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平成21年度の国民年金・厚生年金の収支決算はいずれも赤字に

平成21年度の国民年金・厚生年金の収支決算はいずれも赤字に 先日、厚生労働省から「厚生年金・国民年金の平成21年度収支決算の概要の公表について」という資料が発表されました。公的年金については年金記録問題もあり、数年前より国民の最大関心事のひとつになっています。日本年金機構のホームページでも年金記録問題への対応について「年金記録問題への取組状況と年金額回復の具体的事例」を1週間に1回程度情報公開をし、取り組みのアピールしているところですが、解決の道のりは遠いという印象が残るばかりです。


 このような状況下で発表された収支決算には注目が集まっているところですが、結果としては厚生年金・国民年金ともに赤字という結果になっています。厚生年金の歳入については、国庫負担が基礎年金国庫負担割合の2分の1に引き上げられたことなどにより増加している一方で、保険料収入については被保険者数の減少や平均標準報酬月額の低下等で減少しているようです。歳出については、受給者数の増加に伴い、保険給付費が増加、基礎年金拠出金も増加しました。その結果、厚生年金は歳入380,079億円、歳出387,813億円となり、7,734億円の赤字となっています。


 国民年金の歳入についても国庫負担が基礎年金国庫負担割合の2分の1に引き上げられたことなどにより増加している一方で、保険料収入については納付率の低下や被保険者数の減少等という大きな課題を抱え減少となりました。一方の歳出については、旧国民年金法による受給者数が減少したことにより減少はしているものの、歳入51,347億円、歳出53,598億円となり、国民年金も2,251億円の赤字になっています。


 このような状態が続くことで、国民の公的年金への信頼はさらに低下し、悪循環を辿ることが容易に想像されます。やはり公的年金には抜本的な改革が必要なのかも知れません。



関連blog記事
2010年6月18日「年金制度の把握に最適!日本年金機構の年金制度教材がダウンロードできます」
https://roumu.com
/archives/51749888.html

2010年5月6日「年金記録の回復により支給されることとなった遅延加算金」
https://roumu.com
/archives/51731582.html

2010年3月3日「昨年より更に悪化した国民年金保険料の納付率」
https://roumu.com
/archives/51702726.html

2010年2月3日「平成22年度の年金額も前年据え置き」
https://roumu.com
/archives/51690801.html


参考リンク
厚生労働省「厚生年金・国民年金の平成21年度収支決算の概要の公表について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000j1pd.html


(宮武貴美)

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固定残業給を採用するためにはいくつかの要件があります

 今週は先週のブログ記事「研究開発職などには裁量労働時間制の採用も効果的です」に引き続き、未払い残業代請求問題の連載の9回目。今週は対策編の第3回ということで、質問の多い固定残業給の取扱いについて解説する。



服部社長服部社長:
 大熊さん、時間外割増賃金は原則として実績に基づき、1分単位で個別に支払う必要があるというのはよく理解しましたが、私の知り合いの会社で残業代を固定的に支給しているという話を聞いたことがあるのですが、これは適法なのでしょうか?
大熊社労士:
 なるほど、固定残業給であるとか定額残業制と呼ばれるものですね。時間外割増賃金に相当する金額を毎月の給与の中で定額払いとすることは、いくつかの要件を満たすことによって有効とされています。
服部社長:
 要件があるのですね。それはどのようなものでしょうか?
大熊社労士:
 はい、原則的には以下の3つの要件の充足が求められています。
就業規則や労働契約において、賃金の中に時間外割増賃金が含まれることが明確にされていること
従業員に賃金に含まれる時間外割増賃金の部分が明確に区分され、示されていること
賃金に含まれている時間分を超える時間外労働が発生した際には、その超過した時間にかかる時間外割増賃金を別途支払うこと
宮田部長:
 なるほど。の要件ですが、時間外割増賃金の部分が明確に区分される必要があるということは基本給の中に含まれるというような決め方では問題ということなのでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。基本的には独立した手当項目として他の賃金とは区分して支給することになります。時間外割増賃金の固定的先渡しということを明確にするために「固定残業手当」といった名称にしておくと良いでしょう。
宮田部長宮田部長:
 分かりました。の要件ですが、これは固定残業手当が月30時間分の時間外割増賃金に相当するとした場合、実際の時間外労働が45時間あったとすると、その差である15時間分は別途支給する必要があるということですね。
大熊社労士:
 そのとおりです。
服部社長:
 なるほど。あくまでも固定的に先渡しするだけで、前回説明を受けたみなし労働とは異なるのですね。
大熊社労士:
 はい、そこはよく間違えられる重要ポイントです。みなし労働が適用できるのは事業場外労働と裁量労働だけです。よってそれに該当しない場合にはあくまでも時間外割増賃金の固定的先渡しになります。よって実際の時間外労働の時間数がその設定時間数を超えた場合には別途支払いが求められるのです。
服部社長:
 となると結局は実績で支給する訳だから、あまり意味がないようにも思えるね。
大熊社労士:
 そうですね。意味があるとすると、例えば賞与の支給水準を下げて、原資を捻出した上でそれを固定残業手当として毎月の賃金に上乗せする方法ですね。労働基準法で支払いが義務付けられている時間外割増賃金を支給せずに賞与を支給するというのは法的にはあり得ない話ですから、その原資を活用し、未払いをなくしていくのです。
服部社長:
 ただ賞与というのは従業員個々の半期の仕事の状況を評価して、それを反映していくものですから、その原資が減ってしまうのは人事制度としてはどうなんでしょうね?
大熊社労士大熊社労士:
 おっしゃるとおりです。人事制度の効果という点で見れば、結局は労働時間が長い者の年収が増える話になってしまいますから、万全な策とはいえませんね。また毎月の賃金に上乗せすることで、人件費が固定化してしまうリスクも見逃すことはできません。しかし、未払い残業代問題のリスクを下げるという視点では間違いなく有効な対策です。あとはバランスを考えながら、他の様々な対策と同時並行的に検討することが必要です。
宮田部長:
 そうですね。
大熊社労士:
 また従来、毎月の賃金の中に一定の時間外手当を含んでいると説明していた企業については、改めて固定残業給を適法に整備することも検討すべきでしょう。もっともこの場合は、労働条件の不利益変更に該当する場合も少なくないと思いますので、従業員に十分な説明を行い、同意をもらいながら進めていくのが基本線となります。
宮田部長:
 なるほど、参考までに就業規則にどのように規定すればよいか教えていただけませんか?
大熊社労士:
 はい、規定の仕方にはいくつかのパターンがありますが、もっとも分かりやすいのは以下のような条文でしょうね。
「○○職に対しては、○○円の時間外労働手当相当分を固定残業手当として支払う。なお、その月の実際の時間外労働手当、法定休日労働手当および深夜労働手当の合計額が本手当を超えた場合は、その超過分について支払う。」
宮田部長:
 ありがとうございます。当社でも採用の検討をしてみます。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は未払い残業代請求問題の対策の一つとして固定残業給の設定について取り上げました。固定残業給は文中の要件を満たすことで適法に導入が可能ではありますが、実際の導入においては労働条件の不利益変更の問題が出やすいのが実情です。形式的に固定残業を設定し、時間外割増賃金の支払いを逃れるような取扱いは後々のトラブルの原因となりますので注意しましょう。なお、固定残業給において「時間外割増賃金○時間分を含む」というように時間数を明記する例も多いようですが、そこまでの必要はないとされています。但し、従業員がその計算をできるように明確な区分と計算根拠の明示は欠かさないようにしましょう。




