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特別条項付き36協定の対象者半減で100万円の助成金

特別条項付き36協定の対象者半減で100万円の助成金 7月より「中小企業労働時間適正化促進助成金」という制度がスタートしています。この助成金は、労働者災害補償保険法施行規則第27条の規定に基づき支給されるものですが、一言で言えば、特別条項付き時間外労働協定を締結している中小事業主が、働き方の見直しを通じ、労働時間の適正化に取り組んだ場合に、合計100万円が支給される助成金です。以下、その概要をご紹介しましょう。



[対象となる事業主]
 特別条項付きの時間外労働協定を締結している中小事業主であって、次のイからハまでのすべての事項を盛り込んだ「働き方改革プラン」(実施期間1年間)を作成し、都道府県労働局長の認定を受け、そのプランを措置を完了した場合に支給されます。
イ 次のいずれかの措置
[1]特別条項付き時間外労働協定の対象労働者を半分以上減少させること。
[2]割増賃金率を自主的に引き上げること(1か月の限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を35%以上に、又は月80時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を50%以上に引き上げること)
ロ 次のいずれかの措置
[1]年次有給休暇の取得促進
[2]休日労働の削減
[3]ノー残業デー等の設定
ハ 次のいずれかの措置
[1]業務の省力化に資する設備投資等の実施(300万円以上のものに限る)
[2]新たな常用労働者の雇入れ(雇入措置)


[支給額]総額100万円
第1回:50万円
 都道府県労働局長の認定を受けた「働き方改革プラン」に従い、特別条項付き時間外労働協定や就業規則等の整備を行った場合
第2回:50万円
 都道府県労働局長の認定を受けた「働き方改革プラン」に従い、時間外労働削減等の措置及び省力化投資等の措置又は雇入措置を完了した場合


 かつて助成金バブルを巻き起こした時短奨励金を少し思い出す内容になっていますが、生産性向上に伴う労働時間短縮はすべての企業にとって重要な経営課題になっています。条件が合えば、こうした助成金制度を利用してみるのも有効でしょう。



参考リンク
厚生労働省「中小企業労働時間適正化促進助成金のご案内」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken03/index.html
厚生労働省「中小企業労働時間適正化促進助成金支給要領」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken03/dl/rj0301a.pdf


(大津章敬)


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内部通報制度 通報受付票

内部通報制度 通報受付票 内部通報制度を運用する際に使用する内部通報の通報受付票のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度 

[ダウンロード]
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Word形式 naibu_uketsuke.doc(34KB)
pdfPDF形式 naibu_uketsuke.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 昨日は内部通報制度の通報フォームを取り上げましたが、本日は内部通報の受付窓口で使用する通報受付票を取り上げます。実際に通報があった際には、こうした受付票を使用し、出来る限り情報に漏れがないように通報の内容を把握することが求められます。その際、あくまでも通報者から聞いた事実のみを記載し、受付者の印象や主観を交えないようにすることが重要です。また運用上は通報の事実が漏れないように細心の注意を払う必要があります。なお通報の受付をした際には、通報者に対し、通報を受け付けた旨の連絡をし、また本人が希望する場合にはその調査の進捗状況や会社としての処理状況について連絡をすることが重要です。


関連blog記事
2007年8月1日「内部通報制度 通報フォーム」
https://roumu.com/archives/54752627.html

 

参考リンク
内閣府国民生活局「公益通報者保護制度ウェブサイト」
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/koueki/

 

(大津章敬)

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[給与計算業務の改善]情報と書類の統一による効率化

 先日より不定期連載している[給与計算業務の改善]シリーズですが、本日は管理書類の整備による業務改善の手法について取り上げることとします。



【質問】
 当社では、高校生以下の子女(所得税法上の扶養親族に限る)を扶養する社員に対し、毎月10,000円の家族手当を支給しています。給与計算を行う際に、しばしばこの家族手当の支給漏れが発生しており、翌月の調整で対応しています。ミスの傾向を分析したところ、特に子女出生の際の手続が漏れることが多いようです。支給漏れをなくすためには何から取り組めば良いのでしょうか?ちなみに現在の手続は、社員本人が「手当変更連絡表」を上長へ申請することで家族手当の変更を行なっています。


