそのポジションに最適な人材が管理職として任命され、いったんそれを外れたとしてもその期間は別の役割を担うだけで、またチャンスはあるという意識を組織で共有することが強く求められます。


関連blog記事
2007年5月22日「管理職定年制度規程」
https://roumu.com/archives/54240115.html

 

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

管理職定年制度規程

管理職定年制度規程 いわゆる「役定(役職定年)」制度の運用について定めた規程のサンプルです。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kanri_teinen.doc(32KB)
PDFPDF形式 kanri_teinen.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 多くの企業でポスト不足による中堅社員のモチベーション低下への懸念が高まるにつれ、役職定年制度を導入し、一定年齢での役職の若返りを行おうとする企業が増えています。人事管理面からの必要性が高いこの制度ですが、実際に導入する際には様々な問題をクリアする必要があります。最大の問題は役職定年になった元管理職の職務設計と処遇でしょう。いくら役職手当などを不支給としたとしても、一定水準以上の高給社員を補助的な仕事に従事させるのはコスト面からも、また本人のプライドからも課題が多く、人事労務の実務担当者が頭を抱えているというのが実情ではないでしょうか。しかし、それを行わないとすれば40代を中心とした中堅社員のモチベーションの維持も困難になっており、企業としては厳しい選択を迫られています。

 なお、後継者が育っていない場合など、例外的に役職を継続できるといった措置を残すことがありますが、これはその判断において当事者の不信感や不満に繋がりやすいため、できるだけ例外なく適用することがポイントとなるでしょう。

(福間みゆき)

人事労務の最新情報は「労務ドットコム」をご利用ください。
就業規則作成のご相談・コンサルティングのご依頼は名南経営まで。

就業規程は周知していなければ拘束力はありません!

 前回検討した「マイカー通勤管理規程」は、宮田部長と大熊社労士との間で、何度もやりとりをした結果、遂に完成した。そこで服部社長に最終確認してもらうために大熊は服部印刷を訪問した。



宮田部長:
 わが社の規程もここのところずいぶん見直しが進みましたね。これも大熊先生にご指導いただいたお蔭です。福島さん、最近見直した規程の一式は用意してもらっているよね?
福島さん:
 はい、部長。就業規則に、セクシャルハラスメント防止規程、マイカー通勤管理規程、それに出向規程ですね。この1、2ヶ月のうちに見直すことができました。大熊先生ありがとうございます。
大熊社労士:
 いえいえ、これもみなさんの高い意欲があってこそですから。しかし、まだまだいろいろ細かな点を見ていくと変えなければならない規程や追加しなければならないものが出てくると思いますよ。
服部社長:
 大熊さん、福島さんが打ち合わせに加わってから、当社への来社頻度が高くなっているように思いますが、気のせいですかねぇ
大熊社労士大熊社労士:
 社長、なにをおっしゃりますかそんなことはないですよ。福島さんは聡明な上、実務もよく理解されているので、宿題がどんどん進み、結果として従来よりもスパンの短い訪問となっているだけですよ(少し苦し紛れの言い訳!?)。ところで話を元に戻しますが、追加または改正した規程類は社員に周知していますか?
宮田部長:
 はい、先生のご指導でも周知+教育が重要とのことでしたので、教育についてはこれからスケジュールを立てていく予定ですが、周知は既に始めているはずです。でも一度、確認しておきましょう。福島さん、各部署に規程集というファイルが置いてあるので、新しいものに変わっているか調べてきてくれないか。
福島さん:
 はい、承知しました。すぐに確認してまいります。10分もあれば全部署のものを確認できると思いますので、行ってきます。


