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最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド

 平成20年3月1日から労働契約法、さらに4月1日から改正パート労働法が施行される。前者の労働契約法は永年その必要性が叫ばれていたもので、労働基準法を労働刑法とすれば、労働契約法は労働民法にあたる。従来、労働民事トラブルの解決は裁判に拠ることが多かったが、裁判の特性上、結果の予測可能性が低いため、一般論(民事ルール)として判例法理をある程度明文化したのである。当初案より大分削減されて全19条しかない小さな法律でのスタートとなったが、今後充実されていくのは確実である。


 さて、この背景には労働トラブルの急増があると言われているが、統計を見る限り、労働組合を主体とした集団での紛争が減少する代わりに個人の紛争案件が増加している。昔から個別労働トラブルはなかったわけではないが、弊グループが過去40年間でのべ1,000件に近い労務関与させていただいてきた中で労働裁判事例は1件しかなかった。他は労働基準法マターでの解決や自然消滅がほとんどで、民事紛争にまでは至っていない。しかしこの2年ほど、ADR(裁判外紛争解決手続)でのあっせん事案は月1件のペースで出てきており、中には労働審判に発展するものもある。この原因は、労働者が不当だと思ったことを我慢せず、使用者を公的な話し合いのテーブルに着かせる環境が整備されてきたことにあると思われる。労働トラブルが増えたからそのような機関や制度ができたのか、機関ができたから増えたのか議論があるところだが、この底流には労使関係の変化、さらに言えば労働観の変化がある。もちろん多くの企業ではまだまだ労使関係はそれほどドライなものになっていないが、少数のオピニオンリーダーとも言える労働者が権利主張や不当取り扱いにキチンと声を上げ、それを社会が容認する流れが出来つつある。現実には意趣返しのような事案もあるため、表面的には使用者にとって厄介な世の中になってきたが、しかし、労使関係は確実に変化しつつある。これは昔から叫ばれてはいたが、やっと多くの人の目に見える形で多くの企業で変化が起こり始めた(予想より遅かった感じがするが)。


 この変化のキーワードは「個」と「ワークライフバランス」。この新しい流れに企業はどう対応すべきか。これは根源的な議論にも繋がることであるが、企業というのは社会と人々(もっとも重視すべき人々とはその企業で働く従業員である)の幸福や成長のために存在する、というところに行き着くのだろう。このためには、コンプライアンスを含む労務管理分野の整備は言うまでもなく、人事管理の分野においても「個」に対応できる人事制度、働き方の自由(選択)との天秤で自己責任を問う真の能力主義や成果主義、そして何より「人中心」の経営発想が求められてくる。



関連blog記事
2008年2月21日「人事評価、公平性の陥穽と本筋論」
https://roumu.com
/archives/51259557.html
2008年2月27日「労働者から労働基準監督署への内部告発が急増」
https://roumu.com
/archives/51263004.html
2008年1月15日「内部告発の急増で求められる従業員の相談窓口の設置」
https://roumu.com
/archives/51219943.html
2007年5月26日「増加を続ける個別労働紛争解決制度の利用」
https://roumu.com
/archives/50980621.html
2007年5月21日「前年比2桁の伸びを見せる労働相談件数」
https://roumu.com
/archives/50974155.html
2006年12月25日「増加を続ける個別労働紛争と求められる企業の対応」
https://roumu.com
/archives/50832401.html


(小山邦彦)


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クレーン・デリック・エレベーター・建設用リフト落成検査申請書

クレーン・デリック・エレベーター・建設用リフト落成検査申請書 クレーン・デリック・エレベーター・建設用リフトを設置し、所轄労働基準監督署長の落成検査を受けようとするときに提出することになっている書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署長

[ダウンロード]
WORD
Word形式 crane_rakusei.doc(30KB)
PDFPDF形式 crane_rakusei.pdf(12KB)

