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[ワンポイント講座]親の介護をしている社員に転勤を命じることはできるのか

 最近は介護をしながら勤務している社員を多く目にするようになりましたが、今後も仕事と介護を両立しながら働く社員が増加することは間違いのない状況です。そこで今回のワンポイント講座では、介護をしている社員への転勤命令の可否について取り上げてみましょう。


 多くの企業の事例を見ると、就業規則において以下のような異動に関する定めがなされていることが通常です。



第○条(異 動)
 業務の都合により必要がある場合は、社員に異動(配置転換、転勤、出向)を命じ、または担当業務以外の業務を行わせることがある。



 このように就業規則において転勤をさせることがある旨を規定してある場合には、転勤について労使間で包括的に合意していると解釈され、社員は原則としてその転勤命令を拒むことはできません(東亜ペイント事件 最高裁二小 昭和61年7月14日判決)。しかし、就業規則に定めがあるような場合であっても、人事権の濫用とされるような場合には、その命令を行うことは違法とされます。ここにおいて転勤命令が人事権の濫用とされるか否かの判断については、主として業務上の必要性と労働者の不利益の程度の2点により行われます。


 このうち①の業務上の必要性については当然として、判断が難しいのがの労働者の不利益の程度の捉え方です。転勤の結果、単身赴任となる事例は多く見られますが、先の東亜ペイント事件において、単身赴任というだけでは労働者が被る不利益が「通常甘受すべき程度」を著しく超えるものとは言えないと判示されているように、単身赴任や遠隔地の配転というだけでは人事権の濫用とは言えないとされています。しかし、転勤による労働者の不利益の程度は、個人の事情によって大きく異なります。近年の裁判(ミロク情報サービス事件 京都地裁 平成12年4月18日判決、北海道コカ・コーラボトリング事件 札幌地裁 平成9年7月23日決定)においては、社員本人や家族の健康状態、育児や介護が私生活上の事情として考慮されるようになっています。そして、ネスレジャパン事件(最高裁二小 平成20年4月18日決定)においても、個人の事情を考慮した上で介護中の転勤は無効とした判決が下されています。


 以上のことから、介護をしている社員への転勤命令については、親の面倒をみる必要があり、かつ他の人に替わってもらうことが不可能な場合には、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益があると認められる傾向が強いと考えられます。併せて、育児介護休業法第26条に育児・介護を行う労働者の配置に際しての使用者の配慮義務が定められていることからも、会社としては介護を行っている社員への配慮が必要とされます。そのため、実務においては転勤命令を行う前に社員の個人事情をヒアリングするなどの対応が求められ、場合によっては一定期間の転勤を猶予することも検討していくことが望まれます。


[関連判例]
東亜ペイント事件(最高裁二小 昭和61年7月14日判決)
 上告会社の労働協約及び就業規則には、上告会社は業務上の都合により従業員に転勤を命ずることができる旨の定めがあり、現に上告会社では、全国に十数か所の営業所等を置き、その間において従業員、特に営業担当者の転勤を頻繁に行っており、被上告人は大学卒業資格の営業担当者として上告会社に入社したもので、両者の間で労働契約が成立した際にも勤務地を大阪に限定する旨の合意はなされなかったという前記事情の下においては、上告会社は個別的同意なしに被上告人の勤務場所を決定し、これに転勤を命じて労務の提供を求める権限を有するものというべきである。
 転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することは許されないが、当該転勤命令について業務上の必要性が存しない場合、または業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。
 右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、業務能率の増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。
 本件転勤命令については、業務上の必要性が優に存在し、本件転勤がXに与える家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のものであるので、本件転勤命令は権利の濫用には当たらない。


[関連法規]
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第26条(労働者の配置に関する配慮)
  事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。



関連blog記事
2008年12月3日「[ワンポイント講座]業績悪化を理由とする新卒の内定取消を行う際の留意点」
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/archives/51461700.html
2008年11月26日「[ワンポイント講座]1ヶ月間まったく出社なしの場合の通勤手当不支給の取り扱い」
https://roumu.com
/archives/51457350.html
2008年11月12日「[ワンポイント講座]在宅勤務者の労働時間はどのように取り扱うのか」
https://roumu.com
/archives/51447800.html
2008年11月5日「[ワンポイント講座]派遣社員の健康診断は派遣先・派遣元のどちらが行うのか」
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/archives/51441644.html
2008年10月29日「[ワンポイント講座]3回遅刻した場合に、1日分の賃金カットを行うことはできるのか」
https://roumu.com
/archives/51439131.html


