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年金騒動を斬る(6)記録消失問題

[記録消失問題]
 記録確認作業が進む中、平成19年9月末時点で12万7千人分の記録が消失していることが判明した。消失の原因はさまざまではあるが、気になるのは、事業所が社会保険料(厚生年金保険料)を滞納した分は個人も未納扱いになるのかどうか、という問題である(滞納率は厚生年金保険料徴収全体からいえばそれほど大きな数値ではないが、放置できない問題である)。周知のとおり、社会保険料は原則として労使折半なので、従業員からの預かり金がある。通常、保険料の滞納というとこの預かり金も含まれるため、これは事業所の保険料の横領である。しかしこの期間の個人の年金記録の取り扱いは昔からあやふやであった。かつて一部の社会保険事務所では、事業所の滞納は個人の年金記録には影響しない、という見解を示していたし、実際に保険料を滞納した事業所でもその期間が個人の年金支給に反映されているケースを見てきている。しかし、今回の騒動でこれが反映されていない事実が表に出て、その補償のための特別立法までなされるという大問題に発展した。つまり事業所の保険料未納時の取り扱いがまちまちであったのだ。特別立法は、一定の証拠があれば事業所未納の期間も本人が納付したとみなし、その立替分を当該事業主へ求償するというもので、これは年金制度の本筋からいえば当然といえる。しかし、保険料を滞納する(した)事業所はほとんどが経営難、資金繰り難、もしくはすでに廃業しているため、この回収は相当困難であろう。となるとこの分は税金もしくは年金資産から充当することになり、事業主のモラルハザードが懸念される。いずれにせよ、「保険料徴収」という問題は様々な歪を起こしている。


[基礎年金の税方式]
 これは現在、年金目的税を財源とした新たな国民年金のプランである。最大のメリットは、年金受給が保険料納付に左右されず、徴収問題を根本から解決できることにある。副次効果として保険料徴収コストが大幅に下がることがある。年金不信世論の根は、保険料徴収と記録問題にあるため、まずはここから改革を図るのは順当といえよう。また、公的年金の本質からいえば、無年金者をなくし、社会の安定性を目指す政策は非常に望ましい。税方式でも、賦課方式の最大のメリットであるインフレヘッジは可能であるため、このプランを推す意見は多い。最大の課題は財源確保と現行制度からの移行であるが、これも長期の移行措置を設定すればソフトランディングが可能である。この新国民年金プランを土台に、いわゆる厚生年金のような2階部分の報酬比例などは長期的には企業や個人が自由設計できる方向が主流になるだろう。DC(確定拠出型年金制度)はこの典型だ。まだまだ多くの課題を残す年金制度であるが、皆の英知で乗り切り、少なくとも制度の不備で要らぬ混乱が生ずることのない社会を期待したい。



関連blog記事
2007年12月31日「年金騒動を斬る(5)宙に浮いた年金記録5千万件」
https://roumu.com
/archives/51206148.html
2007年12月15日「年金騒動を斬る(4)年金制度の課題」
https://roumu.com
/archives/51195457.html
2007年12月9日「年金騒動を斬る(3)年金の誤解を解く」
https://roumu.com
/archives/51189244.html
2007年11月14日「年金騒動を斬る(2)年金のそもそも論」
https://roumu.com
/archives/51163911.html
2007年11月11日「年金騒動を斬る(1)」
https://roumu.com
/archives/51156740.html


(小山邦彦)


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住宅借入金等特別税額控除申告書記載ソフトがダウンロードできます

住宅借入金等特別税額控除申告書記載ソフト 年末調整が終わり、そろそろ市区町村への給与支払報告書の送付を始めている総務担当者のみなさんも多いのではないでしょうか。今日は年末調整の後処理の一つとも言える住宅借入金等特別控除適用者の住民税特例措置申告書について、愛知県一宮市役所が提供しているフリーソフト(画像はクリックして拡大)を紹介しましょう。