[ワンポイントアドバイス]
 この申請書の提出には、クレーン等の種類に応じて定められた金額の収入印紙が必要になっています。

[関連法規]
クレーン等安全規則 第6条(落成検査)
  クレーンを設置した者は、法第38条第3項の規定により、当該クレーンについて、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めたクレーンについては、この限りでない。
2  前項の規定による検査(以下この節において「落成検査」という。)においては、クレーンの各部分の構造及び機能について点検を行なうほか、荷重試験及び安定度試験を行なうものとする。ただし、天井クレーン、橋形クレーン等転倒するおそれのないクレーンの落成検査においては、荷重試験に限るものとする。
3  前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重の1.25倍に相当する荷重(定格荷重が200トンをこえる場合は、定格荷重に50トンを加えた荷重)の荷をつって、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を行なうものとする。
4  第2項の安定度試験は、クレーンに定格荷重の1.27倍に相当する荷重の荷をつって、当該クレーンの安定に関し最も不利な条件で地切りすることにより行なうものとする。この場合において、逸走防止装置、レールクランプ等の装置は、作用させないものとする。
5  所轄労働基準監督署長は、落成検査を行なう前1年以内に第8条第1項の仮荷重試験が行なわれたクレーンについては、落成検査の一部を省略することができる。
6  落成検査を受けようとする者は、クレーン落成検査申請書(様式第4号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。


関連blog記事
2008年3月11日「クレーン明細書」
https://roumu.com/archives/55001903.html
2008年3月10日「クレーン設置届」
https://roumu.com/archives/55001896.html

 

(福間みゆき)

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クレーン明細書

クレーン明細書 クレーン設置届を提出する際に添付することになっている書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署長(着工30日前に)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 crane_meisai.doc(73KB)
PDFPDF形式 crane_meisai.pdf(16KB)

[ワンポイントアドバイス]
 クレーン設置届を提出する際には、この明細書のほかクレーン組立図、構造部分の強度計算書および関係書面を添付することに
なっています。

[関連法規]
クレーン等安全規則 第5条(設置届)
 クレーンを設置しようとする事業者が、労働安全衛生法 (以下「法」という。)第88条第1項の規定による届出をしようとするときは、クレーン設置届(様式第2号)にクレーン明細書(様式第3号)、クレーンの組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
一 据え付ける箇所の周囲の状況
二 基礎の概要
三 走行クレーンにあつては、走行する範囲


関連blog記事
2008年3月10日「クレーン設置届」
https://roumu.com/archives/55001896.html

 

(福間みゆき)

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中堅企業に大きな影響が予想される障害者雇用の法改正の動向

中堅企業に大きな影響が予想される障害者雇用の法改正の動向 障害者雇用の促進は労働行政上の大きなテーマとなっていますが、先日、厚生労働省作成の「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提出されることが閣議決定されました。今回の改正は企業の実務にも非常に大きな影響を与えるものとなっていますので、そのポイントを取り上げたいと思います(画像はクリックして拡大)。


 今回の「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」を見ると、様々な事項が記載されていますが、中でも重要と思われるものを3つご紹介しましょう。



障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大
(1)平成22年7月1日施行予定分
 当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時200人以下である事業主とすること。
(2)平成27年4月1日施行予定分
 当分の間、障害者雇用納付金の徴収、障害者雇用調整金の支給等に関する規定を適用しないものとする暫定措置の対象範囲は、その雇用する労働者の数が常時百人以下である事業主とすること。


短時間労働者等の雇用義務対象への追加(平成22年7月1日施行予定)
 雇用義務等に関する規定における労働者数および障害者雇用率の算定に当たっては、短時間労働者は、その一人をもって、厚生労働省令で定める数の労働者に相当するものとみなすものとすること。


関係子会社に雇用される労働者に関する特例(平成21年4月1日施行予定)
 事業主およびすべての関係子会社が申請を行い、当該事業主が雇用する身体障害者または知的障害者である労働者および当該関係子会社に雇用される身体障害者または知的障害者である労働者の雇用の促進等を確実に達成することができると認められること等の基準に適合するものとして厚生労働大臣の認定を受けた場合は、雇用義務等に関する規定の適用については、当該関係子会社が雇用する労働者は当該事業主のみが雇用する労働者と、当該関係子会社の事業所は当該事業主の事業所とみなすものとすること。