参考リンク
大阪労働局「仕事と育児・介護との両立支援について」
http://osaka-rodo.go.jp/kinto/ryoritu.html


(福間みゆき)


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政府の新雇用対策に掲げられた雇用保険制度の改正方針

政府の新雇用対策に掲げられた雇用保険制度の改正方針 経済危機による雇用状況の悪化に対応するため、政府は先ほど、「新たな雇用対策」を発表しました(画像はクリックして拡大)。この提言には、非正規労働者をはじめとする労働者の雇用の維持、雇用を失った労働者に対する再就職支援、新卒者への内定取消問題への対応の各対策がまとめられており、その詳細については参考リンクにあるpdfファイルをご覧頂きたいと思いますが、ここでは再就職支援策の一環として掲げられている「雇用保険制度の機能強化」について取り上げることとしましょう。


 ここ数ヶ月の雇用問題ではもっぱら非正規労働者の危機的状況が強く叫ばれていますが、この提言においても「この状況を放置すると、雇用失業情勢は過去最悪の5.5%の水準を上回り、100 万人を超える失業者が新たに発生する恐れがある」としています。こうした状況を受けて、雇用保険制度については以下の対策が掲げられています。



1)非正規労働者に関する適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6か月以上」に緩和し、適用範囲を拡大する。
2)契約更新がされなかった
有期契約労働者の受給資格要件(現行1年)を6か月に緩和し、6か月以上1年未満で雇い止めされた労働者も給付の対象とするとともに、特例的に給付日数を解雇等の離職者並みに充実する。
3)年齢、地域を踏まえ、特に再就職が困難な場合についての給付日数を特例的に60日分延長する。
4) 安定した再就職へのインセンティブ強化のため、早期に再就職した場合に支給される
再就職手当等について特例的に給付率を引き上げるとともに、一部受給要件を撤廃する。
5)
育児休業給付の暫定措置(給付率50%と10%引き上げ)を継続するとともに、全額を休業期間中に支給
する。
6)失業給付受給中に職業訓練を受講する者に対する手当を引上げる。


 こうした対策を実現するためには一定の予算措置が必要な上に、首相支持率の低下による政界再編の動きが強まっている環境であることから、今回の雇用対策がすべて実現するとは言い切れませんが、雇用保険制度においても大きな影響が予想されることから、今後の議論を注意して見ていきたいところです。



関連blog記事
2008年12月5日「12月より中小企業緊急雇用安定助成金が創設されています」
https://roumu.com
/archives/51462084.html
2008年12月4日「平成20年12月より特定求職者雇用開発助成金が改正され、支給内容が拡充」
https://roumu.com
/archives/51461706.html
2008年9月4日「基本手当の所定給付基礎日数の基礎となる被保険者であった期間」
https://roumu.com
/archives/51402115.html
2008年7月4日「8月から適用される雇用保険の基本手当日額および高年齢雇用継続給付の支給限度額が発表」
https://roumu.com
/archives/51364630.html
2008年4月25日「正社員への転換を支援する「中小企業雇用安定化奨励金」」
https://roumu.com
/archives/51310703.html


参考リンク
首相官邸「新たな雇用対策について」
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2008/1209koyou.pdf


(大津章敬)


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平成21年1月1日より出産育児一時金が38万円に引き上げ

平成21年1月1日より出産育児一時金が38万円に引き上げ 来年1月より、より質の高い産科医療を目指し、「産科医療補償制度」が始まることになっています。今日は、この制度創設に伴い改正となる出産育児一時金について取り上げましょう。


 そもそも産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺児に対する補償の機能と脳性麻痺の原因分析・再発防止の機能とを併せ持つ制度として創設されています。分娩機関に対しては、この制度に加入するよう推奨されており、平成20年12月2日現在、98.2%の分娩機関が加入をしていると財団法人日本医療機能評価機構が発表しています。


 この制度では、1分娩あたり30,500円(一定の要件の場合は1分娩あたり30,000円)の掛金が必要となっており、制度が導入されることで出産費用の上昇が見込まれています。このため、健康保険法に基づく出産育児一時金の額も改正が行われ、この制度に加入している分娩機関で出産する等の出産に対しては、出産一時金の額を35万円から38万円(法令では、「3万円を超えない範囲内で保険者が定める額を加算」と記載)に引上げることとされています。なお、対象となる出産は、産科医療補償制度開始後のものであり、平成21年1月1日以降の出産となります。