 以前のブログ記事(以下、関連blog記事参照)でも取り上げている通り、住宅借入金等特別控除の適用がある者(※1)の平成19年分以降の各年分において、住宅借入金等特別控除可能額と税源移譲実施前の税率を適用して算定した所得税額(※2)のいずれか少ない金額から、当該年分の所得税額(※3)を控除した残額(ゼロを下回る場合を除く)については、翌年度分の個人住民税から、その残額に相当する金額が減額される措置が講じられます。
※1 平成11年1月1日から平成18年12月31日までの間に入居した者に限る
※2 住宅借入金等特別控除額の適用がないものとした場合の所得税額とする
※3 住宅借入金等特別控除額の適用がないものとした場合の所得税額とする


 この申告書は市区町村提出用・税務署提出用・本人控の3枚綴りになっており、各市区町村役場の窓口やホームページなどで用意がされていますが、申告書で記載が求められている内容を確認すると、以下を始めとした多くの項目があり、非常に分かりづらい内容となっています。
□住宅借入金等の年末残高合計額
□前年分の所得税の住宅借入金等特別控除可能額
□前年分の給与所得控除後の給与等の金額
□前年分の所得控除の額の合計額
□前年分の所得税額(税額控除前)


 愛知県一宮市では、住宅借入金等特別税額控除申告書を作成するためのフリーソフト(Excelファイル:130kB)をホームページで公開しており、無料ダウンロードができるようになっています(ダウンロードページはこちらをクリック)。このソフトを利用すると、源泉徴収票のようなフォーマットがあり、必要な項目をセルに入力、その他、住所等の必要な事項を記載することで申告書が完成します。一宮市役所に確認したところ、基本フォーマットはどこの市区町村でも同じであり、提出先の宛名を一宮市から本来提出すべき市区町村に変更することで他の市区町村にも利用できるとのことでした。是非ご利用下さい。



関連blog記事
2007年11月16日「[H19年末調整]住宅借入金等特別控除適用者の住民税特例措置」
https://roumu.com
/archives/51156926.html
2007年8月19日「[税源移譲]これまで受けていた住宅ローン控除の取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51047799.html


参考リンク
愛知県一宮市役所「平成11年から平成18年までに住宅ローンでマイホームを取得されたかたへ」
http://www.city.ichinomiya.aichi.jp/division/shiminzei/guide/shiminzei/jyutaku.html


(宮武貴美)


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有料職業紹介事業許可申請書

有料職業紹介事業許可申請書 有料職業紹介事業を行う場合には、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。この書式はその許可申請のための書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:都道府県労働局
法定保存期間 特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 yuuryou_syokugyousyoukai_kyoka.doc(104KB)
PDFPDF形式 yuuryou_syokugyousyoukai_kyoka.pdf(59KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この申請書には事業計画書および以下の書類を添付する必要があります。
申請者が法人の場合
(1)定款又は寄附行為
(2)登記事項証明書
(3)役員の住民票(外国人にあつては、外国人登録証明書。以下同じ。)の写し及び履歴書
(4)役員が未成年者で職業紹介事業に関し営業の許可を受けていない場合にあつては、その法定代理人の住民票の写し及び履歴書
(5)最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
(6)職業紹介事業に関する資産の内容及びその権利関係を証する書類
(7)有料の職業紹介事業を行う事業所ごと(以下この条において単に「事業所ごと」という。)の個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程
(8)事業所ごとの業務の運営に関する規程
(9)事業所ごとに選任する職業紹介責任者の住民票の写し及び履歴書
(10)事業所ごとの施設の概要を記載した書面
(11)国外にわたる職業紹介を行おうとするときは、当該国外にわたる職業紹介の相手先国に関する書類
(12)国外にわたる職業紹介を行おうとする場合であつて、取次機関を利用しようとするときは、当該取次機関に関する書類
申請者が個人である場合にあつては、次に掲げる書類
(1)住民票の写し及び履歴書
(2)申請者が未成年者で職業紹介事業に関し営業の許可を受けていない場合にあつては、その法定代理人の住民票の写し及び履歴書
(3)前号(5)から(12)までに掲げる書類