 中でも影響が大きいのが障害者雇用納付金の納付義務等の対象範囲の拡大です。従来、301人以上の企業に課せられていた障害者雇用納付金の対象が段階的に引き下げられ、平成27年度には101人以上の企業まで拡大されることとなっています。これにより該当規模の企業については障害者雇用に関する各種調査・指導が強化されることも予想され、実務としては非常に大きな影響が出ることになるでしょう。いまから障害者を活用できる仕事の整備などが求められます。



関連blog記事
2007年12月3日「強化される障害者雇用の指導基準と「雇入れ計画作成命令」の対象範囲拡大」
https://roumu.com
/archives/51177949.html
2007年2月13日「4月より障害者雇用調整金等の申告期日が変更されます」
https://roumu.com
/archives/50887481.html


参考リンク
厚生労働省「「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」について」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/h0307-1.html
厚生労働省「障害者雇用納付金制度の概要」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/19.pdf


(大津章敬


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今日の東京セミナー ご参加ありがとうございました

今日の東京セミナー ご参加ありがとうございました 本日、東京・総評会館でセミナー「労働契約法・パートタイム労働法への具体的対応と雇用環境変化に適応する人事制度」を開催しました。今回は定員80名の会場が早々に満席となり、急遽、別会場を手配した結果、2会場での同時並行降開催という異例の形式となりましたが、結果的には約130名のみなさまにご参加頂くことができました。


 株式会社名南経営では、今後もユーザーの皆様にとって有用なセミナーを適宜、企画していきたいと考えております。また機会がございましたら、是非ご参加下さい。本日はありがとうございました。また今後のセミナーの開催要望などがございましたら、こちらよりお寄せ下さい。


(大津章敬


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育児中の社員の短時間勤務促進に関する助成金制度

育児中の社員の短時間勤務促進に関する助成金制度 育児休業制度に関する不定期連載を行っていますが、今回はその第6回。前回の予告どおり、育児休業の取得を積極的に促進する企業に支給される助成金の続きとして、「短時間勤務促進」に関する助成金をご紹介しましょう。



【質問】
 当社では育児休業を取得する社員も増え、その後、復帰する社員も出てきております。人材確保の難しい時期ですので、業務に慣れた社員が復帰してくれることは非常にありがたく感じています。そのような中、ある社員から短時間勤務の要望が出されました。どうやら保育園の都合のようです。本人の所得の保障も含め、会社は最大限のサポートをしたいと思っていますが、なるべく経費をかけずにそれを実現したいと思っています。何かよいアドバイスをいただけませんか?


【回答】
 育児休業期間中に養育のための短時間勤務制度を利用させ、経済的支援を行った場合に支給される育児休業取得促進等助成金を活用することで、支援した金額の一部の助成を受けることができます(画像はクリックして拡大)。


 この育児休業取得促進等助成金(短時間勤務促進)は、事業主が短時間勤務の対象となる子を養育する被保険者(母親および父親)に対し、残業手当などの算定の基礎となる賃金を、この短時間勤務期間中に連続して3ヶ月以上の期間にわたり支援している場合に支給されるものです。助成額は短時間勤務制度を利用した日数や時間、利用開始前後の賃金によりに助成率(※)を乗じて得た額となっています。ノーワークノーペイの原則により、短時間勤務になった場合には賃金もその短縮後の時間に応じて支給する仕組みを採用している企業が多くみられますが、このような制度を利用し、育児休業復帰後の積極的なサポートを考えることが可能です。
※2 中小企業事業主 4分の3 中小企業事業主以外 3分の2


【まとめ】
 この助成金は平成22年3月31日までに、雇用する労働者に対して短時間勤務制度を利用させ、一定期間以上の経済的支援を行なった場合に対象となる暫定措置として設けられています。助成を受けるためにはいくつかの条件や注意点がありますので詳細は参考リンクにて確認してください。