【回答】
 まずは、子女が出生した際に必要な手続を整理してみることにしましょう。一般的には子女出生前後に発生する会社の手続としては以下のようなものがあります。
■所得税法
 所得税法上の扶養親族等の増加
■健康保険法
 出産育児一時金の請求
 出産手当金の請求
 被扶養者(異動)届の提出
■給与・手当金関係
 家族手当の変更
 慶弔見舞金の支給
■その他の手続
 産前産後休暇の手続
 特別休暇の手続


 このように子女の出生という一つのイベントだけでもこれだけの手続が求められます。これらの手続きを漏れなく、円滑に行うためには事前に提出書類を本人に渡し、説明をしておくことがポイントとなります。また今回の場合、家族手当の支給条件に合致するのは、「所得税法上の扶養親族等の増加」に該当する場合であるため、「提出時家族手当変更必要」というゴム判を作成し、扶養控除等(異動)届に事前に赤インクで押印しておくといった工夫も考えられるでしょう。可能な限り書類を統一し、一枚の書式に情報を集約し、管理することが望まれます。


[まとめ]
 ひとつの事柄に関し、複数の書類を提出しなければならないというのは、社員に大きな負担を掛け、結果的にその提出が滞る原因となります。官公署に提出する法定様式はやむを得ませんが、社内で調整が可能な内容については、関係部署が集まりまとめることが必要になります。また、その際には、個人情報の取扱いに注意し、また社内での書類の取り扱いルール(承認・決裁・保管など)も併せて検討しておくことが重要です。



関連blog記事
2007年7月12日「[給与計算業務の改善]各種書式の改善で大きな生産性向上を実現 」
https://roumu.com
/archives/51016743.html
2007年7月2日「雇用保険の取得・喪失漏れを防止する方法」
https://roumu.com
/archives/51010200.html
2007年7月1日「[給与計算業務の改善]社会保険料の控除ミスを防ぐ工夫」
https://roumu.com
/archives/51006995.html
2007年6月25日「[給与計算業務の改善]給与計算ソフトへのデータインポート」
https://roumu.com
/archives/51002379.html
2007年6月20日「[給与計算業務の改善]給与計算ソフトからのデータエクスポート」
https://roumu.com
/archives/51001264.html


(宮武貴美)


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内部通報制度 通報フォーム

内部通報制度 通報フォーム 社内における組織的または個人による違法・不正・反倫理的行為に関する内部通報制度を設けた際、社員等からの通報に使用するフォームのサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度 

[ダウンロード]
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Word形式 naibu_form.doc(32KB)
pdfPDF形式 naibu_form.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 先日もミートホープ社の牛肉偽装が内部通報により発覚しましたが、近年、これと同様に内部通報により多くの企業の不祥事が発覚しています。内部通報制度は社員からの内部告発を組織的に奨励することで、社内の違法行為等を未然に発見し、積極的に解決していくための仕組みです。この通報フォームのベースとなる「内部通報制度運用規程」は近日中に公開しますので、そうしたツールを利用し、自社内のコンプライアンス推進体制の構築を進めて頂ければ幸いです。


参考リンク
内閣府国民生活局「公益通報者保護制度ウェブサイト」
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/koueki/

 

(大津章敬)

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都内労働組合の2007年夏季賞与が10年振りに80万円を超える

都内労働組合の2007年夏季賞与が10年振りに80万円を超える 先日よりご紹介している東京都産業労働局の「2007年夏季一時金要求・妥結状況」ですが、7月25日現在の最終集計が発表されました。


 この調査は都内に所在する1,000の民間労働組合を対象に行われたものですが、この最終集計では要求提出が821件、このうち妥結が783件、回答が16件という状況の集計結果となっています。これによれば、2007年夏季賞与の平均妥結額は804,195円(昨年比29,708円/2.53%増)となり、1997年以来10年振りの80万円台という結果となりました。妥結額の底となった4年前の2003年が706,558円でしたので、たった4年で平均妥結額は10万円も上昇。業績賞与制度の導入事例が増加しているとは言え、驚きを隠せない結果となっています。