愛知・岐阜・三重の9会場で未払い残業代請求問題の無料セミナーを開催!
 名南経営では、現在、愛知・岐阜・三重の各都市で未払い残業代請求問題の無料セミナーを開催しています。日程は以下のとおりですので、この機会に是非ご参加をお待ちしております。
(1)岡崎 5月25日(火)岡崎商工会議所[終了]
(2)半田 5月27日(木)半田商工会議所[終了]
(3)一宮 6月1日(火)一宮商工会議所[終了]
(4)豊橋 6月4日(金)豊橋市民センター[終了]
(5)豊田 6月10日(木)豊田産業文化センター[終了]
(6)多治見 6月11日(金)多治見市産業文化センター[終了]
(7)岐阜 6月15日(火)岐阜商工会議所[終了]
(8)津会場 6月17日(木)津商工会議所[終了]

(9)名古屋 6月22日(火)ウインクあいち[終了]
(10)名古屋 7月13日(火)ウインクあいち ※追加日程
(11)名古屋 9月2日(木)名南経営本館 ※再追加日程

※詳細および申込みは以下よりお願いします。
https://www.roumu.com/seminar/seminar_mibarai2.html



関連blog記事
2010年7月5日「研究開発職などには裁量労働時間制の採用も効果的です」
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2010年6月28日「労働時間制度が自社の現状と乖離し、無駄な残業代が発生していませんか?」
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2010年6月21日「営業職の残業代は今後、確実に大きな問題になるでしょう」
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2010年6月14日「管理職についても未払い残業代の問題は存在します」
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2010年6月7日「労働時間=労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」
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2010年5月31日「労働時間集計の端数処理のミスで発生する未払い残業代」
https://roumu.com/archives/65363905.html
2010年5月24日「意外に多い「単価計算ミス」による未払い残業代の発生」
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2010年5月17日「未払い残業代請求問題というのはどのようなものですか?」
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(大津章敬)


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高校生のアルバイトを仕事に就かせるときの注意点を教えて下さい

 前回、高校生を雇用する場合の注意点について確認したが、いよいよ今週から高校生にアルバイトにやって来ることとなった。配属は工場となり、製本作業を行う予定となっている。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。先週ご相談しました高校生のアルバイトですが、いよいよ明日から来てもらいます。
大熊社労士:
 そうですか。今年は新規採用を控えられましたが、高校生のアルバイトが入ってくることによってフレッシュな印象を受けることができ、職場の雰囲気も変わりますね。
宮田部長宮田部長:
 そうですね。それも期待したいですね。アルバイトの彼には、工場の製本工程で仕事をしてもらおうと考えていますが、実際に仕事をさせるにあたっての注意点はありますか?
大熊社労士:
 はい、18歳未満の者については、労働基準法で危険・有害な業務をさせてはいけないとされており、その具体的な範囲については年少者規則第8条に定められています。例えば、ボイラーの溶接やクレーンの運転などがあります(詳細は文末の関連法規を確認)。
福島さん:
 なるほど。44個の業務が挙げられており、幅広い内容ですね。
大熊社労士:
 これらの業務については、大きく①安全上危険な業務、②衛生上有害な業務、③福祉上有害な業務の3つに分けることができます。そして、各々の業務について細かな行政解釈などが出ていますので、注意して確認する必要があります。今回については、製本の作業内容からみて問題ないでしょう。またそもそも労働基準法において、厚生労働省が定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならないとされています。
福島照美福島さん:
 基本的には、重たい物を持ったり運んだりといったことはないと思いますが、この重量物を取り扱う業務とはどのような業務を指しているのでしょうか?
大熊社労士:
 これについても年少者規則第7条に定めがありまして、以下のように、就業禁止となる重量物の最低基準が示されています。
断続作業の場合
 満16歳未満 男:15㎏ 女:12㎏
 満16歳以上満18歳未満 男:30㎏ 女:25㎏
継続作業の場合
 満16歳未満 男:10㎏ 女:8㎏
 満16歳以上満18歳未満 男:20㎏ 女:15㎏
宮田部長:
 こんなルールがあるとはまったく知りませんでした。性別および年齢別、作業が連続か断続かによって、細かく決められているのですね。
大熊社労士大熊社労士:
 規定の中において明確な作業方法の定めは示されていませんが、健康に及ぼす影響との関係からみますと、重量物を直接担うケースを指していて重量物を押すようなケースについては含まれないと考えられます。
宮田部長:
 18歳未満の者については、身体の発育に危害が生じないように一層注意しなければなりませんね。しばらく仕事をしていくと、18歳未満であることという認識が薄れて行きかねませんので、総務の方でしっかり管理していきます。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。労働安全衛生法第61条では、未経験者であること、技能を有しない労働者であることを理由として、一般的な就業制限が規定されています。このうち一定の業務については免許を有しない者の就業を禁止していますが、この免許取得そのものについて、年少者であることを欠格事由としているものがあり、具体的には次のとおりです。
満18歳未満に満たない者であることを欠格事由とするもの
・特級ボイラー技士免許
・一級ボイラー技士免許
・二級ボイラー技士免許
・特別ボイラー溶接士免許
・普通ボイラー溶接士免許
・ボイラー整備士免許
・クレーン運転士免許
・移動式クレーン運転士免許
・デリック運転士免許
・ガス溶接作業主任者免許
・林業架線作業主任者免許
・発破技士免許
・揚貨装置運転士免許
・潜水士免許
・エックス線作業主任者免許
満20歳に満たない者であることを欠格事由とするもの
・高圧室内作業主任者免許