関連blog記事
2008年3月5日「育児休業の取得促進に関する助成金制度」
https://roumu.com
/archives/51269983.html
2008年2月21日「育児休業期間延長の申出があった場合の対応」
https://roumu.com
/archives/51260480.html
2008年1月31日「育児休業中の社員から年次有給休暇の取得申出があった場合の対応」
https://roumu.com
/archives/51240197.html
2008年1月10日「育児休業復帰後は休業前の原職に復帰させなければならないのか?」
https://roumu.com
/archives/51219462.html
2007年10月27日「今後重要性を増す次世代育成支援対策」
https://roumu.com
/archives/51139516.html
2007年10月13日「次世代育成支援策 各社の具体的取り組み状況」
https://roumu.com
/archives/51099945.html
2007年1月23日「中小企業の育児休業に対し100万円の助成金」
https://roumu.com
/archives/50865999.html
2006年8月4日「日本ユニシスの育児関係制度大幅拡充の内容」
https://roumu.com
/archives/50675409.html
2006年7月31日「サイボウズが導入する先進的ワーク・ライフ・バランス支援制度」
https://roumu.com
/archives/50667885.html
Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blog「育児介護関連」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/cat_50218347.html


参考リンク
厚生労働省「労働者に対し育児休業又は養育のための短時間勤務制度を利用させ、経済的支援を行う事業主の方への給付金」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/pdf/40.pdf


(宮武貴美)


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クレーン設置届

クレーン設置届 クレーンを設置するときに届け出ることになっている書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:所轄労働基準監督署長(着工30日前に)

[ダウンロード]
WORD
Word形式 crane_setti.doc(36KB)
PDFPDF形式 crane_setti.pdf(9KB)

[ワンポイントアドバイス]
 このクレーン設置届には、次の書面を添付することになっています。
クレーン明細書
クレーン組立図
別表によるクレーンの種類に応じた構造部分の強度計算書
次の事項を記載した書面
 ・据付け箇所の周囲の状況
 ・基礎の概要
 ・走行クレーンにあたっては走行範囲

[関連法規]
労働安全衛生法 第88条(計画の届出等)
 事業者は、当該事業場の業種及び規模が政令で定めるものに該当する場合において、当該事業場に係る建設物若しくは機械等(仮設の建設物又は機械等で厚生労働省令で定めるものを除く。)を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第28条の2第1項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。
2 前項の規定は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとする事業者(同項本文の事業者を除く。)について準用する。

クレーン等安全規則 第5条(設置届)
 クレーンを設置しようとする事業者が、労働安全衛生法 (以下「法」という。)第八十八条第一項の規定による届出をしようとするときは、クレーン設置届(様式第二号)にクレーン明細書(様式第三号)、クレーンの組立図、別表の上欄に掲げるクレーンの種類に応じてそれぞれ同表の下欄に掲げる構造部分の強度計算書及び次の事項を記載した書面を添えて、その事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長(以下「所轄労働基準監督署長」という。)に提出しなければならない。
一 据え付ける箇所の周囲の状況
二 基礎の概要
三 走行クレーンにあつては、走行する範囲
2  前項の規定による届出をする場合における労働安全衛生規則 (昭和47年労働省令第32号。)第85条第1項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 建築物又は他の機械等とあわせてクレーンについて法第88条第1項 の規定による届出をしようとする場合にあっては、安衛則第85条第1項に規定する届書及び書類の記載事項のうち前項の規定により提出する届書その他の書類の記載事項と重複する部分の記入は要しないものとすること。
二 クレーンのみについて法第八十八条第一項の規定による届出をする場合にあっては、安衛則第85条第1項の規定は適用しないものとすること。
3 事業者(法第88条第1項 本文の事業者を除く。)は、クレーンを設置しようとするときは、同条第2項 において準用する同条第1項の規定により、クレーン設置届(様式第2号)に第一項の明細書、組立図、強度計算書及び書面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。


関連blog記事
2008年3月7日「クレーン・移動式クレーン・デリック・エレベーター・建設用リフト製造許可書」
https://roumu.com/archives/55001882.html

 

(福間みゆき)

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衛生管理者が長期で休んでしまったら、どうすれば良いのでしょうか?