関連blog記事
2007年7月19日「今夏の大企業賞与妥結額平均は910,286円(プラス3.01%)~日本経団連最終集計」
https://roumu.com
/archives/51023086.html
2007月6月30日「今夏の大企業賞与妥結額平均は925,380円(プラス2.85%)」
https://roumu.com
/archives/51007160.html
2007年6月14日「都内労働組合の2007年夏季賞与平均妥結額は790,891円」
https://roumu.com
/archives/50994671.html
2007年5月30日「2006年の大企業年間賞与平均支給額 非管理職は1,576,821円・管理職は2,911,270円」
https://roumu.com
/archives/50983333.html
2007年5月9日「2007年夏季賞与は5年連続増加も伸び率は小幅に」
https://roumu.com
/archives/50965560.html
2007年2月12日「昭和45年から現在に至る我が国の賞与支給水準の推移」
https://roumu.com
/archives/50882853.html


参考リンク
東京都産業労働局「2007年夏季一時金要求・妥結状況について(平成19年7月25日現在・最終集計)」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2007/07/60h7u200.htm


(大津章敬)


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留学費用貸与(借用)契約書

留学費用貸与(借用)契約書 社員に対し、留学費用を貸し付ける際の契約書サンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度 

[ダウンロード]
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Word形式 ryugaku_taiyo.doc(34KB)
pdfPDF形式 ryugaku_taiyo.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 社員を海外留学に派遣した後、数年以内に退社した場合に、その留学費用を返還させるという取り扱いが一般的によく見られます。しかし、これを単純に返還させると労働基準法第16条の「賠償予定の禁止」に抵触することとなるため、「留学費用を支出し、返還」させるのではなく、「留学費用を貸し付け、一定年数の勤務をもっとその返還を免除する」という取り扱いを行うことが求められます。この契約書はそうした費用の貸し付けの際に使用します。


関連blog記事
2007年7月30日「海外留学規程」
https://roumu.com/archives/54750965.html

 

参考リンク
労務行政研究所「自己啓発支援制度を利用して資格を取得した社員が他社に転職した場合、補助金の返還を求めることはできるか」
http://www.rosei.or.jp/service/faq/faq0/faq0402_10.html
独立行政法人労働政策研究・研修機構「留学費用返還請求事件」
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/094.htm

(福間みゆき)

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[雇用保険法改正]省令に見る特定受給資格者の範囲

 平成19年10月1日施行の改正雇用保険法については、これまで何度か当ブログでも取り上げていますが、本日は今後の実務に大きな影響を与えるであろう特定受給資格者の判断基準について取り上げましょう。


 今回の10月改正では、これまで一般と短時間に分かれていた雇用保険被保険者資格区分の一本化が行われますが、これに合わせて、受給資格要件の一本化も実施され、基本手当を受給するためには、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要とされることになります。しかし、倒産、解雇等の理由により離職した特定受給資格者については、この被保険者期間が「離職日以前1年間に6ヶ月以上」で足りるとされています。これにより、6ヶ月以上12ヶ月未満という比較的勤務期間の短い被保険者の退職については、その離職理由により基本手当の受給可否が分かれることとなるため、この特定受給資格者の範囲がどのように規定されるかは非常に実務上の影響が大きいと予想されていました。そんな中、先週、雇用保険法施行規則等を変更する省令が公布(平成19年7月23日官報)され、この倒産・解雇等に該当する特定受給資格者の範囲が示されました。


 この省令では具体的には、以下の2つを特定受給資格者と認めることになっています。

1年未満の期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働契約が更新されることが明示された場合において労働契約が更新されなかった離職者
被保険者期間が6か月以上12か月未満で、正当な理由のある自己都合による離職者


 この他、厚生労働省のホームページでは特定受給資格者に該当する者のまとめが掲載されていますので、併せて確認されることをお勧めします。それにしても今回の必要被保険者期間の延長により、退職理由に関する退職者とのトラブルが増加しないか非常に心配です。



