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平成23年4月の被保険者範囲拡大が議論される短時間労働者の社会保険適用

 6月21日に第169回通常国会が閉会しましたが、この国会では第166回国会からの継続案件として労働基準法の改正等が挙げられていました。結果的には法案は成立せず、閉会となり、秋の臨時国会で継続審議されることとなっていますが、今日は同じく第166回国会からの継続案件となっていた「 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」(以下、「法律案」という)について取り上げてみましょう。


 この法律案は以前から新聞紙上でも取り上げられていたとおり、短時間労働者の社会保険の適用を拡大するものです。第166回の国会に提出された法案では、以下の4つのすべての要件を満たした労働者について、健康保険および厚生年金保険の被保険者の範囲を拡大することとしています。
1週間の所定労働時間が20時間以上であること
事業所に1年以上の雇用見込みがあること
月額の賃金が98,000円以上であること
生徒、学生等でないこと


 原油高などにより企業業績が低迷する中、今後、どのようになるか分かりませんが、法律案では平成23年4月1日の施行予定とされています。実際に被保険者範囲が拡大した場合には、短時間労働者を多く雇用する企業に非常に大きな影響を与えることとなるため、今後も動向に注目しておきたいところです。なお、法律案には、中小企業に関して経過措置を設ける記載もあります。


[関連資料]
第166回通常国会提出時法案
「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」(抜粋)
第二条 厚生年金保険法の一部を次のように改正する。
 第十二条に次の一号を加える。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する通常の労働者の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条に規定する短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が九万八千円未満であること。
ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。 第二十一条第一項中「十七日」の下に「(厚生労働省令で定める者にあつては、十一日。第二十三条第一項及び第二十三条の二第一項において同じ。)」を加える。


健康保険法の一部改正
第八条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
 第三条第一項第八号を同項第九号とし、同項第七号の次に次の一号を加える。
八 事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する通常の労働者の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条に規定する短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が九万八千円未満であること。
ニ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。


 第三条第七項第一号中「弟妹」を「兄弟姉妹」に改める。


 第四十一条第一項中「十七日」の下に「(厚生労働省令で定める者にあっては、十一日。第四十三条第一項及び第四十三条の二第一項において同じ。)」を加える。


 第百五十四条第一項、第百七十九条及び第二百四条第一項第一号中「第三条第一項第八号」を「第三条第一項第九号」に改める。



関連blog記事
2008年7月8日「特定保険料内訳に対応した新社会保険料額表のダウンロードを開始」
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2008年5月30日「10月の協会けんぽ設立で新保険証へ切替えに」
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参考リンク
厚生労働省「厚生労働省が今国会に提出した法律案について“第166回国会(常会)提出法律案”」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/166.html
内閣法制局「第169回国会での内閣提出法律案(件名)」
http://www.clb.go.jp/contents/diet_169/law_169.html
衆議院「第169回国会 議案の一覧」
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/kaiji169.htm


(宮武貴美


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「労務管理自己点検シート」のダウンロードを開始

「労務管理自己点検シート」のダウンロードを開始 先日、愛知県産業労働部労働福祉課より、「労務管理自己点検シート」が公表されました。これは中小企業向けに労務管理の状況をセルフチェックすることで、その課題を洗い出し、対策につなげていくというツールですが、簡単な労務監査のようなものに仕上がっています。


 この労務管理自己点検シートは愛知県産業労働部のホームページからダウンロードできるようになっていますが、今回はこの点検シート部分のみを抜き出し、以下からもダウンロードできるようにいたしました(画像はクリックして拡大)。労務管理のポイントがまとまった1枚となっていますのでご活用ください。
Downloadはこちらから
https://roumu.com/roumucheck.pdf



関連blog記事
2007年12月11日「無料ダウンロード開始!賞与計算チェックリスト」
https://roumu.com
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2007年11月30日「無料ダウンロード開始!出産関連手続きチェックリスト」
https://roumu.com
/archives/51179981.html


参考リンク
愛知県産業労働部「労務管理自己点検シート」
http://www.pref.aichi.jp/rodofukushi/horei/19syugyokisoku_check.pdf


(宮武貴美)


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60歳到達時賃金日額登録該当予定一覧表照会申請書(雇用保険)

60歳到達時賃金日額登録該当予定一覧表照会申請書(雇用保険) 今月以前または来月に60歳に到達する者を確認するための一覧表を取り寄せる場合に必要となる申請書書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:必要(公共職業安定所に依頼)
法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 60tingintoutatsusyoukai.doc(25KB)
pdfPDF形式 60tingintoutatsusyoukai.pdf(7KB)