 前回は、従業員数が50名を超えることによって、会社として安全管理体制を構築する必要があるという話をし、安全管理者について解説を行なった。今回はその続きとして、衛生管理者についての解説を行なうこととなった。



大熊社労士:
 それでは引き続き、衛生管理者についてお話しましょう。
福島照美福島さん:
 衛生管理者については、少し調べてみました。安全管理者は業種によって選任しなければならないか否かが決まっていましたが、衛生管理者はすべての業種において従業員が50人以上であれば選任する必要があります。また、人数については、安全管理者の場合には定めはありませんが、衛生管理者の場合、人数の規模毎に定めがありました。
大熊社労士:
 両者の選定基準を上手く理解できていますね。すばらしいです。それでは衛生管理者の仕事について解説していきましょう。安全管理者は安全に関する技術的事項を管理していましたが、衛生管理者の場合は衛生に関する技術的事項を管理する業務を担っています。週に1度は作業場等を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときに、直ちに労働者の健康障害を防止するための措置を講じることが求められます。過重労働に対する会社の対応責任が強くなっていることから、衛生管理者に求められる役割がますます重要になっていますね。
福島さん:
 衛生管理者になることができる資格として、第1種衛生管理者などいろいろと書いてありましたが、詳しく教えてください。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、衛生管理者になるための資格としては、衛生管理者免許試験に合格するか、労働衛生コンサルタントであること等が必要になっています。そして、衛生管理者免許試験には第1種と第2種免許があり、業種によっては、第1種でなければならないものと、第2種でも良いものとがあります。
宮田部長:
 衛生管理者については、山田君が資格をもっているので彼を任命しようと考えています。これは余談ですが、もしも衛生管理者が病気で長期休職することになった場合はどうすれば良いのですか。
大熊社労士:
 衛生管理者が旅行や病気等によって職務を行なうことができないときは、代理者を選任することになっています。衛生管理者がいなくなると、毎週1回の巡視など定期的な業務に支障が生じてしまいますので、何かトラブルが起きた場合、会社に法的な責任が問われる要因の一つになりかねないでしょう。
宮田部長:
 衛生管理者が果たす役割は重要ですね。どのような人を代理者とすればよいのでしょうか。
大熊社労士:
 次のうちいずれかに該当する者となっています(昭和23年1月16日 基発83号、昭和33年2月13日 基発90号)。
衛生管理者となる資格を有している者(衛生管理者免許、医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなどの資格を有する者)
保健衛生に関する業務に従事している者または従事した経験を有する者
 のように資格をもった者でなくても、過去に衛生管理者の補佐をしていた者や衛生委員会の委員であった者などでも、代理者となることができます。ちなみに、この代理者については、監督署への選任報告義務はありません。
宮田部長宮田部長:
 衛生委員会の委員がいますので、代理者は確保できそうです。しかし、もしも保健衛生に関する実務経験をもつ者がいないような場合は、社員に衛生管理者の免許を取得してもらう必要があるということになりますね。
大熊社労士:
 その通りです。実際、免許者が退職すると、後任がなかなか見つからないことがあります。次のような場合については、都道府県労働局長の許可を受けることによって、事業場の専属や選任の数などにおいて規則どおりでなくてもよいという取扱いがあります。
短期間(おおむね1年以内)の現場等であって、所定の衛生管理者が得られないときは、特定の者を衛生管理の業務に従事させることを条件として、かつその期間に限り許可すること
衛生管理者の突然の死亡、退職等特殊の事由により欠員が生じたが、その充足に期間を要することがやむを得ないと認められるときは、特定の者を衛生管理の業務に従事させることを条件として、かつ期間(おおむね1年以内)に限って許可すること
 実務上は、衛生管理者を確保していくことを急ぐ必要がありますね。衛生管理者の資格試験は毎月行なわれていますが、取得までには数ヶ月は必要になります。その間、衛生管理者も代理者も不在ということになれば、衛生管理者が果たすべき役割が充分に行われなくなってしまいます。このような事態のときには、社内の管理部門の担当者が替わりに定期巡視などの業務をしておくことが求められますね。
宮田部長:
 なるほど。福島さん、一緒に試験受けない?