 なお、会社が、労働基準法第62条(危険有害業務の就業制限)に違反して年少者を危険有害の業務に従事させた場合についても、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金の罰則がありますので一層の注意を払うことが望まれます。


[関連法規]
労働基準法 第62条(危険有害業務の就業制限)
 使用者は、満18歳に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
2 使用者は、満18歳に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
3 前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。


労働基準法 第63条(坑内労働の禁止)
 使用者は、満18歳に満たない者を坑内で労働させてはならない。


年少者規則 第8条(年少者の就業制限の業務の範囲)
 法第六十二条第一項の厚生労働省令で定める危険な業務及び同条第二項の規定により満十八歳に満たない者を就かせてはならない業務は、次の各号に掲げるものとする。ただし、第四十一号に掲げる業務は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)により免許を受けた者及び同法 による保健師、助産師、看護師又は准看護師の養成中の者については、この限りでない。
一  ボイラー(労働安全衛生法施行令 (昭和四十七年政令第三百十八号)第一条第三号 に規定するボイラー(同条第四号 に規定する小型ボイラーを除く。)をいう。次号において同じ。)の取扱いの業務
二  ボイラーの溶接の業務
三  クレーン、デリック又は揚貨装置の運転の業務
四  緩燃性でないフィルムの上映操作の業務
五  最大積載荷重が二トン以上の人荷共用若しくは荷物用のエレベーター又は高さが十五メートル以上のコンクリート用エレベーターの運転の業務
六  動力により駆動される軌条運輸機関、乗合自動車又は最大積載量が二トン以上の貨物自動車の運転の業務
七  動力により駆動される巻上げ機(電気ホイスト及びエアホイストを除く。)、運搬機又は索道の運転の業務
八  直流にあっては七百五十ボルトを、交流にあっては三百ボルトを超える電圧の充電電路又はその支持物の点検、修理又は操作の業務
九  運転中の原動機又は原動機から中間軸までの動力伝導装置の掃除、給油、検査、修理又はベルトの掛換えの業務
十  クレーン、デリック又は揚貨装置の玉掛けの業務(二人以上の者によって行う玉掛けの業務における補助作業の業務を除く。)
十一  最大消費量が毎時四百リットル以上の液体燃焼器の点火の業務
十二  動力により駆動される土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転の業務
十三  ゴム、ゴム化合物又は合成樹脂のロール練りの業務
十四  直径が二十五センチメートル以上の丸のこ盤(横切用丸のこ盤及び自動送り装置を有する丸のこ盤その他反ぱつにより労働者が危害を受けるおそれのないものを除く。)又はのこ車の直径が七十五センチメートル以上の帯のこ盤に木材を送給する業務
十五  動力により駆動されるプレス機械の金型又はシヤーの刃部の調整又は掃除の業務
十六  操車場の構内における軌道車両の入換え、連結又は解放の業務
十七  軌道内であって、ずい道内の場所、見通し距離が四百メートル以内の場所又は車両の通行が頻繁な場所において単独で行う業務
十八  蒸気又は圧縮空気により駆動されるプレス機械又は鍛造機械を用いて行う金属加工の業務
十九  動力により駆動されるプレス機械、シヤー等を用いて行う厚さが八ミリメートル以上の鋼板加工の業務
二十  削除
二十一  手押しかんな盤又は単軸面取り盤の取扱いの業務
二十二  岩石又は鉱物の破砕機又は粉砕機に材料を送給する業務
二十三  土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さが五メートル以上の地穴における業務
二十四  高さが五メートル以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのあるところにおける業務
二十五  足場の組立、解体又は変更の業務(地上又は床上における補助作業の業務を除く。)
二十六  胸高直径が三十五センチメートル以上の立木の伐採の業務
二十七  機械集材装置、運材索道等を用いて行う木材の搬出の業務
二十八  火薬、爆薬又は火工品を製造し、又は取り扱う業務で、爆発のおそれのあるもの
二十九  危険物(労働安全衛生法施行令 別表第一に掲げる爆発性の物、発火性の物、酸化性の物、引火性の物又は可燃性のガスをいう。)を製造し、又は取り扱う業務で、爆発、発火又は引火のおそれのあるもの
三十  削除
三十一  圧縮ガス又は液化ガスを製造し、又は用いる業務
三十二  水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、シアン化水素、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
三十三  鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗素、塩素、シアン化水素、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
三十四  土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
三十五  ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
三十六  多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
三十七  多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
三十八  異常気圧下における業務
三十九  さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務
四十  強烈な騒音を発する場所における業務
四十一  病原体によって著しく汚染のおそれのある業務
四十二  焼却、清掃又はと殺の業務
四十三  刑事施設(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 (平成十七年法律第五十号)第十五条第一項 の規定により留置施設に留置する場合における当該留置施設を含む。)又は精神科病院における業務
四十四  酒席に侍する業務
四十五  特殊の遊興的接客業における業務
四十六  前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が別に定める業務



関連blog記事
2009年3月30日「高校生のアルバイトを雇用する際の注意点を教えて下さい」
https://roumu.com/archives/65070671.html
2007年1月27日「交代制による深夜業延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/51943770.html
2007年8月27日「年少者に係る深夜業時間延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54788527.html


参考リンク
神奈川労働局「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/kokosei.htm


(福間みゆき)