関連blog記事
2008年10月24日「協会けんぽ発足に伴う社会保険関係書類提出先一覧表 ダウンロード開始」
https://roumu.com
/archives/51435398.html
2008年10月9日「保険証発行申請後の緊急医療機関受診は証明書発行で対応!」
https://roumu.com
/archives/51426246.html
2008年10月6日「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55152364.html
2008年10月7日「協会けんぽの設立によって変更となる保険証の発行」
https://roumu.com
/archives/51424355.html
2008年8月29日「注意しておきたい休職者の社会保険料控除の取扱い」
https://roumu.com
/archives/51399590.html


参考リンク
協会けんぽ「出産育児一時金(家族出産育児一時金)の支給額が変わります。(平成21年1月から)」
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,6412,39.html
財団法人日本医療機能評価機構
http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/index.html


(宮武貴美)


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連合調査の冬季一時金の平均回答額は前期実績より5,490円マイナスの724,371円

冬季一時金の平均回答額は724,371円 今年の冬の賞与については11月22日のブログ記事「大企業の2008年冬季賞与平均一次集計は901,953円(△0.07%)」において、日本経団連の調査結果を取り上げましたが、今回は先日発表になった連合の「2008年春季生活闘争一時金 年末一時金 第2回回答集計(12月3日集計分)」の結果についてお伝えしましょう。


 これによれば冬季一時金(夏冬型の冬分・季別・冬夏型の冬分)の平均回答額は724,371円となり、昨年実績の729,861円と比較すると5,490円マイナスという結果(画像はクリックして拡大)になっています。先ほど取り上げた日本経団連の集計でも前年比マイナスという結果をお伝えしましたが、今回の企業業績の低迷は予想を大きく超えるものとなっているだけに、今後、より厳しい結果が出てくるのではないかと予想しています。



関連blog記事
2008年11月25日「今春の大卒初任給は男性201,300円、女性194,600円と共に増加」
https://roumu.com
/archives/cat_1024113.html
2008年11月22日「大企業の2008年冬季賞与平均一次集計は901,953円(△0.07%)」
https://roumu.com
/archives/51455313.html
2008年11月15日「都内労働組合の年末一時金平均妥結額は765,112円 」
https://roumu.com
/archives/51449864.html
2008年11月8日「平成20年夏季賞与 従業員数5名以上の事業所の平均は406,012円」
https://roumu.com
/archives/51444557.html
2008年10月30日「大企業の2008年冬季賞与平均一次集計は904,885円(△0.03%)」
https://roumu.com
/archives/51437560.html


参考リンク
連合「2008年春季生活闘争一時金 年末一時金 第2回回答集計(12月3日集計分)」
http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/shuntou/2008/shuukei_ichijikin/2008_ichijikin_matsu_02.pdf


(大津章敬)


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平成21年4月より301人以上企業で次世代育成行動計画の公表・周知が義務化へ

 短期的には厳しい経営環境の中で如何に雇用を維持するかが大きな課題になっていますが、中長期的には我が国における急速な少子化の進行等の現状に鑑み、次代の社会を担うすべての子どもが健やかに生まれ、かつ育成される環境の整備、いわゆる次世代育成支援が大きな課題となっています。これまでも次世代育成支援対策推進法により、301人以上の労働者を雇用する事業主は、一般事業主行動計画を策定し、その旨を速やかに各労働局雇用均等室に届け出なければならないとされて来ましたが、今後以下の改正が予定されています。
行動計画の公表および従業員への周知の義務化(平成21年4月1日施行)
 仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について事業主が策定する一般事業主行動計画の公表・従業員への周知が、101人以上の企業は義務(※101人以上300人以下企業は平成23年3月31日までは努力義務)、100人以下の企業は努力義務となります。行動計画の公表および従業員への周知の義務化


行動計画の届出義務企業の拡大(平成23年4月1日施行)
 一般事業主行動計画の策定・届出の義務付け範囲が従業員301人以上企業から従業員101人以上企業に拡大されます。 行動計画の届出義務企業の拡大


 以上のように平成23年4月にはのいずれについても101人以上企業において義務化されますので、いまから社員が育児をしながら勤務を続けられる環境の構築を意識しておくことがもとめられます。



