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一般乗用旅客貨物自動車運送事業以外の旅客自動車運転事業に従事する自動車運転者の4週間を平均し1週間当たりの運転時間の延長に関する協定書

自動車運転者の1週間当たり運転時間の延長に関する協定書 バス運転者の運転時間は、4週間を平均した1週間当たりの運転時間は、原則として40時間以内とされています。ただし、貸切バスを運行する営業所で運転の業務に従事する者や高速バスの運転者については、労使協定を締結する場合には、52週間のうち16週間までは、52週間の運転時間が2080時間を超えない範囲において、4週間を平均した1週間当たりの運転時間を44時間まで延長することができ、これはその協定書のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:協定期間

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[ワンポイントアドバイス]
 労使協定のすべての対象者について、この4週間ごとに区切った各スパンの運転時間を協定の範囲内にする必要があります。また、すべての運転者について52週間の運転時間が2080時間に収まっていなければならないため、1週間当たりの運転時間が40時間を上回るスパンがあれば、当然40時間を下回るスパンがなければならないことになります。そのため、会社としては、運転者に運転時間についての記録をきちんと整備してもらい、運転時間管理を行っていくことが求められています。

[根拠条文]
平成元年労働省告示第7号 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」第5条(一般乗用旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
1 使用者は、一般乗用旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業に従事する自動車運転者並びに旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者であって、主として人を運送することを目的とする自動車の運転の業務に従事するもの(以下この条において「バス運転者等」という。)の拘束時間、休息期間及び運転時間については、次に定めるところによるものとする。
一 拘束時間は、4週間を平均し1週間当たり65時間を超えないものとすること。ただし、貸切バス(一般貸切旅客自動車運送事業(道路運送法第3条第1号ロの一般貸切旅客自動車運送事業をいう。)の用に供する自動車をいう。以下この項において同じ。)を運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び起点から終点までのキロ程が概ね100キロメートルを超える運行系統を運行する一般乗合旅客自動車運送事業(同号イの一般乗合旅客自動車運送事業をいう。以下この項において同じ。)の用に供する自動車であって、高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和32年法律第79号)第4条第1項の高速自動車国道をいう。以下この項において同じ。)及び自動車専用道路(道路法(昭和27年法律第180号)第48条の2の自動車専用道路をいう。以下この項において同じ。)の利用区間のキロ程が50キロメートル以上であり、かつ、当該キロ程が起点から終点までのキロ程の4分の1以上のものに乗務する者(第4号において「特定運転者」という。)については、労使協定があるときは、52週間のうち16週間までは、4週間を平均し1週間当たり71.5時間まで延長することができる。
二 1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、16時間とすること。この場合において、1についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。
三 勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えること。
四 運転時間は、2日を平均し1日当たり9時間、4週間を平均し1週間当たり40時間を超えないものとすること。ただし、貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び特定運転者については、労使協定があるときは、52週間についての運転時間が2080時間を超えない範囲内において、52週間のうち16週間までは、4週間を平均し1週間当たり44時間まで延長することができる。


関連blog記事
2008年11月21日「貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1箇月についての拘束時間の延長に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55177364.html
2008年11月7日「車庫待ち等の形態で隔日勤務を行う自動車運転者に係る拘束時間が21時間を超える勤務の回数に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55168018.html
2008年11月5日「隔日勤務を行う自動車運転者に係る1箇月についての拘束時間の延長に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55168006.html
2008年11月3日「車庫待ち等の形態で日勤勤務を行う自動車運転者に係る1箇月についての拘束時間に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55167993.html

 

参考リンク
厚生労働省「バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
http://www-bm.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040330-11.html

(福間みゆき)

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貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の1箇月についての拘束時間の延長に関する協定書

貨物自動車運送事業拘束時間の延長に関する協定書 トラックなどの貨物自動車の運転者の拘束時間は、1箇月あたり293時間以内とされています。ただし、事業の繁忙・閑散等を考慮して、労使協定を締結する場合には、1年のうち6ヶ月までは、1年間の拘束時間が3,516時間(293時間×12ヶ月)を超えない範囲において、1箇月についての拘束時間を320時間まで延長することができ、これはその協定書のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:不要
法定保存期間:協定期間