[ワンポイントアドバイス]
 平成15年の雇用保険法改正に伴い、被保険者が60歳に到達した場合等における事業主の賃金月額証明書の提出義務は廃止されていますが、60歳以降も継続的に勤務する方が多いため、60歳到達時賃金日額登録はもれなく実施しておくことが望まれます。なお、この一覧の照会可否、照会依頼書式は各公共職業安定所により若干違いがあるようですので、事前に管轄の公共職業安定所までお問い合わせいただいたほうがよいでしょう。

(宮武貴美)

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社員の健康づくりに力をいれる企業が増加

社員の健康づくりに力をいれる企業が増加 先月、財団法人労務行政研究所から企業の健康づくり,生活習慣病・メタボリック症候群対策と人間ドック補助の実態に関する調査結果(以下、「調査結果」という)が公表されました。今回はこの調査結果について取り上げてみましょう。


 労働安全衛生規則の改正により、平成20年4月より40歳から74歳までの被保険者および被扶養者に対し、メタボリックシンドロームに着目した特定健康診査と特定保健指導が義務付けられました。これを受け、生活習慣の改善等を目指し、各医療保険者や企業が力を入れ始めています。この点に関し、この調査結果によると、健康づくり、生活習慣病・メタボリック症候群対策の取り組み状況は、従業員規模1,000人以上では80.9%が、300~999人は52.4%、300人未満では23.1%という結果になっており、大手での取り組みが進む一方,中小企業ではまだ推進されていない実態が見えてきます。また対策として実施されている内容としては、「法定の定期健康診断実施項目に加え,生活習慣病健診を実施している」(46.6%)、「ウォーキングイベントなど健康づくりのためのイベントを実施している」(39.1%)、「スポーツクラブの利用補助,または法人会員として加入している」(38.3%)といった取り組みが多く見られています(グラフはクリックして拡大)。


 社員の健康管理はいまや企業の労務管理における最重要課題の一つとなっており、この傾向は今後更に強まっていくことでしょう。大企業と比較して中堅・中小企業における取り組みはまだまだ低いものになっていますが、社員が健康で働くため、企業も積極的な支援が強く求められています。



関連blog記事
2008年6月4日「平成20年4月から始まった特定健康診査と特定保健指導の積極支援にかかる医療費控除」
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2008年2月7日「平成20年4月スタート!メタボの「特定健康診査」と「特定保健指導」の概要」
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2007年12月6日「定期健康診断で「所見あり」とされた場合に受給できる二次健康診断給付」
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2007年10月12日「健康診断を受診させる必要のあるパートタイマーの条件」
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2007年10月3日「平成20年度からの健康診断項目 腹囲が追加されるなど変更に!」
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2007年2月18日「健康診断は従業員とともに企業も守る」
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参考リンク
財団法人労務行政研究所「企業の健康づくり,生活習慣病・メタボリック症候群対策と人間ドック補助の実態」
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/7953


(宮武貴美)


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活力のある会社には訳がある

 関与させていただいている企業を永年観察していると人的資源管理の面で時折興味深い現象に出会う。ある企業(企業Aとしよう)はこの数年、従業員の意識が徐々に高まり、若手・ベテランを問わず、好ましい競争意識が芽生えてきた。もちろん業界では完全に勝ち組に位置している。驚いたのは、数年前まで「お荷物」と囁かれていた50半ばのベテラン男性がめきめき頭角を現し、今やトップ営業マンになって尊敬を集めていることである。特段の施策を打った訳ではないのに・・・と経営者も笑って首を傾げているだが、そこにはやはりそれなりの理由があった。


【秘密1】ポジション(役職や配置)が流動化する風土が定着している
 企業Aは、管理職やリーダーをやらせたものの、適任でないと判断されれば時期を待たずあっさりと解任し、役職者を変更してきた。また、入社2年目程度の若手社員でも可能性があればすぐにリーダーに任命している。このような過程で捲土重来(同一部署も他部署もある)を果たしたメンバーも数名おり、役職に就くこと、降りることについて抵抗感が低い。また、その職に向いていないと判断されれば配転もあっさり行われ、これについても抵抗感がほとんどない。15年前は全く逆の風土であったこの企業Aは、ある時期を境にこの施策を始めた。当初はベテラン管理職の抵抗もあったが、15年に亘ってこの流動化を行うと、「これが当たり前」という風土が定着した。解任されれば多少給与も下がるが、これも当然のこと、と理解されているという。実はこのような企業は稀である。メンツやヤル気の低下を慮って解任を躊躇したり、様子見といって放置するケースが多いが、これは組織を生き物とすれば、このような配慮は逆効果になるのかもしれない。