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高校生のアルバイトを雇用する際の注意点を教えて下さい

 服部印刷でアルバイトの募集を行っていたところ、高校生からの応募があった。服部社長が面接したところ、その高校生を気に入り、来週からアルバイトに来てもらうことになった。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。来週から高校生をアルバイトとして雇うことになりました。
大熊社労士:
 高校生ですか。
宮田部長宮田部長:
 はい、これまで高校生を雇ったことはありませんでしたが、社長がその高校生を気に入りまして、週2日の短時間ですが、来週から来てもらうことになりました。初めて高校生を雇うのですが、何か注意しなければならない点などありますか?
大熊社労士:
 そうですね。ポイントとしては、年齢確認、証明書の備え付け、時間外・休日労働の禁止の3点がありますので、詳しくみていきましょう。まず、労働基準法では、20歳未満の者を次のように定義しています。
 満20歳未満・・・未成年者
 満18歳未満・・・年少者
 満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者・・・児童
福島照美福島さん:
 高校生ということは、「年少者」に該当しますね。確か労働契約は、未成年者であっても本人と締結することになっていたと思いますが。
大熊社労士:
 そのとおりです。本人と契約を結ばなければならないですね。高校生の親との間でアルバイトをすることの契約を結んでも、その契約は成立しません。但し、未成年者と労働契約を結ぶときには、親権者または後見人の同意が必要となっています。
福島さん:
 なるほど、分かりました。注意します。
宮田部長:
 今回は高校生のため18歳未満であることが分かって雇ったのですが、例えば本人が何らかの理由で年齢を詐称し、20歳以上であるとと信じて雇った場合、問題あるのでしょうか?
大熊社労士:
 年齢の確認については、会社に確認義務が課されており、18歳未満の者を雇った場合は年齢を証明できるものを事業場に備え付けることになっています。具体的には、氏名と生年月日を確認できる「住民票記載事項証明書」が必要で、備え付けなかったときについては罰則が設けられています。ご質問のように20歳以上と信じて雇ってしまったときですが、18歳未満であるか否か疑わしい者について単純にその者を信じて年齢証明書を備え付けなかった場合は、労働基準法第57条違反の責を免れることができないとされています。
福島さん:
 少しでも疑問を感じたら、確認する必要がありますね。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。今回のアルバイトについては短時間勤務ということでしたが、例えば夏休みの期間などで、終日来てもらうことがあるかも知れませんので、労働時間の注意点についても簡単にお話しておきましょう。18歳未満の者を働かせる場合は、法定労働時間を守る必要があります。そして36協定を締結したとしても、時間外労働・休日労働をさせることはできませんので注意して下さい。
宮田部長:
 忙しいからといって、法定労働時間を超えて働いてもらってはダメということですね。現場の管理者に伝えておきます。
大熊社労士:
 御社では変形労働時間制を採用されていますが、この変形労働時間制についても適用させることはできないので、注意が必要ですね。ただし、例外がありまして、満15歳以上で満18歳に満たない者については、次のいずれかに当てはまる場合は働かせることができます。
1週間の労働時間が40時間以内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮すれば他の日の労働日を10時間まで延長することができる。
1週間について48時間以内、1日について8時間以内であれば、1ヶ月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用できる。
宮田部長:
 高校生を雇ったときには、いろいろ注意しなければならないことがありますね。しっかり私の方で労務管理を行います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は年少者の労働契約について取り上げましたが、年少者については深夜(午後10時から午前5時)に働かせることは、原則として禁止されています。ただし、次のいずれかの場合は働かせることができます。
交替制で働く満16歳以上の男性
交替制勤務の場合
 労働基準監督署長の許可を受けて、午後10時30分までと午前5時30分からの働かせることができるようになっています。なお、この場合において、午後10時~午後10時30分までの30分間については、労働基準法第37条の規定により深夜割増賃金の支払義務があるという点に注意が必要です(昭和23年2月20日 基発第297号)。
農林水産業、保健衛生業、電話交換業務
非常災害時の時間外、休日労働



関連blog記事
2007年1月27日「交代制による深夜業延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/51943770.html
2007年8月27日「年少者に係る深夜業時間延長許可申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/54788527.html


参考リンク
神奈川労働局「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」
http://www.kana-rou.go.jp/users/kijyun/kokosei.htm


(福間みゆき)


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[ワンポイント講座]退職者の個人情報はいつまで保管すればよいのでしょうか

 今日は「人事労務ワンポイント講座」の水曜日です。今回は退職者の個人情報の取り扱いについて、お話しましょう。



 退職となった社員の履歴書や人事評価表などの資料について、いつまで保管されていますでしょうか。担当者が替わってもずっと保管し続けており、現担当者ではいつ頃の資料なのか分からないということも少なくないように思います。


 まず労働基準法の規定を見てみると、第109条において、「使用者は、労働者の名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」と定められています。そのため、退職者の個人情報についても、法令上3年間保存しておくことが必要になっています。このように最低限の保管期間はあくまで3年間ですが、3年間で破棄しても問題ないのか不安に感じるところです。これに関して厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(解説)」を見てみると、参考4に「退職」時点における個人情報の適正な取扱いを確保するための留意点が紹介されています。これによると、「退職者の個人情報については、賃金台帳等の一定期間の保存を定めた労働基準法第109条等他の法令との関係に留意しつつも、利用目的を達成した部分についてはその時点で、写しも含め、返却、破棄又は削除を適切かつ確実に行うことが求められる。仮に利用目的達成後も保管する状態が続く場合には、目的外利用は許されておらず、また、その後も継続して安全管理措置を講じなければならない」、「退職者の転職先又は転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供することは第三者提供に該当するため、あらかじめ本人の同意を得なければならない」とされています。


 つまり、個人情報管理という視点においては、退職者の個人情報の利用目的が達成されたのであれば、その時点で、コピーしたものやデータも含めて返却、破棄または削除を行うことが求められています。このような対応が求められているため、いつまでも保管しておくことは適切ではなく、3年経過した時点で書類やデータのチェックを行う必要があるでしょう。しかし、特定の事情によって、必要な情報を長らく保管しておかなければならないときがあります。この場合には利用目的の範囲内で保管しておくことは問題ないと考えますが、やはり利用目的や保管期間等を明確にした上で保管しておくことが求められます。保管期間については、労働基準法第109条により3年間の保存義務がありますが、それ以上の期間としては、債務不履行による損害賠償債務の時効期間である10年を目安にするという考え方があります。そのため、長くとも10年を目安として、10年を過ぎる時点で、10年を超えてもなお保管しておく必要があるか否かを検討することが必要になってくるでしょう。


[関連法規]
労働基準法第109条(記録の保存)
 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。



関連blog記事
2008年10月15日「[ワンポイント講座]休職中の社員に年休や特別休暇を与えることは必要か」
https://roumu.com
/archives/51429427.html

2008年10月8日「[ワンポイント講座]月の所定労働日数が変動するパートの年休付与日数の計算」
https://roumu.com
/archives/51425634.html


参考リンク
厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針について」
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0701-1.html
厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(解説)」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/privacy/050308-1.html


(福間みゆき)


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派遣が始まる前に派遣労働者に面接をしてはいけないのですか?