参考リンク
千葉労働局「各様式ダウンロード」
http://www.chiba-roudoukyoku.go.jp/download/haken/index.html

 

(宮武貴美)

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3月10日「山中弁護士×小山邦彦セミナー(東京)」満席 若干数キャンセル待ちを受付中

3月10日開催!山中弁護士×小山邦彦セミナー(東京)受付開始! みなさん、こんにちは 名南経営大津です。先日来ご案内しております労務ドットコム スペシャルセミナー「労働契約法・パートタイム労働法への具体的対応と雇用環境変化に適応する人事制度」(3月10日・東京)ですが、本日満席となりました。多くのお申込みを頂きましてありがとうございました。まずは受付終了となりますが、若干名様のキャンセル待ちを受付しておりますので、よろしければお申込み下さい。



労務ドットコム スペシャルセミナー
労働契約法・パートタイム労働法への具体的対応と雇用環境変化に適応する人事制度
日 時:2008年3月10日(月)10時30分~16時
会 場:東京・御茶ノ水 総評会館



【第一部】雇用環境の変化に適応する「人事制度」考
時 間:10時30分~12時
講 師:株式会社名南経営 人事コンサルタント 小山邦彦



 かつて予兆であった雇用環境の変化が現実のものとなり、企業のヒューマンリソースマネジメントに変革を促し始めた。成果主義騒動は幾度目かの茶番であったが、雇用システムの多様化と就労意識の変容は人事労務分野の本質的な変化になってきている。今回のセミナーは、それに対応するにはどのような人事制度を構築したらよいかを探る。
1.企業の人材競争力は働き方の多様化がカギを握る時代に
2.実質65歳リタイア時代の定年再雇用制×人事制度
3.改正パート労働法から見る雇用システムの多様化×人事制度
4.ワークライフバランスの活用×人事制度
5.労働紛争増加時代×人事制度
6.人事制度の不易と流行
7.人事評価制度は基本に還ってきている
8.賃金制度はバリエーションと複線化
9.人事制度再構築の基本スキーム


【第二部】新法施行!労働契約法が企業に与える影響+施行目前!パート労働法への具体的対応
時間:13時~16時
講師:石嵜信憲法律事務所 弁護士 山中健児



労働ビックバンと労働関係法改正の経緯
新労働契約法の内容と実務への影響
1.労働契約と就業規則との関係は
2.労働契約法が適用される「使用者」、「労働者」とは
3.労働契約の原則とは
4.就業規則が労働契約の内容となるための要件
5.就業規則による労働契約内容の変更と手続
6.出向命令権・懲戒権の濫用
7.解雇権濫用法理
8.有期労働契約に関する規定
改正パート労働法の内容と実務への影響
1.文書等の交付を求められる労働条件とは
2.賃金等の差別的取り扱いが禁止される場合とは(通常の労働者との均等な取り扱いの確保)
3.通常労働者への転換推進のための措置
4.待遇決定にあたっての説明義務
5.パート労働法違反と具体的救済措置
6.パート労働法違反と民事上の効力
7.同一労働・同一賃金原則との関係(フルタイムパート等の労働条件への影響)



[開催概要]
日 時 平成20年3月10日(月)午前10時30分から午後4時
会 場 総評会館(東京・御茶ノ水)
東京都千代田区神田駿河台3-2-11(TEL 03-3253-1771)
受講料 30,000円(税込)
   ※1部のみ参加10,000円 2部のみ参加20,000円(税込)
対 象 企業の経営者および人事労務担当のみなさま、社会保険労務士など専門家のみなさま
定 員 50名84名