関連blog記事
2008年9月13日「ワークライフバランス実現には企業トップのリーダーシップ発揮が必要不可欠」
https://roumu.com
/archives/51405885.html
2008年8月15日「女性労働者の育児休業取得率は約9割に上昇」
https://roumu.com
/archives/51391167.html
2008年8月14日「改訂された「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」」
https://roumu.com
/archives/51391042.html
2008年7月29日「育児休業等終了後の社会保険の特例的取扱い」
https://roumu.com
/archives/51377897.html
2008年7月7日「厚労省研究会が今後の育児休業制度の拡充を提言」
https://roumu.com
/archives/51365167.html
2008年6月29日「女性従業員の取得率が9割に近づく育児休業」
https://roumu.com
/archives/51360343.html
2008年6月27日「雇均法など女性労働のポイントが良く分かる小冊子がダウンロードできます」
https://roumu.com
/archives/51359383.html
2008年6月25日「女性管理職を有する企業の割合が66.6%に増加」
https://roumu.com
/archives/51357629.html
2008年6月9日「育児休業中の定期健康診断の実施の必要性」
https://roumu.com
/archives/51347474.html
2008年3月10日「育児中の社員の短時間勤務促進に関する助成金制度」
https://roumu.com
/archives/51274896.html
2008年3月5日「育児休業の取得促進に関する助成金制度」
https://roumu.com
/archives/51269983.html


参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法が改正されます!」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/ikusei/index.html
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画について」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html


(大津章敬)


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来年5月21日から始まる裁判員制度とはどのようなものですか?

 11月28日に裁判員制度の候補者に向けて、裁判所から通知が発送された。そこで宮田は、裁判員制度が開始されることに伴って会社に求められる対応について、大熊社労士に相談することにした。



宮田部長宮田部長:
 大熊先生、こんにちは。いよいよ裁判員制度の通知が発送されましたね。マスコミでも数多く取り上げられていましたので、自分に通知が来ないのかドキドキしましたよ。結果的には来ませんでしたけれども。少し興味があったので、ちょっとだけ残念ですね。
大熊社労士:
 そうですか。今回通知されたのは、全国で295,027人だそうです。通知に併せて、専用のコールセンターが来年の1月31日まで臨時に設けられましたが、「裁判員になりたくないので、名簿から外して欲しい」といった訴えもあったようですよ。御社では通知が来たというような話は出ていますか?
宮田部長:
 いいえ、はっきり分かりませんが、通知が発送されて1週間経っても社員からの問い合わせがありませんので、社員の中には対象者はいないようです。
大熊社労士:
 そうですか。単純な確率から言えば、御社では対象者が出る確率の方が低いですからね。もっとも郵便物を確認していない人がいるかも知れませんし、来ていても会社には報告していない人もいるかも知れませんので、もしかすると一人くらいはいるかも知れません。朝礼などで、現時点においては会社に報告する必要はないと断った上、最高裁判所の名前の入った白い封筒が来ていないか、もう一度確認してもらうように促しておいた方がよいでしょうね。
宮田部長:
 そうですか?なぜ確認する必要があるのでしょうか。
大熊社労士大熊社労士:
 はい、送付されてきた同封物の中に、調査票が入っています。この調査票は何かといいますと、そもそも裁判員になることができない、辞退できる理由に該当する、あるいは裁判員になることが特に難しい月がある場合にそれを申し出るものことができるようになっています。調査票を返信しなければ、いつでも裁判に参加できるということになってしまいます。来週の12月15日(月)必着で返信することになっていますので、もしも通知を受け取った人がいれば、場合によっては繁忙期の時期を指定して返信しておくように伝えておくことが重要です。
宮田部長:
 そうでしたか。では早速、明日の朝礼で連絡します。裁判員制度について、実はよく分かっていないものですからこの機会に教えてください。
大熊社労士:
 わかりました。裁判員制度とは、国民に裁判員として刑事裁判に参加してもらう制度です。6人の裁判員と3人の裁判官が刑事裁判に立ち合い、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と判断することになります。
福島照美福島さん:
 裁判員に選任されると、どのような事件の裁判に参加することになるのですか?テレビでは重大な犯罪が中心になるなんていうことを見たのですが…。
大熊社労士:
 そうなんですよ。裁判員制度の対象となる事件としては、一定の重大な犯罪とされています。原則としては、死刑または無期懲役もしくは禁固に当たる罪に係る事件と、法的合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪にかかるものとされています。代表的な例をあげますと、次のようなものが対象となります。
・人を殺した場合(殺人)
・強盗が、人にけがをさせ、あるいは、死亡させた場合(強盗致死傷)
・人にけがをさせ、その結果、死亡させた場合(傷害致死)
・ひどく酒に酔った状態で自動車を運転して人をひき、死亡させた場合(危険運転致死)など
福島さん:
 重大な犯罪事件が対象となっていますね。何の知識もない自分が参加してもよいものかどうか、戸惑います。
大熊社労士:
 そのように感じられる方は多いでしょう。しかしこの裁判員制度は、国民が参加することによって、一人ひとりの感覚や経験に根ざした多様な視点が裁判にもたらされることを目的にしています。一人でも多くの国民が参加することが期待されています。
宮田部長:
 そのためには、会社としても社員が裁判員制度に積極的に参加できるように、サポートしていくことが重要ですね。
大熊社労士:
 そうですね。裁判員として出頭する際の休暇の取り扱いを決めることや、場合によっては管理職や社員向けに裁判員制度についての研修会を行うといった対応が求められますね。
宮田部長:
 もう少し裁判員制度について教えてもらってから、管理職向けに研修会を開催してみます。
大熊社労士:
 わかりました。次回は、裁判員の選任についてお話しましょう。