 服部社長と宮田部長は、労働者派遣が必要になったときのことを想定し、事前にその基礎的知識を学んでいる。今回は、その最後のレクチャーとなった。



宮田部長:
 派遣会社との契約ができたら、どのように派遣労働者を紹介してもらえるのですか?複数の履歴書を見せてもらって、選んだりすることができるのでしょうか?
大熊社労士:
 宮田部長、お気持ちはよく分かりますが、派遣が実際に行われる前に面接を行ったり、履歴書を見せてもらったりすることはできないんですよ。
宮田部長宮田部長:
 そうなのですか!てっきりお見合いのようなものが行われるんだと思い込んでいましたよ!しかし、それでは派遣労働者を受け入れる派遣先にとっては不安ですね。どのような理由からそのように決められているのですか?
大熊社労士:
 はい、そもそも労働者派遣は、特定の業務を処理してもらうための知識や技能等を備えた労働者が派遣されることですので、派遣先の注文に合わせた業務が処理できれば良いはずです。よって、それ以上の条件を課すことは派遣労働者の雇用に対して必要以上に制限をかけることになるという考えに基づいています。また、事前に面接を行うことは、派遣先に事実上採用の自由を認めることにも繋がりますので、予定紹介派遣を除いて、派遣労働者を特定するような目的の行為をしないように努めなければならないと労働者派遣法では規定されています。派遣先が社員を直接採用し、雇用するのとは違うということを、理解する必要がありますね。
服部社長服部社長:
 そうですか、分かりました。労働者派遣には思っていた以上に、様々な制約があるようですね。ところで、いまの説明の中に出てきた予定紹介派遣とは、どのような制度なのでしょうか?
大熊社労士:
 予定紹介派遣というのは、「テンプ・トゥ・パーム」とも呼ばれる労働者派遣の一つですが、後に派遣先の社員として紹介を受けることを事前に予定している制度です。いわゆる社員として採用されるためのトライアル的な派遣制度と思っていただければよいでしょう。
服部社長:
 この予定紹介派遣のときには、派遣前に事前面接を行ってもよいのですね?
大熊社労士:
 はい、一般の派遣と異なり職業紹介も兼ねていますから、予定紹介派遣のときは事前に面接を行っても構わないことになっています。なお、トライアルの制度ですので、結果的に採用しなくても問題はありませんが、派遣期間は6ヶ月までと短くなっています。
服部社長:
 分かりました。わが社で、実際に派遣労働者を受け入れることになった場合、他に注意すべきことはありますか?
大熊社労士:
 よくありがちな問題は、派遣契約の範囲を超えた業務に就かせたり、指揮命令してしまうという取り扱いですね。
宮田部長:
 関連する業務というのはどのように考えればよいのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 例えば、準備や整理、後片付け等などは派遣業務に通常関連することとして、与えられた業務を円滑に行うために必要なことと判断されますので問題はありません。しかし、まったく異なる業務を行わせる場合は、新たに派遣契約をし直す必要があります。また、派遣先は派遣労働者ごとに派遣先管理台帳を作成しなければなりません。決められた様式はありませんが、記載すべき項目として派遣労働者の氏名、派遣元の会社名・所在地、就業が開始された日、就業をした日ごとの始業・終業時刻と休憩時間、派遣業務の種類、派遣労働者からの苦情の処理に関すること、派遣先・派遣元の責任者、社会保険等の加入状況などとなっています(派遣先管理台帳の書式はこちらよりダウンロードできます)。
服部社長:
 大熊さん、ありがとうございました。この先、派遣労働者が必要になるかどうかはわかりませんが、基本的な知識は得られたと思います。実際、派遣労働者を受け入れることになったときには、また相談することがあると思いますので教えてください、よろしくお願いします。
大熊社労士:
 もちろんです。そのときには改めてご相談ください。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は派遣労働者の受け入れのときの注意事項について取り上げてみました。派遣先は、派遣労働者を受け入れるときに派遣先責任者を選ばなければなりません。ただし、使用する派遣労働者が5人以下の場合や1日だけ派遣を受け入れる場合は選任しなくてもよいことになっています。なお、派遣先責任者を選任しない場合には、罰金を科せられますので注意してください。また、派遣労働者の受け入れに際して、派遣先にも労働基準法や労働安全衛生法、男女雇用機会均等法などで適用される事項があります。特に、正社員と比較すると派遣労働者の方がセクハラ、パワハラの対象になりやすいので注意が必要です。以上で、労働者派遣に関する今回のシリーズは終了します。


[関連法規]
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 第2条(用語の意義)
 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
6.紹介予定派遣 
 労働者派遣のうち、第5条第1項の許可を受けた者(以下「一般派遣元事業主」という。)又は第16条第1項の規定により届出書を提出した者(以下「特定派遣元事業主」という。)が労働者派遣の役務の提供の開始前又は開始後に、当該労働者派遣に係る派遣労働者及び当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受ける者(以下この号において「派遣先」という。)について、職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして、職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、当該派遣労働者が当該派遣先に雇用される旨が、当該労働者派遣の役務の提供の終了前に当該派遣労働者と当該派遣先との間で約されるものを含むものとする。


労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 第26条(契約の内容等)
 労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。
7 労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。


労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 第41条(派遣先責任者)
 派遣先は、派遣就業に関し次に掲げる事項を行わせるため、厚生労働省令で定めるところにより、派遣先責任者を選任しなければならない。
1.次に掲げる事項の内容を、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に周知すること。
イ この法律及び次節の規定により適用される法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)
ロ 当該派遣労働者に係る第39条に規定する労働者派遣契約の定め
ハ 当該派遣労働者に係る第35条の規定による通知
2.第40条の2第5項及び次条に定める事項に関すること。
3.当該派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に当たること。
4.当該派遣労働者の安全及び衛生に関し、当該事業所の労働者の安全及び衛生に関する業務を統括管理する者及び当該派遣元事業主との連絡調整を行うこと。
5.前号に掲げるもののほか、当該派遣元事業主との連絡調整に関すること。