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[ワンポイントアドバイス]
 拘束時間が改善基準告示を満たしているかどうかは、次のように確認します。
1箇月の拘束時間
 1ヶ月間の各勤務の拘束時間(始業時刻から終業時刻まで)をそのまま合計してチェックし、この各勤務の拘束時間の合計数が1箇月の拘束時間の限度を下回っていれば、基準を満たしています。
1日の拘束時間
 始業時刻から起算した24時間以内の拘束時間をチェックし、拘束時間が原則13時間以内(延長する場合であっても16時間が限度)に収まっていれば、基準を満たしています。  

[関連法規]
平成元年労働省告示第7号 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」第4条(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
1 使用者は、貨物自動車運送事業(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第2条第1項の貨物自動車運送事業をいう。以下同じ。)に従事する自動車運転者の拘束時間、休息期間及び運転時間については、次に定めるところによるものとする。
 一 拘束時間は、1箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、1年のうち6箇月までは、1年間についての拘束時間が3616時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。
二 1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、16時間とすること。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。
三 勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えること。
四 運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。)を平均し、1日当たり9時間、2週間を平均し、1週間当たり44時間を超えないものとすること。
五 連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)は、4時間を超えないものとすること。
2 使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の休息期間については、当該自動車運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする。
3 第1項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、拘束時間及び休息期間については、厚生労働省労働基準局長の定めるところによることができる。
一 業務の必要上、勤務の終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合
二 自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合
三 自動車運転者が隔日勤務に就く場合
四 自動車運転者がフェリーに乗船する場合
4 労使当事者は、時間外労働協定において貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者に係る一定期間についての延長時間について協定するに当たっては、当該一定期間は、2週間及び1箇月以上3箇月以内の一定の期間とするものとする。
5 使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者に法第35条の休日に労働させる場合は、当該労働させる休日は2週間について1回を超えないものとし、当該休日の労働によって第1項に定める拘束時間及び最大拘束時間の限度を超えないものとする。
6 前各項の規定は、旅客自動車運送事業(道路運送法第2条第3項の旅客自動車運送事業をいう。)及び貨物自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者(主として人を運送することを目的とする自動車の運転の業務に従事する者を除く。)について準用する。


関連blog記事
2008年11月7日「車庫待ち等の形態で隔日勤務を行う自動車運転者に係る拘束時間が21時間を超える勤務の回数に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55168018.html
2008年11月5日「隔日勤務を行う自動車運転者に係る1箇月についての拘束時間の延長に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55168006.html
2008年11月3日「車庫待ち等の形態で日勤勤務を行う自動車運転者に係る1箇月についての拘束時間に関する協定書」
https://roumu.com/archives/55167993.html

 

参考リンク
厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」
http://www-bm.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/040330-10.html

(福間みゆき)

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裁判員休暇規程

裁判員休暇規程 平成21年5月21日よりスタートする裁判員制度において、従業員が裁判員候補者もしくは裁判員等に選任された際に付与する裁判員休暇の取り扱いを定めた規程のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度 ★★★★

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PDFPDF形式  saibanin.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 裁判員の仕事に必要な休みを取得することは、労働基準法 第7条の公民権行使の保障において認められています。そこで企業の労務管理の実務においてはその裁判員としての休暇の取り扱いを決めておくことが重要です。ポイントとしては、裁判員休暇の対象者の範囲、休暇当日の給与の取り扱い、事前および事後の手続きなどがありますが、細かいところでは、当該休暇日の通勤手当の控除有無や裁判員候補者として出頭したものの、最終的に裁判員に選任されず、午前中で終了した場合の午後の休暇の取り扱いなども議論しておくと良いでしょう。なお、本サンプルは特別有給休暇を付与するというパターンになっていますが、必ずしも有給である必要はありません。

[関連法規]
労働基準法 第7条(公民権行使の保障)
 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。


関連blog記事
2008年11月11日「いよいよ11月28日より裁判員候補者への資料送付が始まります」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51444106.html
2008年9月18日「裁判員休暇の賃金取り扱い 日本経団連調査でも86%が「有給」と回答」」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51412397.html
2008年9月16日「裁判員休暇の賃金取り扱い 9割の企業が「有給」と回答」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51410564.html
2008年8月13日「求められる裁判員制度導入に伴う特別休暇制度の検討」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51389871.html
2008年4月16日「裁判員制度 平成21年5月21日にスタート」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51307054.html
2007年10月29日「裁判員制度の取扱いを既に決めている企業はわずか6.9%」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51143352.html
2007年8月31日「平成21年度スタートの裁判員制度に対応する就業規則等の見直し」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51056431.html