>>>to be continued


[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
大熊社労士のワンポイントアドバイス こんにちは、大熊です。裁判員候補者名簿に記載された方への通知が始まったことから、裁判員制度への関心が高まってきたのではないでしょうか。裁判員候補者に選ばれたことを公にしてはいけないとされていますが、法律で禁止されている「公にする」とは、例えばインターネット等で公表するなど,裁判員候補者になったことを不特定多数の人が知ることができるような状態にすることを言います。社員が上司や会社に裁判員候補者になったと話すことは、周囲の理解を求める上でも重要ですので、会社としても積極的に相談するように促していくことが望まれます。



関連blog記事
2008年11月29日「裁判員候補者に選ばれた際の注意点」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51452216.html
2008年11月24日「裁判員制度で支給された日当等は雑所得の取扱いを」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51454719.html
2008年11月21日「裁判員休暇規程」
http://blog.livedoor.jp/shanaikitei/archives/55178248.html
2008年11月19日「お待たせしました!裁判員休暇規程のダウンロードを開始!」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51453215.html
2008年11月11日「いよいよ11月28日より裁判員候補者への資料送付が始まります」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51444106.html
2008年9月18日「裁判員休暇の賃金取り扱い 日本経団連調査でも86%が「有給」と回答」」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51412397.html
2008年9月16日「裁判員休暇の賃金取り扱い 9割の企業が「有給」と回答」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51410564.html
2008年8月13日「求められる裁判員制度導入に伴う特別休暇制度の検討」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51389871.html
2008年4月16日「裁判員制度 平成21年5月21日にスタート」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51307054.html
2008年1月21日「政令により裁判員辞退の申立てをすることができる事由が明らかに」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51232135.html
2007年10月29日「裁判員制度の取扱いを既に決めている企業はわずか6.9%」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51143352.html
2007年8月31日「平成21年度スタートの裁判員制度に対応する就業規則等の見直し」
http://blog.livedoor.jp/roumucom/archives/51056431.html


参考リンク
最高裁判所
http://www.saibanin.courts.go.jp/
最高裁判所「裁判員候補者名簿に登録されたことを公にすることは法律上禁止されていますので,ご注意ください(2008.12)」
http://www.saibanin.courts.go.jp/topics/saibanin_meibo_attention.html
法務省
http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/index.html


(福間みゆき)


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出向協定書

出向協定書 景気の変動や産業構造の変化等により、事業縮小を行わなければならないときに、個々の労働者の適性に配慮しながら、労働者を出向させることで雇用調整を行う際の労使協定のサンプル(画像はクリックして拡大)です。
重要度:★★
官公庁への届出:特になし
法定保存期間:特になし

[ダウンロード]
WORD
Word形式 syukkoukyouteisyo.doc(27KB)
PDFPDF形式 syukkoukyouteisyo.pdf(8KB)