労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 第42条(派遣先管理台帳)
 派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、派遣就業に関し、派遣先管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに次に掲げる事項を記載しなければならない。
1.派遣元事業主の氏名又は名称
2.派遣就業をした日
3.派遣就業をした日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに休憩した時間
4.従事した業務の種類
5.派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
6.紹介予定派遣に係る派遣労働者については、当該紹介予定派遣に関する事項
7.その他厚生労働省令で定める事項
2 派遣先は、前項の派遣先管理台帳を3年間保存しなければならない。
3 派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項各号(第1号を除く。)に掲げる事項を派遣元事業主に通知しなければならない。



関連blog記事
2008年6月23日「派遣期間の制限を超えた場合は、どのようになるのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/64925125.html
2008年6月16日「派遣期間の制限は派遣社員や派遣会社が変わった場合、どのようになるのですか?」
https://roumu.com/archives/64910644.html
2008年6月9日「派遣労働者の受入には期限があるのですか?」
https://roumu.com/archives/64910632.html
2008年6月2日「派遣と請負とは何が違うのですか?」
https://roumu.com/archives/64910574.html
2008年03月22日「派遣先事業主・派遣元事業主に課せられた労働法の適用(労働基準法編)」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51285988.html
2008年03月17日「産業医選任義務の従業員数50名に派遣労働者は含めるのか」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51279846.html
2008年3月15日「派遣先責任者選任義務の範囲」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51278351.html
2007年10月20日「8年間で企業における派遣労働者の割合が倍増!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51128275.html
2008年5月28日「派遣先管理台帳(平成20年4月改正版)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55060672.html


参考リンク
厚生労働省「労働者派遣事業・職業紹介事業等」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/haken-shoukai.html
東京労働局「労働者派遣事業関係」
http://www.roudoukyoku.go.jp/seido/haken/conttop.html
Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog「労働者派遣関連書式」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/cat_50241670.html


(鷹取敏昭)


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勤務時間外にアルバイトしている社員の対応はどうすれば良いでしょうか?

 年明け早々から、うつの症状のある社員への対応で苦慮していたが、やっと休職の運びとなり、服部社長も一安心。ところが、また社内で困ったことが発生したと宮田部長より大熊社労士に電話が入り、急遽訪問することになった。



宮田部長:
 年始から続けて問題が発生し、大熊先生には何度も当社まで足を運んでいただきまして、本当に申し訳ありません。
大熊社労士:
 いえいえ、いいですよ。お気になさらないでください。こうした問題解決をし、また再発防止などの措置を提案するのが私の仕事ですから。で、今回はどのような問題でしょうか?
宮田部長宮田部長:
 はい、実は勤務時間外でアルバイトしている社員がいるとの報告を受けたのです。その対応をどうすればよいか、ご相談したくて連絡させていただきました。
大熊社労士:
 勤務時間外でのアルバイト、いわゆる副業ですね
服部社長:
 個人的な事情はいろいろあるのでしょうが、わが社の就業規則には二重就職禁止の規定がありますので、他で働くことはやめてもらいたいのです。
大熊社労士:
 そうですね、勤務時間以外は社員の自由な時間であるといっても、ほとんどの会社では二重就業を禁止しています。その理由としては、他の職業に就くことで本来の仕事に支障を来たすことを防ぎたい。例えば、残業を命じたとしても、他の仕事があることを理由に拒否することは会社にとっては認められませんね。また、勤務時間以外は次の勤務に対して心身を回復する時間であることも意味していますが、他の仕事に就くことでそれができず疲労が蓄積してしまい通常期待する仕事ができなくなってしまうようなことも回避したいものです。さらに、企業の情報機密の漏洩防止や、企業秩序が乱れることを防ぐという意味もあるでしょう。
服部社長:
 当社では副業を認めてはいませんので、懲戒処分の対象となると思いますがいかがでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。二重就職を禁止するためには、就業規則に「営利を目的とする業務に従事しようとするときは事前に会社の許可を得ること」といった規定され、懲戒事由と懲戒手段が明示されていなければなりません。就業規則を確認しましょうか。えーっと….、ありますね。「会社の承認を得ないで在籍のまま他に就職してはならない」という規定が服務規律の中にありました。御社ではこの規定がありますので、まずは副業している社員にこの内容を見せて説明し、違反していることを伝えてください。それで収まれば今回は、注意する程度としておくのが良いでしょう。
宮田部長:
 アルバイトをしている理由も聞いた方がよいのでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。基本的には二重就職は禁止した方が良いとは思いますが、どうしてもしなければならないと申し出られるのであれば、その理由やアルバイト先の仕事内容、勤務時間を含めた就労条件を聞き、会社として認められるかどうかの判断をしなければならないでしょう。
服部社長服部社長:
 いまのところないと思うが、最悪の場合、わが社を退職してその他社へ転職することもあるかもしれないね、あまり望ましいことではないが、個人的な事情でどうしてもそうせざるを得ないのであればある程度仕方ないか。
大熊社労士:
 そうですね。二重就職している社員に対して、安全面や健康面で他の者以上に配慮が必要となります。またもし過重労働で倒れでもしたら、どちらの会社の責任なのかという点で、もめる原因にもなりますから、あまり薦められるものではありません。ただ、最近の裁判例をみると二重就職を禁止すること自体は有効ですが、懲戒解雇が有効と認められるためには会社の秩序を著しく乱し、労務の提供に格別の支障を来す程度のものであることを要す、とされています。
宮田部長:
 なるほど、そうですか。また、最近は実際に他の会社で労働していなくても、インターネットのアフィリエイトなどで小遣い稼ぎをすることも簡単にできるようになってきましたね。
大熊社労士:
 これも度を過ぎるとやはり本来の業務に支障を来たすため、勤務時間以外の時間はどのような意味があり、会社としてはどのように利用してもらいたいのかをしっかりと伝えておく必要があると思います。
服部社長:
 わかりました。アルバイトをしている本人とじっくり話をしてみたいと思います。今日はありがとうございました。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は、勤務時間以外に他の会社でアルバイトをしている社員への対応について取り上げてみました。二重就職、いわゆる副業について、わが国では原則禁止が圧倒的に多いですが、最近では容認の動きもみられ、「週末起業」という言葉を見聞きすることも多くなっています。また地方では農業を兼業しているということも多いでしょう。例え、副業や兼業を認めるとしても、同業の他社で働いたり、本業の専門知識や営業ノウハウを流用することは背信行為になります。また、顧客等の機密情報の漏洩などはもってのほかです。遅刻や欠勤が発生するようなこともあってはなりません。これら遵守すべき事項を十分周知した上で、「届出制」または「許可制」としてキチンと組織管理をしておくことが必要でしょう。