そして10分後





福島照美福島さん:
 今戻ってまいりました。部長、各部署の規程集を確認してきたのですが、「セクシャルハラスメント防止規程」がありません。この規程は部長が作成、配布してくださるということだったと思いますが違ったでしょうか?
宮田部長:
あっ、そうだったね。書類を準備したのは確かだけど、それからどうしたかなぁ?記憶がないなぁ!?ちょっと待ってください。机の引き出しに紛れ込んでいるかもかもしれないので探してみます。あった、あった。書類ができあがったものだからすっかり安心して、そのままになってしまっていたようです。申し訳ありません。
服部社長:
 困るなぁ、宮田部長。しっかりしてくれよ。ところで、社内研修も6月に行う予定だったね。ということは、セクシャルハラスメント防止に関する規程が変わったことを社員は知らないということになるね。
大熊社労士:
 それはいけませんね。就業規則の服務規律で「社員は性的な言動により他の社員に苦痛を与えること、また他の社員に不利益を与えたり、就業環境を害してはならない。詳細についてはセクシャルハラスメント防止規程に定める」としておきながらも、周知ができていなかったのですね。他の会社でも、いろいろな規程は作るものの、周知していないケースがたまに見受けられます。
服部社長:
 周知は必要だと思いますが、そんなに重要なことですか?
大熊社労士:
 はい、とても重要です。規程を改正しても周知がなければ実行性や拘束性を伴いません。御社の場合、セクシャルハラスメント防止規程を早速作成しましたが周知されていない訳ですから、先日説明した男女雇用機会均等法の措置義務を果たしたことにはなりません。規程などの社内ルールは社員と事業主のお互いが理解してはじめて守られるのであって、一方だけが知っていて、もう一方は知らないというのではルールにはなりません。裁判例でもこのことを示しています。
参考:「フジ興産事件」(最高裁二小 平成15年10月10日判決)
 使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する(最高裁昭和54年10月30日第三小法廷判決〈国労札幌支部事件〉)。そして、就業規則が法的規範としての性質を有する(最高裁昭和43年12月25日大法廷判決〈秋北バス事件〉)ものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。

服部社長:
 なるほど、それでは宮田部長ではなく、福島さんが早速各部署に配布しておいてください
宮田部長宮田部長:
 社長!分かりやすい当てつけですね(苦笑)。それにしても今回のことは申し訳ありませんでした。庶務的な仕事については、これからはしっかり者の福島さんにお願いすることにします。ところで、周知の方法ですが、他社もわが社のように規程集ファイルで綴っているのでしょうか?実は、以前ある部署で規程集をその他の処分書類と一緒に廃棄してしまったらしく1年間ほどまったく気づかなかったということがあったのです。そのようなことをなくしたいのですが。
服部社長:
 紙をファイルするのもいいが、近い将来社内ネットワークを構築したいと思っているので、部署のパソコンで閲覧できるようにならないでしょうか。大熊先生、そのような方法もOKですよね?
大熊社労士:
 はい、中小企業では規程集をファイルで綴っておき、各セクションに1冊ずつ置いているところはかなり多いですね。また、パソコンで閲覧する方法でも周知していると認められます。ただし、パソコンが苦手な人もいますので、マニュアルなどを作って操作方法がわかるようにしておく必要があります。また、操作もできるだけ簡単な設定にしておいてください。
服部社長服部社長:
 パソコン上での周知は、今すぐというわけではないのですが、研究を進める必要があると思っていますので、また教えてください。今日はありがとうございました。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は就業規則等の周知について取り上げてみました。就業規則等が効力を持つためには、社員に対し周知されていることが原則となります。したがって、就業規則や労使協定、各種法令などの改正が行われたら速やかに周知するようにしてください。周知方法としては「常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける」「書面で交付する」「磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する」といった選択肢がありますので、自社にあった方法で行なえば良いでしょう。また、周知した就業規則等について、疑問点や不明点があれば質問できる窓口(担当者)を設けておくことが望ましいでしょう。


[関連条文]
労働基準法第106条(法令等の周知義務)
 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十八条の二第二項、第三十八条の三第一項並びに第三十九条第五項及び第六項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び第五項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
2 使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。


[関連判例]
フジ興産事件(最高裁平成15年10月10日第二小法廷判決)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0610-5b2.html#5



関連blog記事
2007年4月9日「社員を出向させるには本人の同意が必要ですか?」
https://roumu.com/archives/53577054.html
2007年3月27日「出向規程」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/53361083.html
2007年4月16日「具体的なセクハラ対策の実施が求められています!」
https://roumu.com/archives/53586123.html
2007年3月9日「改正男女雇用機会均等法対応のセクハラ規程 ダウンロード開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50910960.html
2007年4月23日「プライベートな時間で飲酒運転事故を起こした従業員を懲戒できるのか?」
https://roumu.com/archives/53842865.html


参考リンク
福岡労働局「就業規則の作成・周知のポイント」
http://www.fukuoka.plb.go.jp/29joken/joken01_03.html
茨城労働局「就業規則は社員に周知しなければならない」
http://www.ibarakiroudoukyoku.go.jp/soumu/qa/syugyo/syugyo03.html