[お申込み]
 詳細およびお申込みは以下よりお願いします。
https://roumu.com/seminar/seminar20080310.html


(大津章敬)


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海外派遣届出書

海外派遣届出書 派遣労働者を海外派遣する際に、派遣元事業主が行う届出の書式(画像はクリックして拡大)です。
□重要度:
□官公庁への届出:都道府県労働局
□法定保存期間 特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 kaigai_haken.doc(48KB)
PDFPDF形式 kaigai_haken.pdf(13KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この届出は、海外派遣を行う前に届出を行う必要があります。なお、届出に際しては、労働者派遣契約内容を定めた書式の写しを添付する必要があります。


関連blog記事
2008年1月21日「労働者派遣事業収支決算書」
https://roumu.com/archives/54942276.html
2008年1月18日「労働者派遣事業報告書」
https://roumu.com/archives/54942258.html
2008年1月17日「特定労働者派遣事業変更届出書」
https://roumu.com/archives/54942250.html
2008年1月16日「一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業 廃止届出書」
https://roumu.com/archives/54942236.html
2008年1月15日「一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書」
https://roumu.com/archives/54942224.html
2007年11月30日「一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書」
https://roumu.com/archives/54900035.html
2007年11月29日「派遣事業計画書」
https://roumu.com/archives/54900030.html
2007年11月28日「特定労働者派遣事業届出書」
https://roumu.com/archives/54900024.html
2007年11月27日「一般労働者派遣事業許可申請書」
https://roumu.com/archives/54900013.html
2007年11月21日「派遣労働者個人情報適正管理規程」
https://roumu.com/archives/54894217.html
2007年11月16日「就業条件明示書(労働者派遣)」
https://roumu.com/archives/54888188.html
2007年11月15日「派遣先管理台帳」
https://roumu.com/archives/54886752.html
2007年11月14日「派遣元管理台帳」
https://roumu.com/archives/54886727.html

 

(宮武貴美)

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政令により裁判員辞退の申立てをすることができる事由が明らかに

 平成21年5月までに裁判員制度がスタートしますが、先日、法務省より市民が裁判員になるのを辞退したいと申し出る場合の辞退事由を定める政令が公開されました。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第16条により、70歳以上の者や病気や介護により出頭困難な者などは辞退の申立てをすることができるとされていますが、今回発表されたのはこの第8号にある「その他政令で定めるやむを得ない事由」に当たるものです。この政令によれば、以下の6つが「やむを得ない事由」として定められました。



妊娠中であることまたは出産の日から8週間を経過していないこと。
介護または養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある親族(同居の親族を除く)または親族以外の同居人であって自らが継続的に介護または養育を行っているものの介護または養育を行う必要があること。
配偶者(内縁含む)、直系の親族若しくは兄弟姉妹またはこれらの者以外の同居人が重い疾病または傷害の治療を受ける場合において、その治療に伴い必要と認められる通院、入院または退院に自らが付き添う必要があること。
妻(内縁含む)または子が出産する場合において、その出産に伴い必要と認められる入院若しくは退院に自らが付き添い、又は出産に自らが立ち会う必要があること。
住所または居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に出頭することが困難であること。
前各号に掲げるもののほか、裁判員の職務を行い、または裁判員候補者として法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することにより、自己または第三者に身体上、精神上または経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。



 の包括的な条項を裁判所がどのように判断するかという運用に委ねられた部分も大きいように感じますが、裁判員辞退の申し出が認められるのは、かなり限定的であるのは間違いないようです。今後、制度のスタートに向け、裁判員休暇制度の制定など、社内の仕組み作りが求められます。



[関連条文]
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律 第16条(辞退事由)
 次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。
一 年齢七十年以上の者
二 地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)
三 学校教育法第一条、第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)
四 過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者
五 過去三年以内に選任予定裁判員であった者
六 過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)
七 過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者
八 次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。