関連blog記事
2007年7月23日「育児休業中の社員を臨時勤務をさせる場合の育児休業給付の支給調整」
https://roumu.com
/archives/51026499.html
2007年7月18日「[雇用保険法改正]育児休業給付を受給した場合の基本手当との調整」
https://roumu.com
/archives/51022618.html
2007年6月13日「雇用保険法改正 育児休業給付率の50%への引き上げの内容」
https://roumu.com
/archives/50990000.html
2007年5月14日「[平成19年雇用保険改正]育児休業給付の給付率引き上げ」
https://roumu.com
/archives/50969725.html


参考リンク
厚生労働省「「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」の労働政策審議会に対する諮問及び答申について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/07/h0720-3.html
厚生労働省「特定受給資格者の範囲の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/hanni.html


(宮武貴美)


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海外留学規程

海外留学規程 社員を海外留学させる際の取り扱いについて定めた規程のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度 

[ダウンロード]
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Word形式 ryugaku.doc(38KB)
pdfPDF形式 ryugaku.pdf(15KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この規程のポイントはなんといっても、留学を終えて復職し、一定期間勤務しない場合は、その費用を従業員に負担させることがあるというルールを如何に整備するかに尽きます。単純に留学費用を返還させるルールでは労働基準法第16条の「賠償予定の禁止」に抵触することになります。よって対応としては、留学する社員との間で金銭消費貸借契約(留学費用の貸付を行い、帰国後一定年数を勤務したらその返還を免除する特約付きの契約)を締結するというのが基本線になります。もっとも各種裁判例を見ると業務との関連性などの実質面の勘案など、様々な問題点がありますので、実際にこの制度を運用する際には、そうした各種裁判例をチェックすることが必要です。参考になりそうな情報については参考リンクに入れておきましたので、あわせてご覧ください。

[根拠条文]
労働基準法 第16条(賠償予定の禁止)
 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。


参考リンク
労務行政研究所「自己啓発支援制度を利用して資格を取得した社員が他社に転職した場合、補助金の返還を求めることはできるか」
http://www.rosei.or.jp/service/faq/faq0/faq0402_10.html
独立行政法人労働政策研究・研修機構「留学費用返還請求事件」
http://www.jil.go.jp/kikaku-qa/hanrei/data/094.htm

 

(福間みゆき)

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高年齢社員の雇用継続を考える際に注意すべきことは何でしょうか?

 今回も前回に引き続き、服部印刷での高年齢者の雇用継続制度についての打ち合わせ。対象となる者が今年の秋にはじめて出るということで、服部社長も宮田部長もかなり慎重になっていることが分かった。