 なお、パートタイマーの場合はどうかといえば、パートタイマーは基本的に短時間労働のため勤務時間以外の時間は正社員より相当多く、他の会社で働いたとしても本来の業務に支障を来たさないと考えられますので、正社員に比べパートタイマーに二重就職を禁止することは難しいでしょう。ただし、本来期待している業務が遂行できないなど支障を来たす、情報が漏洩する、他のパートタイマーを積極的に他の仕事に勧誘するなど職場の規律を乱すようなことが起きれば、パートタイマーであったとしても懲戒処分の対象となりまので、パートタイマーに対してもしっかりと周知しておくべきでしょう。



関連blog記事
2008年1月14日「2月14日セミナー「増加する問題社員への対応と法的知識」受付開始」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51222651.html
2007年11月26日「複数就業者の事業場間移動中の通勤災害」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51175059.html


参考リンク
独立行政法人労働政策研究・研修機構「雇用者の副業に関する調査研究」
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/041.html
厚生労働省「労災保険の通勤災害保護制度が拡大されます」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken01/pdf/06.pdf
厚生労働省「労働基準局 労働者1人平均年間総実労働時間の推移(暦年、確報)」
http://www.mhlw.go.jp/general/work/roudou.html
労働調査会「18年度の年間総労働時間は1810時間に~厚生労働省まとめ~」
http://www.chosakai.co.jp/news/n07-05-25-2.html


(鷹取敏昭)


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ご存知ですか?公的年金記録はインターネットで照会できます

ご存知ですか?公的年金記録はインターネットで照会できます 昨年は年金記録の話題が社会問題と化し、政局をも揺り動かした1年でした。昨年末からは「ねんきん特別便」も順次発送され、今後も当面、年金問題が新聞紙上を賑わせる日々が続きそうですが、そんな中、個人の年金記録をインターネット上で確認できる方法をご存知でしょうか?


 社会保険庁のホームページより、ユーザID・パスワードの発行を受け、これを利用し、インターネットから個人の国民年金・厚生年金保険の加入記録を確認することができます(画像はクリックして拡大)。確認できる項目としては、国民年金の納付状況の他、厚生年金の取得日・喪失日ならびに加入中の標準報酬月額・賞与支給金額等であり、ずいぶん細かな記録までが対象となっています。ユーザID・パスワードの発行には2週間程度が必要なりますが、この機会に申し込みを行い、過去の記録に誤りがないか、確認してみてはいかがでしょうか?



関連blog記事
2007年12月17日「本日より送付開始!話題の「ねんきん特別便」は訂正有無に関わらず返答が必要」
https://roumu.com
/archives/51195477.html

2007年12月15日「年金騒動を斬る(4)年金制度の課題」
https://roumu.com
/archives/51195457.html

2007年12月9日「年金騒動を斬る(3)年金の誤解を解く」
https://roumu.com
/archives/51189244.html

2007年11月14日「年金騒動を斬る(2)年金のそもそも論」
https://roumu.com
/archives/51163911.html

2007年11月11日「年金騒動を斬る(1)」
https://roumu.com
/archives/51156740.html


参考リンク
社会保険庁「年金個人情報提供サービス(ユーザID・パスワード)」
http://www4.sia.go.jp/sodan/nenkin/simulate/index.htm


(宮武貴美)


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M&Aのすべてが分かる「M&Aアドバイザー認定講座」受付開始

M&Aアドバイザー認定講座 2006年版中小企業白書において、中小企業における後継者問題の深刻さが語られ、その対策の有用策としてM&Aが紹介されています。また、規模拡大を志向する中堅・中小企業では、経営戦略にM&A手法を取り入れる企業が大幅に増加しており、2007年に中小企業が関わるM&A成約件数は2000件超(公表ベース)にまで拡大しております。こうした中、M&A支援業界も著しく成長をみせております。昨年は株式公開をする企業が登場し、今後ますますの市場拡大が見込まれております。


 これまでの社会保険労務士のコンサルティング業務は、人事や賃金など各種制度の導入がメインテーマであり、経営戦略の部分にはいま一歩踏み込めていないのが現状です。「M&A」は経営戦略であり、経営の中枢に迫るコンサルティングテーマです。M&Aのご提案とコンサルティングを機に、社会保険労務士が経営の根幹部分に踏み込める可能性があるのです。「M&Aアドバイザー」は社会保険労務士のコンサルティング業務の幅を大きく広げること間違いありません。


 これまでのM&A支援業務は、 100万円程度の事務処理報酬がほとんどでありましたが、当講座では、この報酬を10倍の1000万円に高めるため、営業・交渉・業務までこなせる人材を育成し、M&A情報の受発信機能の強化を目的としております。ぜひとも受講をご検討くださいますようご案内申し上げます。


[研修プログラム]
□M&Aとは何か?
□M&Aの税務・労務・法務講義
□企業評価研修
□企業分析・情報開発手法
□ネゴシエーション(交渉術)研修
□ドキュメンテーション(M&A契約書作成)研修
□事例で学ぶM&A業務講習


[開催要領]
会 場:東京、大阪、名古屋、福岡で随時開催
日 時:平成20年2月より順次毎月開催(1講義2日間(金・土)
講 師:JMA株式会社 M&Aアドバイザー
対象者:社会保険労務士有資格者、会計事務所所長・幹部、金融機関M&A担当者
受講料:52,500円(税・テキスト料・情報交換会参加費・2日目昼食費込)


[お申込み]
 詳細およびお申込みは以下よりお願いします。
http://www.jma-kk.com/jma/adviser/


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繁忙期は時間外労働が月80時間を超えてしまうのですが、どうすればいいですか?