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

退職者発生時における社員に対するケアの重要性

 当ブログでも、企業の人材採用の活性化とそれに伴う求人難の状況について何度もお伝えしていますが、こうした時代には人材採用手法の見直しと共に、既存社員の退職率の管理が重要な課題となっています。最近、導入例が急増している社員意識調査も、職場における潜在的な問題を洗い出し、それが顕在化する前に修正することで、働きやすい職場を作っていくという人事管理の一環と見ることができます。


 とはいえ、やはり人材の流動化は年々進行しいます。電車に乗っていても転職サイトや転職支援会社の広告を頻繁に目にするようになっていますが、若手を中心に転職に対する意識も変化しており、ある首都圏の20代・30代を対象にした調査では、約半数が「現在転職活動をしている」または「今後転職をしたい」と回答したという驚くべく結果が発表されています。このように若手社員を中心に転職が身近な選択肢になってきており、今後はこれまで以上に社員の雇用の引き伸ばしおよび退職に関するマネジメントが重要になってくるでしょう。


 さてどの企業でも、社員が退職していく際には、その担当職務の引継ぎの業務面の配慮を行っています。しかし、身近で退職者が発生し、少なからずショックを受け、不安を感じている社員に対するケアが行われている企業はあまり多くないようです。もちろんクライアントに対して迷惑のかからない状態にすることは最優先の事項となりますが、これから先、仕事を担っていく社員に対するケアを行い、安心して職務に向かわせるような働きかけも欠かせないでしょう。具体的には、部門の方針やこれからの体制についての十分な説明を行い、部門内の意識を統一した上で、個人に対してはその中での役割や期待事項を伝えていくことが強く求められています。



関連blog記事
2007年3月23日「CS(顧客満足度)の前にES(従業員満足度) 」
https://roumu.com
/archives/50915285.html
2007年2月27日「導入事例が急増する社員意識調査」
https://roumu.com
/archives/50901505.html


(福間みゆき)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

新入社員の会社選択の基準は「雰囲気」「仕事の内容」「個性が活かせる」がダントツ

新入社員の会社選択の基準 企業の採用意欲の高まりにより、新卒社員の採用活動が激化し、中堅中小企業では深刻な人材不足が見られるようになってきています。そこで今日は東京商工会議所の「中堅・中小企業の新入社員の意識調査結果について」という調査結果から新卒社員の採用活動における効果的な訴求ポイントを探ってみたいと思います。


 この調査は東京商工会議所が3月末から4月にかけて開催した新入社員研修に参加した中堅中小企業364社の新入社員1,209名を対象に行ったもの(有効回答数は男性745名+女性437名=計1,182名)。この調査結果の中に「入社した会社を選んだ理由は何ですか」という質問項目があり、その結果を集計したものが左のグラフです。これを見れば分かるとおり、以下の3つの項目の回答がダントツに多いことが分かります。
職場の雰囲気が良かった(男性326名+女性248名=574名)
仕事の内容がおもしろそう(男性365名+女性203名=568名)
自分の能力・個性が活かせる(男性293名+女性184名=477名)


 この結果からはインターンシップや若手社員との交流などを通じ、職場の雰囲気や職務内容を実際に体験させるといった具体的な対策が考えられます。人材の安定的な確保が企業の成長力に大きな影響を与える時代になってきました。2008年度入社組の大卒採用活動は終盤戦に入りつつありますが、自社の採用活動の見直しにこうした統計結果を参考にされてはいかがでしょうか。



関連blog記事
2007年4月29日「採用戦線激化 今春の都内高校生の就職内定率は100%に迫る勢い」
https://roumu.com
/archives/50954934.html
2007年4月26日「「偉くなりたくない」「最低限の収入を得てのんびり暮らしたい」という高校生が激増」
https://roumu.com
/archives/50953735.html
2007年4月25日「新入社員が魅力を感じるのは実力主義より年功主義?」
https://roumu.com
/archives/50953381.html
2007年4月24日「新入社員が描く理想の上司と、実際の上司の意識はこんなにズレている」
https://roumu.com
/archives/50952564.html
2007年3月6日「平成18年に本格化した企業の人材採用の状況」
https://roumu.com
/archives/50908086.html


参考リンク
東京商工会議所「中堅・中小企業の新入社員の意識調査結果について」
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/chosa/2007/190426.html


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

マイカー通勤の事故で会社に損害賠償請求?