 

参考リンク
最高裁判所「裁判員制度」
http://www.saibanin.courts.go.jp/

(大津章敬)

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派遣停止通知書(対派遣労働者)

派遣停止通知書(対派遣労働者) 派遣元事業主から派遣労働者へ抵触日を通知する様式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:★★
官公庁への届出:特になし
法定保存期間:3年間

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[ワンポイントアドバイス]
 派遣元事業主は、抵触することとなる最初の日の1月前から前日までの間に、抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨を派遣先及び派遣労働者に書面、ファクシミリまたは電子メール(派遣労働者に対するファクシミリ又は電子メールによる通知は、派遣労働者が希望した場合に限る)により通知する必要があります。この書式は派遣労働者に向けた書式となっています。


関連blog記事
2008年11月14日「タイムシート(派遣労働者用)」
https://roumu.com/archives/55171366.html
2008年11月5日「注目の改正労働者派遣法案 昨日閣議決定」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51444525.html
2008年10月30日「12月5日に名古屋で「派遣法2009年問題対策セミナー」を緊急開催!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51440442.html
2008年10月28日「改正労働者派遣法 法律案要綱のポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51438553.html
2008年9月29日「労働者派遣に関する2009年問題通達のポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51420633.html
2008年5月28日「派遣先管理台帳(平成20年4月改正版)」
https://roumu.com/archives/55060672.html
2008年4月2日「派遣受入期間の意見書」
https://roumu.com/archives/55026725.html
2008年4月1日「派遣停止通知書」
https://roumu.com/archives/55026216.html
2008年3月31日「派遣受入期間の意見聴取書」
https://roumu.com/archives/55020137.html
2008年3月28日「抵触日変更通知書」
https://roumu.com/archives/55020004.html
2008年3月27日「抵触日通知書」
https://roumu.com/archives/55019986.html
2008年3月6日「労働者派遣事業報告書」
https://roumu.com/archives/55001731.html
2008年2月18日「派遣労働者通知書」
https://roumu.com/archives/54980763.html
2008年1月22日「海外派遣届出書」
https://roumu.com/archives/54942284.html
2008年1月21日「労働者派遣事業収支決算書」
https://roumu.com/archives/54942276.html
2008年1月18日「労働者派遣事業報告書(旧様式)」
https://roumu.com/archives/54942258.html
2008年1月17日「特定労働者派遣事業変更届出書」
https://roumu.com/archives/54942250.html
2008年1月16日「一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業 廃止届出書」
https://roumu.com/archives/54942236.html
2008年1月15日「一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書」
https://roumu.com/archives/54942224.html
2007年11月30日「一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書」
https://roumu.com/archives/54900035.html
2007年11月29日「派遣事業計画書」
https://roumu.com/archives/54900030.html
2007年11月28日「特定労働者派遣事業届出書」
https://roumu.com/archives/54900024.html
2007年11月27日「一般労働者派遣事業許可申請書」
https://roumu.com/archives/54900013.html
2007年11月21日「派遣労働者個人情報適正管理規程」
https://roumu.com/archives/54894217.html
2007年11月16日「就業条件明示書(労働者派遣)」
https://roumu.com/archives/54888188.html

 

(宮武貴美)

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景気と連動する人事制度

 米国発世界同時不況の影響で、また数年の間は不況期になると言われている。人事制度は景気の影響を受けるが、不況期になれば短期的成果に軸足を移さざるを得ず、ついこの前までバッシングされていた成果主義が装いも新たに復活するだろう。前回、バブル崩壊後には成果主義が流行し、日本的年功序列人事制度がバッシングに遭った。そして景気回復が本調子となったときに揺り戻しが起こり、成果主義バッシングが始まった。このように景気が悪くなると流行る「○○主義人事」だが、大きな波がこれまで2回あった。1回目は円高不況期に普及した能力主義、2回目はバブル崩壊後の平成不況期に騒がれた成果主義である。さて今度の景気の谷ではどのような主義になるのか・・。