関連blog記事
2007年10月29日「裁判員制度の取扱いを既に決めている企業はわずか6.9%」
https://roumu.com
/archives/51143352.html
2007年08月31日「平成21年度スタートの裁判員制度に対応する就業規則等の見直し」
https://roumu.com
/archives/51056431.html


参考リンク
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?ANKEN_TYPE=3&CLASSNAME=Pcm1040&btnDownload=yes&hdnSeqno=0000033388
最高裁判所「裁判員制度」
http://www.saibanin.courts.go.jp/
法務省「あなたも裁判員!」
http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/


(大津章敬)


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うつの症状に早く気づいてあげるためのポイントはありますか?

 前回に引き続き、うつ病の症状を示す社員への対応について相談を受けている大熊社労士。今回は、うつに早く気づいてあげるためのポイントについて説明することにした。



宮田部長宮田部長:
 うつ病の症状を示している社員は、以前からなんらかの症状は出ていたのではないかと思うのですが、それに早く気づいてあげられなかったのが残念です。
大熊社労士:
 そうですね。うつの人は、同僚など周囲の目を気にしてわざと元気なフリをすることが多いと言われており、そのため、なかなか分かりにくいようですね。
宮田部長:
 そうなんですね、かなり我慢しているのですね。初めて知りました。ところで、周囲の者がうつに早めに気づくポイントはあるのでしょうか?
大熊社労士:
 はい、一般的に朝が辛くなり、起きにくくなると言われています。それまで遅刻したことのない人が遅刻をしたり、その回数が多くなったりすると注意が必要でしょう。
福島照美福島さん:
 彼女は遅刻をしなかったのですが、出社後の調子は良くなかったように思います。例えば、朝礼のときなどにぼんやりしていて、名前を呼ばれても返事ができなかったこともありました。そのときは、ちょっと疲れているのかなという程度にしか思わなかったのですが、今から振り返ってみれば、うつの症状が出始めていたのかも知れません。
大熊社労士:
 そうですね。元気なフリをしていても、よく観察していれば、うつ的な症状が出ていることは分かるといわれています。朝の遅刻や体調不良のほかにも、決断力や判断力も鈍くなったり、仕事の優先順位が付けられなくなってきます。また、いろいろなことが気になり手を出したりしますが、やり終えることができず放り出すということを繰り返すこともあるようです。
福島さん:
 言われてみれば、整理整頓が得意だった彼女が、最近は片づけができなくなってきて、終業後にいろいろな物が散らかっていたこともありました。
服部社長服部社長:
 うつで辛いというサインを彼女は出していたのでしょうね。他にも、判断力が鈍くなるということについては、次のようなことがありました。仕事上で普段ならAにすべきかBにすべきかと尋ねると、判断はどちらかというと早い方で、その理由も自分の中できちんと整理して答えることのできる社員なのですが、最近の彼女はその判断ができないようで、また自分に自信がないのか後ろ向きの内容が多かったように思います。
大熊社労士大熊社労士:
 そうやって振り返ってみると、いろいろなヘルプのサインを出していたのでしょうね。最初にも説明しましたが、不調に気づかれまいと気を遣いますので、本人はかなり疲れてしまいます。一瞬は明るい表情をしていたとしても、その後は疲れた表情をしたり、暗い雰囲気を漂わすようなことがあれば要注意です。辛さを外に向かって出すことができなくなっていることも考えられますので、辛い思いを早めに聞き出すことが大切でしょう。
服部社長:
 彼女には申し訳ないが、うつのことについて勉強になりました。普段と違うな、怪しいなと思ったら注意を怠らないようにします。
大熊社労士:
 是非そうしてください。それとなく愚痴を聞きながら、不調を確認するように心掛けてください。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は、うつに気づくポイントについて取り上げてみました。うつの人は周囲の他の人の目を気にする方が多いといわれており、元気なフリをしがちですが、何らかのヘルプサインが出ているものです。遅刻が多くなる、ぼんやりすることが多くなる、整理整頓ができなくなる、判断や決断ができなくなる、優先順位が付けられなくなる、後ろ向きな発言が多くなるなどが見られるようになったら注意が必要です。これらは上司よりも、周囲の社員の方が気付きやすい場合もありますので、職場全体で不調に気付いてあげられるようにすることも必要でしょう。