 ゴールデンウィークも明けたばかりですが、大熊は朝一番で服部印刷に入り、出してもらったお茶を飲みながら服部社長、宮田部長と雑談をしていた。聞けば、服部社長も宮田部長も今年はゆっくりと休みを取ることができたそうである。すると総務の福島さんが慌てて飛び込んできた。



福島照美福島さん:
 失礼します。ご面談中申し訳ございませんが、宮田部長、少しよろしいでしょうか。いま、マニュアル部門の菊池主任から連絡があったのですが、通勤途上で自動車事故にあったそうです。大きな事故ではなく、後続車が従業員の車の後部バンパーに少し当たった程度でケガなどはないということです。これから、警察に連絡をするそうですが、到着が少し遅れるということです。どうしましょう?
宮田部長:
 ケガがない、というのは本当だね。それなら良かったが、すぐ上司に連絡を入れて仕事に支障がでないように伝えてくれ。
福島さん:
 わかりました。すぐに連絡をとります。
服部社長:
 まずは一安心といったところだが、私はマイカー通勤については、気になっていたのです。現代社会において車はなくてはならないものですが、その分危険も多いからね。
大熊社労士:
 そのとおり、社長のおっしゃられるとおりです。ところで、御社では「マイカー通勤」に関するルールはどのようになっていますか?
宮田部長:
 「安全運転を心がけること」と先日先生に教えてもらった「飲酒運転は絶対にしないこと」という社内通知を出していますが、それ以外にルールといいますと?
大熊社労士:
 そうですか、ルールとしては弱いですね。今回の事故をきっかけにということでもありませんが、「マイカー通勤規程」を設けられることをお勧めします。
宮田部長:
 どうして、規程にまですることが必要なのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 マイカー通勤には、公共交通機関を利用する以上に多くの危険があるということはお分かりだと思いますが、具体的にどのような危険があるのかを例を挙げて考えてみましょう。マイカー通勤に潜む危険としては、やはり交通事故ですね。今回のように被害者になることもありますし、また反対に加害者になることもあります。加害者になったときに頼りにしなければならないのが自動車保険ですが、これに入ってなかったり、補償額が少ないとトラブルになる可能性が極めて高くなります。
服部社長:
 さすがに自賠責保険を切らしているケースは少ないだろうが、任意保険を更新していないケースがあるということは聞いたことがあるなあ。自分の運転技術を過信しているのでしょうかね。
大熊社労士:
 自賠責保険は、負傷が治るまでの損害については120万円が限度(治療費、休業中の賃金損失分、慰謝料などの合計)となっていますので、十分な額とはいえません。ですから任意保険で補償を厚くしていないとトラブルは避けられません。そして、従業員が加害者でその従業員が事故で負傷し意識がなく対応できない場合、通勤途上であれば会社側に損害賠償を求めてくる可能性もあります。十分な補償額の保険であればよいのですが、十分ではない場合は会社としても対応に苦慮することも考えられます。そのようなことを踏まえて、マイカー通勤を認めている以上、保険情報の確認や管理をしっかり行っておくべきでしょう。
服部社長:
 なるほど、そういう意味で管理が必要だということですね。ところで、具体的にはどのような内容を規程に盛り込むのでしょうか?
大熊社労士:
 マイカー通勤規程に盛り込む内容としては、
通勤途上であっても起こしたマイカーの事故についてはすべて自己責任であること
マイカー通勤は許可制とし、その要件として一定の補償額以上の任意保険加入を義務付けること