 しかし、企業と向き合うコンサルティングの現場において、実は1回目の能力主義と2回目の成果主義において、クライアントが要望される制度構築のコンセプトや内容は同じものであった。専門的な意味での能力主義を成果主義という言葉に替えただけ、と言ってもよい。実はどちらも専門的な意味での能力主義(結果の積み重ねから類推される人の保有能力=成果再現性を重視する方法)人事と、賞与に反映されることが多い期間成果評価の制度構築である。そしてどちらも、「限られた原資を配分するにあたって、貢献度に見合った処遇をしたい」というテーマを目指していた。そしてどちらも表面的には「カネの合理的な配分」を目指していたが、原理原則から入って人事評価の目的を話し合い、共通の認識をするプロセスを経ると、カネの配分というのは重要ではあるが、これは副次的なものであることが判ってくる。副次的というのは、やってもやらなくてもカネが同じであればモチベーションが下がってしまう(衛生要因)場合は、その企業に最適な塩梅(あんばい)でその衛生要因を排除する報酬制度を設計する、ということである。カネで差をつけさえすればモチベーションが上がるわけではないというのは定説になっているが、放置しておくとカネの問題はヤル気を殺ぐ要因になるので留意は必要である。このカネの差のつけ方や程度は、その企業にとっての最適なバランスが存在する。これはその企業のビジネスモデルが短期か中期かによって影響されることが多い。


 ゆえに、次の主義がどのような名称になろうが、現場で実施されることはそれほど変わらないだろう。但し、留意すべきは長期的トレンドである少子高齢化が及ぼす影響である。特に高齢社会における人事制度の設計は今までにない枠組みが必要になる。



関連blog記事
2008年11月2日「企業再編における人事労務問題(その3)」
https://roumu.com
/archives/51438409.html

2008年10月18日「企業再編における人事労務問題(その2)」
https://roumu.com
/archives/51430628.html

2008年10月2日「企業再編における人事労務問題(その1)」
https://roumu.com
/archives/51421207.html

2008年9月19日「未払い残業手当請求と労働時間管理」
https://roumu.com
/archives/51411572.html

2008年8月5日「「当たり前のこと」と就業規則」
https://roumu.com
/archives/51385413.html

2008年7月15日「活力のある会社には訳がある」
https://roumu.com
/archives/51370957.html


(小山邦彦)


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喫煙対策をどのように進めれば良いのでしょうか?

 服部印刷では健康診断の結果が従業員の手元に届いており、社員の間で健康管理への関心が高まっていた。そのため、今日は宮田部長から、普段相談の受けない内容である従業員の喫煙について相談を受けることとなった。



宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。実は従業員から、喫煙コーナーからタバコの煙や臭いがするのでなんとかして欲しいという苦情がありまして、会社としてどのように対応したら良いのか困っていまるのです。
大熊社労士:
 なるほど、タバコを吸わない方にとってはその臭いがすることで不快な思いをされることもありますからね。いまや喫煙対策は、職場の労務管理の一環として取組むべき問題になっています。
宮田部長宮田部長:
 当社では喫煙コーナーを設けて分煙を行っていますが、実際にタバコの臭いや煙が多少なりとも漏れてくることがあります。喫煙コーナーを設けるだけでは不十分なのでしょうか?私は、随分昔にタバコをやめましたが、以前は喫煙していましたのでタバコを吸う人の気持ちが分からないでもありません。
福島さん:
 そうだったんですか?私が入社した頃にはもうタバコを吸っていらっしゃらなかったので知りませんでした。だから宮田部長はこの問題についてあまり厳しく注意されないのですね。
大熊社労士大熊社労士:
 タバコを吸う/吸わないは個人の自由ですので、強制的に禁煙させることはできませんね。しかし、最低限のマナーは守るべきであり、会社としても受動喫煙への対策を打って行くことが求められています。この件に関し、2003年に厚生労働省から「新たな職場における喫煙対策のためのガイドライン」が出されたことをご存知ですか?
宮田部長:
 いいえ、知りません。新たにと言うことは、何か変わったということですね?
大熊社労士:
 はい。新ガイトラインになって内容が充実されています。要点としては次の3点です。
設備対策
[旧ガイドライン]
 喫煙室又は喫煙コーナーの設置等を行うこと
[新ガイドライン]
 受動喫煙を確実に防止する観点から、可能な限り、非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨すること
喫煙室等に設置する「有効な喫煙対策機器」
[旧ガイドライン]
 たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式またはたばこの煙を除去して屋内に排気する方式(空気清浄装置)のいずれかの方式によること
[新ガイドライン]
 空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨すること。やむを得ない措置として、空気清浄装置を設置する場合には、換気に特段の配慮をすることが必要。
追加事項
[新ガイドライン]
 職場の空気環境の基準に、喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止するため、喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講ずること。つまり、喫煙コーナーに換気扇や空気清浄機を置いただけでは、新ガイドラインの基準を満たしたことにはならないのです。
宮田部長:
 このような基準が定められているのですね。受動喫煙を確実に防止できるように、そもそもの喫煙コーナーの場所や換気扇の台数などについても見直しが必要ですね。実はもう一つ問題がありまして、休日出勤をした際に事務所内でタバコを吸っている社員がいるようなのです。
福島照美福島さん:
 それについては間違いありませんね。月曜日出勤するとタバコの臭いがするので、誰か絶対に吸っていますよ!休日出勤したときには喫煙を嫌がる人はいないかもしれませんが、私をはじめ周りのスタッフは困っています。何か打つべき対策はありませんか?
大熊社労士:
 やはり人が少ない休日出勤時や夜遅い時間帯にルール違反は起こりがちですね。直接従業員が喫煙をする従業員に文句を言いますと、お互いの関係が悪くなってしまいますので、会社が間に入る必要があります。例えば、喫煙コーナーに注意文書を貼って、注意を促すことなども検討すべきではないでしょうか。
福島さん:
 そうですね。早速、私の方で案を作成します。
大熊社労士:
 この他には、衛生委員会の場で対策の検討を行い、委員会の方から注意を促すという方法もあります。
宮田部長:
 なるほど。ちょうど来週、衛生委員会の会議がありますので、こちらについても早速検討してみます。
大熊社労士:
 最近は非喫煙者が増加したことでタバコに関する許容度が徐々に低下しているように感じます。喫煙者と非喫煙者との関係を悪くしたくありませんので、できれば円満に解決したいものです。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。最近では、積極的に禁煙のサポートを行っている会社があるようです。例えば、敷地内を全面禁煙にしている会社、喫煙する社員に一時金を支給して禁煙を促進している会社などが見られます。企業としては、受動喫煙による影響を喫煙者に理解してもらいながら、このような禁煙サポートをしていくことでより効果的な喫煙対策を行っていきたいものです。また、非喫煙者についても、文句ばかりを言うのではなく、例えば「健康を考えると禁煙した方が良いと思うよ」というように、禁煙しようと思わせるような雰囲気を作っていくことが望まれているのではないでしょうか。



関連blog記事
2008年9月22日「進められる企業のたばこ対策~88.5%の事業所で禁煙・分煙措置を実施」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51412076.html
2007年6月6日「89.4%の企業が職場の分煙・禁煙を実施」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50989032.html
2006年6月8日「一段と進められる健康増進法による喫煙対策」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/50592250.html


参考リンク
厚生労働省「新たな職場における喫煙対策のためのガイドラインの策定について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2.html
厚生労働省「職場における喫煙対策のためのガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2a.html
厚生労働省「職場の空気環境の測定方法等」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2b.html
安全衛生情報センター「新職場における喫煙対策のためのガイドラインに基づく職場の分煙対策」
http://www.jaish.gr.jp/user/anzen/sho/kitsuen/kitsuen.html


(福間みゆき)


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タイムシート(派遣労働者用)

タイムシート(派遣労働者用) 派遣労働者の派遣労働日ごとの始業時間、終業時間、休憩時間及び従事した業務等を記載するための書式のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:★★★

[ダウンロード]
WORD
Word形式 haken_timesheet.doc(64KB)
PDFPDF形式 haken_timesheet.pdf(11KB)

[ワンポイントアドバイス]
 労働者派遣法では、派遣先事業主に派遣労働者の派遣就業をした日ごとの始業し、および終業した時刻並びに休憩した時間を派遣先台帳に記載する義務を課しています。この書式は派遣先管理台帳と共に就労日に関する記録を保管できるよう項目を抜き出したものです。派遣先管理台帳、派遣元管理台帳とともに3年間の保存をする必要があります。

[関連法規]
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 第42条(派遣先管理台帳)
 派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、派遣就業に関し、派遣先管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 派遣元事業主の氏名又は名称
二 派遣就業をした日
三 派遣就業をした日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに休憩した時間
四 従事した業務の種類
五 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
六 紹介予定派遣に係る派遣労働者については、当該紹介予定派遣に関する事項
七 その他厚生労働省令で定める事項
2 派遣先は、前項の派遣先管理台帳を三年間保存しなければならない。
3 派遣先は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項各号(第一号を除く。)に掲げる事項を派遣元事業主に通知しなければならない。