 ここ最近、大熊社労士は宮田部長に36協定のレクチャーをしていますが、今日はその4回目。近年の労務管理における最大の論点の一つである過重労働対策について取り上げたいと思います。



宮田部長:
 36協定の時間数ですが、当社の実態を考えるとやはり繁忙期である2月、3月は「1ヶ月45時間」に収めるのが難しいですから、この2ヶ月間については「特別条項付き協定」が必要になりそうです。
大熊社労士:
 そうですね。御社はお客様の関係でどうしても年度末が繁忙期になりますからね。仕方ないと思います。繁忙期の時間外労働ですが、現実的にはどのくらいの時間数になりますか?
宮田部長:
 この2ヶ月間に限ってですが、多くの社員は80時間くらいの残業をしています。また年によっては100時間を超える社員が出ることもありますね。
大熊社労士:
 そうですか、年度末の一時的なものとは言え、過重労働になることが心配ですね。
宮田部長宮田部長:
 はい、現実問題として数年前に、体調を崩した社員もいました。アルバイトを増やすなどの対応は可能な限りしているのですが、どうしても短納期の業務が一気に集中するものですから、残業時間が増えてしまいます。この時期は残業食や栄養ドリンクを職場に用意するといったことも行っていますが、大きな効果がある訳でもなく、実際に社員の疲労が蓄積していることは重々分かっています。会社としては、どのような対策が必要でしょうか。
大熊社労士:
 数年前、サービス残業が大きな社内問題となった時期がありますが、最近はサービス残業以上に長時間労働自体が問題とされています。過重労働で健康を阻害し、最悪の場合、過労死に繋がるということが大きな課題として認識されており、いわゆる「過労死認定基準」と呼ばれるものも示されています。これによれば、医学的な立場から、労働時間と脳・心臓疾患発症との因果関係が証明されていおり、
時間外労働が1ヶ月に100時間を超える、あるいは2ヶ月~6ヶ月にわたって1ヶ月あたり80時間を超えると、仕事と発症との関係性が強い
時間外労働が1ヶ月~6ヶ月にわたって1ヶ月あたり45時間を超え、時間外労働が長くなればなるほど、仕事と発症との関係性が強まる
時間外労働が1ヶ月~6ヶ月にわたって1ヶ月あたり45時間以内であれば、仕事と発症との関係性は弱い

 このような基準が示されているのです、よって基本的には時間外労働は月45時間以内にすること、そして繁忙期であっても80時間は超えないようにすることが求められています。
宮田部長:
 あらら、当社の場合、年度末は見事に当てはまっていますね。困りました。
大熊社労士大熊社労士:
 そうですね。まずは先ほどの通達の内容を受け、80時間を超えるような残業は発生させないという意識を持つことが重要です。これは社員の健康管理という意味と同時に、万が一の際の企業のリスクを下げるためにも非常に重要です。時間外労働というのは、社員や管理者の意識で改善できる部分もありますが、現実的にはそれだけで大幅な改善をすることは難しいと考えています。それこそ営業の仕事の取り方が問題ということもありますし、社内の業務フローに問題があるかも知れません。社員にハッパをかけるだけではなく、そうした構造的な問題がないかをしっかり検討することが重要です。
宮田部長:
 まったく同感です。実際の仕事の様子を見ていても、社員がダラダラ残業を行っている訳ではないですからね。当社の場合は、営業が顧客の要求を聞き過ぎるところも問題ではないかと考えています。顧客満足度は重要ですが「お客様は神様です」といった態度で、社内を省みないのは、結局お客様にもご迷惑をお掛けすることになってしまいます。
大熊社労士:
 本当にそうだと思いますね。この他には、平成18年4月の労働安全衛生法改正により、医師の面接指導制度というものが創設されています(常時50人未満の労働者を使用する中小事業場については平成20年4月から適用)。時間外が月100時間を超える場合、会社は医師による面接指導を行わなければならないと義務化されています。具体的な要件としては、
時間外労働(週40時間超)が月100時間を超えていること
疲労の蓄積が認められること
本人が申し出ていること
 2ヶ月~6ヶ月にわたって月80時間を超えている場合や45時間を超えた場合については、努力義務となっていますが、本人の様子を見ながら会社の方から面接指導を受けてみてはどうかと投げかけていくことが重要になってきます。
宮田部長:
 社員にこのような制度があることを周知しておく必要がありますね。
大熊社労士:
 もし社員が倒れ、会社は面接を受けるように何も言わなかったということになれば、会社としての安全配慮義務が問われかねません。忙しくて面接指導を受けられなかった場合も、会社として十分な配慮がなされていないということになるでしょう。面接指導を受けるように促し、受診したかどうかのチェックも重要ですね。
宮田部長:
 当たり前ですが、社員が過労で倒れたり病気になったりすることは、社員だけでなく会社も望んでいませんので、社員が健康な状態で働きつづけてもらえるようにしていきたいと思います。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は過重労働対策について取り上げてみました。宮田部長とのやり取りの中でもお話しましたが、現代の労務管理においては、社員の健康管理が最大の課題の一つとなっています。いわゆる過労死認定基準において長時間労働と健康阻害の関係が明示され、そこに登場する45時間、80時間、100時間という3つの数値が非常に大きな意味を持つようになっています。36協定の遵守は当然必要ですが、現実として80時間を超えるような長時間労働や深夜労働、休日労働などについては会社としてその実態を把握し、できるだけそうした過重な労働が行われないようにする必要があります。こうした対策はまずは直接的には社員の健康を保持するためですが、同時に企業としてのリスクマネジメントの視点からも不可欠であると考えるべきでしょう。


[関連条文]
労働安全衛生法 第66条の8(面接指導等)
 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
3 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。
4 事業者は、第1項又は第2項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。
5 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。



関連blog記事
2007年12月3日「36協定の限度時間と特別条項とは何ですか?」
https://roumu.com/archives/64751919.html
2007年11月26日「36協定の労働者代表はどのように選出すれば良いのですか?」
https://roumu.com/archives/64742927.html
2007年11月19日「本社で36協定を届け出るだけではダメなのですか?」
https://roumu.com/archives/64734929.html
2007年2月8日「時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定)」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/52082070.html


参考リンク
厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html
厚生労働省「脳・心臓疾患の認定基準の改正について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0112/h1212-1.html
厚生労働省「過重労働による健康障害防止のための総合対策について(H18年3月17日基発0317008号)」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/dl/ka060317008a.pdf
中央労働災害防止協会「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」
http://www.jisha.or.jp/web_ch/td_chk/tdchk_e_index.html
独立行政法人労働者健康福祉機構「自発的健康診断支援助成金のご案内」
http://www.rofuku.go.jp/sanpo/jyoseikin/jyosei01.html
独立行政法人労働者健康福祉機構「地域産業保健センターのご紹介」
http://www.rofuku.go.jp/sanpo/chiiki/chiiki00.html


(福間みゆき)


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