 まずはこの2点ですね。
宮田部長:
 任意保険の補償額としてはどの程度のものが適当なのでしょうか?
大熊社労士:
 これといって決まった額はありません。会社毎に検討し、設定してもらうことになるのですが、私の顧問先様では、対人は無制限、対物は1.000万円以上といった条件を設けているところが多いようです。
宮田部長宮田部長:
 そうですか、ではわが社と取引している保険会社と一度相談して、どの程度の補償額が妥当なのかを検討してみることにします。ちなみに任意保険には1年毎に更新することになりますが、その後はどうしたらよいでしょうか?
大熊社労士:
 できれば毎年1回時期を決めて、申請およびl許可手続きを行い、任意保険等が更新されているかの確認も行った方がよいでしょう。事務手続きは若干増えますが、きちんとした管理をしておいた方が望ましいと思います。
宮田部長:
 そうですね、わが社のマイカー通勤者は今のところそう多くはありませんので、更新申請をさせるという方向で考えてみましょう。
大熊社労士:
 なお規程には、運転時の心得、飲酒運転厳禁や整備不良車両の使用禁止、万一事故を起こしたときの対応として人命救助・警察への届出・会社への連絡・保険会社への連絡等を定めておくと、より良いでしょう。
服部社長服部社長:
 よく分かりました。規程を作成し、管理ができていると私も少しは安心です。早速、規程作りにとりかかることにします。大熊先生、その「マイカー通勤管理規程」の叩き台を後ほど、メールで送信してください。今日もありがとうございました。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。前回に引き続き自動車関連として「マイカー通勤」について取り上げてみました。自動車は、現在社会にとってはなくてはならないものとなり、便利な反面、危険が多いのも事実です。純粋に通勤だけにマイカーを使用している場合に会社の責任がどこまであるのかというのは議論のあるところですが、企業のリスク管理としてはマイカー通勤管理規程を設けてリスクを回避できるようにしておきたいところです。また、電車と違って、マイカー通勤では渋滞などによって遅刻することが容易に想像できますが、その遅刻をマイカー通勤だからということで安易に許してしまうと、職場の規律が保てないようになります。ですから、マイカー通勤であっても始業時刻は厳守しなければならないので、ゆとりをもって出勤するなどの心得を定めておくのも良いでしょう。



関連blog記事
2007年4月23日「プライベートな時間で飲酒運転事故を起こした従業員を懲戒できるのか?」
https://roumu.com/archives/2007-04.html#20070423


参考リンク
厚生労働省「労災保険給付の概要」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-12.html
大阪労働局「民事損害賠償と労災保険との調整方法について」
http://osaka-rodo.go.jp/hoken/rosai/sansya/tyui.php
財団法人労災保険情報センター
http://www.rousai-ric.or.jp/index.html


(鷹取敏昭)


当社ホームページ「労務ドットコム」および「労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報」「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog」にもアクセスをお待ちしています。

[平成19年健康保険改正]標準報酬月額の上下限の変更に伴う月額変更の特例

 平成19年4月からの健康保険法改正の内容については、以前より当ブログで取り上げてきました。法律も施行され、実務的な質問がたくさん出てきていますが、そんな中から今回は処理に漏れが発生しやすい月額変更の特例について取り上げてみましょう。



[質問]

 当社では、経営状況の変化に伴い、役員報酬を昨年(平成18年)10月に150万円から100万円に減額しました。今回、社会保険事務所から「健康保険 厚生年金保険 標準報酬月額改定通知書」が届き、改定後の標準報酬月額が「1210千円」となっていました。現在の役員報酬の100万円と比較をすると、標準報酬月額がかけ離れています。このまま変更すればいいのでしょうか?参考までに役員報酬の支払い状況を書いておきます。
 平成18年 4月~9月 150万円
 平成18年10月~ 100万円


[回答]

 今回のケースは健康保険法改正に伴う月額変更の特例に該当するため、月額変更届を提出し、平成19年4月より標準報酬月額の随時改定を行うことができます。平成19年1月以前に固定的賃金に変動がありながら、従来の標準報酬月額では2等級以上の差が生じない等のため、届いた改定通知書と現状の報酬がかけ離れてしまった状態を回避するためにこの特例が設けられています。ご質問のケースで考えてみましょう。


平成18年
 4月 150万円
 5月 150万円
 6月 150万円
 7月 150万円 :A
 8月 150万円
 9月 150万円
10月 100万円 :B1
11月 100万円
12月 100万円
平成19年
 1月 100万円 :B2
 2月 100万円
 3月 100万円
 4月 100万円 :C、D


(A)定時決定
 平成18年4月から7月の報酬平均 150万円により、平成18年9月からの標準報酬月額 980千円で決定
(B)役員報酬減額・随時改定確認
 平成18年10月から12月の報酬平均 100万円となり、随時改定に該当しない
(C)改定通知書に基づく月額変更
 定時決定時に提出した算定基礎届により標準報酬月額 1210千円に改定
(D)随時改定の特例処理
 平成18年10月から12月の報酬平均 100万円となり、新標準月額表に当てはめ、標準報酬月額 980千円で決定