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は、前回に引き続き安全衛生管理体制について取り上げてみました。ここで衛生管理者を自社以外の者(例えば派遣社員)から選任するための条件について、お話しましょう。本来、衛生管理者は事業場に専属している者の中から選任しなければならないとされています。しかし、次の3つの条件にあてはまる場合は、派遣契約や委任契約を結んだ者、つまり自社の従業員以外の者を衛生管理者とすることが可能になっています。
安衛則第7条第3号のロ 「その他の業種」に該当する事業場
 つまり、安衛則第7条第3号のイに掲げる業種(農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業)以外の業種
衛生管理者として選任する者について、第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許若しくは衛生工学管理者免許を有する者又は安衛則第10条各号に掲げる者
衛生管理者として選任する者に係る労働者派遣契約又は委任契約において、衛生管理者が職務を遂行しようとする事業場に専ら常駐し、かつ、その者が一定期間継続して職務に当たることが明らかにされていること。


 衛生管理者に限らず、総括安全管理者や安全管理者などの担当者が、急遽退職するなどして会社の安全管理体制が機能しないという事態にならないように、複数の社員に資格をもたせておくような配慮が重要になっています。


[関連規則・通達]
労働安全衛生規則 第8条(衛生管理者の選任の特例)
 自業者は、前条第1項の規定により衛生管理者を選任することができないやむを得ない事由がある場合で、所轄都道府県労働局長の許可を受けたときは、同項の規定によらないことができる。


平成18年3月31日 基発第0331004号「自社の労働者以外の者を衛生管理者等に選任することについて」
http://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-47/hor1-47-23-1-0.htm



関連blog記事
2008年3月3日「従業員50名以上になったときに求められる安全衛生管理体制とは?」
https://roumu.com/archives/64834156.html


参考リンク
厚生労働省「総括安全衛生管理者等の選任義務」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/anzen00/5.html
財団法人 安全衛生技術試験協会
http://www.exam.or.jp/index.htm


(福間みゆき)


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平成20年度の労災保険料率は前年度から変更なし

労災保険率表 3月に入り、労働保険の年度更新の時期が近づいてきました。昨年は雇用保険法の改正が遅れ、申告・納付期限が延長される異常事態となりましたが、今年は大きな改正の予定はなく、先日、厚生労働省のホームページにおいて、労災保険料率は平成18年4月1日に改正されたものから変更なしとして、労災保険率表が再掲示されました(画像はクリックして拡大)。


 社会保険料が毎月の納付であるのに対し、労働保険料は原則年1回の納付になっています。社会保険料に比べると納付額が大きくなりがちですので、早めに保険料の計算を行い、納付までに余裕を持っておきたいものです。



関連blog記事
2006年3月17日「4月からの労災保険料率等の改正」
https://roumu.com
/archives/50459345.html


参考リンク
厚生労働省「労災保険率表」
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_4.htm


(宮武貴美)


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当ブログが中部経済新聞に取り上げられました

書式ブログが中部経済新聞に取り上げられました 先日、中部経済新聞に「書式ブログ収録300本突破」というタイトルで、当ブログが大きく紹介されました(画像はクリックして拡大)。今後も順次、規程や書式を充実させて行きますので、是非ご活用下さい。


関連blog記事
2008年2月28日「労務ドットコムのトップページに書式・規程へのクイックリンクを設置」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51267252.html
2008年2月20日「Wordで使える!就業規則・労務管理書式Blogの収録規程・書式が遂に300本到達!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51257863.html
2008年2月14日「従業員ハンドブックの取り組みが中部経済新聞に取り上げられました」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51254565.html

 

(大津章敬)

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