【秘密2】経営者がコーチングを本気で始めた
 そもそも経営者自らがコーチングをやろうという意思を持つこと自体が稀である。通常、経営者はトップダウンタイプであり、従業員の話をじっくり聴いて相手が内に持っている答えを導き出すことは不得手な方が多い。つまり、説得は得意だが傾聴は苦手なのである。この企業Aの経営者のコーチングスキルはかなりのレベルであり、件(くだん)のお荷物営業マンが劇的に変わったのも、この経営者のコーチングの効果が大きいのだろう。50半ばのベテラン社員が本気で変わったという話は、実はあまり聞いたことがない。「普通は変わるものではない・・・」と先入観を持っていた(私もこの社員をよく知っているのだが)ので、まさか彼がこれほどまでに変わるとは驚きである。もちろんちょっとした後押しをする報酬制度も用意したが、このような制度だけで人は変わるものではない。基本は、経営者が受容と共感の姿勢を示したことにあったのだろう。


 いずれにしても、お客様には教えられることが多い。



関連blog記事
2008年6月26日「労働時間管理の難しさ」
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/archives/51359311.html
2008年6月12日「報酬差をつけるのであれば説明は不可欠」
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2008年5月6日「賞与と配分のロジック」
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2008年4月18日「昇給を考える その2:ビジネスモデルに対応する賃金制度の構築」
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/archives/51307059.html
2008年4月9日「昇給を考える その1:定期昇給制度の意義」
https://roumu.com
/archives/51295326.html
2008年3月21日「最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド(その2)」
https://roumu.com
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2008年3月12日「最近の労働法令改正から見る労務管理のトレンド」
https://roumu.com
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2008年2月21日「人事評価、公平性の陥穽と本筋論」
https://roumu.com
/archives/51259557.html


今後の小山邦彦のセミナー予定
【8/5】「名ばかり管理職問題で企業に求められる実務対応と雇用環境変化に適応する人事制度」(名古屋)
https://roumu.com/seminar/seminar20080805.html
【10/3】「人事考課研修DVDを使った効果的な人事考課研修の進め方」(東京)
https://roumu.com/seminar/seminar_evadvd.html
【10/21】「人事考課研修DVDを使った効果的な人事考課研修の進め方」(大阪)
https://roumu.com/seminar/seminar_evadvd.html


(小山邦彦)


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委任状(雇用保険)

委任状(雇用保険) 公共職業安定所が管理している雇用保険の被保険者台帳の提供を社会保険労務士等が受ける際に必要となる依頼書書式(画像はクリックして拡大)です。
重要度:
官公庁への届出:必要(公共職業安定所に依頼)
法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
word
Word形式 koyouhoken_ininjou.doc(24KB)
pdfPDF形式 koyouhoken_ininjou.pdf(4KB)

[ワンポイントアドバイス]
 事業所別被保険者台帳は個人情報であり、その管理を厳格に行う必要があります。事業主以外の者がこれを取り寄せる場合には「事業所別被保険者台帳提供依頼書」の他にこの委任状の提出が必要となります。この書式は各公共職業安定所により若干違いがあるようですので、事前に管轄の公共職業安定所までお問い合わせいただいたほうがよいでしょう。


関連blog記事
2007年10月09日「事業所別被保険者台帳提供依頼書(雇用保険)」
https://roumu.com/archives/cat_50087766.html
2007年7月2日「雇用保険の取得・喪失漏れを防止する方法」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51010200.html

 

(宮武貴美)

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労働基準監督署の立入調査では、どのようなことをするのですか?