 関連blog記事
2008年1月14日「うつ病の症状がある社員をそのまま働かせてもよいのでしょうか?」
https://roumu.com/archives/64787175.html
2008年1月7日「うつ病の症状が見られる社員が発生したときの対応は、どうしたらよいですか?」
https://roumu.com/archives/64787155.html
2007年12月18日「深刻化するメンタルヘルス問題:心の不調に気づくポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51196396.html
2007年11月27日「公的機関等が提供するメンタルヘルス相談機関」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51175715.html
2007年11月23日「激増するメンタルヘルスに関する労働相談」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51169065.html
2007年10月19日「具体的対応が遅れるメンタルヘルス対策」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51131807.html
2007年6月15日「うつ病等のメンタルヘルス不全者への医療費助成」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50994157.html
2007年4月13日「深刻化する企業のメンタルヘルス問題」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50942271.html
2006年7月28日「年々深刻化する企業のメンタルヘルス問題」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50664577.html


参考リンク
独立行政法人労働者健康福祉機構「産業保健推進センターのご紹介」
http://www.rofuku.go.jp/sanpo/
愛知労働局「職場におけるメンタルヘルスの相談機関について」
http://www2.aichi-rodo.go.jp/topics/docs/04-06-22-1.html
大阪労働局「メンタルヘルスについて 」
http://osaka-rodo.go.jp/joken/anzen/kenko/mental.php
福岡労働局「メンタルヘルス」
http://www.fukuoka.plb.go.jp/7eisei/eisei08.html
独立行政法人 労働者健康福祉機構「勤労者心の電話相談(無料)」
http://www.rofuku.go.jp/rosaibyoin/kokoro_soudan.html


(鷹取敏昭)


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労働者派遣事業収支決算書

労働者派遣事業収支決算書 派遣元事業主が事業報告書とともに作成する、収支決算書の書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:都道府県労働局
法定保存期間 特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 haken_syuushikessansyo.doc(51KB)
PDFPDF形式 haken_syuushikessansyo.pdf(17KB)

[ワンポイントアドバイス]
 派遣事業者が法人の場合は、この収支決算書に代えて貸借対照表および損益計算書を添付することで代用しても差し支えありません。


関連blog記事
2008年1月18日「労働者派遣事業報告書」
https://roumu.com/archives/54942258.html
2008年1月17日「特定労働者派遣事業変更届出書」
https://roumu.com/archives/54942250.html
2008年1月16日「一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業 廃止届出書」
https://roumu.com/archives/54942236.html
2008年1月15日「一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書」
https://roumu.com/archives/54942224.html
2007年11月30日「一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書」
https://roumu.com/archives/54900035.html
2007年11月29日「派遣事業計画書」
https://roumu.com/archives/54900030.html
2007年11月28日「特定労働者派遣事業届出書」
https://roumu.com/archives/54900024.html
2007年11月27日「一般労働者派遣事業許可申請書」
https://roumu.com/archives/54900013.html
2007年11月21日「派遣労働者個人情報適正管理規程」
https://roumu.com/archives/54894217.html
2007年11月16日「就業条件明示書(労働者派遣)」
https://roumu.com/archives/54888188.html
2007年11月15日「派遣先管理台帳」
https://roumu.com/archives/54886752.html
2007年11月14日「派遣元管理台帳」
https://roumu.com/archives/54886727.html

 

参考リンク
東京労働局「労働者派遣事業関係」
http://www.roudoukyoku.go.jp/seido/haken/

(宮武貴美)