関連blog記事
2008年11月5日「注目の改正労働者派遣法案 昨日閣議決定」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51444525.html
2008年10月30日「12月5日に名古屋で「派遣法2009年問題対策セミナー」を緊急開催!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51440442.html
2008年10月28日「改正労働者派遣法 法律案要綱のポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51438553.html
2008年9月29日「労働者派遣に関する2009年問題通達のポイント」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51420633.html
2008年5月28日「派遣先管理台帳(平成20年4月改正版)」
https://roumu.com/archives/55060672.html
2008年4月2日「派遣受入期間の意見書」
https://roumu.com/archives/55026725.html
2008年4月1日「派遣停止通知書」
https://roumu.com/archives/55026216.html
2008年3月31日「派遣受入期間の意見聴取書」
https://roumu.com/archives/55020137.html
2008年3月28日「抵触日変更通知書」
https://roumu.com/archives/55020004.html
2008年3月27日「抵触日通知書」
https://roumu.com/archives/55019986.html
2008年3月6日「労働者派遣事業報告書」
https://roumu.com/archives/55001731.html
2008年2月18日「派遣労働者通知書」
https://roumu.com/archives/54980763.html
2008年1月22日「海外派遣届出書」
https://roumu.com/archives/54942284.html
2008年1月21日「労働者派遣事業収支決算書」
https://roumu.com/archives/54942276.html
2008年1月18日「労働者派遣事業報告書(旧様式)」
https://roumu.com/archives/54942258.html
2008年1月17日「特定労働者派遣事業変更届出書」
https://roumu.com/archives/54942250.html
2008年1月16日「一般労働者派遣事業・特定労働者派遣事業 廃止届出書」
https://roumu.com/archives/54942236.html
2008年1月15日「一般労働者派遣事業変更届出書及び許可証書換申請書」
https://roumu.com/archives/54942224.html
2007年11月30日「一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書」
https://roumu.com/archives/54900035.html
2007年11月29日「派遣事業計画書」
https://roumu.com/archives/54900030.html
2007年11月28日「特定労働者派遣事業届出書」
https://roumu.com/archives/54900024.html
2007年11月27日「一般労働者派遣事業許可申請書」
https://roumu.com/archives/54900013.html
2007年11月21日「派遣労働者個人情報適正管理規程」
https://roumu.com/archives/54894217.html
2007年11月16日「就業条件明示書(労働者派遣)」
https://roumu.com/archives/54888188.html

 

(宮武貴美)

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[ワンポイント講座]在宅勤務者の労働時間はどのように取り扱うのか

テレワーク人口倍増アクションプラン 水曜日恒例となりました「人事労務ワンポイント講座」ですが、今日はその第6回です。近年、企業が積極的に在宅勤務制度を導入する動きがみられています。そこで今回は、在宅勤務者の労働時間における注意点についてお話しましょう。


 テレワーカーが就業者人口に占める割合は10.4%(2005年時点)となっていますが、国の施策として2010年までにテレワーク人口を倍増するという方針(画像はクリックして拡大)が出されています。この背景には、育児・介護などの社員の抱える事情が多様化する中において、在宅勤務がワークライフバランスを図る上で有効な働き方の一つとして考えられていることがあります。こうした動きも後押しし、今後、在宅勤務を行う労働者が増加することが予想されていますが、問題となるのがその労働時間の取り扱いです。


 在宅勤務者の労働時間については、自宅で勤務が行われることから勤務の時間帯と日常生活の時間帯が混在せざるを得ない状況が見られ、その労働時間を合理的に算定し難いことから、労働基準法の第38条の2の事業場外労働のみなし労働時間制を適用することが通常です。ただし、そもそも事業場外みなし労働時間制の対象となるのは、事業場外で業務に従事している、使用者の具体的な指揮監督が及ばない、労働時間の算定が困難な業務であるという3つの要件すべて満たしていることが前提となりますが、更に在宅勤務については、通達(平成16年3月5日基発第0305001号)が出されており、更に以下の3つのの要件をすべて満たしている場合にみなし労働時間制が適用されます。
当該労働時間は、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること
当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと


 そのため、在宅勤務者が自宅内に仕事部屋を持っており、午前10時から12時までを勤務時間と定めるなど、勤務の時間帯と日常生活の時間帯が混在することのないように取り決めがなされているような状態で、会社の具体的な指示に基づいて仕事が行われているのであれば、労働時間を算定しがたいとは言えず、そもそもみなし労働時間制は適用されないということになります。


 なお、在宅勤務者にみなし労働時間制を適用する場合であっても、在宅勤務者に仕事を行った時間を業務報告書などに記録してもらうなどして、会社は在宅勤務者の労働時間の状況を把握しておく必要があります。そして、みなし労働時間の時間数と実際の労働時間との間に乖離があれば、所定労働時間数の見直しや業務量・内容の調整等を行うことが求められています。実際に在宅勤務を導入していく場合においては、どのような取扱いにするのかを労使でじっくり協議を行うことが必要でしょう。



関連blog記事
2008年11月5日「[ワンポイント講座]派遣社員の健康診断は派遣先・派遣元のどちらが行うのか」
https://roumu.com
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2008年10月29日「[ワンポイント講座]3回遅刻した場合に、1日分の賃金カットを行うことはできるのか」
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2008年10月22日「[ワンポイント講座]退職者の個人情報はいつまで保管すればよいのでしょうか」
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2008年10月15日「[ワンポイント講座]休職中の社員に年休や特別休暇を与えることは必要か」
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2008年10月8日「[ワンポイント講座]月の所定労働日数が変動するパートの年休付与日数の計算」
https://roumu.com
/archives/51425634.html


参考リンク
厚生労働省「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドラインの改訂について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/03/h0305-1.html
厚生労働省「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」パンフレット
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet.pdf
首相官邸「テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/telework.html


(福間みゆき)


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降任申出書

降任申出書 社員の希望により役職の降任を認める希望降任制度を利用し、申し出を行う際の様式サンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:

[ダウンロード]
WORD
Word形式 kounin.doc(28KB)
PDFPDF形式 kounin.pdf(6KB)

[ワンポイントアドバイス]
 月曜日にご紹介した希望降任制度運用規程を利用し、降任の申し出を行う際に使用する申出書です。最終的な承認を行うまでには本人との面談などが必要となりますが、申し出の事実が周囲に漏れないよう、十分な情報管理を行うことが求められます。


関連blog記事
2008年11月10日「希望降任制度運用規程」
https://roumu.com/archives/55173419.html
2007年11月9日「社内FA制度運用規程」
https://roumu.com/archives/54875820.html
2007年10月30日「多くの企業で導入が進められる社内公募制度」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51136336.html
2007年10月30日「企業内ベンチャー制度規程」
https://roumu.com/archives/54868737.html
2007年6月12日「社内公募制度規程」
https://roumu.com/archives/54484326.html
2006年12月29日「社内公募制度異動決定通知書」
https://roumu.com/archives/51285827.html
2006年12月28日「社内公募制度結果通知(不合格) 」
https://roumu.com/archives/51267890.html

 

参考リンク
R25.jp「課長からヒラに自ら降格も!?「希望降任制度」人気のワケ」
http://r25.jp/magazine/ranking_review/10003000/1112008110604.html

(大津章敬)

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過去の年金加入をきちんと覚えていないのですが、調べてもらうことはできますか?

 昨日、大熊は総務の福島さんから直接、年金に関する相談の電話を受けたため、近くの関与先の訪問を終えた後に服部印刷に立ち寄ることにした。今日は服部社長と宮田部長は、ともに用事があって不在にしていた。