[ワンポイントアドバイス]
 雇用調整の方法は一時休業や教育訓練の他、このような出向によるものも考えられます。出向前には、出向先企業と労働条件や社会保険料の負担割合等について詳細を詰め、企業間で出向契約を締結しておく必要があるでしょう。


関連blog記事
2008年12月5日「教育訓練実施方法書」
https://roumu.com/archives/55184938.html
2008年12月3日「教育訓練委託契約書」
https://roumu.com/archives/55184937.html
2008年12月1日「教育訓練協定書」
https://roumu.com/archives/55183252.html
2008年11月28日「休業協定書」
https://roumu.com/archives/55183250.html

 

(宮武貴美)

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改正石綿救済法が12月1日より施行され、特別遺族給付金の取り扱いが変更に

改正石綿救済法が12月1日より施行 石綿(アスベスト)による健康被害者の遺族に対する特別遺族給付金に関する取り扱いを定めた、改正石綿救済法が12月1日より施行されています。今回の法改正のポイントは以下の2点となっています。
特別遺族給付金の請求期限
 平成24年3月27日まで延長されました。
特別遺族給付金の支給対象
 平成18年3月26日までに亡くなった労働者の遺族に拡大(労災保険の遺族補償給付を受ける権利が時効によって消滅した場合に限る)
 これにより石綿の健康被害により労働者が亡くなった時期により支給対象となる給付が異なることとなります。詳細については最寄の都道府県労働局もしくは労働基準監督署までお問い合わせ下さい。



関連blog記事
2008年8月11日「メンタルヘルス対策が重点課題とされている第11次労働災害防止計画」
https://roumu.com
/archives/51389275.html
2007年1月30日「4月より石綿健康被害救済のための「一般拠出金」の申告・納付が開始」
https://roumu.com
/archives/50872053.html


参考リンク
東京労働局「12月1日から「石綿による健康被害の救済に関する法律(石綿救済法)」が改正されました」
http://www.roudoukyoku.go.jp/topics/2008/20081201-sekimen/20081201-sekimen.pdf
厚生労働省「アスベスト全面禁止」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/dl/hou20-349c.pdf
労働安全衛生法施行令等の一部を改正する政令の周知について(基発第1126003号 平成20年11月26日)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/hourei/081126-2.html


(大津章敬)


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2007年度企業年金の修正総合利回りは△10.58%

2007年度企業年金の修正総合利回りは△10.58% サブプライムローン問題に端を発する世界的な金融恐慌により企業年金の運用も大きな影響を受けていますが、先日、企業年金連合会より「企業年金における資産運用の状況 2007年度年次報告書」が公表されました。この調査は、同連合会の会員たる厚生年金基金(623件)および確定給付企業年金(756件)を対象に実施されたもので、回答率は概ね78%。


 これによれば、2007年度の企業年金の修正総合利回りは△10.58%となり、5年振りのマイナス運用となったことが明らかになりました(グラフはクリックして拡大)。昨年度の運用環境は、各資産の市場収益率は国内債券が3.36%、外国債券が0.52%と債権はなんとかプラスの成績を収めた一方、株式は国内株式が△28.05%、外国株式が△16.80%となり、全体の利回りを大きく引き下げました。ちなみに過去からの年金資産の増減がわかる幾何平均(各期間の収益率をつなげて(リンク)計算)でみると、5年平均が6.23%、10年平均が1.73%、20年平均は3.22%となっています。


 今回の発表は2007年度のものですが、11月13日のブログ記事「金融危機と円高により危機的な状況にある企業年金の運用」で取り上げたように、2008年度については更に大きなマイナスが発生していますので、今後、企業に大きな負担として圧し掛かることが懸念されます。



関連blog記事
2008年11月13日「金融危機と円高により危機的な状況にある企業年金の運用」
https://roumu.com
/archives/51448321.html
2008年10月19日「2008年度上半期の企業年金運用はマイナス4.66%に悪化」
https://roumu.com
/archives/51430706.html
2008年10月5日「中退共 累積欠損金急増で財務状況に関する資料を公開」
https://roumu.com
/archives/51423111.html
2008年8月26日「中退共 平成19年度決算発表 運用利回りは△2.98%で繰越欠損金は1,564億円まで急増」
https://roumu.com
/archives/51398061.html
2008年7月31日「2008年4~6月の企業年金運用はプラス2.68%に反転」
https://roumu.com
/archives/51379779.html