 労働基準監督署の立入調査について、大熊社労士からレクチャーを受けている服部社長と宮田部長。法令違反をしていないという自信はあるが、いざ抜き打ちで立入検査を受けるようなことがあった場合、対応に不安があるため真剣に聞き入っている。



服部社長:
 労働基準監督署の立入調査では、どのようなことが行われるのですか?
大熊社労士大熊社労士:
 はい、立入調査では、まずその事業所の概要や状況、労働者の勤務状況、現場の安全衛生対策の状況等の確認や把握が行われ、労働関係帳簿がチェックされます。
服部社長:
 労働関係帳簿というのは、タイムカードや賃金台帳のことでしょうか?
大熊社労士:
 そうですね。労働関係帳簿とは、タイムカードや賃金台帳のほか、就業規則や賃金規程といった規則・規程類、労使協定、労働者名簿、健康診断記録、安全衛生委員会等の活動記録や議事録、そして最近ではパソコンのログ記録なども含まれます。
宮田部長:
 パソコンの記録もですか、いろいろ調べられるのですね。
大熊社労士:
 立入調査では、帳簿での確認のほか、事業主や管理職、労働者からの聴き取り調査で事実の確認も行われます。帳簿と聴き取り調査とで内容に差異があるかないかが点検、確認されるのです。
服部社長:
 帳簿や聴き取り調査などで、法律に違反していた場合、どのようになるのでしょうか?
大熊社労士:
 法違反があると認められた場合は、「是正勧告書」が交付されます。また、法違反とまでは至らないものの、改善すべき事項がある場合には、行政指導として「指導票」が交付されます。
宮田部長宮田部長:
 是正勧告という言葉は聞いたことがあります。それらの交付を受けた場合、会社はどのようにすればよいのでしょうか?
大熊社労士:
 もし「是正勧告書」や「指導票」が交付された場合は、事業主は、指摘された事項の改善を速やかに行い、指定された期日までに是正報告書を作成・提出し、是正状況を説明しなければなりません。なお、建設業、製造業をはじめその他の業種でも労働災害が発生する危険があると認められる機械設備や作業方法などがあった場合は「使用停止命令書」「作業停止命令書」が出されることがあります。その命令書にも、命令の内容と期間・期日が示されていますので、速やかに対応しなければなりません。もし、技術的なことなどで対応方法がわからない場合は、労働基準監督官などに相談してみるとよいでしょう。
服部社長服部社長:
 いずれにしても指摘を受けた場合は、会社として無視したり、放置していてはいけないということですね。
大熊社労士:
 そのとおり、きちんと対応することが何よりも大切です。もし、御社に是正勧告書や指導票などが交付された場合は、まず私に連絡ください。一緒に、改善・対応方法を検討しましょう。
宮田部長:
 そのときは是非お願いします。ところで、是正勧告を受けた会社が適切に対応しないときには、どうなるのですか?
大熊社労士:
 是正勧告書で指示されている期日になっても是正報告書が提出されないときや、是正内容が十分でないときなどは再監督(再調査)が行われます。それでもなお、改善されない場合は、再々監督を受け、場合によっては検察庁に送検されることにもなります。
服部社長:
 送検ですか?恐ろしいですね。
大熊社労士:
 送検に至る件数は多くありませんが、最悪の場合、そのような事態になります。なお、送検されるものとしては、①死傷者が出た労働災害でその原因が安全衛生法等の違反によるもの、②悪質な法令違反があるもの、③是正勧告に対して改善されず、無視したり、放置したりして改善の意思がみられないものなどとなっています。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。今回は、労働基準監督署の立入調査(臨検監督)を取り上げてみました。「是正勧告書」には、根拠となる法条項、違反事項、是正期日が、「指導票」には指導事項、報告期日が記載されており、それぞれ指定の期日までに報告書を作成して、提出しなければなりません。もし、期日までに対応できなければ、期日までに対応できない理由や改善の経過報告などを労働基準監督官に説明して、その後の指示を受ける必要があります。期日までに対応できないからといって、改善を放置したり、経過報告や説明をしないでおくと、労働基準監督官の心証を悪くし、より厳しい指導に至ることもありますので注意してください。


[関連法規]
労働基準法 第101条(労働基準監督官の権限)
 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
2 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。


労働基準法 第104条の2(報告等)
 行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる



関連blog記事
2008年7月7日「労働基準監督署の立入調査とは何ですか?」
https://roumu.com/archives/64927921.html
2007年10月7日「平成18年度のサービス残業是正支払額は1,679社で227億円」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51113831.html
2005年6月20日「是正勧告とはなにか?」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/25495617.html


参考リンク
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果~平成18年度は約227億円」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/h1005-1.html
東京労働局「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成18年度)」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2007/20071005-kantokushidou/20071005-kantokushidou.html
厚生労働省「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/h1005-1b.html
厚生労働省「賃金不払残業総合対策要綱」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/h1005-1a.html
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/10/dl/h1005-1a.pdf


(鷹取敏昭)