 これは下記の全ての要件に該当する被保険者に対し、月額変更届を提出することにより、特例的に平成19年4月に標準報酬月額の随時改定を行うことができるというものです。
平成19年3月の標準報酬月額が98,000円または980,000円の被保険者。
平成19年3月の標準報酬月額の算定の基礎として届出(直近の算定基礎届、月額変更届等)の報酬が支払われた期間の初月の翌月から平成19年1月までに支払われた賃金に、固定的賃金の増額または減額があった。(ただし、平成19年4月随時改定該当者は除く。)
平成19年3月の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額と、平成19年1月から3月までの3か月に支払われた報酬を算定の基礎とした報酬月額を、それぞれ新しい等級表に当てはめて得た標準報酬月額の間に2等級以上の差がある。


 なお、この特例に対する届出は備考欄に「特例」と記載しなければなりません。


[まとめ]
 今回の特例に該当者は非常に限定的だと思いますが、改定通知書と現在の給与額を比較し、届出漏れがないように注意してください。



関連blog記事
2007年4月10日「[平成19年健康保険改正]標準賞与額の上限額改正に伴う賞与支給時の健康保険料に関する注意点」
https://roumu.com
/archives/50940442.html
2007年3月31日「[平成19年健康保険法改正]1月に昇給があった場合の月額変更」
https://roumu.com
/archives/50931028.html
2007年3月29日「[平成19年健康保険法改正]標準報酬月額の上下限の変更に伴う届出は不要」
https://roumu.com
/archives/50929303.html


参考リンク
愛知社会保険事務局「社会保険あいち4月号[pdf]」
http://www.sia.go.jp/~aichi/kouhousi/s1904.pdf
社会保険庁「 政府管掌健康保険と厚生年金保険の保険料額表」
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/iryo16.htm


(宮武貴美)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。

新入社員が描く理想の上司と、実際の上司の意識はこんなにズレている

新入社員が描く理想の上司と、実際の上司の意識はこんなにズレている 先日、社団法人日本能率協会より、2007年度 新入社員「会社や社会に対する意識調査」結果が発表されました。今年の新入社員の気質を知るには面白い資料になっていますが、その中でも特に面白いのが、新入社員と上司に上司像を尋ねた項目。新入社員には「あなたが理想的だと思うのはどのような上司や先輩ですか」という質問、また上司・先輩には「新入社員(若手社員)への日頃の対応・指導のしかたにおいて、ご自身に近いものはどれですか」という質問をした結果ですが、双方の想いが完全にすれ違っている状態が明確に出ています。


 まず上司・先輩でもっとも多くの回答を集めたのが、「仕事を任せて見守る上司・先輩」という項目で、上司・先輩の48.0%がこれにYESの回答をしています。しかし、新入社員からすればまったく人気はなく、この項目を理想としたのはたったの6.0%。もう完全にズレています。ほとんど上司の一方的な勘違いといっても良いほど、見事なまでのすれ違いです。また「部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩」という項目も意識のズレが大きく、上司・先輩の36.0%に対し、新入社員の回答はその半分の18.4%に留まっています。これを見ると、部下の自主性を重んじ、その考えを引き出すコーチング的なアプローチは、少なくとも新入社員にはいまひとつ受けが良くないようです。


 これに対し、新入社員の人気を大きく集めたのが、「人間的魅力のある上司・先輩(63.0%)」と「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩(50.6%)」の2つの項目。更には「言動が一致している上司・先輩(35.5%)」、「仕事の結果に対するねぎらい・褒め言葉を忘れない上司・先輩(30.6%)」という回答が続いています。この結果を総合的に見ると、新入社員は仕事に関する裁量を与えられ、主体的に動くことを要求されるよりも、言動が一致した人間的魅力のある上司・先輩から丁寧な指導をしてもらうことを求めており、その結果についてマメに労いの言葉をかけられて承認されることを期待しているようです。なんとなく新入社員の受身の態度が気になりますが、いずれにしても新入社員の指導においては、このような気質があることを理解し、ある程度配慮した言動が求められるのでしょう。



参考リンク
社団法人日本能率協会「2007年度 新入社員「会社や社会に対する意識調査」結果」
http://www.jma.or.jp/bin/jma/release/release.cgi?type=contents_20070419


(大津章敬)


当社ホームページ「労務ドットコム」にもアクセスをお待ちしています。