参考リンク
企業年金連合会「企業年金における資産運用の状況 2007年度年次報告書」
http://www.pfa.or.jp/top/toukei/pdf/AnnualReport2007.pdf


(大津章敬


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割増率引上げを中心とした改正労働基準法成立 平成22年4月1日に施行

 ホワイトカラーエグゼンプション問題など様々な紆余曲折があった改正労働基準法ですが、先ほど参議院本会議において可決・成立(投票総数 230 賛成票 217 反対票 13)しました。主とした内容は60時間を超えた時間外労働に対する50%の割増率の適用、年次有給休暇の時間単位付与の解禁の2点となっていますが、施行日は平成22年4月1日となります。特にの割増率引上げについては非常に大きな影響が予想されますが、中小企業については「当分の間」適用が猶予されます。一方、の年休の時間単位付与については労使協定の締結が前提となっていますが、従業員からの要望が強い内容でもあるため、多くの企業ではその対応が求められることになるでしょう。その際、時間単位の付与が認められるのは5日以内に限られるため、年休の管理が非常に煩雑になることが予想されます。


 なお、今回の改正内容について、以下に記載しておきます。



労働基準法の一部を改正する法律


労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。


●第十二条第三項第四号中「第三十九条第七項」を「第三十九条第八項」に改める。
●第三十六条第二項中「労働時間の延長の限度」の下に「、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率」を加える。
●第三十七条第一項に次のただし書を加える。
 ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
●第三十七条第二項の次に次の一項を加える。
 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
●第三十八条の四第五項中「第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項」の下に「、第三十七条第三項」を加え、「次条第五項及び第六項ただし書」を「次条第四項、第六項及び第七項ただし書」に、「第三十六条、第三十八条の二第二項」を「第三十六条、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項」に改め、「第三十六条第二項」の下に「、第三十七条第三項」を加える。
●第三十九条第四項中「前三項」を「前各項」に改め、同条第六項中「有給休暇の期間」の下に「又は第四項の規定による有給休暇の時間」を加え、「平均賃金又は」を「それぞれ、平均賃金若しくは」に改め、「通常の賃金」の下に「又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金」を加え、「その期間について」を「その期間又はその時間について、それぞれ」に改め、「相当する金額」の下に「又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額」を加え、同条第三項の次に次の一項を加える。
 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項
●第百六条第一項中「第三十六条第一項」の下に「、第三十七条第三項」を加え、「第三十九条第五項及び第六項ただし書」を「第三十九条第四項、第六項及び第七項ただし書」に改める。
●第百十四条中「第三十九条第六項」を「第三十九条第七項」に改める。
●第百三十六条中「第三項」を「第四項」に改める。
●附則に次の一条を加える。
 第百三十八条 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が三億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については五千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については一億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が三百人(小売業を主たる事業とする事業主については五十人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については百人)以下である事業主をいう。)の事業については、当分の間、第三十七条第一項ただし書の規定は、適用しない。


附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十二年四月一日から施行する。
(罰則に関する経過措置)
第二条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の労働基準法(以下この条において「新法」という。)第三十七条第一項ただし書及び第百三十八条の規定の施行の状況、時間外労働の動向等を勘案し、これらの規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項に定めるものを除くほか、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(地方公務員法の一部改正)
第四条 地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
 第五十八条の見出しを「(他の法律の適用除外等)」に改め、同条第三項中「第三十二条の五まで」の下に「、第三十七条第三項」を加え、「第三十九条第五項」を「第三十九条第六項」に改め、同条第四項中「とする」を「と、同法第三十九条第四項中「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより」とあるのは「前三項の規定にかかわらず、特に必要があると認められるときは、」とする」に改める。
(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正)
第五条 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)の一部を次のように改正する。
 第七条第一項中「第三十六条第一項、第三十八条の二第二項」を「第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項」に、「第三十九条第五項」を「第三十九条第四項及び第六項」に改める。
(国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法等の一部改正)
第六条 次に掲げる法律の規定中「第三十九条第七項」を「第三十九条第八項」に改める。
一 国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法(昭和二十九年法律第百四十一号)第七条第五項
二 地方公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百十号)第二十条第一項
三 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第五十九条第五項



関連blog記事
2008年11月19日「改正労働基準法案 昨日、衆議院を通過」
https://roumu.com
/archives/51453887.html


参考リンク
参議院「議案審議情報:労働基準法の一部を改正する法律案」
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/17003166081.htm


(大津章敬)


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