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8月開講の「人事あすなろ塾(第16期)」の日程が内定

8月開講の「人事あすなろ塾(第15期)」の日程が内定 社労士ネットワーク主催で毎年開催しております人事あすなろ塾ですが、今年は第16期となります。あすなろ塾は社会保険労務士のみなさんを対象に、人事制度構築のノウハウをお伝えする12日間の講座ですが、今年の日程が内定しましたので、お伝えします。
第1回:8月22日(金)・23日(土)
第2回:9月5日(金)・6日(土)
第3回:9月19日(金)・20日(土)
第4回:10月10日(金)・11日(土)
第5回:10月24日(金)・25日(土)
第6回:11月7日(金)・8日(土)


 会場は今年も東京・西新宿の社労士ネットワーク本部研修室です。詳細が決まりましたら、改めてご案内させて頂きます。毎年、全国各地から意欲溢れた社労士のみなさんが多く参加されるため、講師である我々も多くの刺激を受けています。今年も素晴らしい受講者のみなさんとの出会いを楽しみにしています!


(大津章敬)


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[中国労働契約法]実務への影響が大きい経済補償金

 中国労働契約法については当ブログでこれまで2回記事を掲載しました。今回のレポートは2008年1月10日に作成していますが、2008年1月から施行されている労働契約法の実際の運営を左右するはずの、労働契約法実施細則がまだ公表されていません。いずれにしても、この実施細則によって、中国に進出している企業のとるべき対応が決定するので、一日も早い発表が待たれるところです。さて、今回は中国労働契約法のうち、実務において金銭的コスト面での影響が大きい経済補償金について取り上げたいと思います。



 この経済補償金については今回大きく取り上げられており、実際に一部企業において、経済補償金の支払い金額を減額させるために、解雇→再雇用という行為がなされるほど、敏感になっています。従来から経済補償金という制度はあったのですが、今回の労働契約法により、支給が義務付けられるケースが多くなると予想されています。従来制度との最大の違いは、契約更新時に更新しない場合は支給対象外とされていたのが、労働契約法においては、従業員が契約更新を望む場合は、契約更新時に更新をしない場合でも、経済補償金の支払いが必要になる点といえます。こうした理由から支給が必要となるケースが多くなると見込まれる経済補償金ですが、上限規定も用意されています。経済補償金の計算は、「勤続年数×平均賃金」となりますが、この「勤続年数」および「平均賃金」のそれぞれに上限が規定されています。「勤続年数」は上限が12年となり、「平均賃金」は、企業が存在している地域の平均賃金の3倍が上限となります。


 なお、この経済補償金の勤続年数のカウントですが、労働契約法第97条には次のように規定されています。
「本法の施行日に存続している労働契約を本法の施行後に解除する場合で、本法46条の規定によって経済補償金の支払いが必要となる場合は、勤続年数は本法の施行日から計算する。本法の施行前に当時の関連規定によって、労働者に経済補償金を支払うべき場合、当時の関連規定が適用される」


 第46条は、経済補償金の支払うケースを規定している条文であるため、原則として勤続年数のカウントは2008年1月1日となり、従来から支払う必要がある場合は、その規定が適用されるということになります。この従来から支払う必要がある場合がどういった場合をさすのか、具体的な例示がないため、何ともいえない部分がありますが、条文からは、例えば労働契約法によって新たに支給が義務付けられた「契約更新時に更新しない場合」は、2008年1月から勤続年数をカウントすることができるかもしれません。


 勤続年数をどこからカウントするかは、実際の支給金額に大きな影響を与えることとなるため、この意味でも実施細則の発表が待たれるところです。



関連blog記事
2008年1月12日「[中国労働契約法]労働契約と従業員名簿」
https://roumu.com
/archives/51217540.html
2008年1月7日「[中国労働契約法]就業規則策定のススメ」
https://roumu.com
/archives/51217534.html


(上海名南企業管理咨詢有限公司 近藤充)


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