宮田部長:
 高年齢者の雇用継続制度での給与の考え方はこれまでの説明でわかりました。高年齢者の雇用継続を行う上で、その他注意すべきことはありますか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい。これは一般論になりますが60歳以降の方は、能力や体力に大きな個人差があるといわれています。能力面では60歳までに培われてきた経験の差が大きく反映されることはお分かりのことと思いますが、体力面では無理をすると疲れやすい、疲れが取れないなどを訴える回数が次第に増えてくる方もいます。また、視力についての個人差は非常に大きいともいわれています。さらに、一見健康そうであっても次第に慢性的な疾患を持つようになってきますので、健康管理には十分注意が必要です。
服部社長:
 そうだなぁ。60歳台の知り合いでも、若者以上に元気な人がいる一方、ほんの数年の間に衰えてきて、それまでがっちりした体格だったのに体重が急に落ちて足腰の筋肉がそぎ落とされたように痩せてしまった人もいるねぇ。
大熊社労士:
 定年時点では、それまでと変わりなくても60歳以降は特に体力や健康に注意をしておくことが必要でしょう。また、これらを考慮して、新たな勤務シフトを作ることも工夫の一つでしょう。
宮田部長:
 例えば、勤務時間を短くするといったことでしょうか?
大熊社労士:
 そうです。8時間勤務のフルタイムよりも勤務時間を短くするというシフトです。または勤務日数を少なくすることや、フレックスタイム制の導入なども考えられますが、新たな勤務シフトについては、他の社員さんとのバランスを考えながら設計する必要があります。再雇用とはいえ会社の生産性に影響を与え、風土を壊すような好き勝手な働き方をしてもらっては困ります。また、設備面で安全対策をより講じるということも必要かもしれません。
服部社長服部社長:
 そうですね。ところで、わが社の雇用継続の対象者を見ると、この前お話しましたように当分は役職者が続きます。それらの者はみな元気で優秀な社員なのですが、全員が雇用継続を希望した場合にどのような職務で働かせたら良いでしょうか、実は賃金の決め方よりも、そのあたりが気になっているのです。
大熊社労士:
 そうですね。実際に多くの企業でお話をお聞きしていると、「高年齢者の担当する仕事を自社内に確保するのが難しい」であるとか、「管理職社員の扱いが難しい」という課題が浮かび上がってきます。いま社長が気になっているとおっしゃったこと、そのものですね。この点については十分検討する必要があるでしょう。今年は寺田部長お一人ですが、やはり今後のことを考えておくべきで、中期的にどのような役割を担ってもらうかを検討しておくことは必要不可欠でしょう。また管理職社員の扱いに苦労するという点ですが、それまで上司であった社員を、定年を超えたからといってすぐに部下として扱うのは現実的に難しいですし、部下として扱われる高年齢の方も抵抗感があるでしょう。特に、上司と部下との関係がよくない場合にはトラブルになる可能性もありますので、人事担当者はそのあたりのことに配慮しておく必要があります。管理職であった者を雇用継続で再雇用する場合、まずは「職務や職場を変える」ことを考えますが、現実的に中小企業では難しいですね。ですから、現実的には「新たな仕事や役割を創設する」こと、もしくは「担当すべき仕事と目的を明確にする(社員の業務フォローや技能継承、教育など)」ことが必要です。
服部社長:
 そうですね。についてはいいかも知れません。当社の業務はここ10年で大きな技術革新が進んでいますが、そうはいっても暗黙知の部分を中心に、まだまだ若手に引き継がなければならない技術や能力がたくさんあります。ベテラン社員には当社の継続的な発展のためにも、そうしたノウハウを積極的に引き継いでもらわなければなりません。
大熊社労士:
 それでは次に、賞与はどのように考えていますか?
宮田部長宮田部長:
 賞与ですか?これは考えていませんでしたね。一般の社員と同じように扱うものと思っていましたので、大熊先生に質問されるまで意識していませんでした。
大熊社労士:
 一般社員と別にしなければならないということではありません。再雇用ということを考えれば、一般社員より低い率で支給したり、一律定額を支給することは可能ですし、また支給しない会社もあるなど取り扱いは様々です。どのような扱いにするのかは会社独自で設定できますが、高年齢者のモチベーションには配慮したいところです。もちろん、一般社員と同様の計算方法で支給するということも問題はありません。ただし1点注意をしておいて欲しいことがあります。それは、賞与が年金額に反映されることです。
宮田部長:
 月給だけではないのですか?
大熊社労士:
 はい、平成15年4月から賞与にも厚生年金保険料がかけられたことはご存知のことと思います。この総報酬制が導入されたことで、働きながらもらう年金にも影響してきています。具体的には過去1年間の賞与総額によってもらえる年金額が調整され、変わってくるのです。この点が非常に分かりにくくなっており、支給されると思っていた年金額が支給されない、または減額されるというトラブルになることもあります。
宮田部長:
 年金額を一人ひとり考えながら支給することは、難しいで
すね。
大熊社労士:
 この点は、再雇用の契約時によく説明しておくことが必要でしょう。特に60歳から61歳までの間は、定年前1年間の賞与総額が反映されることになりますので、年金額が少なかったり、支給されなかったりする可能性があります。ただ正確な年金額を知るためには、年金相談センターや社会保険事務所で詳しく調べてもらう必要がありますので、対象者の方にはそのように説明しておくとよいでしょう。
服部社長:
 大熊さん、いろいろ教えていただきありがとうございました。わが社でももう一度、定年後の雇用継続について現場の意見も含めて再度検討してみたいと思います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。前回に引き続き「高年齢者の雇用継続制度」について取り上げ、60歳以降の高年齢者を継続して雇用するときの注意点をみてみました。上記以外に退職金についても注意を払っておく必要があります。基本的には再雇用で60歳以降の勤務に対して退職金を支給しないのが一般的でしょう。そのためには再雇用就業規則や雇用契約書、退職金規程などで明確に規定しておくことが必要です。いろいろ注意点をあげてみましたが、そもそも高年齢者に働いてもらうための目的は何か?また高年齢者を受け入れるために許容できる範囲はどの程度かを第一に考えるべきでしょう。単に人件費を抑えられるからとか、他社が制度を取り入れているからという考えでは、生産性の向上には繋がりません。高年齢者は、高い技能・技術や豊富な知識を持っていますので、人材確保が難しくなってきている昨今、高年齢者の活用は経営上非常に重要なポイントとなりますので、モチベーションを高く持って生産性に寄与してもらうための雇用のあり方を独自で検討されることが必要でしょう。