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深刻化する企業内でのいじめ・嫌がらせ

深刻化する企業内でのいじめ・嫌がらせ 先日、東京労働局より「平成19年度における個別労働紛争解決制度の利用状況」の結果が公表されました。これによれば、平成19年度において、都内21か所の総合労働相談コーナーに寄せられた総合労働相談の件数は前年比8.2%増の132,463件となり、過去最高を記録しました。また、あっせん申請受理件数こそ1,430件と前年比0.5%のマイナスになっていますが、民事上の個別労働紛争相談件数は前年比2.0%増の19,974件、助言・指導申出受付件数も2.6%増の560件となっており、多くの企業で労働に関する問題が発生していることが分かります。


 今回の調査を詳細に見てみると、民事上の個別労働紛争に関する相談の主な内容は、「解雇」に関するものが全体の24.3%ともっとも多くなっていますが、これに次ぐのが「いじめ・嫌がらせ」に関するものの14.2%となっています。この「いじめ・嫌がらせ」の件数は平成16年度が1,676件、17年度が2,358件、18年度が2,972件、そして19年度が3,317件と毎年右肩上がりで増加しており、平成16年度からの3年間でほぼ倍増という状態になっています(グラフはクリックして拡大)。パワハラについては徐々に認知が進み、多くの企業では研修の開催など、その対策が進められていますが、今後はより総合的な「いじめ・嫌がらせ」の現状把握と対策が求められるでしょう。



関連blog記事
2008年6月21日「勤務問題による自殺者の動機のトップは「仕事疲れ」」
https://roumu.com
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2008年5月18日「賃金不払事案による行政指導が前年比11%増と急増」
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2008年2月27日「労働者から労働基準監督署への内部告発が急増」
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2008年1月15日「内部告発の急増で求められる従業員の相談窓口の設置」
https://roumu.com
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2007年5月26日「増加を続ける個別労働紛争解決制度の利用」
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2007年5月21日「前年比2桁の伸びを見せる労働相談件数」
https://roumu.com
/archives/50974155.html
2006年12月25日「増加を続ける個別労働紛争と求められる企業の対応」
https://roumu.com
/archives/50832401.html


参考リンク
東京労働局「平成19年度における個別労働紛争解決制度の利用状況」
http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2008/20080709-hunsou/20080709-hunsou.html


(大津章敬


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出向社員の出向先における年次有給休暇の付与日数

 本日はある顧問先様から質問を頂いた、出向者に関する年次有給休暇の取り扱いについて取り上げたいと思います。



【質問】
 当社では先月から子会社に在籍出向させている社員がいます。その社員から年次有給休暇(以下「年休」という)を取得したいという申請がありました。当社での勤務年数は20年以上あり、出向前は前年度分を合わせて40日の年休が残っていました。当社で残っていた年休は出向先である子会社でも取得することができますか?


【回答】
 出向の場合、出向元との雇用関係が継続しているとされるため、出向先である子会社で年休の取得申請があった場合でも、出向元会社で発生した年休を取得することとなります。


 そもそも労働基準法第39条が定める年休については、6ヶ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対し付与されます。この質問における論点は、年休付与の基礎となる勤続年数に関し、出向元会社と出向先会社の勤務を継続勤務と判断するか否かにあります。今回は在籍出向ということですので、この社員については出向元会社と出向先会社の双方と雇用関係があるため、出向元会社と出向先会社の勤務年数は「継続勤務」と判断され、出向元において付与された年休を取得することができます(関連通達:昭和63年3月14日基発150号(継続勤務の意義)参照)。なお、この際の時季指定権および時季変更権は出向先企業と労働者の間にあり、労働者が時季指定権を行使する時は、出向先企業に対して行うことになります。


 ちなみに、転籍(移籍出向)の場合においては、転籍前の会社との雇用関係は終了しており、現在の雇用関係は転籍後の会社との間にのみ成立するため「継続勤務」と判断されず、転籍前の会社で発生した年休を使うことはできません。


【関連法令・通達】
労働基準法 第39条
 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。


労働基準法 第39条4項
 使用者は有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。


昭和63年3月14日基発150号(継続勤務の意義)
 継続勤務とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいう。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断すべきものであり、次に掲げるような場合を含むこと。この場合、実質的に労働関係が継続している限り勤務年数を通算する。
イ 定年退職による退職者を引き続き嘱託等として再採用している場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む。)。ただし、退職と再採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りでない
ロ 法第二十一条各号に該当する者でも、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
ハ 臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、六箇月以上に及んでいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
ニ 在籍型の出向をした場合
ホ 休職とされていた者が復職した場合
へ 臨時工、パート等を正規職員に切替えた場合
ト 会社が解散し、従業員の待遇等を含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合
チ 全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続している場合