福島照美福島さん:
 大熊先生、わざわざご来社いただきましてありがとうございます。実は年金特別便が届いた50歳代の男性社員から年金について相談があって、回答に困っていたのです。いくつか質問をさせてもらってもよろしいですか?
大熊社労士:
 いま問題になっている年金記録のことですね。もちろんいいですよ。
福島さん:
 ありがとうございます。その社員は年金特別便が届いたときに、簡単に目を通しただけで回答票を提出しませんでした。ところが、最近次から次に出てくる年金問題で気になったらしく、どうしたらよいのかと相談を持ちかけられたので。届いてからかなりの時間が立っているようですが、大丈夫ですか?
大熊社労士:
 えぇ、大丈夫ですよ。具体的にはどのような相談ですか?
福島さん:
 はい、その社員は、わが社に就職する前に何度か転職しています。そのうちの一つの会社で、就職してから2ヶ月ほど経ったところで体調を崩して休職し、そのまま復職することなく退職となったらしいのですが、年金特別便をみるとその期間の年金記録がないようなのです。
大熊社労士:
 そのときの年金加入や保険料支払いについての記憶はありませんか?
福島さん:
 もう30年以上も前のことで、年金加入や保険料を払っていたかどうかは全然覚えていないようです。そのときの給与明細書もありませんし、年金手帳にも記録はありませんでした。
大熊社労士:
 その会社は、いまでも経営されていますか?
福島さん:
 いいえ、既に廃業しているようです。また、廃業の時期もはっきりしていないと言っていました。
大熊社労士:
 そうですか。それではその会社の所在地は覚えておられますか?
福島さん:
 地図上で、宮城県のこのあたりだったようだと示すのですが、正確な所在地まではっきり覚えていないようです。このような状況ですが、調べてもらうことはできるでしょうか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、調べてもらえますよ。社会保険事務所または年金相談センターに行って、相談してみてください。なお、相談に行かれる前に、できるだけ当時勤めていた会社のことや働いていた時期などを情報としてもっていると調査がスムーズに進むと思います。
福島さん:
 その情報は、どのように調べたらよいのでしょう。
大熊社労士:
 例えば、当時勤めていたときの同僚や知人があれば、会社の正確な名称や所在地、彼が勤めていたと思われる期間などを聞いてみてください。また、ご自身でもその会社に関する資料や書類などがご自宅に保管されていないか探してみるとよいでしょう。
福島さん:
 相談のあった社員は「その会社で働いていたのは、ごく短い期間なのでわからなくてもいい」と言っていますが、どう答えてよいかわかりませんでした。
大熊社労士:
 例え、1か月でも年金に直結します。1か月分だけだと年金に反映される額はそう大きくはないでしょうが、ぜひ調べてもらってください。年金特別便の説明書にも記載されていますが、最初の年金記録の前に加入したことがないか、また、特に転職のある場合は転職の前後に空白期間がないか、空白期間があれば本当に加入していなかったのかどうかがポイントとなります。
福島さん:
 わかりました。そのように説明して、社会保険事務所などで相談してもらうようにします。今日はありがとうございました。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は年金記録について取り上げてみました。関心の高い年金問題ですが、これは他人事ではありません。また、ニュースや新聞で報道されているように相当な件数の記録モレや改ざんは、年金額や年金受給資格に直接影響を及ぼすものですから、みなさんもぜひ年金特別便を丁寧に確認してみてください。違う氏名で登録されていたり、フリガナが違うため年金記録に載っていないなどは、よくあるケースです。今回相談のあった服部印刷の社員の場合、当時年金加入していないかもしれませんが、年金記録に疑問があったり不確かであったりするときは、ぜひ社会保険事務所や年金相談センター、年金ダイヤルで相談され、確認するようにした方がよいでしょう。



関連blog記事
2008年3月31日「確認しておきたい年金記録に登録されている被保険者住所」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/cat_1057698.html
2007年11月25日「年金記録として登録されている従業員の住所を確認する方法」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51175116.html
2008年1月24日「年金騒動を斬る(6)記録消失問題」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51234562.html
2007年12月31日「年金騒動を斬る(5)宙に浮いた年金記録5千万件」
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2007年12月15日「年金騒動を斬る(4)年金制度の課題」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51195457.html
2007年12月9日「年金騒動を斬る(3)年金の誤解を解く」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51189244.html
2007年11月14日「年金騒動を斬る(2)年金のそもそも論」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51163911.html
2007年11月11日「年金騒動を斬る(1)」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51156740.html


参考リンク
社会保険庁「年金記録問題について」
http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/index.htm
社会保険庁「年金記録問題への対応策の進捗状況」
http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/070831shintyoku.htm
社会保険庁「年金についての電話でのお問い合わせ先」
http://www.sia.go.jp/sodan/madoguchi/denwa.htm
社会保険庁「相談窓口一覧」
http://www.sia.go.jp/sodan/madoguchi/shaho/index.htm
労務ドットコムの名南経営による人事労務管理最新情報「年金」カテゴリー
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/cat_1057698.html


(鷹取敏昭)


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