関連blog記事
2007年7月23日高年齢者を再雇用する際の処遇は、どう考えればいいの?
https://roumu.com/archives/64576722.html
2007年7月16日「わが社の「高年齢者継続雇用制度」はこれで良いのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/64567296.html
2007年7月16日「多様な労働力を活用するダイバーシティマネジメントで組織を活性化」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51021392.html
2006年12月25日「継続雇用制度における選定基準等に関する協定書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/51220945.html
2006年9月11日「改正高年齢法への対応は67.2%の企業が継続雇用制度を選択」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50717803.html


参考リンク
厚生労働省「改正高齢法に基づく高年齢者雇用確保措置の実施状況について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/10/h1013-3.html
厚生労働省「高年齢者雇用対策」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koureisha.html


(鷹取敏昭)


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人事考課インストラクターセミナー 10月コース(東京・大阪)受付開始!

人事考課インストラクターセミナー 10月コース 今年の3月および6月に東京・大阪・名古屋・福岡で開催し、150名以上の皆様に受講頂いた人気講座「人事考課研修DVDを使った効果的な人事考課研修の進め方」を10月に、東京および大阪で開催することとなりました。


 日程順に行きますと、東京会場が10月26日(金)、大阪会場が11月2日(金)と2週連続金曜日に開催します。今回は実践的なツールを用い、人事考課制度運用の決め手となる具体的ノウハウをご提供する実務講座ですので、人事コンサルタントや社会保険労務士などの専門家の皆様だけではなく、一般企業の人事労務担当の方にも是非ご参加頂きたいと思います。 なお、今回は名古屋および福岡での講座開催はありませんので、東京または大阪での受講をご検討ください。
[セミナー内容]
人事考課制度の全体像
□人事考課にかかる諸制度の整理
□儲かるしくみを推進するための評価と期待人材像へ導くための評価
□評価の「視点」を変えるコツ
人事考課研修の進め方~インストラクターノウハウ研修
□文章題での演習の進め方
□DVDリソースを使った演習の進め方
□人事考課と面接の進め方


[研修概要]
日程および会場:
 東 京/10月26日(金)13:30-16:30 東京国際フォーラムG405(有楽町)
 大 阪/11月2日(金)13:30-16:30 名南経営大阪支店(堺筋本町)

受講料:50,000円(人事考課研修DVDおよび消費税含む)
講 師:株式会社名南経営 人事コンサルタント 小山邦彦
※DVDのみの販売(39,800円)も行いますが、できるだけこのセミナーを受講して重要なポイントを修得されることをお薦めします。なお、セミナーお申込の場合でもDVDは事前に郵送させて頂きます。


[詳細およびお申込]
 詳細およびお申込は以下よりお願いします。
https://roumu.com/seminar/seminar_evadvd.html


[11月の実務家向け講座第2弾は近日発表!]
 11月には大津章敬が講師を担当する「退職金制度・企業年金改定実務セミナー(仮称)」も以下の日程で開催を予定しています。こちらも近日中にご案内させて頂きますので、是非ご参加ください。
  名古屋会場:11月8日(木)名南経営本館研修室(熱田)
  東京会場:11月12日(月)総評会館(御茶ノ水)
  大阪会場:11月16日(金)名南経営大阪支社(堺筋本町)



関連blog記事
2007年2月24日「人事考課インストラクターセミナー 名古屋会場終了 ありがとうございました」
https://roumu.com
/archives/50898164.html



(大津章敬)


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