関連blog記事
2006年11月19日「【労務管理は管理職の役割】年次有給休暇と時季変更権」
https://roumu.com
/archives/50798945.html


(佐藤浩子)


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総合職・一般職などコース別雇用管理をする上での留意点

 近年、企業の再編や人事制度改革に伴い、総合職や一般職、もしくは地域限定職などのコース別雇用管理を見直す企業が増加しています。この点については、平成19年4月の男女雇用機会均等法改正の際に、「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」という通達が出されていますので、本日はその内容を確認してみましょう。


 コース別雇用管理とは、職種等に基づいて複数のコースを設定し、コースごとに異なる配置や昇進、教育訓練等を行う雇用管理を行うことを言いますが、現実には男性は総合職、ほとんどの女性は一般職という実態があったり、一般職から総合職への転換実績が少ないことがあったりという状況が見られています。また、総合職についてはその必要性が十分に検討されないまま、女性が事実上満たしにくい全国転勤を要件とされることもあり、事実上の女性に対する差別的取り扱いとなっているようなことも少なくなく、その対応が課題となっています。そのため平成19年の男女雇用機会均等法の改正では、従来からの募集・採用、配置、昇進の取扱いに加え、職種の変更についても新たに差別的取扱いが禁止されました。さらに、総合職の募集・採用の転勤要件についても、合理的な理由がなければ間接差別にあたり違法としています。


 このような背景のあるコース別雇用管理ですが、男女雇用機会均等法および通達に対応するための留意事項が3点ありますので、押さえておきましょう。
均等法に違反しないために留意すべき事項
(1)コース等の変更に当たって、その対象者から男女いずれかを排除すること(例えば、「総合職」から「一般職」への職種変更を、
制度上は男女双方とするが、男性については職種変更を認めないという運用と行うこと)
(2)「総合職」の募集・採用に当たって、合理的な理由なく転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること(例えば、
広域にわたって展開する支店等がなかったり計画がない場合に転勤要件を設けること)


コース等で区分した雇用管理が実質的な男女別の雇用管理とならず、適正かつ円滑に行われるようにするために留意すべき事項
(1)コース区分に関する基準については、女性または男性が事実上満たしにくいものについて、その必要性等を十分検討すること
 合理性のない基準は、裁判において間接差別をされる可能性があり、そのような場合は基準の必要性・合理性を改めて検討することが必要
(2)あるコースにつき、そのほとんどが男女労働者のいずれかで構成されているような場合に、経営合理化等に伴いそのコースを廃止等するには、結果的に男女労働者のいずれかのみに解雇等不利益な効果が生ずることがないよう、十分な配慮が必要
(3)新たに「募集、採用時に転居転勤要件を設けるに当たって留意すべき事項」を追加
 募集・採用に当たって、当該転勤の期間、場所、頻度、実績等の情報提供を行うことが望まれる。


均等法等に照らし男女労働者の能力発揮のために行うことが望ましい事項
(1)労働者の意欲、能力、適性等に応じ総合職への転換を積極的に進めること等によって、その経験、能力を十分に評価した処遇が行われるように配慮するなど、労働者の就業意欲を失わせず、適正な処遇を維持すること
(2)コース等で区分した雇用管理を導入、変更または廃止する際に既存の労働者をコース等の区分に分けるに当たっては、従来の職種のみにとらわれることなく、その時点での労働者の能力を再度評価し、その意思を確認した上で行うこと
(3)出産や育児、介護等働き方に大きな影響を与える局面に対して、より柔軟な対応ができるように転換制度を設けたり、適度な時点で労働者が自らコースの区分を見直しすることができるような制度を整備すること


 コース等で区分した雇用管理を行う場合においては、改正均等法に則した雇用管理を行っていく必要があります。会社としては、どのようなコース等の区分を選択した者であっても、その者の能力を十分に発揮できる環境を創っていくことが求められています。



関連blog記事
2008年6月25日「女性管理職を有する企業の割合が66.6%に増加」
https://roumu.com
/archives/51357629.html


参考リンク
「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」による啓発指導について(雇児発第0122001号 平成19年1月22日)
http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/josei/hourei/dl/20011010-01.pdf


(福間みゆき)


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